JP6213173B2 - チタン酸化物膜の製造方法及びチタン酸化物膜 - Google Patents

チタン酸化物膜の製造方法及びチタン酸化物膜 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子、光学素子、太陽電池、防汚材など多くの用途で用いられるチタン酸化物膜の製造方法及びチタン酸化物膜に関する。
チタン酸化物膜は、組成や結晶構造などの違いに基づき、多様な比誘電率や電気抵抗率などの電気的性質や、光透過率や屈折率などの光学的性質を示す。このためチタン酸化物膜は半導体素子や光学素子などとして多くのデバイスに用いられ、今後もその産業上の有用性は更に高まるものと期待されている。チタン酸化物膜を製造する手法としては、大別すると乾式法と湿式法の二つが挙げられる。
乾式法には、スパッタリング法、イオンプレーティング、蒸着法、CVD法などがある。特許文献1には、炭素数1〜3の無置換のアルキルオキシ基を有するジアザシラシクロペンテン誘導体、その合成方法及びそれを材料として用いるCVD法によるケイ素酸化物薄膜の製造法が開示されている。特許文献2には炭素数1〜16のフッ素原子で置換されていても良いアルキルオキシ基を有するジアザチタナシクロペンテン骨格を有するチタン錯体、その製造方法及びそれを材料として用いるCVD法によるチタン酸化物薄膜の製造方法が開示されている。しかし、これらの乾式法は、膜の物性を制御しやすいが、一般的に大型の真空装置を必要とする。
湿式法には、ゾル−ゲル法、有機金属塗布分解法(Metal Organic Deposition; MOD法)などがある。湿式法は、大型の真空装置を必要としないが、一般的に膜の物性を制御し難く、均一な膜を成膜することが難しい。
例えば、ゾル−ゲル法には、再現性が悪い点、作製したチタン酸化物薄膜の表面粗さが大きい点などの短所に加え、高い成膜温度を要するという短所がある。
特許文献3には、チタン原子を有する架橋型酸素原子によって架橋されているチタン化合物の溶液及びその溶液より作製された酸化物膜について記載されている。このチタン化合物はゾル状であるが、一般にゾルは粒径が同一ではなく、粒度分布を有する。したがって、これから作製する膜も物性を制御することは難しい。
従来のMOD法では、チタン酸化物膜作製用材料とし低分子のアルコキソ錯体などが用いられているが、低分子から成膜した場合、分子間の反応、縮合、凝集状態を均一に制御することは難しい。すなわち、チタン酸化物薄膜の結晶状態、結晶粒子径を制御することは難しく、均一な膜を成膜することが難しい。
低分子より大きく、ゾルより粒子径が小さい粒子を含む溶液として、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3及び非特許文献4にはチタン原子を有する架橋型酸素原子によって架橋されているチタン酸化物クラスター化合物の溶液が記載されている。クラスター化合物は、多くの金属原子と酸素原子の結合が完全に制御されており、結晶粒子径の制御された膜が形成できる可能性はある。しかしながら、これらのクラスター化合物を、その構造を維持したまま成膜する方法については記載されていない。
特許文献4にチタン酸化物クラスターが記載されている。しかしながら、250〜400℃に保持し熱処理するチタン酸化物膜の製造方法及び微細な凹凸を有するチタン酸化物膜については記載されていない。
以上のように、高価な真空装置を必要としない湿式法で、微細な凹凸を有するチタン酸化物膜を形成できず、工業的に満足できる水準に達していない。
特開2010−265257号公報 特開2010−30986号公報 特許第4633628号 特開2013−067609号
Jornal of the American Chemical Society、第115巻、8469ページ(1993年) New Jornal of chemistry、第23巻、1079ページ(1999年) Sol−Gel Commercialization and Applications: Proceedings of the Symposium at the 102nd Annual Meeting of The American Ceramic Society、 held May 1−2、 2000、 in St. Louis、 Missouri、 Ceramic Transactions、 Volume 123、49ページ(2001年)
Jornal of the American Chemical Society、第121巻、12104ページ(1999年)
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高価な真空装置を必要としない湿式法において、微細な凹凸を有するチタン酸化物膜の製造方法及びチタン酸化物膜を提供することにある。
本発明者らは、湿式法について鋭意検討した結果、チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、特定の温度に保持し熱処理することで、微細な凹凸を有するチタン酸化物膜を製造できるというという新規な事実を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下に示すとおりのチタン酸化物膜の製造方法及びチタン酸化物膜である。
[1]チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、250〜400℃に保持し熱処理することを特徴とするチタン酸化物膜の製造方法。
[2]保持時間が、1分〜10時間である上記[1]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[3]有機溶媒が、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびエステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[1]又は[2]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[4]有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、セルソルブ類から成る群より選ばれる少なくとも1種である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[5]チタン酸化物クラスター化合物が、チタン原子を2個以上有し、かつ、該チタン原子が架橋酸素原子によって架橋されている化合物である上記[1]〜[4]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[6]チタン酸化物クラスター化合物が、一般式(1)で表される化合物である上記[1]〜[5]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
Ti(ORz1(ORz2(ORz3 (1)
(式中、x,yは2以上の整数、z1,z2,およびz3は、0以上の整数であり、R,RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基を表す。ただし、R,RおよびRは、ヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよい)
[7]一般式(1)で、xが11又は12である上記[6]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[8]一般式(1)で、xが11、yが13、z1が18、z2およびz3が0、Rがイソプロピル基である上記[6]又は[7]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[9]チタン酸化物クラスター化合物が、アルコールと反応させた置換チタン酸化物クラスターである上記[1]〜[8]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[10]アルコールが、フェノール誘導体及び/又は脂肪族アルコールである上記[9]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[11]フェノール誘導体が、一般式(2)で表される化合物である上記[10]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
Figure 0006213173
(2)
(式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
[12]脂肪族アルコールが、一般式(3)で表される多価アルコール及び/又はエーテルアルコール化合物である上記[10]に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
Figure 0006213173
(3)
(式中、RおよびR11は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10は水素、水酸基、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。ただし、R、R10およびR11はヘテロ原子を含む官能基を有していても良い)
[13]アルコールの量が、チタン酸化物クラスター化合物1当量に対し、0.1〜4.0当量である上記[9]〜[12]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[14]チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、窒素及び/又はアルゴン中で熱処理することを特徴とする上記[1]〜[13]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[15]チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、ガラス及び/又は樹脂基板に塗布し、塗布した基板を250〜400℃に保持し熱処理することを特徴とする上記[1]〜[14]のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
[16]10nm以下の微結晶からなる微細な凹凸を有するチタン酸化物膜。
