JP6205838B2 - 磁気冷凍装置用磁気作業物質および磁気冷凍装置 - Google Patents

磁気冷凍装置用磁気作業物質および磁気冷凍装置 Download PDF

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Description

本発明は、磁気冷凍装置用磁気作業物質、および磁気冷凍装置に関する。
近年、使用環境が室温領域(本件では250Kから350Kの温度範囲とする)の冷凍技術、たとえば冷蔵庫、エアコン等において、冷媒による環境破壊が問題視されている。冷媒として広く使用されてきた特定フロンは、オゾン層破壊の原因であるとして製造および輸入が禁止されている。オゾン層を破壊しにくい、あるいは破壊しないとして使用されてきた代替フロンにも地球への温暖化作用があり規制されつつある。そのような状況において、磁気冷凍の室温領域への応用が提案され技術検討されている。この技術は、磁気作業物質と呼ばれる磁性材料の磁気熱量効果を利用するためフロン類を使用することがない。さらにこの技術は、高効率で、小型、そして静音をも実現できる可能性があるとされ研究開発が続けられている。
磁気冷凍装置の冷凍能力を向上するには、磁性材料の磁気熱量効果が大きいことが望まれる。磁気熱量効果は磁場の印加や除去による磁性材料内の磁気エントロピー変化によって生じる。磁場の変化による等温磁気エントロピー変化△Smは、磁化M、温度T、磁場Hを用いて、次のマクスウェルの式で求められる。
Figure 0006205838
すなわち、磁性材料の磁化−温度曲線の傾きの絶対値|△M/△T|が大きいほどその温度における発熱量や吸熱量が大きいといえる。磁性材料が強磁性体の場合キュリー点付近で大きな傾きが得られ、定性的には磁化が大きいほど傾きが大きくなると考えられる。大きな磁気熱量効果を示す磁性材料としてGd(ガドリニウム)が知られており、大きな磁化を有している。さらにGdは、キュリー点が21℃であり室温領域にあるため、室温領域で大きな磁気熱量効果を示す。そのため室温磁気冷凍機の研究開発において磁気作業物質として広く使用されてきた。Gdのような一般的な磁性材料のほかに、キュリー点で不連続に磁化が変化する一次の磁気転移を示す特殊な磁性材料がある。このような磁性材料は、キュリー点における急激な磁化の変化により顕著な磁気エントロピー変化が得られる。このことから、磁気作業物質の磁性材料としてLa(Fe,Si)13系やLa(K,Na,Ca,Sr,Ba)MnOなどのメタ磁性体が注目されている。
このような磁気作業物質は球形の粒または板などの形状にして、水などの熱交換液体とともに能動的磁気再生蓄熱器(Active Magnetic Regenerator:以下「AMR」という)を構成する場合が多い。AMRや熱スイッチ方式の磁気冷凍機において、磁気作業物質のキュリー点は、冷凍装置の動作に適した温度に合わせる必要がある。このため、磁気作業物質のキュリー点を制御できる材料系であることが重要である。たとえばGdはDyなどを添加することによりキュリー点を変化させられることが知られている。しかしながらGdもDyはいずれもレアアースでありコスト的に非常に高価な材料である。このため、実用化に向けてはGd系に替わる材料が望まれている。また、AMR方式においては、磁気作業物質は水などの液体に接触する。このため、上記のGd系やLa(Fe,Si)13系などの金属材料では防錆のためのめっきによる表面処理や水に触れない方法が検討されてきている。
現在、磁気冷凍装置用磁気作業物質として最も有望とされているのはLa(Fe,Si)13系である(特許文献1)。La(Fe,Si)13系は顕著な磁気エントロピー変化△Smを有する。この組成物は延性に乏しく脆性があるものの、球等に加工することが出来るためAMRへの利用が期待されている。
しかしながら、特許文献1に記載のようなLa(Fe,Si)13系は、NaZn13型を形成するためにレアアースの1元素であるLaが必須である。Laは電子部品、磁性製品、エネルギーデバイス等に使用され、重要な役割を果たしている。Laを含む鉱石の産地は偏在することが分かってきており産出国に大きく依存するようになっている。
レアアースを含まず、かつ室温領域にキュリー点を有するメタ磁性体はあまり多く確認されていない。その中で際立った磁気転移を示す物質として、MnMX(ここでMはSn,Al,Ga,Zn,Cu,Ag,Niである。XはC,Nである)の一連の化合物が挙げられる(非特許文献1)。この化合物の基本構造は立方晶(Pm3m)であり、磁気配列に応じて正方晶、三方晶などに変化する。Xに相当するCおよびNは、結晶中の体心位置に存在することが知られている。
