以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1〜図15においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「三角形形状」等の用語や角度の値等については、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差範囲を含めて解釈することとする。
図1〜図6は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち、図1は、照明付き鏡装置10を示す斜視図であり、図2は、照明付き鏡装置10を示す上面図である。図1及び図2に示すように、照明付き鏡装置10は、被写体5を写す面34を有した鏡30と、鏡30の板面と平行に延びる第1方向d1に沿って鏡30の側方となる位置に少なくとも位置する面光源装置40と、を有している。面光源装置40は、発光面40aを有し、発光面40aから面状に光を投射する。照明付き鏡装置10では、鏡30に写されるべき被写体5を面光源装置40で照明することができ、これにより、被写体5の鏡30への写り映えを改善することができる。とりわけ、以下に説明する実施の形態では、鏡30に正対する被写体5、すなわち鏡30の法線方向ndに沿って当該鏡30に対面する被写体5を面光源装置40で照明する照明付き鏡装置10を例に挙げる。このような照明付き鏡装置10は、例えば、化粧室用の鏡、試着室用の鏡、美容院や理容院の鏡、化粧品売り場の鏡等として好適に使用され得る。
図1及び図2に示すように、照明付き鏡装置10は、鏡30および面光源装置40を支持する支持要素20をさらに備えている。図1及び図2に示された例において、支持要素20は、鏡30の背面側に配置されたフレーム構造体21として構成されている。面光源装置40は、フレーム構造体21によって鏡30の周囲となる位置に配置され、鏡30との相対位置関係に関連した特異な配光特性で照明光Laを射出する。この配光特性に起因して、面光源装置40からの照明光Laによって被写体5を効果的に照明することができ、これにより、被写体5の像6を鏡30に写り映え良く写すことができる。
以下、図示された一実施の形態を例に挙げ、照明付き鏡装置10について更に詳細に説明する。
面光源装置40は、鏡30の板面と平行に延びる第1方向d1に沿って鏡30の側方となる位置に少なくとも位置している。図示された例において、鏡30は、平面鏡として構成されている。そして、第1方向d1は、鏡30の被写体5を写す面34、言い換えると、被写体像6が観察されるようになる側の面34に沿って延びている。
なお、本明細書において、鏡30や、後述する導光板50及び光学シート70等のようなシート状、フィルム状、板状またはパネル状の対象物に対して用いる「シート面」、「フィルム面」、「板面」または「パネル面」とは、当該対象物を全体的かつ大局的に見た場合において対象物によって画定される面のことを指す。また、本明細書において、鏡30や、後述する導光板50及び光学シート70等のようなシート状、フィルム状、板状またはパネル状の対象物に対して用いる法線方向とは、当該対象物のシート面、フィルム面、板面またはパネル面への法線方向のことを指す。
図示する例において、照明付き鏡装置10は、第1面光源装置41及び第2面光源装置42を有している。第1面光源装置41及び第2面光源装置42は、第1方向d1に沿って鏡30と並べられ、鏡30は、第1面光源装置41及び第2面光源装置42の間に位置している。とりわけ図1及び図2に示された例において、第1面光源装置41の発光面41a及び第2面光源装置42の発光面42aが、鏡30の被写体5を写す面34とともに第1方向d1と平行になるよう、第1面光源装置41、第2面光源装置42及び鏡30が配置されている。また、第1方向d1は水平方向に延びており、第1面光源装置41及び第2面光源装置42は、鏡30の両横に配置されている。
ただし、図1及び図2に実線で示した構成は、単なる例示であり、種々の変更が可能である。例えば、面光源装置40の鏡30に対する位置は、図1に実線で示された位置に限られない。また、一つの面光源装置40のみが、又は、三以上の面光源装置40が、照明付き鏡装置10に組み込まれてもよい。具体例として、図1に二点鎖線で示すように、第1方向d1と交差する第2方向d2に沿って鏡30の側方となる位置に、第1及び第2面光源装置41,42に代えて又は第1及び第2面光源装置41,42に加えて、第3及び第4面光源装置43,44の一以上が設けられても良い。面光源装置40の数や鏡30に対する相対位置を適切化することにより、被写体5をより明るく、より全体的に、より陰を生じさせることなく、照明することが可能となる。
また、面光源装置40が照明付き鏡装置10の支持要素20から取り外し可能であってもよい。この例において、取り外し可能な面光源装置40が、二以上の異なる位置に取り付け可能となっていてもよい。面光源装置40を取り外し可能とすることで、被写体5を照明する必要が無い場合に、照明付き鏡装置10から面光源装置40を取り外すことが可能となり、照明付き鏡装置10の利便性が向上し且つ省スペースの観点からも都合が良い。例えば、図1の第1面光源装置41及び第2面光源装置42の一以上が、フレーム構造体21から取り外されて、二点鎖線で示された第3面光源装置43又は第4面光源装置44の位置に取り付けられ得るようにしてもよい。面光源装置40の鏡30に対する相対位置を適切化することにより、被写体5をより明るく、より全体的に、より陰を生じさせることなく、照明することが可能となる。
さらに、面光源装置40が、照明付き鏡装置10の鏡30に対して相対移動可能、言い換えると、照明付き鏡装置10の鏡30に対して可動であってもよい。具体例として、図2に二点鎖線で示すように、第1面光源装置41及び第2面光源装置42の一以上が、鏡30に対して相対揺動可能となっていてもよい。面光源装置40の鏡30に対する相対位置を適切化することにより、被写体5をより明るく、より全体的に、より陰を生じさせることなく、照明することができる。
次に、面光源装置40の配光特性について説明する。図6には、第1面光源装置41の発光面41a上の輝度についての角度分布dc1および第2面光源装置42の発光面42a上の輝度についての角度分布dc2が示されている。図6のグラフに示された各輝度の角度分布dc1,dc2は、鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方向に平行な面において測定されたものである。図6のグラフにおいて、縦軸は、輝度を示しており、横軸は、輝度を測定した角度を示している。なお、角度の値は、鏡30の法線方向ndと平行な方向を0°とし、且つ、当該法線方向ndに対して時計回り方向に傾斜した場合の角度を正の値とし、当該法線方向ndに対して反時計回り方向に傾斜した場合の角度を負の値とした。
図2及び図6に示すように、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布においてピーク輝度を呈する方向は、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から鏡30の側へ傾斜している。言い換えると、輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度の値の大きさ、すなわち当該角度の値の絶対値は、0°より大きく且つ90°未満となる。