[17]上記[1]〜[15]のいずれかの製造方法により得られた上記[16]に記載のチタン酸化物膜。
本発明のチタン酸化物膜の製造方法は、高価な真空装置を必要としない湿式成膜法において、微細な凹凸を有するチタン酸化物膜を形成できるため、工業的に極めて有用である。
実施例2で得られたチタン酸化物のAFMの図である。 比較例2で得られたチタン酸化物のAFMの図である。 実施例2及び比較例2で得られたチタン酸化膜の吸光度スペクトルを示す図である。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の製造方法において、チタン酸化物クラスター化合物とは、チタン酸化物クラスター化合物が、チタン原子を2個以上有し、かつ、該チタン原子が架橋酸素原子によって架橋されている化合物をいい、その中でも一般式(1)で表される化合物が好ましい。
Ti(ORz1(ORz2(ORz3 (1)
(式中、x,yは2以上の整数、z1,z2,およびz3は、0以上の整数であり、R,RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基を表す。ただし、R,RおよびRは、ヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよい)
一般式(1)のxは2以上の整数であり、好ましくは11又は12であり、yは2以上の整数であり、好ましくは13である。z1,z2,およびz3は、0以上の整数であり、好ましくはz1が18、z2及びz3が0である。
,RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基を表し、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、1−ブチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、6−メチルヘキシル基、1,3,5−メチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−ブチルヘプチル基、1,3,5−メチルヘプチル基、オクチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルオクチル基、4−メチルオクチル基、1,3,5−メチルオクチル基、ノニル基、1−メチルノニル基、1−エチルノニル基、4−メチルノニル基、1,3,5−メチルノニル基、デシル基、1−メチルデシル基、1−エチルデシル基、4−メチルデシル基、1,3,5−メチルデシル基、ドデシル基、1−メチルドデシル基、1−エチルドデシル基、4−メチルドデシル基、1,3,5−メチルドデシル基、アダマンチル基、トリデシル基、1−メチルトリデシル基、1−エチルトリデシル基、4−メチルトリデシル基、1,3,5−メチルトリデシル基、ブタデシル基、1−メチルブタデシル基、1−エチルブタデシル基、4−メチルブタデシル基、1,3,5−メチルブタデシル基、ヘキサデシル基、1−メチルヘキサデシル基、1−エチルヘキサデシル基、4−メチルヘキサデシル基、1,3,5−メチルヘキサデシル基、ペンタデシル基、1−メチルペンタデシル基、1−エチルペンタデシル基、4−メチルペンタデシル基、1,3,5−メチルペンタデシル基、ヘプタデシル基、1−メチルヘプタデシル基、1−エチルヘプタデシル基、4−メチルヘプタデシル基、1,3,5−メチルヘプタデシル基、ステアリル基、1−メチルステアリル基、1−エチルステアリル基、4−メチルステアリル基、1,3,5−メチルステアリル基、ウンステアリル基、1−メチルウンステアリル基、1−エチルウンステアリル基、4−メチルウンステアリル基、1,3,5−メチルウンステアリル基、ドステアリル基、1−メチルドステアリル基、1−エチルドステアリル基、4−メチルドステアリル基、1,3,5−メチルドステアリル基等が挙げられ、アリール基としては、例えばフェニル基、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,6−メチルフェニル基、2,3,4,5,6−メチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2,6−メチル,4−プロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、2−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、2−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2,6−メチル,4−ヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4−メチルシクロヘキシル)フェニル基、2−オクチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、4−(1,1−ジエチル−2−メチルプロピル)フェニル基、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル基、4−(1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル)フェニル基、2−デシルフェニル基、2−デシル,4−エチルフェニル基、4−デシルフェニル基、2−エチル,5−デシルフェニル基、4−(1,1−ジメチルオクチル)フェニル基、4−(1,1−ジメチルデシル)フェニル基、2−ドデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、2−ヘキシル,4−ドデシルフェニル基、3,4,5−ドデシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−トリデシルフェニル基、4−トリデシルフェニル基、3,4,5−トリデシルフェニル基、2−ブタデシルフェニル基、4−ブタデシルフェニル基、3,4,5−ブタデシルフェニル基、2−ペンタデシルフェニル基、4−ペンタデシルフェニル基、3,4,5−ペンタデシルフェニル基、2−ヘキサデシルフェニル基、4−ヘキサデシルフェニル基、3,4,5−ヘキサデシルフェニル基、2−ヘプタデシルフェニル基、4−ヘプタデシルフェニル基、3,4,5−ヘプタデシルフェニル基、2−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、4−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、3,4,5−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェニル基、2−ステアリルフェニル基、4−ステアリルフェニル基、3,4,5−ステアリルフェニル基、2−ウンステアリルフェニル基、4−ウンステアリルフェニル基、3,4,5−ウンステアリルフェニル基、2−ドステアリルフェニル基、4−ドステアリルフェニル基、3,4,5−ドステアリルフェニル基等が挙げられる。また、R,RおよびRは、ヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよく、該ヘテロ原子を含む官能基としては、例えばメトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチルオキシエチル基、ヘキシルオキシエチル基、オクチルオキシエチル基、デシルオキシエチル基、ブタデシルオキシエチル基、ドデシルオキシエチル基、ペンタデシルオキシエチル基、ヘキサデシルオキシエチル基、ステアリルオキシエチル基、ウンステアリルオキシエチル基、ドステアリルオキシエチル基、1−ヘキシルオキシ−2−プロピル基、1−オクチルオキシ−2−プロピル基、1−デシルオキシ−2−プロピル基、1−ブタデシルオキシ−2−プロピル基、1−ドデシルオキシ−2−プロピル基、1−ペンタデシルオキシ−2−プロピル基、1−ヘキサデシルオキシ−2−プロピル基、1−ステアリル−2−プロピル基、1−ウンステアリル−2−プロピル基、1−ドステアリル−2−プロピル基、モノメチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノエチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノプロピルエーテルジエチレングリコキシ基、モノブチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノペンチルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノオクチルジエチレングリコキシ基、モノデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノブタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノペンタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノウンステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドステアリルエーテルジエチレングリコキシ基等が挙げられる。これらの中でもR,RおよびRとしては、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が好ましく、アリール基としては、2−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、2−オクチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、2−デシルフェニル基、4−デシルフェニル基、2−エチル,5−デシルフェニル基、2−ドデシルフェニル基、4−ドデシルフェニル基、4−アダマンチルフェニル基、2−トリデシルフェニル基、4−トリデシルフェニル基、2−ブタデシルフェニル基、4−ブタデシルフェニル基、2−ペンタデシルフェニル基、4−ペンタデシルフェニル基、2−ヘキサデシルフェニル基、4−ヘキサデシルフェニル基、2−ヘプタデシルフェニル基、4−ヘプタデシルフェニル基、2−ステアリルフェニル基、4−ステアリルフェニル基、2−ウンステアリルフェニル基、4−ウンステアリルフェニル基、2−ドステアリルフェニル基、4−ドステアリルフェニル基、3,4,5−ドステアリルフェニル基等が好ましく、ヘテロ原子を含む官能基としては、モノヘキシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノオクチルジエチレングリコキシ基、モノデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノブタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノペンタデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノヘキサデシルエーテルジエチレングリコキシ基、モノウンステアリルエーテルジエチレングリコキシ基、モノドステアリルエーテルジエチレングリコキシ基等が好ましい。
