JP6209698B1 - 水底地盤の改良方法、作業船、バケット内圧力制御システム - Google Patents

水底地盤の改良方法、作業船、バケット内圧力制御システム Download PDF

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Abstract

【課題】海底土砂を船上や陸上に揚土することなく、改良土を製造できるようにする。すなわち、海底地盤の掘削土砂に汚染土が含まれていている場合などでも、海水中で改良土を製造する。【解決手段】作業船を利用した水底地盤の改良方法であって、上げ下げ可能に設けられたバケットの先端で、水底地盤を掘削する工程と、バケット内への水の流入を妨げた状態で、該バケット内に掘削土砂を取り込む工程とを含む。また、バケット内の海水を排出してから海底土砂の取込み、改良材と練り混ぜるときに過剰な含水を抑え、製造する改良土の品質を安定させる。また、バケットを密閉した状態で、上述した攪拌・混合を行うことで、該バケット内で製造する改良土の品質がより一層安定させる。また、改良材の状態(固体・粉体・液体)に係わらず、バケット用送給路を介して改良材をバケット内に投入する。【選択図】図21A

Description

本発明は、海底軟弱地盤をはじめとする水底地盤の改良方法に関するものであり、具体的には、水底地盤の改良や水底環境の改善などの工事の施工方法に関するものである。また、本発明は、この施工方法を実施するのに適した作業船(地盤改良船)と、バケット内圧力制御システムと、バケット構造に関するものである。
従来より、海底地盤の改良や海底環境の改善を目的として、海底地盤に対して各種工事が実施されている。例えば、海底に潜堤を築造する際には、図35に例示するような流れで工事が実施されている。
潜堤築造工事では、浚渫土砂(掘削土砂)を有効活用する例がある。そのため、図35に示すように、グラブ浚渫船を利用して浚渫(掘削)を行い、グラブに取り込んだ浚渫土砂(掘削土砂)を引き上げて、土運船へ揚土する。続いて、浚渫土砂を活用して改質土を製造する。
従来方法で浚渫土砂を活用して改質土を製造するためには、土運船や引船を利用して浚渫土砂を運搬し、岸壁や台船などに隣接させる。岸壁や台船などにはバックホウや改質材などが予め用意されており、該バックホウを利用して、改質材を浚渫土砂に対して投入・攪拌する。このようにして製造した改質土を、土運船や引船を利用して潜堤築造地点の海上まで運搬する。上述した「浚渫土砂の運搬」、「改質土の製造」、「製造した改質土の運搬」を必要回数繰り返す。
一方で、土運船や引船を利用して潜堤築造地点の海上まで運搬された改質土(浚渫土砂に対して改質材を混ぜ込んだもの)を、トレミー船やグラブ船を利用して潜堤築造地点の海底地盤に投入する。
このように従来方法では、浚渫土砂を活用して改質土を製造するにあたって、浚渫場所である海水中で改質土を製造することはできず、浚渫土砂を海水面上に揚土し更に岸壁や台船などの近くまで運搬して作業する必要があった。
すなわち、従来の施工方法では、浚渫土砂を海水面上に揚土する工程や、岸壁や台船などの近くまで運搬する工程が、著しく煩雑であり、施工コストが高くなり、工期が長期化するといった問題が生じていた。
そこで、上述した課題に鑑み、本発明の目的は、従来よりも工程が少なくて、低コスト・短工期での施工を可能にする水底地盤の改良方法と、この方法を実施するのに適した作業船(地盤改良船)と、バケット内圧力制御システムと、バケット構造を提供することにある。
上記目的は、作業船を利用した水底地盤の改良方法であって、
上げ下げ可能に設けられたバケットの先端で、水底地盤を掘削する工程と、
バケット内への水の流入を妨げた状態で、該バケット内に掘削土砂を取り込む工程と、
を含むことを特徴とする水底地盤の改良方法によって達成される。
また上記目的は、作業船を利用した水底地盤の改良方法であって、
上げ下げ可能に設けられたバケットの先端で、水底地盤を掘削する工程と、
バケット内から水を排出する工程と、
バケット内に掘削土砂を取り込む工程と、
を含むことを特徴とする水底地盤の改良方法によって達成される。
上記方法は、バケットによる掘削で生じた掘削孔を埋め戻す工程を更に含んでいる。
また上記方法は、バケット内に取り込んだ前記掘削土砂を、水上に揚土することなく、該バケット内で改良材と攪拌混合する工程を更に含んでいる。
また上記方法では、改良材を、バケット用送給路を介して水中のバケット内に送り込むようにする。
また上記方法は、バケット内で掘削土砂と改良材を攪拌混合して得られた改良土を、掘削した水底地盤に向けて排出する工程を更に含んでいる。
また上記方法では、バケット内に送り込んだ圧縮空気によって、バケット内への水の流入を妨げるようにする。
また上記方法では、バケット内に掘削土砂を取り込む際に、バケット内の圧縮空気をバケット外部に排気する。
また上記方法は、作業船に連結されたアンカーワイヤーの操作により該作業船を移動させる工程を更に含んでいる。
また上記方法では、改良材は、例えば、改質材、浄化材、不溶化材の何れかである。
また、前述した目的は、
水底地盤を掘削するための掘削手段と、
上げ下げ可能に設けられ、水の流入を妨げた状態で掘削土砂を取り込むためのバケットと、を有する作業船によって達成される。
上記作業船は、バケット内への水の流入を妨げる圧縮空気をバケット内に圧送するためのポンプを、更に有している。
また上記作業船は、バケット内に取り込んだ掘削土砂に対して攪拌混合する改良材を、前記バケット内に送るためのバケット用送給路を、更に有している。
また上記作業船において、バケット用送給路は、
バケットへ送給する予定の改良材を一時的に保持可能な材料保持部と、
前記材料保持部より下方に位置し、バケットへ通ずる材料ガイド部と、
前記材料保持部と前記材料ガイド部の間に設けられた制御弁と、を具備し、
閉弁状態で、前記改良材は、バケット用送給路の材料保持部において保持され、
開弁状態で、前記改良材は、バケット用送給路の材料保持部から送り出されて、材料ガイド部を介してバケットに送り込まれる。
また上記作業船において、制御弁は、バケット内の空気圧を利用して動作するように設けられている。
また上記作業船は、
前記制御弁の動作に利用されるバケット内の空気圧を、バケット用送給路の材料保持部に導くためのバイパスと、
前記バイパスに設けられ、前記制御弁が動作するタイミングを制御するための第2の制御弁と、
を更に有している。
また上記作業船は、バケット内に取り込んだ掘削土砂と改良材を該バケット内で攪拌混合するための攪拌混合手段を、更に有している。
また上記作業船は、掘削手段による掘削で生じた掘削孔に、埋め戻し材を投入するための埋め戻し材投入装置を、更に有している。
また、前述した目的は、
作業船が具備するバケット内の空気圧力を制御するためのシステムであって、
バケット内に圧縮空気を送るためのポンプと、
バケット内の空気圧力を制御するための排気路と、
を具備するバケット内圧力制御システムによって達成される。
また、前述した目的は、
作業船が具備するバケット内の空気圧力を制御するためのシステムであって、
バケット内に圧縮空気を送るためのポンプと、
バケット内の空気圧力をバケットの外部にガイドするように設けられた排気路と、
前記排気路の排気口を水中で上げ下げするための昇降手段と、
を具備するバケット内圧力制御システムによって達成される。
また、前述した目的は、
作業船が具備するバケットの構造であって、
掘削土砂を内側に収容可能なバケット本体と、
開閉可能に設けられ、掘削土砂をバケット本体に取り込むためのシェルと、を具備し、
前記シェルは開口可能な可動式の底板を具備している、ことを特徴とするバケット構造によって達成される。
上記バケット構造において、シェルが具備する可動式の底板は、
シェルが開くときの動作に連動して、底板が開くように設けられ、かつ、
シェルが閉まるときの動作に連動して、底板が閉まるように設けられている。
本発明に係る方法および作業船は、水底地盤の改良や水底環境の改善などの水上土木工事に応用することで優れた効果が達成される。具体的には、水底地盤を対象とする原位置改良方法や改良材埋め戻し方法などに応用することで、環境に影響を与えることなく次に述べるような優れた効果を達成できる。
なお、本発明における「水底」の具体例としては、例えば、海底、川底、湖底が挙げられる。また、「水底地盤」の具体例としては、例えば、海底地盤、川底の地盤、湖底の地盤が挙げられる。また、「水」の具体例としては、例えば、海水、川の水、湖の水が挙げられる。
以下、水底の一例として海底を挙げ、また、水底地盤の一例として海底地盤を挙げる。
