JP6206365B2 - 雑音抑圧装置 - Google Patents

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Description

本発明は、雑音と逆位相となる相殺音を生成し、雑音と相殺音とを空間で打ち消し合わせることで、雑音を低減する雑音抑圧装置に関する。
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された能動振動制御装置は、適応フィルタを用いて雑音と逆位相となる相殺信号を生成する。適応フィルタは、デジタルフィルタであり、所定の適応アルゴリズムを用いた演算を実行して相殺信号を生成する。
上記能動振動制御装置は、適応フィルタで実行される演算で用いられるフィルタ係数の初期値を実測値としている。
例えば能動振動制御装置を車両に搭載して車室内の雑音を相殺する場合には、実験車両を走行させることによりフィルタ係数が0から変化し収束して略一定になったときの値を実測し、この実測値をフィルタ係数の初期値としている。車両の量産時には、実測値のフィルタ係数の初期値を量産車に搭載された能動振動制御装置の適応フィルタに予め入力しておく。
特開平6−59684号公報
従来の能動振動制御装置を車両に搭載した場合に、車両の製造上のバラツキにより車室内の雑音や相殺音の伝達特性が車両毎に異なる。このため、実測値のフィルタ係数の初期値は、すべての車両において最適値とは言い難い。
したがって、従来の能動振動制御装置は、装置を作動させた後直ちに車室内の雑音を低減することが困難になっていた。
本発明の目的は、迅速に雑音の低減効果が得られる雑音抑圧装置を提供することである。
本発明は、雑音を集音する集音部と、雑音と雑音を相殺する相殺音との誤差が最小となるように相殺音を発生させる相殺信号を第1適応フィルタにより生成し、生成した相殺信号にしたがって発生する相殺音により雑音を相殺する相殺部と、前記集音部で集音された雑音と、前記相殺部から与えられる誤差とに基づいて、誤差が最小となるように第2適応フィルタにより相殺信号及びフィルタ係数を生成し、誤差が最小となる相殺信号を生成したときの第2適応フィルタのフィルタ係数を補正し、補正した前記第1適応フィルタのフィルタ係数の初期値として前記第1適応フィルタに与えるフィルタ係数生成部と、前記相殺部で雑音を相殺する動作と、前記フィルタ係数生成部でフィルタ係数を生成する動作とを切り替える切替部と、を有することを特徴とする雑音抑圧装置を提供する。
本発明の雑音抑圧装置によれば、迅速に雑音の低減効果を得ることができる。
本発明の第1実施形態に係る雑音抑圧装置の構成を示す図である。 雑音抑圧装置が搭載された車両の様子を示す図である。 抑圧モードの動作手順を示すフローチャートである。 抑圧前後の雑音の信号波形を示す図である。 生成モードの動作手順を示すフローチャートである。 切替動作の動作手順を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る雑音抑圧装置の構成を示す図である。 検証部の一構成を示す図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための実施形態を説明する。
以下に説明する実施形態では、本発明の雑音抑圧装置を車両に搭載して車室内の雑音を低減する実施形態を一例として説明する。なお、本発明の雑音抑圧装置は、車両や、航空機、船舶などの交通機関の他に、会議室など雑音が発生する様々な場所で用いることができる。
(第1実施形態)
図1を参照して、本発明の第1実施形態に係る雑音抑圧装置の構成を説明する。
図1において、雑音抑圧装置は、参照マイク10、相殺部11、フィルタ係数生成部12、モード切替部13を備えている。
参照マイク10は、雑音源14からの雑音を集音し、集音した雑音をアナログ信号の電気信号に変換し、変換で得られた電気信号を参照信号として出力する。参照マイク10は、集音部を構成する。
ここで、雑音源14は、図2に示すように、車両20のエンジン21とする。図2は車両20を模式的に示した図であり、同図(a)は車両20を側方から見た図であり、同図(b)は車両20を上から見た図である。
参照マイク10は、エンジン21が駆動されているときにエンジン21から発生する騒音を車室内の雑音として集音する。
参照マイク10は、図2に示すように、車両20のダッシュボード22の内部に配置される。なお、参照マイク10の配置位置は、ダッシュボード22の内部に限らず、例えばエンジン21が配置されたエンジンルームに配置してもよい。その場合に、参照マイク10は、風防を備えたものを用いることで、風切り音の入力を抑制することができる。
図1に戻って、相殺部11は、雑音源14から発生して車室内に存在する雑音を相殺する相殺音を車室内に出力し、雑音と相殺音とを車室内の空間で打ち消し合わせることで、車室内の雑音を抑圧する。
相殺部11は、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)110,115、第1適応フィルタ111、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ)112を備えている。相殺部11は、さらにスピーカ113、誤差マイク114、第1フィルタ係数保持部116、測定部117を備えている。
ADC110は、参照マイク10からアナログ信号として出力された参照信号を入力し、アナログ信号の参照信号をデジタル信号に変換する。ADC110は、変換で得られたデジタル信号の参照信号を第1適応フィルタ111及びフィルタ係数生成部12に与える。