本発明の製造方法において、使用できるチタン酸化物クラスター化合物の大きさには特に制限はなく、特性(例えば、高屈折率、高防汚性など)及び溶解性の観点から、0.5nm〜5nmが好ましく、1nm〜3nmが特に好ましい。好ましい大きさのチタン酸化物クラスター化合物は、一般式(1)において、xが11又は12である。xが11又は12のチタン酸化物クラスター化合物の大きさは約2nmである。また、xが11又は12のチタン酸化物クラスター化合物としては、Rがイソプロピル基のものが、合成も容易であるので、工業的に使用するには最も好ましい。
一般式(1)で表されるチタン酸化物クラスター化合物としては、例えば、TiO(OPr)10、TiO(OMe)(OPr)、TiO(OH)(OPr)、Ti(OPr)、TiO(OPr)(dmheot)、Ti(OEt)(OCOCH、Ti(OPr)(OCOCH、Ti(OBu)(OCOCH、Ti(OPr)12(OCOCH、Ti(OEt)20、Ti(OCH20、Ti(OPr)(OMc)、Ti10(OEt)24、Ti1113(OPr)18、Ti1113(OPr)13(OEt)、Ti1419(OH)(OBu)13(OCOCH、Ti1616(OEt)32、Ti1724(OPr)20、Ti1828(H)(OBu)17、Ti1828(OBu)16BuOH)、Ti1825(OBu)12(OCOCH10、Ti1822(OBu)26(Oacac)、Ti2840(OBu)20(OCOCH12等の化合物が挙げられ、その中でも特性(例えば、高屈折率、高防汚性など)が高いチタン酸化物膜を作製することができる点で、Ti(OEt)20、Ti10(OEt)24、Ti1113(OPr)18、Ti1113(OPr)13(OEt)、Ti1419(OH)(OBu)13(OCOCH、Ti1616(OEt)32、Ti1724(OPr)20、Ti1828(H)(OBu)17、Ti1828(OBu)16BuOH)、Ti1825(OBu)12(OCOCH10が好ましい。ここで、(dmheto)は2,6−ジメチルヘプタ−3−エン−2,4,6−トリス(オラト)配位子、(OMc)はメタクリラト配位子、(aaa)はオクト−7−エン−2,4−ジオナト配位子(CHCOCHCOCHCHCHCH)、(acac)はアセチルアセトナト配位子の略である。
本発明の製造方法において、使用できるチタン酸化物クラスター化合物の合成法に特に制限はない。例えば、Ti1113(OPr)18の製造方法について説明する。一般式(4)で示されるビニレンジアミド錯体を酸素ガス、空気、オゾン、及び過酸化水素からなる群から選ばれる一種類以上の酸化剤と反応させる方法がある。この方法は、WO2013035672に記載の製法に従って、Ti1113(OPr)18を合成することができる。
Figure 0006213173
(4)
(式中、R12及びR15は各々独立に炭素数3〜12のアルキル基を表す。R13及びR14は各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。R16は、フッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
一般式(2)で示されるビニレンジミアド錯体におけるR12及びR15は各々独立に炭素数3〜12のアルキル基を表し、具体的な炭素数3〜12のアルキル基としては、例えばプロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、1,1−ジエチル−プロピル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、オクチル基、1,1−ジエチル−2−メチルプロピル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル基、1,1−ジエチル−3,3−ジメチルブチル基、アダマンチル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジエチルオクチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基等が挙げられ、R13及びR14は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、具体的な炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基等が挙げられ、R16は、フッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基を表し、具体的なフッ素原子で置換されていても良い炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、1,1−ジエチル−プロピル基、2−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、1,1−ジエチル−2−メチルプロピル基、2,5−ジメチルシクロヘキシル基、3,5−ジメチルシクロヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル基、1,1−ジエチル−3,3−ジメチルブチル基、アダマンチル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,1−ジプロピルブチル基、1,1−ジメチルデシル基、1,1−ジエチルオクチル基、1−ブチル−1−プロピルペンチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、1,1−ジフルオロプロピル基、2,2−ジフルオロプロピル基、3,3−ジフルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、ぺルフルオロプロピル基、1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロイソブチル基、ペルフルオロ−sec−ブチル基、ペルフルオロ−tert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロイソペンチル基、ペルフルオロネオペンチル基、ペルフルオロ−tert−ペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロシクロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基、ペルフルオロオクチル基、ペルフルオロノニル基、ペルフルオロデシル基、ペルフルオロウンデシル基、ペルフルオロドデシル基等が挙げられる。
具体的な一般式(4)で示されるビニレンジミアド錯体としては、例えば(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジメトキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OMe))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジメトキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OMe))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジメトキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OMe))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジメトキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OMe))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジエトキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OEt))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジエトキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OEt))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジエトキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OEt))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジエトキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OEt))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジプロポキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OPr))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジプロポキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OPr))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジプロポキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