JP6204242B2 - 酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造方法 - Google Patents

酸化物触媒及びその製造方法、並びに不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物触媒及びその製造方法、並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造方法に関する。
モリブデン、ビスマス、鉄等の遷移金属は、それぞれが単独で酸化することによって得られる酸化物の他に、複数種の金属が固溶体となって得られるいわゆる複合酸化物になることが知られている。複合酸化物は、単独の金属の酸化物とは異なる特性を有し、その特性が金属種の選択や組成比等によっても大きく変化することから、触媒、顔料、電池の電極材料等、様々な分野で検討が進められている。
例えば、モリブデン、ビスマス、及び鉄を含む金属酸化物触媒は、オレフィンやアルコールを酸化して、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを製造する触媒としてこれまでに数多く報告されている。また、必須成分としてモリブデン、ビスマス及び鉄を含み、有機化合物を添加して熱処理して得られる複合酸化物触媒も数多く報告されている。
上述のように、組成比が異なれば酸化物触媒の特性も異なるので、触媒活性を向上させたり、目的化合物の生成率を向上させたりする目的で、様々な組成比の複合酸化物の触媒特性や調製条件が検討されている。例えば、特許文献1には、モリブデン、ビスマス及び鉄を含有する触媒前駆体を分子状酸素含有ガスの雰囲気下で焼成した後、還元性物質の存在下に熱処理する触媒の製造方法が記載されている。また、特許文献2には、高い収率で目的生成物を得るために、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びセリウムを含む酸化物触媒において、Mo12原子に対するFeの原子比を0<Fe≦2.5とすることが記載されている。
特開2007−117866号公報 国際公開95/35273号パンフレット
気相接触酸化反応で利用されているビスマス−モリブデン系(Bi−Mo)触媒は、鉄を含むことにより、再酸化速度が上がり、活性がより向上する傾向にある。一方で、鉄を多く含む触媒では、アルデヒド以外の酸素付加化合物(例えば、二酸化炭素)の生成量が増加し、目的生成物の選択率が低下する傾向にある。
活性向上の観点で見れば、鉄は酸化物触媒中に含まれていることが好ましいものの、鉄の含有量を調節するだけでは、高活性と高選択率の両立を達成するのは困難である。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造において、二酸化炭素等の副生成物の生成を抑制して、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを高収率で生成させることのできる酸化物触媒及びその製造方法、並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討をした。その結果、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む酸化物触媒中に、6配位の鉄化合物が所定量含まれるときに、この酸化物触媒を不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造反応で用いると、望まれない燃焼反応が促進され、目的生成物の収率向上にはつながらないことを見出した。
本発明者らは、上述の望まれない燃焼反応の原因は、所定量以上の鉄が6配位の状態であることに起因することを見出した。すなわち、金属の組成のみならず、各金属の配位数も複合酸化物の機能に影響していることを見出し、全ての鉄化合物が負の作用を示すのではなく、鉄が4配位の状態であれば、寧ろ好ましい触媒作用のみを示しうることを見出した。以上より、本発明者らは、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比をコントロールした酸化物を含む触媒は上記課題を解決できることを見出して、本発明をするに至った。
さらに、本発明者らは、酸化物触媒の4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比のコントロールを達成するための手段を鋭意検討した結果、有機酸の利用、並びに不活性ガス中での焼成、酸化安定化処理を組み合わせて利用することにより、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比を自由にコントロールできる酸化物触媒を製造できることを見出し、これにより従来の酸化焼成や還元焼成のみでは取りえない触媒性能を実現し、上記課題を解決できる酸化物触媒を製造する方法を見出して、本発明に想到した。
すなわち、本発明は以下に示すとおりである。
〔1〕
モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト、及びランタノイド元素を含有し、
4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が、0.20以上1.0以下である、