(本発明を原位置改良方法の実施に応用した場合の効果)
1. 海底土砂(海底地盤の掘削土砂)を船上や陸上に揚土することなく、改良土を製造できる。すなわち、海底地盤の掘削土砂に汚染土が含まれている場合などでも、海水中で改良土を製造することが可能である。
2. バケット内の海水を排出してから海底土砂の取込ができる。これにより、取り込んだ海底土砂と改良材を練り混ぜるときに過剰な含水を抑えることでき、その結果、製造する改良土の品質を安定させることが可能である。つまり、改良土を製造するときに、バケット内に海水が入り込まない状態で、掘削土砂と改良材とを攪拌・混合することで、常に一定の品質であって且つ高品質の改良土を製造することが可能である。
3. バケットを密閉した状態で、上述した攪拌・混合を行うことで、該バケット内で製造する改良土の品質がより一層安定する。
4. 改良材の状態(固体・粉体・液体)に係わらず、バケット用送給路を介して改良材をバケット内に投入できる。
5. 海底汚染土の浄化・不溶化にも対応可能である。
(本発明を改質材埋め戻し方法の実施に応用した場合の効果)
1. 潜堤堤体の基礎地盤を改良材に置き換えることで、堤体の安定性が向上する。
2. 予め計量した改良材を必要量投入管理できる。
3. アンカーワイヤーを利用した作業船位置決めシステムと埋め戻し材投入装置(シュート)を利用することで、確実に投入ポイントへの埋め戻しができるようになる。
(環境に対する影響)
1. 「海底土砂を揚土する工程」と「改良土を海水中に投入する工程」が発生しないため、海水汚濁の低減が期待できる。
2. 埋め戻し材を投入する際には、埋め戻し材投入装置(例えばシュート)を利用するので、海水汚濁の低減が期待できる。
3. 無振動・無騒音工法である。
本発明の実施に用いる作業船(地盤改良船)の一例を示す側面図と正面図である。 本発明の実施に用いる作業船(地盤改良船)の一例を示す平面図である。 図3(a)は図1(a)に示す作業船の船首側を示す側面拡大図であり、図3(b)は図3(a)に示す掘削兼攪拌混合装置の単体を示す側面図であり、図3(c)は図3(a)に示す埋め戻し材投入装置の単体を示す側面図である。 図4(a)は図1(b)に示す作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置を中心に示す正面拡大図であり(掘削兼攪拌混合装置に隣接する部材等の図示を適宜省略)、図4(b)は図4(a)に示す掘削兼攪拌混合装置の単体を示す正面図である。 図5(a)は図1(b)に示す作業船が具備する埋め戻し材投入装置を中心に示す正面拡大図であり(埋め戻し材投入装置に隣接する部材等の図示を適宜省略)、図5(b)は図5(a)に示す埋め戻し材投入装置の単体を示す正面図である。 図1(b)に示す作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置の具体的構成を示す側面拡大図であって、図6(a)はバケット先端にあるグラブバケット(掘削手段)が開いた状態を示しており、図6(b)は海底地盤を掘削するときのグラブバケットの動作を示しており、図6(c)はグラブバケットが開いた状態であって且つ掘削兼攪拌混合翼を下げた状態で海底地盤を掘削しているときの状態を示しており、図6(d)はグラブバケットを閉じて掘削土砂(浚渫土砂)をバケット内に取り込んだときの状態を示している。 図1(b)に示す作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置の具体的構成を示す正面拡大図であって、図7(a)はバケット内の掘削兼攪拌混合装置を上げた状態を示しており、図7(b)はバケット内の掘削兼攪拌混合装置を下げた状態を示している。 図6(b)に示す掘削兼攪拌混合部を示す側面拡大図である。 掘削兼攪拌混合装置の回転動作の仕組みを示す側面図と正面図である。 図3(c)に示す埋め戻し材投入装置の具体的構成を示す側面図と正面図である。 本発明を利用した「海底地盤の掘削」、「掘削土砂の移動」、「掘削土砂の排出」の各工程を図示する側面図と正面図である。 本発明において改質材・浄化材・不溶化材の何れかを投入して海底地盤と攪拌混合するときの様子を示す側面図と正面図である。 本発明において埋め戻しを行うときの様子を示す側面図と正面図である。 本発明を利用した潜堤築造の概略イメージを図示する断面図である。 本発明を利用した浅場造成または汚染土措置の概略イメージを図示する断面図である。 本発明を利用した深堀区域の埋め戻しの概略イメージを図示する断面図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工状況を具体的に示す側面図と側面拡大図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工状況を具体的に示す正面図と正面拡大図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工状況を具体的に示す平面図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工パターンを示す平面図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工方法の主要工程を示す工程図である。 本発明を利用した潜堤築造および浅場造成の施工方法の主要工程を示す工程図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置を具体的に示す側面図と側面拡大図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置を具体的に示す正面図と正面拡大図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置を具体的に示す平面図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置の施工パターンを示す平面図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置の施工方法の主要工程を示す工程図である。 本発明を利用した海底汚染土浄化および不溶化措置の施工方法の主要工程を示す工程図である。 本発明に係る作業船が具備するバケット内圧力制御システムを示す、概略構成図、側面図、正面図である。 バケット内圧力制御システムの機能作用を示す図である。 施工時におけるバケット内圧力制御システムの機能作用を具体的に示す図である。 本発明に係る作業船が具備するバケット構造を示す図であって、図30(a)は可動式底板が開いた状態(シェルが開いた状態)を示しており、図30(b)は可動式底板の動作の軌跡を示しており、図30(c)は可動式底板が閉じた状態(シェルが閉じた状態)を示している。 シェルが開いた状態のバケット構造を比較する比較図であって、図31(a)は一般的構造のバケットを示しており、図31(b)は本実施形態に係るバケットを示しており、図31(c)は本実施形態の変形例に係るバケットを示している。 第2実施形態に係る作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置を示す側面図と正面図である。 図32に示す掘削兼攪拌混合装置が具備する圧力差開閉弁(制御弁)の開閉動作を示す図である。 図32に示す掘削兼攪拌混合装置が具備する圧力差開閉弁(制御弁)の施工時における機能作用を示す図である。 従来工法の概要を示す工程図である。
(作業船)
はじめに、図1〜図10に基づいて、本発明に係る方法の実施に用いる作業船(地盤改良船)の構成について説明する。
はじめに、本発明に係る作業船1は、図1および図2に示すような外観を有しており、
また、図3〜図10の詳細図に示すとおり、主として、
・ アンカーワイヤー2を利用した作業船位置決めシステムと(図2参照)、
・ 作業船1の船首側に立設されたリーダ3と、
・ リーダ3に沿って昇降自在に設けられた掘削兼攪拌混合装置5と、
・ リーダ3に沿って昇降自在に設けられた埋め戻し材投入装置7と、
・ リーダ3の側面に設けられたガイドレールと、
・ このガイドレールに沿って昇降自在に設けられた材料投入用の昇降式バケット9と、
・ 改良材などを計量して昇降式バケット9に充填するための計量用ホッパー11と、
・ 施工に用いる改良材や埋め戻し材を収容する砂箱13(材料収容箱)と、
・ 砂箱内の改良材/埋め戻し材を計量用ホッパー11へ向けて搬送するベルトコンベアー15と、を有している。