OPr))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジプロポキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OPr))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジイソプロポキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OPr))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジイソプロポキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OPr))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジイソプロポキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OPr))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジイソプロポキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OPr))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−sec−ブトキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OBu))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−sec−ブトキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OBu))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−sec−ブトキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OBu))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−sec−ブトキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OBu))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ブトキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OBu))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ブトキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OBu))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ブトキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OBu))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ブトキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OBu))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ペンチルオキシチタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OPe))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ペンチルオキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OPe))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)チタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OCHCF)、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)チタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OCHCF)、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)チタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OCHCF)、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(2,2,2−トリフルオロエチルオキシ)チタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OCHCF)、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OCH(CF)Me))、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OCH(CF)Me))、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OCH(CF)Me))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1−トリフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OCH(CF)Me))、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OCH(CF)、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OCH(CF)、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OCH(CF)、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−イルオキシ)チタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OCH(CF)、(N,N’−ジイソプロピル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(4,4,4−トリフルオロブチルオキシ)チタン(Ti(PrNCH=CHNPr)(OCHCHCHCF)、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(4,4,4−トリフルオロブチルオキシ)チタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OCHCHCHCF)、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビス(4,4,4−トリフルオロブチルオキシ)チタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OCHCHCHCF)、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ビスビス(4,4,4−トリフルオロブチルオキシ)チタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OCHCHCHCF)、(N,N’−ジ−tert−ペンチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ペンチルオキシチタン(Ti(PeNCH=CHNPe)(OPe))、(N,N’−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジ−tert−ペンチルオキシチタン(Ti(OctNCH=CHNOct)(OPe))等が挙げられ、好ましくはTi(
PrNCH=CHNPr)(OMe)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OMe)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OMe)、Ti(PrNCH=CHNPr)(OEt)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OEt)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OEt)、Ti(PrNCH=CHNPr)(OPr)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OPr)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OPr)、Ti(PrNCH=CHNPr)(OPr)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OPr)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OPr)、Ti(PrNCH=CHNPr)(OBu)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OBu)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OBu)、Ti(PrNCH=CHNPr)(OBu)、Ti(BuNCH=CHNBu)(OBu)、Ti(PeNCH=CHNPe)(OBu)等が挙げられる。
また、ビニレンジアミド錯体以外を原料とする方法として、一般式(5)
Ti(OR17 (5)
(式中、R17は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)で表されるチタンテトラアルコキシド錯体を、水あるいはジアセトンアルコールと反応させる方法も知られている。
一般式(5)におけるR17は炭素数1〜12のアルキル基を表す。