第1適応フィルタ111は、参照信号と後述する誤差信号とに基づいて、相殺信号を生成する。第1適応フィルタ111は、第1フィルタ係数保持部116に保持されたフィルタ係数を初期値とし、所定のアルゴリズムを用いた演算を実行し、雑音と逆位相となる相殺音を発生させる相殺信号を生成する。
第1適応フィルタ111は、誤差信号のレベルが最小となるように、すなわち車室内の雑音が最小となるように相殺信号を調整する。第1適応フィルタ111は、第1フィルタ係数保持部116に保持されたフィルタ係数を初期値として相殺信号を生成し、車室内の雑音が最小となるようにフィルタ係数を更新する。
ここで、雑音が最小になるとは、フィルタ係数を更新しながら生成される相殺信号により雑音を打ち消し合うようにしても、以前より雑音のレベルが低下しない場合をいう。
第1適応フィルタ111は、生成したデジタル信号の相殺信号をDAC112に与える。
DAC112は、第1適応フィルタ111から与えられたデジタル信号の相殺信号を、アナログ信号に変換する。DAC112は、変換で得られたアナログ信号の相殺信号をスピーカ113に与える。
DAC112は、後述する測定部117から与えられたデジタル信号の測定信号を、アナログ信号に変換する。DAC112は、変換で得られたアナログ信号の測定信号をスピーカ113に与える。
スピーカ113は、DAC112から与えられた相殺信号に基づいて、相殺信号を空気振動に変換して相殺音を生成し、生成した相殺音を車室内に出力する。また、スピーカ113は、DAC112から与えられた測定信号に基づいて、測定信号を空気振動に変換して測定音を生成し、生成した測定音を車室内に出力する。
スピーカ113は、例えば車載のオーディオ装置で用いられるスピーカで構成され、図2に示すように、例えば車両20の左右のドアの内部に配置される。スピーカ113は、車両20に予め設置されているものに限らず、ユーザが新たに設置した専用のスピーカであってもよい。スピーカ113の配置位置は、車両20のドアに限らず、車室内に相殺音を出力できる位置であればいずれでもよく、例えば座席のヘッドレストの内部であってもよい。スピーカ113の個数は、2つに限らず、1つまたは3つ以上であってもよい。
なお、車両20の左右のドアの内部に配置された2つのスピーカから相殺音が出力される動作は同様であるので、図1では車両20の左右のドアの内部に配置された2つのスピーカを、符号113を付したスピーカとして模式的に図示している。
相殺信号とフィルタ係数は、スピーカー113を構成するそれぞれのスピーカ毎に生成される。
誤差マイク114は、スピーカ113から出力された相殺音と車室内の雑音との誤差を検出する。すなわち、誤差マイク114は、相殺音によって打ち消されずに車室内に残留する雑音を誤差音として検出する。誤差マイク114は、検出した誤差音をアナログ信号の電気信号に変換し、変換で得られた電気信号を誤差信号としてADC115に与える。
誤差マイク114には、スピーカ113から出力された測定音が入力される。誤差マイク114は、入力された測定音をアナログ信号の電気信号に変換し、変換で得られた電気信号を測定信号としてADC115に与える。
誤差マイク114は、誤差音を最小としたい例えば車両の乗員の頭部に近い位置であって、図2に示すように、例えば車両20の天井の中央部に配置される。誤差マイク114の配置位置は、車両20の天井の中央部に限ることはなく、誤差音を最小にしたい位置であれば車室内のいずれの位置であってもよい。
図1に戻って、ADC115は、誤差マイク114から与えられたアナログ信号の誤差信号をデジタル信号に変換し、変換で得られたデジタル信号の誤差信号を第1適応フィルタ111及びフィルタ係数生成部12に与える。ADC115は、誤差マイク114から与えられたアナログ信号の測定信号をデジタル信号に変換し、変換で得られたデジタル信号の測定信号を測定部117に与える。
第1フィルタ係数保持部116は、フィルタ係数生成部12で生成されたフィルタ係数を、第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値として保持する。
測定部117は、スピーカ113と誤差マイク114との距離を音により測定する。測定部117は、距離を測定する測定音を発生させるデジタル信号の測定信号を生成する。この測定音は、例えば周波数が500[Hz]程度の正弦波と無音とを0.5[ms]程度の間隔で交互に繰り返して生成される。
測定信号は、測定部117からDAC112を介してスピーカ113に与えられる。測定信号は、スピーカ113で空気振動の測定音に変換され、測定音がスピーカ113から出力される。スピーカ113から出力された測定音は、誤差マイク114に入力されて電気信号の測定信号としてADC115でデジタル信号に変換され、変換で得られた測定信号は再び測定部117に戻る。
測定部117は、測定部117を出力した測定信号と、測定部117に戻る測定信号との位相差に基づいて、スピーカ113と誤差マイク114との距離を測定する。
測定部117は、スピーカ113と誤差マイク114との距離を測定するにあたって、相互相関関数値を算出する。この相互相関関数値は、測定部117から出力された測定信号と誤差マイク114に入力した測定信号との類似性(一致度)を数値化したものである。相互相関関数値は、最も値が大きいときに類似性が高くなる。したがって、相互相関関数値が最も大きいときに、測定部117から出力された測定信号と誤差マイク114に入力した測定信号との位相は一致したものとみなせる。