酸化物触媒。
〔2〕
前記モリブデン12原子に対する、前記ビスマスの原子比aが、1.5≦a≦6.0であり、前記鉄の原子比bが、1.5≦b≦7.0であり、前記コバルトの原子比cが、2.0≦c≦8.0であり、前記ランタノイド元素の原子比dが、0.50≦d≦6.0である、前項〔1〕に記載の酸化物触媒。
〔3〕
下記組成式(1)で表される組成を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の酸化物触媒。
Mo12BiFeCo (1)
(式(1)中、Moは前記モリブデン、Biは前記ビスマス、Feは前記鉄、Coは前記コバルトを示し、
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の前記ランタノイド元素を示し、
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6.0、1.5≦b≦7.0、2.0≦c≦8.0、0.50≦d≦6.0、0.010≦e≦2.0、及び0≦f<2.0を満たし、
gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
〔4〕
モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト、及びランタノイド元素を含む原料と、キレート剤と、を混合して原料スラリーを得る混合工程と、
前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
前記仮焼成体を不活性ガス雰囲気下で本焼成して本焼成体を得る本焼成工程と、
前記本焼成体を、酸素を含む雰囲気で酸化安定化処理して、酸化物触媒を得る酸化安定化処理工程と、
を有する、
酸化物触媒の製造方法。
〔5〕
前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化反応させて、不飽和アルデヒドを得る酸化工程を有する、不飽和アルデヒドの製造方法。
〔6〕
前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールをアンモ酸化反応さて、不飽和ニトリルを得るアンモ酸化工程を有する、不飽和ニトリルの製造方法。
本発明によれば、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造において、二酸化炭素等の副生成物の生成を抑制して、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを高収率で生成させることのできる酸化物触媒及びその製造方法並びに該酸化物触媒を用いた不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造方法を提供することを目的とする。
実施例3、比較例2の触媒についてのFe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルを示した図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔酸化物触媒〕
本実施形態に係る酸化物触媒は、モリブデン(以下、「Mo」ともいう。)、ビスマス(以下、「Bi」ともいう。)、鉄(以下、「Fe」ともいう。)、コバルト(以下、「Co」ともいう。)及びランタノイド元素(以下、「A」ともいう。)を含有し、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が0.20以上1.0以下である。
〔4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比〕
4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比は、0.20以上1.0以下であり、好ましくは0.20以上0.90以下であり、より好ましくは0.3以上0.7以下であり、さらに好ましくは0.4以上0.5以下である。4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が0.20以上であることにより、オレフィン及び/又はアルコールを原料とする不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの製造において、COやCO等の副生成物の生成を抑制でき、目的生成物の選択率がより向上し、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを高収率で生成させることができる。より具体的には、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が0.20以上であることにより、オレフィン又はアルコールのアリル位水素を引き抜く機能や、格子酸素伝搬能を司る触媒活性部位に、選択制の高い配位不飽和サイトが形成されることにより、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを高収率で得ることができる。また、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が0.90以下であることにより、触媒活性がより向上する。