具体的な一般式(5)で表されるチタンテトラアルコキシド錯体としては、例えばテトライソプロポキソチタン(Ti(OPr))、テトラメトキソチタン(Ti(OMe))、テトラエトキソチタン(Ti(OEt))、テトラノルマルプロピポキソチタン(Ti(OPr))、テトラノルマルブトキソチタン(Ti(OBu))、テトライソブトキソチタン(Ti(OBu))、テトラセカンダリーブトキソチタン(Ti(OsecBu))、テトラターシャリーブトキソチタン(Ti(OBu))等が挙げられ、その中でもテトライソプロポキソチタン(Ti(OPr))、テトラエトキソチタン(Ti(OEt))、テトラノルマルプロピポキソチタン(Ti(OPr))等が好ましく、特にテトライソプロポキソチタン(Ti(OPr))が好ましい。
一般式(5)で表されるチタンテトラアルコキシド錯体の製造方法は、例えば、文献 Jornal of the American Chemical Society、第115巻、8469ページ(1993年)、あるいはNew Jornal of chemistry、第23巻、1079ページ(1999年)などに記載されている。他に、Ti(OEt)20、Ti10(OEt)24、あるいはTi1113(OPr)13(OEt)の製造方法は、文献 Jornal of the American Chemical Society、第113巻、8190ページ(1991年)に、Ti1419(OH)(OBu)13(OCOCH、あるいはTi1825(OBu)12(OCOCH10の製造方法は、文献 Jornal of the American Chemical Society、第132巻、13669ページ(2010年)に、Ti1616(OEt)32の製造方法は、文献Jornal of the American Chemical Society Dalton Transactions、第8巻、1999ページ(1991年)に、Ti1724(OPr)20の製造方法は、文献 Sol−Gel Commercialization and Applications: Proceedings of the Symposium at the 102nd Annual Meeting of The American Ceramic Society、 held May 1−2、 2000、 in St. Louis、 Missouri、 Ceramic Transactions、 Volume 123、49ページ(2001年)に、Ti1828(H)(OBu)17、あるいはTi1828(OBu)16BuOH)の製造方法は、文献Jornal of the American Chemical Society Dalton Transactions、第5巻、691ページ(1996年)に記載の製法に従って合成することができる。
本発明の製造方法において、チタン酸化物クラスター化合物を有機溶媒に溶解し、チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を得る。チタン酸化物クラスター化合物を有機溶媒に溶解する前、あるいは有機溶媒に溶解する際、一般式(1)のOR、ORの一部分を、アルコールと反応させた置換チタン酸化物クラスターであることが好ましい。アルコールにより置換することで、チタン酸化物クラスター化合物の極性を変え、基板への親和性、配向状態、熱特性をコントロールすることができる。アルコール置換方法に特に制限はなく、またアルコールの種類にも特に制限はなく、フェノール誘導体及び/又は脂肪族アルコールが好ましい。フェノール誘導体としては、一般式(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0006213173
(2)
(式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
一般式(2)で表されるフェノール誘導体におけるR、R、R、RおよびRは、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表し、具体的な炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、オクチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルオクチル基、1,1−ジメチルオクチル基、ノニル基、1−メチルノニル基、1−エチルノニル基、1,1−ジメチルノニル基、デシル基、1−メチルデシル基、1−エチルデシル基、1,1−ジメチルデシル基、1−メチル,1−エチルデシル基、1,1−ジエチルデシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルウンデシル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1−メチル,1−エチルウンデシル基、1,1−ジエチルウンデシル基、ドデシル基、1−メチルドデシル基、1,1−ジメチルドデシル基、1−メチル,1−エチルドデシル基、11,11−ジメチルドデシル基、1,1−ジエチルドデシル基、11,11−ジエチルドデシル基、ステアリル基、1−メチルステアリル基、1,1−ジメチルステアリル基、17,17−ジメチルステアリル基、ウンステアリル基、ドステアリル基等が挙げられる。
一般式(2)で表されるフェノール誘導体を例示すると、フェノール、2−メチルフェノール、4−メチルフェノール、4−エチルフェノール、2,6−メチルフェノール、2,3,4,5,6−メチルフェノール、2−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2,6−メチル,4−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、4−sec−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−ペンチルフェノール、4−ペンチルフェノール、2−ヘキシルフェノール、4−ヘキシルフェノール、2,6−メチル,4−ヘキシルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−(4−メチルシクロヘキシル)フェノール、2−オクチルフェノール、4−オクチルフェノール、4−(1,1−ジエチル−2−メチルプロピル)フェノール、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、4−(1,1,2,3,3−ペンタメチルブチル)フェノール、2−デシルフェノール、2−デシル,4−エチルフェノール、4−デシルフェノール、2−エチル,5−デシルフェノール、4−(1,1−ジメチルオクチル)フェノール、4−(1,1−ジメチルデシル)フェノール、2−ドデシルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−ヘキシル,4−ドデシルフェノール、3,4,5−ドデシルフェノール、4−アダマンチルフェノール、2−トリデシルフェノール、4−トリデシルフェノール、3,4,5−トリデシルフェノール、2−ブタデシルフェノール、4−ブタデシルフェノール、3,4,5−ブタデシルフェノール、2−ペンタデシルフェノール、4−ペンタデシルフェノール、3,4,5−ペンタデシルフェノール、2−ヘキサデシルフェノール、4−ヘキサデシルフェノール、3,4,5−ヘキサデシルフェノール、2−ヘプタデシルフェノール、4−ヘプタデシルフェノール、3,4,5−ヘプタデシルフェノール、2−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェノール、4−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェノール、3,4,5−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェノール、2−ステアリルフェノール、4−ステアリルフェノール、3,4,5−ステアリルフェノール、2−ウンステアリルフェノール、4−ウンステアリルフェノール、3,4,5−ウンステアリルフェノール、2−ドステアリルフェノール、4−ドステアリルフェノール、3,4,5−ドステアリルフェノールなどを例示することができる。その中でも特性(例えば、高屈折率、高防汚性など)が高いチタン酸化物膜を作製する点で、2−ヘキシルフェノール、4−ヘキシルフェノール、2−オクチルフェノール、4−オクチルフェノール、2−デシルフェノール、4−デシルフェノール、2−エチル,5−デシルフェノール、2−ドデシルフェノール、4−ドデシルフェノール、2−トリデシルフェノール、4−トリデシルフェノール、2−ブタデシルフェノール、4−ブタデシルフェノール、2−ペンタデシルフェノール、4−ペンタデシルフェノール、2−ヘキサデシルフェノール、4−ヘキサデシルフェノール、2−ヘプタデシルフェノール、4−ヘプタデシルフェノール、4−(4−ドデシルシクロヘキシル)フェノール、2−ステアリルフェノール、4−ステアリルフェノール、2−ウンステアリルフェノール、4−ウンステアリルフェノール、2−ドステアリルフェノール、4−ドステアリルフェノールが好ましい。これらのフェノール誘導体は、チタン酸化物クラスターとの反応が、選択的に速く進む。
脂肪族アルコールにも特に制限はなく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノールなどのモノアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテルアルコール、一般式(3)で表される多価アルコール、エーテルアルコール化合物等が挙げられ、特に、一般式(3)で表される多価アルコール、エーテルアルコール化合物が好ましい。
Figure 0006213173
(3)
(式中、RおよびR11は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10は水素、水酸基、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。ただし、R、R10およびR11はヘテロ原子を含む官能基を有していても良い)
