以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における電源システムの要部構成を示す回路図である。この電源システム1は好適に車両に搭載され、バッテリ10、スタータ11、イグニッションスイッチ(以下ではIGスイッチと記載する)12、給電装置13、負荷14及びヒューズF1,F2を備える。給電装置13は入力端子T1,T2及び出力端子T3を有する。
バッテリ10の正極は、スタータ11、ヒューズF1及びIGスイッチ12夫々の一端に接続されている。バッテリ10の負極及びスタータ11の他端は接地されている。IGスイッチ12の他端はヒューズF2の一端に接続されており、ヒューズF1,F2夫々の他端は給電装置13の入力端子T1,T2に接続されている。給電装置13の出力端子T3は負荷14の一端に接続されている。負荷14の他端は接地されている。
バッテリ10は例えば鉛蓄電池であり、バッテリ10の出力電圧はヒューズF1を介して入力端子T1に印加される。また、IGスイッチ12がオンである場合、バッテリ10の出力電圧は、IGスイッチ12及びヒューズF2を介して、入力端子T2に印加される。IGスイッチ12がオフである場合、バッテリ10の出力電圧が入力端子T2に印加されることはない。更に、バッテリ10はスタータ11に給電する。
IGスイッチ12は、電源システム1が搭載された車両の図示しないエンジンを作動する場合にオンにされ、エンジンを停止する場合にオフにされる。
スタータ11は、エンジンを始動するためのモータであり、バッテリ10から供給される電力を用いて作動する。
給電装置13は、バッテリ10から入力端子T1,T2を介して電力を供給され、出力端子T3から負荷14に給電する。給電装置13は、IGスイッチ12がオンである場合、入力端子T2から入力される電力を蓄える。そして、バッテリ10の出力電圧が低下した場合、又は、バッテリ10と給電装置13との接続が外れた場合に、給電装置13は、蓄えた電力を負荷14に供給する。
負荷14は給電装置13から供給される電力によって動作する。負荷14は、バッテリ10の出力電圧が低下した場合、又は、バッテリ10と給電装置13との接続が外れた場合であっても、動作させる必要がある車載機器、例えば、車両の図示しないドアのロック/アンロックを行うドアロックモータである。
給電装置13は、入力端子T1,T2及び出力端子T3の他に、充電回路20、DCDCコンバータ21、ラッチ回路22、蓄電回路23、サーミスタ24、Pチャネル型のFET(Field Effect Transistor)25、ダイオードD1,D2,D3,D4及び抵抗R1,R2を有する。充電回路20及びラッチ回路22夫々は第1端、第2端及び第3端を有する。
入力端子T1はダイオードD1のアノードに接続され、ダイオードD1のカソードは出力端子T3に接続されている。入力端子T2は充電回路20の第1端に接続され、充電回路20の第2端は電線W1の一端に接続され、電線W1の他端は、DCDCコンバータ21の一端、ラッチ回路22の第1端及び蓄電回路23の一端に接続されている。蓄電回路23の他端と、充電回路20の第3端とは接地されている。DCDCコンバータ21の他端はダイオードD2のアノードに接続され、ダイオードD2のカソードはサーミスタ24の一端と、ラッチ回路22の第2端とに接続されている。
サーミスタ24の他端はFET25のソースと抵抗R1の一端に接続され、FET25のドレインは出力端子T3に接続されている。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端と、ラッチ回路22の第3端と、FET25のゲートとに接続されている。抵抗R2の他端は接地されている。充電回路20の第1端、及び、電線W1の他端夫々は、ダイオードD3,D4夫々のアノードに接続されている。
入力端子T1にはバッテリ10の出力電圧が印加され、入力端子T1に印加されたバッテリ10の出力電圧はダイオードD1を介して出力端子T3から負荷14に出力される。入力端子T1は第2の入力端子として機能する。
蓄電回路23は、3つのコンデンサC1,C2,C3が直列に接続した回路である。入力端子T2から入力された電力は充電回路20及び電線W1を介して蓄電回路23に入力され、蓄電回路23は入力端子T2から入力された電力を蓄える。コンデンサC1,C2,C3夫々は、電気二重層キャパシタ又は電解コンデンサ等である。
充電回路20は、入力端子T2から蓄電回路23への充電を制御する。充電回路20は、蓄電回路23の出力電圧が所定電圧未満である場合、入力端子T2から入力された電圧、即ち、バッテリ10の出力電圧を、電線W1を介して蓄電回路23に印加する。充電回路20は、蓄電回路23の出力電圧が所定電圧以上である場合、入力端子T2及び電線W1間の接続を遮断し、入力端子T2から蓄電回路23への充電を停止する。このように、充電回路20は蓄電回路23の出力電圧を所定電圧に維持する。これにより、充電回路20は蓄電回路23への過充電を防止する。
充電回路20には、入力端子T2に入力された電力がダイオードD3を介して供給されるか、又は、蓄電回路23が蓄えた電力がダイオードD4を介して供給される。このように、充電回路20には、動作用の電源がダイオードD3,D4を介して供給され、電源の供給により、充電回路20は前述した動作を行う。
DCDCコンバータ21は、変圧回路として機能し、蓄電回路23の出力電圧を、予め設定されている目標電圧に変圧し、該目標電圧をダイオードD2、サーミスタ24及びFET25を介して出力端子T3から負荷14に出力する。これにより、蓄電回路23に蓄えられた電力はサーミスタ24及びFET25を介して出力端子T3から出力し、負荷14を給電する。
