JP6213939B2 - 標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤 - Google Patents

標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤 Download PDF

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Description

本発明は、標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤に関するものである。特に、水溶液とした際に、室温では液体状態で且つ4℃では固体状態となる低融点のゼラチンを標本作製用包埋剤として用いることで、組織に熱侵襲を与えず、室温での操作性が高く、シワ・やぶれが発生することがない硬化性基材非浸透標本の作製方法及び当該方法により作製した硬化性基材非浸透標本に関するものである。また、硬化性基材非浸透標本の作製に用いた凍結ブロックから硬化性基材浸透標本を作製する際に、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製することができる硬化性基材浸透標本の作製方法に関するものである。更に、従来の凍結包埋剤と組み合わせて用いることで凍結ブロックの薄切性を向上することができる、低融点ゼラチンを含む凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤に関するものである。
近年、医療の現場では、手術中に組織を採取し、良性か悪性か、また、切除断端への浸潤・リンパ節転移の有無を迅速に検査することが求められている。手術中に当該検査を行うことで、手術中に術式を変更したり切除範囲を適切に決定したりすることができ、手術の精度を上げることができる。
手術中の組織の検査は、迅速性や抗原性の保持が優れていることから、一般的には、凍結組織標本を作製し、顕微鏡観察で行われている。凍結組織標本は、採取した組織を凍結包埋剤で包埋→−20℃以下に凍結→薄切→染色することで作製できる。凍結包埋剤としては、ポリビニルアルコール(PVA)やポリエチレングリコール(PEG)等のポリマーを用いたものが知られており、凍結包埋剤として市販されている。
(課題1:凍結包埋標本のシワ、破れ、剥がれ)
しかしながら、市販されている凍結包埋剤を用いて凍結ブロックを作製して薄切すると、シワ、破れ等が発生し易く、きれいな薄膜(切片)を得ることが困難な場合がある。特に、多くの病院・研究機関では凍結包埋剤としてO.C.Tコンパウンドが使用されているが、組織がO.C.Tコンパウンドと馴染みが悪い場合は、薄切が難しいという問題がある。更に、凍結組織標本は、薄切した組織の切片をスライドガラスに接着して作製するが、従来の凍結包埋剤を用いた場合は、スライドガラスから剥がれやすいという問題がある。
上記問題を解決するために、凍結方法・温度の調整、スクロース置換、接着フィルムの使用、アガロースを用いた予備包埋等が知られている。しかしながら、前記方法は、熱侵襲、薄切の際のシワ・やぶれ、凍結組織標本の作製に時間がかかる等の問題があり、手術中に採取した組織の検査方法として用いることは問題がある。
(課題2:凍結包埋の際、O.C.Tコンパウンドは4℃程度で半透明の固体にならないため扱いにくい)
また、市販されている凍結包埋剤は凍結時に不透明になることから、包埋されている組織の向きを確認し難いという問題がある。凍結包埋剤は室温から凍結する温度付近に至るまで液体状態で流動性があるため、採取した組織を凍結する際に凍結包埋剤中で位置ずれを起こすことがある。その結果、従来の凍結包埋剤を用いた場合、凍結後の凍結包埋剤の中に包埋されている組織が所望の方向に保たれているのか外から確認をすることが困難であり、組織の切片面を所望の面となるように調整することが難しいという問題がある。
(課題3:凍結包埋からパラフィン包埋を作製する際、O.C.Tコンパウンドはホルマリン固定液の中で溶けて流れてしまい扱いにくい)
ところで、上記の凍結組織標本は、病院等で行われる迅速病理診断に使用するためのものであり、組織はホルマリン等で固定されていない。そのため、病理診断後、長期間保存すると組織が壊れるという問題がある。前記問題を解決するため、凍結組織標本を作製するための凍結ブロックから、組織が壊れないようにホルマリンで固定し、硬化性基材であるパラフィンで包埋した永久パラフィン標本を作製する場合がある。しかしながら、パラフィン標本を作製する際の工程である凍結ブロックのホルマリン固定液への浸漬の際に、従来の凍結包埋剤は、ホルマリン固定液の中で流れ落ちてしまうという問題がある。そのため、ホルマリン固定液中で組織が浮遊してしまい、その結果、凍結組織標本を作製した際の薄切面と同一面のパラフィン標本を作製することが難しいという問題がある。また、現状では、凍結組織標本及びパラフィン標本を作製する際の上記問題を一度に解決できる凍結包埋剤は知られていない。
(課題4:予備包埋におけるアガロースは熱侵襲、親和性の問題がある)
組織から凍結包埋を経ずに直接ホルマリン固定液により組織を固定した標本、更にパラフィン標本を作製する場合、構成組織の相互の結合が弱い臓器、消化管、細胞診標本等では、ホルマリン固定液中で位置・方向が定まらず、バラバラになる等の問題がある。そのためホルマリン固定の前に、アガロースにより標本組織を予備的に包埋しておく予備包埋が行われることがある。しかしながら、アガロースを予備包埋に使用する際の濃度における融点は60℃以上と高く、組織の熱侵襲が懸念され、手早い操作が必要になる。また、組織との馴染みが悪く分離してしまうという問題がある。
(課題5:一般的なゼラチンは包埋剤に向かない)
従来、ライフサイエンス研究分野においては、主に牛や豚由来のゼラチン(融点が30℃程度)が培地、バインディング材料、コーティング材料として用いられてきた。また、組織標本を作製するための包埋剤としてゼラチンを用いることも知られている(特許文献1、2参照)。
(課題6:一般的な凍結包埋剤は脂肪組織の凍結標本の作製には向かない)
術中迅速診断には、脂肪組織に埋もれたリンパ節、脂肪組織に囲まれた乳腺や脂肪肉腫などの検体が提出されることがある。ところで、脂肪組織は−20℃では凍結しないため、脂肪組織の凍結標本を作製する際には−35℃程度まで冷却して薄切する必要がある。しかしながら、一般的な凍結包埋剤を用いて−35℃まで温度を下げると、凍結包埋剤や脂肪以外の組織が固く・もろくなって均一に切れにくくなる。また、脂肪組織と凍結包埋剤とが離れてしまう等のトラブルが生じやすく、きれいな切片を得ることが困難な場合が多い。そのため、界面活性剤を添加した脂肪組織用の凍結包埋剤も知られているが、界面活性剤を添加すると染色への悪影響を及ぼすことから好ましくない。
特開2004−347594号公報 特開2013−29436号公報
上記のとおり、ゼラチンを包埋剤として使用することは知られている。しかしながら、ゼラチンは実際の使用濃度(1重量%以上)において室温で固体状態であるため、組織標本を作製するための包埋剤として用いるには室温より高い温度で操作する必要がある。更に、上記特許文献1に記載されているゼラチンは、水、パラフィン、セロイジン、カーボンワックス、アルブミン、アガロース、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、グリコールメタクリレートと同様に用いることができるとの開示に留まり、また、ゼラチンを用いた実施例もなく、上記の従来技術が有する問題点を解決できることは記載されていない。加えて、上記特許文献2に記載されているゼラチンは、ホルマリン・エタノール混合液で固定した凍結材料の包埋剤としてゼラチンを用いており、特許文献1と同様、上記の従来技術が有する問題点を解決できることは記載されていない。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、水溶液とした際に、室温では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン(以下、「低融点ゼラチン」と記載することがある。)を成分として含む標本作製用包埋剤(以下、単に「包埋剤」と記載することがある。)を用いると、硬化性基材非浸透標本を作製する際に、組織への熱侵襲がなく、薄切の際にシワややぶれが少なくなることを見出した。また、室温において包埋剤が液体状態であるので組織を包埋操作しやすく、4℃程度で冷却固体化した半透明な包埋剤中の組織の位置を確認しながら操作できることにより、凍結する際の組織の位置・方向決めがしやすいことを新たに見出した。
