まず、本発明の第1〜第5実施形態におけるコネクタの共通の概略構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1〜第5実施形態におけるコネクタの共通の概略構成を示す図である。図1には、コネクタ1の斜視図が示されている。
図1に示されているコネクタ1は、樹脂製のハウジング11と、金属製の端子13と、を備えている。ハウジング11には、端子収容室11aが12個、2×6に配列されて設けられている。端子13は、不図示のワイヤーハーネスをなす電線12の先端に固定されるとともに端子収容室11aに収容される。各端子収容室11aにおいて電線12が延出する側とは反対側(フロント側)は、開口して、不図示の相手側コネクタの端子が挿入される端子挿入口となっている。
図1に示されているコネクタ1は、雌型コネクタであり、その端子13も、相手側コネクタ端子としてピン状の雄型端子が挿入される雌型端子となっている。尚、図1では、端子13が電線12の先端に固定された端子付き電線が1本だけ代表的に示されている。
続いて、本発明の第1〜第5実施形態それぞれについて説明するが、これらの実施形態は、図1では代表的に「13」の符号を付した端子の構成が互いに異なっている。以下では、各実施形態について、端子に注目して説明を行う。
まず、第1実施形態の端子について、図2〜図13を参照して説明する。
図2は、第1実施形態の端子の、電線への固定前の状態を示す外観斜視図であり、図3は、図2に示されている端子の、図中のV101矢視を示す図である。また、図4は、図2に示されている端子の、図中のV102矢視、及び図中のV103−V103断面を示す図である。図4(A)がV102矢視を示す図であり、図4(B)がV103−V103断面を示す図である。
端子100は、ピン状の雄型端子が挿入される雌型端子であって、電線12の先端に固定される電線固定部110と、相手側のコネクタの雄型端子と電気的に接続される端子本体部120と、が一体形成されたものである。
電線固定部110は、一対の導体加締め片111と一対の被覆加締め片112とを備えている。導体加締め片111は、電線12の先端において絶縁被覆が除去されて露出された導体に加締め固定される。被覆加締め片112は、導体加締め片111に隣接して設けられ、導体近傍の樹脂被覆に加締め固定される。
端子本体部120は、電線固定部110が固定される電線12の長さ方向D101について、電線12側とは反対側に電線固定部110から筒状に延びて形成されている。端子本体部120は、電線固定部110とは反対側の開口120aから、相手側コネクタの雄型端子が挿入されて電気的に接続される。本実施形態では、端子本体部120は、底壁121(第1側壁部分)、底壁121と対向する天井壁122(第2側壁部分)、及び、底壁121と天井壁122を繋ぐとともに互いに対向する一対の横壁123(第3側壁部分)を有する四角筒状に形成されている。
また、この端子本体部120は、図4に示されているように、端子本体部120の長手方向D102に互いに並行に延びる一対の端縁122aを有する金属板が、それら一対の端縁122aが互いに接近して天井壁122をなすように四角筒状に曲げられたものとなっている。そして、この天井壁122をなす、上記の一対の端縁122aを有する一対の壁部分122bそれぞれには、端子本体部120の内側に向かって湾曲するとともに端子本体部120の長手方向D102に延びた凹部122cが設けられている。
また、本実施形態では、一対の壁部分122bそれぞれの凹部122cは、図4(B)に示されているように、端子本体部120の長手方向D102と直交する断面形状が、次のような谷形の形状となっている。即ち、凹部122cの断面形状は、一対の壁部分122bそれぞれの外面から端子本体部120の内側に向かって降って底部に至り、その底部から壁部分122bの外面と同じ高さまで登る途中で一対の端縁122aそれぞれへと至る谷形の形状となっている。
続いて、端子本体部120について、その内部構造に注目した説明を行う。
図5は、図3に示されている端子の、図中のV104−V104断面を表す断面図であり、図6は、図5において端子本体部に相当する領域A101の拡大図である。また、図7は、図4に示されている端子における端子本体部の、図中のV105−V105断面を表す断面図である。図8は、端子本体部を、天井壁を除去して内部構造が見えるように示した斜視図である。
