図1は、本発明の第1の実施の形態に係る基板処理装置1を示す断面図である。基板処理装置1は、略円板状の半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)に処理液を供給して基板9を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1では、純水、酸性の薬液、アルカリ性の薬液等が処理液として利用され、基板9の洗浄処理やその他の様々な処理が行われる。図1では、基板処理装置1の一部の構成の断面には、平行斜線の付与を省略している(他の断面図においても同様)。
基板処理装置1は、チャンバ21と、トッププレート22と、チャンバ開閉機構23と、基板保持部31と、基板回転機構32と、カップ部4と、カップ回転機構7と、処理液供給部5と、ハウジング6と、制御部10とを備える。なお、図2以降では、制御部10の図示を省略する。
ハウジング6の内部には、チャンバ21と、トッププレート22と、チャンバ開閉機構23と、基板保持部31と、基板回転機構32と、カップ部4と、処理液供給部5とが収容される。ハウジング6は、ハウジング底部61と、ハウジング側壁部62と、ハウジング天蓋部63とを備える。ハウジング6の底部であるハウジング底部61は、チャンバ21等を下方から支持する。ハウジング側壁部62は、チャンバ21等の周囲を囲む。ハウジング天蓋部63は、チャンバ21等の上方を覆う。ハウジング側壁部62には、基板9をハウジング6内に搬入するための搬入口64が設けられる。搬入口64は、上下方向に移動可能な蓋部65により閉塞される。
チャンバ21は、チャンバ本体25と、チャンバ蓋部26とを備える。チャンバ21は、上下方向を向く中心軸J1を中心とする略円筒状である。チャンバ本体25は、チャンバ底部251と、チャンバ側壁部252とを備える。チャンバ底部251は、中央部254と、側壁部255と、外周部256とを備える。中央部254は、中心軸J1を中心とする略円環板状である。側壁部255は、中心軸J1を中心とする略円筒状であり、中央部254の外縁部から下方へと拡がる。外周部256は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、側壁部255の下端から、中心軸J1を中心とする径方向(以下、単に「径方向」という。)の外方へと拡がる。チャンバ側壁部252は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。チャンバ側壁部252は、チャンバ底部251の外縁部から上方へと突出する。
チャンバ蓋部26は中心軸J1に垂直な略円環板状である。チャンバ蓋部26の外縁部下端がチャンバ側壁部252の上部と接することにより、チャンバ本体25の上部開口が閉塞される。チャンバ蓋部26がチャンバ本体25の上部開口を閉塞することにより、チャンバ21内に密閉空間であるチャンバ空間が形成される。換言すれば、チャンバ21は、チャンバ空間を形成する密閉空間形成部である。チャンバ21の内部であるチャンバ空間には、基板保持部31、トッププレート22およびカップ部4が収容される。
チャンバ開閉機構23は、チャンバ21の可動部であるチャンバ蓋部26を、チャンバ21の他の部位であるチャンバ本体25に対して上下方向に相対的に移動する。チャンバ開閉機構23は、チャンバ蓋部26を昇降する蓋部昇降機構である。チャンバ開閉機構23によりチャンバ蓋部26が上下方向に移動する際には、トッププレート22がチャンバ蓋部26に吊り下げられた状態でチャンバ蓋部26と共に上下方向に移動する。チャンバ開閉機構23により、チャンバ蓋部26およびトッププレート22が、図1に示す位置から図2に示す位置へと上昇することにより、チャンバ21が開放される。以下の説明では、図1に示すチャンバ蓋部26およびトッププレート22の位置を「処理位置」という。また、図2に示すチャンバ蓋部26およびトッププレート22の位置を「退避位置」という。詳しくは後述するが、図2では、カップ部4のハウジング6に対する相対的な向き(すなわち、中心軸J1を中心とする周方向における相対的な向き)が図1とは異なる。
図1に示すトッププレート22は、中心軸J1を中心とする略円環板状であり、中央に開口を有する。トッププレート22は、プレート本体部224と、プレート側壁部225と、被保持部221とを備える。プレート本体部224は、中心軸J1を中心とする略円環板状である。プレート本体部224の中央部には略円形の開口が設けられ、当該開口の周囲に被保持部221が設けられる。プレート本体部224は、チャンバ蓋部26の下方、かつ、基板保持部31および基板9の上方に配置される。プレート本体部224の上面および下面は、中心軸J1から径方向に離れるに従って下方へと向かう傾斜面である。プレート本体部224の下面は、基板保持部31に保持された基板9の上面91と上下方向に対向する。
プレート側壁部225は、プレート本体部224の外縁部から、径方向外方に向かって斜め下方に拡がる。換言すれば、プレート側壁部225は、プレート本体部224の外縁部からプレート本体部224の下面側へと突出し、中心軸J1から径方向に離れるに従って下方へと向かう。プレート側壁部225は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。プレート側壁部225は、基板9の径方向外側に配置され、基板9の周囲を囲む。プレート側壁部225の下端は、上下方向において基板保持部31のベース部311(後述)とおよそ同じ位置に位置する。
プレート本体部224の直径は、基板9の直径よりも大きい。プレート側壁部225の下端の直径は、基板保持部31のベース部311の直径よりも大きい。プレート側壁部225の下端は、ベース部311の外縁から径方向外側に全周に亘って離間する。トッププレート22は、基板9の外周縁、および、基板保持部31のベース部311の外周縁よりも全周に亘って径方向外側まで拡がる。
図2に示すように、退避位置に位置するトッププレート22は、チャンバ蓋部26により吊り下げられるように支持される。チャンバ蓋部26は、中央部に略環状のプレート保持部261を有する。プレート保持部261は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部262と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部263とを備える。フランジ部263は、筒部262の下端から径方向内方へと拡がる。
被保持部221は、プレート本体部224の中央部から上方に突出する略環状の部位である。被保持部221は、中心軸J1を中心とする略円筒状の筒部222と、中心軸J1を中心とする略円板状のフランジ部223とを備える。筒部222は、プレート本体部224の上面から上方に拡がる。フランジ部223は、筒部222の上端から径方向外方へと拡がる。筒部222は、プレート保持部261の筒部262の径方向内側に位置する。フランジ部223は、プレート保持部261のフランジ部263の上方に位置し、フランジ部263と上下方向に対向する。被保持部221のフランジ部223の下面が、プレート保持部261のフランジ部263の上面に接することにより、トッププレート22が、チャンバ蓋部26から吊り下がるようにチャンバ蓋部26に取り付けられる。
図1に示すように、基板保持部31は、基板9を水平状態で保持する。すなわち、基板9は、微細パターンが形成された上面91を中心軸J1に垂直に上側を向く状態で基板保持部31により保持される。基板保持部31は、ベース部311と、複数のチャック312とを備える。ベース部311は、中心軸J1に垂直な略円板状であり、中央に開口を有する。複数(例えば、3つ)のチャック312は、ベース部311の上面に固定される。複数のチャック312は、中心軸J1を中心とする周方向(以下、単に「周方向」という。)におよそ等角度間隔にて配置される。複数のチャック312により、ベース部311の上方にて基板9の外縁部が保持される。
基板回転機構32は、チャンバ底部251の中央部254の下方に配置される。基板回転機構32は、例えば、軸回転型の電動モータである。基板回転機構32の回転軸321は、チャンバ底部251の中央部254を貫通してチャンバ21の内部へと延びる。回転軸321は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。回転軸321の先端部には、基板保持部31のベース部311が固定される。回転軸321とチャンバ底部251の中央部254との間には、気体や液体の通過を防止するシールが設けられる。回転軸321が回転することにより、基板保持部31が基板9と共に中心軸J1を中心として回転する。
基板保持部31のベース部311の上面には、複数の第1係合部314が周方向に設けられる。各第1係合部314は、上方に向かって突出する略柱状である。トッププレート22の下面には、複数の第2係合部226が周方向に設けられる。各第2係合部226の下部には、上方に向かって窪む凹部が設けられる。
トッププレート22が処理位置に位置する状態では、第2係合部226の下部の凹部に、第1係合部314が嵌る。これにより、トッププレート22は、周方向において基板保持部31のベース部311と係合する。換言すれば、第1係合部314および第2係合部226により、トッププレート22の基板保持部31に対する回転方向における相対位置が規制される。
トッププレート22が処理位置に位置する状態では、トッププレート22は、第1係合部314および第2係合部226を介して、基板保持部31のベース部311に支持される。トッププレート22の被保持部221のフランジ部223は、チャンバ蓋部26のプレート保持部261のフランジ部263から上方に離間する。すなわち、被保持部221とプレート保持部261とは接触しておらず、プレート保持部261によるトッププレート22の保持は解除されている。このため、トッププレート22は、チャンバ蓋部26から独立して、基板保持部31および基板9と共に、基板回転機構32により回転する。第1係合部314および第2係合部226は、トッププレート22の回転時に、周方向においてトッププレート22の基板保持部31に対する相対位置を固定する位置固定部材である。
処理液供給部5は、上部ノズル51と、下部ノズル52とを備える。上部ノズル51は、チャンバ蓋部26に固定され、トッププレート22の被保持部221の内側に配置される。上部ノズル51は、トッププレート22とは接触しておらず、トッププレート22が回転する際にも回転しない。上部ノズル51は、ハウジング6の外部に設けられた処理液供給源(図示省略)に接続される。上部ノズル51の下端は、基板9の上方に位置し、基板9の上面91の中央部に対向する。処理液供給源から上部ノズル51に供給された処理液は、上部ノズル51の下端から基板9の上面91上の中央部に向けて供給される。
下部ノズル52は、基板回転機構32の回転軸321の内側に配置され、基板保持部31のベース部311の中央に位置する開口を介して、ベース部311から上方に突出する。下部ノズル52は、回転軸321には接触しておらず、回転軸321が回転する際にも回転しない。下部ノズル52とベース部311との間には、気体や液体の通過を防止するシールが設けられている。下部ノズル52は、ハウジング6の外部に設けられた処理液供給源(図示省略)に接続される。下部ノズル52の上端は、基板9の下方に位置し、基板9の下面92の中央部に対向する。処理液供給源から下部ノズル52に供給された処理液は、下部ノズル52の上端から基板9の下面92の中央部に向けて供給される。
カップ部4は、中心軸J1を中心とする環状の部材である。カップ部4は、基板保持部31の下方に配置され、基板9からの処理液を受ける。カップ部4は、チャンバ底部251の側壁部255の径方向外側に位置し、側壁部255および基板回転機構32の周囲を囲む。
カップ回転機構7は、いわゆる中空モータであり、中心軸J1を中心としてカップ部4を回転する。カップ回転機構7は、中心軸J1を中心とする環状のステータ部71と、環状のロータ部72とを備える。ロータ部72は、略円環状の永久磁石を含む。永久磁石の表面は、PTFE樹脂にてモールドされる。ロータ部72は、ハウジング6内においてカップ部4に取り付けられる。具体的には、ロータ部72は、チャンバ21内においてカップ底部42の外縁部近傍に取り付けられる。