「4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比」は、酸化物触媒に含まれる全部のFe(4配位Fe+6配位Fe)に対する4配位のFeの割合で表される。酸化物触媒に含まれるFeは4配位か6配位の2通りに分類される。例えば、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が0.4である場合、酸化物触媒に含まれるFe100モル%のうち、40モル%が4配位のFeであり、残り60モル%が6配位のFeである。
酸化物触媒中の4配位のFeの割合及び6配位のFeの割合は、実施例に記載のFe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルの測定を行うことによって確認できる。Feの配位数に関する情報が得られる測定法としては、X線回折も挙げられるものの、X線回折では結晶の配位数の情報しか得られない。Fe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルは結晶だけでなく、アモルファスな状態でも配位数を観察することができるため、より正確な情報を得ることができる。よって、本実施形態においては、Fe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルを測定方法として採用する。鉄のK吸収端X線吸収微細構造スペクトルによるより詳細な測定方法としては、実施例に記載の方法をもちいることができる。なお、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比は、例えば、後述の製造方法の製造条件を調整することにより制御することができる。
〔組成〕
本実施形態に係る酸化物触媒は、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト、及びランタノイド元素を含有する。このように、Mo−Bi系の金属酸化物において、Mo、Bi、Fe、Co、及びランタノイド元素を含有することにより、各金属元素が複合酸化物を形成しうる。
本実施形態に係る酸化物触媒において、Bi及びMoは複合化して、気相接触酸化、アンモ酸化反応等の活性種とされているBiMo12、BiMoO等のBi−Mo−O複合酸化物を形成しうる。
Mo12原子に対するBiの原子比aは、上記活性種を形成させる観点から、好ましくは1.5≦a≦6.0であり、より好ましくは2.0≦a≦4.5であり、さらに好ましくは2.0≦a≦4.0である。原子比aが上記範囲であることにより、目的生成物の選択率がより高くなる傾向にある。
Mo12原子に対するFeの原子比bは、好ましくは1.5≦b≦7.0であり、より好ましくは2.0≦b≦6.0であり、さらに好ましくは3.0≦b≦5.0である。原子比bが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの選択率がより高くなる傾向にある。
本実施形態に係る酸化物触媒はCoを含む。Coは、Mo、Bi、Feと同様に工業的に目的生成物を合成する上で必須元素である。本実施形態に係る酸化物触媒において、Coは、複合酸化物CoMoOを形成し、該CoMoOがBi−A−Mo−O等の活性種を高分散させるための担体としての役割と、気相から酸素を取り込み、Bi−A−Mo−O等に供給する役割を果たしていると推定される。Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素Aを含む酸化物触媒で、不飽和アルデヒドを高収率で得るには、該酸化物触媒において、CoはMoと複合化させ、複合酸化物CoMoOを形成させることが好ましい。
Mo12原子に対するCoの原子比cは、好ましくは2.0≦c≦8.0であり、より好ましくは2.5≦c≦6.0であり、さらに好ましくは3.0≦c≦5.0である。原子比cが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの収率がより高くなる傾向にある。
酸化物触媒がランタノイド元素Aを含むことにより、上記Bi−Mo−O複合酸化物はランタノイド元素Aと複合化して、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成しうる。このような複合酸化物は、耐熱性により優れる。耐熱性に優れることにより、高温での反応により適した酸化物触媒となる。
Mo12原子に対するランタノイド元素Aの原子比dは、好ましくは0.50≦d≦6.0であり、より好ましくは0.80≦d≦4.0であり、さらに好ましくは1.4≦d≦3.0である。原子比dが上記範囲であることにより、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの選択率がより高くなる傾向にある。