なお、「改良材」の具体例としては、例えば、改質材、浄化材、不溶化材などが挙げられる。本実施形態では、改質材、浄化材、不溶化材などの総称として「改良材」の用語を用いる。埋め戻し材と改良材は同一材料で構成してもよい。
以下、作業船の主要部の構成について詳細に説明する。
(作業船位置決めシステム)
作業船位置決めシステムはGPSを用いた位置誘導画面と、図2に示すように、作業船1に固定されたウインチと、該ウインチに巻き取り・繰り出し可能に連結されたアンカーワイヤー2と、の組合せを複数セット含んで構成されている。アンカーワイヤー2が連結されたウインチは、例えば作業船の四隅近傍等に設けられている。
複数のアンカーワイヤー2の一又は二以上を選択的に操作することで、図2に示すように作業船1を海面上で任意の方向に移動させることができ、その結果、作業船1を施工現場の所望の位置に位置決めすることができる。
(掘削兼攪拌混合装置)
掘削兼攪拌混合装置5は、主として、所定位置の海底地盤を掘削する「掘削装置」としての機能と、掘削土砂と改良材とを攪拌混合する「攪拌混合装置」としての機能を兼ね備えた装置である。
掘削兼攪拌混合装置5は、リーダ3に沿って昇降自在に設けられており、
図3、図4、図6、図7等に示すとおり、
・改良材をバケット32内に導くための送給路である一対のケーシングパイプ21(バケット用送給路)と、
・ケーシングパイプ21内に改良材を投入するための改良材投入口23と、
・回転駆動装置であるオーガーモーター25と、
・該モーターの動力を掘削兼攪拌混合部29内の掘削兼攪拌混合翼35(攪拌混合手段)に伝達するためのロッド27と、
・ケーシングパイプ21およびロッド27の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29と、
を有している。
ケーシングパイプ21および改良材投入口23の組合せは、図7の正面図に示すとおり、掘削兼攪拌混合装置一台につき2セット設けられており、ケーシングパイプ21,21の間にロッド27が位置するように、一対のケーシングパイプ21,21が間隔をあけて設けられている。各ケーシングパイプ21の上端側は改良材投入口23に連通しており、また、その下端側は掘削兼攪拌混合部29のバケット32内に連通している。
また、ケーシングパイプ21は、バケット32内に圧縮空気を送るエアー流路としての役割も担っている。図示しないエアーコンプレッサから、ケーシングパイプ21を介して、バケット32内に圧縮空気を送り込むことで、その空気圧によって、海中に水没した状態のバケット32内から海水を排出することが可能であり、また、バケット内から海水を排出した状態を維持することが可能である。
オーガーモーター25から出力される回転動力は、一対のケーシングパイプ21,21の間に位置するロッド27を介して(図7参照)、掘削兼攪拌混合部29のバケット32内に設けられた掘削兼攪拌混合翼35に伝達される。
このオーガーモーター25は、図3(a)に示すとおりリーダ3に昇降自在に連結されており、また、その上端はワイヤーロープ26に連結されている。当該ワイヤーロープ26を上下方向で操作することでオーガーモーター25を含む掘削兼攪拌混合装置5の全体がリーダ3に沿って昇降する。
ケーシングパイプ21の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29は、
図6、図7、図8等に示すとおり、主として、
・開閉式のグラブバケット31(掘削手段)を具備する密閉可能なバケット32と、
・バケット32内で昇降可能に設けられた掘削兼攪拌混合翼35(攪拌混合手段)と、
を有している。
バケット32は、平面視略矩形の箱型容器状の構成部材(矩形ケーシング)であり、底部の開口部を開閉可能に構成されている。バケット32の上部には、一対のケーシングパイプ21の下端が連結されており、改良材投入口23から投入された改良材は該ケーシンングパイプ21を介してバケット32内にガイドされる。また、図示しないエアーコンプレッサから圧送された圧縮エアーはケーシンングパイプ21を介してバケット32内に送り込まれる。掘削兼攪拌混合部29が海水中に没している場合には、該圧縮エアーの圧力によって、バケット32内から海水を排出することができる。すなわち、空気圧によって海水が排出された空間をバケット32内に確保することができる。
オーガーモーター25に連結されたロッド27の下端は、バケット32内に設けられた掘削兼攪拌混合翼35に連結されている。掘削兼攪拌混合翼35は、ロッド27を介して伝達された動力によって回転駆動し、また図6及び図7に示すように、バケット32内で昇降可能に設けられている。
また、バケット32の先端(下端)には、開閉式のグラブバケット31(掘削手段)が設けられている。バケット32とグラブバケット31の組合せは、全体としてひとつのバケットを構成しているともいえる。グラブバケット31が開くことでバケット32底部が開口し、また、該グラブバケット31が閉じることでバケット32底部が閉じて密閉される。つまり、グラブバケット31は、海底地盤を掘削したり掘削土砂を取り込む掘削手段としての役割のほか、バケット32底部を開閉する蓋(バケット32の底部を密閉する蓋)としての役割を担っている。
このようなグラブバケット31(掘削手段)は、開閉動作の手段として例えば油圧シリンダを有している。
グラブバケット31が開いた状態を図6(a)に示す。この状態では、バケット32底部は開口している。
グラブバケット31が開いた状態から閉じるときの動作を図6(b)および図8に示す。このときの一連の動作(開いた状態から閉じる動作)を通じて、その先端の掘削爪によって海底地盤が掘削されるとともに、グラブバケット31の内側およびバケット32内に掘削土砂を取り込むことができる。
グラブバケット31と掘削兼攪拌混合翼35を併用して海底地盤を掘削している状態を図6(c)に示す。この掘削兼攪拌混合翼35を併用した掘削では、バケット32内の掘削兼攪拌混合翼35が一時的に下降し、バケット32底部の開口部から突き出た状態で海底地盤を回転掘削している。
グラブバケット31が閉じた状態を図6(d)に示す。この状態では、バケット32底部は閉じて、該バケット32は密閉されている。バケット32内に掘削土砂を取り込んでからグラブバケット31を閉じた場合には、該バケット32は密閉されて、該掘削土砂はバケット32内に閉じ込められることになる。
掘削兼攪拌混合翼35(攪拌混合手段)は、図9に示すように、横向きの軸部材37と、該横向き軸部材に固設された複数のブレード状部材39と、を有しており、また、図7に示すようにバケット32内で昇降可能に設けられている。
また、この掘削兼攪拌混合翼35は、図9に例示するように、縦向きロッド27の回転を横向き軸部材37に伝達するためのギアボックス34(回転方向変換手段)を有している。なお、図9に示すギアボックスは回転方向変換手段の一例であって、利用可能な回転方向変換手段は必ずしもこれに限定されない。
上記構成の掘削兼攪拌混合翼35は、主として、
・グラブバケット31(掘削手段)によってバケット32内に取り込んだ掘削土砂、
・一対のケーシングパイプ21,21を介してバケット32内に投入された改良材、
を攪拌混合する役割を担っている。
また図6(c)に示すように、必要に応じて、バケット32底部の開口部から突き出して、海底地盤を掘削するといった役割を担っている。
(埋め戻し材投入装置)
埋め戻し材投入装置7は、リーダ3に沿って昇降自在に設けられており、掘削兼攪拌混合装置5(掘削手段)による掘削で生じた掘削孔に、埋め戻し材を投入する役割を担っている。
この埋め戻し材投入装置7は、図3(c)、図5、図10に示すように、
・埋め戻し材をガイドする略パイプ状のシュート41と、
・シュート41内に改良材を投入するための埋め戻し材投入口43と、
・リーダ3に対してスライド可能に設けられたシュート振れ止め金物45と(図3(c))、
を有している。
シュート41の上端側はワイヤーロープ46に連結されている。当該ワイヤーロープ46を上下方向で操作することでシュート41を含む埋め戻し材投入装置7の全体がリーダ3に沿って昇降する。そのときシュート41が振れないように、シュート振れ止め金物45がリーダ3によってガイドされる。
シュート41の下端側は、図5に示すように正面視で拡径しており、また、その上端側は略Y字状に分岐している。略Y字状に分岐したシュート41上端のそれぞれに、埋め戻し材投入口43が設けられている。
(昇降式バケット)