上述のMnMX系化合物の一例として特許文献2が挙げられる。特許文献2ではXに相当する元素としてNを必須として、熱膨張抑制剤等への活用を提案している。特許文献2ではMnMX系に特徴的なキュリー点(−200℃程度)における急激な体積変化を元素置換により緩やかにする。こうすることで、これまで適用が難しかった熱膨張抑制剤へ利用できるとしている。
また、特許文献3ではMnMX系を磁性材料、すなわち磁気冷凍装置用磁気作業物質に応用できるとしている。特許文献3に記載されている材料系のキュリー点は80Kから120K程度と室温を大きく下回っており、低温領域で磁気冷凍用途に使用できる材料を示している。より具体的には、液体酸素や液体窒素、液体水素、液化天然ガスなどの製造・貯蔵に用いることができるとしている。キュリー点は組成により決定されるため、特許文献3によればこの用途で利用できる組成のXに相当する元素はNが有効であるとしている。
さらに、上述のMnMX系化合物の最近の報告例として非特許文献2が挙げられる。非特許文献2ではMnSnCにおけるC量xを変えることによる諸特性の変化について述べている。磁気エントロピー変化△Smについての記載はないものの、キュリー点Tcについての記載がある。C量xが0.6から1.1に増えるに従いキュリー点Tcが203Kから300Kに上昇するとしている。なおC量xが1.1と1.2の場合のキュリー点Tcが同じである理由について、C量xは単なる合成前の調合量であり、測定された組成は化学量論組成すなわちMnSnCと同一であるとしている。非特許文献2によれば、サンプルは合成時に120時間という長時間真空中にさらされるためMnSnC中のCは失われやすい。このためCを過剰に調合することで化学量論組成MnSnCが合成できているとしている。さらに非特許文献2では合成物のXRD回折パターンが開示されおり、2θ値が25°〜28°付近に現れる副相Cのピークがない。このため、MnSnCx化合物以外にCが残存していないことが確認できる。非特許文献2によれば、C量の影響は調合量xが0.6から1.1にかけて顕著であり、調合量が増えるにつれ調合したCが格子内に侵入しキュリー点Tcが高くなっていくとしている。
特許3967572号公報 再公表特許 WO2006/11590号公報 特開2009−54776号公報
安達健五著、「化合物磁性 遍歴電子系」、裳華房、P.284 Yongchun Wen、外5名、「Influence of carboncontent on lattice variation, magnetic and electronic transport properties inMn3SnCx」、AppliedPhysics Letters、(米国)、vol.96、041903、(2010)
しかしながら、発明者らは実用上で重要なのはC量が化学量論組成MnSnCより多い領域であることを見出した。MnSnCは非特許文献2にも記載されるように酸素が存在しない状態で焼成しなくてはならないものの、工業的にはAr雰囲気やN雰囲気で焼成することで代用できる。この場合、ArガスやNガスはごく少量のOを含んでおり、このOによる酸化の影響が懸念される。しかしながら、主相のほかに副相Cが存在することによって、副相Cを酸化する反応が優先され、焼成雰囲気による影響を小さくすることができ、安定した生産が期待できる。
また、磁気作業物質としては、キュリー点付近において急激な磁化の変化および体積変化を生じる材料が望ましい。特許文献2ではMnMX系において元素置換によりキュリー点付近の体積変化を緩やかにする設計手法が開示されている。しかしながら体積変化を急峻にする方法、すなわち△Smを大きくする方法は述べられていない。
さらに、MnMX系の磁気冷凍装置用磁気作業物質への利用を提案している特許文献3ではNの一部置換物としてH,B,Cを挙げている。望ましい実施形態としては、H,B,Cの置換量はNに対して20%以下に抑えるのが良いとしている。Cを積極的に利用しようという技術ではなく、キュリー点も室温領域とはかけ離れた低温領域に存在している。
本発明は、上記を鑑みてなられたものであり、主たる構成元素をMnにすることによってGdに近い特性が得られるとともに、レアアースを使用しないことによって、大幅に製造コストが低く、民生分野に広く適用出来る磁気冷凍装置用磁気作業物質および磁気冷凍装置を提供することを目的とするものである。
本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、化学式Mn3+x1−xC(ここでMは、Sn,Al,Ga,Zn,Cu,Ag,Niのグループ中から選択された1種または2種以上の元素である。−0.2≦x≦0.2とする。)で表される主相と副相Cとの混合物であることを特徴とする。このようにすることにより、室温領域(250Kから350Kとする)にキュリー点を有する磁気作業物質を得ることができる。
