以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
≪第1の実施の形態≫
図1乃至図8は、本発明による第1の実施の形態及びその変形例を説明するための図である。このうち図1は、本発明の第1の実施の形態によるブリスター容器を示す上面図であり、図2は、ブリスター容器の積層体を拡大して示す上面図であり、図3は、図2に示すIII−III線に沿ったブリスター容器の断面を示す断面図である。
なお、以下の説明では、本発明を、医薬品を収容するブリスター容器に適用した例を示している。しかしながら、当然に、本発明は、医薬品を収容するブリスター容器に限定されず、小児が製品を誤飲することを防止する機能を必要とする種々のブリスター容器に適用することができる。
図1乃至図3に示すように、本実施の形態のブリスター容器1は、膨出部21を形成された第1シート材(容器シート材)20と、第1シート材20と接合された第2シート材(蓋材)30と、を含む複数の積層体10を備えている。第2シート材30は、第1シート材20の膨出部21を覆って、当該膨出部21との間に収容空間11を形成している。この収容空間11内に、製品が収容されている。収容空間11に収容される製品としては、医薬品、洗浄剤、入浴剤あるいは害虫等の駆除剤が挙げられる。本実施の形態では、収容空間11に収容される製品して、錠剤からなる医薬品2が収容されている。
図1及び図2に示すように、各積層体10は、平面視において、矩形状に形成された外縁部12を有している。積層体10の外縁部12は、積層体10の面上を延びる第1方向d1に対向して配置された一対の縁部12aと、第1方向d1に交差して、とりわけ図示する例では第1方向d1に直交して積層体10の面上を延びる第2方向d2に対向して配置された一対の縁部12bと、を含んでいる。また、各積層体10は、第1方向d1に離間して配置された2つの収容空間11を有している。そして、複数の積層体10が、第1方向d1に直交する第2方向d2に並べて配置されている。
任意の第2方向d2に隣り合う2つの積層体10は、第1方向d1に延びる切断補助手段50を介し、当該切断補助手段50に沿って切り離し可能となるように接続されている。切断補助手段50は、隣り合う2つの積層体10の境界となる位置で、第1方向d1に沿って直線状に延びている。
切断補助手段50は、当該切断補助手段50を介して接続された2つの積層体10を、切断を意図して折り曲げた際に、当該切断補助手段50を設けられた位置にて2つの積層体10が切り離されることを促進するためのものである。この切断補助手段50は、それ自体既知の態様で実現され得る。一例として、切断補助手段50は、第1シート材20及び第2シート材30を貫通するようにして積層体10に断続的に形成された切れ目からなるミシン目や、第2シート材30の側から第1シート材20まで延び入るようにして積層体10に連続的に形成された溝からなるハーフカットラインであってもよい。
上述したように、各積層体10は、膨出部21が形成された第1シート材20に、第2シート材30を貼り付けることにより構成されている。本実施の形態では、任意の第2方向d2に隣り合う2つの積層体10の第1シート材20は、連続して繋がっており、各積層体10の第1シート材20は、単一の第1シートで形成されている。同様に、任意の第2方向d2に隣り合う2つの積層体10の第2シート材30も、連続して繋がっており、各積層体10の第2シート材30も、単一の第2シートで形成されている。
図1及び図2に示すように、各積層体10の第1シート材20は、収容空間11に対応して、第1方向d1に離間して形成された少なくとも2つの膨出部21を有している。各膨出部21は、第1シート材20の当該膨出部21以外の部分から、第2シート材30と反対側に向かって突出している。図示する例では、膨出部21は、半球状に形成されており、第2シート材30と反対側に向かって延びている。第1シート材20が少なくとも2つの膨出部21を有することにより、医薬品2を服用する際に誤って第1シート材20ごと飲み込んでしまう誤飲事故を防止することができる。
また、図1及び図2に示すように、各積層体10の第1シート材20の膨出部21が形成されている部分以外の部分に、第1方向d1において隣り合う2つの膨出部21の間となる位置を延びる折り目形成手段40が形成されている。この折り目形成手段40は、積層体10を折り曲げた際に、当該折り目形成手段40を設けられた位置にて積層体10が折り曲げられることを促進するためのものである。折り目形成手段40は、直線状に形成されていてもよいし、曲線状に形成されていてもよい。なお、折り目形成手段40は、第2シート材30には形成されていない。
この折り目形成手段40は、それ自体既知の態様で実現され得る。図示する例では、折り目形成手段40は、第1シート材20を貫通するようにして当該第1シート材20に断続的に形成された切れ目からなるミシン目にて構成されている。ただし、このような例に限定されず、折り目形成手段40は、第1シート材20に連続的に形成された溝からなるハーフカットラインからなってもよい。あるいは、折り目形成手段40は、第1シート材20に連続的に形成されたV字状の溝からなる熱罫線からなってもよい。ただし、折り目形成手段40は、いずれの構成からなる場合であっても、第1シート材20を折り目形成手段40に沿って折り曲げた際に当該折り目形成手段40に沿って第1シート材20が切り離されることがないように、構成されている。
本実施の形態の折り目形成手段40は、積層体10の外縁部12上の2つの位置の間を延びている。より詳細には、折り目形成手段40は、第2方向d2に対向して位置する積層体10の縁部12b上の2つの位置の間を直線状に延びている。
図1に示すように、各積層体10の折り目形成手段40の各端部41、42は、一直線上に並んでいる。つまり、任意の第2方向d2に隣り合う2つの積層体10のうち、一方側に位置する積層体10の折り目形成手段40の他端部42は、他方側に位置する積層体10の折り目形成手段40の一端部41に繋がっている。
この折り目形成手段40が形成された部分を含み第1方向d1において隣り合う2つの膨出部21の間となる第1シート材20の部分と、第2シート材30と、が対面している領域を中間領域Aと呼ぶ。本実施の形態の中間領域Aは、第1シート材20と第2シート材30とが接合されていない未接合領域Bからなる。つまり、折り目形成手段40は、第2シート材30と接合されずに重なっている第1シート材20の部分に形成されている。本実施の形態では、未接合領域Bは、第1方向d1において2つの膨出部21の間となる位置を延びる帯状の領域として形成されている。
一方、中間領域Aを除く、第1シート材20と第2シート材30とが重なった領域は互いに接合されている。言い換えると、第1シート材20の未接合領域Bを形成する部分及び膨出部21が形成されている部分以外の部分と第2シート材30とが対面している領域とが、接合されている。