まず、図1に示されているコネクタ1のハウジング11における端子収容室11aには、図5及び図6に一点鎖線で示されているように、この端子収容室11aから端子100の端子本体部120の内部へと進入して係止するランス11bが設けられている。端子本体部120の底壁121には、このランス11bのための進入孔121aが設けられている。ランス11bは弾性変形可能に形成されている。端子100がハウジング11の端子収容室11aに挿入されると、弾性変形して端子本体部120を通し、進入孔121aがランス11bの位置にまで達すると復位して端子本体部120の内部へと進入して係止する。このランス11bの係止により、端子100は、端子収容室11aに、抜け止めされた状態で収容されることとなる。
端子本体部120には、挿入される雄型端子との電気的な接続のための構造として、次のような板バネ部124が設けられている。板バネ部124は、図6〜図8に示されているように、開口120aの縁のうち、ランス11bの進入孔121aの延長上に位置する縁部分121b(即ち、底壁121の開口120a側の縁)から帯状に延出している。そして、板バネ部124は、その縁部分121bで端子本体部120の内部へと、進入孔121a側に折り返されて形成されている。
また、この板バネ部124は、天井壁122に向かって凸に途中で屈曲して曲がった凸形状で端子本体部120の内部へと延びている。板バネ部124における凸形状の頂部には、天井壁122に向かって更に凸に、かつ、天井壁122側から見てほぼ円形に膨出されており、開口120aに相手側コネクタの雄型端子が挿入されたときにこの雄型端子に接する接点部124aが設けられている。本実施形態では、この接点部124aが、本発明にいう頂部の一例に相当する。
図9は、開口に相手側コネクタの雄型端子が挿入された状態の端子本体部を、図6と同様の拡大断面について示す図であり、図10は、開口に相手側コネクタの雄型端子が挿入された状態の端子本体部を、図4と同様に、図2中のV102矢視について示す図である。
図9及び図10に示されているように、端子本体部120の開口120aに雄型端子Pが挿入されると、板バネ部124の接点部124aで雄型端子Pに接するとともに、板バネ部124がこの接点部124aで雄型端子Pを天井壁122へと押圧する。押圧された雄型端子Pは、天井壁122をなす一対の壁部分122bそれぞれの凹部122cを端子本体部120の内側から見たときの湾曲形状の頂部に、板バネ部124によって押し付けられる。
ここで、板バネ部124は、端子本体部120の開口120a側とは反対側の端部124bが、ランス11bの進入孔121aよりも開口120a側に位置するように形成されている。更に、この板バネ部124の端部124bは、一対の横壁123それぞれに向かって突出するように分岐した、接点部124aにおける板バネ部124の幅(分岐前の幅)よりも狭い一対の腕部124b−1を有する略T字型の形状に形成されている。また、端部124bにおける一対の腕部124b−1の間には、端子本体部120の開口120a側へと延びるスリット124b−2が設けられている。
また、一対の横壁123それぞれにおいて一対の腕部124b−1それぞれが向かう位置には矩形状の貫通孔123aが開けられている。図9に示されているように、開口120aに雄型端子Pが挿入されると、板バネ部124は、雄型端子Pに接点部124aが押されて図9中の矢印D103方向に弾性変形する。そして、板バネ部124が、このように弾性変形すると、一対の腕部124b−1それぞれの先端124b−1aが、上記の貫通孔123aの内縁のうち、底壁121側の内縁部分123a−1に当接する。つまり、この内縁部分123a−1が、板バネ部が弾性変形したときに一対の腕部124b−1それぞれが当接して支点としての役割を果たす当接部となっている。本実施形態では、この内縁部分123a−1が、端子本体部120の開口120aから離れるにつれて底壁121に近づく方向に直線状に傾斜している。
また、本実施形態では、図7や図8に示されているように、板バネ部124は、底壁121の縁部分121bから接点部124aまでのうちの接点部124a側(頂部側)に、縁部分121bの幅W102よりも狭い一定幅W101の部分124cが設けられている。そして、縁部分121bから一定幅W101の部分124cまでは、幅が漸減した形状に形成されている。