図1及び図2に示された照明付き鏡装置10では、第1の面光源装置41の発光面41a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布dc1においてピーク輝度を呈する方向dp1は、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における第1の面光源装置41の側から鏡30の側へ傾斜している。すなわち、第1の面光源装置41の発光面41a上の輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向dp1が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度θp1の値は、0°より大きく且つ90°未満となっている。また、第2の面光源装置42の発光面42a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布dc2においてピーク輝度を呈する方向dp2は、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における第2の面光源装置42の側から鏡30の側へ傾斜している。すなわち、第2の面光源装置42の発光面42a上の輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向dp2が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度θp2の値は、−90°より大きく且つ0°未満となっている。
このようにして輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向が鏡30の法線方向ndに対して調整されている照明付き鏡装置10によれば、面光源装置10からの照明光Laによって、被写体5を効率的に照明することができる。すなわち、面光源装置10で発光された光Laを高い利用効率で被写体5の照明に用いることができる。この結果、熱や紫外線の放出の点から好ましく無い程度にまで面光源装置10の照射強度を増強することを回避しながら、被写体5を十分な明るさで照明することができる。また、スポットライト等の点光源と異なり、面光源装置40は、被写体5の大きさ及び被写体5を写す鏡30の面34の大きさを考慮して、適切な大きさの発光面40aを有し得る。したがって、被写体5の鏡30に写し出される部分に明るさのムラが生じることを効果的に抑制しながら、被写体5の鏡30に写し出される部分を十分均一な明るさにて全体的に照明することができる。
なお、照明付き鏡装置10の鏡30が、化粧室用の鏡、試着室用の鏡、美容院や理容院の鏡、化粧品売り場の鏡等の用途にて、人間の顔を写すこと意図されている場合には、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布においてピーク輝度を呈する方向が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度の値の大きさ、すなわち当該角度の値の絶対値は、15°以上75°以下であることが好ましい。本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、このような設定によれば、被写体5たる人間の顔を極めて効果的に照明して、当該人間の顔の鏡30への写り映えを効果的に改善することができた。
また、図6に示すように、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布において、ピーク輝度を呈する方向を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さ、言い換えると半値幅角は、10°以上70°以下となっている。したがって、当該角度域は、おおよそ、ピーク輝度を中心とした±5°以上±35°以下の範囲となっている。図1及び図2に示された照明付き鏡装置10では、第1の面光源装置41の発光面41a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布dc1において、ピーク輝度を呈する方向dp1を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さθw1が10°以上70°以下となっており、且つ、第2の面光源装置42の発光面42a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布dc2において、ピーク輝度を呈する方向dp2を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さθw2が10°以上70°以下となっている。
このようにして輝度の角度分布においてピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さが設定されている照明付き鏡装置10、すなわち、輝度の角度分布における半値全幅が設定されている照明付き鏡装置10によれば、面光源装置10からの照明光Laによって、被写体5を効率的に照明することができる。すなわち、面光源装置10で発光された光Laを高い利用効率で被写体5の照明に用いることができる。この結果、熱や紫外線の放出の点から好ましく無い程度にまで面光源装置10の照射強度を増強することを回避しながら、被写体5を十分な明るさで照明することができる。また、スポットライト等の点光源と異なり、面光源装置40が、被写体5の大きさ及び被写体5を写す鏡30の面34の大きさを考慮して、適切な大きさの発光面40aを有し得る。そして、発光面40a内の各位置から適切な広さの角度域に広がる照明光Laを照射することができる。この結果、被写体5の各位置には、適度な広さを有した発光面40a上の各位置から射出する照明光Laがそれぞれ照射され得る。したがって、被写体5の鏡30に写し出される部分に陰が生じてしまうことを効果的に抑制し且つ明るさのムラが生じてしまうことを効果的に抑制しながら、被写体5の鏡30に写し出される部分を十分均一な明るさにて全体的に照明することができる。
なお、照明付き鏡装置10の鏡30が、化粧室用の鏡、試着室用の鏡、美容院や理容院の鏡、化粧品売り場の鏡等の用途にて、人間の顔を写すこと意図されている場合には、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布において、ピーク輝度を呈する方向を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さは20°以上60°以下となっていることが好ましい。本件発明者らが鋭意実験を重ねたところ、このような設定によれば、被写体5たる人間の顔を極めて効果的に照明して、当該人間の顔の鏡30への写り映えを効果的に改善することができた。