また、図1及び図2に示すように、第2シート材30の未接合領域Bに位置する部分のうち、折り目形成手段40に対して第1方向d1における一方の側となる領域に、一側カットライン60が形成され、折り目形成手段40に対して第1方向d1における他方の側となる領域に、他側カットライン80が形成されている。一側カットライン60及び他側カットライン80は、第2シート材30に連続的または断続的に形成された切れ目からなる。
図2に示すように、一側カットライン60及び他側カットライン80は、曲線状の経路を延びている。具体的には、一側カットライン60及び他側カットライン80は、それぞれ、一方の側及び他方の側に凸となるように湾曲している。言い換えると、一側カットライン60は、当該一側カットライン60の両端部61、62を結ぶ仮想直線に対して一方の側となる領域内を延び、他側カットライン80は、当該他側カットライン80の両端部81、82を結ぶ仮想直線に対して他方の側となる領域内を延びている。ただし、一側カットライン60及び他側カットライン80は、角がなく連続的に曲がった曲線状の経路を延びる例に限られず、その一部が折れ曲がった屈曲した経路を延びてもよい。
図2に示すように、一側カットライン60と他側カットライン80とは、第2方向d2にずれて配置されている。言い換えると、一側カットライン60と他側カットライン80とは、第2方向d2において重ならない。
また、図2に示すように、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81とは、互いから離間している。言い換えると、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81とは、繋がっていない。また、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81とは、折り目形成手段40を挟んで第1方向d1に対面している。すなわち、一側カットライン60の一端部61は、他側カットライン80の一端部81の近傍で、当該一端部81から離間している。
また、一側カットライン60の他端部62は、第2方向d2に対向して位置する積層体10の一対の縁部12bの一方との間に間隙を形成している。さらに、本実施の形態では、一側カットライン60の他端部62は、折り目形成手段40の一端部41に向かって延び、且つ、当該一端部41からも離間している。すなわち、一側カットライン60の他端部62は、積層体10の縁部12b上に位置する折り目形成手段40の一端部41の近傍で、当該一端部41から離間した位置に位置している。一方、他側カットライン80の他端部82は、第2方向d2に対向して位置する積層体10の一対の縁部12bの他方との間に間隙を形成している。加えて、他側カットライン80の他端部82は、折り目形成手段40の他端部42に向かって延び、且つ、当該他端部42からも離間している。すなわち、他側カットライン80の他端部82は、積層体10の縁部12b上に位置する折り目形成手段40の他端部42の近傍で、当該他端部42から離間した位置に位置している。
ここで、一側カットライン60及び他側カットライン80が形成された第2シート材30を、他側浮出部90を含み一方の側に位置する膨出部21を覆う部分30aと、一側浮出部70を含み他方の側に位置する膨出部21を覆う部分30bと、に区分けする。図2に示すように、一方の側に位置する膨出部21を覆う部分30aと、他方の側に位置する膨出部21を覆う部分30bとは、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81との間の領域、一側カットライン60の他端部62と縁部12bとの間の領域、及び、他側カットライン80の他端部82と縁部12bとの間の領域で、互いに接続されている。
このような一側カットライン60によって、第2シート材30を第1シート材20から剥離して他方の側に位置する膨出部21を露出させる際に起点となる一側浮出部70の輪郭が規定される。また、他側カットライン80によって、第2シート材30を第1シート材20から剥離して一方の側に位置する膨出部21を露出させる際に起点となる他側浮出部90の輪郭が規定される。一側浮出部70及び他側浮出部90は、折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げると、第1シート材20から浮き上がるようになっている(図4参照)。
一側浮出部70は、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における一方の側となる部分に形成されている。一側浮出部70は、第1方向d1における他方の側から一方の側に向かって突出した形状を有している。一側浮出部70の輪郭は、上述のように、一方の側に凸となるように湾曲した一側カットライン60によって規定されている。本実施の形態では、一側浮出部70は、未接合領域Bに位置している。
同様に、他側浮出部90は、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における他方の側となる部分に形成されている。他側浮出部90は、第1方向d1における一方の側から他方の側に向かって突出した形状を有している。他側浮出部90の輪郭は、上述のように、他方の側に凸となるように湾曲した他側カットライン80によって規定されている。本実施の形態では、他側浮出部90は、未接合領域Bに位置している。
折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げた際に、一側浮出部70及び他側浮出部90を第1シート材20から安定して浮き上がらせるためには、未接合領域Bの幅が4mm以上あるのが好ましい。また、一側浮出部70及び他側浮出部90を指で容易に摘まめる程度に第1シート材20から浮き上がらせるためには、未接合領域Bの幅は、8mm以上であるのが好ましい。さらに、ブリスター容器1の材料費を考慮すると、未接合領域Bの幅は、15mm以下であるのが好ましい。
次に、第1シート材20と第2シート材30とが積層された積層体10の層構成について図3を参照して説明する。先ず、第1シート材20について説明し、その後第2シート材30について説明する。
第1シート材20は、単一の樹脂層からなっており、この樹脂層に膨出部21が成形されている。第1シート材20をなす樹脂層は、ブリスター容器1に収容される医薬品2を第1シート材20を介して視認し得るよう、透明性を有していることが好ましい。このような樹脂層として、例えば、ポリプロピレンや塩化ビニルを用いることができる。もっとも、第1シート材20は、上記の樹脂層に加えてアルミニウム箔層を含んでいてもよい。
一方、第2シート材30は、図3に示すように、接着層31とバリア層33と印刷層34とオーバーコート層35とを、第1シート材20側からこの順で含んでいる。