図3に示すように、作業船1の船首側にリーダ3が立設されており、このリーダ3の側面に設けられたガイドレールに沿って、改良材や埋め戻し材などの材料投入用の昇降式バケット9が昇降する。この昇降式バケット9は、掘削兼攪拌混合装置5の改良材投入口23に改良材を投入する役割を担うとともに、埋め戻し材投入装置7の埋め戻し材投入口43に埋め戻し材(改良材)を投入する役割を担う。
昇降式バケット9への改良材/埋め戻し材の充填は、計量ホッパー11を介して行われる。作業船1に設けられた砂箱13には改良材/埋め戻し材が収容されており、ベルトコンベアー15を介して計量ホッパー11へ搬送される。
(掘削兼攪拌混合装置の機能・作用の概要)
次に、図11および図12に基づいて、上述した作業船1が具備する掘削兼攪拌混合装置5の機能・作用の概要について説明する。
掘削兼攪拌混合装置5は、図11に示すとおり、
(a) 油圧駆動式のグラブバケット31(掘削手段)で海底地盤を掘削し、
その際、必要に応じて、掘削兼攪拌混合翼35による回転掘削を併用し、
(b) 掘削した土砂をバケット32内に取り込んで密閉し、海中で別の場所まで移動させ、
(c) バケット32内に取り込んだ掘削土砂を、任意の場所・任意のタイミングで、該バケットから海底地盤へ向けて排出する、
といった機能・作用を発揮する。
また、掘削兼攪拌混合装置5は、図12に示すとおり、
・海底地盤を開閉式のグラブバケット31で掘削してバケット32内に取り込み、
・グラブバケット31を閉じてバケット32を密閉して、掘削土砂をバケット32内に閉じ込め、
・ケーシングパイプ21を介して、改良材(改質材、浄化材、不溶化材など)をバケット32内に投入し、
・バケット32内に取り込んで閉じ込めた掘削土砂と、バケット32内に投入した改良材とを、掘削兼攪拌混合翼35を使ってバケット32内で攪拌混合する、
といった機能・作用を発揮する。
なお、図12では、改良材の具体例として、改質材、浄化材、不溶化材を記載している。
(埋め戻し材投入装置の機能・作用の概要)
次に、図13に基づいて、上述した作業船1が具備する埋め戻し材投入装置の機能・作用の概要について説明する。
埋め戻し材投入装置7は、図13に示すとおり、別工程の掘削で生じた海底地盤の掘削孔に、シュート41を介して埋め戻し材を投入し、該埋め戻し材で掘削孔を埋め戻す、といった機能・作用を発揮する。
(作業船の用途)
上述した構成を具備し、上述した機能・作用を発揮する作業船は、海底地盤の改良や海底環境の改善を目的とした各種土木工事で利用することができる。具体的には、「潜堤築造」、「浅場造成」、「汚染土措置」などの海上土木工事で利用することができる。
「潜堤築造」のイメージを図14に示す。
図14(a)に示すような航路や泊地を確保するにあたって、海底地盤を浚渫する際には、本発明を利用して図14(b)や図14(c)に示すような潜堤を築造する。
図14に例示する実施形態において、潜堤は主として、改質材による埋め戻し部と、その上に覆い被さるように設けられた改質土と、で構成されており、改質土によって土留め行っている。改質材は改良材の一種である。改質土は、改質材と浚渫土砂(掘削土砂)とを攪拌混合して得られたものである。
なお、本発明において、改質材は特に限定されず、鉄鋼スラグ、セメント、セメント系固化材、生石灰、石灰系固化材など土質改良効果を備える材料であれば問わない。
本発明を利用してこのような潜堤を築造することで、例えば図14(b)に示すように、法面部の浚渫土砂の有効活用により浚渫土量の低減が期待できる。また、例えば図14(c)に示すように、浚渫頻度の低減が期待できる。
また、「浅場造成」または「汚染土措置」のイメージを図15に示す。
図15(a)に示すような海底地盤に浅場を造成する際には、本発明を利用して、図15(b)に示すような浅場を造成する。図15(b)に例示する実施形態において、浅場は主として、改質材による埋め戻し部と、その上に覆い被さるように設けられた改質土と、で構成されている。改質材は改良材の一種である。改質土は、改質材と浚渫土砂(掘削土砂)とを攪拌混合して得られたものである。
また、海底地盤が汚染されている場合には、本発明を利用して、図15(c)に示すような汚染土措置を施す。
本発明を利用して、図15(b)に示すような浅場を造成することで、例えば、改質土の水硬性により潮流または波浪の影響で消失しにくい浅場を造成することが可能になる。
また、本発明を利用して、図15(c)に示すような汚染土措置を施すことで、浄化または不溶化を目的として海底地盤に浄化材または不溶化材を混合することができる。
また、本発明は、図16に示すような「深堀区域の埋め戻し」にも利用することが可能である。
本発明を利用して改良材(改質材)による埋め戻し(乾燥状態で投入)を行うことで、例えば、埋め戻し時の汚濁低減といった優れた効果が達成される。
(水底地盤の改良方法の第1実施形態)
次に、前述した特徴を具備する作業船を用いた、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の具体例として、「潜堤築造」および「浅場造成」を挙げて、本発明の具体的実施形態について説明する。なお、本実施形態では、施工に用いる改良材および埋め戻し材の具体例として、改質材を挙げる。
はじめに、図17〜図20に基づいて、施工方法の概要について説明する。
潜堤築造または浅場造成では、施工ポイントの海上に作業船を移動させ、図17や図18に示すように海底地盤に潜堤を築造する、あるいは浅場を造成する。
施工の際には、前述したアンカーワイヤー2を操作することで(図2参照)、作業船を所望の位置に移動させ位置決めできるので、図19に例示するように、施工方向を自由自在に制御することが可能である。
したがって、潜堤築造および浅場造成の施工パターンは特に限定されず、例えば図20の平面図に例示するように、ブロック施工、直線施工、斜め施工など、必要に応じて種々の施工パターンを採用することができる。また、複数種の施工パターンを組み合わせることも可能である。
次に、図21A、図21Bに基づいて、施工手順を具体的に説明する。
なお、次に述べる工程a〜mは、図21Aおよび図21Bに示す工程(a)〜(m)に対応している。
工程a
ケーシングパイプ21を介してバケット32内に圧縮空気を送り込んで、該バケット内の海水を排水し、バケット内を空洞にする。すなわち、空気圧によりバケット32内に海水の無い空間を確保する。以後、空気圧の作用によってバケット32内に海水が流れ込まない状態が保持される。
工程b
ケーシングパイプ21の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29を、所定位置の海底地盤に押し付ける。そして、バケット32先端にある油圧駆動式のグラブバケット31(掘削手段)により、所定位置の海底地盤を掘削する。
工程c
必要に応じて掘削兼攪拌混合翼35を下げて掘削補助として使用する。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35をバケット32底部の開口部から突き出し、回転駆動させる。
なお、この工程は省略してもよい。
工程d
バケット32の先端にあるグラブバケット31(掘削手段)の開閉を繰り返し、掘削土砂をバケット32内に取り込む。なお、工程a以降、バケット32内は圧縮空気によって加圧され続けているので、該バケット32内に海水が水圧で流れ込むことはない。以後も同様である。
工程e
必要量の掘削土砂をバケット32内に取り込んだら、該バケット先端のグラブバケット31(掘削手段)を閉じる。これによりバケット32が密閉され、バケット32内に取り込んだ掘削土砂がバケット周囲の海水から隔離される。
工程f
バケット32底部(グラブバケット31)を閉じたまま掘削兼攪拌混合部29の全体を引き抜き、所定量の改質材をケーシングパイプ21を介してバケット32内に投入する。そして、バケット32内の掘削兼攪拌混合翼35を回転させつつ、バケット32内で上下動させて、「バケット32内に取り込んだ掘削土砂」と「バケット32内に投入した改質材」とを攪拌混合する。これらをバケット32内で攪拌混合することで、揚土することなくその場で、すなわち水中のバケット32内で「改質土」が製造される。
工程g
掘削兼攪拌混合部29(バケット32)を引き抜いた後にできた掘削孔を埋め戻すため、アンカーワイヤー2を利用して操船し、埋め戻し材投入装置7のシュート41下端を、掘削孔の真上に位置決めする。
工程h
埋め戻し材投入装置7のシュート41を所定位置まで下げ、該シュートを介して改質材を掘削孔に投入する。
工程i
アンカーワイヤーを利用して操船し、掘削孔に投入された改質材位置に、再びバケット32下端を合わせる。バケット32下端のグラブバケット31は閉じた状態とする。