ステータ部71は、チャンバ21外においてロータ部72の周囲、すなわち、径方向外側に配置される。図1に示す例では、ステータ部71は、チャンバ21の周囲において、ハウジング底部61上に固定される。ステータ部71は、中心軸J1を中心とする周方向に配列された複数のコイルを含む。
ステータ部71に電流が供給されることにより、ステータ部71とロータ部72との間に、中心軸J1を中心とする回転力が発生する。これにより、ロータ部72が、中心軸J1を中心として水平状態で回転する。ステータ部71とロータ部72との間に働く磁力により、ロータ部72は、ハウジング6内のチャンバ21内において直接的にも間接的にもチャンバ21に接触することなく浮遊し、中心軸J1を中心としてカップ部4と共に浮遊状態にて回転する。基板処理装置1では、制御部10による制御により、カップ部4がカップ回転機構7により回転し、後述するカップ排液ポート451およびカップ排気ポート461の周方向の位置が決定される。
カップ部4は、外側壁部41と、カップ底部42と、内側壁部43と、仕切り壁44とを備える。カップ部4の底部であるカップ底部42は、中心軸J1を中心とする略円環状である。外側壁部41は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。外側壁部41は、カップ底部42の外周部から、中心軸J1に略平行に上方に拡がる。内側壁部43は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。内側壁部43は、外側壁部41よりも径方向内側に位置し、カップ底部42の内周部から、中心軸J1に略平行に上方に拡がる。
仕切り壁44は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。仕切り壁44は、径方向において内側壁部43と外側壁部41との間に位置し、カップ底部42から中心軸J1に略平行に上方に拡がる。以下の説明では、カップ部4の外側壁部41と仕切り壁44との間の空間を「外側カップ空間45」と呼ぶ。また、カップ部4の仕切り壁44と内側壁部43との間の空間を「内側カップ空間46」と呼ぶ。外側カップ空間45は、外側壁部41とカップ底部42と仕切り壁44とにより囲まれる略円筒状の空間である。内側カップ空間46は、仕切り壁44とカップ底部42と内側壁部43とにより囲まれる略円筒状の空間である。
内側カップ空間46は、基板保持部31のベース部311の下方に位置する。カップ底部42のうち内側カップ空間46の底部を構成する部位には、カップ排気ポート461が設けられる。換言すれば、カップ排気ポート461は仕切り壁44の下端よりも径方向内側に位置する。図1に示す状態では、カップ排気ポート461は、チャンバ底部251の外周部256に設けられたチャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。カップ排気ポート461の下端は、チャンバ排気ポート281の上端と近接して上下方向に対向する。チャンバ21内の気体は、内側カップ空間46、カップ排気ポート461およびチャンバ排気ポート281を介してチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。カップ排気ポート461の下端の大きさおよび形状は、チャンバ排気ポート281の上端の大きさおよび形状とおよそ同じである。換言すれば、カップ排気ポート461の下端の面積は、チャンバ排気ポート281の上端の面積とおよそ等しい。なお、カップ排気ポート461の下端の面積は、例えば、チャンバ排気ポート281の上端の面積よりも小さくてもよい。
図1に示す例では、カップ底部42のうち仕切り壁44の下端よりも径方向内側の部位に、下方に突出する略円筒状の底部突出部462が設けられ、カップ排気ポート461は底部突出部462内に設けられる。また、チャンバ底部251の外周部256に、上方に突出する略円筒状の底部突出部282が設けられ、チャンバ排気ポート281は底部突出部282内に設けられる。チャンバ排気ポート281は、ハウジング底部61を貫通してチャンバ空間外へと突出する。
外側カップ空間45は、内側カップ空間46よりも径方向外側にて、基板保持部31のベース部311の下方に位置する。カップ部4の外側壁部41は、基板9、基板保持部31およびトッププレート22よりも全周に亘って径方向外側に位置する。外側壁部41の上端は、上下方向において、基板保持部31のベース部311、および、トッププレート22のプレート側壁部225の下端とおよそ同じ位置に位置する。詳細には、外側壁部41の上端は、プレート側壁部225の下端よりも上方に位置する。すなわち、外側壁部41の上端部とプレート側壁部225の下端部とは、径方向に重なる。カップ部4の上端の直径は、プレート側壁部225の下端の直径よりも大きい。カップ部4の上端は、プレート側壁部225の下端から径方向外側に全周に亘って離間する。
処理液供給部5から供給され、回転する基板9から飛散する処理液は、基板9の周囲に位置するプレート側壁部225により受けられ、プレート側壁部225の内周面上を下方に移動する。そして、プレート側壁部225から落下した処理液は、カップ部4の外側カップ空間45に流入する。すなわち、処理液供給部5からの処理液は、カップ部4の外側カップ空間45に流入する。
カップ底部42のうち外側カップ空間45の底部を構成する部位には、カップ排液ポート451が設けられる。換言すれば、カップ排液ポート451は仕切り壁44の下端よりも径方向外側に位置する。図1に示す状態では、カップ排液ポート451は、チャンバ底部251に設けられたチャンバ排液ポート271と上下方向に重なる。カップ排液ポート451の下端は、チャンバ排液ポート271の上端と近接して上下方向に対向する。そして、外側カップ空間45に流入した液体が、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介してチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。カップ排液ポート451の下端の大きさおよび形状は、チャンバ排液ポート271の上端の大きさおよび形状とおよそ同じである。換言すれば、カップ排液ポート451の下端の面積は、チャンバ排液ポート271の上端の面積とおよそ等しい。なお、カップ排液ポート451の下端の面積は、例えば、チャンバ排液ポート271の上端の面積よりも小さくてもよい。
図1に示す例では、カップ底部42のうち仕切り壁44の下端よりも径方向外側の部位に、下方に突出する略円筒状の底部突出部452が設けられ、カップ排液ポート451は底部突出部452内に設けられる。また、チャンバ底部251の外周部256に、上方に突出する略円筒状の底部突出部272が設けられ、チャンバ排液ポート271は底部突出部272内に設けられる。チャンバ排液ポート271は、ハウジング底部61を貫通してチャンバ空間外へと突出する。
図3は、カップ部4を示す底面図である。カップ部4では、カップ排液ポート451およびカップ排気ポート461が、それぞれ1つずつカップ底部42に設けられる。図3では、図の理解を容易にするために、カップ排液ポート451およびカップ排気ポート461に平行斜線を付す(図12、図15および図19においても同様)。図3に示す例では、カップ排液ポート451は、中心軸J1を挟んでカップ排気ポート461の反対側に位置する。換言すれば、カップ排液ポート451とカップ排気ポート461とは、周方向において約180度間隔にて並ぶ。カップ排液ポート451は、カップ排気ポート461よりも径方向外側に位置する。
カップ底部42は、下方に突出する複数の外側凸部453、および、下方に突出する複数の内側凸部463を備える。複数の外側凸部453は、カップ排液ポート451が内部に設けられる底部突出部452と周方向に並ぶ(すなわち、中心軸J1からの径方向の距離が等しい円周上に並ぶ)。複数の内側凸部463は、カップ排気ポート461が内部に設けられる底部突出部462と周方向に並ぶ。図3に示す例では、15個の外側凸部453と、15個の内側凸部463とがカップ部4に設けられる。
各外側凸部453は略円柱状であり、各外側凸部453の直径は、カップ排液ポート451が内部に設けられる底部突出部452の外径におよそ等しい。各内側凸部463は略円柱状であり、各内側凸部463の直径は、カップ排気ポート461が内部に設けられる底部突出部462の外径におよそ等しい。各外側凸部453、各内側凸部463、底部突出部452および底部突出部462のカップ底部42からのそれぞれの突出量(すなわち、上下方向の高さ)は、互いにおよそ等しい。各外側凸部453および各内側凸部463の内部には流路は形成されておらず、各外側凸部453および各内側凸部463を介してカップ部4内の空間とカップ部4の下方の空間とは連通しない。
図4は、チャンバ底部251を示す平面図である。図4では、カップ部4の外側壁部41、仕切り壁44および内側壁部43を破線にて併せて示す。チャンバ21では、複数のチャンバ排液ポート271、および、複数のチャンバ排気ポート281,284が、チャンバ底部251に設けられる。図4では、図の理解を容易にするために、チャンバ排液ポート271およびチャンバ排気ポート281,284に平行斜線を付す(図13、図16および図20においても同様)。
複数のチャンバ排液ポート271は、チャンバ底部251に設けられた複数の底部突出部272内にそれぞれ設けられる。複数のチャンバ排液ポート271は周方向に並ぶ。複数のチャンバ排液ポート271は同様の大きさおよび構造を有し、複数の底部突出部272も同様の大きさおよび構造を有する。
複数のチャンバ排液ポート271は、複数のチャンバ排液ポート群を有する。図4に示す例では、チャンバ底部251に9個のチャンバ排液ポート271が設けられ、9個のチャンバ排液ポート271は、第1チャンバ排液ポート群276a、第2チャンバ排液ポート群276bおよび第3チャンバ排液ポート群276cを有する。以下の説明では、第1チャンバ排液ポート群276a、第2チャンバ排液ポート群276bおよび第3チャンバ排液ポート群276cをまとめて「チャンバ排液ポート群276a〜276c」ともいう。図4では、チャンバ排液ポート群276a〜276cをそれぞれ、二点鎖線にて囲む。
各チャンバ排液ポート群276a〜276cは、3個のチャンバ排液ポート271を有する。各チャンバ排液ポート群276a〜276cでは、3個のチャンバ排液ポート271が周方向に等角度間隔にて並ぶ。第1チャンバ排液ポート群276aの3個のチャンバ排液ポート271は、基板処理装置1の外部の第1排液部96aに接続される。第2チャンバ排液ポート群276bの3個のチャンバ排液ポート271は、基板処理装置1の外部の第2排液部96bに接続される。第3チャンバ排液ポート群276cの3個のチャンバ排液ポート271は、基板処理装置1の外部の第3排液部96cに接続される。第1排液部96a、第2排液部96bおよび第3排液部96cは、互いに独立して設けられる。
チャンバ底部251は、上方に突出する1つの外側凸部273を備える。外側凸部273は、複数のチャンバ排液ポート271がそれぞれ内部に設けられる複数の底部突出部272と周方向に並ぶ。外側凸部273は略円柱状であり、外側凸部273の直径は各底部突出部272の外径におよそ等しい。外側凸部273の内部には流路は形成されていない。
複数のチャンバ排気ポート281は、チャンバ底部251に設けられた複数の底部突出部282内にそれぞれ設けられる。また、複数のチャンバ排気ポート284は、チャンバ底部251に設けられて上方に突出する複数の底部突出部285内にそれぞれ設けられる。各チャンバ排気ポート284は、チャンバ排気ポート281に周方向において隣接する。以下の説明では、チャンバ排気ポート281,284の区別を容易にするために、チャンバ排気ポート281,284をそれぞれ、「大チャンバ排気ポート281」および「小チャンバ排気ポート284」と呼ぶ。また、大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284をまとめて、単に「チャンバ排気ポート」とも呼ぶ。