DCDCコンバータ21は、IGスイッチ12がオンになった場合に、変圧を開始し、ダイオードD2に向けて出力する電圧を徐々に高くする。また、DCDCコンバータ21は、IGスイッチ12がオフになった場合、ダイオードD2に向けて出力している電圧を徐々に下げた後、変圧を停止する。
FET25のソースには、DCDCコンバータ21が変圧した電圧が、ダイオードD2及びサーミスタ24を介して印加される。抵抗R1,R2は、FET25のソースに印加されている印加電圧を分圧し、分圧した電圧をFET25のゲートに印加する。
FET25は、スイッチとして機能し、ゲート及びソース間の電圧が一定電圧以上である場合にオンとなり、電流をソースからドレインへ流すことが可能となる。FET25は、ゲート及びソース間の電圧が一定電圧未満である場合にオフとなり、ソースからドレインへ電流は流れない。
なお、ゲート及びソース間の電圧は、ソースの電位がゲートの電位よりも高くなる電圧である。
抵抗R1,R2は、DCDCコンバータ21がダイオードD2から閾値Vu以上の電圧を出力している場合、分圧を行うことによって、ゲート及びソース間に一定電圧以上の電圧を印加し、FET25をオンにする。抵抗R1,R2はオン回路として機能する。抵抗R1,R2は、DCDCコンバータ21がダイオードD2から閾値Vu未満の電圧を出力している場合、分圧を行うことによって、ゲート及びソース間に一定電圧未満の電圧を印加し、FET25をオフにする。DCDCコンバータ21が閾値Vuの電圧を、ダイオードD2から出力している場合に、FET25のソースに印加されている印加電圧、具体的には、閾値Vuからサーミスタ24で降下する電圧を引いた電圧が第2閾値に該当する。
サーミスタ24はFET25の近傍に配置されている抵抗体である。サーミスタ24の抵抗値はFET25の温度の高/低に応じて大/小となる。
FET25がオフであってFET25に電流が流れていない場合、FET25の温度は低いためサーミスタ24の抵抗値は低く、更に、サーミスタ24に流れる電流の量は微量である。このとき、サーミスタ24の両端における電圧差は略ゼロボルトである。
ラッチ回路22には、入力端子T2に入力された電力がダイオードD3を介して供給されるか、又は、蓄電回路23が蓄えた電力がダイオードD4を介して供給される。このように、ラッチ回路22には、動作用の電源がダイオードD3,D4を介して供給され、電源の供給により、ラッチ回路22は作動する。ラッチ回路22は、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となった場合、FET25のソースにおける印加電圧の高さに拘らず、FET25のゲート及びソース間の電圧を一定電圧未満にしてFET25をオフにする。閾値Vthは前述した所定電圧未満の値であり、第1閾値に該当する。
ラッチ回路22は、FET25をオフにした後、DCDCコンバータ21がダイオードD2からサーミスタ24に向けて出力している電圧が閾値Vw未満となるまでオフを維持する。ラッチ回路22はオフ回路及び維持回路として機能する。DCDCコンバータ21が閾値Vwの電圧を、ダイオードD2から出力している場合に、FET25のソースに印加されている印加電圧、具体的には、閾値Vwからサーミスタ24で降下する電圧を引いた電圧が第3閾値に該当する。ただし、前述したように、FET25がオフである場合、サーミスタ24の両端間の電圧差は略ゼロボルトである。
給電装置13について、閾値Vuは目標電圧未満の値に設定されている。このため、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上である状態で、DCDCコンバータ21が蓄電回路23の出力電圧を目標電圧に変圧した場合、抵抗R1,R2はFET25をオンにする。
FET25がオンである場合、入力端子T1からダイオードD2から出力される電圧と、DCDCコンバータ21がダイオードD2、サーミスタ24及びFET25を介して出力する電圧との内、高い方の電圧が出力端子T3から負荷14に出力される。即ち、FET25がオンである状態で、バッテリ10の出力電圧が、DCDCコンバータ21によってFET25から出力された電圧以上である場合、バッテリ10の出力電圧が負荷14に印加され、バッテリ10の電力が消費される。また、FET25がオンである状態で、バッテリ10の出力電圧が、DCDCコンバータ21によってFET25から出力された電圧未満に低下した場合、DCDCコンバータ21が変圧した電圧がダイオードD2、サーミスタ24及びFET25を介して負荷14に印加され、蓄電回路23の電力が消費される。
サーミスタ24の抵抗値及びFET25のオン抵抗が無視することができる程度に十分に小さく、ダイオードD1,D2の電圧降下を無視することができる場合、FET25がオンであるとき、入力端子T1に印加された電圧及びDCDCコンバータ21が変圧した電圧の内、高い方の電圧が出力端子T3から出力される。
図2はラッチ回路22の要部構成を示す回路図である。ラッチ回路22は、コンパレータ30、定電圧源31、PNP型のバイポーラトランジスタ32、NPN型のバイポーラトランジスタ33、ダイオードD5及び抵抗R3,R4,・・・,R8を有する。コンパレータ30は、電源が入力される電源入力端子、接地端子、プラス端子、マイナス端子及び出力端子を有する。