さらに、図6に示すように、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布においてピーク輝度を呈する方向を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域が、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から鏡30の側へ傾斜した範囲にある。言い換えると、輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向を含み且つピーク輝度の半分の輝度が得られる角度域内の各方向が、鏡30の法線方向ndに対して同一の側に傾斜している。
図1及び図2に示された照明付き鏡装置10では、第1の面光源装置41の発光面41a上の輝度の角度分布においてピーク輝度の半分の輝度が得られる方向dwx1,dwy1が、いずれも、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における第1の面光源装置41の側から鏡30の側へ傾斜している。そして、第1の面光源装置41の発光面41a上の輝度の角度分布においてピーク輝度の半分の輝度が得られる方向dwx1,dwy1が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度θwx1,θwy1の値が、0°より大きく且つ90°未満となっている。また、第2の面光源装置42の発光面42a上の輝度の角度分布においてピーク輝度の半分の輝度が得られる方向dwx2,dwy2が、いずれも、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における第2の面光源装置42の側から鏡30の側へ傾斜している。そして、第2の面光源装置42の発光面42a上の輝度の角度分布においてピーク輝度の半分の輝度が得られる方向dwx2,dwy2が、鏡30の法線方向ndに対してなす角度θwx2,θwy2の値が、−90°より大きく且つ0°未満となっている。
このようにして輝度の角度分布においてピーク輝度を呈する方向を含み且つピーク輝度の半分以上の輝度を確保し得る角度域の方向が鏡30の法線方向ndに対して調整されている照明付き鏡装置10によれば、より優れた利用効率にて面光源装置40からの照明光Laを利用して、被写体5をより明るく照明することができる。また、被写体5の鏡30に写し出される部分に陰が生じてしまうこと並びに明るさのムラが生じてしまうことの両方をより効果的に抑制しながら、被写体5の鏡30に写し出される部分をより均一な明るさにて全体的に照明することができる。
次に、以上に説明した配光特性を実現し得る面光源装置40の一具体例について詳述する。図3〜図5には、図6に示された配光特性を実現し得る面光源装置40の一具体例が示されている。なお、図1及び図2に示された第1面光源装置41及び第2面光源装置42は、第1方向d1に直交する面を中心として互いに対称的な構成を有する。したがって、ここでは、重複した説明を省略する観点から、図3〜図5に示された第2面光源装置42に対応する一例についてのみ説明する。
図3及び図4に示すように、面光源装置40は、エッジライト型の面光源装置として構成され、導光板50と、導光板50の側方に配置された光源45と、導光板50にそれぞれ対向して配置された光学シート(プリズムシート)70および反射シート49と、を有している。図示された例では、光学シート70が最も出光側に配置され、光学シート70の出光面71が発光面40aを形成している。
図示する例において、導光板50は、全体的に、一対の主面を有する四角形板状の部材として構成されており、一対の主面間に画成される側面は四つの面を含んでいる。同様に、光学シート70および反射シート49は、全体的に、四角形板状の部材として構成されている。
導光板50は、光学シート70側の主面によって構成された出光面51と、出光面51に対向するもう一方の主面からなる裏面52と、出光面51および裏面52の間を延びる側面と、を有している。側面のうちの第1方向d1に対向する二つの面のうちの一方の側面が、入光面53をなしている。図3及び図4に示すように、入光面53に対面して光源45が設けられている。入光面53から導光板50に入射した光は、導光方向となる第1方向d1に沿って入光面53に対向する反対面54に向け、概ね第1方向d1に沿って導光板50内を導光されるようになる。図3および図4に示すように、光学シート70は、導光板50の出光面51に対面するようにして配置され、反射シート49は、導光板50の裏面52に対面するようにして配置されている。
なお、面光源装置40は、第1方向d1に沿って鏡30と並べられている。そして、図4に示すように、第1方向d1に沿って延びるように配置された導光板50のうちの、反対面54が鏡30の側に配置され、入光面53が鏡30から離間する側に配置されている。したがって、発光源45は、第1方向d1に沿って導光板50の鏡30に対面する側とは反対の側に位置している。つまり、発光源45から射出された光は、導光板50内において、第1方向d1に沿って鏡30に接近する向きに進む。
光源は、例えば、線状の冷陰極管等の蛍光灯や、点状のLED(発光ダイオード)や白熱電球等の種々の態様で構成され得る。図示された例において、光源45は、入光面53の長手方向に沿って、並べて配置された多数の点状発光体、具体的には、多数の発光ダイオード(LED)46によって、構成されている。なお、発光ダイオードは、エネルギ効率において優れるだけでなく、次の点において他の光源、例えば有機エレクトロルミネッセンス光源と比較して、照明付き鏡装置10への適用において有利である。まず、種々の配光特性を有した発光ダイオード46を安価に入手することができる。したがって、導光板50及び光学シート70との組み合わせにおいて、所望の配光特性を有した面光源装置40を安価且つ容易に作製することができる。また、種々のスペクトル特性を有した発光ダイオード46を安価に入手することができる。したがって、照明付き鏡装置10の用途や使用場所に応じて発光ダイオード46の発光スペクトルを選択することにより、例えば優れた演色性を呈し得るように選択することにより、面光源装置40によって被写体5をより効果的に照明することができる。
反射シート49は、導光板50の裏面52から漏れ出した光を反射して、再び導光板50内に入射させるための部材である。反射シート49は、白色の散乱反射シート、金属等の高い反射率を有する材料からなるシート、高い反射率を有する材料からなる薄膜(例えば金属薄膜)を表面層として含んだシート等から、構成され得る。