また、本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、CuKα1放射線(1.54056Åの波長)により測定したXRDパターンにおいて2θ値が25°〜28°中に副相Cのピークを有することが好ましい。このようにすることにより、2×10Pa以上の圧力において成形できる。成形体は焼成を行う際、粉の状態より扱い易く、工業的に有利である。
また、本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、副相Cのピーク面積を主相に帰属するピークのうち最も大きなピーク面積で割った値に100をかけた値を副相面積比I%とした場合にその値が0%<I≦35%であることが好ましい。このようにすることにより、真空中で焼成しなくとも十分に結晶化した磁気作業物質を得ることが出来る。
また、本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、主相に帰属するピークのうち最も強いピークが(111)面反射ピークであることが好ましい。このようにすることにより、△Smが3.0J/kgK程度得られるようになり、Gdに匹敵する磁気エントロピー変化△Smを得ることができる。
また、本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、Mに選択される2種の元素のうち少なくとも1種はSn、Al、Ga、Znの中から選択され、そのモル比はMの総量に対して75mol%以上であることが好ましい。このようにすることにより、3.0J/kgK以上の△Smが得られるようになり、Gdと同程度以上の磁気エントロピー変化△Smを得ることができる。
さらに、本発明の磁気冷凍装置は、上述するような磁気冷凍装置用磁気作業物質を内蔵することが好ましい。こうすることにより、磁気作業物質の主たる構成元素がMnであるので、大幅に製造コストが低く、民生分野に広く適用出来る磁気冷凍装置を得ることが出来る。また、フロンおよび代替フロンを使用しない冷凍装置に利用することができる。
本発明の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、主たる構成部材がMnであるので、レアアースを使用しない。このため、Gdに近い特性が得られるとともに、従来の磁気冷凍装置用磁気作業物質と比べて大幅に製造コストが低く、民生分野に広く適用することが出来る。
本発明の実施形態に係る磁気冷凍装置の概略図である。 本発明の実施例1〜3に係るXRD回折パターンを示す図である。 本発明の実施例2に係る磁場の強さと磁気エントロピー変化△Smとの関係を示す特性図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質についてその一例を説明する。磁気冷凍装置用磁気作業物質は、化学式Mn3+x1−xC(ここでMはSn,Al,Ga,Zn,Cu,Ag,Niのグループ中から選択された1種または2種以上の元素である。−0.2≦x≦0.2とする。)で表される主相と副相Cとの混合物であることが好ましい。このようにすることにより、室温領域(250Kから350Kとする)にキュリー点を有する磁気作業物質を得ることができる。Mn量とM量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータxは、−0.2以上であることが好ましい。この組成パラメータxが、−0.2より小さい場合は磁化を担うスピンを形成するMnが少なくなるため、十分な△Smが得られなくなる。またこの組成パラメータxが、0.2から大きくなる場合、キュリー点が室温領域(ここでは250Kから350Kとする)を越えてしまい、実用上の利点が薄れることになる。
また、本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、CuKα1放射線(1.54056Åの波長)により測定したXRDパターンにおいて2θ値が25°〜28°中に副相Cのピークを有することが好ましい。副相Cのピークは副相Cが主相中に取り込まれることなく、別の相として独立して存在していることを示している。このようにすることにより、2×10Pa以上の圧力において成形できる。成形体は焼成を行う際、粉の状態より扱い易く、工業的に有利である。
また、本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、CuKα1放射線(1.54056Åの波長)により測定したXRDパターンにおいて、副相Cのピーク面積を主相に帰属するピークのうち最も大きなピーク面積で割った値に100をかけた値を副相面積比I%とした場合にその値が0%<I≦35%であることが好ましい。このようにすることにより、真空中で焼成しなくとも十分に結晶化した磁気作業物質を得ることが出来る。副相Cが多すぎる場合は焼結性が悪化する。これは副相Cが多すぎると他の原料粒子間の距離が開きすぎるため焼結が阻害されることによる。副相面積比の実用的な範囲はI≦35%である。