工程j
バケット32を下げ、その下端のグラブバケット31で、掘削孔に投入された改質材を圧縮して締め固め、支持力の増強を図る。
工程k
掘削孔に投入された改質材高さが、所定深度(在来地盤高さ)になるまで、上記工程g〜jを繰り返す。
工程l
上記工程fで攪拌混合して得た改質土(取り込んだ掘削土砂と投入した改質材とを攪拌混合したもの)を、掘削孔を埋めている改質材の真上で排出する。
工程m
以上の工程を経て、改質土による潜堤築造または浅場造成が完了する。
築造された潜堤、造成された浅場は、図21Bの工程(m)に示すとおり、掘削孔を埋める改質材(締め固められた改質材)と、その上に覆い被さるように設けられた改質土と、で構成される。改質土は、原位置の掘削土砂を有効活用して海水中(海水が排出されたバケット32内)で製造されたものである。
(水底地盤の改良方法の第2実施形態)
次に、前述した特徴を具備する作業船を用いた、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の具体例として、「海底汚染土の浄化措置」および「海底汚染土の不溶化措置」を挙げて、本発明の具体的実施形態について説明する。なお、本実施形態では、施工に用いる改良材の具体例として、浄化材、不溶化材を挙げる。
はじめに、図22〜図25に基づいて、施工方法の概要について説明する。
浄化措置または不溶化措置の施工では、施工ポイントの海上に作業船を移動させ、図22や図23に示すように海底汚染土に対して浄化措置を施す、あるいは不溶化措置を施す。
施工の際には、前述したアンカーワイヤー2を操作することで(図2参照)、作業船を所望の位置に移動させ位置決めできるので、図24に例示するように、施工方向を自由自在に制御することが可能である。
したがって、浄化措置および不溶化措置の施工パターンは特に限定されず、例えば図25の平面図に例示するように、ブロック施工、直線施工、斜め施工など、必要に応じて種々の施工パターンを採用することができる。また、複数種の施工パターンを組み合わせることも可能である。
次に、図26A、図26Bに基づいて、施工手順を具体的に説明する。
なお、次に述べる工程a〜hは、図26Aおよび図26Bに示す工程(a)〜(h)に対応している。
工程a
ケーシングパイプ21を介してバケット32内に圧縮空気を送り込んで、該バケット内の海水を排水し、バケット内を空洞にする。すなわち、空気圧によりバケット32内に海水の無い空間を確保する。以後、空気圧の作用によってバケット32内に海水が流れ込まない状態が保持される。
工程b
ケーシングパイプ21の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29を、所定位置の海底地盤に押し付ける。そして、バケット32先端にある油圧駆動式のグラブバケット31(掘削手段)により、所定位置の海底地盤を掘削する。
工程c
必要に応じて掘削兼攪拌混合翼35を下げて掘削補助として使用する。すなわち、掘削兼攪拌混合翼35をバケット32底部の開口部から突き出し、回転駆動させる。
なお、この工程は省略してもよい。
工程d
バケット32の先端にあるグラブバケット31(掘削手段)の開閉を繰り返し、掘削土砂をバケット32内に取り込む。なお、工程a以降、バケット32内は圧縮空気によって加圧され続けているので、該バケット32内に海水が水圧で流れ込むことはない。以後も同様である。
工程e
必要量の掘削土砂をバケット32内に取り込んだら、該バケット先端のグラブバケット31(掘削手段)を閉じる。これによりバケット32が密閉され、バケット32内に取り込んだ掘削土砂がバケット周囲の海水から隔離される。
工程f
バケット32底部(グラブバケット31)を閉じたままの状態で、所定量の改良材(浄化措置の場合には浄化材、不溶化措置の場合には不溶化材)をケーシングパイプ21を介してバケット32内に投入する。
工程g
バケット32内への改良材の投入後、バケット内の掘削兼攪拌混合翼35を回転させつつ、バケット32内で上下動させて、「バケット32内に取り込んだ掘削土砂」と「バケット32内に投入した改良材」とを攪拌混合する。これらをバケット32内で攪拌混合することで「措置土砂」が製造される。「措置土砂」とは、浄化措置の場合には浄化材によって浄化措置が施された土砂であり、不溶化措置の場合には不溶化材によって不溶化措置が施された土砂である。
工程h
続いて、充分に攪拌混合された措置土砂を元の場所(掘削土砂を取り込んだ場所)に埋め戻す。以上の工程を経て、海底汚染土の浄化措置または不溶化措置が完了する。
(バケット内圧力制御システム)
次に、図27〜図29に基づいて、本発明に係る作業船が具備する「バケット内圧力制御システム」の具体例について説明する。
図27は、本発明に係る作業船が具備するバケット内圧力制御システムを示す、概略構成図、側面図、正面図である。なお、システム構成の特徴を容易に理解できるように、図27(a)には、システム構成の要部のみを概略的に図示する。
図28は、バケット内圧力制御システムの機能作用を示す図である。
図29は、施工時におけるバケット内圧力制御システムの機能作用を具体的に示す図である。
なお、図27〜図29において、前述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、また、その具体的構成や機能作用についての詳細説明を省略するとともに、前述した説明を援用する。
前述したとおり、本発明に係る施工方法では、ケーシングパイプ21を介してバケット32内に圧縮空気を送り込むことを特徴の一つとしている(図21Aの工程(a)、図26Aの工程(a)を参照)。そして、本実施形態のバケット内圧力制御システムは、作業船が具備するバケット内の空気圧(バケット32内に送り込まれた圧縮空気の圧力)を制御する役割を担っている。
本実施形態のバケット内圧力制御システムは、図27に示すとおり、主として、
・バケット32内に圧縮空気を送るためのエアーポンプ51と、
・バケット32内の空気圧を制御するための排気路53と、
・排気路53の先端排気口を水中で上げ下げするための昇降モーター55(昇降手段)を
具備している。
排気路53は、全体として、バケット32内の空気圧をバケットの外部(海水中)にガイドするように設けられている。この排気路53は、水中排気管56と、排気バイパス管57と、排気ホース58と、水中排気管バルブ59を含んで構成されている。
水中排気管56の先端にある水中排気口60は、作業船を用いた施工時に海水中に水没した状態にあり、当該水中排気管56は、この状態で昇降モーター55によって上げ下げ可能に設けられている。水中排気管56の上下動の距離は特に限定されないが、例えば、バケット32の上端と下端の深度範囲内の距離で水中排気口60を上下動(縦方向の移動が)できるように、水中排気管56の長さやと昇降モーター55などを設定する。
排気バイパス管57は、バケット32内の空気圧(圧縮空気)をバケット外部の水中排気管56にガイドする役割を担っている。排気バイパス管57の一端はバケット32内(上端)に接続され、他端は、水中排気管バルブ59と排気ホース58を介して水中排気管56に接続されている。
排気ホース58は、可撓性の耐圧耐水ホースで構成されており、その一端は水中排気管バルブ59に接続され、他端は水中排気管56に接続されている。なお、水中排気管56が上下動する際には、排気ホース58はその動きに追従するので、水中排気管56の動作によって両者の接続が外れることはない。
上記システム構成において、エアーポンプ51からバケット32内に送り込まれた圧縮空気は、バケット内に収容されて、その空気圧によって海水をバケット外に押し出す。この点は前述した実施形態と同様である。
一方、バケット32内に収容された圧縮空気は、排気バイパス管57によってガイドされ、更に、水中排気管バルブ59と排気ホース58を介して、水中排気管56にガイドされる。したがって、水中排気管バルブ59が開いている状況下で、エアーポンプ51から圧縮空気が圧送されている間は、バケット32内の圧縮空気は排気路53によってガイドされて、水中排気口60から水中へ排気され続ける。
次に、図28に基づいて、バケット内圧力制御システムの機能作用について説明する。
図28(a)に示すように、バケット32下端位置の深度に水中排気口60を位置決めした水中排気管56を、昇降モーター55によって上昇させると、これに連動して、バケット内水位も上昇する。逆に、バケット上端位置の深度に水中排気口60を位置決めした水中排気管56を、昇降モーター55によって下降させると、これに連動して、バケット内水位も下降する。すなわち、水中排気口60(水中排気管56)の上下動に連動して、バケット内水位が上下動する。