小チャンバ排気ポート284の直径は、大チャンバ排気ポート281の直径よりも小さい。換言すれば、小チャンバ排気ポート284の上端の面積は、大チャンバ排気ポート281の上端の面積よりも小さい。小チャンバ排気ポート284が内部に設けられる底部突出部285の外径は、大チャンバ排気ポート281が内部に設けられる底部突出部282の外径よりも小さい。複数の小チャンバ排気ポート284は、複数の大チャンバ排気ポート281と共に周方向に並ぶ。複数の大チャンバ排気ポート281は同様の大きさおよび構造を有し、複数の底部突出部282も同様の大きさおよび構造を有する。複数の小チャンバ排気ポート284は同様の大きさおよび構造を有し、複数の底部突出部285も同様の大きさおよび構造を有する。
チャンバ底部251は、上方に突出する複数の内側凸部283を備える。複数の内側凸部283は、複数の底部突出部282および複数の底部突出部285と周方向に並ぶ。各内側凸部283は略円柱状であり、内側凸部283の直径は、大チャンバ排気ポート281が内部に設けられる底部突出部282の外径におよそ等しい。各内側凸部283の内部には流路は形成されていない。
図4に示す例では、3個の大チャンバ排気ポート281と、3個の小チャンバ排気ポート284と、4個の内側凸部283とが、チャンバ底部251に設けられる。上述の第1チャンバ排液ポート群276aと中心軸J1を挟んで反対側に位置する第1チャンバ排気ポート群286aは、1つの大チャンバ排気ポート281と、1つの小チャンバ排気ポート284と、1つの内側凸部283とを有する。
第2チャンバ排液ポート群276bと中心軸J1を挟んで反対側に位置する第2チャンバ排気ポート群286bも、第1チャンバ排気ポート群286aと同様に、1つの大チャンバ排気ポート281と、1つの小チャンバ排気ポート284と、1つの内側凸部283とを有する。第3チャンバ排液ポート群276cと中心軸J1を挟んで反対側に位置する第3チャンバ排気ポート群286cも、第1チャンバ排気ポート群286aと同様に、1つの大チャンバ排気ポート281と、1つの小チャンバ排気ポート284と、1つの内側凸部283とを有する。
以下の説明では、第1チャンバ排気ポート群286a、第2チャンバ排気ポート群286bおよび第3チャンバ排気ポート群286cをまとめて「チャンバ排気ポート群286a〜286c」ともいう。図4では、チャンバ排気ポート群286a〜286cをそれぞれ、二点鎖線にて囲む。各チャンバ排気ポート群286a〜286cでは、大チャンバ排気ポート281、小チャンバ排気ポート284および内側凸部283が周方向に等角度間隔にて並ぶ。4つの内側凸部283のうち1つの内側凸部283は、チャンバ排気ポート群286a〜286cには含まれておらず、外側凸部273と中心軸J1を挟んで反対側に位置する。
第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、第1排気機構95aに接続される。第2チャンバ排気ポート群286bの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、第2排気機構95bに接続される。第3チャンバ排気ポート群286cの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、第3排気機構95cに接続される。第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95cは、基板処理装置1の外部に配置される。基板処理装置1が使用される間、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95cによる吸引は、継続的に行われている。
基板処理装置1では、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ排気ポート461が、複数の大チャンバ排気ポート281および複数の小チャンバ排気ポート284のうちいずれか1つに選択的に重ねられる。また、カップ排液ポート451が、複数のチャンバ排液ポート271のうちいずれか1つに選択的に重ねられる。
図5は、基板処理装置1における基板9の処理の流れの一例を示す図である。基板処理装置1において基板9に対する処理が行われる際には、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ部4が回転し、図2に示す向きにて停止する(ステップS11)。以下の説明では、図2に示すカップ部4の向き(すなわち、カップ部4の状態)を、「待機状態」という。
図2に示す待機状態では、カップ排気ポート461は、チャンバ底部251の4つの内側凸部283のうち、チャンバ排気ポート群286a〜286c(図4参照)に含まれない1つの内側凸部283と上下方向に重なる。すなわち、図2では、カップ排気ポート461が、全ての大チャンバ排気ポート281および全ての小チャンバ排気ポート284(図4参照)から周方向に離間した位置に位置する状態を示す。カップ排気ポート461の下端とチャンバ底部251の内側凸部283の上端面とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461が実質的に閉塞される。
また、カップ排液ポート451は、チャンバ底部251の外側凸部273と上下方向に重なる。カップ排液ポート451の下端と外側凸部273の上端面とは、上下方向に近接して対向する。これにより、カップ排液ポート451が実質的に閉塞される。
図2に示す待機状態では、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281が、カップ底部42の内側凸部463と上下方向に重なる。大チャンバ排気ポート281の上端と内側凸部463の下端面とは、上下方向に近接して対向する。これにより、大チャンバ排気ポート281が実質的に閉塞される。
図4に示す第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284も、カップ底部42の内側凸部463と上下方向に重なる。小チャンバ排気ポート284の上端と内側凸部463の下端面とは、上下方向に近接して対向する。これにより、小チャンバ排気ポート284が実質的に閉塞される。第2チャンバ排気ポート群286bおよび第3チャンバ排気ポート群286cのそれぞれの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284も同様に、内側凸部463とそれぞれ上下方向に近接して対向することにより、実質的に閉塞される。
また、各チャンバ排液ポート271は、カップ底部42の外側凸部453と上下方向に重なる。各チャンバ排液ポート271の上端と外側凸部453の下端面とは、上下方向に近接して対向する。これにより、各チャンバ排液ポート271が実質的に閉塞される。
カップ部4が待機状態となると、チャンバ蓋部26およびトッププレート22が、図2に示す退避位置へと移動し、搬入口64が開放される。そして、搬入口64から基板9がハウジング6内のチャンバ21内に搬入され、基板保持部31により保持される(ステップS12)。
上述のように、基板処理装置1では、カップ部4が待機状態の場合、カップ排気ポート461の下端がチャンバ底部251に近接し、各大チャンバ排気ポート281の上端および各小チャンバ排気ポート284の上端がカップ底部42に近接する。これにより、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95c(図4参照)による吸引が継続されている状態であっても、カップ排気ポート461を介したカップ部4内の気体の吸引が実質的に停止される。その結果、基板9の搬入時に、ハウジング6の外部の気体が、開放された搬入口64からハウジング6内およびチャンバ21内に流入することを抑制することができる。
なお、基板処理装置1では、カップ排気ポート461の下端がチャンバ底部251に近接するのであれば、必ずしも、各大チャンバ排気ポート281の上端および各小チャンバ排気ポート284の上端はカップ底部42に近接する必要はない。また、各大チャンバ排気ポート281の上端および各小チャンバ排気ポート284の上端がカップ底部42に近接するのであれば、必ずしもカップ排気ポート461の下端はチャンバ底部251に近接する必要はない。基板処理装置1では、カップ排気ポート461の下端がチャンバ底部251に近接することにより、または、各大チャンバ排気ポート281の上端および各小チャンバ排気ポート284の上端がカップ底部42に近接することにより、カップ排気ポート461を介したカップ部4内の気体の吸引が停止される。その結果、上記と同様に、ハウジング6の外部の気体が、開放された搬入口64からハウジング6内およびチャンバ21内に流入することを抑制することができる。
基板9が保持されると、蓋部65が上方に移動し、図1に示すように搬入口64が閉塞される。また、チャンバ蓋部26およびトッププレート22が下降し、図1に示す処理位置に位置する。これにより、チャンバ21内にチャンバ空間が形成される。また、プレート保持部261によるトッププレート22の保持が解除される。チャンバ空間には、上部ノズル51等から窒素等の不活性ガスが供給される。
続いて、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ部4が待機状態から回転し、図1に示す向きにて停止する(ステップS13)。以下の説明では、図1に示すカップ部4の向き(すなわち、カップ部4の状態)を、「第1処理状態」という。
図1に示す第1処理状態では、上述のように、カップ排気ポート461が、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。カップ排気ポート461の下端と当該大チャンバ排気ポート281の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461と第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281とが、実質的に接続される。そして、第1排気機構95a(図4参照)により、カップ部4内の気体が、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。また、チャンバ21内のカップ部4外の気体も、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
カップ部4が第1処理状態の場合、図4に示す第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284、第2チャンバ排気ポート群286bおよび第3チャンバ排気ポート群286cのそれぞれの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、カップ底部42の内側凸部463(図3参照)と上下方向にそれぞれ重なり、実質的に閉塞される。
図1に示すように、カップ排液ポート451は、第1チャンバ排液ポート群276aの中央のチャンバ排液ポート271と上下方向に重なる。カップ排液ポート451の下端と当該チャンバ排液ポート271の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排液ポート451と第1チャンバ排液ポート群276aのチャンバ排液ポート271とが、実質的に接続される。当該チャンバ排液ポート271以外の各チャンバ排液ポート271(図4参照)は、カップ底部42の外側凸部453と上下方向に重なり、実質的に閉塞される。
カップ部4が第1処理状態となると、基板回転機構32が駆動され、基板9、基板保持部31およびトッププレート22の回転が開始される(ステップS14)。基板9、基板保持部31およびトッププレート22の回転速度は互いに等しく、回転方向は同じである。ステップS14は、ステップS13と並行して行われてもよく、ステップS12とステップS13との間に行われてもよい。
