JP6211825B2 - 回転電機の固定子 - Google Patents
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Description
本発明が解決しようとする課題は、運転中の電位差をも考慮しつつ、異相間の絶縁性を確保することができる回転電機の固定子を提供することである。
(第1実施形態)
以下、第1実施形態ついて図1および図2を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態による回転電機の固定子1は、固定子鉄心2と、その固定子鉄心2に設けられた三相分のコイル3、コイル4およびコイル5とを備えている。固定子鉄心2は、周知のように電磁鋼板等をプレスなどにより打ち抜いた鉄心材を積層すること等により概ね円筒状に形成されており、その内周壁に、コイル3〜5を収容するためのスロットが複数設けられている。コイル3〜5は、例えばU相、V相、W相の三相に対応しており、固定子鉄心2に収容された際、固定子鉄心2の径方向外側から順に内側に向かってU相(コイル3)、V相(コイル4)、W相(コイル5)の順に配置されている。
本実施形態で想定している回転電機は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の駆動用モータ等を想定しており、そのような回転電機では、高性能化については勿論であるが、小型化や軽量化も求められている。このとき、高性能化を図るために印加電圧を上げると、部分放電や絶縁破壊等が生じるおそれが高くなる。その場合、例えば絶縁紙やコイルの素線の絶縁被覆を厚くして絶縁性能を向上させることが考えられるが、その場合、スロットに収容されるコイル量が低下し、性能が低下するおそれがある。かといって、同じ性能を得るためにコイル量を増やそうとすると、固定子鉄心2が大きくなり、筐体の大型化や高重量化を招くことになる。
この場合、部分放電や絶縁破壊等が生じるおそれが低減されることから、絶縁紙やコイルの素線の絶縁被覆を薄くすること、換言すると収容可能なコイル量を増加させることも可能となり、性能の向上を図ることもできる。また、コイルエンド成形時に異相間が接触しないのであれば、コイルエンドの絶縁紙を排除すること等も可能となり、製造コストや作業時間の削減をも図ることができる。
また、部分放電や絶縁破壊等が生じるおそれが低減されることから、同程度の絶縁性能を維持するのであれば、さらなる高電圧化により高性能化を図ることができるようになる。一方、同程度の性能を維持するのであれば、絶縁紙の削減やコイルの絶縁被覆を薄くする等、小型化・低コスト化を図ることができる。勿論、性能と小型化のバランスを考慮してもよく、設計の自由度を向上させることができる。
以下、第2実施形態ついて図3を参照して説明する。
図3に示すように、第2実施形態の固定子1は、第1実施形態と同様に、固定子鉄心2と、その固定子鉄心2に設けられた三相分のコイル3、コイル4およびコイル5とを備えている。なお、固定子1、固定子鉄心2、および各コイル3〜5の構成は図2にて示した第1実施形態のものと共通するので、その説明は省略する。すなわち、本実施形態でも、第1実施形態と同様に第1単位コイルが第1極目の磁極を形成し、第8単位コイルが第8極目の磁極を形成している。
より具体的には、U相の第1単位コイル(U1)は、V相の第3単位コイル(V3)および第4単位コイル(V4)と隣り合う位置に配置され、且つ、W相の第6単位コイル(W6)および第7単位コイル(W7)と隣り合うように配置される。また、V相の第1単位コイル(V1)は、U相の第6単位コイル(U6)および第7単位コイル(U7)と隣り合う位置に配置され、且つ、W相の第3単位コイル(W3)および第4単位コイル(W4)と隣り合うように配置されている。そして、W相の第1単位コイル(W1)は、U相の第3単位コイル(U3)および第4単位コイル(U4)と隣り合う位置に配置され、且つ、V相の第6単位コイル(V6)および第7単位コイル(V7)と隣り合うように配置される。
以下、第3実施形態ついて図4および図5を参照して説明する。
第3実施形態では、図4に示すように、それぞれ4個(=m/2個。本実施形態ではm=8)の単位コイルが直列的に接続された直列回路が、2つ並列に接続されて各相のコイル3〜5を形成している。ここで、便宜的に、直列回路の一方を第1直列回路と称し、他方を第2直列回路と称する。第1直列回路および第2直列回路は、一方の端部が共通の電源端子に接続されており、他方の端部がそれぞれ個別に異相のコイルに接続されて中性点N1と中性点N2とを形成している。つまり、本実施形態のコイルは、いわゆるダブルスター型の結線となっている。また、本実施形態でも、いわゆる隔極巻きとなっている。
本発明は、上記した各実施形態にて例示したもの限定されるものではなく、例えば次のような変形や拡張を行うことができる。
各実施形態で示した配置は一例であり、図示した配置のみに限定されるものでは無い。例えば、U相、V相、W相の配置が異なっていてもよい。