抵抗R3の一端は蓄電回路23の一端に接続され、抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は接地されている。抵抗R3,R4間の接続ノードは、コンパレータ30のプラス端子と、バイポーラトランジスタ33のコレクタとに接続されている。コンパレータ30のマイナス端子は定電圧源31の正極に接続され、定電圧源31の負極は接地されている。
コンパレータ30の接地端子は接地されている。コンパレータ30の出力端子は抵抗R5の一端に接続され、抵抗R5の他端は、バイポーラトランジスタ32のベースと抵抗R6の一端とに接続されている。バイポーラトランジスタ32のエミッタは、抵抗R6の他端と、ダイオードD2及びサーミスタ24間の接続ノードとに接続されている。バイポーラトランジスタ32のコレクタは、ダイオードD5のアノードと抵抗R7の一端とに接続され、ダイオードD5のカソードはFET25のゲートに接続されている。抵抗R7の他端は、バイポーラトランジスタ33のベースと抵抗R8の一端とに接続されている。バイポーラトランジスタ33のエミッタと抵抗R8の他端とは接地されている。
コンパレータ30の電源入力端子には、ダイオードD3,D4のいずれか一方を介して動作用の電源が入力されている。これにより、コンパレータ30には、入力端子T2から入力された電力又は蓄電回路23が蓄えた電力が供給される。コンパレータ30のマイナス端子には、定電圧源31から一定の基準電圧が印加されている。基準電圧は正の電圧である。抵抗R3,R4は蓄電回路23の出力電圧を分圧し、抵抗R3,R4が分圧した電圧はコンパレータ30のプラス端子に印加されている。コンパレータ30は、基準電圧以上の電圧がプラス端子に印加された場合、出力端子と接地端子との接続を遮断し、抵抗R5の一端を開放状態にする。また、コンパレータ30は、基準電圧未満の電圧がプラス端子に印加された場合、出力端子と接地端子とを接続し、抵抗R5の一端を接地させる。
バイポーラトランジスタ32は、スイッチとして機能し、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧未満である場合にオンとなり、電流をエミッタからコレクタに流すことが可能となる。バイポーラトランジスタ32は、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧以上である場合にオフとなり、エミッタからコレクタに電流は流れない。バイポーラトランジスタ32について前述した一定電圧は負の電圧である。
バイポーラトランジスタ33も、スイッチとして機能し、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧以上である場合にオンとなり、電流をコレクタからエミッタに流すことが可能となる。バイポーラトランジスタ33は、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が一定電圧未満である場合にオフとなり、コレクタからエミッタに電流は流れない。バイポーラトランジスタ33について前述した一定電圧は正の電圧である。
図3はラッチ回路22の動作を説明するための説明図である。図3には、蓄電回路23の出力電圧、DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力する出力電圧、及び、コンパレータ30の出力の推移が示されている。図3では、コンパレータ30が抵抗R5の一端を開放している状態を「H」で示し、コンパレータ30が抵抗R5の一端を接地端子させている状態を「L」で示している。図3には、更に、バイポーラトランジスタ32,33及びFET25夫々のオン/オフの推移が示されている。
以下では、例えば、スタータ11の作動によってバッテリ10の出力電圧が低下したこと、又は、バッテリ10と入力端子T1,T2との接続は外れたことによって、蓄電回路23が負荷14に給電している場合におけるラッチ回路22の動作を説明する。
図3に示すように、蓄電回路23の出力電圧が充電回路20によって閾値Vthを超えている場合、抵抗R3,R4が分圧した電圧、即ち、コンパレータ30のプラス端子に印加されている電圧は定電圧源31が出力している基準電圧以上であるため、コンパレータ30の出力は「H」であって抵抗R5の一端は開放されている。これにより、抵抗R6,R5には電流が流れず、バイポーラトランジスタ32のエミッタ及びベース間の電圧はゼロボルトとなる。前述したように、バイポーラトランジスタ32についての一定電圧は負の電圧であるため、コンパレータ30の出力が「H」である場合、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は一定電圧以上であり、バイポーラトランジスタ32はオフである。
また、バイポーラトランジスタ32がオフである場合、抵抗R7,R8にも電流が流れないため、バイポーラトランジスタ33のエミッタ及びベース間の電圧もゼロボルトである。前述したように、バイポーラトランジスタ33についての一定電圧は正の電圧であるため、バイポーラトランジスタ32がオフである場合、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は一定電圧未満であり、バイポーラトランジスタ33もオフである。
バイポーラトランジスタ32,33夫々がオフである状態、即ち、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上である状態で、DCDCコンバータ21が閾値Vu以上の目標電圧を、ダイオードD2から出力している場合、抵抗R1,R2は前述したようにFET25をオンにする。