通常、酸化物触媒の製造において、酸素を含む酸化雰囲気下で焼成した場合、Fe含有量が多くなると格子酸素によって囲まれた6配位の鉄が生成する。6配位の鉄の割合の多い酸化物触媒を用いて、不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造を行うとCOやCO等の副生成物が増加し、目的生成物の選択率が低下するという問題がある。この点に関して、本発明者らは、Mo、Bi、Fe、Co、及びランタノイド元素を含む酸化物触媒の製造において、6配位Feの副生を抑制することを狙って不活性ガス雰囲気中で焼成し、酸化物触媒のFe周りの格子酸素を取り除き、さらに酸化安定化処理をすることでFeを4配位に制御する方法を見出した。当該制御によって、COやCO等の副生成物が減少する傾向が現れ、目的生成物の選択率が高くなることを見出した。
本実施形態に係る酸化物触媒は、好ましくは、下記組成式(1)で表される組成を有する。
Mo12BiFeCo (1)
(式(1)中、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Coはコバルトを示し、
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示し、
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6.0、1.5≦b≦7.0、2.0≦c≦8.0、0.50≦d≦6.0、0、0.010≦e≦2.0、及び0≦f<2.0を満たし、
gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のランタノイド元素を示す。Aが酸化物触媒に含まれることにより、Bi−A−Mo−O複合酸化物を形成でき、耐熱性がより向上する傾向にある。
Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示す。Bは酸化物触媒において、気相からの酸素取り込みを補助する役割を示すと考えられている。原子比eは、好ましくは0.010≦e≦2.0であり、より好ましくは0.030≦e≦1.0であり、さらに好ましくは0.050≦e≦0.40である。原子比eが上記数値範囲であることにより、組成式(1)で表される組成を有する酸化物触媒の触媒活性がより優れる傾向にある。また、原子比eが2.0以下であることにより、酸化物触媒が塩基性となりにくく、オレフィンやアルコールの酸化反応において、原料であるオレフィンやアルコールが触媒に吸着され易くなり、触媒活性がより優れる傾向にある。
Cはセシウム、ルビジウム及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示す。Cは酸化物触媒において、複合化されなかったMoO等の酸点を中和する役割を示すと考えられている。なお、セシウム及び/又はルビジウムを含有してもしなくても、4配位のFe生成には影響を与えない。組成式(1)で表される組成において、Mo12原子に対するこれらの元素の原子比fは、好ましくは0≦f<2.0であり、より好ましくは0.10≦f≦1.5であり、さらに好ましくは0.20≦f≦1.0である。原子比fが上記数値範囲であることにより、活性がより向上する傾向にある。
〔担体〕
本実施形態の酸化物触媒は、上述の酸化物触媒を担持するための担体を含有してもよい。担体を含むことにより、酸化物触媒を高分散化することができ、担持された酸化物触媒に、高い耐摩耗性を与えることができるという点で好ましい。
担体としては、特に限定されないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアが挙げられる。一般的にシリカは、それ自身不活性であり、他の担体に比べて、目的生成物に対する選択性を減ずることなく、上述の酸化物触媒に対し良好なバインド作用を有する点で好ましい担体である。さらに、シリカ担体は担持された酸化物触媒に、より高い耐摩耗性を与えることができるという点でも好ましい。
流動床反応器用の酸化物触媒である場合は、上記観点から、担体を含むことが好ましい。触媒中の担体の含有量の上限は、触媒の全質量に対して80質量%以下が好ましく、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。また、担体の含有量の下限は、触媒の全質量に対して20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。含有量が80質量%以下であることにより、4配位Feの影響を与えにくく、見掛け比重を調整でき流動性がより向上する傾向にある。また、含有量が20質量%以上であることにより、流動床反応用触媒のような強度を要する触媒として用いる場合、耐破砕性及び耐摩耗性等がより向上する傾向にある。
なお、固定床反応器用の打錠成型や押し出し成型法等した酸化物触媒である場合は、本実施形態に係る酸化物触媒は、担体を含まなくてもよい。また、この場合、担体の代わりに、有機バインダーを用いることが好ましい。
〔酸化物触媒の製造方法〕
本実施形態の酸化物触媒の製造方法は、モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト及びランタノイド元素を含む原料と、キレート剤と、を混合して原料スラリーを得る混合工程と、前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、前記仮焼成体を不活性ガス雰囲気下で本焼成して本焼成体を得る本焼成工程と、前記本焼成体を、酸素を含む雰囲気で酸化安定化処理して、酸化物触媒を得る酸化安定化処理工程と、を有する。