このように本実施形態に係るシステムを採用して、水中排気管先端(水中排気口60)の深度の管理を行うことで、掘削土砂の取込および改質土の排出に対し、深度に応じた水圧を基準とした気圧管理が可能となる。また、過剰な圧気により海底に汚濁を発生させることがない、といった効果が達成される。
また、図28(b)に示すように、バケット32内への軟弱地盤取込に従いバケット内空間が減少するが、バケット内の空間圧力は、水中排気管先端(水中排気口)における水圧と同じである。すなわち、本実施形態に係るシステムを利用することで、バケット内の気圧の管理が容易になる。
次に、図29に基づいて、施工時におけるバケット内圧力制御システムの具体的機能作用について説明する。
図29(a)は、エアーポンプ51によってバケット32内に送り込まれた圧縮空気の押し出し作用によって、バケット内の海水が外部に排出され(押し出され)、また、バケット内への海水の流入が妨げられている。この状態では、バケット下端における水圧と、バケット内の気圧が、均衡している。
次に、図29(a)に示す状態から、図29(b)に示すようにバケット32内に掘削土砂を取込む場合を想定する。
この想定下で、前述した水中排気無しで掘削土砂の取込を行う場合には、バケット内部の気圧が体積の減少とともに上昇し、掘削土砂取込の障害となる。
つまり、バケット内に取り込む土砂がピストンの如く作用し、また、バケットがシリンダの如く作用して、バケット内の気圧が土砂取込時に上昇し、これが掘削土砂取込の障害となる。
一方、本実施形態では、図29(c)に示すように水中排気しながら掘削土砂をバケット32内に取り込むため、図29(b)に示すようなバケット内部気圧の変化は生じず、掘削土砂の取込障害は発生しない。
次に、本実施形態のバケット内圧力制御システムとこれを利用した施工方法によって達成される優れた効果をまとめると次のとおりである。
上述したシステムを利用することで、バケット内の空気圧を簡単に制御することができる。また、このような制御が可能になれば、掘削土砂をバケット内に取り込む際などに、必要に応じてバケット内の空気圧を減圧することが可能になる。すなわち、バケット内の空気圧を自在に制御することで、バケット内圧力が掘削土砂の取り込みを妨げるといった事態を回避することができる。
すなわち、図29(b)に示すようにバケット内の圧縮空気をバケット外部に排気しない場合には、土砂取込時のバケット内の空気体積の減少(圧縮)とともに、バケット内部の気圧が上昇し、土砂の取込の障害となるおそれがある。しかし、図29(c)に示すようにバケット内の圧縮空気をバケット外部に排気することで、このような、バケット内部の気圧上昇に起因する土砂取込障害を回避することができる。
また、このようなシステム構成であれば、(バケット内に通ずる)排気路の排気口を水中で上げ下げすることで、それに連動して、バケット内の空気圧が上下するので、バケット内圧力の制御が簡単である。また、このような機能を簡単なシステム構成で実現することができる。
また、上述したシステムはエアーポンプを具備しているため、バケット内に送り込んだ圧縮空気の圧力によって、バケット内への水の流入を簡単に妨げることができる。また、バケット内に周囲の水が進入している場合には、その空気圧によって、バケット内の水をバケット外に排出する(空気圧によって押し出す)ことができる。
(バケット構造)
次に、図30、図31に基づいて、本発明に係る作業船が具備する「バケット構造」の具体例について説明する。
図30は、本発明に係る作業船が具備するバケット構造を示す図であって、図30(a)は可動式底板が開いた状態(シェルが開いた状態)を示しており、図30(b)は可動式底板の動作の軌跡を示しており、図30(c)は可動式底板が閉じた状態(シェルが閉じた状態)を示している。
図31は、シェルが開いた状態のバケット構造を比較する比較図であって、図31(a)は一般的構造のバケットを示しており、図31(b)は本実施形態に係るバケット構造を示しており、図31(c)は本実施形態の変形例に係るバケット構造を示している。
本実施形態に係るバケット32bは、図30に示すように、主として、
・掘削土砂を内側に収容可能なバケット本体71と、
・一対のシェル73,73を含んで構成されるグラブバケット31bを
有している。
バケット本体71は、前述した各実施形態のバケットが具備するものと同様である。
グラブバケット31bは、掘削土砂をバケット本体71に取り込むための一対のシェル73,73を具備している。
一対のシェル73,73はそれぞれ、バケット本体71の下端に回動可能に取り付けられている。各シェル73は、動くことが無い固定された底板75と、開口可能な可動式の底板76を具備している。可動式底板76は、図31(b)の下に例示するように、固定底板75に対してヒンジ77を介して連結されている。すなわち、可動式底板76は、ヒンジ77を軸として開閉動作できるように、固定底板75に対して取り付けられている。
また、各シェル73が具備する可動式底板76は、シェルが開くときの動作に連動して、当該可動式底板が開くように設けられ、かつ、シェル73が閉まるときの動作に連動して、当該可動式底板が閉まるように設けられている。なお、このような連動を可能する構造として例えばバネを採用することができる。
図30(c)に示すように、シェル73が閉まった状態では、可動式底板76は閉じており、一般的なシェルと同様に機能する。
一方、図30(a)に示すように、シェル73が開いた状態では、可動式底板76は開いている。すなわち、ヒンジ77を軸として立ち上がる方向に回動している。この状態で、各可動式底板76は外側に開き(外側に回動して)、その結果、シェル73の底部が図30(a)に示すように大きく開口する。
次に、図31に基づいて、本実施形態に係るバケット構造の効果について説明する。
なお、図31に記載した数値は、本実施形態の効果を分かり易くするために一例として記載したものであり、バケット構造の構造や機能はこれに限定されるものではない。
図31(a)に示す従来のバケット構造と、図31(b)に示す本実施形態のバケット構造を比べると、本実施形態の方が、シェルを開いた状態での開口幅(一対のシェルの底部における開口幅)が明らかに大きいことが分かる。すなわち、本実施形態の場合では、シェルを開いた状態で、可動式底板を開放させているので、グラブバケット全体の開口幅を大きくすることができる。
したがって、このようなバケット構造を採用することで、シェルの先端側のみならず、シェルの底板側も幅広く開口するので、一度により多くの掘削土砂をバケット本体内に取り込むことができ、土砂取り込み時の作業効率が良くなる。
また、シェルの底板側が大きく開くことで、開口したシェルの底板を通じて、上下可動式の掘削手段(例えば図6に示す掘削兼攪拌混合翼35)を、当該シェルの前方(下方)に突き出すことができる(図6(c)に示す如く)。
また、シェルの底板側が大きく開口することで、前述した上下可動式の掘削手段(例えば図6に示す掘削兼攪拌混合翼35)のサイズをより大きなもので構成することが可能になり、掘削効率の更なる向上が期待できる。
また、本実施形態では、シェルの開閉に連動する可動式底板を採用しているので、当該可動式底板の開閉操作が不要になり、作業効率が良くなる。
なお、上述した実施形態では、各シェルが具備する可動式底板を、単体(1段)で構成しているが、必ずしもこのような構成に限定されず、それぞれの可動式底板を図31(c)に示すように2枚(2段)または3枚以上の複数の底板(複数段)で構成することも可能である。
(作業船の第2実施形態)
次に、図32〜図34に基づいて、本発明に係る作業船の第2実施形態について説明する。
なお、第2実施形態に係る作業船は、前述した図27に示す特徴(バケット内圧力制御システム)を具備することを前提としている。
図32は、第2実施形態に係る作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置を示す側面図と正面図である。なお、前述した第1実施形態に係る作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置を示す側面図と正面図は、図6及び図7に示すとおりである。
図33は、図32に示す掘削兼攪拌混合装置が具備する圧力差開閉弁(制御弁)の開閉動作を示す図である。
図34は、図32に示す掘削兼攪拌混合装置が具備する圧力差開閉弁(制御弁)の施工時における機能作用を示す図である。