以上のように、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上である状態でDCDCコンバータ21が目標電圧を、ダイオードD2から出力している場合、バイポーラトランジスタ32,33夫々はオフであり、FET25はオンとなっている。これにより、蓄電回路23に蓄えられた電力はFET25を介して負荷14に供給されている。
ダイオードD5は抵抗R1から抵抗R7に向けて電流が流れることを防止している。
FET25がオンである状態で、例えば、FET25のドレインに接続されている導線が図示しない導体に接触して、蓄電回路23から流れる電流の量が上昇した場合、蓄電回路23の内部抵抗、具体的には、コンデンサC1,C2,C3夫々の内部抵抗に流れる電流の量が上昇する。このため、蓄電回路23から流れる電流の量の上昇と共に、内部抵抗での電圧降下の幅が大きくなり、蓄電回路23の出力電圧が低下する。ここで、導体は例えば車両のボディである。
蓄電回路23から流れる電流の量が上昇した場合、FET25に流れる電流の量も上昇するため、FET25の温度が上昇し、FET25の温度の上昇と共にサーミスタ24の抵抗値も上昇する。これにより、蓄電回路23から流れる電流の量が抑制される。蓄電回路23の出力電圧の低下速度が遅い。
蓄電回路23から多量の電流が流れて蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となった場合、コンパレータ30のプラス端子には、定電圧源31が出力している基準電圧未満の電圧が抵抗R3,R4によって印加されるため、コンパレータの出力は「L」となって、抵抗R5の一端が接地される。閾値Vthは、DCDCコンバータ21が変圧することが可能な下限電圧以上の電圧である。
このため、抵抗R5のコンパレータ30側の一端と抵抗R6のダイオードD2側の一端との間には、閾値Vw以上の目標電圧が印加され、電流は抵抗R6,R5の順に流れる。これにより、抵抗R5,R6は目標電圧を分圧し、分圧した電圧をバイポーラトランジスタ32のエミッタ及びベース間に印加する。このとき、エミッタの電位を基準としたベースの電圧は、前述したバイポーラトランジスタ32ついての一定電圧未満となるため、バイポーラトランジスタ32はオンとなる。
そして、バイポーラトランジスタ32がオンとなった場合、サーミスタ24のダイオードD2側の一端と、ダイオードD5のアノードとが同じ電位となる。DCDCコンバータ21がダイオードD2から閾値Vuの電圧を出力した場合における抵抗R1の両端間の電圧は、ダイオードD5の順方向電圧よりも十分に高い。このため、バイポーラトランジスタ32がオンとなった場合、FET25のゲート及びソース間の電圧がゼロボルト近くまで低下し、前述したFET25についての一定電圧未満となり、FET25はオフとなる。バイポーラトランジスタ32がオンであれば、FET25のソースにおける印加電圧の高さに拘らず、FET25はオフとなる。
また、バイポーラトランジスタ32がオンとなった場合、抵抗R7のバイポーラトランジスタ32側の一端と、抵抗R8のバイポーラトランジスタ33のエミッタ側の一端との間に目標電圧が印加される。これにより、電流は、抵抗R7,R8の順に流れ、抵抗R7,R8は目標電圧を分圧し、分圧した電圧をバイポーラトランジスタ33のエミッタ及びベース間に印加する。このとき、エミッタの電位を基準としたベースの電位は、前述したバイポーラトランジスタ33についての一定電圧以上となるため、バイポーラトランジスタ33はオンとなる。
これにより、コンパレータ30のプラス端子は接地され、コンパレータ30のプラス端子における電圧はゼロボルトとなる。ゼロボルトは、定電圧源31が出力している基準電圧よりも低いため、バイポーラトランジスタ33がオンである間、コンパレータ30は「L」を出力し続ける。
バイポーラトランジスタ32がオンとなってFET25がオフとなった場合、蓄電回路23から流れる電流の量が減少して蓄電回路23の内部抵抗での電圧降下の幅が小さくなるため、蓄電回路23の出力電圧は閾値Vth以上の電圧に戻る。
しかし、バイポーラトランジスタ32がオンとなっている場合、バイポーラトランジスタ33はオンを維持し続ける。このため、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上の所定電圧に戻った場合であっても、バイポーラトランジスタ32がオフとなるまで、コンパレータ30のプラス端子は接地し続け、コンパレータ30は、「L」を出力し続け、FET25はオフを維持する。
コンパレータ30が「L」を出力し続け、かつ、バイポーラトランジスタ32,33夫々がオンに維持されている状態で、IGスイッチ12がオフとなった場合、バッテリ10から蓄電回路23への充電が停止し、DCDCコンバータ21は変圧を停止すべく、ダイオードD2に向けて出力している電圧を徐々に低下させる。例えば、電流が蓄電回路23から抵抗R3,R4を流れることによって、蓄電回路23は放電し、蓄電回路23の出力電圧も徐々に低下する。IGスイッチ12がオフになった後、コンパレータ30は蓄電回路23からダイオードD4を介して電源を供給される。
DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力している電圧が閾値Vw未満となった場合、バイポーラトランジスタ32について、エミッタの電位を基準としたベースの電圧が、前述した一定電圧以上となり、バイポーラトランジスタ32はオフとなる。これにより、抵抗R7,R8に電流が流れないため、前述したように、バイポーラトランジスタ33のエミッタ及びベース間の電圧がゼロボルトとなって、バイポーラトランジスタ33はオフとなる。これにより、FET25のオフの維持が解除される。
閾値Vuは閾値Vw以上に設定されている。このため、DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力している電圧が閾値Vw未満となってFET25のオフが解除された場合、FET25が即時にオンになることはない。
以上のように構成されたラッチ回路22は、蓄電回路23から多量の電流が流れて蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となった場合に、FET25のソースにおける印加電圧の高さに拘らず、FET25をオフにする。その後、ラッチ回路22は、DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力した電圧が閾値Vw未満となるまでFET25のオフを維持する。このため、ラッチ回路22は蓄電回路23から多量の電流が流れ続けることを防止することができ、FET25及び負荷14間に接続されている導線が発火することはない。
DCDCコンバータ21はダイオードD2から出力している電圧がゼロボルトとなった場合に動作を停止する。また、放電によって、蓄電回路23の出力電圧が電圧Vs未満となった場合、コンパレータ30は動作を停止する。
蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満であってDCDCコンバータ21及びコンパレータ30の動作が停止している状態で、IGスイッチ12がオンとなった場合、コンパレータ30はバッテリ10からダイオードD3を介して電源を供給されるので動作を開始する。更に、バッテリ10からの充電によって蓄電回路23の出力電圧は徐々に上昇する。
蓄電回路23の出力電圧が、DCDCコンバータ21によって変圧することが可能な下限電圧以上となった場合、DCDCコンバータ21は変圧を開始し、ダイオードD2から出力する電圧が目標電圧となるまで、DCDCコンバータ21の出力電圧を徐々に上昇させる。
蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上となった場合、コンパレータ30は「H」を出力し、抵抗R5の一端を開放する。これによって、前述したように、バイポーラトランジスタ32,33夫々はオフに維持される。この状態で、DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力している電圧が閾値Vu以上となった場合、抵抗R1,R2は前述したようにFET25をオンにする。
その後、蓄電回路23の出力電圧は所定電圧まで上昇して充電回路20によって所定電圧に維持され、DCDCコンバータ21の出力電圧も目標電圧まで上昇する。そして、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となるまで、バイポーラトランジスタ32,33夫々はオフに維持され、FET25はオンに維持される。
なお、給電装置13では、IGスイッチ12がオンになった後、DCDCコンバータ21がダイオードD2に向けて出力している電圧が閾値Vu未満である間に、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上となるように構成されている。
(実施の形態2)
図4は実施の形態2における電源システムの要部構成を示す回路図である。この電源システム4は、実施の形態1における電源システム1と同様に、好適に車両に搭載されている。電源システム4は、電源システム1と同様に、バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2を備える。電源システム4は、給電装置13の代わりに給電装置40を備え、給電装置40は給電装置13と同様に入力端子T1,T2及び出力端子T3を有する。
電源システム4において、バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2は実施の形態1と同様に接続され、給電装置40は実施の形態1における給電装置13と同様に接続される。
バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2は実施の形態1と同様に作用する。給電装置40は、給電装置13と同様に、バッテリ10から入力端子T1,T2を介して電力を供給され、出力端子T3から負荷14に給電する。そして、給電装置40は、給電装置13と同様に、IGスイッチ12がオンである場合、入力端子T2から入力される電力を蓄え、バッテリ10の出力電圧が低下した場合、又は、自身とバッテリ10との接続が外れた場合に、蓄えた電力を負荷14に供給する。
電源システム4は、実施の形態1における電源システム1と比較して、給電装置13の代わりに給電装置40を備えている点が異なる。給電装置40は、実施の形態1における給電装置13と比較して、蓄電回路23の出力電圧が、DCDCコンバータ21によって変圧することが可能な下限電圧未満に低下した場合であっても、ダイオードD2のカソードにおける電圧を目標電圧に維持する構成を更に有している点が異なる。