続いて、処理液供給部5の上部ノズル51から、回転中の基板9の上面91への第1処理液の供給が開始される(ステップS15)。基板9の上面91の中央部に連続的に供給された第1処理液は、遠心力により径方向外方へと移動する。第1処理液は、基板9の上面91上に拡がって上面91の全面を覆う。これにより、第1処理液による基板9の上面91に対する処理が行われる。基板9の上面91は、処理位置に位置するトッププレート22の下面と近接しているため、第1処理液による基板9の処理は、基板9の上面91とトッププレート22の下面との間の比較的狭い空間にて行われる。これにより、基板9の上方の空間における処理液雰囲気の拡散を抑制することができるとともに、処理中の基板9の温度低下を抑制することもできる。
基板9の外周縁に到達した第1処理液は、当該外周縁から径方向外方へと飛散し、カップ部4の外側カップ空間45へと流入する。外側カップ空間45内に流入した第1処理液は、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第1排液部96a(図4参照)へと排出される。第1排液部96aへと排出された第1処理液は廃棄される。あるいは、第1排液部96aへと排出された第1処理液は、必要に応じて回収されて再利用される。
第1処理液による基板9の処理中は、チャンバ21内の気体は、上述のように、第1排気機構95aにより、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
上部ノズル51からの第1処理液の供給開始から所定時間が経過すると、第1処理液の供給が停止され、第1処理液による基板9の処理が終了する。基板9上に残っている第1処理液は、基板9の回転により基板9上から除去され、外側カップ空間45、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して第1排液部96aへと排出される。
第1処理液による処理が終了すると、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ部4が第1処理状態から回転し、図6に示す向きにて停止する(ステップS16)。以下の説明では、図6に示すカップ部4の向き(すなわち、カップ部4の状態)を、「第2処理状態」という。
図6に示す第2処理状態では、カップ排気ポート461が、第2チャンバ排気ポート群286bの大チャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。カップ排気ポート461の下端と当該大チャンバ排気ポート281の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461と第2チャンバ排気ポート群286bの大チャンバ排気ポート281とが、実質的に接続される。そして、第2排気機構95b(図4参照)により、カップ部4内の気体が、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。また、カップ部4外の気体も、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
カップ部4が第2処理状態の場合、図4に示す第2チャンバ排気ポート群286bの小チャンバ排気ポート284、第1チャンバ排気ポート群286aおよび第3チャンバ排気ポート群286cのそれぞれの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、カップ底部42の内側凸部463(図3参照)と上下方向にそれぞれ重なり、実質的に閉塞される。
カップ排液ポート451は、第2チャンバ排液ポート群276bの中央のチャンバ排液ポート271と上下方向に重なる。カップ排液ポート451の下端と当該チャンバ排液ポート271の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排液ポート451と第2チャンバ排液ポート群276bのチャンバ排液ポート271とが、実質的に接続される。当該チャンバ排液ポート271以外の各チャンバ排液ポート271(図4参照)は、カップ底部42の外側凸部453と上下方向に重なり、実質的に閉塞される。
カップ部4が第2処理状態となると、処理液供給部5の上部ノズル51から、回転中の基板9の上面91への第2処理液の供給が開始される(ステップS17)。基板9の上面91の中央部に連続的に供給された第2処理液は、遠心力により基板9の上面91上に拡がって上面91の全面を覆う。これにより、第2処理液による基板9の上面91に対する処理が行われる。
基板9の外周縁に到達した第2処理液は、当該外周縁から径方向外方へと飛散し、カップ部4の外側カップ空間45へと流入する。外側カップ空間45内に流入した第2処理液は、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第2排液部96b(図4参照)へと排出される。第2排液部96aへと排出された第2処理液は廃棄される。あるいは、第2排液部96bへと排出された第2処理液は、必要に応じて回収されて再利用される。
第2処理液による基板9の処理中は、チャンバ21内の気体は、上述のように、第2排気機構95bにより、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
上部ノズル51からの第2処理液の供給開始から所定時間が経過すると、第2処理液の供給が停止され、第2処理液による基板9の処理が終了する。基板9上に残っている第2処理液は、基板9の回転により基板9上から除去され、外側カップ空間45、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して第2排液部96bへと排出される。
第2処理液による処理が終了すると、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ部4が第2処理状態から回転し、図7に示す向きにて停止する(ステップS18)。以下の説明では、図7に示すカップ部4の向き(すなわち、カップ部4の状態)を、「第3処理状態」という。
図7に示す第3処理状態では、カップ排気ポート461が、第3チャンバ排気ポート群286cの大チャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。カップ排気ポート461の下端と当該大チャンバ排気ポート281の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461と第3チャンバ排気ポート群286cの大チャンバ排気ポート281とが、実質的に接続される。そして、第3排気機構95c(図4参照)により、カップ部4内の気体が、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。また、チャンバ21内のカップ部4外の気体も、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
カップ部4が第3処理状態の場合、図4に示す第3チャンバ排気ポート群286cの小チャンバ排気ポート284、第1チャンバ排気ポート群286aおよび第2チャンバ排気ポート群286bのそれぞれの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284は、カップ底部42の内側凸部463(図3参照)と上下方向にそれぞれ重なり、実質的に閉塞される。
カップ排液ポート451は、第3チャンバ排液ポート群276cの中央のチャンバ排液ポート271と上下方向に重なる。カップ排液ポート451の下端と当該チャンバ排液ポート271の上端とは、近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排液ポート451と第3チャンバ排液ポート群276cのチャンバ排液ポート271とが、実質的に接続される。当該チャンバ排液ポート271以外の各チャンバ排液ポート271(図4参照)は、カップ底部42の外側凸部453と上下方向に重なり、実質的に閉塞される。
カップ部4が第3処理状態となると、処理液供給部5の上部ノズル51から、回転中の基板9の上面91への第3処理液の供給が開始される(ステップS19)。基板9の上面91の中央部に連続的に供給された第3処理液は、遠心力により基板9の上面91上に拡がって上面91の全面を覆う。これにより、第3処理液による基板9の上面91に対する処理が行われる。
基板9の外周縁に到達した第3処理液は、当該外周縁から径方向外方へと飛散し、カップ部4の外側カップ空間45へと流入する。外側カップ空間45内に流入した第3処理液は、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第3排液部96c(図4参照)へと排出される。第3排液部96cへと排出された第3処理液は廃棄される。あるいは、第3排液部96cへと排出された第3処理液は、必要に応じて回収されて再利用される。
第3処理液による基板9の処理中は、チャンバ21内の気体は、上述のように、第3排気機構95cにより、内側カップ空間46、カップ排気ポート461および大チャンバ排気ポート281を介して、チャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
上部ノズル51からの第3処理液の供給開始から所定時間が経過すると、第3処理液の供給が停止され、第3処理液による基板9の処理が終了する。基板9上に残っている第3処理液は、基板9の回転により基板9上から除去され、外側カップ空間45、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271を介して第3排液部96cへと排出される。
基板9上から第3処理液が除去されると、基板9、基板保持部31およびトッププレート22の回転が停止される(ステップS20)。続いて、制御部10によりカップ回転機構7が制御されることにより、カップ部4が回転し、図2に示す待機状態となる(ステップS21)。ステップS21は、ステップS20と並行して行われてもよい。カップ部4が待機状態となると、チャンバ蓋部26およびトッププレート22が上昇し、図2に示す退避位置に位置する。その後、蓋部65が下方に移動して搬入口64が開放され、基板9が基板処理装置1から搬出される(ステップS22)。
上述のように、基板処理装置1では、カップ部4が待機状態の場合、カップ排気ポート461の下端がチャンバ底部251に近接し、各大チャンバ排気ポート281の上端および各小チャンバ排気ポート284の上端がカップ底部42に近接する。これにより、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95c(図4参照)による吸引が継続されている状態であっても、カップ排気ポート461を介したカップ部4内の気体の吸引が実質的に停止される。その結果、基板9の搬出時に、ハウジング6の外部の気体が、開放された搬入口64からハウジング6内およびチャンバ21内に流入することを抑制することができる。
以上に説明したように、基板処理装置1では、周方向に並ぶ複数の大チャンバ排気ポート281がチャンバ底部251に設けられる。そして、制御部10がカップ回転機構7を制御することにより、カップ排気ポート461が、複数の大チャンバ排気ポート281のいずれか1つに選択的に重ねられる。カップ排気ポート461が第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281に重なる状態では、第1排気機構95aにより、カップ部4内の気体がカップ排気ポート461および当該大チャンバ排気ポート281を介してチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