このうち、接着層31は、第2シート材30を第1シート材20に貼り合わせるために設けられている。接着層31のうち第1シート材20の膨出部21以外の部分と対面する領域の一部に、第2方向d2に帯状に延びる剥離層32が形成されている。接着層31のうち、剥離層32が形成された領域によって、未接合領域Bが提供される。ただし、未接合領域Bにおいて第1シート材20と第2シート材30とが接合されないようになっていれば、第1シート材20の未接合領域Bに位置する部分に剥離層32を必ずしも設ける必要はない。
このような接着層31として、例えばポリウレタン系接着剤やポリエステル系接着剤を用いることができる。また、剥離層32として、例えばアクリル系、シリコン系あるいはフッ素系の剥離コート剤を用いることができる。
バリア層33は、収容された医薬品2の変質を防止するために、水蒸気の透過を防止する蒸気バリア性及び酸素ガス等のガスの透過を防止するガスバリア性を発揮する。加えて、バリア層33は、収容された医薬品2に光が到達することを遮ることによって当該医薬品2の品質が低下することを抑制するための機能、すなわち遮光性も発揮する。このようなバリア層33として、例えばJIS規格の1000系や8000系のアルミニウム箔を用いることができる。あるいは、バリア層33として、例えば蒸気バリア性及びガスバリア性に優れたシリカ蒸着フィルムを用いてもよい。
このバリア層33に、絵柄を含む印刷層34が積層されている。ここでいう絵柄とは、第2シート材30に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。図示する例では、第1シート材20と反対側を向くバリア層33の面に、印刷層34が積層されている。なお、印刷層34は、商品の仕様に応じてバリア層33に積層されるものであり、バリア層33に印刷層34が設けられなくてもよい。
さらに、印刷層34上にオーバーコート層35が積層されている。オーバーコート層35は、印刷層34を保護するために設けられている。印刷層34がオーバーコート層35を介して視認され得るよう、オーバーコート層35は、透明性を有していることが好ましい。このようなオーバーコート層35として、例えば、ニトロセルロース系樹脂、エポキシ系樹脂を用いることができる。
このような層構成からなる第1シート材20及び第2シート材30によれば、未接合領域Bを除く第1シート材20と第2シート材30とが重なった領域に、熱板を押し付けることにより、未接合領域Bを除いて第1シート材20と第2シート材30とを接合させることができる。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について、図4乃至図6を参照して説明する。図4乃至図6は、図1に示すブリスター容器の作用を説明するための図である。なお、図4乃至図6を参照して以下に説明する、ブリスター容器1の収容空間11に収容された医薬品2を取り出す手順は、一例にすぎず、他の手順で収容空間11に収容された医薬品2を取り出してもよい。
先ず、図4に示すように、第2方向d2に隣り合う2つの積層体10を、切断補助手段50を利用して互いに折り曲げて、当該切断補助手段50に沿って互いに切り離す。続いて、図5に示すように、利用対象となる積層体10の第1シート材20を、折り目形成手段40から折り曲げる。これにより、未接合領域Bに配置された一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がる。とりわけ、本実施の形態では、一側カットライン60は、第1方向d1における一方の側に凸となるように湾曲しており、他側カットライン80は、第1方向d1における他方の側に凸となるように湾曲している。このため、第1シート材20から浮き上がった一側浮出部70は、第1方向d1における一方の側に凸となるように突出し、第1シート材20から浮き上がった他側浮出部90は、第1方向d1における他方の側に凸となるように突出する。これにより、一方の側に凸となるように突出した一側浮出部70及び他方の側に凸となるように突出した他側浮出部90を指で容易に摘まむことができる。
上述のように、他側浮出部90を含み一方の側の膨出部21を覆う部分30aと、一側浮出部70を含み他方の側の膨出部21を覆う部分30bとは、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81との間の領域、一側カットライン60の他端部62と縁部12bとの間の領域、及び、他側カットライン80の他端部82と縁部12bとの間の領域で、互いに接続されている。この状態から、図6に示すように、他方の側の膨出部21を覆う部分30bの一側浮出部70を摘まみながら当該部分30bを第1シート材20から第1方向d1における他方の側に捲り上げる。これにより、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81との間の領域、及び、一側カットライン60の他端部62と縁部12bとの間の領域において、他方の側の膨出部21を覆う部分30bが、一方の側の膨出部21を覆う部分30aから切り離される。
さらに、一側浮出部70を摘まみながら他方の側の膨出部21を覆う部分30bを第1シート材20から他方の側に捲り上げていくと、他方の側の収容空間11に収容された医薬品2が露出する。これにより、他方の側の膨出部21と第2シート材30との間の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことができる。さらに、一側浮出部70を摘まみながら他方の側の膨出部21を覆う部分30bを第1シート材20から他方の側に捲り上げると、他側カットライン80の他端部82と縁部12bとの間の領域において、他方の側の膨出部21を覆う部分30bが、一方の側の膨出部21を覆う部分30aから切り離される。これにより、他方の側の膨出部21を覆う部分30bを、一方の側の膨出部21を覆う部分30aから分離することができる。
次に、一方の側の膨出部21を覆う部分30aの他側浮出部90を摘まみながら当該部分30aを第1シート材20から第1方向d1における一方の側に捲り上げて、当該部分30aに覆われた一方の側の膨出部21に収容された医薬品2を露出させる。これにより、一方の側の膨出部21と第2シート材30との間の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げると、一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がるようになっている。このような形態によれば、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後に、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70を摘まみながら当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる必要がある。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、容易に取り出すことができない。この結果、小児が製品を誤飲することを防止する機能を持つピール開封タイプのブリスター容器1が実現される。さらに、このような開封動作は、細かな指先の動きを必要とせず、指先に力が入らない方や手先の不自由な方でも、腕乃至手の全体と口を使用することにより行うことができる。したがって、本実施の形態のブリスター容器1によれば、指先に力が入らない方や手先の不自由な方でも、専用のプレス器具を使用することなくブリスター容器に収容された製品を取り出すことができる。