更に、本実施形態では、底壁121の一部が板バネ部124に向かって切り起こされて、板バネ部124の矢印D103方向の過度な変位を規制する規制部125が設けられている。この規制部125は、上記の一定幅W101の部分124cの、底壁121側の面に向かって切り起こされて、その先端縁が一定幅W101の部分124cの、底壁121側の面に当接することで、板バネ部124の過度な変位を規制する。
以上に説明した形状の端子100が、次のような展開形状に切り抜かれた金属板を曲げる板金加工によって形成される。
図11は、図1〜図10に示されている端子の展開形状に切り抜かれた金属板を示す図である。
この図11に示されている金属板150は、帯状の基部151に、端子100の展開形状の端子相当板100’が基部151の長さ方向に複数並べられた形状を有している。各端子相当板100’は、上述した電線固定部110の展開形状の電線固定部相当板110’と、上述した端子本体部120の展開形状の端子本体部相当板120’と、を備えている。
電線固定部相当板110’は、一対の導体加締め片111及び一対の被覆加締め片112のそれぞれが展開された形状を有している。一対の導体加締め片111及び一対の被覆加締め片112がそれぞれ折起こされることで、電線固定部110が形成される。
また、端子本体部相当板120’は、側壁相当板120”と板バネ部相当板124’とを備えている。側壁相当板120”は、底壁121、天井壁122をなす一対の壁部分122b、及び一対の横壁123が展開された矩形状の部分である。板バネ部相当板124’は、側壁相当板120”における底壁121から延出される板バネ部124が展開された部分である。板バネ部相当板124’が折り返され、側壁相当板120”における、端子本体部120の長手方向D102に互いに並行に延びる一対の端縁122aが互いに接近して天井壁122をなすように四角筒状に曲げられて端子本体部120が形成される。また、折り曲げに先立つプレス加工等によって、一対の壁部分122bにおける凹部122cの形成等が行われる。
以上に説明した第1実施形態の端子100によれば、板バネ部124は、端子本体部120の開口120a側とは反対側の端部124bが、ランス11bの進入孔121aよりも開口120a側に位置している。これにより、板バネ部124の弾性変形の変形量に依らずランス11bと板バネ部124との干渉が回避される。
また、本実施形態の端子100によれば、板バネ部124が、ランス11bの進入孔121aよりも開口120a側に位置するように短く形成されるので、図11に示されている金属板150の各端子相当板100’における板バネ部相当板124’も短く形成される。金属板150では、板バネ部相当板124’が矩形状の側壁相当板120”から延出した形状となり、複数の端子相当板100’の板バネ部相当板124’の相互間は切り抜かれて廃棄される。このとき、本実施形態の端子100によれば、上記のように板バネ部相当板124’も短く形成されるので、上記のように廃棄される部分の面積を抑えて歩留りを向上させることができる。
また、本実施形態の端子100によれば、板バネ部124が、折返しの起点としての縁部分121bと、一対の腕部124b−1を有する端部124bとで支持される。そして、それらの両者間の途中で天井壁122に向かって凸に途中で曲がった凸形状の頂部の接点部124aで相手側コネクタの雄型端子Pに接する。このため、板バネ部124が、本実施形態とは異なり折り返された端部がフリーになってその端部で雄型端子に接するように形成された場合等と比較すると、高い接触荷重を得ることができる。
そして、本実施形態の端子100によれば、板バネ部124の端部124bが、接点部124aにおける板バネ部124の幅W101よりも狭い一対の腕部124b−1を有している。そして、それら一対の腕部124b−1それぞれが、板バネ部124の弾性変形の際に、横壁123の貫通孔123aにおける底壁121側の内縁部分123a−1に当接して撓むように構成されている。
図12は、板バネ部の一対の腕部それぞれが、貫通孔の内縁部分に当接して撓む様子を、図8と同様に端子本体部の天井壁を除去した状態で示した斜視図である。図12(A)には、天井壁122を除去した端子本体部120を、板バネ部124の一対の腕部124b−1側から見た斜視図が示されており、図12(B)には、図12(A)中の領域A102の拡大図が示されている。