また、カップ排気ポート461が第2チャンバ排気ポート群286bの大チャンバ排気ポート281に重なる状態では、第2排気機構95bにより、カップ部4内の気体がカップ排気ポート461および当該大チャンバ排気ポート281を介してチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。さらに、カップ排気ポート461が第3チャンバ排気ポート群286cの大チャンバ排気ポート281に重なる状態では、第3排気機構95cにより、カップ部4内の気体がカップ排気ポート461および当該大チャンバ排気ポート281を介してチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
このように、基板処理装置1では、カップ回転機構7により、チャンバ21およびハウジング6を開放することなくチャンバ21内かつハウジング6内のカップ部4を回転させることにより、カップ部4からの排気を行う排気機構を、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95cの間で容易に切り替えることができる。また、カップ部からの排気の送出先(以下、「排気先」という。)を、簡素な構造の機構にて切り替えることができるため、基板処理装置1の構造を簡素化することができる。これにより、カップ部からの排気先を切り替える切替器をハウジングの外部に設ける場合に比べ、基板処理装置1を小型化することができる。さらに、カップ部4からの排気先をチャンバ21内にて切り替えることにより、ハウジング外の切替器まで共通配管等により排気を導く場合に比べ、排気中のガス状やミスト状の処理液が混蝕することを抑制することができる。
上述のように、基板処理装置1では、周方向に並ぶ複数のチャンバ排液ポート271がチャンバ底部251に設けられる。カップ排気ポート461が第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281に重ねられた状態では、カップ排液ポート451は、第1チャンバ排液ポート群276aの中央のチャンバ排液ポート271と重なる。そして、カップ部4内に流入した第1処理液は、カップ排液ポート451と当該チャンバ排液ポート271とを介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第1排液部96aへと排出される。
また、カップ排気ポート461が第2チャンバ排気ポート群286bの大チャンバ排気ポート281に重ねられた状態では、カップ排液ポート451は、第2チャンバ排液ポート群276bの中央のチャンバ排液ポート271と重なる。カップ部4内に流入した第2処理液は、カップ排液ポート451と当該チャンバ排液ポート271とを介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第2排液部96bへと排出される。カップ排気ポート461が第3チャンバ排気ポート群286cの大チャンバ排気ポート281に重ねられた状態では、カップ排液ポート451は、第3チャンバ排液ポート群276cの中央のチャンバ排液ポート271と重なる。カップ部4内に流入した第3処理液は、カップ排液ポート451と当該チャンバ排液ポート271とを介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第3排液部96cへと排出される。
このように、基板処理装置1では、カップ回転機構7によりカップ部4を回転させることにより、カップ部4からの排気先の切り替えと、カップ部4からの処理液の送出先(以下、「排液先」という。)の切り替えとを、1つの機構にて同時に行うことができる。その結果、基板処理装置1の構造を簡素化することができるとともに、基板処理装置1を小型化することができる。
カップ部4では、内側壁部43と外側壁部41との間に仕切り壁44が設けられ、処理液供給部5からの処理液は、外側壁部41と仕切り壁44との間の外側カップ空間45に流入する。また、カップ排液ポート451は仕切り壁44の下端よりも径方向外側に位置し、カップ排気ポート461は仕切り壁44の下端よりも径方向内側に位置する。これにより、カップ排気ポート461に処理液が流入することを、簡素な構成で防止または抑制することができる。
基板処理装置1では、ロータ部72がハウジング6内に配置され、ステータ部71がハウジング6外に配置される。このため、ハウジング6の搬入口64を閉鎖した状態で、カップ部4を回転させてカップ排液ポート451およびカップ排気ポート461の位置を変更することができる。また、ハウジング6の内部空間を小型化することもできる。さらに、ステータ部71がロータ部72の周囲に配置されることにより、ハウジング6の中央部下方の空間に、基板回転機構32や下部ノズル52等の他の構成を容易に配置することができる。
上述のように、ロータ部72はチャンバ21内に配置されるため、チャンバ21を密閉してチャンバ空間を維持した状態で、カップ部4を回転させてカップ排液ポート451およびカップ排気ポート461の位置を変更することができる。また、ステータ部71はチャンバ21外に配置されるため、チャンバ空間を小型化することもできる。
基板処理装置1では、ロータ部72は、ハウジング6内のチャンバ空間において浮遊状態にて回転する。このため、ロータ部72を支持する構造をチャンバ空間に設ける必要がなく、基板処理装置1の小型化および装置構造の簡素化が実現される。また、当該支持構造に処理液が付着することがないため、付着した処理液の乾燥によるパーティクル等の発生を防止することができる。さらに、ロータ部72と支持構造との摩擦によりパーティクル等が発生することもないため、チャンバ空間およびハウジング6内の清浄性を向上することができる。
基板処理装置1では、例えば、チャンバ空間に窒素ガスを充填する場合等、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気流量を小さくして窒素の消費量を低減することが求められる場合がある。この場合、カップ回転機構7が制御部10により制御され、図8に示すように、カップ排気ポート461が第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284に上下方向に重ねられる。カップ排気ポート461は小チャンバ排気ポート284に近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461が小チャンバ排気ポート284に実質的に接続される。カップ部4内の気体は、カップ排気ポート461および当該小チャンバ排気ポート284を介して、第1排気機構95a(図4参照)によりチャンバ21外かつハウジング6外に排出される。
上述のように、小チャンバ排気ポート284の上端の面積は、大チャンバ排気ポート281の上端の面積よりも小さい。このため、カップ部4の向きが、カップ排気ポート461と大チャンバ排気ポート281とが重なる状態から、カップ排気ポート461と小チャンバ排気ポート284とが重なる状態へとカップ回転機構7により変更されることにより、カップ排気ポート461とチャンバ排気ポートとの重複面積が変更される。これにより、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気流量が小さくなる。
また、カップ排液ポート451は、第1チャンバ排液ポート群276aの3つのチャンバ排液ポート271のうち、図4中の上側のチャンバ排液ポート271と重なる。カップ部4の外側カップ空間45に流入した第1処理液は、カップ排液ポート451および当該チャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第1排液部96a(図4参照)へと排出される。
このように、基板処理装置1では、カップ回転機構7が制御部10により制御され、カップ排気ポート461とチャンバ排気ポートとの重複面積が変更されることにより、チャンバ21からの排気流量を、基板9に対する処理の内容等に合わせて容易に変更することができる。また、基板処理装置1では、カップ排気ポート461とチャンバ排気ポートとの重複面積の変更が、カップ排気ポート461を、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281(図1参照)または小チャンバ排気ポート284に選択的に重ねることである。これにより、第1排気機構95aによる吸引力を変更することなく、チャンバ21からの排気流量を簡素な構造にて変更することができる。
図9は、第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284、および、当該小チャンバ排気ポート284に重なるカップ排気ポート461を拡大して示す図である。図9に示すように、小チャンバ排気ポート284が内部に設けられる底部突出部285の上端面285aは、上述の上下方向に略垂直である。カップ排気ポート461の下端のうち中央部の略円形の領域は、小チャンバ排気ポート284の上端と重複する重複領域461aである。カップ排気ポート461の下端のうち重複領域461aの周囲の円環状の領域(すなわち、重複領域461aを除く領域)は、小チャンバ排気ポート284の上端と重複しない非重複領域461bである。
カップ排気ポート461の非重複領域461bは、ハウジング底部61の底部突出部285の上端面285aに近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461の非重複領域461bが実質的に閉塞される。このため、第1排気機構95aによりカップ排気ポート461および小チャンバ排気ポート284を介して排気が行われる際に、カップ部4下方の気体が、カップ排気ポート461の非重複領域461bを介して、小チャンバ排気ポート284内に吸引されることが防止または抑制される。その結果、カップ部4内の気体を効率良く排出することができる。基板処理装置1では、底部突出部285の上端面285aという簡素な構造を利用して、カップ排気ポート461の非重複領域461bを容易に閉塞することができる。
なお、小チャンバ排気ポート284は、チャンバ底部251に設けられるのであれば、必ずしも底部突出部285内に設けられる必要はない。底部突出部285が省略される場合であっても、カップ排気ポート461の非重複領域461bが、小チャンバ排気ポート284の周囲にて、チャンバ底部251に近接することにより実質的に閉塞される。この場合であっても、上記と同様に、カップ部4内の気体を効率良く排出することができる。
また、基板処理装置1では、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気流量の微調整が求められる場合がある。この場合、カップ排気ポート461が、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284の一方のチャンバ排気ポートに重なる状態から、カップ排気ポート461と当該一方のチャンバ排気ポートとの重複を維持しつつ、カップ回転機構7によりカップ部4が微小角度(例えば、5度)だけ回転される。
図10は、カップ排気ポート461近傍を示す平面図である。図10では、上述の一方のチャンバ排気ポートが大チャンバ排気ポート281である場合に、カップ排気ポート461と当該一方のチャンバ排気ポートとの重複を維持しつつ、カップ部4を微小角度だけ回転させた状態を示す。図10では、カップ排気ポート461と大チャンバ排気ポート281との重複領域に平行斜線を付す。カップ部4の微小角度の回転により、カップ排気ポート461と上記一方のチャンバ排気ポート(図10に示す例では、大チャンバ排気ポート281)との重複面積が変更される。その結果、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気流量を、簡素な構造により微調整することができる。
図10に示す状態では、カップ排気ポート461の下端のうち大チャンバ排気ポート281との重複領域を除く非重複領域は、上記一方のチャンバ排気ポートが内部に設けられる底部突出部282の上端面(すなわち、チャンバ底部251の一部)と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。当該底部突出部の上端面は上下方向に略垂直である。また、当該一方のチャンバ排気ポートの上端のうちカップ排気ポート461との重複領域を除く非重複領域は、カップ排気ポート461が内部に設けられる底部突出部462の下端面(すなわち、カップ底部42の一部)と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。底部突出部462の下端面も上下方向に略垂直である。