光学シート70は、入光側から入射した光の進行方向を補正して出光側から出射させるためのシート状部材である。図3及び図4に示す例において、光学シート70は、シート状の本体部74と、そのシート面上の一方向(配列方向)、具体的には、上述した導光板50の入光面53と反対面54とを結ぶ第1方向d1に沿って並べて配列された複数の単位プリズム75を有している。単位プリズム75は、本体部74上に配列されており、本体部74から導光板50の側へ向けて突出している。単位プリズム75は、光学シート70のシート面上において、その配列方向に直交する方向に直線状に延びている。単位プリズム70は、その長手方向に直交する断面において、三角形形状の断面形状を有している。すなわち、単位プリズム75は、第1方向d1に沿って一方の側、より具体的には、鏡30から離間する側に位置する一側面76と、第1方向d1に沿って他側に位置する他側面77と、を有している。単位プリズム75は本体部74上に隙間無く配置列され、光学シート70の入光面72は、一側面76及び他側面77によって形成されている。一方、光学シート70の出光面71は、本体部74によって形成されている。
なお、光学シート70の寸法および形状は、後述する導光板50の寸法および形状を考慮しながら、適宜設定され得る。例えば、図6に示された配光特性を面光源装置40に付与する観点からは、一例として、光学シート70の寸法および形状を以下のように設定することができる。まず、単位プリズム70の幅Wc(図4参照)を10μm以上200μm以下とすることができる。また、光学シート70のシート面への法線方向に沿った本体部74からの単位プリズム75の突出高さHc(図4参照)を7μm以上150μm以下とすることができる。一方、本体部74の厚みは、0.01mm〜1mmとすることができる。次に、単位プリズム75の他側面77は、後述するように、導光板からの光を全反射させることにより当該光の進行方向を変化させることを意図されている。そして、他側面77の導光方向に対する他側面77の傾斜角度θc1(図4参照)は、15°以上45°以下に設定され得る。一方、単位プリズム75の一側面76は、後述するように、導光板からの光の入射面として機能すること以外、特に光学機能を期待されていない。したがって、他側面77での光の進行方向を補正する機能を害さない限り適宜設計することができるが、導光板の入射光角度に対して出来るだけ直交するような角度にすることが好ましい。
ところで、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」等の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。同様に、本明細書における「単位プリズム」、「単位要素」、「単位形状要素」、「単位光学要素」および「単位レンズ」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
次に、図3〜図5を主に参照して、導光板50についてさらに詳述する。図3および図4によく示されているように、導光板50は、板状に形成された基部60と、基部60の光学シート70側の面上に形成された複数の第1単位要素61と、基部60の反射シート49側の面上に形成された複数の第2単位要素66と、を有している。基部60は、一対の平行な主面を有する平板状の部材として構成されている。
第1単位要素61についてさらに詳述する。図3によく示されているように、複数の第1単位要素61は、第1方向d1と交差し且つ基部60のシート面と平行な配列方向に並べられて、基部60上に配列されている。各第1単位要素61は、基部60上を、その配列方向と交差する方向に線状に延びている。
とりわけ図示された例において、複数の第1単位要素61は、基部60上に、第1方向d1と直交する配列方向に隙間無く並べて配列されている。したがって、導光板50の出光面51は、第1単位要素61の表面によってなされる第1傾斜面62及び第2傾斜面63とから、構成されている。また、各第1単位要素61は、配列方向と直交する第1方向d1に沿って、直線状に延びている。さらに、各第1単位要素61は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。また、図示された例において、複数の第1単位要素61は、互いに同一に構成されている。
図5に示す断面、つまり、第1単位要素61の配列方向および基部60の法線方向(導光板50の法線方向や鏡30の法線方向に一致する方向)の両方向に平行な断面において、各第1単位要素61は、基部60上に一辺が位置する三角形形状、又は、この三角形形状の基部60から突出した頂角が面取りされてなる形状を有している。なお、図5に示された断面を、以下において、単に「導光板の主切断面」とも呼ぶ。図5に示す例において、各第1単位要素61の主切断面における断面形状は、基部60から突出する三角形の頂角を面取りした形状となっている。また、図5に示す例においては、第1単位要素61の配列方向に沿った面内での輝度の角度分布に対称性を付与することを目的として、導光板の主切断面における第1単位要素61の断面形状は、基部60の法線方向(導光板50の法線方向や鏡30の法線方向に一致する方向)を中心として、対称性を有している。したがって、主切断面における断面三角形形状の二つの底角θa1,θa2は互いに等しい角度となっている。
次に、第2単位要素66についてさらに詳述する。図3及び図4から理解され得るように、複数の第2単位要素66は、第1方向d1及び基部60のシート面と平行な配列方向に並べられて、基部60上に配列されている。各第2単位要素66は、基部60上を、その配列方向と交差する方向に線状に延びている。
とりわけ図示された例において、複数の第2単位要素66は、基部60上に、第1方向d1に隙間無く並べて配列されている。したがって、導光板50の裏面52は、第2単位要素62の表面をなす第1面67及び第2面68とから、形成されている。また、各第2単位要素66は、第1方向d1と直交する方向に沿って、直線状に延びている。さらに、各第2単位要素66は、柱状に形成され、その長手方向に沿って同一の断面形状を有するようになっている。また、図示された例において、複数の第2単位要素66は、互いに同一に構成されている。
第2単位要素66の配列方向および基部60の法線方向の両方向に平行な断面において、各第2単位要素66は、基部60上に一辺が位置する三角形形状として形成されている。第2単位要素66は、長辺として形成された第1面67と、短辺として形成された第2面68と、を有している。なお、第1面67は、導光板50内を進む光の進行方向を傾斜させるための反射面として機能し、当該光が出光面51を介して導光板50から出射することを促進する。一方、第2面68は、隣り合う二つの第1面67を接続する段差面であり、導光板50内を進む光に対する光学的機能を特に期待されていない。導光方向に対する第1面67の傾斜角度θb1(図5参照)は、比較的小さい値、例えば0.2°以上2°以下に設定され得る。一方、導光方向に対する第2面68の傾斜角度θb2は、比較的大きな値、典型的には90°に設定される。
以上のような構成を有した導光板50の寸法は、一例として、以下のように設定され得る。まず、第1単位要素61の具体例として、導光板50の板面に沿った幅Wa(図5参照)を5μm以上500μm以下とすることができ、導光板50の板面への法線方向に沿った第1単位要素61の基部60からの高さHa(図5参照)を1μm以上250μm以下とすることができる。また、第1単位要素61の断面形状が三角形形状または三角形形状の頂角を面取りしてなる形状からなる場合には、当該頂角の角度θa3(図5参照)を90°以上145°以下とすることができる。第1単位要素61の断面形状が三角形形状の頂角を面取りしてなる形状となっている場合、主切断面において、第1単位要素61の頂部は、曲率半径Raの値が第1単位要素61の幅Waの値以下となっている曲線として、形成されていることが好ましい。第2単位要素66の具体例として、導光板50の板面に沿った幅Wb(図4参照)を10μm以上500μm以下とすることができ、導光板50の板面への法線方向に沿った第2単位要素66の基部60からの高さHb(図4参照)を1μm以上50μm以下とすることができる。また、基部60の厚みは、0.1mm〜6mmとすることができる。