更に、包埋剤を用いて作製したブロックは、組織を固定液(4℃程度)により固定する際にゼリー状の形態を保ちながら固定することができる。固定化された当該ブロックは室温に戻しても固体状態であり、硬化性基材非浸透標本として薄切して組織観察に用いることができる。また、組織を包埋している固定化したゼラチンをピンセット等で摘まむことができるので、組織を破損することなく位置を調整しながらパラフィン等の硬化性基材でブロックを作製することができ、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製できること、並びに、低融点ゼラチンを従来の凍結包埋剤に添加することで薄切性を改善できること、を新たに見出した。
加えて、本発明の包埋剤にカルボン酸化合物を添加すると、脂肪組織が凍結する温度まで冷却しても凍結ブロックの薄切性が改善されること、及び、ゼラチン+公知の凍結包埋剤は凍結前の段階で白濁しているが、カルボン酸化合物を添加することで透明度が向上すること、を新たに見出した。本発明は、これら新たな知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明の目的は、標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤を提供することである。
本発明は、以下に示す、標本作製用包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤に関する。
(1)水溶液とした際に、15℃〜25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む標本作製用包埋剤。
(2)前記ゼラチンが、魚由来のゼラチンである上記(1)に記載の標本作製用包埋剤。
(3)ゼラチン加水分解物類、アミノ酸とその塩類、糖類、加工澱粉類、ソルビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の水溶性物質を含む上記(1)又は(2)に記載の標本作製用包埋剤。
(4)前記水溶性物質が、少なくとも糖類を含む上記(3)に記載の標本作製用包埋剤。
(5)前記水溶性物質が、アガロースである上記(3)に記載の標本作製用包埋剤。
(6)前記水溶性物質が、デキストリンである上記(3)に記載の標本作製用包埋剤。
(7)凍結包埋剤を更に含む上記(1)〜(6)の何れか一に記載の標本作製用包埋剤。
(8)カルボン酸化合物を更に含む上記(1)〜(7)の何れか一に記載の標本作製用包埋剤。
(9)上記(1)〜(8)の何れか一に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を凍結して凍結ブロックを作製する工程、
前記凍結ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。
(10)前記薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む上記(9)に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。
(11)上記(1)〜(8)の何れか一に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。
(12)前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む上記(11)に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。
(13)上記(1)〜(8)の何れか一に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程、
前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
を含む硬化性基材浸透標本の作製方法。
(14)前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む上記(13)に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
(15)前記ブロックが、硬化性基材非浸透標本を作製する際に作製した凍結ブロックである上記(13)又は(14)に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
(16)前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程が、溶融した硬化性基材中の固定化ブロックの位置を調整しながら硬化性基材を冷却することで硬化性基材ブロックを作製する上記(13)〜(15)の何れか一に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
(17)水溶液とした際に、15℃〜25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む硬化性基材非浸透標本。
(18)水溶液とした際に、15℃〜25℃では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチン、
を含む凍結包埋剤の薄切性改善剤。
(19)カルボン酸化合物を更に含む上記(18)に記載の薄切性改善剤。
(20)上記(18)又は(19)に記載の薄切性改善剤を含む凍結包埋剤。
本発明の包埋剤は、水溶液とした際に、室温では液体状態で且つ4℃では固体状態となるゼラチンを成分としているため、包埋工程時に熱侵襲によるダメージを組織に与えることなく包埋することができる。また、室温で液体状態であるため操作性が向上し、更に、支持体上に組織を貼着した後、包埋剤を水で洗い流すことができるので、染色した時のバックグランドが少なくなる。
本発明の包埋剤は、組織標本の包埋時に氷冷等により温度を下げることで徐々にゼリー化するため、氷冷温度付近でも流動性のある従来の凍結包埋剤と比較し、組織の位置を調整し易い。
本発明の包埋剤のゼラチンは、動物由来のタンパク質が主成分である。そのため、PVAやPEG等のポリマーと違い組織との親和性が向上することから、シワ・やぶれの少ない硬化性基材非浸透標本を作製することができる。また、ゼラチンは粘着性があるので、薄切した組織をスライドガラスに貼着した後、組織が剥がれにくい。更に、ゼラチンとして魚由来のゼラチンを用いた場合は、バイオハザードの問題もない。
本発明の包埋剤のゼラチンは、主成分がタンパク質であることから、組織を包埋した状態でホルマリン等の固定液に浸漬すると、組織と共にゼラチンも固定液により固定化する。したがって、低融点ゼラチンがゲル状態を維持する温度でブロックを固定液に入れることで、固定化した組織の周囲を固定化したゼラチンで覆うことができる。そして、パラフィン等の硬化性基材のブロック作製時には、固定化したゼラチンを摘まみながら位置を調整できるので、組織を損傷することなく、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製することができる。
本発明の凍結包埋剤の薄切性改善剤は、従来の凍結包埋剤に添加することで凍結ブロックの薄切性を改善できる。したがって、従来から市販されている凍結包埋剤の薄切性改善剤として別体で提供できる他、薄切性改善剤を含む凍結包埋剤として提供することもできる。
また、本発明の包埋剤にカルボン酸化合物を添加することで、脂肪組織が凍結する温度まで凍結ブロックの温度を下げても凍結切片の薄切性を改善することができる。したがって、界面活性剤等を添加しなくても包埋剤を非脂肪組織及び脂肪組織の両方に使用することができるので、組織に応じて包埋剤を変更する必要が無い。更に、ゼラチン+公知の凍結包埋剤にカルボン酸化合物を添加すると包埋剤の透明度が向上する。そのため、硬化性基材非浸透標本を作製する際の組織の位置確認を容易に行うことができる。