以下では、実施の形態2について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
給電装置40は、給電装置13が有する構成部を全て有し、これらの構成部と電線W1とは実施の形態1と同様に接続されている。給電装置40は更にコンデンサC4を有し、コンデンサC4の一端は、DCDCコンバータ21及びダイオードD2のアノード間の接続ノードに接続されており、コンデンサC4の他端は接地されている。コンデンサC4の両端間には、DCDCコンバータ21が変圧した電圧が印加され、これによりコンデンサC4は蓄電する。
給電装置40がコンデンサC4を有することによって、蓄電回路23の出力電圧が、閾値Vth以上の所定電圧から、DCDCコンバータ21が変圧することが可能な下限電圧未満に低下した場合であっても、ダイオードD2のカソードにおける電圧は目標電圧を一定期間維持される。このため、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となった場合に、抵抗R5のコンパレータ30側の一端と抵抗R6のダイオードD2側の一端との間に、閾値Vw以上の電圧が確実に印加され、バイポーラトランジスタ32を確実にオンにすることができる。
給電装置40は、前述したように、給電装置13が有する構成部を全て有し、これらは実施の形態1と同様に作用する。このため、給電装置40は実施の形態1における給電装置13と同様の効果を奏する。
なお、実施の形態1,2において、FET25,バイポーラトランジスタ32,33夫々はスイッチとして機能すればよく、Pチャネル型のFET、PNP型のバイポーラトランジスタ及びNPN型のバイポーラトランジスタに限定されない。FET25の代わりに、PNP型のバイポーラトランジスタを用いてもよく、バイポーラトランジスタ32の代わりに、Pチャネル型のFETを用いてもよく、更に、バイポーラトランジスタ33の代わりにNチャネル型のFETを用いてもよい。
また、FET25をオンする回路は、抵抗R1,R2で構成される回路に限定されず、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth以上である状態で、DCDCコンバータ21がダイオードD2から閾値Vu以上の電圧を出力した場合にFET25をオンにする回路であればよい。更に、ラッチ回路22は、前述した構成に限定されない。ラッチ回路22は、例えば、蓄電回路23の出力電圧が閾値Vth未満となった場合に、FET25のソースにおける印加電圧の高さに拘らず、FET25をオフにし、その後、DCDCコンバータ21がダイオードD2から出力している電圧が閾値VwとなるまでFET25のオフを維持する回路であればよい。
(実施の形態3)
図5は実施の形態3における電源システムの要部構成を示す回路図である。この電源システム5は、実施の形態1における電源システム1と同様に、好適に車両に搭載されている。電源システム5は、電源システム1と同様に、バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2を備える。電源システム5は、給電装置13の代わりに給電装置50を備え、給電装置50は給電装置13と同様に入力端子T1,T2及び出力端子T3を有する。
電源システム5において、バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2は実施の形態1と同様に接続され、給電装置50は実施の形態1における給電装置13と同様に接続される。
バッテリ10、スタータ11、IGスイッチ12、負荷14及びヒューズF1,F2は実施の形態1と同様に作用する。給電装置50は、給電装置13と同様に、バッテリ10から入力端子T1,T2を介して電力を供給され、出力端子T3から負荷14に給電する。そして、給電装置50は、給電装置13と同様に、IGスイッチ12がオンである場合、入力端子T2から入力される電力を蓄え、バッテリ10の出力電圧が低下した場合、又は、自身とバッテリ10との接続が外れた場合に、蓄えた電力を負荷14に供給する。
電源システム5は、実施の形態1における給電装置13と比較して、給電装置13の代わりに給電装置50を備えている点が異なる。給電装置50は、実施の形態1における給電装置13と比較して、蓄電回路23の出力電圧ではなく、蓄電回路23から出力端子T3へ流れる電流に基づいて、蓄電回路23から多量の電流が流れることを検知する点が異なる。
以下では、実施の形態3について、実施の形態1と異なる点を説明する。後述する構成を除く他の構成については、実施の形態1と同様であるため、同様の符号を付してその説明を省略する。
給電装置50は、給電装置13と同様に、充電回路20、DCDCコンバータ21、蓄電回路23、サーミスタ24、ダイオードD1,D2及び抵抗R1,R2を有し、これらの構成部と電線W1とは実施の形態1と同様に接続されている。
給電装置50は、更にIPD(Intelligent Power Device)60を有する。IPD60は、サーミスタ24及び抵抗R1間の接続ノードと、抵抗R1,R2間の接続ノードと、出力端子T3とに各別に接続されている。
充電回路20及び蓄電回路23は実施の形態1と同様に作用する。これにより、充電回路20は、蓄電回路23の出力電圧を所定電圧に維持し、蓄電回路23への過充電を防止する。