ここで例示した導光板50の寸法および形状によれば、導光板50の法線方向を0°として、導光板50の法線方向から導光方向、すなわち第1方向d1における入光面53の側に向けて傾斜した場合の角度が負の値となり、導光板50の法線方向から導光方向における反対面54の側に向けて傾斜した場合の角度が正の値となるように定義した場合、当該輝度の角度分布において、65°から80°の間に輝度が最大となるピーク角度を持ち、さらに例示した寸法の範囲を狭めることによって65°から75°の間に輝度が最大となるピーク角度を持つようにすることができる。
以上のような構成からなる導光板50は、樹脂の賦型シートを用いた押し出し成型により、あるいは、電離放射線樹脂からなる第1単位要素61及び第2単位要素66を基材上に賦型することにより、作製することができる。
次に、以上のような構成からなる面光源装置40の作用について説明する。
まず、図4に示すように、光源45をなす発光ダイオード46で発光された光は、入光面53を介し、導光板50に入射する。図4に示すように、導光板50へ入射した光の多くは、導光板50の出光面51および裏面52において、反射、とりわけ導光板50をなす材料と空気との屈折率差に起因して全反射を繰り返し、導光板50の入光面53と反対面54とを結ぶ導光方向、とりわけ図示された例では第1方向d1へ進んでいく。
ただし、図示された導光板50の裏面52は、第2単位要素66によって構成され、入光面53から反対面54に向かうにつれて、出光面51に対して接近するように傾斜した第1面67を有している。第1面67は第2面68を介して連結されているが、この第2面68は、一例として、導光板50の法線方向に延びている。したがって、導光板50内を入光面53の側から反対面54の側へと進む光のほとんどは、裏面52のうち、第2面68に入射することなく、第1面67にて反射するようになる。このため、図4に示すように、出光面51及び裏面52にて反射を繰り返しながら導光板50内を光が進む場合、当該光の出光面51及び裏面52への入射角度は、次第に小さくなっていき、全反射臨界角未満となる。この結果、導光板50内を進む光は、少しずつ、出光面51から出射するようになる。このような方法によれば、第2面68の分布を調節することにより、導光板50の出光面51から出射する光の導光方向に沿った光量分布、本例では第1方向d1に沿った光量分布を制御すること、例えば第1方向d1に沿った光量分布を均一化させることが可能となる。
ところで、図示する導光板50の出光面51は複数の第1単位要素61によって構成され、各第1単位要素61の主切断面における断面形状は、三角形形状または三角形形状の頂角を面取りしてなる形状となっている。すなわち、出光面51は、導光板50の板面に対して傾斜した傾斜面62,63として、構成されている(図5参照)。そして、この傾斜面62,63で全反射して導光板50内を進む光およびこの傾斜面62,63を通過して導光板50から出射する光は、この傾斜面62,63から、以下に説明する作用を及ぼされるようになる。まず、傾斜面62,63で全反射して導光板50内を進む光に対して及ぼされる作用について説明する。
図5には、出光面51及び裏面52において全反射を繰り返しながら導光板50内を進む光L51,L52の光路が、導光板の主切断面内に示されている。上述したように、導光板50の出光面51をなす傾斜面62,63は、三角形形状の頂角を面取りしてなる形状を断面形状として有している第1単位要素61の外表面によって形成され、基部60の法線方向を挟んで互いに逆側に傾斜した二種類の面を含んでいる。また、互いに逆側に傾斜した二種類の傾斜面62,63は、第1単位要素61の配列方向に沿って、交互に並べられている。そして、図5に示すように、導光板50内を出光面51に向けて進み出光面51に入射する光L51,L52は、多くの場合、二種類の傾斜面62,63のうちの、導光板の主切断面において基部60の法線方向を基準として当該光の進行方向とは逆側に傾斜した傾斜面へ入射する。
この結果、図5に示すように、導光板50内を進む光L51,L52は、出光面51の傾斜面62,63で全反射する多くの場合、第1単位要素61の配列方向に沿った成分を低減されるようになり、さらには、主切断面においてその進行方向は導光板の法線方向を中心として逆側に向くようにもなる。このようにして、導光板50の出光面51をなす傾斜面62,63によって、ある発光点で放射状に発光された光が、そのまま第1単位要素61の配列方向に拡がり続けることが規制される。すなわち、光源45の発光ダイオード46から第1方向に対して大きく傾斜した方向に発光され導光板50内に入射した光も、第1単位要素61の配列方向への移動を規制されながら、主として導光方向である第1方向d1へ進むようになる。これにより、導光板50の出光面51から出射する光の第1単位要素61の配列方向に沿った配光特性、例えば光量分布を、光源45の構成(例えば、発光ダイオード46の配列)や、発光ダイオード46の出力によって、調節するといったことが可能となる。
次に、出光面51を通過して導光板50から出射する光に対して及ぼされる作用について説明する。図5に示すように、出光面51を介し導光板50から出射する光L51,L52は、導光板50の出光面51をなす第1単位要素61の出光側面において屈折する。この屈折により、主切断面において導光板の法線方向から傾斜した方向に進む光L51,L52の進行方向(出射方向)は、主として、導光板50内を通過している際における光の進行方向と比較して、導光板50の法線方向に対してなす角度が小さくなるように、曲げられる。このような作用により、第1単位要素61は、導光方向と直交する方向に沿った光の成分について、透過光の進行方向を導光板50の法線方向側に絞り込むことができる。すなわち、第1単位要素61は、導光方向と直交する方向、すなわち第1単位要素61の配列方向に沿った光の成分に対して、集光作用を及ぼすようになる。このようにして、導光板50から出射する光の出射角度は、導光板50の第1単位要素61の配列方向と平行な面内において、導光板50の法線方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込まれる。