図1は、本発明の硬化性基材非浸透標本及び硬化性基材浸透標本の作製・病理検査手順の一例を示すフローチャートである。 図2は、図面代用写真で、図2(1)は実施例1の凍結前ブロックの写真、図2(2)は比較例1の凍結前ブロックの写真、図2(3)は比較例2の凍結前ブロックの写真、図2(4)は実施例1のHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真、図2(5)は比較例1のHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真、図2(6)は比較例2のHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。 図3は、図面代用写真で、図3(1)は実施例2で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真、図3(2)は実施例3で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真、図3(3)は比較例3で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真、図3(4)は比較例4で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真である。 図4は、図面代用写真で、図4(1)は実施例2の硬化性基材非浸透標本を200倍及び1000倍に拡大した写真、図4(2)は実施例3の硬化性基材非浸透標本を200倍及び1000倍に拡大した写真、図4(3)は比較例4の硬化性基材非浸透標本を200倍に拡大した写真である。 図5は、図面代用写真で、図5(1)は、実施例4で作製した薄切切片の写真で、図5(2)は、比較例5で作製した薄切切片の写真である。 図6は、図面代用写真で、図6(1)は、実施例4で薄切した切片をHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真、図6(2)は、比較例5で薄切した切片をHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真である。 図7は、図面代用写真で、実施例5の硬化性基材浸透標本作製工程中の写真であって、図7(1)は凍結ブロックの写真、図7(2)はHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真、図7(3)は室温で撮影したホルマリン固定後、パラフィン包埋前ブロックの写真、図7(4)はパラフィンブロックの写真、図7(5)はHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。 図8は、図面代用写真で、図8(1)は実施例6で作製したホルマリン固定パラフィン包埋前ブロックの写真、図8(2)はパラフィンブロックの写真である。 図9は、図面代用写真で、実施例7の硬化性基材浸透標本作製工程中の写真であって、図9(1)はホルマリン固定後の写真、図9(2)はパラフィンブロックの写真、図9(3)はHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。 図10は、図面代用写真で、実施例8〜11及び比較例6で作製したHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。 図11は、図面代用写真で、図11(1)は実施例12の凍結前ブロックの写真、図11(2)はHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。 図12は、図面代用写真で、図12(1)は実施例13の薄切した凍結切片の写真、図12(2)は実施例14の薄切した凍結切片の写真、図12(3)は実施例15の薄切した凍結切片の写真、図12(4)は比較例7の薄切した凍結切片の写真、図12(5)は比較例8の薄切した凍結切片の写真である。 図13は、図面代用写真で、図13(1)は実施例16の薄切した凍結切片の写真、図13(2)は比較例9の薄切した凍結切片の写真である。 図14は、図面代用写真で、図14(1)は実施例17の薄切した凍結切片の写真、図14(2)は実施例18の薄切した凍結切片の写真、図14(3)は実施例19の薄切した凍結切片の写真、図14(4)は実施例20の薄切した凍結切片の写真、図14(5)は実施例21の薄切した凍結切片の写真、図14(6)は比較例10の薄切した凍結切片の写真、図14(7)は比較例11の薄切した凍結切片の写真である。 図15は、図面代用写真で、図15(1)は比較例11の凍結前ブロックの写真、図15(2)は実施例17の凍結前ブロックの写真である。 図16は、図面代用写真で、図16(1)は実施例22の薄切した凍結切片の写真、図16(2)は比較例12の薄切した凍結切片の写真である。 図17は、図面代用写真で、図17(1)は参考例1の薄切した凍結切片の写真、図17(2)は参考例2の薄切した凍結切片の写真、図17(3)は参考例3の薄切した凍結切片の写真、図17(4)は参考例4の薄切した凍結切片の写真、図17(5)は参考例5の薄切した凍結切片の写真、図17(6)は参考例6の薄切した凍結切片の写真である。
以下に、本発明の包埋剤、硬化性基材非浸透標本の作製方法、硬化性基材浸透標本の作製方法、硬化性基材非浸透標本、凍結包埋剤の薄切性改善剤、及び凍結包埋剤について詳しく説明する。
先ず、本発明において、「硬化性基材」とは、標本上の組織が長期間保存しても壊れないように組織を永久的に固定するための材料を意味し、例えば、パラフィン、エポキシ樹脂、メタクリレート、アルカリ系ポリエステル等の公知の材料が挙げられる。
次に、「硬化性基材非浸透標本」とは、上記「硬化性基材」を使用せずに作製した標本を意味する。例えば、ホルマリン、パラフォルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等の公知の固定液で組織を硬化、冷却・凍結により組織を硬化、ゼラチン・アガロース等のゲル化剤の保持による硬化等、組織を薄切できるように硬度を持たせ、薄切して得られた切片を支持体に貼着した標本で、代表的なものとして凍結標本、マイクロスライサー標本が挙げられる。
そして、「硬化性基材浸透標本」とは、標本上の組織が長期間保存しても壊れないように永久的に固定するため、上記の固定液により固定化した組織を脱脂・脱水などの処理をした後に「硬化性基材」を組織の内部まで浸透させて組織を硬化した標本を意味する。代表的なものとしてパラフィン標本が挙げられる。
本発明の包埋剤に用いられるゼラチンは、組織標本の包埋時の使用濃度(例えば、水溶液濃度5重量%)において、室温で液体状態であれば特に制限は無い。ここで、室温とは、病理検査室や研究室の常温(約15〜25℃)のことを意味する。本発明の包埋剤は、予めゼラチンが溶解した水溶液であってもよいし、水に溶かした後に上記特性を示すゼラチンを含む粉末であってもよい。粉末の場合は、組織の包埋の前に水に溶かせばよい。ゼラチンが水に溶けた水溶液に組織を浸漬し、氷水の容器等に入れることで簡単に固化し、室温に戻すとゼラチン溶液が液化する。したがって、包埋中の組織の位置や角度が所期と異なる場合は、組織に熱侵襲を与えることなく、何度もやり直しをすることができ、操作性を向上することができる。なお、ゼラチンの種類によっては、ゼラチン粉末を室温の水に溶かす際に完全に溶解せずに、ダマ状になる場合がある。その場合は、室温以上の温度の水にゼラチンを溶解後、室温に冷却をすればよい。冷却後の室温のゼラチン水溶液は、固化しないことから組織の包埋操作が可能である。
上記低融点ゼラチンは、公知の方法で作製すればよい。例えば、牛や豚等の骨又は皮から得られた無定形ゼラチンをバインダーとして水溶性物質を用いて顆粒化したもの(特許第3958909号参照)、魚由来のゼラチン原料を、ゲル状態を経ないで無定形分子状態で乾燥させたもの(特開2008−104398号公報参照)等が挙げられる。
しかしながら、上記のとおり、本発明の包埋剤は、低融点であれば特に制限はされないが、近年、狂牛病、口蹄疫等、動物由来の物質の取り扱いはバイオハザードの関係で厳しくなっている。また、動物の骨、皮由来のゼラチンの融点は比較的高いので、上記のとおり低融点化処理が必要であるが、魚由来のゼラチンは動物由来と比較して融点が低いこと、更にバイオハザードの観点からも、魚由来のゼラチンが好ましい。