加えて、本実施の形態によれば、特許文献1に記載のPTPタイプの容器のように、第1シート材(容器シート材)の膨出部を覆う第2シート材(蓋材)の部分に、開封防止のための保護フィルムをさらに積層させる必要がない。このため、本実施の形態のブリスター容器1は、材料コスト及び製造コストを比較的抑えることができ、市場において競争力のある価格で提供することができる。このようにして、本実施の形態によれば、小児が製品を誤飲することを防止する機能を持ち実用に耐え得るピール開封タイプのブリスター容器が実現される。
また、本実施の形態によれば、一側カットライン60は、第1方向d1における一方の側に凸となるように湾曲しており、他側カットライン80は、第1方向d1における他方の側に凸となるように湾曲している。このような形態によれば、折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げた際に、第1シート材20から浮き上がった一側浮出部70が第1方向d1における一方の側に凸となるように突出し、第1シート材20から浮き上がった他側浮出部90が第1方向d1における他方の側に凸となるように突出する。これにより、一方の側に凸となるように突出した一側浮出部70及び他方の側に凸となるように突出した他側浮出部90を指で容易に摘まむことができる。このため、ブリスター容器1を開封する作業の作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、一側カットライン60と他側カットライン80とは、第2方向d2にずれて配置されている。このような形態によれば、第1シート材20から浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70を摘まんで、当該第2シート材30を第1シート材20から第1方向d1における一方の側に捲り上げて剥離していくときに、一側浮出部70よりも一方の側に位置する他側浮出部90によって、当該剥離の進行を阻害されることを効果的に抑制することができる。このため、第2シート材30の一側浮出部70を摘まみながら当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げて、一方の側の収容空間11に収容された医薬品2を取り出す開封動作をスムーズに行うことができる。
また、本実施の形態によれば、一側カットライン60の一端部61と、他側カットライン80の一端部81とは、互いから離間し、折り目形成手段40を挟んで対面している。このような形態によれば、一側カットライン60の一端部61付近に規定される一側浮出部70の部分、及び、他側カットライン80の一端部81付近に規定される他側浮出部90の部分が、その他の第1シート材20の部分に繋げられた状態となる。このため、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後でなければ、第2シート材30の一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がり難くなる。すなわち、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から確実に折り曲げた後でなければ、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70または他側浮出部90を利用して他方の側または一方の側の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことが益々でき難い。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、益々容易に取り出すことができなくなる。
また、本実施の形態によれば、一側カットライン60の他端部62は、第2方向d2に対向して位置する積層体10の一対の縁部12bの一方との間に間隙を形成し、他側カットライン80の他端部82は、前記一対の縁部12bの他方との間に間隙を形成している。このような形態によれば、一側カットライン60の他端部62付近に規定される一側浮出部70の部分、及び、他側カットライン80の他端部82付近に規定される他側浮出部90の部分が、その他の第1シート材20の部分に繋げられた状態となる。このため、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後でなければ、第2シート材30の一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がり難くなる。すなわち、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から確実に折り曲げた後でなければ、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70または他側浮出部90を利用して他方の側または一方の側の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことが益々でき難い。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、益々容易に取り出すことができなくなる。
また、本実施の形態によれば、折り目形成手段40は、積層体10の外縁部12上の2つの位置の間を延びている、このような形態によれば、小児が製品を誤飲することを防止する機能を大きく低減させることなく、各積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40に沿って容易に折り曲げることができる。
また、本実施の形態によれば、第2方向d2に複数の積層体10が配置され、第2方向d2に隣り合う2つの積層体10は、切断補助手段50を介し、当該切断補助手段50に沿って切り離し可能となるように接続されている。このような形態によれば、複数の積層体10を互いに連接することができるため、複数の積層体10をまとめて持ち運ぶことができる。
また、本実施の形態によれば、第2方向d2に隣り合う2つの積層体10のうち、一方の側に位置する積層体10の折り目形成手段40の他端部42は、他方の側に位置する積層体10の折り目形成手段40の一端部41に繋がっている。この場合、隣り合う2つの積層体10の折り目形成手段40を繋げて形成することができるため、折り目形成手段40を効率よく形成することができる。