また、発光源45の発光ダイオード46から導光板50に入射する光には、導光板の法線方向からの観察において導光方向である第1方向d1に対して傾斜して進む光も多く含まれている。とりわけ、発光源45が線状の冷陰極管ではなく点状発光体である発光ダイオード46の集合として構成されている場合、光が発光ダイオード46から放射状に発光され、導光板50の平面視において導光方向である第1方向d1に対して大きく傾斜した方向に進む光が、多く存在するようになる。そして、導光板50の出光面51が導光板50の板面に対して傾斜した傾斜面62,63として形成されている場合には、出光面51が平坦面である場合と比較して、導光板50の法線方向からの観察において第1方向d1から傾斜した方向に進む光の出光面51への入射角度が小さくなりやすくなる。すなわち、出光面51が板面に対して傾斜した傾斜面62,63として形成されている場合、導光板50内を進む光が、全反射臨界角度未満の角度で出光面51へ入射しやすくなる。この結果、出光面51が板面に対して傾斜した傾斜面62,63として形成されている場合、導光板50内を進む光の出光面51からの取り出しが促進されるようになる。
以上のようにして、導光板50から出射する光の出射角度は、導光板50の第1単位要素61の配列方向と平行な面において、導光板50の法線方向を中心とした狭い角度範囲内に絞り込まれる。その一方で、導光板50から出射する光の出射角度は、それまで、導光板50内を主として第1方向d1に進んでいたことに起因して、第1方向d1と平行な面において、導光板50の法線方向から比較的大きく傾斜した比較的に大きな出射角度となる。具体的には、導光板50から出射する光の第1方向成分の出射角度、すなわち出射光の第1方向成分と導光板50の法線方向とがなす角度は、比較的大きな角度となる狭い角度範囲内に偏る、傾向がある。例えば、既に説明したように、上述の例示の形状および寸法からなる導光板では、導光板50の板面への法線方向に対して65°以上80°以下(さらには65°以上75°以下)の範囲にピーク輝度が発生するように設定することができる。
以上のようにして最終的に導光板50から出射した光は、図4に示すように、光学シート70へ入射する。上述したように、光学シート70は、導光板50側へ向けて頂角が突出する断面三角形状の単位プリズム75を有している。図4によく示されているように、単位プリズム75の長手方向は、導光板50による第1方向d1と交差する方向、とりわけ本実施の形態では導光方向と直交する方向と、平行になっている。また、導光板50をなす材料と空気との屈折率差に起因し、導光板50の出光面51から出射する光の第1方向成分の出射角度、すなわち出射光の第1方向成分と導光板50の板面への法線方向ndとがなす角度は、特定の角度範囲(例えば、65°〜85°)内に偏る、傾向がある。
これらのことから、図4に示すように、導光板50の出光面51から出射した光の多くが、光学シート70の単位プリズム75の一側面76を透過して当該単位プリズム75へ入射し、その後、当該単位プリズム75の他側面77で全反射するように、光学シート70を設計することができる。単位プリズム75の他側面77での全反射により、光学シート70の出光面71によって構成される面光源装置40の発光面40aからの出射する光の配光特性、より具体的には、面光源装置40の発光面40aでの輝度の角度分布を所望のプロファイルに調整することが可能となる。この結果、上述したように、面光源装置40からの照明光Laによって、鏡30に写すべき被写体5を効果的に照明することができる。
以上のように本実施の形態によれば、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての鏡30の法線方向nd及び第1方向d1の両方に平行となる面内での角度分布においてピーク輝度を呈する方向は、鏡30の法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から鏡30の側へ傾斜している。したがって、鏡30に写すべき被写体5を十分な明るさ十分均一に照明することができる。この結果、被写体5の鏡30への写り映えを効果的に改善することができる。
また、上述した実施の形態では、面光源装置40がエッジライト型として構成されている。したがって、面光源装置40の厚みを鏡30と調和がとれる程度の厚みにまで薄くすることができ、且つ、非常に強い指向性を有した配光特性を面光源装置40に付与することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、照明付き鏡装置10の用途として、化粧室用の鏡、試着室用の鏡、美容院や理容院の鏡、化粧品売り場の鏡等を例示した。ただし、照明付き鏡装置10の用途は、これらの用途に限られず、種々の場所に設置される姿見、浴室用の鏡等、種々の用途に適用され得る。また、照明付き鏡装置10は、壁等に掛けて使用される形態に限られず、図7及び図8に示すように、支持要素20がスタンド22を有し、例えば卓上で使用され得るようにしてもよいし、図9及び図10に示すように、携帯可能に構成されてもよい。
図7に示された照明付き鏡装置10の支持要素20は、フレーム構造体21と、フレーム構造体21を可動支持するスタンド22と、を有している。フレーム構造体21は、鏡30と、鏡30の第1方向d1に沿った両側方に位置する第1面光源装置41及び第2面光源装置42をと、を支持している。フレーム構造体21は、スタンド22に対して一軸または多軸回動可能に支持されていてもよいし、スタンド22に対して上下方向に摺動可能に支持されていてもよい。フレーム構造体21がスタンド22に対して回動可能であれば、鏡30に対する横、上、下のいずれにも面光源装置40を配置することが可能となり、状況に応じて被写体5を効果的に照明することが可能となる。
図8に示された照明付き鏡装置10の支持要素20は、フレーム構造体21と、フレーム構造体21に揺動可能に連結されたスタンド22と、を有している。フレーム構造体21をスタンド22に対して相対揺動させることにより、フレーム構造体21に支持された鏡30の向きを調整することができる。図8に示された例において、フレーム構造体21は、鏡30を取り囲む周状に形成されている。面光源装置40は、フレーム構造体21内に収容され、鏡30の側方に位置するようになっている。この例では、第1〜第4の面光源装置41〜44が、フレーム構造体21に支持されている。また、図8に示された照明付き鏡装置10では、鏡30は、その背面側に配置された補助鏡38とともに背合わせに保持され、補助鏡38とともに鏡ユニット37を構成している。鏡ユニット37は、フレーム構造体21に対して回動可能に支持されており、鏡ユニット37をフレーム構造体21に対して回動させることにより、鏡30または補助鏡38に被写体5を写すことが可能となる。一例として、鏡30を通常の平面鏡として構成し、補助鏡38を拡大鏡として構成することも可能である。
図9及び図10に示された照明付き鏡装置10の支持要素20は、支持板部24bと、底板部24cと、支持板部24b及び底板部24cの間に配置されて支持板部24b及び底板部24cのそれぞれに揺動可能に接続された背面板部24aと、を、有している。支持板部24bは、鏡30と、第1方向d1に沿って鏡30の側方に位置する第1面光源装置41及び第2面光源装置42と、を支持している。この照明付き鏡装置10では、背面板部24a、支持板部24b及び底板部24cを互いに揺動させることにより、図9に示された使用状態と、図10に示された携帯状態と、に照明付き鏡装置10を変形させることができる。