一般式(3)で表される多価アルコール、エーテルアルコール化合物におけるRおよびR11は、水素または炭素数1〜20のアルキル基を表し、R10は水素、水酸基、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R、R10、R11における炭素数1〜20のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、オクチル基、1−メチルオクチル基、1−エチルオクチル基、1,1−ジメチルオクチル基、ノニル基、1−メチルノニル基、1−エチルノニル基、1,1−ジメチルノニル基、デシル基、1−メチルデシル基、1−エチルデシル基、1,1−ジメチルデシル基、1−メチル,1−エチルデシル基、1,1−ジエチルデシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、1−エチルウンデシル基、1,1−ジメチルウンデシル基、1−メチル,1−エチルウンデシル基、1,1−ジエチルウンデシル基、ドデシル基、1−メチルドデシル基、1,1−ジメチルドデシル基、1−メチル,1−エチルドデシル基、11,11−ジメチルドデシル基、1,1−ジエチルドデシル基、11,11−ジエチルドデシル基、ステアリル基、1−メチルステアリル基、1,1−ジメチルステアリル基、17,17−ジメチルステアリル基、ウンステアリル基、ドステアリル基等が挙げられる。またR、RおよびRにおけるヘテロ原子を含む官能基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、tert−ペントキシ基、ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基、1,1,2−トリメチルプロピルオキシ基、1,2,2−トリメチルプロピルオキシ基、1−エチル−1−メチルプロピルオキシ基、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、1−メチルヘプチルオキシ基、1−エチルヘプチルオキシ基、1,1−ジメチルヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、1−メチルオクチルオキシ基、1−エチルオクチルオキシ基、1,1−ジメチルオクチルオキシ基、ノニルオキシ基、1−メチルノニルオキシ基、1−エチルノニルオキシ基、1,1−ジメチルノニルオキシ基、デシルオキシ基、1−メチルデシルオキシ基、1−エチルデシルオキシ基、1,1−ジメチルデシルオキシ基、1−メチル,1−エチルデシルオキシ基、1,1−ジエチルデシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、1−メチルウンデシルオキシ基、1−エチルウンデシルオキシ基、1,1−ジメチルウンデシルオキシ基、1−メチル,1−エチルウンデシルオキシ基、1,1−ジエチルウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、1−メチルドデシルオキシ基、1,1−ジメチルドデシルオキシ基、1−メチル,1−エチルドデシルオキシ基、11,11−ジメチルドデシルオキシ基、1,1−ジエチルドデシルオキシ基、11,11−ジエチルドデシルオキシ基、ステアリルオキシ基、1−メチルステアリルオキシ基、1,1−ジメチルステアリルオキシ基、17,17−ジメチルステアリルオキシ基、ウンステアリルオキシ基、ドステアリルオキシ基等が挙げられる。
一般式(3)で表される多価アルコール、エーテルアルコール化合物を例示すると、メトキシエタノール、エトキシエタノール、ブトキシエタノール、ペンチルエタノール、ヘキシルエタノール、オクチルエタノール、デシルエタノール、ブタデシルエタノール、ドデシルエタノール、ペンタデシルエタノール、ヘキサデシルエタノール、ステアリルエタノール、ウンステアリルエタノール、ドステアリルエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−ペントキシ−2−プロパノール、1−ヘキシルオキシ−2−プロパノール、1−オクチルオキシ−2−プロパノール、1−デシルオキシ−2−プロパノール、1−ブタデシルオキシ−2−プロパノール、1−ドデシルオキシ−2−プロパノール、1−ペンタデシルオキシ−2−プロパノール、1−ヘキサデシルオキシ−2−プロパノール、1−ステアリル−2−プロパノール、1−ウンステアリル−2−プロパノール、1−ドステアリル−2−プロパノール、バチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノブタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノペンタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ジエチレングリコールモノウンステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノドステアリルエーテル、グリセロールなどの多価アルコール、エーテルアルコールなどを例示することができる。その中でも特性(例えば、高屈折率、高防汚性など)が高いチタン酸化物膜を作製する点で、デシルエタノール、ブタデシルエタノール、ドデシルエタノール、ペンタデシルエタノール、ヘキサデシルエタノール、ステアリルエタノール、ウンステアリルエタノール、ドステアリルエタノール、1−デシルオキシ−2−プロパノール、1−ブタデシルオキシ−2−プロパノール、1−ドデシルオキシ−2−プロパノール、1−ペンタデシルオキシ−2−プロパノール、1−ヘキサデシルオキシ−2−プロパノール、1−ステアリル−2−プロパノール、1−ウンステアリル−2−プロパノール、1−ドステアリル−2−プロパノール、ジエチレングリコールモノデシルエーテル、ジエチレングリコールモノブタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノドデシルエーテル、ジエチレングリコールモノペンタデシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ジエチレングリコールモノステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ジエチレングリコールモノウンステアリルエーテル、ジエチレングリコールモノドステアリルエーテルが好ましい。一般式(3)で表される多価アルコール、エーテルアルコール化合物は、チタン酸化物クラスターとの反応が、選択的に速く進む。
本発明の製造方法において、チタン酸化物クラスター化合物に、反応させるアルコールの量は、アルコールの置換効果の観点から、チタン酸化物クラスター化合物1当量に対し、0.1〜4.0当量が好ましく、特に好ましくは0.5〜2.0当量である。反応雰囲気は特に制限はなく、反応を阻害することのないヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、窒素ガスなどの不活性ガスを用いるのが好ましい。
溶媒を用いる場合、該溶媒としては、チタン酸化物クラスターが反応しない溶媒であれば特に制限がない。反応溶媒の例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの炭化水素溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、シクロペンチルエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル溶媒などを例示することができ、これらを単独で用いても良く、二種類以上を任意の比率で混合して用いても良い。チタン酸化物クラスター化合物にアルコールを反応させる方法に特に制限はなく、反応させるアルコール全量を一度に添加しても、あるいは、滴下しても良い。滴下をする場合、滴下時間に特に制限はない。溶媒の使用量には特に制限はなく、反応効率が良い点でチタン酸化物クラスター100mgに対し、溶媒50ml以下用いるのが好ましく、溶媒20ml以下用いるのが更に好ましい。反応温度は特に限定はなく、−80℃〜200℃が好ましく、−20℃〜120℃が更に好ましい。反応時間は特に限定はなく、10分〜120時間の範囲が好ましく、1時間〜48時間の範囲が更に好ましい。また、アルコールと反応させた後、そのまま熱処理しチタン酸化物膜を作製してもよく、反応の際に生じたアルコールや未反応のアルコールを除くため、必要に応じて濃縮、結晶化、抽出などの一般的な精製方法を用いることによって精製することも出来る。
本発明の製造方法において、使用する有機溶媒に特に制限はなく、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびエステル類を使用することができる。炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられ、アルコール類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノールなどのセルソルブ類、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,3−ノナンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、2,7−ジメチル−3,6−オクタンジオール、2,2−ジブチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1−ヒドロキシメチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1−ヒドロキシメチル−2−(3−ヒドロキシプロピル)ベンゼン、1−ヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチル)ベンゼン、1,2−ベンジルジメチロール、1,3−ベンジルジメチロール、1,2−シクロヘキサンジオール,1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどのジオール類、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオールなどのトリオール類、1,3,5,7−シクロオクタンテトラオールなどのテトラオール類などが挙げられ、ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルジイソプロピルケトン、tert−ブチルメチルケトン、アセチルアセトン、ジアセチルなどが挙げられ、エステル類としてはギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピルなどのギ酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピルなどの酢酸エステル、γ−ブチロラクトンなどの環状エステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良いし、二種類以上を混合して使用しても一向に差支えない。チタン酸化物クラスター化合物の濃度には、特に制限はなく、得られる膜の厚みや膜厚の均一性の観点から、0.1重量%〜33重量%が好ましく、1重量%〜20重量%が特に好ましい。チタン酸化物クラスター化合物を有機溶媒に溶かした後、必要に応じて加熱やろ過などの前処理をしてもよい。電気伝導度などの電気特性や屈折率などの光学特性が良好な膜を作製できる点で、溶液をろ過して不溶物を取り除いた後で、後述する基板の表面に塗布するのが好ましい。