実施の形態2におけるDCDCコンバータ21は、実施の形態1と同様に、変圧回路として機能し、蓄電回路23の出力電圧を目標電圧に変圧し、目標電圧をダイオードD2、サーミスタ24及びIPD60を介して出力端子T3から負荷14に出力する。これにより、蓄電回路23に蓄えられた電力はサーミスタ24及びIPD60を介して出力端子T3から出力し、負荷14を給電する。
抵抗R1,R2は、IPD60のサーミスタ24側の一端における印加電圧を分圧し、分圧した電圧をIPD60に印加する。
IPD60は、抵抗R1,R2が分圧した電圧に応じて、DCDCコンバータ21から出力端子T3に流れる電流の遮断と、該遮断の解除とを行う。
IPD60は、Nチャネル型のFET71、制御回路72及び電流検出部73を有する。FET71について、ドレインはサーミスタ24及び抵抗R1間の接続ノードに接続され、ソースは出力端子T3に接続され、ゲートは制御回路72に接続されている。制御回路72は、FET71のゲートの他に、抵抗R1,R2の接続ノードと、電流検出部73とに接続されている。
FET71は、スイッチとして機能し、ゲート及びソース間の電圧が一定電圧以上の電圧である場合にオンとなり、電流をドレインからソースに流すことが可能となる。更に、FET71は、ゲート及びソース間の電圧が一定電圧未満である場合にオフとなり、電流はドレインからソースに流れない。
なお、実施の形態3において、ゲート及びソース間の電圧は、ゲートの電位がソースの電位よりも高くなる電圧である。
制御回路72には、抵抗R1,R2が分圧した電圧が印加される。制御回路72は、抵抗R1,R2によって印加されている電圧が一定電圧以上である場合に、FET71のゲート及びソース間に一定電圧以上の電圧を印加してFET71をオンにし、抵抗R1,R2によって印加されている電圧が一定電圧未満である場合に、FET71のゲート及びソース間に一定電圧未満の電圧を印加してFET71をオフにする。
FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va以上である場合、抵抗R1,R2は制御回路72に一定電圧以上の電圧を印加し、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満である場合、抵抗R1,R2は制御回路72に一定電圧未満の電圧を印加する。閾値Vaは目標電圧未満である。DCDCコンバータ21がダイオードD2から目標電圧を出力した場合、FET71のドレインにおける印加電圧は閾値Va以上となる。
電流検出部73はFET71のドレインからソースに流れる電流を検出し、検出した電流を制御回路72に通知する。電流検出部73は電流検出手段として機能する。
制御回路72は、電流検出部73が閾値Ith未満の電流を検出している場合において、抵抗R1,R2によって一定電圧以上の電圧が印加されたときにFET71をオンにし、抵抗R1,R2によって一定電圧以上の電圧が印加されたとき、FET71をオフにする。従って、抵抗R1,R2は、電流検出部73が閾値Ith未満の電流を検出している状態で、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va以上である場合にFET71をオンにし、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満である場合にFET71をオフにする。抵抗R1,R2はオン回路として機能し、閾値Vaは第1閾値電圧に該当し、閾値Ithは所定電流に該当する。
制御回路72は、電流検出部73が検出した電流が閾値Ith以上である場合、抵抗R1,R2によって印加された電圧、即ち、FET71のドレインにおける印加電圧の高さに拘らず、FET71をオフにする。制御回路72はオフ手段として機能する。
制御回路72は、電流検出部73が検出した電流が閾値Ith以上となってFET71をオフにした後、抵抗R1,R2が印加する電圧が一定電圧未満となるまで、即ち、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満となるまで、FET71のオフを維持する。FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満となった後、該印加電圧が閾値Va以上となった場合に、FET71を再びオンにする。制御回路72は維持手段としても機能し、閾値Vaは第2閾値電圧にも該当する。
実施の形態3におけるサーミスタ24はFET71の近傍に配置されている。サーミスタ24は、抵抗値がFET71の温度の高/低に応じて大/小となる抵抗体である。
給電装置50では、蓄電回路23が蓄えられた電力は、ダイオードD2、サーミスタ24及びFET71を介して出力端子T3から出力される。これにより、負荷14は給電される。
また、入力端子T1にはバッテリ10の出力電圧が印加されている。FET71がオンである場合、入力端子T1からダイオードD2を介して出力される電圧、及び、DCDCコンバータ21がダイオードD2、サーミスタ24及びFET71を介して出力する電圧の内、高い方の電圧が出力端子T3から負荷14に出力される。即ち、FET71がオンである状態で、バッテリ10の出力電圧が、DCDCコンバータ21によってFET71から出力された電圧以上である場合、バッテリ10の出力電圧が負荷14に印加され、バッテリ10の電力が消費される。また、FET71がオンである状態で、バッテリ10の出力電圧が、DCDCコンバータ21によってFET71から出力された電圧未満に低下した場合、DCDCコンバータ21が変圧した電圧がダイオードD2、サーミスタ24及びFET71を介して負荷14に印加され、蓄電回路23の電力が消費される。