また、単位コイルの数も、8個(あるいは4個×2)に限定されるものでは無く、例えば12個(n=12。つまり12極)等であってもよい。単位コイルが12個の場合、第1実施形態と同様に外周側からU相、V相、W相の順で配置したとすると、U相の第1単位コイル(U1。第1極目のコイル)は、V相の第6単位コイル(V6)および第7単位コイル(V7)と隣り合う位置に配置され、且つ、W相の第6単位コイル(W6)および第7単位コイル(W7)と隣り合うように配置される。V相の第1単位コイル(V1。第1極目のコイル)は、U相の第6単位コイル(U6)および第7単位コイル(U7)と隣り合う位置に配置され、且つ、W相の第11単位コイル(W11)および第12単位コイル(W12)と隣り合うように配置されている。そして、W相の第1単位コイル(W1。第1極目のコイル)は、U相の第7単位コイル(U7)および第8単位コイル(U8)と隣り合う位置に配置され、且つ、V相の第11単位コイル(V11)および第12単位コイル(V12)と隣り合うように配置される。この場合、異相間の電位差を、第1単位コイル同士が隣り合う場合に比べて約0.80倍に抑えることができる。
第1実施形態ではU相のコイル3とW相のコイル5とを時計回り、V相のコイル4を反時計回りとなるように単位コイルを配置したが、その逆、つまりU相のコイル3とW相のコイル5とを反時計回り、V相のコイル4を時計回りとなるように単位コイルを配置してもよい。すなわち、径方向において直接隣り合う異相のコイル間で、単位コイルの配置順が周方向で逆になっていればよい。
また、各実施形態では1スロットに1つのコイルを挿入する例を示したが、1つのスロットに異相あるいは同相の他のコイル(他の単位コイル)が挿入されるいわゆる2相巻きであっても、各実施形態に示した効果を同様に得ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
Claims (6)
- n極(ただし、nは4以上の偶数)の磁極をそれぞれ形成する複数相のコイルと、
前記コイルが設けられる固定子鉄心と、を備え、
複数相の前記コイルは、電源端子に最も近い側を第1極目とし、最も電源端子に遠い側を第n極目とすると、各相の第1極目を、異相の第(n/2)極目以降と隣り合うように配置するとともに、それぞれの相において直列に接続されている単位コイルを、その接続順に前記固定子鉄心の周方向に順番に配置したことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記コイルは、三相であり、それぞれの相においてn個の前記単位コイルが直列に接続されてn極の磁極を形成しており、
三相の前記コイルは、コイルエンドにおいて前記固定子鉄心の径方向に隣り合って配置される異相間では前記単位コイルの配置順が周方向で逆向きとなっており、
各相の前記コイルにおいて電源端子に最も近い側の第1極目を形成する前記単位コイルを第1単位コイルとし、最も遠い側の第n極目を形成する前記単位コイルを第n単位コイルとすると、各相の前記第1単位コイルを、前記コイルエンドにおいて異相の前記コイルの第(n/2)単位コイル以降と径方向に隣り合うように配置することを特徴とする請求項1記載の回転電機の固定子。 - n極(ただし、nは6以上の偶数)の磁極をそれぞれ形成する複数相のコイルと、
前記コイルが設けられる固定子鉄心と、を備え、
複数相の前記コイルは、電源端子に最も近い側を第1極目とし、最も電源端子に遠い側を第n極目とすると、各相の第1極目を、異相の第(n/2−1)極目以降と隣り合うように配置するとともに、それぞれの相において直列に接続されている単位コイルを、その接続順に前記固定子鉄心の周方向に順番に配置したことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記コイルは、三相であり、それぞれの相においてn個の前記単位コイルが直列に接続されてn極の磁極を形成しており、
各相の前記コイルにおいて電源端子に最も近い側の第1極目を形成する前記単位コイルを第1単位コイルとし、最も遠い側の第n極目を形成する前記単位コイルを第n単位コイルとすると、各相の前記第1単位コイルを、前記固定子鉄心のコイルエンドにおいて異相の前記コイルの第(n/2−1)単位コイル以降と径方向に隣り合うように配置することを特徴とする請求項3記載の回転電機の固定子。 - m極(ただし、mは8以上の4の倍数)の磁極をそれぞれ形成する複数相のコイルと、
前記コイルが設けられる固定子鉄心と、を備え、
複数相の前記コイルは、電源端子に最も近い側を第1極目とし、最も電源端子に遠い側を第m極目とすると、各相の第1極目を、異相の第(m/2/2)極目以降と隣り合うように配置するとともに、それぞれの相において直列に接続されている単位コイルを、その接続順に前記固定子鉄心の周方向に順番に配置したことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記コイルは、三相であり、それぞれの相においてm/2個の前記単位コイルが直列に接続されてm/2極の磁極を形成する直列回路を2つ並列に接続して、m極の磁極を形成しており、
各相の前記コイルにおいて電源端子に最も近い側の第1極目を形成する前記単位コイルを第1単位コイルとし、最も遠い側の第(m/2)極目を形成する前記単位コイルを第(m/2)単位コイルとすると、各相の前記第1単位コイルを、前記固定子鉄心のコイルエンドにおいて異相の前記コイルの第(m/2/2)単位コイル以降と径方向に隣り合うように配置することを特徴とする請求項5記載の回転電機の固定子。
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