本発明の製造方法において、チタン酸化物膜は、チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、250〜400℃、好ましくは250〜400℃、特に好ましくは300〜350℃に保持し熱処理することにより得られる。250℃未満の温度では、チタン酸化物膜中の有機物残存量が許容できないほど多く、400℃を超える温度に加熱すると、チタンと酸素の結合の一部分が切断、再結合し、クラスターの結晶構造が一部崩壊する。熱処理する際の雰囲気に特に制限はなく、窒素及び/又はアルゴン中で加熱することが好ましい。酸素、水、炭酸ガスなどが存在する状態で熱処理した場合、チタンと酸素の結合の一部分が切断、再結合し、クラスターの結晶構造が一部崩壊する。
保持する時間は1分〜10時間が好ましく、特に好ましくは10分〜3時間で、30分〜1時間が殊更好ましい。
熱処理時間には特に限定はなく、必要十分な熱処理を施すことができる点で1分〜5時間の範囲内が好ましく、1分〜30分の範囲内がさらに効率的で好ましい。
本発明のチタン酸化物膜の製造方法では、チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、ガラス及び/又は樹脂基板表面に塗布し、該基板を熱処理することもできる。また、熱処理の際には、紫外線照射処理を行うこともできる。
基板表面に塗布する方法としては、湿式法による薄膜作製プロセスにおいて一般的な方法を用いることができる。具体的には、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、フローコーティング法、ロールコーティング法、カーテンコーティング法、バーコーティング法、超音波コーティング法、スクリーン印刷法、刷毛塗り、スポンジ塗りなどを例示することができる。コストメリットが高く、電気伝導度などの電気特性や屈折率などの光学特性が良好な膜を作製することができる点で、スピンコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、及びバーコーティング法が好ましい。
紫外線照射処理をする場合、その雰囲気には特に限定はなく、例えば空気、酸素ガス、窒素ガス、水素ガス、アルゴン、ネオン、ヘリウムなどのガスを雰囲気として用いることができる。これらのガスを雰囲気として用いずに、真空中で紫外線照射処理することもできる。紫外線の照射波長には特に限定はなく、200nm〜400nmが好ましい。紫外線の照度は特に限定はなく、100mJ/cm以上が好ましい。
本発明のチタン酸化物膜の製造方法によって、一層膜だけでなく二層膜以上の多層膜の作製も可能である。多層膜を作製するには、一層ずつ塗布して熱処理する方法を繰り返す順次積層方法、及び塗布を繰り返して多層を形成した後、一度に熱処理する積層方法とも可能である。
本発明の製造方法で製造したチタン酸化物膜は、表面が10nm以下の微結晶から成る微細な凹凸を有するチタン酸化物膜である。
本発明の製造方法で形成したチタン酸化物膜は、高屈折率、低反射率、高透過率など優れた光特性を有し、ディスプレイ、タッチパネル材料として有用である。また、ナノスケールの微結晶を含む膜を形成できるため、量子ドット材料にも適用できる。さらには、指紋が付着しにくく、また除去しやすい防指紋材としても有用である。
また、本発明の製造方法で形成したチタン酸化物膜は、一般的なチタン酸化物膜よりも、バンドギャップが広がっており、そのため、光触媒能が小さく、樹脂基板や他材料へ与えるダメージが小さい。さらには、絶縁性も優れており、太陽電池材料、半導体材料、ディスプレイ材料として有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、全ての反応操作はアルゴンガス雰囲気下で実施した。また、溶媒や反応試薬は、モレキュラーシーブスなどの乾燥剤を通し、水分濃度20ppm以下に乾燥した後、使用した。
なお、参考例−1および参考例−2は、WO2013035672または非特許文献3に記載の製造方法に準じて合成した。
また、以下に述べる熱処理条件について説明する。熱処理条件1とは、室温から120℃まで10℃/minで昇温した後、120℃で30min保持する工程を表す。熱処理条件2とは、120℃から300℃まで100℃/minで昇温し、300℃で30min保持する工程を表す。熱処理条件3とは、120℃から350℃まで100℃/minで昇温し、350℃で30min保持する工程を表す。
参考例−1
アルゴン雰囲気下で、(N,N’−ジ−tert−ブチル−1,2−ビニレンジアミド−κN,N’)ジイソプロポキシチタン(Ti(BuNCH=CHNBu)(OPr))10.7g(32.1mmol)、トルエン14ml及び磁気撹拌子を50mlシュレンク管に入れ、ビニレンジアミド錯体のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液に、酸素とアルゴンの混合ガス(酸素20体積%)を、テフロン(登録商標)チューブを通じて、流量100ml/minで撹拌しながら通気させた。3時間後、通気を止めて該トルエン溶液温度を室温まで冷ました。該トルエン溶液を減圧除去した後、残渣にアセトニトリル40mlを加え、不溶解物をろ過によって分取した。該不溶解物を減圧乾燥することにより、チタン酸化物クラスターであるTi1113(OPr)18を主成分とする白色固体3.49gを得た。
参考例−2
アルゴン雰囲気下で、チタンテトライソプロポキシド(Ti(OPr))4.22g(14.8mmol)、トルエン20ml及び磁気撹拌子を50mlシュレンク管に入れ、チタンテトライソプロポキシドのトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液に、ジアセトンアルコール1.72g(14.8mmol)を室温で撹拌中に添加した。24時間後、反応溶液をろ過し、不溶解物の白色沈殿を分取した。該白色沈殿にアセトニトリル6mlを加え、不溶解物の白色沈殿を分取した。該不溶解物を減圧乾燥することにより、チタン酸化物クラスターであるTi1113(OPr)18を主成分とする白色固体0.76gを得た。
実施例−1
参考例−1により、合成された白色固体0.20gをトルエン4.02gに溶かし、5wt%のTi1113(OPr)18のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液をシリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−01を得た。成膜用材料溶液Ti−01をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件2の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−01を得た。
実施例−2
参考例−1により、合成された白色固体0.32gにエチレングリコールモノメチルエーテル1.84gを添加し、室温で15時間撹拌(アルコールによるチタン酸化物クラスターの置換)した後、反応溶液を減圧(室温、内圧10Pa、5時間)した。得られた残渣(赤色固体)0.26gにエチレングリコールモノメチルエーテル2.18gを溶かし、シリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−02を得た。
成膜用材料溶液Ti−02をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数200rpmで15秒処理した後、回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件3の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−02を得た。
実施例−3
参考例−1により、合成された白色固体0.20g(0.11mmol)をトルエン3.00gに溶かした。また別に、p−ヘキシルフェノール0.020g(0.11mmol)をトルエン3.10gに溶かした溶液を調製した。Ti1113(OPr)18のトルエン溶液を室温雰囲気で撹拌しながら、p−ヘキシルフェノールのトルエン溶液を60minかけて滴下した。滴下後24時間撹拌(アルコールによるチタン酸化物クラスターの置換)し、得られた溶液を減圧乾燥することにより、Ti(OH)z1(OPr)z2(OC13z3で示される黄色固体0.15gを得た。
該黄色固体0.15gをトルエン2.85gに溶かし、5wt%のTi(OH)z1(OPr)z2(OC13z3のトルエン溶液を調製した。
該トルエン溶液をシリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−03を得た。成膜用材料溶液Ti−03をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件2の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−03を得た。
実施例−4