基板処理装置1では、必ずしも、カップ排気ポート461を大チャンバ排気ポート281または小チャンバ排気ポート284に選択的に重ねることにより排気流量の変更が行われる必要はない。例えば、カップ排気ポート461と大チャンバ排気ポート281との重複領域の面積変更により、所望の排気流量の変更が実現できるのであれば、上述のカップ排気ポート461とチャンバ排気ポートとの重複面積の変更は、カップ排気ポート461と大チャンバ排気ポート281との重複を維持しつつカップ部4を回転させることにより行われてもよい。これにより、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気流量を、簡素な構造により微調整することができる。
この場合も、図10に示す状態と同様に、カップ排気ポート461の下端のうち大チャンバ排気ポート281との重複領域を除く非重複領域は、チャンバ底部251と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。また、当該大チャンバ排気ポート281の上端のうちカップ排気ポート461との重複領域を除く非重複領域は、カップ底部42と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。これにより、カップ部4内の気体を第1排気機構95aにより効率良く排出することができる。
詳細には、カップ排気ポート461の上記非重複領域は、大チャンバ排気ポート281が内部に形成される底部突出部282の上端面と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。また、大チャンバ排気ポート281の上記非重複領域は、カップ排気ポート461が内部に形成される底部突出部462の下端面と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。底部突出部282の上端面、および、底部突出部462の下端面は上下方向に略垂直である。このように、基板処理装置1では、簡素な構造にてカップ排気ポート461の非重複領域、および、大チャンバ排気ポート281の非重複領域を実質的に閉塞することができる。
上記の通り、第1処理液による処理時における第1排気機構95aによる排気流量の変更、および、排気流量の微調整について説明したが、第2処理液による処理時における第2排気機構95bによる排気流量の変更、および、排気流量の微調整についても同様である。また、第3処理液による処理時における第3排気機構95cによる排気流量の変更、および、排気流量の微調整についても同様である。
基板処理装置1では、例えば、第1処理液による基板9の処理の際に、基板9の回転速度を低下させて(あるいは、基板9の回転を停止して)基板9の上面91を第1処理液によりパドルする場合等、第1排気機構95aによるチャンバ21からの排気を停止することが求められる場合がある。この場合、カップ回転機構7が制御部10により制御され、図11に示すように、カップ排液ポート451は、第1チャンバ排液ポート群276aの3つのチャンバ排液ポート271のうち、図4中の下側のチャンバ排液ポート271と重なる。この状態において、カップ部4の外側カップ空間45内の第1処理液は、カップ排液ポート451および当該チャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21外かつハウジング6外の第1排液部96aへと排出される。
また、カップ排気ポート461は、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284から周方向に離間した位置に位置し、第1チャンバ排気ポート群286aの内側凸部283に重ねられる。カップ排気ポート461の下端は、内側凸部283の上端面に近接して上下方向に対向し、実質的に閉塞される。これにより、第1排気機構95aによるチャンバ21内の排気が実質的に停止される。
このように、基板処理装置1では、カップ回転機構7が制御部10により制御され、カップ排気ポート461を、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281(小チャンバ排気ポート284であってもよい。)または内側凸部283に選択的に重ねることができる。これにより、カップ排液ポート451を介して第1排液部96aへと第1処理液を排出する際に、第1排気機構95aによるチャンバ21内の排気状態と排気停止状態とを容易に選択することができる。
上記の通り、第1処理液による処理時における第1排気機構95aによる排気の停止について説明したが、第2処理液による処理時における第2排気機構95bによる排気の停止についても同様である。また、第3処理液による処理時における第3排気機構95cによる排気の停止についても同様である。
基板処理装置1では、カップ底部42およびチャンバ底部251の形状は変更されてもよい。図12は、他の好ましいカップ部4aを示す底面図である。図13は、他の好ましいチャンバ21aのチャンバ底部251を示す平面図である。図13では、図4と同様に、カップ部4aの外側壁部41、仕切り壁44および内側壁部43を破線にて併せて示す。
図12に示すカップ部4aでは、図3に示すカップ部4の底部突出部462と形状が異なる底部突出部462aが、カップ底部42に設けられて下方に突出する。カップ部4aの他の構造は、図3に示すカップ部4とほぼ同様であり、以下の説明では同符号を付す。図12に示すように、底部突出部462aは、周方向に長く、中心軸J1を中心とする略円弧状である。底部突出部462aは、図3に示す底部突出部462、および、底部突出部462の周方向両側に隣接する2つの内側凸部463が配置される周方向の領域のおよそ全体に亘って設けられる。底部突出部462aの下端面462bは、上下方向に略垂直である。カップ排気ポート461は、底部突出部462aの周方向の略中央において底部突出部462a内に形成される。カップ排気ポート461は、図3に示すカップ排気ポート461と同様の大きさおよび形状を有する。
図13に示すチャンバ21aでは、図4に示すチャンバ21の底部突出部272およびチャンバ排液ポート271とは形状が異なる底部突出部272aおよびチャンバ排液ポート271aが、チャンバ底部251に設けられる。チャンバ21aの他の構造は、図3に示すチャンバ21とほぼ同様であり、以下の説明では同符号を付す。図13に示す例では、3個の底部突出部272a、および、3個のチャンバ排液ポート271aが、チャンバ底部251に設けられる。3個のチャンバ排液ポート271aは、図3に示すチャンバ排液ポート群276a〜276cの位置にそれぞれ配置される。3個のチャンバ排液ポート271aには、第1排液部96a、第2排液部96bおよび第3排液部96cがそれぞれ接続される。
図13に示すように、各底部突出部272aおよび各チャンバ排液ポート271aは、周方向に長く、中心軸J1を中心とする略円弧状である。各底部突出部272aは、図3に示す1つのチャンバ排液ポート群の3個の底部突出部272が配置される周方向の領域のおよそ全体に亘って設けられる。各チャンバ排液ポート271aは、1つのチャンバ排液ポート群の3個のチャンバ排液ポート271が配置される周方向の領域のおよそ全体に亘って設けられる。チャンバ排液ポート271aの周方向の長さは、図12に示すカップ排液ポート451の周方向の長さよりも長い。
カップ排気ポート461が第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281に上下方向に重なる状態では、カップ排液ポート451は、第1排液部96aが接続されるチャンバ排液ポート271aの周方向の中央部に上下方向に重なる。以下、当該状態を「大流量排気状態」という。
大流量排気状態では、カップ部4a内の気体が、カップ排気ポート461および上記大チャンバ排気ポート281を介して、第1排気機構95aによりチャンバ21a外かつハウジング6外に排出される。また、カップ部4aの外側カップ空間45内の第1処理液は、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271aを介して第1排液部96aへと排出される。なお、第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284の上端は、カップ排気ポート461の周囲に拡がる底部突出部462aの下端面462bと近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。
カップ部4aが、カップ排液ポート451と上記チャンバ排液ポート271aとの重複を維持しつつ、大流量排気状態から回転することにより、カップ排気ポート461は大チャンバ排気ポート281から周方向にずれた位置へと移動する。例えば、カップ排液ポート451と上記チャンバ排液ポート271aとの重複を維持しつつ、カップ排気ポート461は第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284に上下方向に重なる状態となる。以下、当該状態を「小流量排気状態」という。
小流量排気状態では、カップ部4a内の気体が、カップ排気ポート461および上記小チャンバ排気ポート284を介して、第1排気機構95aによりチャンバ21a外に排出される。小流量排気状態におけるチャンバ21aからの排気流量は、大流量排気状態におけるチャンバ21aからの排気流量よりも小さい。小流量排気状態では、大流量排気状態と同様に、カップ部4aの外側カップ空間45内の第1処理液が、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271aを介して第1排液部96aへと排出される。なお、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281の上端は、カップ排気ポート461の周囲に拡がる底部突出部462aの下端面462bと近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。
カップ部4aが、カップ排液ポート451と上記チャンバ排液ポート271aとの重複を維持しつつ、大流量排気状態または小流量排気状態から回転することにより、カップ排気ポート461は大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284から周方向にずれた位置へと移動する。例えば、カップ排液ポート451と上記チャンバ排液ポート271aとの重複を維持しつつ、カップ排気ポート461は第1チャンバ排気ポート群286aの内側凸部283に上下方向に重なる状態となる。以下、当該状態を「排気停止状態」という。
排気停止状態では、カップ排気ポート461の下端が、第1チャンバ排気ポート群286aの内側凸部283の上端面と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。また、第1チャンバ排気ポート群286aの大チャンバ排気ポート281の上端は、カップ排気ポート461の周囲に拡がる底部突出部462aの下端面462bと近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。第1チャンバ排気ポート群286aの小チャンバ排気ポート284の上端は、底部突出部462aに周方向にて隣接する内側凸部463の下端面と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。これにより、第1排気機構95aによるカップ排気ポート461を介したカップ部4a内の気体の吸引(すなわち、第1排気機構95aによるチャンバ21aからの排気)は実質的に停止される。排気停止状態では、大流量排気状態および小流量排気状態と同様に、カップ部4aの外側カップ空間45内の第1処理液が、カップ排液ポート451およびチャンバ排液ポート271aを介して第1排液部96aへと排出される。