また、上述した実施の形態において、一つの鏡30の周囲に一以上の面光源装置40が配置されている例を示した。この例に限られず、一つの面光源装置40の周囲に二以上の鏡30が配置されていてもよい。図11に示された例では、第1方向d1に沿って、面光源装置40の両側方となる位置に、それぞれ、第1鏡31及び第2鏡32が配置されている。図11の照明付き鏡装置10では、一つの面光源装置40が、第1鏡31に写されるべき第1被写体5a及び第2鏡32に写されるべき第2被写体5bの両方を効果的に照明することができるようになっている。
図12には、図11に示された面光源装置40の発光面40a上の輝度についての角度分布dcが示されている。図12のグラフに示された輝度の角度分布dcは、第1方向d1に平行な面において測定されたものである。とりわけ、図11に示された照明付き鏡装置10では、第1鏡31の板面と第2鏡32の板面とが平行となるように第1鏡31及び第2鏡32が配置されており、図12のグラフに示された輝度の角度分布dcは、第1方向d1及び各鏡30の法線方向ndの両方向に平行な面において測定されたものである。図12のグラフにおいて、縦軸は、輝度を示しており、横軸は、輝度を測定した角度を示している。なお、角度の値は、鏡31,32の法線方向ndと平行な方向を0°とし、且つ、当該法線方向ndに対して時計回り方向に傾斜した場合の角度を正の値とし、当該法線方向ndに対して反時計回り方向に傾斜した場合の角度を負の値としている。
図12に示すように、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1と平行となる面内での角度分布dcに、第1のピーク輝度と第2のピーク輝度とが現れている。とりわけ図12に示された例では、第1のピーク輝度と第2のピーク輝度とが同一の輝度値となっている。
第1のピーク輝度を呈する方向dpaは、第1鏡31への法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から第1の鏡31の側へ傾斜しており、当該方向dpaが、第1鏡31の法線方向ndに対してなす角度θpaの値は、−90°より大きく且つ0°未満となっている。また、第2のピーク輝度を呈する方向dpbは、第2鏡32への法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から第2鏡32の側へ傾斜しており、当該方向dpbが、第2鏡32の法線方向ndに対してなす角度θpbの値は、0°より大きく且つ90°未満となっている。このような面光源装置40の配光特性によれば、一つの面光源装置40からの光によって、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分に明るさのムラが生じることを効果的に抑制しながら、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分を十分均一な明るさにて全体的に照明することができる。
また、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1に平行となる面内での角度分布dcにおいて、第1ピーク輝度を呈する方向dpaを含み且つ第1ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さθwaは10°以上の70°以下となっており、第2ピーク輝度を呈する方向dpbを含み且つ第2ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の広さθwbは10°以上の70°以下となっている。このような面光源装置40の配光特性によれば、一つの面光源装置40からの光によって、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分に陰及び明るさのムラが生じてしまうことを効果的に抑制しながら、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分を十分均一な明るさにて全体的に照明することができる。
さらに、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1に平行となる面内での角度分布dcにおいて、第1ピーク輝度を呈する方向dpaを含み且つ第1ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域が、第1方向d1における面光源装置40の側から第1鏡31の側へ傾斜した範囲にある。とりわけ、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1に平行となる面内での角度分布dcにおいて、第1ピーク輝度を呈する方向dpaを含み且つ第1ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の最外方となる方向dwxa,dwyaが、いずれも、第1鏡31の法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から第1鏡31の側へ傾斜している。同様に、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1に平行となる面内での角度分布dcにおいて、第2ピーク輝度を呈する方向dpbを含み且つ第2ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域が、第1方向d1における面光源装置40の側から第2鏡32の側へ傾斜した範囲にある。とりわけ、面光源装置40の発光面40a上の輝度についての第1方向d1に平行となる面内での角度分布dcにおいて、第2ピーク輝度を呈する方向dpbを含み且つ第2ピーク輝度の半分以上の輝度が得られる角度域の最外方となる方向dwxb,dwybが、いずれも、第2鏡32の法線方向ndに対して、第1方向d1における面光源装置40の側から第2鏡32の側へ傾斜している。このような面光源装置40の配光特性によれば、一つの面光源装置40からの光によって、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分に陰が生じてしまうこと並びに明るさのムラが生じてしまうことの両方をより効果的に抑制しながら、第1被写体5a及び第2被写体5bの鏡30に写し出される部分をより均一な明るさにて全体的に照明することができる。