≪第1の実施の形態の変形例≫
なお、上述した第1の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した第1の実施の形態において、図7に示すように、ブリスター容器1は、折り目形成手段40の一端部41を含む積層体10の縁部12bに、切断補助手段50を介して接続された折れ防止片15をさらに備えていてもよい。図7に、ブリスター容器1が、積層体10に接続された折れ防止片15をさらに備えた例を示す。図7に示す例では、一対の折れ防止片15が、第2方向d2において最も外方に位置する対応する積層体10に接続されている。各折れ防止片15は、第1方向d1に延びるように帯状に形成され、積層体10の第2方向d2外方に位置する縁部12bの全域を覆っている。したがって、折れ防止片15の両端間に、積層体10に形成された曲げ線部42の一方の端部41が位置している。
図7に示す折れ防止片15は、積層体10と同様に、第1シート材20と、第1シート材20と接合された第2シート材30と、からなる層構成を採用している。なお、折れ防止片15には、折り目形成手段40は形成されていない。
上述したように、折れ防止片15は、積層体10の縁部12bに切断補助手段50を介して接続されている。この切断補助手段50は、積層体10と折れ防止片15の境界となる位置に形成されており、第1方向d1に沿って直線状に延びている。図示する例では、切断補助手段50は、第1シート材20及び第2シート材30を貫通するようにして積層体10に断続的に形成された切れ目からなるミシン目で構成されている。切断補助手段50を利用して折れ防止片15を折り曲げることにより、当該切断補助手段50に沿って折れ防止片15の第1シート材20及び第2シート材30を積層体10から切り離すことができる。
次に、図7に示すブリスター容器1の作用について図8を参照して説明する。図8は、積層体10から折れ防止片15を切り離す工程を示す上面図である。
図8に示すように、隣り合う2つの積層体10を切断補助手段50に沿って互いに切り離す工程に先立って、折れ防止片15を積層体10から切り離す工程を行う。具体的には、積層体10の縁部12bに接続された折れ防止片15を、切断補助手段50を利用して折り曲げて、あるいは、折り曲げる向きを交互に変更しながら繰返し折り曲げて、最終的に折れ防止片15を当該切断補助手段50に沿って積層体10から切り離す。以後の工程については、図4乃至図6を参照して説明した上述した第1の実施の形態にて行われた工程と略同様なため、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
図7に示す変形例によれば、折り目形成手段40の一端部41を含む積層体10の縁部12bに、切断補助手段50を介して接続された折れ防止片15を、さらに備えている。このような形態によれば、折れ防止片15を、切断補助手段50を利用して折り曲げて、当該切断補助手段50に沿って積層体10から切り離した後でなければ、折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げることができない。このため、収容空間11に収容された医薬品2をさらに取り出し難くすることができ、小児が製品を誤飲することを防止する機能を高めることができる。
≪第2の実施の形態≫
次に、図9乃至図15を参照して、本発明の第2の実施の形態及びその変形例について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態によるブリスター容器1を示す上面図である。図10は、図9に示すブリスター容器1の積層体10を拡大して示す上面図である。図9乃至図15を参照して説明する第2の実施の形態は、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における他方の側となる部分及び一方の側となる部分に、それぞれ、第1ガイドカットライン65及び第2ガイドカットライン85がさらに形成されている点で異なるが、その他の構成は、第1の実施形態およびその変形例と同様に構成することができる。第2の実施の形態に関する以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第1の実施の形態およびその変形例と同様に構成され得る部分について、上述の第1の実施の形態およびその変形例における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図9及び図10に示すように、本実施の形態のブリスター容器1は、膨出部21を形成された第1シート材(容器シート材)20と、第1シート材20と接合された第2シート材(蓋材)30と、を含む複数の積層体10を備えている。このうち、第1シート材20の構成については、上述した第1の実施の形態と略同様なためここでは詳細な説明を省略する。
図9及び図10に示すように、折り目形成手段40が形成された部分を含む第1シート材20の部分と第2シート材30とが対面している中間領域Aは、第1シート材20と第2シート材30とが接合されていない未接合領域Bと、当該未接合領域Bに囲まれ、第1シート材20と第2シート材30とが接合されたポイント接合領域Cからなる。ポイント接合領域Cは、第2方向d2において互いにずれた一側カットライン60と他側カットライン80との間となる位置に設けられている。本実施の形態では、ポイント接合領域Cは、円形乃至楕円形の形状をもち、折り目形成手段40に部分的に重なっている。円形乃至楕円形のポイント接合領域Cの中心は、折り目形成手段40上に位置している。
次に、第2シート材30に設けられた第1ガイドカットライン65及び第2ガイドカットライン85について説明する。図9及び図10に示すように、第1ガイドカットライン65は、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における他方の側となる部分に形成されている。第1ガイドカットライン65は、一側浮出部70を摘まみながら当該第2シート材30を第1シート材20から第1方向d1における他方の側に捲り上げていく際に、第1シート材20から第2シート材30が剥離される経路を案内するために設けられている。
図10に示すように、第1ガイドカットライン65の一端部66と、一側カットライン60の一端部61とは、互いから離間している。言い換えると、第1ガイドカットライン65の一端部66と、一側カットライン60の一端部61とは、繋がっていない。また、第1ガイドカットライン65の一端部66と、一側カットライン60の一端部61とは、折り目形成手段40を挟んで第1方向d1に対面している。すなわち、第1ガイドカットライン65の一端部66は、一側カットライン60の一端部61の近傍で、当該一端部61から第1方向d1に沿って離間している。