また、本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、主相に帰属するピークのうち最も強いピーク(以下、「最強ピーク」という)が(111)面反射ピークであることが好ましい。このようにすることにより、3.0J/kgK程度の△Smが得られるようになり、Gdに匹敵するようになる。Gdと同等の磁気エントロピー変化△Smを得ることができる。
また、本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、化学式Mn3+x1−xC(ここでMはSn,Al,Ga,Zn,Cu,Ag,Niのグループ中から選択された2種以上の元素である。−0.2≦x≦0.2とする。)で表される主相と副相Cとの混合物であって、Mに選択される2種の元素のうち少なくとも1種はSn,Al,Ga,Znの中から選択され、そのモル比はMの総量に対して75mol%以上であることが好ましい。このようにすることにより、3.0J/kgK以上の△Smが得られるようになり、Gd以上の磁気エントロピー変化△Smを得ることができる。
本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、AMR方式の磁気冷凍装置に使用することが好ましい。こうすることにより、磁気作業物質の主たる構成元素がMnであるので、Gdに近い特性が得られるとともに、レアアースを使用せずに、大幅に製造コストが低く、民生分野に広く適用出来る磁気冷凍装置を得ることが出来る。磁気作業物質を使用する際は、磁気作業物質に耐磨耗性や防錆性能を付与するために適切な樹脂等を混練して形成しても良い。
本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、例えば、下記の方法によって製造することができる。
まず、磁気冷凍装置用磁気作業物質となる磁性材料の原料を所定量秤量し、混合した後、700℃以上1000℃以下の温度にて焼成を行う。焼成は金属材料が酸化しないよう、酸素分圧が低い雰囲気が好ましい。例えば、Arガス,Nガス,Hガス等であって、材料が酸化しにくい雰囲気下であれば良い。非特許文献2に記載されているような真空中で焼成する必要はなく、大気圧での焼成が可能である。なぜなら、本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は副相Cを残し、これを積極的に利用するものだからである。各製造工程は、従来からの粉末冶金の製造方法を利用することができる。こうすることのより磁気冷凍装置用磁気作業物質となる磁性材料を得ることができる。副相Cが化学式Cで表されるカーボン、あるいはグラファイトであることが好ましく、これにより成形性が保障される。成形体は焼成を行う際、粉の状態より扱い易く、工業的に有利である。
本実施形態の磁気冷凍装置用磁気作業物質は、例えば、下記の方法によって製造することができる。上記で得られた磁気冷凍装置用磁気作業物質となる磁性材料を、例えば球形の粒状または板状、あるいは、水などの熱交換液体の流路を備えた円筒状またはハニカム状に成形する。得られた成形体を、例えばAr雰囲気などOの少ない雰囲気下の条件で、焼成を行えばよい。また、耐磨耗性や防錆性能を付与するために適切な樹脂等を混練して形成しても良い。あるいは、めっきによる表面処理も防錆に対し有効である。こうすることにより高熱および冷熱を運搬する熱交換流体との接触において十分安定に動作する磁気作業物質を作製することができる。
<実施形態2>
本発明の別の実施形態の磁気冷凍装置についてその一例を説明する。磁気冷凍装置は、大きく分けて磁界を変化させる(磁場の印加および除去)ためのユニットと磁気冷凍装置用磁気作業物質の温度変化を取り出す熱交換ユニットとにより構成される。例えば、図1に示すようなユニットによって構成される。実施形態1で得られた略球状をした複数の磁気冷凍装置用磁気作業物質1を充填したAMRベッド5を用意し、その両端に熱交換ユニット4,4’を設置する。その上で、まず、熱交換流体2がAMRベッド5の低温端熱交換ユニット4’にある間に、磁界を変化させるためのユニット、ここではマグネット3を用いて断熱的な磁場印加を行う。こうすることにより磁気冷凍装置用磁気作業物質1の温度を上昇させる。この状態で熱交換流体2を高温端熱交換ユニット4へ押し流すと、熱交換流体2が発熱した磁気冷凍装置用磁気作業物質1と熱の授受を行いながら移動する。こうすることで、AMRベッド5の両端に温度差を生じさせることができる。このとき高温端で得られる熱量を、高温放熱ユニット6を介して外部に放熱させ、熱交換流体2の温度を初期の状態まで下げる。続いて印加されていた磁場を除去すると、今度は逆に磁気冷凍装置用磁気作業物質1が熱交換流体2から熱を吸収するため熱交換流体2の温度が初期の状態よりさらに低下する。ここで得られる冷熱を、冷熱放熱ユニット7を介して対象(例えば冷却したい室温の空気)を熱交換させる。放熱後の熱交換流体2は初期の温度に戻る。このため、上記のサイクルを繰り返すことで連続した運転を行うことが出来る。