図12に示されているように、端子本体部120において板バネ部124の弾性変形の際には、横壁123の貫通孔123aの内縁部分123a−1に上記のように幅の狭い一対の腕部124b−1それぞれが当接する。そして、それら一対の腕部124b−1それぞれが、板バネ部124の弾性変形の変形方向と同じ矢印D103方向に撓む。これにより、板バネ部124における全体的なバネ定数が抑えられることとなる。本実施形態の端子100によれば、まず、接点部124aを挟んだ位置での支持により高い接触荷重が得られる。一方で、上記のようなバネ定数の抑制により、そのような接触荷重が過度に高くなることが防がれる。これにより、適正荷重範囲に収まる接触荷重を得ることができる。このように、本実施形態の端子100によれば、ランス11bと板バネ部124との干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。
また、本実施形態の端子100によれば、板バネ部124の端部124bにおける一対の腕部124b−1の間がスリット124b−2によって分割されている。このため、その分割された部分についても、板バネ部124の弾性変形の際に撓み易くなっており、その部分も、一対の腕部124b−1とともにバネ定数の抑制に寄与することとなる。このとき、一対の腕部124b−1の長さは、板バネ部124と横壁123との間隔によってある程度決まるが、スリット124b−2の深さについては腕部124b−1の長さに比べると設計時に自由に設定することができる。このため、本実施形態の端子100によれば、バネ定数の抑制についての自由度が増しており、電気的な接続に必要十分な接触荷重を得るに当たっての設計の自由度が高められている。
また、本実施形態の端子100によれば、一対の腕部124b−1それぞれの先端124b−1aが当接する内縁部分123a−1が、底壁121に近づく方向に直線状に傾斜している。板バネ部124における接点部124aが底壁121側へと相手側雄型端子Pに押されて板バネ部124が弾性変形すると、一対の腕部124b−1それぞれの先端124b−1aが、内縁部分123a−1に沿って滑り、底壁121側へと逃げることとなる。その結果、例えば腕部124b−1の付け根等における過度な応力の集中が抑えられる。これにより、雄型端子Pを繰り返し抜き差ししたときに、例えば腕部124b−1の塑性変形等といった板バネ部124のへたりの発生を抑えることができる。
また、本実施形態の端子100によれば、板バネ部124は、図7や図8を参照して説明したように、縁部分121bから接点部124aまでのうちの接点部124a側に、縁部分121bの幅W102よりも狭い一定幅W101の部分124cが設けられている。これにより、板バネ部124の弾性変形の際には、上記のように幅狭に形成された一定幅W102の部分が撓むことで、上記の一対の腕部124b−1への応力の集中を抑えることができる。これにより、雄型端子Pを繰り返し抜き差ししたときに、例えば腕部124b−1の塑性変形等といった板バネ部124のへたりの発生を抑えることができる。
また、本実施形態の端子100によれば、縁部分121bから上記の一定幅W101の部分124cまでは、幅が漸減している。これにより、板バネ部124の弾性変形の際に、縁部分121bから上記の一定幅W101の部分124cまでについても応力の集中を抑えることができ、板バネ部124のへたりの発生を一層抑えることができる。
また、本実施形態の端子100によれば、挿入された相手側の雄型端子Pは、天井壁122をなす一対の壁部分122bそれぞれの凹部122cを端子本体部120の内側から見たときの湾曲形状の頂部に、板バネ部124によって押し付けられる。
ここで、相手側の雄型端子Pの形状は、製造公差の範囲内であるとはいえ、若干歪んだ形状となっていることがある。また、四角筒状の端子本体部120の形状も、製造公差の範囲内で若干歪んだ形状となっていることがある。このとき、本実施形態の端子100によれば、相手側の雄型端子Pが端子本体部120に挿入されたときに上記の歪を次のように吸収して端子本体部120の内部での雄型端子Pの姿勢を安定させることができる。
図13は、相手側の雄型端子が、板バネ部によって、一対の壁部分それぞれの凹部を端子本体部の内側から見たときの湾曲形状の頂部に押し付けられている様子を、図4(B)と同様の断面図で示した図である。