上述のように、本発明者らは、6配位のFeではなく、4配位のFeを得ることに着目し、その組成比や調製方法を総合的に検討した。
単に、Fe含有量を多くしただけでは、4配位のFeは生成しないが、(a)鉄に対してキレート効果のある化合物(キレート剤)をスラリーに添加すること、(b)特定の焼成方法・処理方法を用いることを満たす新たな製造技術によって、酸化物触媒中のFe周りの酸素量を制御し、4配位のFeを得ることができる。また、上記条件によって、6配位Feの生成が抑制される。なお、4配位のFeや6配位のFeが形成されていることは、後述する鉄のK吸収端X線吸収微細構造スペクトルを測定することにより確認することができる。
本実施形態に係る製造方法により製造された酸化物触媒は、酸化物触媒中に4配位のFeが存在することによって、触媒活性点であるBi−O−Moの結合距離が適切に調整され、酸素付加化合物の副生を極力抑制することができ、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルを高収率で得ることができる。以下、各工程について詳細に説明する。
〔混合工程〕
混合工程では、Mo、Bi、Fe、Co及びランタノイド元素を含む原料と、キレート剤と、を混合して原料スラリーを得る。原料スラリーは、最終的に得られる酸化物触媒において、Mo12原子に対する、Biの原子比aが1.5≦a≦6.0、Feの原子比bが3.0≦b≦7.0、Coの原子比cが2.0≦b≦8.0、ランタノイド元素の原子比dが0.50≦a≦6.0となるように各原料の混合割合を調整することが好ましい。
原料スラリーは、Mo、Bi、Fe、Co、並びにセリウム、ランタン、セリウム、プラセオジウム、及びネオジム等のランタノイド元素Aを含むものであれば特に限定されないが、必要に応じて、セシウム、ルビジウム、カリウム、ニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、鉛を含んでもよい。これら金属元素の触媒原料としては、水又は硝酸に可溶な、アンモニウム塩、硝酸塩、塩酸塩、有機酸塩、酸化物、水酸化物、炭酸塩等が挙げられる。金属元素の触媒原料を酸化物として用いる場合は、当該酸化物が水又は有機溶媒に分散された分散液が好ましく、当該酸化物が水に分散された分散液がより好ましい。原料となる酸化物が水に分散されている場合、酸化物の凝集を抑制し、高分散させるために高分子等の界面活性剤が含まれていてもよい。酸化物の粒子径は好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜80nmである。担体を含有する酸化物触媒を製造する場合は、原料スラリーにシリカ原料としてシリカゾルを添加することが好ましい。
Feの配位数を4配位制御するため、上記原料混合スラリーにキレート剤を添加する。キレート剤を添加することにより、キレート剤がFe原料と錯体を形成し、スラリー中のFe原料の溶解が促進されると考えられる。
キレート剤としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリカルボン酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマー;アミノカルボン酸類、マロン酸、コハク酸等の多価カルボン酸;ヒドラジン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸等のアミン類;グリコール酸、りんご酸、しゅう酸、酒石酸、クエン酸等の有機酸、イミノジ酢酸、ニトリロトリ酢酸、ジエチレントラミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、エチレングリコールジエチルエーテルジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酸が挙げられる。これらキレート剤は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
キレート剤の添加量は、得られる酸化物触媒100質量%に対して、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは1〜5質量%であり、さらに好ましくは2〜4質量%である。キレート剤の添加量が上記範囲であることにより、得られる酸化物触媒の酸化及び還元度をより制御しやすい傾向にある。また、キレート剤の添加量が10質量%以下であることにより、金属が過還元されることを抑制できる傾向にある。
原料スラリーの調製方法は通常用いられる方法であれば、特に限定されないが、例えば、Moのアンモニウム塩を温水に溶解させた溶液と、Bi、Fe、Co、ランタノイド元素A、及び必要に応じて用いるアルカリ金属を硝酸塩として水又は硝酸水溶液に溶解させた溶液と、を混合することにより調製することができる。混合後のスラリー中の金属元素濃度は、好ましくは1〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%であり、さらに好ましくは20〜35質量%である。金属元素濃度が上記範囲であることにより、触媒の均一性がより優れる傾向にある。