測定部117は、相互相関関数値を算出する際の測定信号の処理単位を1フレームとし、1フレームの測定信号を所定のサンプリングレート、例えば48[kHz]の周波数でサンプリングし、サンプル数は例えば500サンプルとする。測定部117は、測定部117から出力された測定信号と誤差マイク114に入力した測定信号との一致度を検出する時間幅tのサンプル数を例えば400サンプルとする。
測定部117は、測定部117から出力された測定信号をn(n=0〜100)サンプル数だけ遅延した400サンプル数の相互相関関数値F(n)を、次式(1)により算出する。
Figure 0006206365
測定部117から出力された測定信号と誤差マイク114に入力した測定信号とは、最も大きな値の相互相関関数値F(n)のサンプル数nで一致したものとみなす。これにより、スピーカ113と誤差マイク114との距離は、相互相関関数値F(n)の最も大きな値のときのサンプル数nで表すことができる。
ちなみに、1サンプルあたりの時間T1[sec]は、次式(2)により算出することができる。
T1=1/サンプリングレート …(2)
測定信号が測定部117を出力してから再び測定部117に戻るまでの時間(サンプル時間)T2[sec]は、次式(3)により算出することができる。
T2=T1×n …(3)
上式(3)において、nは最も大きな値の相互相関関数値F(n)のサンプル数nである。
スピーカ113と誤差マイク114との実際の距離L[m]は、次式(4)により算出することができる。
L=T2×音速 …(4)
ここで、音速は温度により変化するが、車室内の温度を25[℃]とした場合には、音速は346.75[m/sec]とする。
測定部117は、測定した距離に対応したサンプル数nをフィルタ係数生成部12に与える。
測定部117は、上記測定動作を車両20の左右のドアの内部に配置された2つのそれぞれのスピーカに対して行い、それぞれのスピーカと誤差マイク114との距離を測定する。
測定部117は、フィルタ係数生成部12がフィルタ係数の初期値を生成する際に距離を毎回測定してもよく、もしくは雑音抑圧装置が作動したときにのみ測定するようにしてもよい。測定部117は、任意のタイミングで距離を測定することができる。
上記距離の測定において、サンプリングレートが例えば48[kHz]では、1サンプルあたりの距離の分解能は、おおよそ7.22[mm]となり、距離を測定する際に十分な分解能を得ることができる。
さらに、サンプリングレートを48[kHz]から例えば192[kHz]の高サンプリングレートに上げることで、1サンプルあたりの距離の分解能は、7.22[mm]から1.81[mm]に向上する。これにより、距離の測定精度は向上する。
フィルタ係数生成部12は、相殺部11の第1適応フィルタ111で用いるフィルタ係数の初期値を生成する。
フィルタ係数生成部12は、録音部120、参照信号入力部121、誤差信号入力部122、第2適応フィルタ123、フィルタ係数補正部124、第2フィルタ係数保持部125、加算処理部126を備えている。
録音部120は、参照マイク10から出力されてADC110でデジタル信号に変換された参照信号を、予め設定されたサンプリングレートでサンプリングして入力する。サンプリングレートは、例えば測定部117で用いたと同じ48[kHz]の周波数である。サンプリングレートは、例えば測定部117で用いた192[kHz]の周波数の高サンプリングレートに上げることで、サンプリングの分解能は高められる。
録音部120は、誤差マイク114から出力されてADC115でデジタル信号に変換された誤差信号を、参照信号をサンプリングしたサンプリングレートでサンプリングして入力する。
録音部120は、入力した参照信号と誤差信号とを録音して保持する。録音部120は、録音した参照信号を参照信号入力部121に与える。録音部120は、録音した誤差信号を誤差信号入力部122に与える。
参照信号入力部121は、録音部120から与えられた参照信号を入力し、入力した参照信号を第2適応フィルタ123に与える。
誤差信号入力部122は、録音部120から与えられた誤差信号を入力し、入力した誤差信号を加算処理部126に与える。
第2適応フィルタ123は、参照信号入力部121から与えられた参照信号と、後述する加算処理部126から与えられる残留信号とに基づいて、残留信号と逆位相となり残留信号を相殺する相殺信号を生成する。第2適応フィルタ123は、フィルタ係数を用いた所定のアルゴリズムにより演算を実行して相殺信号を生成する。第2適応フィルタ123は、生成した相殺信号を加算処理部126に与える。
第2適応フィルタ123は、残留信号のレベルが最小となるように相殺信号を調整する。第2適応フィルタ123は、相殺信号を調整して残留信号が最小となるようにフィルタ係数を更新する。第2適応フィルタ123は、フィルタ係数が収束して残留信号が最小になると、収束したフィルタ係数をフィルタ係数補正部124に与える。フィルタ係数補正部124に与えられたフィルタ係数は、第1適応フィルタ111で用いるフィルタ係数の補正前の初期値となる。
第2適応フィルタ123は、タップ長(またはタップ数)が第1適応フィルタ111のタップ長よりも大きい値のものが用いられる。ここで、タップ長とは、適応フィルタが実行する演算において、基本要素の演算の数を表すものとする。