図12および図13に示すカップ部4aおよびチャンバ21aが設けられる場合、第1処理液の第1排液部96aへの排出を継続しつつ、第1排気機構95aによる排気状態と排気停止状態とを容易に切り替えることができる。また、第1排気機構95aによる排気状態において、大流量排気状態および小流量排気状態を選択的に切り替えることにより、排気流量を容易に変更することもできる。さらに、上述のように、排気停止状態を簡素な構造にて実現することができる。
上記の通り、カップ部4aおよびチャンバ21aが設けられる場合において、第1処理液による処理時における第1排気機構95aによる大流量排気状態、小流量排気状態および排気停止状態について説明したが、第2処理液による処理時における第2排気機構95bによる大流量排気状態、小流量排気状態および排気停止状態についても同様である。また、第3処理液による処理時における第3排気機構95cによる大流量排気状態、小流量排気状態および排気停止状態についても同様である。
図14は、第2の実施の形態に係る基板処理装置1aを示す断面図である。基板処理装置1aは、図1に示すカップ部4およびチャンバ21とは形状が異なるカップ部4bおよびチャンバ21bを備える。基板処理装置1aは、昇降機構33をさらに備える。これらの点を除き、基板処理装置1aは、図1に示す基板処理装置1とおよそ同様の構造を有する。以下の説明では、基板処理装置1の各構成と対応する基板処理装置1aの構成に同符号を付す。
図14に示すように、カップ部4bは、径方向において仕切り壁44と外側壁部41との間に位置するもう1つの仕切り壁47を備える。以下の説明では、仕切り壁44,47の区別を容易とするために、仕切り壁44,47をそれぞれ、「第1仕切り壁44」および「第2仕切り壁47」と呼ぶ。第2仕切り壁47は、中心軸J1を中心とする略円筒状である。第2仕切り壁47は、カップ底部42から上方に拡がる。第2仕切り壁47は、カップ底部42から上方へと向かうに従って径方向外側へと拡がり、上下方向の所定の位置よりも上側では、中心軸J1に略平行に上方へと拡がる。カップ排液ポート451は、第2仕切り壁47の下端よりも径方向内側、かつ、第1仕切り壁44の下端よりも径方向外側に位置する。以下の説明では、カップ部4bの第1仕切り壁44と第2仕切り壁47との間の空間を「第1外側カップ空間45a」と呼ぶ。また、カップ部4bの第2仕切り壁47と外側壁部41との間の空間を「第2外側カップ空間45b」と呼ぶ。
図15は、カップ部4bを示す底面図である。図14および図15に示すように、カップ部4bのカップ底部42には、カップ排液ポート451から離間した位置に、他のカップ排液ポート457が設けられる。カップ排液ポート457は、第2仕切り壁47の下端よりも径方向外側、かつ、外側壁部41の下端よりも径方向内側に位置する。すなわち、カップ排液ポート457は、カップ排液ポート451よりも径方向外側に位置する。以下の説明では、カップ排液ポート451,457の区別を容易とするために、カップ排液ポート451,457をそれぞれ、「内カップ排液ポート451」および「外カップ排液ポート457」と呼ぶ。
外カップ排液ポート457の下端の大きさおよび形状は、例えば、内カップ排液ポート451の下端の大きさおよび形状とおよそ同じである。換言すれば、外カップ排液ポート457の下端の面積は、内カップ排液ポート451の下端の面積とおよそ等しい。図14および図15では、外カップ排液ポート457と内カップ排液ポート451とは径方向に並んでいるが、外カップ排液ポート457と内カップ排液ポート451とは、周方向において互いに異なる位置に配置されてもよい。
図16は、チャンバ21bのチャンバ底部251を示す底面図である。図16では、カップ部4bの外側壁部41、第1仕切り壁44および内側壁部43を破線にて併せて示す。図14および図16に示すように、チャンバ21bのチャンバ底部251には、複数のチャンバ排液ポート271よりも径方向外側に位置する他のチャンバ排液ポート277が設けられる。以下の説明では、チャンバ排液ポート271,277の区別を容易とするために、チャンバ排液ポート271,277をそれぞれ、「内チャンバ排液ポート271」および「外チャンバ排液ポート277」と呼ぶ。
外チャンバ排液ポート277は、複数の内チャンバ排液ポート271と周方向において異なる位置に位置する。外チャンバ排液ポート277の下端の大きさおよび形状は、例えば、内チャンバ排液ポート271の下端の大きさおよび形状とおよそ同じである。換言すれば、外チャンバ排液ポート277の下端の面積は、内チャンバ排液ポート271の下端の面積とおよそ等しい。外チャンバ排液ポート277は、第1排液部96a、第2排液部96bおよび第3排液部96cから独立した他の排液部(以下、「第4排液部96d」という。)に接続される。
チャンバ底部251には、図4に示す3個の大チャンバ排気ポート281に加えて、もう1つの大チャンバ排気ポート281が設けられる。当該もう1つの大チャンバ排気ポート281は、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95cから独立した他の排気機構(以下、「第4排気機構95d」という。)に接続される。当該大チャンバ排気ポート281は、外チャンバ排液ポート277と中心軸J1を挟んで反対側に位置し、他の大チャンバ排気ポート281および複数の小チャンバ排気ポート284と周方向に並ぶ。
図14に示す例では、外カップ排液ポート457が、外チャンバ排液ポート277と上下方向に重なる。外カップ排液ポート457の下端は、外チャンバ排液ポート277の上端と近接して上下方向に対向する。これにより、外カップ排液ポート457と外チャンバ排液ポート277とが実質的に接続される。外カップ排液ポート457は、外チャンバ排液ポート277を介して第4排液部96dに接続される。また、内カップ排液ポート451は、チャンバ底部251の外側凸部273と上下方向に重なることにより、実質的に閉塞される。
図14に示す例では、カップ排気ポート461は、第4排気機構95dに接続された上述の大チャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。カップ排気ポート461の下端は、当該大チャンバ排気ポート281の上端と近接して上下方向に対向する。これにより、カップ排気ポート461と当該大チャンバ排気ポート281とが実質的に接続される。カップ排気ポート461は、大チャンバ排気ポート281を介して第4排気機構95dに接続される。
昇降機構33は、基板保持部31をカップ部4bに対して上下方向に相対的に移動する。図14に示す例では、昇降機構33は、基板回転機構32に隣接して配置される。昇降機構33により、基板回転機構32が上下方向に移動されることにより、基板9が基板保持部31と共に上下方向に移動する。基板9は、図14に示す位置と、図17に示す位置との間にて上下方向に移動可能である。以下の説明では、図17に示す基板9のカップ部4bに対する相対位置を「第1位置」と呼び、図14に示す基板9のカップ部4bに対する相対位置を「第2位置」と呼ぶ。第2位置は、第1位置よりも上方である。
図17では、カップ部4bの向きは、図14に示す向きとは異なり、図1に示す向きと同様である。具体的には、カップ排気ポート461は、第1排気機構95aに接続された大チャンバ排気ポート281と上下方向に重なる。内カップ排液ポート451は、第1排液部96aに接続された内チャンバ排液ポート271と上下方向に重なる。一方、外カップ排液ポート457は、チャンバ底部251に設けられた外側凸部279と上下方向に重なることにより、実質的に閉塞される。また、第4排気機構95dに接続された大チャンバ排気ポート281(図16参照)は、カップ部4bの内側凸部463と上下方向に重なることにより、実質的に閉塞される。
図17に示すように、基板9が第1位置に位置する状態では、トッププレート22のプレート側壁部225の下端部が、カップ部4bの第2仕切り壁47よりも径方向内側に位置し、第2仕切り壁47の上端部と径方向に重なる。このため、処理液供給部5から基板9上に供給された第1処理液は、第1外側カップ空間45aに流入する。第1外側カップ空間45a内の第1処理液は、内カップ排液ポート451および内チャンバ排液ポート271を介して第1排液部96aへと排出される。基板処理装置1aでは、第2処理液による基板9の処理の際も同様に、基板9は第1位置に位置し、第2処理液は第1外側カップ空間45aへと流入して第2排液部96bへと排出される。第3処理液による基板9の処理の際も同様に、基板9は第1位置に位置し、第3処理液は第1外側カップ空間45aへと流入して第3排液部96cへと排出される。
基板処理装置1aにおいて、処理液供給部5から基板9に第4処理液が供給される場合、図14に示すように、基板9が第2位置に位置する。基板9が第2位置に位置する状態では、トッププレート22のプレート側壁部225の下端部が、カップ部4bの第2仕切り壁47の上端よりも上方に位置する。プレート側壁部225の下端部は、カップ部4bの外側壁部41よりも径方向内側に位置し、外側壁部41の上端部と径方向に重なる。このため、処理液供給部5から基板9上に供給された第4処理液は、第2外側カップ空間45bに流入する。
上述のように、外カップ排液ポート457は外チャンバ排液ポート277に重ねられているため、第2外側カップ空間45b内の第4処理液は、外カップ排液ポート457および外チャンバ排液ポート277を介して、チャンバ21b外かつハウジング6外の第4排液部96d(図16参照)へと排出される。第4排液部96dへと排出された第4処理液は、回収されて再利用される。
基板処理装置1aでは、カップ部4bの処理液が流入する空間が、第1外側カップ空間45aと第2外側カップ空間45bとに分割され、基板9を昇降することにより、第1外側カップ空間45aまたは第2外側カップ空間45bを選択して使用することができる。これにより、カップ部4b内における複数種類の処理液の混合を抑制することができる。その結果、他の処理液と異なる外側カップ空間45bを利用して排出した処理液(上述の例では、第4処理液)を、効率良く回収して再利用することができる。また、処理液の混触による発熱等を低減することができる。なお、第4処理液は、第1〜第3処理液と異なる処理液でもよく、いずれかと同じ種類の処理液であってもよい。
図18は、チャンバ21bの他の好ましい例を示すチャンバ底部251の平面図である。図18に示す例では、第4排液部96dに接続される外チャンバ排液ポート277が、第2排液部96bに接続される1つの内チャンバ排液ポート271と周方向の同じ位置に位置する。上述の第2位置に位置する基板9からの第4処理液は、外カップ排液ポート457および外チャンバ排液ポート277を介して第4排液部96dへと排出される。また、チャンバ21内の排気は、中心軸J1を挟んで外チャンバ排液ポート277の反対側に位置する大チャンバ排気ポート281を介して第2排気機構95bにより行われる。図18に示す構成は、例えば、2種類の酸性の処理液を第2排液部96bと第4排液部96dとにより分別して回収するが排気までは分別する必要がない場合に適している。図18の構成とすることにより、第4排気機構を省略して排気機構を簡素化することができる。
図19は、第3の実施の形態に係る基板処理装置1bのカップ部4cを示す底面図である。図20は、基板処理装置1bのチャンバ21cのチャンバ底部251を示す平面図である。図20では、カップ部4cの外側壁部41、仕切り壁44および内側壁部43を破線にて併せて示す。基板処理装置1bは、図1に示すカップ部4およびチャンバ21とは形状が異なるカップ部4cおよびチャンバ21cを備える点を除き、図1に示す基板処理装置1とおよそ同様の構造を有する。以下の説明では、基板処理装置1の各構成と対応する基板処理装置1bの構成に同符号を付す。