本実施形態の端子100によれば、相手側の雄型端子Pが端子本体部120に挿入されたときには、天井壁122をなす一対の壁部分122bそれぞれが次のように動くことができるように構成されている。即ち、一対の壁部分122bそれぞれは、金属板が有する弾性によって四角筒状の端子本体部120が開くように図13中の矢印D104方向に動くことができる。仮に、相手側の雄型端子Pや筒状の端子本体部120の形状に歪があったとしても、本実施形態の端子100によれば、一対の壁部分122bそれぞれがこのように動くことで上記の歪みを吸収することができる。
また、本実施形態の端子100によれば、雄型端子Pが、一対の壁部分122bそれぞれの凹部122cを端子本体部120の内側から見たときの湾曲形状の頂部に押し付けられる。このため、一対の壁部分それぞれに上記凹部が設けられていない場合と比較すると、相手側の雄型端子Pが一対の壁部分122bそれぞれと接触し易い。これにより、一対の壁部分122bそれぞれを、雄型端子Pの歪みに応じてスムーズに動かして歪みを吸収することができる。この歪の吸収により、端子本体部120の内部で、雄型端子Pの姿勢を安定させることができ、その結果、雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
そして、一対の壁部分122bそれぞれの動きによって、雄型端子Pや筒状の端子本体部120の形状の歪が吸収されることから、雄型端子Pや端子本体部120をそれ程厳密に製造する必要が無く、製造コストを抑えることができる。このように、本実施形態の端子100によれば、製造コストを抑えつつ、相手側の雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
また本実施形態の端子100では、上記の凹部122cは、上述したように、その断面形状が、一対の壁部分122bそれぞれの外面から端子本体部120の内側に向かって降って底部に至る。更に、その底部から外面と同じ高さまで登る途中で一対の端縁122aそれぞれへと至る谷形の形状となっている。即ち、図13に示されているように、一対の端縁122aの少なくとも一部の端縁部分122a−1が凹部122cの一部をなしている。そして、その凹部122cにおける端縁部分122a−1とは反対側の縁122c−1よりも端縁部分122a−1が端子本体部120の内側寄りに位置している。
本実施形態の端子100では、上記の歪みを吸収するために一対の壁部分122bそれぞれが矢印D104方向に動くに当たって、一対の端縁122aのうち凹部122cの一部をなす端縁部分122a−1の移動量が最も大きくなる。そして、この端縁部分122a−1が、凹部122cにおける上記の反対側の縁122c−1よりも端子本体部120の内側寄りに位置している。このため、一対の壁部分122bそれぞれが動いても、一対の端縁122aそれぞれの上記の端縁部分122a−1が、凹部122cにおける上記の反対側の縁122c−1を越えて動くまでには多少の余裕d101が存在している。その結果、一対の壁部分122bそれぞれが動いて端子本体部120が多少変形したとしても、変形による端子本体部120の包絡形状の変化を抑えることができる。
そして、上述した本実施形態の端子100を備えたコネクタ1(図1)によれば、ランス11bと板バネ部124との干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。また、このコネクタ1によれば、製造コストを抑えつつ、相手側のコネクタの雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
次に、第2実施形態の端子について、図14を参照して説明する。第2実施形態の端子は、天井壁をなす一対の壁部分それぞれに設けられた凹部の形状が、第1実施形態の端子100と異なっている。以下では、第2実施形態の端子について、第1実施形態の端子100との相違点に注目した説明を行う。
図14は、第2実施形態の端子の、電線への固定前の状態を示す外観図である。図14(A)には、第2実施形態の端子200の斜視図が示されており、図14(B)には、図14(A)に示されている端子200の、図中のV201矢視が示されている。尚、図14では、図1や図4に示されている第1実施形態の端子100の構成要素と同等な構成要素については、図1や図4と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素の重複説明を割愛する。