本発明の包埋剤は、単独で組織を包埋して凍結・薄切することで硬化性基材非浸透標本を作製することができるが、必要に応じて、水溶性物質を加えてもよい。例えば、ゼラチン加水分解物類、アミノ酸とその塩類、糖類、加工澱粉類、ソルビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の水溶性物質、並びに、塩類、エキス類、ビタミン類、pH調整剤類、色素類、界面活性剤類からなる群から選択される水溶性物質が挙げられる。前記水溶性物質の中で、ゼラチン加水分解物類、アミノ酸とその塩類、糖類、加工澱粉類、ソルビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルは、粉末状無定形ゼラチンを顆粒化する際のバインダーとなるとともに、ゼラチンのゼリー強度、溶解性及び融解性を調整することができる。
前記水溶性物質についてより具体的に記載すると、ゼラチン加水分解物類(例えば、コラ−ゲン又はゼラチンを酵素、酸、アルカリ、熱の何れか1種以上を用いて平均分子量500〜15000まで分解したもの);アミノ酸とその塩類(例えば、L-アスパラギン酸ナトリウム、グリシン、L-グルタミン酸、L-グルタミン酸ナトリウム、L-リジン、L-リジン塩酸塩等);糖類(例えば、アガロース、スクロース、ソルビト−ル、マルチト−ル、水飴、乳糖、果糖、オリゴ糖等);加工澱粉類(例えば、焙焼デキストリン、酵素変性デキストリン等のデキストリン);塩類(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウムアルミニウム等);エキス類(例えば、牛、豚、貝、野菜由来のエキス等);ビタミン類(例えば、ビタミンC、ビタミンCナトリウム、ビタミンB1塩酸塩等);pH調整剤類(例えば、クエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、フタル酸、塩酸、硫酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸等);色素類(例えば、赤色2号,3号,102号,105号,106号、黄色4号,5号、青色2号等);界面活性剤類(例えば、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル等)が挙げられ、それぞれ単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。
前記水溶性物質の使用量は、ゼラチンの包埋効果を損なわない範囲であれば適宜添加すればよい。例えば、水溶性物質が、界面活性剤以外の物質である場合は、前記粉末状無定型ゼラチン100重量部に対して2〜50重量%、また、界面活性剤である場合は、前記粉末状無定型ゼラチン100重量部に対して0.02〜5重量%程度添加すればよい。
本発明の包埋剤で包埋した組織から硬化性基材ブロックを作り、硬化性基材浸透標本を作製する場合は、前記水溶性物質として少なくともアガロースを添加することが好ましい。組織の固定液による固定時はゼラチンと組織が離れることなく馴染みが良いが、アルコール脱水する際には収縮が強くプラスチック様に硬化してしまい薄切が困難な場合がある。アガロースを添加することで前記収縮を抑えることができる。アガロースの添加量は、収縮を抑えられる量であれば特に制限は無い。
本発明の包埋剤は、単独で組織の硬化性基材非浸透標本及び硬化性基材浸透標本の作製に用いることができるが、公知の凍結包埋剤と組み合わせて用いてもよい。組み合わせ方法としては、包埋剤と凍結包埋剤を混合して組織の包埋を行ってもよいし、包埋剤で先ず組織を包埋し、その後、凍結包埋剤で更に包埋してもよい。包埋剤と凍結包埋剤を混合して組織を包埋すると、包埋工程は一度で行うことができる。一方、包埋剤で先ず組織を包埋し、その後、凍結包埋剤で更に包埋すると、包埋剤は透明性が高いので、組織の位置を確認しながら、更に凍結包埋剤で包埋することができる。何れの方法でも、動物性蛋白質由来のゼラチンが組織と馴染むことから、従来の凍結包埋剤を単独で用いて薄切した場合と比較して、シワ・やぶれ等の発生を防止することができる。
市販されている凍結包埋剤としては、例えば、O.C.Tコンパウンド(サクラファインテック社製)、ホワイトティシュコート(ユーアイ化成社製)、FSC22(ライカ社製)、クリオマウント(低粘度及び高粘度;武藤化学社製)、クリオマトリックス(サーモフィッシャーサイエンティフィック)、SCAM(SECTION−LAB)等が挙げられる。また、必要に応じて、PVAやPEG等のポリマーを加えてもよい。ポリマーは組織標本の硬さ等を調製することが可能であり、また包埋剤の防腐・抗菌作用に関与する。前記ポリマーの使用量は、ゼラチンの包埋効果を損なわない範囲で適宜添加すればよい。
支持体としては、薄切した組織の切片を貼着し顕微鏡観察できるものであれば特に制限は無く、スライドガラスや光透過性の樹脂フィルム等が挙げられる。
カルボン酸化合物としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等のモノカルボン酸化合物;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸化合物;クエン酸等のトリカルボン酸化合物;安息香酸、フタル酸等の芳香族カルボン酸化合物;乳酸、リンゴ酸等のヒドロキシ酸化合物;クロロ酢酸等のハロゲンで置換されたカルボン酸化合物;等が挙げられる。なお、カルボン酸化合物は、ゼラチン、ゼラチン+公知の凍結包埋剤、公知の凍結包埋剤の何れに添加しても薄切性を改善することができる。また、カルボン酸化合物の添加量は、薄切性が改善する量であれば特に制限は無く、包埋剤やカルボン酸化合物の種類に応じて適宜調整すればよい。
図1は、本発明の硬化性基材非浸透標本及び硬化性基材浸透標本の作製・検査手順の一例を示すフローチャートである。本発明の硬化性基材非浸透標本の作製方法は、包埋剤で採取した組織を包埋する工程、凍結ブロックを作製する工程、凍結ブロックを薄切して切片を得る薄切工程、得られた切片を支持体に貼着する貼着工程を少なくとも含み、そして、染色工程で薄切した組織を染色し、顕微鏡観察することで、採取した組織の病理検査をすることができる。
包埋剤で組織を包埋する工程の際のゼラチン水溶液の濃度は、包埋剤の原料となるゼラチンの由来により異なるが、包埋剤の水溶液を冷却することでゲル化できる濃度であれば特に制限はない。例えば、包埋剤が牛や豚由来のゼラチンの場合は0.5〜10重量%程度、魚由来のゼラチンの場合は1〜30重量%程度であればよい。組織の包埋は、凍結切片作製用の包埋皿として市販されているクリオモルド等に入れた包埋剤(ゼラチン水溶液)中に採取した組織を投入すればよい。粉末状の包埋剤(ゼラチン粉末)を使う場合は、病理検査を行う部屋の室温の水に所望の濃度となるように水に添加してゼラチン水溶液を作製すればよい。なお、室温では水に溶解し難い場合には、40〜60℃に加温した水に包埋剤(ゼラチン粉末)を添加して溶解後、室温まで冷却すればよい。
なお、上記のとおり、組織の包埋は、包埋剤のみで実施してもよいが、包埋剤と公知の凍結包埋剤との混合物を用いて包埋してもよい。混合比は特に制限は無い。包埋剤と公知の凍結包埋剤は、予め混合したものであっても、用事調整したものでも良い。また、包埋剤で包埋した後、公知の凍結包埋剤で包埋してもよい。
凍結ブロックを作製する工程は公知の方法で実施すればよく、例えば、クリオモルド等に入れたゼラチン水溶液を、ドライアイス等を用いて凍結すればよい。
凍結ブロックを薄切して切片を得る薄切工程も公知の方法で実施すればよく、クライオスタットミクロトーム等の低温薄切装置を用いて薄切すればよい。
得られた切片を支持体に貼着する貼着工程も公知の方法で実施すればよく、薄切した切片を支持体に貼着することで硬化性基材非浸透標本を作製することができる。また、薄切した切片を緩衝液などに浮かせることで浮遊切片を支持体に貼着して作製することもできる。
なお、図1に示す手順は、先ず、凍結ブロックから薄切した切片を作製し、支持体に貼着しているが、薄切した組織が貼着した支持体が得られれば、図1に示す以外の工程であってもよい。例えば、先ず、凍結ブロックに支持体を貼着し、次いで、支持体と平行となるように薄切装置の刃を入れて凍結ブロックを薄切してもよい。
作製した硬化性基材非浸透標本を用いて病理検査する場合は、必要に応じて、ゼラチンの融点以上の温度の水で硬化性基材非浸透標本を洗うことで、支持体上に付着しているゼラチンを洗い流し、HE染色、脂肪染色等の染色法、又は、酵素抗体法(DAB)、蛍光抗体法等の免疫染色法等、公知の方法で染色し、顕微鏡観察すればよい。