図19に示すように、カップ部4cでは、カップ排液ポート451およびカップ排気ポート461に加えて、カップ排気ポート461と共に周方向に並ぶカップ排気ポート464が、カップ底部42に設けられる。カップ排気ポート464は、カップ底部42に設けられて下方に突出する複数の底部突出部465内に設けられる。カップ排気ポート464は、カップ排気ポート461に周方向において隣接する。以下の説明では、カップ排気ポート461,464の区別を容易にするために、カップ排気ポート461,464をそれぞれ、「大カップ排気ポート461」および「小カップ排気ポート464」と呼ぶ。また、大カップ排気ポート461および小カップ排気ポート464をまとめて、単に「カップ排気ポート」とも呼ぶ。
小カップ排気ポート464の直径は、大カップ排気ポート461の直径よりも小さい。換言すれば、小カップ排気ポート464の下端の面積は、大カップ排気ポート461の下端の面積よりも小さい。小カップ排気ポート464が内部に設けられる底部突出部465の外径は、大カップ排気ポート461が内部に設けられる底部突出部462の外径よりも小さい。底部突出部465の下端面は、上下方向に略垂直である。
図20に示すように、チャンバ21cのチャンバ底部251では、図4に示すチャンバ21のチャンバ底部251に設けられた小チャンバ排気ポート284が省略され、小チャンバ排気ポート284に代えて内側凸部283が設けられる。したがって、第1排気機構95a、第2排気機構95bおよび第3排気機構95cにはそれぞれ、1つの大チャンバ排気ポート281(以下、単に「チャンバ排気ポート281」という。)が接続される。
基板処理装置1bでは、通常、第1処理液による基板9の処理の際には、カップ部4cが図1に示す向きへと回転し、外側カップ空間45に流入した第1処理液は、図19に示すカップ排液ポート451、および、図20に示す第1チャンバ排液ポート群276aの中央のチャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21c外かつハウジング6外の第1排液部96aへと排出される。また、カップ部4c内の気体は、大カップ排気ポート461、および、第1チャンバ排液ポート群276aとは中心軸J1を挟んで反対側に位置するチャンバ排気ポート281を介して、第1排気機構95aによりチャンバ21c外かつハウジング6外に排出される。
一方、第1排気機構95aによるチャンバ21cからの排気流量を小さくすることが求められる場合、カップ回転機構7が制御部10により制御され、図21に示すように、小カップ排気ポート464が第1チャンバ排気ポート群286aのチャンバ排気ポート281に上下方向に重ねられる。小カップ排気ポート464はチャンバ排気ポート281に近接して上下方向に対向する。これにより、小カップ排気ポート464がチャンバ排気ポート281に実質的に接続される。カップ部4c内の気体は、小カップ排気ポート464およびチャンバ排気ポート281を介して、第1排気機構95aによりチャンバ21c外かつハウジング6外に排出される。
上述のように、小カップ排気ポート464の下端の面積は、大カップ排気ポート461の下端の面積よりも小さい。このため、カップ部4cの向きが、大カップ排気ポート461とチャンバ排気ポート281とが重なる状態から、小カップ排気ポート464とチャンバ排気ポート281とが重なる状態へとカップ回転機構7により変更されることにより、カップ排気ポートとチャンバ排気ポート281との重複面積が変更される。これにより、第1排気機構95aによるチャンバ21cからの排気流量が小さくなる。
また、図19に示すカップ排液ポート451は、図20に示す第1チャンバ排液ポート群276aの3つのチャンバ排液ポート271のうち、図20中の下側のチャンバ排液ポート271と重なる。カップ部4cの外側カップ空間45に流入した第1処理液は、カップ排液ポート451および当該チャンバ排液ポート271を介して、チャンバ21c外かつハウジング6外の第1排液部96aへと排出される。
このように、基板処理装置1bでは、図1に示す基板処理装置1と同様に、カップ回転機構7が制御部10により制御され、カップ排気ポートとチャンバ排気ポート281との重複面積が変更されることにより、チャンバ21cからの排気流量を、基板9に対する処理の内容等に合わせて容易に変更することができる。また、基板処理装置1bでは、カップ排気ポートとチャンバ排気ポート281との重複面積の変更が、大カップ排気ポート461または小カップ排気ポート464を、第1チャンバ排気ポート群286aのチャンバ排気ポート281に選択的に重ねることである。これにより、第1排気機構95aによる吸引力を変更することなく、チャンバ21cからの排気流量を簡素な構造にて変更することができる。
図22は、小カップ排気ポート464、および、小カップ排気ポート464に上下方向に重なる第1チャンバ排気ポート群286aのチャンバ排気ポート281を拡大して示す図である。図22に示すように、小カップ排気ポート464が内部に設けられる底部突出部465の下端面465aは、上述のように、上下方向に略垂直である。チャンバ排気ポート281の上端のうち中央部の略円形の領域は、小カップ排気ポート464の下端と重複する重複領域281aである。チャンバ排気ポート281の上端のうち重複領域281aの周囲の円環状の領域(すなわち、重複領域281aを除く領域)は、小カップ排気ポート464の下端と重複しない非重複領域281bである。
チャンバ排気ポート281の非重複領域281bは、カップ底部42の底部突出部465の下端面465aに近接して上下方向に対向する。これにより、チャンバ排気ポート281の非重複領域281bが実質的に閉塞される。このため、第1排気機構95aにより小カップ排気ポート464およびチャンバ排気ポート281を介して排気が行われる際に、カップ部4c下方の気体が、チャンバ排気ポート281の非重複領域281bを介して、チャンバ排気ポート281内に吸引されることが防止または抑制される。その結果、カップ部4c内の気体を効率良く排出することができる。基板処理装置1bでは、底部突出部465の下端面465aという簡素な構造を利用して、チャンバ排気ポート281の非重複領域281bを容易に閉塞することができる。
なお、小カップ排気ポート464は、カップ底部42に設けられるのであれば、必ずしも底部突出部465内に設けられる必要はない。底部突出部465が省略される場合であっても、チャンバ排気ポート281の非重複領域281bが、小カップ排気ポート464の周囲にてカップ底部42に近接することにより実質的に閉塞される。この場合であっても、上記と同様に、カップ部4c内の気体を効率良く排出することができる。
基板処理装置1bでは、上述の基板処理装置1と同様に、第1排気機構95aによるチャンバ21cからの排気流量の微調整が求められる場合がある。この場合、図19に示す大カップ排気ポート461および小カップ排気ポート464のうち一方のカップ排気ポートが、図20に示す第1排気機構95aに接続されたチャンバ排気ポート281に重なる状態から、当該一方のカップ排気ポートとチャンバ排気ポート281との重複を維持しつつ、カップ回転機構7によりカップ部4cを微小角度(例えば、5度)だけ回転する。
カップ部4cの微小角度の回転により、上記一方のカップ排気ポートとチャンバ排気ポート281との重複面積が変更される。その結果、第1排気機構95aによるチャンバ21cからの排気流量を、簡素な構造により微調整することができる。
この場合、図10と同様に、チャンバ排気ポート281の上端のうち当該一方のカップ排気ポートとの重複領域を除く非重複領域は、当該一方のカップ排気ポートが内部に設けられる底部突出部の下端面(すなわち、カップ底部42の一部である上下方向に略垂直な面)と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。また、当該一方のカップ排気ポートの下端のうちチャンバ排気ポート281との重複領域を除く非重複領域は、チャンバ排気ポート281が内部に設けられる底部突出部282の上端面(すなわち、チャンバ底部251の一部である上下方向に略垂直な面)と近接して上下方向に対向することにより、実質的に閉塞される。
上記の通り、カップ部4cおよびチャンバ21cが設けられる場合において、第1処理液による処理時における第1排気機構95aによる流量変更について説明したが、第2処理液による処理時における第2排気機構95bによる流量変更についても同様である。また、第3処理液による処理時における第3排気機構95cによる流量変更についても同様である。
上記基板処理装置1,1a,1bでは、様々な変更が可能である。
図1に示す基板処理装置1、および、図14に示す基板処理装置1aでは、チャンバ底部251において、図4および図16に示す複数組の大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284のうち、少なくとも1組の大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284が設けられていればよい。この場合、大チャンバ排気ポート281および小チャンバ排気ポート284に対応する2つのチャンバ排液ポート271が、チャンバ底部251に設けられることが好ましい。図20に示す基板処理装置1bのチャンバ底部251では、少なくとも1つのチャンバ排気ポート281が設けられていればよい。この場合、当該1つのチャンバ排気ポート281に対応する1つのチャンバ排液ポート群が、チャンバ底部251に設けられることが好ましい。
チャンバ底部251に設けられる(内)チャンバ排液ポート271、外チャンバ排液ポート277、(大)チャンバ排気ポート281、小チャンバ排気ポート284、外側凸部273,279および内側凸部283の数および周方向における配置は、適宜変更されてよい。カップ底部42に設けられる(内)カップ排液ポート451、外カップ排液ポート457、(大)カップ排気ポート461、小カップ排気ポート464、外側凸部453および内側凸部463の数および周方向における配置も、適宜変更されてよい。
基板9からカップ部に流入した処理液は、共通配管によりチャンバ外かつハウジング外へと排出され、ハウジング外においてバルブ等により排出先が切り替えられてもよい。この場合であっても、処理液用のバルブや配管は比較的小型であるため、基板処理装置1,1a,1bの大型化は抑制される。
カップ部4,4a〜4cの外側壁部41、内側壁部43、(第1)仕切り壁44および第2仕切り壁47は、略筒状であれば、略円筒状以外の様々な形状であってもよい。
チャンバ開閉機構23は、必ずしもチャンバ蓋部26を上下方向に移動する必要はなく、例えば、チャンバ蓋部26が固定された状態で、チャンバ本体25を上下方向に移動してもよい。チャンバ21は、必ずしも略円筒状には限定されず、様々な形状であってよい。上述の基板処理装置1,1a,1bでは、チャンバ21は、必ずしも密閉空間を形成する必要はない。例えば、チャンバ蓋部26およびトッププレート22が省略され、チャンバ21が、上部が開放されたオープンチャンバとされてもよい。
昇降機構33は、必ずしも、基板9および基板保持部31を上下方向に移動する必要はなく、例えば、基板保持部31が上下方向において固定された状態で、カップ部4bを上下方向に移動してもよい。
カップ回転機構7のステータ部71およびロータ部72の形状および構造は、様々に変更されてよい。ロータ部72は、必ずしも浮遊状態にて回転する必要はなく、チャンバ21内にロータ部72を機械的に支持するガイド等の構造が設けられ、当該ガイドに沿ってロータ部72が回転してもよい。カップ回転機構7は、必ずしも中空モータである必要はなく、軸回転型のモータがカップ回転機構として利用されてもよい。
上述の基板処理装置では、半導体基板以外に、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、FED(field emission display)等の表示装置に使用されるガラス基板の処理に利用されてもよい。あるいは、上述の基板処理装置は、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板および太陽電池用基板等の処理に利用されてもよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。