そして、第1ガイドカットライン65は、当該一端部66から積層体10の第2方向d2に対向する他方の縁部12bに向かって延びている。図10に示すように、第1ガイドカットライン65は、第2方向d2に沿って一側カットライン60から離間する側に向かうにつれて、折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が大きくなるように延びている。すなわち、第1ガイドカットライン65上の各位置pと折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が、当該第1ガイドカットライン65上の位置pが第2方向d2に沿って一側カットライン60から離間するほど、大きくなっていく。ただし、第1ガイドカットライン65の全ての区間において、折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が常に大きくなっていく必要性はなく、第1ガイドカットライン65上の一部の区間において、折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が変化しなくてもよい。
一方、第1ガイドカットライン65の他端部67は、未接合領域Bよりも第1方向d1における他方の側となる位置に位置している。また、第1ガイドカットライン65の他端部67は、積層体10の第2方向d2に対向する一対の縁部12bの他方上に位置している。
同様に、第2ガイドカットライン85は、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における一方の側となる部分に形成されている。第2ガイドカットライン85は、他側浮出部90を摘まみながら当該第2シート材30を第1シート材20から第1方向d1における一方の側に捲り上げていく際に、第1シート材20から第2シート材30が剥離される経路を案内するために設けられている。
図9及び図10に示すように、第2ガイドカットライン85の一端部86と、他側カットライン80の一端部81とは、互いから離間している。言い換えると、第2ガイドカットライン85の一端部86と、他側カットライン80の一端部81とは、繋がっていない。また、第2ガイドカットライン85の一端部86と、他側カットライン80の一端部81とは、折り目形成手段40を挟んで第1方向d1に対面している。すなわち、第2ガイドカットライン85の一端部86は、他側カットライン80の一端部81の近傍で、当該一端部81から第1方向d1に沿って離間している。
そして、第2ガイドカットライン85は、当該一端部86から積層体10の第2方向d2に対向する一対の縁部12bの一方に向かって延びている。図10に示すように、第2ガイドカットライン85は、第2方向d2に沿って他側カットライン80から離間する側に向かうにつれて、折り目形成手段40との距離が大きくなるように延びている。すなわち、第2ガイドカットライン85上の各位置qと折り目形成手段40との距離が、当該第2ガイドカットライン85上の位置qが第2方向d2に沿って他側カットライン80から離間するほど、大きくなっていく。ただし、第2ガイドカットライン85の全ての区間において、折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が常に大きくなっていく必要性はなく、第2ガイドカットライン85上の一部の区間において、折り目形成手段40との第1方向d1に沿った距離が変化しなくてもよい。
一方、第2ガイドカットライン85の他端部87は、未接合領域Bよりも第1方向d1における一方の側となる位置に位置している。また、第2ガイドカットライン85の他端部87は、積層体10の第2方向d2に対向する一対の縁部12bの一方上に位置している。
次に、以上のような構成からなる本実施の形態の作用について、図11乃至図13を参照して説明する。図11乃至図13は、図9に示すブリスター容器の作用を説明するための図である。なお、図11乃至図13を参照して以下に説明する、ブリスター容器1の収容空間11に収容された医薬品2を取り出す手順は、一例にすぎず、他の手順で収容空間11に収容された医薬品2を取り出してもよい。
先ず、図11に示すように、第2方向d2に隣り合う2つの積層体10を、切断補助手段50を利用して互いに折り曲げて、当該切断補助手段50に沿って互いに切り離す。続いて、図12に示すように、利用対象となる積層体10の第1シート材20を、折り目形成手段40から折り曲げる。これにより、未接合領域Bに配置された一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がる。このとき、第2方向d2において一側カットライン60と他側カットライン80との間となる位置に、ポイント接合領域Cが設けられているため、一側浮出部70及び他側浮出部90と共に、第2方向d2において一側カットライン60と他側カットライン80との間となる第2シート材30の部分が浮き上がることを防止することができる。
その後、図13に示すように、他方の側の膨出部21を覆う部分30bの一側浮出部70を摘まみながら当該部分30bを第1シート材20から第1方向d1における他方の側に捲り上げる。これにより、一側カットライン60の一端部61と他側カットライン80の一端部81との間の領域、及び、一側カットライン60の他端部62と縁部12bとの間の領域において、他方の側の膨出部21を覆う部分30bが、一方の側の膨出部21を覆う部分30aから切り離される。
さらに、他方の側の膨出部21を覆う部分30bの一側浮出部70を摘まみながら当該部分30bを第1シート材20から第1方向d1における他方の側に捲り上げて、第1シート材20から他方の側の膨出部21を覆う部分30bを剥離していく。このとき、第1シート材20から他方の側の膨出部21を覆う部分30bを剥離する経路は、折り目形成手段40に対して他方の側となる位置に形成された第1ガイドカットライン65に沿って案内されていく。第1ガイドカットライン65に沿って第1シート材20から第2シート材30を剥離していくと、他方の側の収容空間11に収容された医薬品2が露出する。これにより、他方の側の膨出部21と第2シート材30との間の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことができる。