本発明の硬化性基材浸透標本の作製方法は、前記凍結ブロックを固定液により固定する工程、脱水・脱脂・硬化性基材浸透工程、硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程、硬化性基材ブロックを薄切して切片を得る薄切工程、得られた薄膜を支持体に貼着する貼着工程を少なくとも含み、そして、染色工程で薄切した組織を染色し、顕微鏡観察することで、採取した組織の硬化性基材浸透標本を観察することができる。
前記凍結ブロックを固定液により固定する工程は、10%中性緩衝ホルマリン液等の公知の固定液を、凍結ブロックが液化せず、ゲル状態を保持できる温度以下に冷却しておき、当該冷却固定液に凍結ブロックを浸漬すればよい。なお、本発明の硬化性基材浸透標本の作製方法は、ゼラチンを包埋剤として用いることで、硬化性基材非浸透標本の作製に用いた凍結ブロックをそのまま固定化できることが特徴であるが、硬化性基材非浸透標本を作製しない場合は、組織から直接硬化性基材浸透標本を作製してもよい。その場合は、組織を包埋剤で包埋・冷却してゲル化したものを、冷却固定液に浸漬して固化すればよい。この時に、組織を包埋しているゼラチンも固定液により固定化されるため、以下の工程では、常温でもゼラチンは液化しないので取扱いの利便性が向上する。
脱水・脱脂・硬化性基材浸透工程も公知の方法で実施すればよく、例えば、キシレン・アルコール等で固化したゼラチンで包埋された組織の脱水及び脱脂を行い、次いで、硬化性基材に浸漬することで、硬化性基材を組織に浸透すればよい。
硬化性基材ブロックを作製する工程では、組織の周りのゼラチンを必要に応じてトリミングした後、加熱した硬化性基材溶液に埋め込み冷却することで、硬化性基材ブロックを作製することができる。本工程では、硬化性基材溶液が固化する途中で、ピンセット等を用いて組織の周りの固定化したゼラチンを摘まみながら位置を変えることができるので、組織を傷つけることなく硬化性基材ブロック中の位置を調整することができる。特に、硬化性基材非浸透標本を作製した後の凍結ブロックを用いる場合は、硬化性基材非浸透標本のスライス面と同じ面を薄切できるように位置調整をすることができる。
硬化性基材ブロック作製後は、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程を実施することで、硬化性基材浸透標本を作製することができる。硬化性基材非浸透標本の作製と同様に、硬化性基材ブロックを薄切し、得られた切片を支持体に貼着してもよいし、硬化性基材ブロックに支持体を貼着してから硬化性基材ブロックを薄切してもよい。
作製した硬化性基材浸透標本を用いて病理検査する場合は、HE染色、PAS染色、アルシアン青染色、等の染色法、又は、酵素抗体法(DAB)、蛍光抗体法等の免疫染色法等、公知の方法で染色し、顕微鏡観察すればよい。
本発明の包埋剤は、動物由来のゼラチンを用いていることから組織への馴染みが良く、単独で硬化性基材非浸透標本の作製に用いることができるが、硬化性基材浸透標本を作製する際の予備包埋剤として利用することも可能である。したがって、従来は、硬化性基材浸透標本の作製過程で小さな組織や柔らかい組織は紛失や損壊の問題があったが、当該問題を解決できることに加え、血液・体腔液・培養細胞等を予備包埋してから硬化性基材(非)浸透標本を作製することで、細胞診検体などのセルブロック作製にも応用することが可能である。
また、低融点ゼラチンは、単独で包埋剤として使用できるほか、既知の凍結包埋剤の薄切性改善剤として使用することもできる。市販の凍結包埋剤は動物性由来でないものも多く、生体から採取した組織との馴染みが悪い。そのため、凍結ブロックの薄切時に薄膜にシワ・やぶれ等が発生することが多いが、低融点ゼラチンを添加することで、組織に熱侵襲を与えることなく馴染ませ、薄切時にシワ・やぶれの発生を抑えることができる。凍結包埋剤への薄切性改善剤の添加量は薄切性が改善できる量であれば特に制限は無く、適宜調整すればよい。また、薄切性改善剤には、包埋剤と同様、水溶性物質を添加してもよい。更に、薄切性改善剤を公知の凍結包埋剤に予め添加しておくことで、薄切性を改善した凍結包埋剤として提供してもよい。また、薄切性改善剤の性能をより向上するために、カルボン酸化合物を添加してもよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
[硬化性基材非浸透標本の作製]
<実施例1>
低融点の魚由来のゼラチン(SIGMA−ALDRICH Gelatin from cold water fish skin G7041)を濃度が約20重量%となるように、25℃前後の水に溶解してゼラチン水溶液を作製した。作製したゼラチン水溶液1mlをクリオモルド3号(ティシューテック社製)に入れ、マウスから採取した10%中性緩衝ホルマリン固定腸管をゼラチン水溶液に浸漬(包埋)した。次いで、クライオスタット庫内にて−20℃で凍結することで腸管をゼラチンで包埋した凍結ブロックを作製した。次に、クライオスタットミクロトーム(ライカ社製CM3050)を用いて薄切を行い、厚さ約5μmの切片を得た。得られた切片を、スライドガラスを押し当て貼着することで硬化性基材非浸透標本を作製した。得られた硬化性基材非浸透標本を室温程度の水道水で濯ぐことで、スライドガラス上のゼラチンを洗い流した。次いでヘマトキシリン・エオジン(メルク社製)を用い、HE染色を行った。なお、クライオスタットミクロトームの操作は庫内温度−20℃・試料温度−20℃の温度で行い、その他の操作は室温(約25℃)で行った。図2(1)は実施例1の凍結前ブロックの写真、図2(4)はHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。
<比較例1>
魚由来のゼラチンに換え、豚由来のゼラチン(SIGMA−ALDRICH Gelatin from porcine G1890)を用い、濃度を約5重量%とし、60℃の水に溶解後、37℃まで冷却して使用した以外は、実施例1と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。なお、37℃としたのは、室温まで冷却するとゼリー化し、取扱いが難しかったためである。図2(2)は比較例1の凍結前ブロックの写真、図2(5)はHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。
<比較例2>
魚由来のゼラチンに換え、牛由来のゼラチン(SIGMA−ALDRICH Gelatin from bovine skin G9391)を用い、濃度を約5重量%とし、60℃の水に溶解後、37℃まで冷却して使用した以外は、実施例1と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。なお、37℃としたのは、室温まで冷却するとゼリー化し、取扱いが難しかったためである。図2(3)は比較例2の凍結前ブロックの写真、図2(6)はHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。
図2(1)〜(3)に示すように、ゼラチン原料の違いによりゼラチン包埋時のゼラチンの色に違いはあるものの、包埋した腸管の位置が固定されていることは十分確認することができた。また、図2(4)に示すように、実施例1では、腸管のみがHE染色されたが、図2(5)に示す比較例1、及び図2(6)に示す比較例2では、腸管に加え、腸管の周囲もHE染色の残渣が残ってしまった。これは、比較例1及び比較例2で用いたゼラチンの融点が高いため室温のスライドガラス上で固化してしまったためと考えられる。勿論、得られた硬化性基材非浸透標本を流水で濯ぐ際の温度をゼラチンの融点以上の温度で行えば、スライドガラス上のゼラチンを洗い流すことは可能であるが、操作が煩雑化するので好ましくない。以上の結果より、硬化性基材非浸透標本は、ゼラチンの種類を問わず作製が可能であるが、顕微鏡観察する際の硬化性基材非浸透標本上の残渣及び操作性を考慮すると、室温で液体状態であるゼラチンを用いた方が操作性に優れることが明らかとなった。
[組織への熱侵襲]
<実施例2>
実施例1の10%中性緩衝ホルマリン固定腸管に換え、マウスの未固定腎臓を液体窒素で冷却したイソペンタンを用いて凍結させ、スライドガラスに貼着後にホルマリン・エタノール混合液で1分間固定した以外は、実施例1と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。図3(1)は実施例2で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真である。