なお、図32〜図34において、前述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、また、その具体的構成や機能作用についての詳細説明を省略するとともに、前述した説明を援用する。
以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第2実施形態に係る作業船が具備する掘削兼攪拌混合装置5bは、第1実施形態と同様に、主として、所定位置の海底地盤を掘削する「掘削装置」としての機能と、掘削土砂と改良材とを攪拌混合する「攪拌混合装置」としての機能を兼ね備えた装置である。
掘削兼攪拌混合装置5bは、作業船のリーダに沿って昇降自在に設けられており、
・改良材をバケット32内に導くための送給路である一対のケーシングパイプ21b(バケット用送給路)と、
・ケーシングパイプ21b内に改良材を投入するための改良材投入口23と、
・改良材投入口23を開け閉めするための投入口弁24と、
・回転駆動装置であるオーガーモーター25と、
・該モーターの動力を掘削兼攪拌混合部29内の掘削兼攪拌混合翼35(攪拌混合手段)に伝達するためのロッド27と、
・ケーシングパイプ21bおよびロッド27の下端に設けられた掘削兼攪拌混合部29と、を有している。
本実施形態において、一対のケーシングパイプ21b(バケット用送給路)は、改良材を水中のバケット32内に送り込む役割を担っている。バケット32内に送り込まれた改良材は、バケット内に取り込んである掘削土砂に対して攪拌混合される。
各ケーシングパイプ21b(バケット用送給路)は、図32に示すとおり、
・バケット32へ送給する予定の改良材を一時的に保持可能な材料保持部81と、
・材料保持部81より下方に位置し、バケット32へ通ずる材料ガイド部83と、
・材料保持部81と材料ガイド部83の間に設けられた圧力差開閉弁(制御弁)85と、
を具備している。
材料保持部81は、ケーシングパイプ21bの一部であって上方に位置する管状部である。
材料ガイド部83(材料通過部)は、ケーシングパイプ21bの一部であって下方に位置する管状部である。
圧力差開閉弁85は、材料保持部81下端と材料ガイド部83上端の間に位置し、バケット32内からガイドされた空気圧を利用して動作するように設けられている。なお、バケット32内の空気圧は、図27との関係で前述したとおり、エアーポンプからバケットに向けて供給されている。
圧力差開閉弁85は、図34(a)に示すとおり、開閉可能な弁体87(圧力弁)ほか、開閉動作を可能にするためのヒンジ88とウエイト89を具備している。ウエイト89の重量や取付位置については、バケット32内と材料保持部81内の間に圧力差が無い状態のときに、図34(a)に示す如く材料保持部81下端と弁体87との間に隙間ができるように(弁体87が半開きの様な状態になるように)設定されている。
また、本実施形態の作業船は、圧力差開閉弁85を動作させるための構成として、
・バイパス管91,92(バイパス)と、
・バイパス管バルブ93(第2の制御弁)を
具備している。
バイパス管91,92は、圧力差開閉弁85の動作に利用するバケット32内の空気圧を、ケーシングパイプの材料保持部81に導く役割を担う。具体的には、このバイパス管91,92は、バケット32内の気圧(圧力差開閉弁85より下の気圧)と、材料保持部81の内圧(圧力差開閉弁85より上の気圧)を、必要に応じて同圧にするために用いられる。
バイパス管バルブ93(第2の制御弁)は、バイパス管91,92の間に設けられており、圧力差開閉弁85(制御弁)が動作するタイミングを制御する役割を担う。
上記構成において、圧力差開閉弁85が閉弁状態にあるとき、改良材は、ケーシングパイプの材料保持部81において保持される。一方、圧力差開閉弁85が開弁状態にあるとき、改良材は、ケーシングパイプの材料保持部81から放出されて、材料ガイド部83を介してバケット32に送り込まれる。
次に、図33に基づいて、圧力開閉差弁85の開閉動作について説明する。
図33(a)は、圧力開閉差弁85が閉まった状態(閉弁状態)を示している。
この閉弁状態で、投入口弁24は開いており、バケット32・材料保持部81間のバイパス管(バイパス管バルブ93)は閉じている。
バケット32から材料ガイド部83を介してガイドされた気圧が、材料保持部81内の気圧を上回っている場合に、圧力開閉差弁85は図33(a)に示すように閉じることになる。
図33(b)は、圧力開閉差弁85が開いた状態(開弁状態)を示している。
この開弁状態で、投入口弁24は閉じており、バケット32・材料保持部81間のバイパス管(バイパス管バルブ93)は開いている。
バケット32から材料ガイド部83を介してガイドされた気圧と、材料保持部81内の気圧が同圧になった場合に、圧力開閉差弁85は図33(b)に示すように開くことになる。
次に、図34に基づいて、施工時における圧力開閉差弁85の開閉動作について具体的に説明する。
図34(a)は、施工開始前の状態を示している。
この状態では、バケット32内と材料保持部81内のいずれにも、空気圧は作用しておらず、すなわち、両者のあいだに圧力差は無い。そして、ウエイト89の作用によって、材料保持部81下端と弁体87との間には隙間が空いている。
図34(b)は、施工開始後、エアーポンプによってバケット32内に圧縮空気を送り込んだ結果、バケットからの気圧と材料保持部81内の気圧との間に差が生じ、バケットからの空気圧(押し上げ力)によって弁体87が閉じている状態を示している。
この閉弁状態では、投入口弁24は開いており、バケット32・材料保持部81間のバイパス管(バイパス管バルブ93)は閉じている。
図34(c)は、図34(b)の状態の後、改良材投入口23を介して材料保持部81に改良材を投入した状態を示している。
この状態では、材料保持部81にある改良材の重量(W)が、バケット32からの空気圧(押し上げ力)を下回るため、弁体87が閉じた状態を保っている。すなわち、圧力差開閉弁85が閉じた状態を保ち、投入された改良材がケーシングパイプの材料保持部81に一時的に保持されている。
図34(d)は、図34(c)の状態の後、投入口弁24を閉じ、バケット32・材料保持部81間のバイパス管(バイパス管バルブ93)を開いたときの動作を示している。
このとき、改良材の重量(W)に材料保持部81の内圧が加わった力が、バケット32からの空気圧(押し上げ力)を上回るため、バケットからの空気圧に抗して図34(d)に示すように弁体87が開くことになる。すなわち、改良材の重量(W)を受けて圧力差開閉弁85が開いて、材料保持部81に保持されていた改良材が自重で落下し、材料ガイド部83を介してバケット32内に供給される。
図34(e)は、図34(d)の状態で材料保持部81から改良材が放出された後、バケット32・材料保持部81間のバイパス管(バイパス管バルブ93)を閉じるとともに、投入口弁24を開けた状態を示している。この状態では、バケット32からの空気圧(押し上げ力)が材料保持部81内の気圧(大気圧)を上回っているため、弁体87が閉じている。図34(b)に示す状態と同じである。
以後は、必要量の改良材の投入を終えるまで、図34(c)〜図34(e)に示す工程を必要回数繰り返す。
次に、上述した特徴を具備する作業船によって達成される優れた効果をまとめると次のとおりである。
図27〜図29等との関係で説明したとおり、本発明では、バケット内に圧縮空気を送り込むようになっているため、その空気圧(バケット内圧力)がケーシングパイプに作用して、バケットへの改良材の投入を妨げるおそれがある。
そこで、本実施形態では、ケーシングパイプの一部を「材料保持部」で構成し、他の一部を「材料ガイド部」で構成している。上方に位置する「材料保持部」は、バケットへ送給予定の改良材を一時的に保持する役割を担い、その下方に位置する「材料ガイド部」はバケットへ通じている。
そして、材料保持部と材料ガイド部の間に圧力差開閉弁を設けて、閉弁状態では、改良材が、上方の材料保持部で一時的に保持されるようにし、また、開弁状態では、改良材が材料保持部から送り出されて、その下方の材料ガイド部を介してバケットに送り込まれるようにしている。
したがって、ケーシングパイプが上記特徴を具備することにより、バケット内の空気圧によってバケット内への改良材の送給を妨げられることがない。すなわち、バケット内の空気圧にかかわらず、必要量の改良材をケーシングパイプを通じてバケット内に確実に送り込むことが可能になる。
また、本実施形態によれば、バケット内の圧気を減圧させることなく、改良材をバケットに向けて投入することができるので、本実施形態の特徴を具備しない場合に比べて、効率良く作業を進めることができる。