なお、図12に示された配光特性は、一例として、図13に示された面光源装置40によって実現することができる。図13に示された面光源装置40は、導光板50の反対面54が第2の入光面を形成すること、第2の入光面をなす導光板50の反対面54に対面して第2の発光源47が設けられていること、導光板50の第2単位要素66の断面形状が異なっていること、並びに、光学シート70の単位プリズム75の断面形状が異なっていることを除き、図3〜図5に示された面光源装置と同様に構成され得る。第2の発光源47は、配置位置が異なることを除き、発光源45と同様に構成され得る。導光板50の第2単位要素66において、第2面68は、導光板50の法線方向を中心として、第1面67と対称的な面として構成され得る。この場合、導光板50の第1面67は、発光源45からの光の進行方向を変更し、当該光が出光面51を介して導光板50から出射することを促進する。一方、導光板50の第2面68は、第2発光源47からの光の進行方向を変更し、当該光が出光面51を介して導光板50から出射することを促進する。また、光学シート70の単位プリズム75において、一側面76は、導光板50の法線方向を中心として、他側面77と対称的な面として構成され得る。この場合、光学シート70の一側面76は、主として、発光源45からの光の光学シート70への入射面として機能するとともに、第2発光源47からの光を全反射して当該光の進行方向を偏向させる面として機能する。一方、光学シート70の他側面77は、主として、第2発光源47からの光の光学シート70への入射面として機能するとともに、発光源45からの光を全反射して当該光の進行方向を偏向させる面として機能する。
さらに、上述した実施の形態において、鏡30の面34と面光源装置40の発光面40aとが同一面上に配置されている例を示したがこれに限られない。例えば、図15に示すように、面光源装置40の表面の一部分上に鏡30が配置されていてもよい。図15に示された例において、面光源装置40の鏡30が配置されている面のうちの、当該鏡30によって覆われていない部分が、発光面40aを形成している。とりわけ図15に示された例において、第1方向d1に沿った鏡30の両側方となる位置に、それぞれ、発光面40aが位置している。発光面40aからの照明光Laの配光特性が上述したように設計されることにより、鏡30の両側方に位置する発光面40aの各々からの照明光Laによって、被写体を効果的に照明することが可能となる。
さらに、上述した実施の形態で説明した図3〜図5に示された面光源装置40の構成を変更することが可能である。
例えば、上述した実施の形態において、導光板50の裏面52が、第2単位要素66の第1面67及び第2面68によって形成され、導光板50内を進む光が第1面67で反射することによって、出光面51を介した導光板50からの光の取り出しが促進されるようにしたが、この例に限られない。まず、上述した実施の形態では、導光板50から光を取り出すための構成として、裏面52が傾斜した第1面67を含む構成としたが、導光板50から光を取り出すための構成はこの例に限られない。
例えば、図14に示すように、導光板50の基部60が、樹脂からなる主部60aと、主部60a中に分散された拡散成分60bと、を有している。ここでいう拡散成分60bとは、基部60内を進む光に対し、反射や屈折等によって、当該光の進路方向を変化させる作用を及ぼし得る成分のことである。このような拡散成分60bの光拡散機能(光散乱機能)は、例えば、主部60aをなす材料とは異なる屈折率を有した材料から拡散成分60bを構成することにより、あるいは、光に対して反射作用を及ぼし得る材料から拡散成分60bを構成することにより、付与され得る。主部60aをなす材料とは異なる屈折率を有する拡散成分60bとして、金属化合物、気体を含有した多孔質物質、さらには、単なる気泡が例示される。
図14に示された導光板50においては、導光板50内を進む光は、拡散成分60bによって進行方向を不規則に変更され、全反射臨界角未満の入射角度で出光面51に入射することもある。この場合、当該光は、導光板50の出光面51から、出射し得るようになる。導光板50内を進行する光と、導光板50内に分散された拡散成分60bと、の衝突は、導光板50内の導光方向に沿った各区域において、生じる。このため、導光板50内を進んでいる光は、少しずつ、出光面51から出射するようになる。したがって、導光板50内における拡散成分60bの分散を調節することにより、導光板50の出光面51から出射する光の導光方向に沿った光量分布、本例では第1方向d1に沿った光量分布を制御すること、例えば第1方向d1に沿った光量分布を均一化させることが可能となる。
なお、図14に示す例においては、導光板50の裏面52が平坦面として形成されているが、これに限られず、導光板50が第2単位要素66を有し、裏面52が傾斜した第1面67を含むようにしてもよい。
さらに、上述した実施の形態の例や図14に示す例に限られず、導光板50に入射した光を導光板50から出射させるための別の構成を、既述の構成と代えて又は既述の構成に加えて、採用することができる。裏面52に傾斜した第1面67を設ける構成および基部60に拡散成分60bを分散させる構成以外の、光取り出し構成としては、例えば、出光面51および裏面52の少なくとも一方を粗面とする構成や、裏面52上に白色散乱層のパターンを設ける構成等が、挙げられる。また、上述した実施の形態において、導光板50の裏面52が傾斜した第1面67と法線方向に延びる第2面68とを有するようにした例を示したが、これに限られず、第2面68を省き、導光板50の裏面52が一つの連続した平坦な傾斜面や一つの連続した曲面として構成されていてもよい。
また、上述した実施の形態において、発光源45が、導光板50の入光面51に沿って並べて配置された複数の点状光源、具体例として発光ダイオード46から構成される例を示したが、これに限られず、エッジライト型の面光源装置に用いられ得る種々の光源、例えば、導光板50の入光面51と平行に延びるように配置された冷陰極管から、光源45が構成されてもよい。
さらに、上述した実施の形態において、導光板50の第1単位要素61の断面形状が、三角形形状となっている例を示したが、これに限られない。第1単位要素61の断面形状が、三角形形状以外の形状、例えば台形等の四角形、五角形、或は六角形等の種々の多角形形状となるようにしてもよい。また、単位形状要素55の断面形状が、円または楕円形状の一部分に相当する形状を有するようにしてもよい。またそもそも、第1単位要素61を導光板50から省略してもよい。
さらに、上述した実施の形態において、導光板50の出光側に配置される光学シート70の一例を説明したが、上述した光学シート70は単なる例示に過ぎない。上述した光学シート70に代えて、種々の形態の光学シートを用いることができる。例えば、出光側に単位プリズムが突出した光学シートを用いることができる。また、単位プリズム75の断面形状が三角形形状以外の形状、例えば、三角形以外の多角形や楕円の一部分に相当する形状等となっている光学シートを用いることもできる。また、導光板50の構成を適切に設計することにより、導光板50の出光面51からの出射する光の配光特性を調節することができれば、光学シート70を面光源装置40から省くことも可能である。
さらに、上述した面光源装置40の構成は、単なる例示に過ぎず、種々の変更が可能である。例えば、透過光を拡散させる機能を有した光拡散シート等を面光源装置40に組み込んでも良い。また、面光源装置40が、エッジライト型である必要はなく、直下型の面光源装置として構成されていてもよい。なお、直下型の面光源装置である場合には、指向性を得るためにプリズム面が光源に対して反対側になるように配置されたプリズムシートを1枚あるいはプリズムの稜線を直交させるような配置で2枚積層することで指向性を得ることが出来る。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。