次に、一方の側の膨出部21を覆う部分30aの他側浮出部90を摘まみながら当該部分30aを第1シート材20から第1方向d1における一方の側に捲り上げて、第1シート材20から一方の側の膨出部21を覆う部分30aを剥離していく。このとき、第1シート材20から一方の側の膨出部21を覆う部分30aを剥離する経路は、折り目形成手段40に対して一方の側となる位置に形成された第2ガイドカットライン85に沿って案内されていく。第2ガイドカットライン85に沿って第1シート材20から一方の側の膨出部21を覆う部分30aを剥離していくと、一方の側の収容空間11に収容された医薬品2が露出する。これにより、一方の側の膨出部21と第2シート材30との間の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、折り目形成手段40に沿って第1シート材20を折り曲げると、一側浮出部70及び他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がるようになっている。このような形態によれば、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後に、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70を摘まみながら当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる必要がある。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、容易に取り出すことができない。この結果、小児が製品を誤飲することを防止する機能を持つピール開封タイプのブリスター容器1が実現される。さらに、このような開封動作は、細かな指先の動きを必要とせず、指先に力が入らない方や手先の不自由な方でも、腕乃至手の全体と口を使用することにより行うことができる。したがって、本実施の形態のブリスター容器1によれば、指先に力が入らない方や手先の不自由な方でも、専用のプレス器具を使用することなくブリスター容器に収容された製品を取り出すことができる。
加えて、本実施の形態によれば、特許文献1に記載のPTPタイプの容器のように、第1シート材(容器シート材)の膨出部を覆う第2シート材(蓋材)の部分に、開封防止のための保護フィルムをさらに積層させる必要がない。このため、本実施の形態のブリスター容器1は、材料コスト及び製造コストを比較的抑えることができ、市場において競争力のある価格で提供することができる。このようにして、本実施の形態によれば、小児が製品を誤飲することを防止する機能を持ち実用に耐え得るピール開封タイプのブリスター容器が実現される。
また、本実施の形態によれば、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における他方の側となる部分に、第1ガイドカットライン65が形成されている。このような形態によれば、第2シート材30の一側浮出部70を摘まんで第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を、折り目形成手段40に対して他方の側となる位置に形成された第1ガイドカットライン65に沿ってスムーズに案内することができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1ガイドカットライン65の一端部66と、一側カットライン60の一端部61とは、互いから離間し、且つ、折り目形成手段40を挟んで対面している。このような形態によれば、一側カットライン60の一端部61付近に規定される一側浮出部70の部分が、その他の第1シート材20の部分に繋げられた状態となる。このため、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後でなければ、第2シート材30の一側浮出部70が第1シート材20から浮き上がり難くなる。すなわち、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から確実に折り曲げた後でなければ、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の一側浮出部70を利用して他方の側の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことが益々でき難い。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、益々容易に取り出すことができなくなる。
さらに、本実施の形態によれば、第1ガイドカットライン65の他端部67は、未接合領域Bよりも第1方向d1における他方の側となる位置に位置している。このような形態によれば、第2シート材30の一側浮出部70を摘まんで当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる方向に沿って、第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を案内することができるため、ブリスター容器1を開封する開封動作をスムーズに行うことができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1ガイドカットライン65上の各位置と折り目形成手段40との距離が、当該第1ガイドカットライン65上の位置が第2方向d2に沿って一側カットライン60から離間するほど、大きくなっている。このような形態によれば、第2シート材30の一側浮出部70を摘まんで当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる方向に沿って、第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を滑らかに案内することができるため、ブリスター容器1を開封する開封動作をよりスムーズに行うことができる。
また、本実施の形態によれば、第2シート材30のうちの折り目形成手段40に対して第1方向d1における一方の側となる部分に、第2ガイドカットライン85が形成されている。このような形態によれば、第2シート材30の他側浮出部90を摘まんで第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を、折り目形成手段40に対して一方の側となる位置に形成された第2ガイドカットライン85に沿ってスムーズに案内することができる。
さらに、本実施の形態によれば、第2ガイドカットライン85の一端部86と、他側カットライン80の一端部81とは、互いから離間し、且つ、折り目形成手段40を挟んで対面している。このような形態によれば、他側カットライン80の一端部81付近に規定される他側浮出部90の部分が、その他の第1シート材20の部分に繋げられた状態となる。このため、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた後でなければ、第2シート材30の他側浮出部90が第1シート材20から浮き上がり難くなる。すなわち、収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から確実に折り曲げた後でなければ、折り曲げにより浮き上がった第2シート材30の他側浮出部90を利用して他方の側の収容空間11に収容された医薬品2を取り出すことが益々でき難い。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、益々容易に取り出すことができなくなる。