また、本実施形態によれば、圧力差開閉弁(制御弁)を動かすための専用の動力源を新たに設ける必要がなく、装置構成の複雑化を避けることができる。すなわち、前述した機能を簡単で安価な構成で達成することができる。
これにより、圧力差開閉弁(制御弁)の開閉を簡単に行うことができ、また、改良材をバケット内に送り込むタイミングを簡単に制御することが可能になる。
最後に、上述した実施形態は、特許請求の範囲に記載した本発明の例示であって、本発明の形態は必ずしもこれに限定されるものではない。すなわち、上述した実施形態では、本発明に係る海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の具体例として、「潜堤築造」、「浅場造成」、「海底汚染土の浄化措置」、「海底汚染土の不溶化措置」、「深堀区域の埋め戻し」といったものを具体例として挙げたが、これらは、海底地盤の改良や海底環境の改善の施工方法の例示であって、本発明の技術的範囲はこれらの実施形態に限定されるものではない。
また、本発明の用途は、海底地盤の改良に限定されるものではなく、川底の地盤改良や、湖底の地盤改良にも利用可能である。
1 作業船(地盤改良船)
2 アンカーワイヤー
3 リーダ
5 掘削兼攪拌混合装置
5b 掘削兼攪拌混合装置
7 埋め戻し材投入装置
9 昇降式バケット
11 計量用ホッパー
13 砂箱(材料収容箱)
15 ベルトコンベアー
21 ケーシングパイプ(バケット用送給路/バケット用流路)
21b ケーシングパイプ(バケット用送給路/バケット用流路)
23 改良材投入口(材料投入口)
24 投入口弁
25 オーガーモーター(回転駆動装置)
26 ワイヤーロープ
27 ロッド
29 掘削兼攪拌混合部(攪拌混合手段)
31 グラブバケット(掘削手段)
31b グラブバケット(掘削手段)
32 バケット
32b バケット
34 ギアボックス(回転方向変換手段)
35 掘削兼攪拌混合翼
37 横向きの軸部材
39 ブレード状部材
41 シュート(ケーシングパイプ)
43 埋め戻し材投入口(材料投入口)
45 シュート振れ止め金物
46 ワイヤーロープ
51 エアーポンプ
53 排気路
55 昇降モーター(昇降手段)
56 水中排気管
57 排気バイパス管
58 排気ホース
59 水中排気管バルブ
60 水中排気口
71 バケット本体
73 シェル
75 固定底板
76 可動式底板
77 ヒンジ
81 材料保持部(材料保持管)
83 材料ガイド部(材料ガイド管/材料通過部)
85 圧力差開閉弁(制御弁)
87 弁体(圧力弁)
88 ヒンジ
89 ウエイト
91 バイパス管(バイパス)
92 バイパス管(バイパス)
93 バイパス管バルブ(第2の制御弁)

Claims (19)

  1. 作業船を利用した水底地盤の改良方法であって、
    上げ下げ可能に設けられたバケットの先端で、水底地盤を掘削する工程と、
    バケット内を圧縮空気で加圧することによってバケット内への水の流入を妨げた状態で、該バケット内に掘削土砂を取り込む工程と、
    バケット内に取り込んだ前記掘削土砂を、水上に揚土することなく、該バケット内で改良材と攪拌混合する工程と、
    を含むことを特徴とする水底地盤の改良方法。
  2. 作業船を利用した水底地盤の改良方法であって、
    上げ下げ可能に設けられたバケットの先端で、水底地盤を掘削する工程と、
    バケット内から水を排出する工程と、
    バケット内に掘削土砂を取り込む工程と、
    バケット内に取り込んだ前記掘削土砂を、水上に揚土することなく、該バケット内で改良材と攪拌混合する工程と、
    を含むことを特徴とする水底地盤の改良方法。
  3. 前記バケットによる掘削で生じた掘削孔を埋め戻す工程を更に含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の水底地盤の改良方法。
  4. 前記改良材を、バケット用送給路を介して水中のバケット内に送り込む、ことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の水底地盤の改良方法。
  5. バケット内で掘削土砂と改良材を攪拌混合して得られた改良土を、掘削した水底地盤に向けて排出する工程を更に含む、ことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の水底地盤の改良方法。
  6. バケット内に送り込んだ圧縮空気によって、バケット内への水の流入を妨げる、ことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の水底地盤の改良方法。
  7. バケット内に掘削土砂を取り込む際に、バケット内の圧縮空気をバケット外部に排気する、ことを特徴とする請求項6に記載の水底地盤の改良方法。
  8. 作業船に連結されたアンカーワイヤーの操作により該作業船を移動させる工程を更に含む、ことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の水底地盤の改良方法。
  9. 前記改良材は、改質材、浄化材、不溶化材の何れかである、ことを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の水底地盤の改良方法。
  10. 水底地盤を掘削するための掘削手段と、
    上げ下げ可能に設けられ、圧縮空気で加圧することによって水の流入を妨げた状態で掘削土砂を取り込むためのバケットと、
    前記バケット内に取り込んだ掘削土砂に対して攪拌混合する改良材を、前記バケット内に送るためのバケット用送給路と、
    を有することを特徴とする作業船。
  11. 前記バケット内への水の流入を妨げる圧縮空気をバケット内に圧送するためのポンプを、更に有することを特徴とする請求項10に記載の作業船。
  12. 前記バケット用送給路は、
    バケットへ送給する改良材を一時的に保持可能な材料保持部と、
    前記材料保持部より下方に位置し、バケットへ通ずる材料ガイド部と、
    前記材料保持部と前記材料ガイド部の間に設けられた制御弁と、を具備し、
    閉弁状態で、前記改良材は、バケット用送給路の材料保持部において保持され、
    開弁状態で、前記改良材は、バケット用送給路の材料保持部から送り出されて、材料ガイド部を介してバケットに送り込まれる、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の作業船。
  13. 前記制御弁は、バケット内の空気圧を利用して動作するように設けられている、ことを特徴とする請求項12に記載の作業船。
  14. 前記制御弁の動作に利用されるバケット内の空気圧を、バケット用送給路の材料保持部に導くためのバイパスと、
    前記バイパスに設けられ、前記制御弁が動作するタイミングを制御するための第2の制御弁と、
    を更に有することを特徴とする請求項13に記載の作業船。
  15. 前記バケット内に取り込んだ掘削土砂と改良材を該バケット内で攪拌混合するための攪拌混合手段を、更に有することを特徴とする請求項10乃至14の何れかに記載の作業船。
  16. 前記掘削手段による掘削で生じた掘削孔に、埋め戻し材を投入するための埋め戻し材投入装置を、更に有することを特徴とする請求項10乃至15の何れかに記載の作業船。
  17. 前記バケットは、
    掘削土砂を内側に収容可能なバケット本体と、
    開閉可能に設けられ、掘削土砂をバケット本体に取り込むためのシェルと、を具備し、
    前記シェルは開口可能な可動式の底板を具備している、ことを特徴とする請求項10乃至16の何れかに記載の作業船。
  18. 前記シェルが具備する可動式の底板は、
    シェルが開くときの動作に連動して、底板が開くように設けられ、かつ、
    シェルが閉まるときの動作に連動して、底板が閉まるように設けられている、
    ことを特徴とする請求項17に記載の作業船。
  19. 請求項11に記載の作業船が具備するバケット内の空気圧力を制御するためのシステムであって、
    バケット内に圧縮空気を送るためのポンプと、
    バケット内の空気圧力をバケットの外部にガイドするように設けられた排気路と、
    前記排気路の排気口を水中で上げ下げするための昇降手段と、
    を具備することを特徴とするバケット内圧力制御システム。
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