キレート剤をFeにより配位しやすくするため、原料スラリーを、ホモジナイザーを用いて混合することが好ましい。金属元素の原料成分とキレート剤が存在するスラリーを、強力な剪断力を有するホモジナイザーを用いて混合することによって、原料スラリーに含まれる固形分粒子を粉砕・微細化し、固形分粒子の表面積を大きくすることができ、これによりキレート剤をFeに配位させ易くすることができる。さらに、ホモジナイザーを用いることによって、広い温度範囲にわたって安定で、かつFeが均一に高分散したスラリーが得られる傾向にある。
混合工程では、固形分粒子をより微細化してFeにキレート剤を配位させる観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。高圧ホモジナイザーを用いる際の圧力は、好ましくは100〜1500barであり、より好ましくは500〜1300barであり、さらに好ましくは1000〜1200barである。圧力が1500bar以下であることにより、スラリー固形分破砕されすぎることを抑制できる傾向にある。また、圧力が100bar以上であることにより、固形分粒子を十分に微細化することができる。
スラリー固形分のメジアン径は、好ましくは0.01〜10μmであり、より好ましくは0.5〜7μmであり、さらに好ましくは1〜5μmである。スラリー固形分のメジアン径が10μm以下であることにより、スラリー粘度が向上し、中空粒子の多い噴霧乾燥体となる。また、スラリー固形分のメジアン径が0.1μm以上であることにより、スラリー粘度が低下し、スラリーから噴霧乾燥機へのラインが詰まることを抑制できる傾向にある。
〔乾燥工程〕
乾燥工程では、混合工程で得られた原料スラリーを乾燥して乾燥体(例えば、乾燥粒子)を得る。乾燥方法は、特に制限はされず、一般に用いられている方法によって行うことができ、例えば、蒸発乾涸法、噴霧乾燥法、減圧乾燥法等の任意の方法で行なうことができる。噴霧乾燥法としては、通常工業的に実施される遠心方式、二流体ノズル方式及び高圧ノズル方式等を採用することができる。また、乾燥熱源としては、特に限定されないが、例えば、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気を用いることが好ましい。この際、噴霧乾燥装置の乾燥機入口の温度は、好ましくは150〜400℃、より好ましくは180〜400℃、さらに好ましくは200〜350℃である。上記温度範囲であることにより、複合酸化物がより形成されやすい傾向にある。
〔仮焼成工程〕
仮焼成工程では、乾燥工程で得られた乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る。仮焼成の目的は、乾燥体中に残存している水分、硝酸等の除去、アンモニウム塩等である原料及び硝酸塩等である原料に由来して生成する硝酸アンモニウム等、及びキレート剤、水に分散された酸化物を原料にした場合の界面活性剤等の有機物をおだやかに燃焼させることにある。
仮焼成は、不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、特に限定されないが、例えば、ヘリウム、窒素、アルゴンなどが挙げられる。このなかでも、経済的な面から窒素が好ましい。不活性ガスが酸素を含む場合、酸素の含有量は、好ましくは0〜3.0体積%であり、より好ましくは0〜1.0体積%であり、さらに好ましくは0.5体積%である。酸素の含有量が3.0体積%以下であることにより、キレート剤が燃焼することに由来する発熱を抑制することができるため、得られる酸化物触媒への熱のダメージを軽減することができる。また、Fe周りの格子酸素を除去して4配位にするための焼成時間の正確なコントロールがより容易となる。
上記仮焼成、及び後述する本焼成を行なう装置としては、特に限定されないが、例えば、回転炉、トンネル炉、マッフル炉等の焼成炉が挙げられる。
仮焼成の温度は、好ましくは120〜500℃であり、より好ましくは150℃〜400℃であり、さらに好ましくは200℃〜350℃である。このような温度とすることにより、乾燥体中に残存している硝酸等の除去、アンモニウム塩等である原料及び硝酸塩等である原料に由来して生成する硝酸アンモニウム等、キレート剤、水に分散された酸化物を原料にした場合の界面活性剤等の有機物をよりおだやかに燃焼させることができる傾向にある。
仮焼成の時間は、好ましくは0.1〜24時間であり、より好ましくは1〜12時間であり、さらに好ましくは3〜10時間である。具体的には、仮焼成の温度が150℃以下の低温の場合、長時間の仮焼成を行うこが好ましく、仮焼成の温度が350℃以上の高温の場合、2時間以下の短時間の仮焼成を行うことが好ましい。仮焼成の温度及び/又は時間が上記範囲内であることにより、仮焼成の段階でCoとMoとの2成分系酸化物の成長より抑制される傾向にあり、後述の本焼成において4配位のFeがより生成しやすくなる傾向にある。
仮焼成の昇温速度は、急激な燃焼反応を抑え、均質な組成の触媒を得る観点から、好ましくは0.010℃/min〜5.0℃/minであり、より好ましくは0.10℃/min〜3.0℃/minであり、さらに好ましくは0.50℃/min〜2.0℃/minである。キレート剤の添加量が多いほど、急激な発熱が起こり、酸化物触媒の組成が不均質になりやすい傾向にある。しかし、昇温速度を上記範囲内とすることにより、硝酸や有機物等の燃焼や分解成分を十分に除去し、配位数が4配位であるFeの含有量を増加させ、より均質に複合化された構造を有する酸化物触媒を形成させることができる。