第2適応フィルタ123のタップ長は、例えば測定部117で測定した距離に対応したサンプル数nを用いて決められる。すなわち、第2適応フィルタ123のタップ長は、第1適応フィルタ111のタップ長にサンプル数nを加算した値とする。例えば測定部117で用いたサンプリングレートが48[kHz]で、第1適応フィルタ111のタップ長が200[タップ]、サンプル数nが100[サンプル]とした場合には、第2適応フィルタ123のタップ長は、300[タップ]とする。
また、測定部117で用いたサンプリングレートと録音部120で用いたサンプリングレートが異なる場合には、録音部120で用いたサンプリングレートに応じてタップ長は決められる。例えば測定部117のサンプリングレートが48[kHz]、第1適応フィルタ111のタップ長が200[タップ]、サンプル数nが100[サンプル]に対して、録音部120のサンプリングレートが192[kHz]の場合を想定する。
この場合には、録音部120のサンプリングレートは、測定部117のサンプリングレートの4倍となる。したがって、第2適応フィルタ123のタップ長は、サンプリングレートが48[kHz]の300[タップ]の4倍の1200[タップ]以上とする。
フィルタ係数補正部124は、補正部として、第2適応フィルタ123で生成されたフィルタ係数を第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値として用いるために、第2適応フィルタ123で得られたフィルタ係数を補正する。上述したように、第1適応フィルタ111と第2適応フィルタ123のタップ長が異なっているので、フィルタ係数補正部124は、第2適応フィルタ123で生成されたフィルタ係数を第1適応フィルタ111のタップ長に対応するように補正する。
フィルタ係数補正部124には、第2適応フィルタ123から与えられたフィルタ係数と、測定部117で測定された距離に対応したサンプル数nとが入力される。フィルタ係数補正部124は、入力されたサンプル数nを用いて次式(5)により第2適応フィルタ123から与えられたフィルタ係数を補正する。補正されたフィルタ係数は、第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値となる。
第1適応フィルタのフィルタ係数の初期値(j)=第2適応フィルタのフィルタ係数(j+n) …(5)
上式(5)において、jは第1適応フィルタ111及び第2適応フィルタ123のタップ長を表し、j=0,1,2,…199となる。nは測定部117で測定された距離に対応したサンプル数である。
フィルタ係数補正部124は、上式(5)により第2適応フィルタ123の(j+n)番目の基本要素の演算のフィルタ係数を、第1適応フィルタ111のj番目の基本要素の演算のフィルタ係数の初期値として補正する。
録音部120が例えば192[kHz]の高サンプリングレートでサンプリングした場合には、第2適応フィルタ123のタップ長は上述したように少なくとも1200[タップ]となる。この場合には、フィルタ係数補正部124は、次式(6)により第2適応フィルタ123から与えられたフィルタ係数を補正し、補正したフィルタ係数を第2適応フィルタ123のフィルタ係数の初期値とする。
Figure 0006206365
上式(6)において、j及びnは前式(5)と同様である。
フィルタ係数補正部124は、補正したフィルタ係数を第2フィルタ係数保持部125に与える。
第2フィルタ係数保持部125は、フィルタ係数補正部124から与えられたフィルタ係数を入力し、入力したフィルタ係数を次にフィルタ係数が入力されるまで保持する。第2フィルタ係数保持部125に保持されたフィルタ係数は、第1適応フィルタ111で用いられるフィルタ係数の初期値となる。第2フィルタ係数保持部125は、保持したフィルタ係数を第1フィルタ係数保持部116に与える。
加算処理部126は、誤差信号入力部122から与えられた誤差信号と、第2適応フィルタ123から与えられる相殺信号とを加算する。加算処理部126は、誤差信号と相殺信号とを加算することで、相殺信号により誤差信号を打ち消す。加算処理部126は、相殺信号により打ち消されずに残留する信号を残留信号として検出し、検出した残留信号を第2適応フィルタ123に与える。
モード切替部13は、切替部として、相殺部11により雑音を抑圧する抑圧モードと、フィルタ係数生成部12によりフィルタ係数を生成する生成モードとを切り替える。モード切替部13は、雑音抑圧装置が搭載された車両のエンジンが始動されて雑音抑圧装置が起動されると、抑圧モードを選択する。これにより、相殺部11は、エンジンが始動されると、前回エンジンが停止する前のアイドリング状態で生成されたフィルタ係数を初期値として直ちに相殺信号を生成し、車室内の雑音を抑圧する。この結果、雑音抑圧装置は、車両のエンジンが始動された直後から雑音の抑圧効果を得ることができる。
モード切替部13は、車両のエンジンが始動された後車両が走行状態からアイドリング状態に移行すると、抑圧モードから生成モードに切り替える。これにより、フィルタ係数生成部12は、アイドリング状態における車室内の雑音を相殺するフィルタ係数を生成する。モード切替部13は、エンジンの回転数とシフトレバーのシフトポジションとに基づいて、車両のアイドリング状態と走行状態とを判別する。
モード切替部13は、車両がアイドリング状態から走行状態に移行すると、生成モードから抑圧モードに切り替える。
モード切替部13は、手動によりモードを切り替えるスイッチを備えていてもよい。生成モードと抑圧モードとは、ユーザがこのスイッチを任意のタイミングで操作することにより切り替えられる。
図3のフローチャートを参照して、抑圧モードの手順を説明する。