さらに、本実施の形態によれば、第2ガイドカットライン85の他端部87は、未接合領域Bよりも第1方向d1における一方の側となる位置に位置している。このような形態によれば、第2シート材30の他側浮出部90を摘まんで当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる方向に沿って、第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を案内することができるため、ブリスター容器1を開封する開封動作をスムーズに行うことができる。
さらに、本実施の形態によれば、第2ガイドカットライン85上の任意の位置qと折り目形成手段40との距離が、当該第2ガイドカットライン85上の位置qが第2方向d2に沿って他側カットライン80から離間するほど、大きくなっている。このような形態によれば、第2シート材30の他側浮出部90を摘まんで当該第2シート材30を第1シート材20から捲り上げる方向に沿って、第1シート材20から第2シート材30を剥離する経路を滑らかに案内することができるため、ブリスター容器1を開封する開封動作をよりスムーズに行うことができる。
また、本実施の形態によれば、第2方向d2において一側カットライン60と他側カットライン80との間となる位置に、未接合領域Bに囲まれたポイント接合領域Cが設けられている。このような形態によれば、積層体10の第1シート材20を折り目形成手段40から折り曲げた際に、一側浮出部70及び他側浮出部90と共に、第2方向d2において一側カットライン60と他側カットライン80との間となる第2シート材30の部分が浮き上がることを防止することができる。
≪第2の実施の形態の変形例≫
なお、上述した第2の実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した第2の実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
上述した第2の実施の形態において、図10に示すように、一側カットライン60及び他側カットライン80は、連続的に形成された切れ目からなる例を示したが、一側カットライン60及び他側カットライン80の形態は、このような例に限定されない。図14に、一側カットライン60及び他側カットライン80の他の形態を示す。図14に示す例では、一側カットライン60及び他側カットライン80は、断続的に形成された切れ目からなる。具体的には、一側カットライン60は、互いに離間して配置された一側第1部分60a及び一側第2部分60bを含んでいる。一側第1部分60a及び一側第2部分60bは、曲線状の経路に沿って並べられている。
図14に示すように、一側第1部分60aの一端部601aと、一側第2部分60bの一端部601bとは、互いから離間し、且つ、互いに第2方向d2に対面している。この一側第1部分60aの一端部601aと一側第2部分60bの一端部601bとの間に、一側継ぎ目75が規定されている。一側継ぎ目75は、一側浮出部70を当該一側浮出部70の周りに位置する第2シート材30の部分に繋ぐものである。図14に示す例では、一側継ぎ目75は、第1方向d1における一方の側に最も突出した一側浮出部70の部分に隣接している。
同様に、他側カットライン80は、互いに離間して配置された他側第1部分80a及び他側第2部分80bを含んでいる。他側第1部分80a及び他側第2部分80bは、曲線状の経路に沿って並べられている。図14に示すように、他側第1部分80aの一端部801aと、他側第2部分80bの一端部801bとは、互いから離間し、且つ、互いに対面している。この他側第1部分80aの一端部801aと他側第2部分80bの一端部801bとの間に、他側継ぎ目95が設けられている。他側継ぎ目95は、他側浮出部90を当該他側浮出部90の周りに位置する第2シート材30の部分に繋ぐものである。図14に示す例では、他側継ぎ目95は、第1方向d1における他方の側に最も突出した他側浮出部90の部分に隣接している。
図15に、図14のXV−XV線に沿ったブリスター容器1の断面を示す。図15に示すように、第1シート材20の中間領域Aに位置する部分のうち、折り目形成手段40に対して第1方向における一方の側及び他方の側となる部分に、それぞれ、一側逃げ膨出部22及び他側逃げ膨出部23が形成されている。一側逃げ膨出部22は、少なくとも第2シート材30の一側継ぎ目75に対面する部分に設けられ、当該一側継ぎ目75から離間するように凹んでいる。他側逃げ膨出部23は、少なくとも第2シート材30の他側継ぎ目95に対面する部分に設けられ、当該他側継ぎ目95から離間するように凹んでいる。図14に示す例では、一側逃げ膨出部22及び他側逃げ膨出部23は、平面視において膨出部21よりも面積の小さい円形乃至楕円形の形状を有している。
また、図14に示すように、折り目形成手段40が形成された部分を含む第1シート材20の部分と第2シート材30とが対面している中間領域Aは、一側逃げ膨出部22及び他側逃げ膨出部23を含む第1シート材20の部分と、第2シート材30とが対面している領域に形成された未接合領域Bを含んでいる。図示する例では、未接合領域Bは、第1方向d1において2つの膨出部21の間となる位置を延びる帯状の領域として形成されている。さらに、中間領域Aは、第2方向d2において一側カットライン60と他側カットライン80との間となる位置に、未接合領域Bに囲まれたポイント接合領域Cを含んでいる。図14に示す例では、ポイント接合領域Cは、矩形の形状をもち、折り目形成手段40に部分的に重なっている。また、図14に示す例では、中間領域Aは、未接合領域Bとポイント接合領域Cとのみからなる。
図14に示す変形例によれば、他方の側に位置する収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、折り目形成手段40に沿って積層体10を折り曲げる工程に先立って、第2シート材30の一側浮出部70を第1シート材20の一側逃げ膨出部22に押し込んで、一側浮出部70を一側継ぎ目75から切り離す必要がある。同様に、一方の側に位置する収容空間11に収容された医薬品2を取り出すためには、折り目形成手段40に沿って積層体10を折り曲げる工程に先立って、第2シート材30の他側浮出部90を第1シート材20の他側逃げ膨出部23に押し込んで、他側浮出部90を他側継ぎ目95から切り離す必要がある。このため、小児が収容空間11に収容された医薬品2を取り出そうとしても、益々容易に取り出すことができない。この結果、小児が製品を誤飲することを防止する機能を高めることができる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。