この図14に示されている端子200では、端子本体部210の天井壁211をなす一対の壁部分211bそれぞれに設けられた凹部211cが次のような形状を有している。この凹部211cは、一対の壁部分211bそれぞれの外面から端子本体部210の内側に向かって降って底部に至り、その底部から外面と同じ高さまで登り切って後一対の端縁211aそれぞれへと至る谷形の形状となっている。つまり、本実施形態では、一対の端縁211aは、凹部211cの一部をなしてはおらず、凹部211cは、一対の端縁211aから離れた位置に設けられている。このため、本実施形態では、移動量が最も大きくなる一対の端縁211aが、一対の壁部分211bそれぞれの外面と同じ位置で互いに接近している。
この第2実施形態の端子200や、この端子200を備えるコネクタ1(図1)でも、第1実施形態の端子100や、この端子100を備えるコネクタ1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。即ち、第2実施形態によっても、ランス11bと板バネ部124との干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。また、製造コストを抑えつつ、相手側のコネクタの雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
ただし、上述した第1実施形態の端子100や、この端子100を備えるコネクタ1では、一対の端縁122aにおける端縁部分122a−1が凹部122cの一部をなしている。そして、その端縁部分122a−1が、凹部122cにおける上記の反対側の縁122c−1よりも端子本体部120の内側寄りに位置している。これにより、第1実施形態では、第2実施形態と比較して、相手側の雄型端子Pの挿入時における端子本体部120の包絡形状の変化を抑えることができる点で有利であることは上述した通りである。
次に、第3実施形態の端子について、図15を参照して説明する。第3実施形態の端子は、板バネ部の形状が、第1実施形態の端子100と異なっている。以下では、第3実施形態の端子について、第1実施形態の端子100との相違点に注目した説明を行う。
図15は、第3実施形態の端子における板バネ部の形状を、第3実施形態の端子における端子本体部の、図7と同様の断面図で示す図である。尚、図15では、図7に示されている第1実施形態の端子100の構成要素と同等な構成要素については、図7と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素の重複説明を割愛する。
第3実施形態の端子300の端子本体部310が備える板バネ部311は、第1実施形態の板バネ部124と同様に、底壁121における縁部分121bから帯状に延出している。そして、板バネ部311は、縁部分121bで端子本体部310の内部へと折り返されて、天井壁122に向かって凸に途中で曲がった凸形状で端子本体部310の内部へと延びている。本実施形態の板バネ部311では、凸形状の頂部に平面視で円形状の接点部311aが設けられているが、この頂部には、この接点部311aの周囲を一定幅で囲む外周部分311bが設けられている。このため、本実施形態では、接点部311a及び外周部分311bからなる頂部の幅W301が、板バネ部311の長さ方向についてその頂部よりも開口120a側に位置する一定幅W302の部分311cにおけるその一定幅W302よりも幅広に形成されている。本実施形態では、接点部311a及び外周部分311bからなる頂部が、本発明にいう頂部の一例に相当する。
また、本実施形態の板バネ部311では、頂部がこのように幅広に形成されていることを受けて、他の部分が次のような形状となっている。まず、上記の一定幅W302の部分311cが、図7に示されている第1実施形態の板バネ部124における一定幅W101の部分124cよりも幅広に形成されているとともに、その長さも長くなっている。このように、本実施形態では、一定幅W302の部分311cが幅広に形成された分その長さも長くなっている。これにより、第1実施形態の板バネ124と同様に、板バネ部311の弾性変形の際にこの一定幅W302の部分311cが十分に撓んで一対の腕部124b−1への応力の集中を抑えることができるように構成されている。