参考例−1により、合成された白色固体0.20g(0.11mmol)をトルエン3.00gに溶かした。また別に、ジエチレングリコールモノブチルエーテル0.018g(0.11mmol)をトルエン3.0gに溶かした溶液を調製した。Ti1113(OPr)18のトルエン溶液を室温雰囲気で撹拌しながら、ジエチレングリコールモノブチルエーテルのトルエン溶液を60minかけて滴下した。滴下後24時間撹拌(アルコールによるチタン酸化物クラスターの置換)し、得られた溶液を減圧乾燥することにより、Ti(OH)z1(OPr)z2(OCOCOCz3で示される白色固体0.21gを得た。
該白色固体0.21gをトルエン4.00gに溶かし、5wt%のTi(OH)z1(OPr)z2(OCOCOCz3のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液をシリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−04を得た。成膜用材料溶液Ti−04をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件2の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−04を得た。
比較例−1
チタンテトライソプロポキシドTi(OPr)0.15gをトルエン2.85gに溶かし、5wt%のTi(OPr)のトルエン溶液を調製した。該トルエン溶液をシリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−05を得た。
成膜用材料溶液Ti−05を実施例−1と同様の方法で、ガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件2の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−05を得た。
比較例−2
チタンテトライソプロポキシドTi(OPr)3.64gにトルエン16.4gを加えた溶液に、エチレングリコールモノメチルエーテル4.05gを添加し、室温で15時間撹拌した後、反応溶液を減圧(室温、内圧10Pa、5時間)し、黄色固体4.26gが得られた。この黄色固体0.99gにエチレングリコールモノメチルエーテル5.52gを溶かし、シリンジフィルター(Millipore社製SLLGM25NS孔径0.20μm)を通して不溶物をろ別することにより、成膜用材料溶液Ti−06を得た。
成膜用材料溶液Ti−06をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数200rpmで15秒処理した後、回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、熱処理条件3の工程で熱処理を施し、チタン酸化物膜Ti−06を得た。
比較例3
成膜用材料溶液Ti−04をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数200rpmで15秒処理した後、回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、120℃から180℃まで100℃/minで昇温し、180℃で30min保持し、チタン酸化物膜Ti−07を得た。
比較例4
成膜用材料溶液Ti−04をガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)にスピンコート(回転数200rpmで15秒処理した後、回転数2000rpmで30秒処理する条件)によって塗布した。その後、該ガラス基板を赤外線ゴールドイメージ炉(アルバック理工製、QHC、VHC−P610)に設置し、窒素ガスを0.1kg/cmの流量で通気しながら、熱処理条件1の工程で熱処理を施した後、120℃から450℃まで100℃/minで昇温し、450℃で30min保持し、チタン酸化物膜Ti−08を得た。
評価例−1
チタン酸化物膜Ti−02およびチタン酸化物膜Ti−06の膜表面の凹凸状態をAFMで観察した。チタン酸化物膜Ti−02表面の凹凸状態を図1に、チタン酸化物膜Ti−06表面の凹凸状態を図2に示す。チタン酸化物クラスターを成膜したチタン酸化物膜Ti−02の表面は10nm以下の微結晶から成る微細な凹凸が確認された。これは、チタン酸化物膜Ti−06と比べ、ナノサイズの粒径のチタン酸化物を有する薄膜が形成されていることを示唆する。
評価例−2
チタン酸化物膜Ti−02およびチタン酸化物膜Ti−06の吸光度を測定した。その結果を図3に示す。チタン酸化物クラスターを成膜したチタン酸化物膜Ti−02の方が、チタンテトライソプロポキシドを成膜したチタン酸化物膜Ti−06に比べ、最大吸光度が低波長側にシフトしている。
評価例−3
チタン酸化物膜Ti−01、チタン酸化物膜Ti−03、チタン酸化物膜Ti−04、チタン酸化物膜Ti−05、ガラス基板(コーニング製、コーニングガラス1737)に指紋付着性を評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006213173
表1の評価基準について説明する。◎とは、指紋の付着がない状態を示す。○とは、指紋の付着が少量である状態を示す。○+とは、指紋の付着が少量であるが、箇所によっては、指紋の付着がない状態を示す。○−とは、指紋の付着が少量であるが、箇所によっては、指紋の付着がある状態を示す。×とは、指紋の付着が多い状態を示す。△とは、指紋の付着が○と×の状態の中間の量である状態を示す。
本発明は、高価な真空装置を必要としない湿式成膜法において、チタン酸化物クラスター化合物を均一に有機溶媒に分散させた液を用いることにより、結晶粒子径を完全に制御した膜を形成できるというという新規な事実を見出し、本発明を完成させるに至った。従って、工業的価値は顕著である。

Claims (15)

  1. アルコールと反応させた置換チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、250〜400℃に保持し熱処理するチタン酸化物膜の製造方法。
  2. 保持時間が、1分〜10時間である請求項1に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  3. 有機溶媒が、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、ケトン類およびエステル類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  4. 有機溶媒が、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、セルソルブ類から成る群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  5. チタン酸化物クラスター化合物が、チタン原子を2個以上有し、かつ、該チタン原子が架橋酸素原子によって架橋されている化合物である請求項1〜4のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  6. チタン酸化物クラスター化合物が、一般式(1)で表される化合物である請求項1〜5のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
    Ti(ORz1(ORz2(ORz3 (1)
    (式中、x,yは2以上の整数、z1,z2,およびz3は、0以上の整数であり、R,RおよびRはそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基を表す。ただし、R,RおよびRは、ヘテロ原子を含む官能基を含有していてもよい)
  7. 一般式(1)で、xが11又は12である請求項6に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  8. 一般式(1)で、xが11、yが13、z1が18、z2およびz3が0、Rがイソプロピル基である請求項6又は7に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  9. アルコールが、フェノール誘導体及び/又は脂肪族アルコールである請求項1〜8のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  10. フェノール誘導体が、一般式(2)で表される化合物である請求項に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
    Figure 0006213173
    (2)
    (式中、R、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
  11. 脂肪族アルコールが、一般式(3)で表される多価アルコール及び/又はエーテルアルコール化合物である請求項に記載のチタン酸化物膜の製造方法。
    Figure 0006213173
    (3)
    (式中、RおよびR11は、各々独立に水素または炭素数1〜20のアルキル基を表す。R10は水素、水酸基、または炭素数1〜20のアルキル基を表す。ただし、R、R10およびR11はヘテロ原子を含む官能基を有していても良い)
  12. アルコールの量が、チタン酸化物クラスター化合物1当量に対し、0.1〜4.0当量である請求項1〜11のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  13. アルコールと反応させた置換チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、窒素及び/又はアルゴン中で熱処理することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  14. アルコールと反応させた置換チタン酸化物クラスター化合物及び有機溶媒から成る液を、ガラス及び/又は樹脂基板に塗布し、塗布した基板を250〜400℃に保持し熱処理することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のチタン酸化物膜の製造方法。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の製造方法により得られる10nm以下の微結晶からなる微細な凹凸を有するチタン酸化物膜。
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