<実施例3>
実施例2のゼラチンに換え、魚由来のゼラチンにデキストリンが添加されているMAX−F(株式会社ニッピ社製)を用い、濃度を約5重量%とした以外は、実施例2と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。図3(2)は実施例3で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真である。
<比較例3>
実施例2のゼラチンに換え、豚由来のゼラチン(SIGMA−ALDRICH Gelatin from porcine G1890)を用い、濃度を約5重量%とし、60℃の水に溶解したゼラチン溶液に浸漬した以外は実施例2と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。図3(3)は比較例3で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真である。
<比較例4>
実施例2のゼラチンに換え、O.C.Tコンパウンド(サクラファインテック社製)を用いた以外は実施例2と同様の手順で硬化性基材非浸透標本を作製し、染色した。図3(4)は比較例4で作製したHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真を400倍に拡大した写真である。
図3(1)〜(4)の写真から明らかなように、室温でマウスの未固定腎臓を包埋した実施例2及び3の硬化性基材非浸透標本は、従来の凍結包埋剤であるO.C.Tコンパウンドを用いて室温で包埋した場合と比較して、マウス未固定腎臓組織に大きな変化は見られなかった。一方、60℃でゼラチン水溶液を作製し、その中にマウス未固定腎臓を包埋した比較例3では、加熱による組織の収縮、凍結時の氷晶形成により、細胞質及び核の空胞化が見られ(図3(3)中の矢印)、また、残存するゼラチンもエオジンにより染色されていた(図3(3)中の○で囲った部分)。以上の結果より、低融点ゼラチンを包埋剤として用いると、従来の凍結包埋剤と同様に組織に熱侵襲を与えることなく、硬化性基材非浸透標本を作製することができた。
[硬化性基材非浸透標本上のゼラチン残渣]
実施例2、実施例3及び比較例4で作製した硬化性基材非浸透標本について、マウス未固定腎臓組織周辺部分を撮影した写真を拡大・観察した。図4(1)は実施例2の硬化性基材非浸透標本を200倍及び1000倍に拡大した写真、図4(2)は実施例3の硬化性基材非浸透標本を200倍及び1000倍に拡大した写真、図4(3)は比較例4の硬化性基材非浸透標本を200倍に拡大した写真である。
実施例2では、マウス未固定腎臓組織の周辺部に極わずかにゼラチンの残渣が認められたが、魚由来のゼラチンにデキストリンを添加した実施例3では、組織周辺部にゼラチンが残っていた。ゼラチンは動物性蛋白質のため、組織に馴染みやすいことから、組織に入り込んだゼラチンが残渣として残っていたと考えられる。また、実施例2及び3は、共に魚由来のゼラチンであるが、実施例3にはデキストリンが添加されている。水溶性物質を添加することで、ゼラチン自体又は組織と何らかの相互作用し、組織周辺に残るゼラチンが増えたと考えられる。一方、O.C.Tコンパウンドのみで硬化性基材非浸透標本を作製した場合は、マウス未固定腎臓組織周辺部がガラスと密着せずに、はがれ、よれが生じていた。以上の結果より、本発明の包埋剤を用いて組織を包埋すると、ゼラチンの組織への馴染みの良さ及びゼラチンが有する粘着性のため組織の支持体への密着性が向上すること、そして、支持体に組織を貼着した後流水で余分なゼラチンを洗い流しても、組織及びその周辺部ではゼラチンが残っており、組織の密着性を維持できることが明らかとなった。
[従来の凍結包埋剤の薄切性の改善]
<実施例4>
濃度が10重量%となるように水に溶解したMAX−F(株式会社ニッピ社製)と等量のO.C.Tコンパウンド(サクラファインテック社製)をクリオモルドに注ぎ、ガラス棒で約1分間撹拌したものを包埋剤として用いた以外は、実施例1と同様の手順で凍結ブロックを作製し、薄切を行った。図5(1)は、薄切した凍結切片の写真である。また、図6(1)は、薄切した凍結切片を、実施例1と同様の手順でHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真である。
<比較例5>
O.C.Tコンパウンドのみ用いた以外は、実施例4と同様の手順で薄切を行った。図5(2)は、薄切した切片の写真である。また、図6(2)は、薄切した切片を、実施例1と同様の手順でHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真である。
図5(1)に示すように、低融点ゼラチンを従来から使用されている凍結包埋剤に添加した実施例4では、やぶれのない滑らかな切片が得られた。一方、凍結包埋剤のみを用いた比較例5の切片は、シワ・すだれ状の切片となった。また、切片をスライドガラスに貼着・染色した後の硬化性基材非浸透標本も、図6(1)に示すように実施例4では組織のはがれも無くスライドガラス上にきれいに貼着していたが、図6(2)に示すように比較例5の凍結包埋剤のみを使用した場合は、粘膜のはがれが見られた。以上の結果より、低融点ゼラチンは、それ自体で包埋剤として使用できるのみでなく、従来から使用されている凍結包埋剤の薄切性改善剤として使用できる他、薄切性の改善した凍結包埋剤を提供できることが明らかとなった。
[硬化性基材非浸透標本作製時の凍結ブロックからの硬化性基材浸透標本の作製]
<実施例5>
濃度が10重量%となるように40℃の水にMAX−F(株式会社ニッピ社製)を溶解後、室温に冷却した水溶液を包埋剤として用い、組織として10%中性緩衝ホルマリン固定マウス胎児を用いた以外は、実施例1と同様の手順で凍結ブロックを作製し、次いで硬化性基材非浸透標本を作製した。図7(1)は凍結ブロック、図7(2)はHE染色した硬化性基材非浸透標本の写真である。次に、凍結ブロックを、4℃以下に冷却した10%中性緩衝ホルマリン液に一晩浸漬することで、マウス胎児及びゼラチンをホルマリン固定したブロックを作製した。図7(3)は室温(25℃)で撮影したホルマリン固定後のゼリー化ブロックの写真である。次に、ホルマリンで固定したブロックを、通常のパラフィンブロック作製手順に従い真空自動固定包埋装置(サクラ精機社製VRX−22)を用いて次のように作製した。ホルマリンによりゼリー状に固化した凍結切片作製後ブロックを包埋かごに入れ、アルコールによる脱水・脱脂(70、80、90%エタノール各2時間、99.5%エタノール3槽各2時間)の後キシレンに置換(100%キシレン3槽各2時間)し、60℃に溶解したパラフィン4槽各2時間に浸漬した後、加温溶解したパラフィンを包埋皿に満たしておき、その中にパラフィンの浸透した凍結切片作製後ブロックを、硬化性基材非浸透標本と同一面が見られるように移した。冷却してパラフィンが固まった後、パラフィンブロックを包埋皿から取り出した。図7(4)はパラフィンブロックの写真である。次いで、滑走式ミクロトーム(ライカ社製SM2000R)にて厚さ約5μmのパラフィン切片を作製し、キシレンにより脱パラフィン後、流水水洗し、実施例1と同様にHE染色を行った。図7(5)はHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。
図7(1)、(3)及び(4)から明らかなように、包埋されているマウス胎児の向きは同じであった。これは、本実施例で用いた低融点ゼラチンを含む包埋剤であるMAX−Fは、室温では液体であるが、図7(3)に示すように、冷却したホルマリンでゼラチン及びマウス胎児を固定化することで、脆くて崩れやすい胎児周辺を固定化したゼラチンで包埋できたこと、そして、パラフィンブロック作製時にゼラチンをピンセットで摘まむことで、マウス胎児の位置を調整しながらパラフィン包埋できたためであった。以上のとおり、本発明の包埋剤を用いることで、硬化性基材非浸透標本作製に用いた凍結ブロックから、硬化性基材非浸透標本と同じ面の硬化性基材浸透標本を作製することができた。なお、O.C.Tコンパウンドを用いた凍結ブロックはホルマリン液に浸漬した時点で溶けて組織標本が流れ出てしまったため、その後の処理は断念した。
<実施例6>