<実施例1〜4および比較例1〜2>
実施例1〜4および比較例1〜2は、Mn3+x1−xCにおいて、M元素としてSnを使用した。実施例1は、副相面積比Iを2.5%となるように原料粉末を調合し、焼成を行った。焼成は850℃において40時間の焼成を行って試料を得た。いずれの焼成もAr雰囲気中、大気圧下において行った。また、実施例2〜4は、副相面積比Iを10%、25%、35%となるように原料粉末を調合した以外は、実施例1と同様に行った。さらに、比較例1及び2は、副相面積比を0%ならびに50%となるように原料粉末を調合した以外は、実施例1と同様に行った。
<実施例5〜8および比較例3〜4>
実施例5〜8および比較例3〜4は、Mn3+x1−xCにおいて、M元素としてSnを使用した。副相面積比Iを10%となるように原料粉末を調合した上で、実施例5〜8は、Mn量とM量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータxが、−0.2,−0.1,0.1,0.2となるように材料を調合した。また、比較例3及び4は、Mn量とM量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータxが−0.3並びに0.3となるように材料を調合した。実施例5〜8および比較例3〜4は、原料粉末の調合以外は実施例2と同様に行った。
<実施例9〜11>
実施例9〜11は、Mn3+x1−xCにおいて、M元素をSnに代えてAl,Ga,Znを使用し、副相面積比Iを10%となるように材料を調合した以外は実施例2と同様に行った。
<実施例12〜17>
実施例12〜17は、Mn3+x1−xCにおいて、M元素としてSnとさらにAl,Ga,Zn,Ni,Cu,Agのうち1種以上を使用した。M元素に占めるそれぞれの元素の割合は次のようにした。実施例12は、Sn0.9Al0.1、実施例13は、Sn0.9Ga0.1、実施例14は、Sn0.75Zn0.2Ni0.05、実施例15は、Sn0.9Ni0.1、実施例16は、Sn0.9Cu0.1、実施例17は、Sn0.9Ag0.1とした。副相面積比Iを10%となるように材料を調合した以外は実施例2と同様に行った。
<比較例5>
比較例5では、市販されている粒状の金属Gdを用意した。
実施例ならびに比較例の各試料のキュリー点Tc、磁気エントロピー変化△Smは振動試料型磁力計(VSM)を用いて測定した。試料を4.0×10A/m磁場中で液体窒素温度から昇温させて磁化−温度曲線を測定し、曲線の傾きからキュリー点Tcを算出した。次に、キュリー点Tcを中心とした11点の温度に対し、各温度Tに試料を保持し、磁場Hを変えながら等温磁化測定を行い、マクスウェルの式から磁気エントロピー変化△Smを求めた。
Figure 0006205838
また、実施例ならびに比較例の各試料の副相面積比I%は、以下ようにして求めた。株式会社リガク製X線回折装置(RINT−2500HK)を用いてCuKα1放射線(1.54056Åの波長)によりXRD回折パターンを測定した。得られたXRD回折パターンにおいて、2θ値が25°〜28°中に存在する副相Cのピーク面積を主相に帰属するピークのうち最強ピークの面積で割った値に100をかけることによって副相面積比I%を求めた。副相Cおよび主相のピーク面積は、それぞれピークの最大強度値に半値幅をかけることで求めた。
図2に、実施例1〜3のXRD回折パターンを示す。
当初、この副相Cが存在する状態で高い磁気エントロピー変化△Smが確認されたのは予想に反することであった。なぜなら、△Smの単位は[J/gK]や[mJ/cmK]などと記載されるように単位重量や単位体積あたりの熱量として表される。すなわち、磁気熱量効果を有しない副相Cが存在することは、合成物の重量や体積を大きくする点のみに寄与するので、△Smを下げることになると考えるのが妥当であるからである。
しかしながら、実験を繰り返した後も、やはり副相Cが存在した合成物の△Smが高かったことから、再現性のあるデータであると判断した。この副相Cの一部は合成時に一時的に合成物に取り込まれ、最終的に排出された相であると推定している。