〔本焼成工程〕
本焼成工程では、仮焼成工程で得られた仮焼成体を不活性ガス雰囲気下で本焼成して本焼成体を得る。本焼成の目的は、所望の結晶構造を形成し易くすることにある。本発明者らの知見によると、結晶構造は焼成温度と焼成時間との積の影響を受けるため、焼成温度と焼成時間とを適切に設定することが好ましい。
本焼成の温度は、4配位のFeを生成させる観点で仮焼成の温度より高くすることが好ましい。また、本焼成は、4配位のFeの生成し易さの観点から、第1本焼成及び第2本焼成の2段階焼成で行うことが好ましい。
第1本焼成の焼成温度は、好ましくは400〜480℃であり、より好ましくは420〜470℃であり、さらに好ましくは430℃〜460℃である。第1本焼成の焼成温度を480℃以下とすることにより、6配位のFeの生成をより抑制できる傾向がある。また、第1本焼成の焼成時間は、好ましくは2h以上であり、より好ましくは3.0〜20hであり、さらに好ましくは3.0〜10hである。第1本焼成の焼成時間が上記範囲内であることにより、触媒活性がより向上する傾向にある。
第2本焼成の焼成温度は、好ましくは490℃〜〜700℃であり、より好ましくは500℃〜650℃であり、さらに好ましくは530℃〜600℃である。第2本焼成の焼成温度が上記範囲内であることにより、結晶が十分に成長する傾向にある。また、第2本焼成の焼成温度と焼成時間との積を適切にすることで4配位のFeの生成を促すことができる。この観点から、第2本焼成の焼成時間は、好ましくは0.1〜24時間であり、より好ましくは2〜12時間であり、さらに好ましくは3〜10時間である。より具体的には、結晶構造の生成のために焼成温度及び焼成時間を適切にする観点から、第2本焼成の焼成温度が400℃以下の低温の場合には、例えば24〜72時間程度の長時間の第2本焼成を行うことが好ましく、第2本焼成の焼成温度が700℃よりの高温の場合には、得られる酸化物触媒の表面積が小さくなりすぎて触媒活性が下がってしまうのを防ぐ観点から、1時間以下の短時間の第2本焼成を行うことが好ましい。
〔酸化安定化処理工程〕
酸化安定化処理工程では、本焼成工程で得られた本焼成体を、酸素を含む雰囲気で酸化安定化処理して、酸化物触媒を得る。「酸化安定化処理」とは、Feを4配位に維持したまま、本焼成時に還元された表面の金属成分を徐々に酸化させる処理をいう。酸化物触媒の表面の金属成分をあらかじめ酸化しておくことにより、不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造時に急激な酸化反応が生じることを抑制でき、不飽和アルデヒドや不飽和ニトリルの収率の低下を防ぐことができる。
酸化安定化処理工程における酸素濃度は、酸化物触媒の表面のみを酸化させる観点から、好ましくは0.01〜10体積%であり、より好ましくは0.1〜8体積%であり、さらに好ましくは0.2〜5体積%である。酸素濃度が10体積%以下であることにより、Feが6配位になることをより抑制できる傾向にある。また、酸素濃度が0.01体積%以上であることにより、酸化物触媒の表面の金属成分を適切に酸化できる傾向にある。
酸化安定化処理工程における処理温度は、酸化物触媒の表面のみを酸化させる観点から、好ましくは200〜600℃であり、より好ましくは250〜550℃であり、さらに好ましくは300〜500℃である。処理温度が600℃以下であることにより、Feが6配位になることをより抑制できる傾向にある。また、処理温度が200℃以上であることにより、酸化物触媒の表面の金属成分を適切に酸化できる傾向にある。
酸化安定化処理の処理時間は、触媒の表面のみを酸化させる観点から、好ましくは10分〜4hであり、より好ましくは30分〜3hであり、さらに好ましくは1h〜2h℃である。処理時間が4h以下であることにより、Feが6配位になることをより抑制できる傾向にある。また、処理時間が10分以上であることにより、酸化物触媒の表面の金属成分を適切に酸化できる傾向にある。以上の酸化安定化処理を行うことで、安定に4配位のFeが存在する酸化物触媒となる。
以上の工程を全て行うことで、4配位のFeが形成され易くなる。
〔不飽和アルデヒドの製造方法〕
本実施形態に係る不飽和アルデヒドの製造方法は、上記酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化反応させて、不飽和アルデヒドを得る酸化工程を有する。オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、プロピレン、及びイソブチレンが挙げられる。また、アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、イソブタノール、及びt−ブチルアルコールが挙げられる。また、製造される不飽和アルデヒドとしては、特に限定されないが、例えば、メタクロレイン、アクロレインが挙げられる。
酸化方法としては、特に限定されないが、例えば、気相接触酸化反応を用いることができる。気相接触酸化反応は、例えば、所定の反応温度下、固定床反応器内の触媒層に、オレフィン及び/又はアルコールと、分子状酸素含有ガスと、希釈ガスと、を含む混合ガスを導入することにより進行する。