図3において、参照マイク10は、ステップS301にて、雑音を集音してアナログ信号の参照信号を生成し、生成した参照信号をADC110に与える。ADC110は、ステップS301にて、アナログ信号の参照信号をデジタル信号に変換して第1適応フィルタ111に与える。
第1適応フィルタ111は、ステップS302にて、第1フィルタ係数保持部116に保持されたフィルタ係数を初期値として、ADC115から与えられた誤差信号に基づいて相殺信号を生成する。第1適応フィルタ111は、ステップS302にて、生成したデジタル信号の相殺信号をDAC112に与える。第1適応フィルタ111は、ステップS302にて、ADC115から与えられる誤差信号が最小となるようにフィルタ係数を更新する。
DAC112は、ステップS302にて、デジタル信号の相殺信号をアナログ信号に変換してスピーカ113に与える。
スピーカ113は、ステップS303にて、DAC112から与えられた相殺信号に基づいて相殺音を生成し、生成した相殺音を車室内に出力する。
誤差マイク114は、ステップS304にて、スピーカ113から車室内に出力された相殺音により打ち消されずに車室内に残留する雑音を誤差音として検出する。誤差マイク114は、ステップS304にて、検出した誤差音をアナログ信号の電気信号に変換し、変換で得られた電気信号を誤差信号としてADC115に与える。
ADC115は、ステップS304にて、誤差マイク114から与えられたデジタル信号の誤差信号をデジタル信号に変換し、変換で得られたデジタル信号の誤差信号を第1適応フィルタ111及びフィルタ係数生成部12に与える。
モード切替部13は、ステップS305にて、抑圧モードから生成モードに切り替えるか否かを判別する。判別の結果、抑圧モードから生成モードに切り替える場合には(YES)、上記一連の抑圧モードの動作は終了する。
一方、抑圧モードから生成モードに切り替えない場合には(NO)、モード切替部13は、先のステップS301に戻って、上記一連の動作を継続して実行する。このように、図3に示す手順にしたがって抑圧モードが実行されることで、車室内の雑音は、雑音の信号波形41を表した図4に示すように、相殺信号により打ち消されて減衰する。この結果、車室内の静寂性が高められる。
図5のフローチャートを参照して、フィルタ係数の初期値を生成する生成モードの動作手順を説明する。
図5において、車両がアイドリング状態となり、モード切替部13により抑圧モードから生成モードに切り替えられると、測定部117は、ステップS501にて、スピーカ113と誤差マイク114との距離を測定する。
録音部120は、ステップS502にて、ADC110から与えられた参照信号とADC115から与えられた誤差信号を録音する。録音部120は、ステップS503にて、録音した参照信号を参照信号入力部121に与え、録音した誤差信号を誤差信号入力部122に与える。
参照信号入力部121は、ステップS503にて、参照信号を第2適応フィルタ123に与える。
第2適応フィルタ123は、ステップS503にて、参照信号入力部121から与えられた参照信号と加算処理部126から与えられた残留信号とに基づいて、相殺信号を生成する。第2適応フィルタ123は、ステップS503にて、残留信号が最小となるように相殺信号を調整し、フィルタ係数を更新する。第2適応フィルタ123は、ステップS503にて、残留信号が最小となりフィルタ係数が収束すると、収束したフィルタ係数をフィルタ係数補正部124に与える。
フィルタ係数補正部124は、ステップS504にて、ステップS501で測定部117により測定された距離に対応したサンプル数nに基づいて、第2適応フィルタ123から与えられたフィルタ係数を補正する。フィルタ係数補正部124は、ステップS504にて、補正したフィルタ係数を第2フィルタ係数保持部125に与える。第2フィルタ係数保持部125は、ステップS504にて、フィルタ係数補正部124から与えられたフィルタ係数を保持する。
フィルタ係数生成部12は、上記一連の動作を行うことにより、録音部120に録音された参照信号と誤差信号とに対応したフィルタ係数を生成する。
図6のフローチャートを参照して、モード切替部13の切替動作の手順を説明する。
図6において、モード切替部13は、ステップS601にて、雑音抑圧装置が搭載された車両のエンジンが始動されて雑音抑圧装置が起動されたか否かを判別する。判別の結果、雑音抑圧装置が起動されていない場合には(NO)、ステップS601に戻る。一方、判別の結果、車両のエンジンが始動されて雑音抑圧装置が起動され、車両がアイドリング状態となった場合には(YES)、モード切替部13は、ステップS602で示す処理を実行する。
モード切替部13は、ステップS602にて、抑圧モードを選択する。
モード切替部13は、ステップS603にて、車両が走行状態からアイドリング状態に移行したか否かを判別する。判別の結果、車両が走行状態からアイドリング状態に移行した場合には(YES)、モード切替部13は、ステップS604に示す処理を実行する。一方、車両が走行状態からアイドリング状態に移行していない場合には(NO)、モード切替部13は、ステップS602に示す処理を実行する。
モード切替部13は、ステップS604にて、抑圧モードから生成モードに切り替える。
モード切替部13は、ステップS605にて、フィルタ係数生成部12によりフィルタ係数が生成され、車両がアイドリング状態から走行状態に移行したか否かを判別する。判別の結果、車両がアイドリング状態から走行状態に移行していない場合には(NO)、モード切替部13は、ステップS604に示す処理を実行する。一方、判別の結果、車両がアイドリング状態から走行状態に移行した場合には(YES)、モード切替部13は、ステップS606に示す処理を実行する。