また、本実施形態の板バネ部311では、一対の腕部124b−1を有する端部311dに設けられたスリット311d−1の幅も、図7に示されている第1実施形態の板バネ部124におけるスリット124b−2の幅よりも幅広となっている。これにより、一対の腕部124b−1に至るまでの、スリット311d−1で分割された部分が、一対の腕部124b−1と同様の狭さに形成されて、バネ定数の抑制に寄与できるように構成されている。
以上に説明した第3実施形態の端子300や、この端子300を備えるコネクタ1(図1)でも、第1実施形態の端子100や、この端子100を備えるコネクタ1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。即ち、第3実施形態によっても、ラランス11bと板バネ部311の干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。また、製造コストを抑えつつ、相手側のコネクタの雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
また、第3実施形態の端子300や、この端子300を備えるコネクタ1によれば、板バネ部310において、弾性変形の際に、上記の凸形状を開かせるような応力が集中しがちな頂部における幅W301が幅広に形成されている。その結果、板バネ部310の開きに対する強度が高められて、相手側の雄型端子Pを繰り返し抜き差ししたときに、凸形状が塑性変形で開いてしまうといった板バネ部311のへたりの発生を抑えることができる。
次に、第4実施形態の端子について、図16及び図17を参照して説明する。第4実施形態の端子は、板バネ部の一対の腕部が当接する部分が、第1実施形態の端子100と異なっている。以下では、第4実施形態の端子について、第1実施形態の端子100との相違点に注目した説明を行う。
図16は、第4実施形態の端子における板バネ部の一対の腕部が当接する部分を、第4実施形態の端子における端子本体部の、図7と同様の断面図で示す図である。また、図17は、第4実施形態の端子における板バネ部の一対の腕部が当接する部分を、第4実施形態の端子における端子本体部の、図12と同様の斜視図で示す図である。図17(A)には、第4実施形態の端子400における端子本体部410の内部構造が見える斜視図が示されており、図17(B)には、図17(A)中の領域A401の拡大図が示されている。尚、図16及び図17では、図7及び図12に示されている第1実施形態の端子100の構成要素と同等な構成要素については、図7及び図12と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素の重複説明を割愛する。
第4実施形態の端子400の端子本体部410では、一対の横壁411それぞれに設けられた貫通孔411aにおける底壁121側の内縁部分から、端子本体部410の内側に向けて切り起こされて棚411a−1が突出している。一対の横壁411それぞれから突出した一対の棚411a−1それぞれに、板バネ部412の端部412aに設けられた一対の腕部412a−1それぞれの先端412a−1aが当接する。また、一対の棚411a−1それぞれは、底壁121に向かって直線状に傾斜している。また、一対の腕部412a−1は、端子本体部410の内側へと突出した一対の棚411a−1に先端412a−1aが当接するように、第1実施形態における一対の腕部124b−1よりも短くなっている。
以上に説明した第4実施形態の端子400や、この端子400を備えるコネクタ1(図1)でも、第1実施形態の端子100や、この端子100を備えるコネクタ1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。即ち、第4実施形態によっても、ランス11bと板バネ部412の干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。また、製造コストを抑えつつ、相手側のコネクタの雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
また、第4実施形態の端子400や、この端子400を備えるコネクタ1によれば、板バネ部412の弾性変形の際には、一対の腕部412a−1が当接する一対の棚411a−1も底壁121に向かって撓むこととなる。このため、板バネ部412が弾性変形する際に、一対の腕部412a−1それぞれの先端412a−1aを底壁121側へと逃がして、例えば腕部412a−1の付け根等における過度な応力の集中を抑えることができる。これにより、相手側の雄型端子Pを繰り返し抜き差ししたときに、例えば腕部412a−1の塑性変形等といった板バネ部412のへたりの発生を抑えることができる。