サーミスタ24の抵抗値及びFET25のオン抵抗が無視することができる程度に十分に小さく、ダイオードD1,D2の電圧降下を無視することができる場合、FET25がオンであるとき、入力端子T1に印加された電圧及び目標電圧の内、高い方の電圧が出力端子T3から出力される。
図6はIPD60の動作を説明するためのタイミングチャートである。図6には、FET71に流れる電流、FET71のドレインにおける印加電圧、及び、FET71のオン/オフ夫々の推移が示されている。
以下では、例えば、スタータ11の作動によってバッテリ10の出力電圧が低下したこと、又は、バッテリ10と入力端子T1,T2との接続が外れたことによって、蓄電回路23が負荷14に給電している場合におけるIPD60の動作を説明する。
FET71に流れている電流が閾値Ith未満である状態で、DCDCコンバータ21がダイオードD2から目標電圧を出力している場合、FET71のドレインにおける印加電圧は閾値Va以上であるので、FET71は制御回路72によってオンにされている。
そして、FET71がオンである状態で、例えば、FET71のソースに接続されている導線が図示しない導体に接触した場合、蓄電回路23からFET71を介して流れる電流が上昇する。このとき、FET71の温度も上昇し、FET71の温度上昇と共にサーミスタ24の抵抗値も上昇する。これにより、蓄電回路23から流れる電流の量が抑制され、FET71を流れる電流の上昇速度が遅い。
FET71に流れる電流が閾値Ithに到達した場合、電流検出部73が検出している電流が閾値Ith以上となり、制御回路72はFET71をオフにする。
蓄電回路23から流れる電流の量が上昇した場合、前述したように、蓄電回路23の内部抵抗によって蓄電回路23の出力電圧は低下するが、FET71に閾値Ithの電流が流れている場合において、蓄電回路23の出力電圧は、DCDCコンバータ21が変圧することが可能な下限電圧以上である。
FET71がオンからオフに切替えられたことにより、FET71に流れる電流は、閾値Ith未満となる。しかし、DCDCコンバータ21は目標電圧を、ダイオードD2から出力し続け、FET71のドレインにおける印加電圧は閾値Va以上を維持しているため、制御回路72は、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満となるまで、FET71のオフを維持している。
DCDCコンバータ21がダイオードD2から目標電圧を出力し続けてFET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va以上である状態で、IGスイッチ12がオフとなった場合、DCDCコンバータ21は、変圧を停止すべく、ダイオードD2に向けて出力している電圧を徐々に低下させる。これにより、FET71のドレインにおける印加電圧も徐々に低下する。
そして、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満となった場合、制御回路72は、FET71のオフの維持を解除する。DCDCコンバータ21は、ダイオードD2に向けて出力している電圧がゼロボルトとなって、FET71のドレインにおける印加電圧がゼロボルトとなった場合に変圧を停止する。
IGスイッチ12が再びオンとなった場合、DCDCコンバータ21は変圧を再開し、ダイオードD2に向けて出力している電圧を徐々に上昇させ、FET71のドレインにおける印加電圧も徐々に上昇する。FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va以上となった場合、FET71はオンとなり、FET71に電流が流れ始める。
以上のように、IPD60は、蓄電回路23から多量の電流が流れて、FET71に閾値Ith以上の電流が流れた場合、FET71をオフにし、その後、FET71のオフを、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va未満となるまで維持する。このため、IPD60は、蓄電回路23から多量の電流が流れることを防止することができ、FET71及び負荷14間に接続されている導線が発火することはない。
なお、実施の形態3において、FET71をオンする回路を抵抗R1,R2で構成しなくてもよく、電流検出部73が閾値Ith未満の電流を検出している状態で、FET71のドレインにおける印加電圧が閾値Va以上である場合にFET71をオンにする回路であればよい。また、FET71は、スイッチとして機能すればよいため、Nチャネル型のFETに限定されず、FET71の代わりに、Pチャネル型のFET又はバイポーラトランジスタを用いてもよい。更に、FET25のオフを解除するための閾値と、FET25を再びオンにするための閾値とは異なっていてもよい。
また、実施の形態1〜3において、蓄電回路23は、コンデンサC1,C2,C3の直列回路に限定されず、蓄電することが可能な回路であればよい。従って、蓄電回路23は、少なくとも1つのコンデンサを有する回路であればよい。更には、蓄電回路23は蓄電池を有する回路であってもよい。また、ラッチ回路22又はIPD60の応答速度が十分に早い場合、サーミスタ24を給電装置13,40,50内に設けなくてもよい。この場合であっても、蓄電回路23から多量の電流が流れ続けることが防止される。
開示された実施の形態1〜3は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。