モード切替部13は、ステップS606にて、車両のエンジンが駆動されているか否かを判別する。判別の結果、車両のエンジンが駆動されている場合には(YES)、モード切替部13は、ステップS602に示す処理を実行する。一方、車両のエンジンが停止した場合には(NO)、上記一連の動作は終了する。
以上説明したように、第1実施形態の雑音抑圧装置は、以下に示す構成を備えることにより以下に示す効果を得ることができる。
第1実施形態の雑音抑圧装置は、雑音を集音する集音部を構成する参照マイク10、及び相殺部11、フィルタ係数生成部12、モード切替部13を備える。
相殺部11は、雑音と雑音を相殺する相殺音との誤差が最小となるように相殺音を発生させる相殺信号を第1適応フィルタ111により生成し、生成した相殺信号にしたがって発生する相殺音により雑音を相殺する。
フィルタ係数生成部12は、参照マイク10で集音された雑音と、相殺部11から与えられる誤差とに基づいて、誤差が最小となるように第2適応フィルタ123により相殺信号及びフィルタ係数を生成する。フィルタ係数生成部12は、誤差が最小となる相殺信号を生成したときの第2適応フィルタ123のフィルタ係数を補正する。フィルタ係数生成部12は、補正したフィルタ係数を第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値として第1適応フィルタ111に与える。
モード切替部13は、相殺部11で雑音を相殺する動作と、フィルタ係数生成部12でフィルタ係数を生成する動作とを切り替える。
上記構成を採用することにより、第1実施形態の雑音抑圧装置は、雑音抑圧装置が搭載された各車両の車室内の雑音や相殺音の伝達特性に応じたフィルタ係数の初期値を提供することができる。また、第1実施形態の雑音制御装置は、最新のフィルタ係数の初期値を提供することができる。
これにより、第1実施形態の雑音抑圧装置は、雑音抑圧装置が搭載される各車両の製造上のバラツキにかかわらず、各車両に最適なフィルタ係数の初期値を提供することができる。この結果、第1実施形態の雑音抑制装置は、雑音抑圧装置を作動させた後迅速に車室内の雑音を抑圧して低減することができる。
第1実施形態の雑音抑圧装置は、第2適応フィルタ123で生成されたフィルタ係数が第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値となるように第2適応フィルタ123で生成されたフィルタ係数を補正するフィルタ係数補正部124を備える。
上記構成を採用することにより、第1実施形態の雑音抑圧装置は、第1適応フィルタ111と異なる特性の第2適応フィルタ123で生成されたフィルタ係数を第1適応フィルタ111のフィルタ係数の初期値として用いることができる。
(第2実施形態)
図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る雑音抑圧装置の構成を説明する。
雑音抑圧装置は、データベース部70、相殺部71、及び第1実施形態と同一の参照マイク10、フィルタ係数生成部12、モード切替部13を備えている。なお、図7では、参照マイク10、フィルタ係数生成部12、モード切替部13は、第1実施形態と同一なので、図示は省略している。
データベース部70は、通信部701、入出力部702、格納部703を備えている。データベース部70は、第1実施形態で説明した雑音抑圧装置が搭載された車両と通信が可能な例えばデータセンターなどに設けられている。
通信部701は、データベース部70と、第1実施形態で説明した雑音抑圧装置が搭載された車両との間で無線により通信し、通信情報を送受信する。通信部701は、受信した通信情報を入出力部702に与える。通信部701は、入出力部702から与えられた通信情報を車両に搭載された雑音抑圧装置の相殺部71に送信する。
入出力部702は、相殺部71から送信されたフィルタ係数に相殺部71から送信された車両情報を付加する。入出力部702は、車両情報を付加したフィルタ係数を格納部703に格納する。
車両情報としては、例えば車種、参照マイク10の位置、誤差マイク114の位置、スピーカ113の位置、スピーカ113を駆動するアンプ(図示せず)の特性などである。
入出力部702は、相殺部71から送信された車両情報と同じ車両情報が付加されたフィルタ係数を格納部703で検索する。入出力部702は、相殺部71から送信された車両情報と同じ車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703に格納されている場合には、格納されたフィルタ係数を格納部703から読み出す。入出力部702は、読み出したフィルタ係数を通信情報として通信部701に与える。
入出力部702は、検索する車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703に複数格納されている場合には、検索する車両情報が付加された複数のフィルタ係数の平均値を算出する。入出力部702は、算出したフィルタ係数の平均値を通信情報として通信部701に与える。
入出力部702は、検索する車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703に格納されていない場合には、その旨を通知する通信情報を通信部701に与える。
格納部703は、車両情報が付加されて入出力部702から与えられたフィルタ係数を格納する。格納部703は、格納されたフィルタ係数が入出力部702により読み出される。