表1に実施例1〜17および比較例1〜5の結果を纏めて示す。表中のxは化学式におけるMn量とM元素量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータである。副相面積比I[%]は前記副相Cのピーク面積を主相に帰属する最強ピークの面積で割った値に100をかけた値である。今回の各実施例並びに各比較例の主相に帰属する最強ピークの面積は主相の(111)面の反射ピークであった。そこで、副相面積比I[%]は副相Cのピーク面積を主相の(111)面の反射ピークのピーク面積で割った値に100をかけた値で示した。Tcはキュリー点である。△Sm[J/kgK]は磁気エントロピー変化である。ここで△Smは磁場を0から8.0×10A/mまで変化させたときの変化量である。なお、通常△Smは負の値で得られるのでマイナスをつけて示した。
Figure 0006205838
比較例1では、XRD回折パターンにおいて2θ値が25°〜28°中に副相Cのピークを有しておらず、副相面積比I%は0であった。このため十分な△Smが得られなかった。本明細書でいう十分な△Smとは3.0J/kgK以上とする。この値はおおよそGdの値に相当する。比較例2では、副相面積比I%が50となるように調合したが、副相Cが多すぎるため焼結しなかった。
また、比較例1および実施例1〜4においては副相面積比I%が増えることにより高い△Smが得られていることが確認できた。同時に副相面積比I%が増えてもキュリー点は変化していなかった。これは、非特許文献2に示されているようにCが格子内に進入することによってその侵入したC量に従ってキュリー点が高くなる化合物群とは明らかに異なる構造物であることを示している。
比較例3ではMn量とM元素量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータxが、−0.2より小さくなる。このため比較例1と同様に十分な△Smが得られなかった。比較例4ではMn量とM元素量との化学量論関係からのずれを表す組成パラメータxが、0.2より大きくなる。このためキュリー点が室温付近(ここでは250Kから350Kとする)より高くなり、実用上の利点が薄れてしまった。また、比較例5のGdは各実施例の評価基準として挙げた。Gdはキュリー点が室温付近であり磁気エントロピー変化が十分に高い特性を有するものの、レアアースであるため非常に高価であるため工業用に適さない。
表1から分かるように、レアアースを用いることなくGdに近い特性(キュリー点Tcおよび磁気エントロピー変化△Sm)が得られている。なお、これらの実施例の磁気冷凍装置用磁気作業物質サンプルにさらに磁場を印加した際は、磁場に比例して△Smがさらに増大する様子が観察された。実施例2に磁場を印加して、磁場の強さと磁気エントロピー変化△Smとの関係を図3に示す。
以上のように、本発明を用いたいずれの実施例でも、室温領域において大きなエントロピー変化が生じることが確認された。
なお、表1に示したいずれの実施例の主相はX線回折により何れもペロブスカイト構造であることが確認できた。同時に副生成物として僅かにMn−M化合物、MnOを生成していることが確認できた。この副生成物は何れも主相の10mol%以下であった。X線回折による評価は15℃から30℃の温度範囲で行われた。
以上のように、本発明に係る磁気冷凍装置用磁気作業物質および磁気冷凍装置は、フロンや代替フロン等を使用しない冷凍技術に有用である。
1・・・磁気冷凍装置凍用磁気作業物質、2・・・熱交換流体、3・・・マグネット、4・・・高温端熱交換ユニット、4’
・・・低温端熱交換ユニット、5・・・AMRベッド、6・・・高熱放熱ユニット、7・・・冷熱放熱ユニット

Claims (4)

  1. 化学式Mn3+x1−xC(ここで、Mは、Sn,Al,Ga,Zn,Cu,Ag,Niのグループ中から選択された1種または2種以上の元素である、−0.2≦x≦0.2)で表される主相と副相Cとの混合物であり、
    CuKα1放射線(1.54056Åの波長)により測定したXRDパターンにおいて、2θ値が25°〜28°中に前記副相Cのピークを有し、
    前記副相Cのピーク面積を前記主相に帰属するピークのうち最も大きなピーク面積で割った値に100をかけた値を副相面積比I%とした場合にその値が10%≦I≦35%であることを特徴とする磁気冷凍装置用磁気作業物質。
  2. 主相に帰属するピークのうち最も強いピークが(111)面の反射ピークであることを特徴とする請求項に記載の磁気冷凍装置用磁気作業物質。
  3. 前記Mに選択される2種の元素のうち少なくとも1種はSn,Al,Ga,Znの中から選択され、そのモル比はMの総量に対して75mol%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の磁気冷凍装置用磁気作業物質。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の磁気冷凍装置用磁気作業物質を含むことを特徴とする磁気冷凍装置。
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