次に、第5実施形態の端子について、図18を参照して説明する。第5実施形態の端子は、端子本体部の形状が、第1実施形態の端子100と異なっている。以下では、第5実施形態の端子について、第1実施形態の端子100との相違点に注目した説明を行う。
図18は、第5実施形態の端子を、図2と同様の斜視図で示す図である。尚、図18では、図2に示されている第1実施形態の端子100の構成要素と同等な構成要素については、図2と同じ符号が付されており、以下では、これら同等な構成要素の重複説明を割愛する。
第5実施形態の端子500の端子本体部510では、底壁121と天井壁122とを繋ぐ一対の横壁123それぞれと、天井壁122をなす一対の壁部分122bそれぞれとの境界が、面取りを施された一対の角部510aとなっている。そして、一対の角部510aそれぞれに、角部510aと交差する方向に延びる窪み511が設けられている。本実施形態では、窪み511は、一対の角部510aのそれぞれにおいて、開口120a側と電線固定部110側とに設けられている。
以上に説明した第5実施形態の端子500や、この端子500を備えるコネクタ1(図1)でも、第1実施形態の端子100や、この端子100を備えるコネクタ1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。即ち、第5実施形態によっても、ランス11bと板バネ部124の干渉を回避しつつも、相手側のコネクタの雄型端子Pとの電気的な接続に必要十分な接触荷重を得ることができる。また、製造コストを抑えつつ、相手側のコネクタの雄型端子Pとの間に十分な電気的な接続を得ることができる。
また、第5実施形態の端子500や、この端子500を備えるコネクタ1によれば、上記の角部510aに設けられた窪み511により、天井壁122をなす一対の壁部分122bそれぞれが動くに当たっての過度な動きが抑えられる。これにより、端子本体部510の変形を必要最小限に抑えることができる。
尚、前述した第1〜第5実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
例えば、前述した実施形態では、本発明にいうハウジングの一例として、端子収容室11aが12個設けられたハウジング11が例示されている。しかしながら、本発明にいうハウジングはこれに限るものではなく、端子収容室が設けられたハウジングであれば、端子収容室の具体的な数等を問うものではない。
また、前述した実施形態では、本発明にいう端子本体部の一例として四角筒状の端子本体部120、210,310,410,510が例示されている。しかしながら、本発明にいう端子本体部はこれに限るものではなく、筒状に形成されたものであれば、例えば円筒状や楕円筒状等であってもよく、その具体的な形状を問うものではない。
また、本実施形態では、本発明にいう端子の一例として、一端側が筒状の端子本体部120,210,310,410,510で他端側が電線固定部110となった端子13,100,200,300,400,500が例示されている。しかしながら、本発明にいう端子はこれに限るものではない。本発明にいう端子は、例えば、一端側が筒状の端子本体部で他端側が雄型端子様のピン状部に形成されたもの等であってもよい。この場合の端子は、一端側が上記のピン状部が挿入される筒状部となり他端側が電線固定部となった中継端子を介して電線に接続されることとなる。また、本発明にいう端子は、例えば、両端側それぞれが筒状に形成されて、コネクタのハウジングの端子収容室に収容されるもの等であってもよい。この場合の端子は中継端子として機能するものであり、一対の雄型端子どうしの接続を中継することとなる。
また、本実施形態では、本発明にいう端子の一例として、端子本体部120,210,310,410,510の底壁121の進入孔121aがランス11bを係止する構成を有する端子13,100,200,300,400,500が例示されている。しかしながら、本発明にいう端子はこれに限るものではない。本発明にいう端子は、例えば端子本体部における電線固定部側の縁部にランスを係止する構成を有するもの等であってもよい。