相殺部71は、第1適応フィルタ111に代えて新たな第1適応フィルタ713を備えている。相殺部71は、第1実施形態の相殺部11が備えた構成に加えて、通信部710、車両情報登録部711、フィルタ係数取得部712、フィルタ係数登録部714、検証部715を備えている。
なお、図7では、相殺部71の構成として、第1実施形態と同一のADC110,115、DAC112、スピーカ113、誤差マイク114、第1フィルタ係数保持部116、測定部117は、図示を省略している。
通信部710は、相殺部71を備えた雑音抑圧装置が搭載された車両とデータベース部70との間で通信が可能であるか否かを判断する。通信部710は、通信が可能である場合には、データベース部70の通信部701との間で無線により通信し、通信情報を送受信する。通信部710は、受信した通信情報をフィルタ係数取得部712に与える。
通信部710は、フィルタ係数登録部714から与えられたフィルタ係数と、このフィルタ係数が生成された車両の車両情報であって車両情報登録部711に登録された車両情報とを通信情報として送信する。通信部710は、車両情報登録部711に登録された車両情報が更新されて車両情報が変更された場合に、更新された車両情報を通信情報として送信する。
車両情報登録部711は、雑音抑圧装置が搭載された車両の車両情報を登録する。車両情報登録部711は、登録された車両情報を通信部710に与える。
フィルタ係数取得部712は、雑音抑圧装置が搭載された車両とデータベース部70との間で通信が可能であるか否かを通信部710に問い合わせる。フィルタ係数取得部712は、車両とデータベース部70との間で通信が可能であり、車両情報登録部711に登録された車両情報が更新された場合には、更新された車両情報に対応したフィルタ係数をデータベース部70から取得する。フィルタ係数取得部712は、取得したフィルタ係数を保持し、保持したフィルタ係数を第1適応フィルタ713に与える。
第1適応フィルタ713は、第1実施形態の第1適応フィルタ111が備えた機能に加えてフィルタ係数の初期値を選択する機能を備えている。第1適応フィルタ713は、車車両情報が更新されてフィルタ係数取得部712がフィルタ係数を取得した場合には、取得したフィルタ係数を選択する。第1適応フィルタ713は、フィルタ係数を取得できなかった場合、または車両情報が更新されずにフィルタ係数を取得しない場合には、第1実施形態と同様に第1フィルタ係数保持部116に保持されたフィルタ係数を選択する。
第1適応フィルタ713は、選択したフィルタ係数を初期値として、第1実施形態と同様にして相殺信号を生成し、フィルタ係数を更新する。第1適応フィルタ713は、車室内の雑音が最小となるよう更新されて収束したフィルタ係数をフィルタ係数登録部714に与える。
フィルタ係数登録部714は、検証部715から与えられる検証結果に基づいて、第1適応フィルタ713から与えられたフィルタ係数は抑圧効果がある場合には、フィルタ係数を通信部710に与え、データベース部70に登録する。
検証部715は、第1適応フィルタ713で生成されたフィルタ係数の雑音抑圧効果を検証する。
検証部715は、図8に示すように、参照信号取得部7150、誤差信号取得部7151、相殺信号取得部7152、雑音基準レベル算出部7153、雑音レベル推定部7154、判断部7155を備えている。
参照信号取得部7150は、参照マイク10で生成されてデジタル信号に変換された参照信号を取得する。参照信号取得部7150は、取得した参照信号を雑音基準レベル算出部7153に与える。
誤差信号取得部7151は、誤差マイク114で生成されてデジタル信号に変換された誤差信号を取得する。誤差信号取得部7151は、取得した誤差信号を雑音基準レベル算出部7153及び雑音レベル推定部7154に与える。
相殺信号取得部7152は、第1適応フィルタ713で生成された相殺信号を取得する。相殺信号取得部7152は、取得した相殺信号を雑音レベル推定部7154に与える。
雑音基準レベル算出部7153は、相殺信号が出力される前の参照信号の信号レベルと誤差信号の信号レベルとの信号レベル比を算出する。雑音基準レベル算出部7153は、算出した信号レベル比を判断部7155に与える。
雑音レベル推定部7154は、スピーカ113と誤差マイク114との距離に対応したサンプル数nに基づいて、相殺信号がスピーカ113から誤差マイク114に到達したときの相殺信号の減衰量を推定する。雑音レベル推定部7154は、減衰量を推定した相殺信号と誤差信号とを加算して雑音が抑圧される前の雑音レベルを推定する。雑音レベル推定部7154は、推定した雑音レベルを判断部7155に与える。
判断部7155は、抑圧モードにおける参照信号の信号レベルと誤差信号の信号レベルとの信号レベル比が、雑音基準レベル算出部7153から与えられた信号レベル比よりも小さくなっているか否かを判別(第1判別処理)する。判別の結果、小さくなっている場合には、判断部7155は、車室内の雑音が抑圧されて低減されているものと判断する。一方、判別の結果、小さくなっていない場合には、判断部7155は、車室内の雑音が抑圧されていないものと判断する。
判断部7155は、推定した雑音レベルの振幅の絶対値と誤差信号の信号レベルの振幅の絶対値とを算出する。判断部7155は、誤差信号の信号レベルの振幅の絶対値が推定した雑音レベルの振幅の絶対値よりも小さくなっているか否かを判別(第2判別処理)する。判別の結果、小さくなっている場合には、車室内の雑音が抑圧されて低減されているものと判断する。一方、判別の結果、小さくなっていない場合には、判断部7155は、車室内の雑音が抑圧されていないものと判断する。