実施例4で作製した凍結ブロックから、実施例5と同様の手順で、ホルマリン固定、パラフィンブロックの作製を行った。図8(1)は実施例6で作製したホルマリン固定パラフィン包埋前のブロックの写真、図8(2)はパラフィンブロックの写真である。従来は、凍結包埋剤のみで組織を包埋した凍結ブロックをホルマリンに浸漬した場合、凍結包埋剤はホルマリン中に流れ落ちてしまったため、組織が剥き出しの状態でしかホルマリン固定できなかった。本実施例により、包埋剤のみでなく、凍結包埋剤と低融点ゼラチンを混合した包埋剤を用いた場合でも、硬化性基材非浸透標本の作製に用いた凍結ブロックから、ホルマリン固定ブロック及びパラフィンブロックを作製できることが確認できた。
[糖類を添加した包埋剤を用いた硬化性基材浸透標本の作製]
<実施例7>
濃度が10重量%となるように40℃の水にMAX−F(株式会社ニッピ社製)を溶解した水溶液1mlを室温に冷却してクリオモルドに入れ、マウスから採取した肝臓をゼラチン水溶液に浸漬(包埋)し、次いで、氷上で冷却して固化させた。その後は、実施例5と同様の手順でホルマリン固定以後の処理を行い、硬化性基材浸透標本を作製した。図9(1)はホルマリン固定後の写真、図9(2)はパラフィンブロックの写真、図9(3)はHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。
図9(3)に示すように、低融点ゼラチンを用いて硬化性基材浸透標本を作製することはできるが、肝臓の周囲の固定化したゼラチン部分もHEで強く染色していた。また、ホルマリン固定ブロックからパラフィンブロックを作製する際にゼラチンが収縮してプラスチック様になり、薄切し難くかった。顕微鏡による組織観察自体は可能であるが、より操作性とHE染色のバックグラウンドを下げることができる添加剤の検討を行った。
<実施例8〜11、比較例6>
濃度が5重量%となるように水にMAX−Fを溶解したMAX−F水溶液、濃度が0.5重量%となるように水にアガロース(Recenttec社製High Quality Agarose)を溶解したアガロース水溶液、及び濃度が30重量%となるように水にスクロース(Wako社製)を溶解したスクロース水溶液を準備し、下記表1の割合で混合した。
次に、10%中性緩衝ホルマリン固定マウス腸管、並びに実施例8〜11及び比較例6の水溶液を用いた以外は、実施例7と同様の手順でマウス腸管をHE染色した硬化性基材浸透標本を作製した。図10は、実施例8〜11及び比較例6で作製したHE染色した硬化性基材浸透標本の写真である。比較例6は、アガロースを予備包埋剤として用いる従来から知られている方法であって、ゼラチンを用いていないのでHE染色のバックグランドは無かったが、腸管組織とアガロースが分離してしまい腸管組織周辺部でははがれ等が発生していた。また、アガロースは室温では固化し易いことから、操作を手早くする必要があり、操作性が劣っていた。一方、実施例8〜11は、図10の写真から明らかなように、アガロースの割合を増やしていくとHE染色のバックグラウンドは少なくなり、また、アガロースにスクロースを添加した場合も同様にHE染色のバックグラウンドは少なくなった。更に、薄切に関しては、実施例8〜11は、順に切削性は向上した。以上の結果より、低融点ゼラチンを用いて硬化性基材浸透標本を作製する場合は、アガロースやスクロースを添加することでHE染色のバックグラウンドを低くし、また、薄切時の切削性を向上できることが明らかとなった。
[硬化性基材非浸透標本の作製]
<実施例12>
実施例1の魚由来ゼラチンに代え、魚由来ゼラチン(ジェラーレブラン:株式会社新田ゼラチン社製)を濃度が約1.5重量%となるように、イオン交換水に15分間膨潤後、50℃湯煎にて溶解してゼラチン水溶液を作製し25℃前後まで冷却して使用した以外は、実施例1と同様の手順で凍結前ブロック、HE染色後の硬化性基材非浸透標本を作製した。図11(1)は実施例12の凍結前ブロックの写真、図11(2)はHE染色後の硬化性基材非浸透標本の写真である。実施例1と異なる種類の魚由来ゼラチンを用いても、実施例1と同様に包埋した腸管の位置が固定されていること、及び腸管のみがHE染色されたことを確認した。
[凍結包埋剤(ジェラーレブランのみ)へのカルボン酸化合物の添加]
<実施例13〜15>
実施例12で作製したゼラチン水溶液1gに、酢酸(Wako社製)1μl(実施例13)、ギ酸(Wako社製)0.1μl(実施例14)、1重量%クエン酸(片山化学社製を精製水で調整)1μl(実施例15)をそれぞれ加えることで包埋剤を作製した。カルボン酸化合物を添加した後のpHは4〜5であった。次に、クリオモルドに包埋剤を注ぎ、サンプルとして鶏肉脂肪部分を浸漬し、液体窒素で冷却したイソペンタンを用いて冷却した。クライオスタットミクロトームの操作は、脂肪組織の凝固温度に近い庫内温度−20℃・試料温度−35℃の温度で行いその他の操作は室温で行った。図12(1)は実施例13の薄切した凍結切片の写真、図12(2)は実施例14の薄切した凍結切片の写真、図12(3)は実施例15の薄切した凍結切片の写真である。
<比較例7、8>
実施例13の酢酸に代え6N塩酸(SIGMA−ALDRICH社製6mol/L)0.1μlを添加したものを比較例7、実施例13の酢酸を添加しなかったものを比較例8とした。図12(4)は比較例7の薄切した凍結切片の写真、図12(5)は比較例8の薄切した凍結切片の写真である。
図12(5)に示すように、ゼラチン(ジェラーレブラン)水溶液のみを用いた場合には、−35℃では基材が固くなりもろく崩れ、脂肪組織自体も薄切することが難しかった。一方、図12(1)〜(3)に示すように、ゼラチン(ジェラーレブラン)水溶液にカルボン酸化合物を添加することで、凍結ブロックの薄切性は著しく改善した。なお、図12(4)に示すように、塩酸を添加した場合もカルボン酸化合物よりは劣るものの、薄切性は若干改善された。このことから、包埋剤を脂肪組織の凍結切片が得られる温度まで下げる場合には、pHを酸性側(4〜5)にすることが好ましく、その中でも、カルボン酸化合物、特に酢酸を添加することが好ましいことが明らかとなった。
[凍結包埋剤(MAX−Fのみ)へのカルボン酸化合物の添加]
<実施例16>
実施例13のゼラチン(ジェラーレブラン)水溶液に代え、濃度が5重量%のゼラチン(MAX−F)水溶液を用いた以外は、実施例13と同様の手順で凍結切片を作製した。図13(1)は実施例16の薄切した凍結切片の写真である。
<比較例9>
酢酸を添加しなかった以外は、実施例16と同様の手順で凍結切片を作製した。図13(2)は比較例9の薄切した凍結切片の写真である。
図13(1)及び(2)から明らかなように、ゼラチンとしてMAX−Fを用いた場合にもカルボン酸化合物を添加することで凍結ブロックの薄切性が改善することが明らかとなった。
[凍結包埋剤(ジェラーレブラン+OCT)へのカルボン酸化合物の添加]
<実施例17〜21>
ジェラーレブランの濃度が3重量%となるようにした以外は、実施例12と同様の手順でゼラチン水溶液を作製した。次に、ゼラチン水溶液とOCTコンパウンドを1:3の割合で混合したもの1gに、酢酸35μl(実施例17)、ギ酸1μl(実施例18)、1重量%クエン酸15μl(実施例19)、1重量%シュウ酸(片山化学社製を精製水で調整)1μl(実施例20)、1重量%トリクロロ酢酸(SIGMA−ALDRICH社製を精製水で調整)2μl(実施例21)を添加したものを包埋剤とした。製造メーカの記載のないカルボン酸化合物は上記と同様である。次に作製した包埋剤を用いて、実施例13と同様の手順で鶏肉脂肪部分の凍結切片を作製した。図14(1)は実施例17の薄切した凍結切片の写真、図14(2)は実施例18の薄切した凍結切片の写真、図14(3)は実施例19の薄切した凍結切片の写真、図14(4)は実施例20の薄切した凍結切片の写真、図14(5)は実施例21の薄切した凍結切片の写真である。
<比較例10、11>
実施例17の酢酸に代え6N塩酸0.1μlを添加したものを比較例10、実施例17の酢酸を添加しなかったものを比較例11とした。図14(6)は比較例10の薄切した凍結切片の写真、図14(7)は比較例11の薄切した凍結切片の写真である。
図14(7)に示すように、ゼラチン(ジェラーレブラン)+OCTにカルボン酸化合物を添加しなかった比較例11は、−35℃では基材が固くなりもろく崩れた。また、脂肪組織部分が抜けてしまい、脂肪組織を薄切することが難しかった。一方、図14(1)〜(5)に示すように、ゼラチン(ジェラーレブラン)+OCTにカルボン酸化合物を添加することで、凍結ブロックの薄切性は著しく改善した。なお、図14(6)に示すように、比較例7とは異なり、ゼラチン(ジェラーレブラン)+OCTに塩酸を添加した場合は、実施例17〜21と遜色ない程度の凍結切片が得られた。以上の結果より、ゼラチン+凍結包埋剤であるOCTを混合した包埋剤を用いた場合も、ゼラチン単独の包埋剤と同様に、pHを酸性側(4〜5)にすることが好ましく、その中でも、カルボン酸化合物、特に酢酸を添加することが好ましいことが明らかとなった。
また、図15(1)は比較例11の凍結前ブロックの写真、図15(2)は実施例17の凍結前ブロックの写真である。カルボン酸化合物を添加することで、包埋剤が透明化、つまり包埋剤成分がより可溶化することが明らかとなった。以上の結果より、低融点ゼラチンと市販されている凍結包埋剤を混合した包埋剤にカルボン酸化合物を添加することで凍結前ブロックの透明度が高くなることから、組織の位置が確認し易くなり凍結標本作製時の操作性が向上することが明らかとなった。また、カルボン酸化合物の添加により凍結切片の薄切性が向上したのは、包埋剤成分がより可溶化したために組織の細部まで包埋剤成分が浸透したためと考えられる。
[凍結包埋剤(MAX−F+OCT)へのカルボン酸化合物の添加]
<実施例22>
濃度が7重量%のゼラチン(MAX−F)水溶液とOCTコンパウンドを1:1の割合で混合した以外は、実施例17と同様の手順で凍結切片を作製した。図16(1)は実施例22の薄切した凍結切片の写真である。
<比較例12>
酢酸を添加しなかった以外は、実施例22と同様の手順で凍結切片を作製した。図16(2)は比較例12の薄切した凍結切片の写真である。
図16(1)及び(2)から明らかなように、包埋剤としてMAX−FとOCTコンパウンドの混合物を用いた場合にも、カルボン酸化合物を添加することで凍結ブロックの薄切性が改善することが明らかとなった。
[OCTコンパウンドへのカルボン酸化合物の添加]
<参考例1〜6>
OCTコンパウンド(pH8)に、酢酸35μl(参考例1)、ギ酸0.1μl(参考例2)、1重量%クエン酸1μl(参考例3)、1重量%トリクロロ酢酸2μl(参考例4)、6N塩酸1μl(参考例5)を添加することで参考例1〜5の包埋剤を作製した。なお、カルボン酸化合物は上記と同様である。pHは4〜5であった。また、カルボン酸化合物を添加しなかったOCTコンパウンドを参考例6とした。次に、実施例13と同様の手順により凍結切片を作製した。図17(1)は参考例1の薄切した凍結切片の写真、図17(2)は参考例2の薄切した凍結切片の写真、図17(3)は参考例3の薄切した凍結切片の写真、図17(4)は参考例4の薄切した凍結切片の写真、図17(5)は参考例5の薄切した凍結切片の写真、図17(6)は参考例6の薄切した凍結切片の写真である。図17(6)から明らかなように、OCTコンパウンドのみの参考例6では、脂肪組織がバウダー状に削れ抜けてしまい形態を残さなかった。一方、カルボン酸化合物、塩酸を添加した参考例1〜5では基材が柔らかくなり薄切性が改善された。以上の結果より、通常の凍結包埋剤を脂肪組織の凍結切片が得られる温度まで下げた場合であっても、凍結包埋剤のpHを酸性側(4〜5)にしておくことで薄切性が改善され、中でも、カルボン酸化合物、特に酢酸を添加することが好ましいことが明らかとなった。
本発明に係る標本作製用包埋剤を用いると、硬化性基材非浸透標本を作製する際に、組織への熱侵襲がなく、薄切の際にシワややぶれが少なく、包埋剤中の組織の位置が確認でき、更に、硬化性基材非浸透標本と同一面の硬化性基材浸透標本を作製することができる。また、血液や体腔液などの細胞診検体や培養細胞のセルブロックを作製することもできる。したがって、手術中の迅速病理診断のみならず、医療機関や大学医学部などの研究機関、一般病院等において、硬化性基材非浸透標本及び硬化性基材浸透標本の作製に有用である。

Claims (16)

  1. 標本作製用包埋剤であって、該標本作製用包埋剤は、
    魚由来のゼラチン、および、
    凍結切片の薄切性を改善するためのカルボン酸化合物を含み、
    前記魚由来のゼラチンの濃度が1〜30重量%となるように前記標本作製用包埋剤を水溶液とした際に、15℃〜25℃では液体状態で且つ4℃ではゲル状態となる、
    標本作製用包埋剤。
  2. ゼラチン加水分解物類、アミノ酸とその塩類、糖類、加工澱粉類、ソルビタン脂肪酸エステル及び蔗糖脂肪酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種の水溶性物質を含む請求項1に記載の標本作製用包埋剤。
  3. 前記水溶性物質が、少なくとも糖類を含む請求項に記載の標本作製用包埋剤。
  4. 前記水溶性物質が、アガロースである請求項に記載の標本作製用包埋剤。
  5. 前記水溶性物質が、デキストリンである請求項に記載の標本作製用包埋剤。
  6. 凍結包埋剤を更に含む請求項1〜の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤。
  7. 請求項1〜の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
    前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を凍結して凍結ブロックを作製する工程、
    前記凍結ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
    を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。
  8. 前記薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。
  9. 請求項1〜の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
    前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
    前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
    前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
    を含む硬化性基材非浸透標本の作製方法。
  10. 前記固定化ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項に記載の硬化性基材非浸透標本の作製方法。
  11. 請求項1〜の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で組織を包埋する工程、
    前記標本作製用包埋剤で包埋された組織を冷却して固化したブロックを作製する工程、
    前記ブロックを固定液に浸漬して固定化ブロックを作製する工程、
    前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程、
    前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程、
    を含む硬化性基材浸透標本の作製方法。
  12. 前記硬化性基材ブロックを薄切し、薄切した組織が貼着した支持体を得る工程の後に、組織を染色する染色工程を含む請求項11に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
  13. 前記ブロックが、硬化性基材非浸透標本を作製する際に作製した凍結ブロックである請求項11又は12に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
  14. 前記固定化ブロックを硬化性基材で包埋した硬化性基材ブロックを作製する工程が、溶融した硬化性基材中の固定化ブロックの位置を調整しながら硬化性基材を冷却することで硬化性基材ブロックを作製する請求項1113の何れか一項に記載の硬化性基材浸透標本の作製方法。
  15. 請求項1〜6の何れか一項に記載の標本作製用包埋剤で標本を包埋した、
    硬化性基材非浸透標本。
  16. 凍結切片作製用の包埋剤であって、該包埋剤は、
    凍結包埋剤、
    凍結切片の薄切性を改善するための魚由来のゼラチン、及び、凍結切片の薄切性を改善するためのカルボン酸化合物、
    を含む、包埋剤。
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