判断部7155は、少なくとも上記第1判別処理または第2判別処理を行い、判断部7155の判断結果とする。
一方、判断部7155は、上記第1判別処理と第2判別処理との双方の判別処理を行い、双方の判別処理の結果がともに小さくなっている場合に、車室内の雑音が抑圧されて低減されているものと判断する。
判断部7155は、上記判断結果を検証部715の検証結果としてフィルタ係数登録部714に与える。
上記構成において、相殺部71で生成されて、雑音の抑圧効果があると検証されたフィルタ係数は、車両情報とともにデータベース部70に送信される。データベース部70に送信されたフィルタ係数は、車両情報が付加されて格納部703に格納される。
車両情報の内少なくとも1つの車両情報が新たな情報に更新され、変更された車両情報が車両情報登録部711に登録された場合には、更新された車両情報が相殺部71からデータベース部70に送信される。
入出力部702は、相殺部11から送信された車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703に格納されているか否かを検索する。相殺部11から送信された車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703に格納されている場合には、相殺部11から送信された車両情報が付加されたフィルタ係数が格納部703から読み出される。格納部703から読み出されたフィルタ係数は、データベース部70から相殺部71に送信される。
データベース部70から相殺部71に送信されたフィルタ係数は、フィルタ係数取得部712に保持され、保持されたフィルタ係数は、第1適応フィルタ713に与えられる。
車両情報が変更された場合には、フィルタ係数取得部712から与えられたフィルタ係数が第1適応フィルタ713で選択される。第1適応フィルタ713は、選択したフィルタ係数を初期値として相殺信号を生成する。
これにより、第1適応フィルタ713は、車両情報が変更された場合には、車両情報に対応したフィルタ係数を取得して用いることが可能となり、変更された車両情報に対応したフィルタ係数を新たに生成する必要はなくなる。
以上説明したように、第2実施形態の雑音抑圧装置は、以下に示す構成を備えることにより以下に示す効果を得ることができる。
第2実施形態の雑音抑圧装置は、通信により雑音抑圧装置とデータベース部70との間で第1適応フィルタ713で生成されたフィルタ係数を入出力する通信部710を有する。相殺部71は、第1適応フィルタ713で生成されたフィルタ係数を通信部710を介してデータベース部70に与えてデータベース部70に格納する。第1適応フィルタ713は、通信部710を介してデータベース部70から与えられたフィルタ係数またはフィルタ係数生成部12で生成されたフィルタ係数を初期値として選択する。
上記構成を採用することにより、第2実施形態の雑音抑圧装置は、第1実施形態で得られる効果と同様の効果を得ることができる。また、第2実施形態の雑音抑圧装置は、フィルタ係数をデータベース部70から取得することが可能となり、車両情報が変更された場合に、車両情報に対応したフィルタ係数を新たに生成する手間を省くことができる。
10 参照マイク
11,71 相殺部
12 フィルタ係数生成部
13 モード切替部
70 データベース部
111,713 第1適応フィルタ
123 第2適応フィルタ
124 フィルタ係数補正部

Claims (3)

  1. 雑音を集音する集音部と、
    雑音と雑音を相殺する相殺音との誤差が最小となるように相殺音を発生させる相殺信号を第1適応フィルタにより生成し、生成した相殺信号にしたがって発生する相殺音により雑音を相殺する相殺部と、
    前記集音部で集音された雑音と、前記相殺部から与えられる前記誤差とに基づいて、前記誤差が最小となるように第2適応フィルタにより相殺信号及びフィルタ係数を生成し、誤差が最小となる相殺信号を生成したときの前記第2適応フィルタのフィルタ係数を補正し、補正したフィルタ係数を前記第1適応フィルタのフィルタ係数の初期値として前記第1適応フィルタに与えるフィルタ係数生成部と、
    前記相殺部で雑音を相殺する動作と、前記フィルタ係数生成部でフィルタ係数を生成する動作とを切り替える切替部と、
    を有することを特徴とする雑音抑圧装置。
  2. 前記フィルタ係数生成部は、前記第2適応フィルタで生成されたフィルタ係数が前記第1適応フィルタのフィルタ係数の初期値となるように前記第2適応フィルタで生成されたフィルタ係数を補正する補正部
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の雑音抑圧装置。
  3. 通信により前記雑音抑圧装置とデータベースとの間で前記第1適応フィルタで生成されたフィルタ係数を入出力する通信部を有し、
    前記相殺部は、前記第1適応フィルタで生成されたフィルタ係数を前記通信部を介して前記データベースに与えて前記データベースに格納し、
    前記第1適応フィルタは、前記通信部を介して前記データベースから与えられたフィルタ係数または前記フィルタ係数生成部で生成されたフィルタ係数を初期値として選択する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の雑音抑圧装置。
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