反応温度は、好ましくは250〜450℃である。また、反応圧力は、好ましくは常圧〜5気圧である。さらに、原料ガスを導入する空間速度は、好ましくは400〜4000/hr[Normal temperature pressure (NTP)条件下]である。
酸素と、オレフィン及び/又はアルコールと、のモル比は、不飽和アルデヒドの収率を向上させるために反応器の出口酸素濃度を制御する観点から、好ましくは1.0〜2.0であり、より好ましくは1.1〜1.8であり、さらに好ましくは1.2〜1.8である。
分子状酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、例えば、純酸素ガス、及びNO、空気等の酸素を含むガスが挙げられ、工業的観点から空気が好ましい。また、分子状酸素濃度は、混合ガス100体積%に対して、好ましくは1〜20体積%である。
希釈ガスとしては、特に限定されないが、例えば、窒素、二酸化炭素、水蒸気及びこれらの混合ガスが挙げられる。水蒸気は、成形触媒へのコーキングを防ぐ観点からは含まれることが好ましいが、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸等のカルボン酸の副生を抑制するために、できるだけ混合ガス中の水蒸気濃度は低いことが好ましく、混合ガス100体積%に対して、好ましくは0〜30体積%であり、より好ましくは2〜20体積%であり、さらに好ましくは3〜10体積%である。
分子状酸素含有ガスと希釈ガスとの混合比は、体積比で下記不等式の条件を満足することが好ましい。
0.01<分子状酸素含有ガス/(分子状酸素含有ガス+希釈ガス)<0.3
〔不飽和ニトリルの製造方法〕
本実施形態に係る不飽和ニトリルの製造方法は、上記酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールをアンモ酸化反応さて、不飽和ニトリルを得るアンモ酸化工程を有する。アンモ酸化反応は、例えば、所定の反応温度下、流動層反応器内に、オレフィン及び/又はアルコールと、分子状酸素含有ガスと、アンモニアと、を含む混合ガスを導入することにより進行する。
オレフィン及び/又はアルコール、並びにアンモニアは、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものを使用することができる。
また、分子状酸素含有ガスとしては、特に限定されないが、例えば、通常空気を用いるのが好ましいが、酸素を空気と混合するなどして酸素濃度を高めたガスを用いることもできる。
分子状酸素含有ガスが空気である場合、オレフィン及び/又はアルコールと、アンモニアと、空気と、のモル比〔(オレフィン及び/又はアルコール)/アンモニア/空気〕は、好ましくは1/(0.8〜1.4)/(7〜12)であり、より好ましくは1/0.9〜1.3/8〜11である。
また、反応温度は、好ましくは350〜550℃であり、より好ましくは400〜500℃である。反応圧力は、好ましくは微減圧〜0.8MPaである。さらに、原料ガスと触媒との接触時間は、好ましくは0.5〜20(sec・g/cc)であり、より好ましくは1〜10(sec・g/cc)である。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。また、各種物性の評価方法は下記に示すとおりである。
〔酸化物触媒の反応性能評価〕
反応装置は外径23mmのパイレックス(登録商標)ガラス製流動層反応管を用いた。反応温度Tは430℃、反応圧力Pは0.15MPa、充填酸化物触媒量Wは40〜60g、全供給ガス量Fは250〜450mL/sec(NTP換算)条件とした。また、供給した原料ガスの組成は、プロピレン/アンモニア/空気のモル比を1/(0.7〜1.4)/(8.0〜11.0)とし、反応ガス中の未反応アンモニア濃度が0.5%以下、未反応酸素濃度が0.2%以下になるよう供給ガス組成を上記範囲内で適宜変更して反応を実施した。原料供給開始より24時間後の反応ガスをガスクロマトグラフィーで分析し酸化物触媒の反応性能を求めた。
接触時間(sec・g/mL)=(W/F)×273/(273+T)×P/0.10
実施例及び比較例において、反応成績を表すために用いた転化率、選択率、収率は次式で定義される。
転化率=(反応した原料のモル数/供給した原料のモル数)×100
選択率=(生成した化合物のモル数/反応した原料のモル数)×100
収率=(生成した化合物のモル数/供給した原料のモル数)×100
〔Fe−K吸収端X線吸収微細構造(XAFS)スペクトルの測定方法〕
鉄のK吸収端X線吸収微細構造の測定は、財団法人高輝度光科学研究センター 大型放射光施設 SPring−8のビームラインBL14B2において、下記条件により行うことが可能であるが、酸化物触媒のFe−K XAFSの測定は他の方法でも可能であり測定方法を限定するものではない。
光学系及び検出器:Si(111)二結晶分光器を用いてX線エネルギーを分光し透過法によるXAFS測定を行った。検出器にはイオンチャンバーを用いた。イオンチャンバーには入射X線(I0)にN2100%、サンプル透過後のイオンチャンバー(I1)にAr15%+N285%のガスを流通させた。イオンチャンバーの電極長はI0を170mmとし、I1を310mmとし、印加電圧を1000Vとした。電流信号の電圧変換・増幅を行うカレントアンプのゲイン設定は、I0が1E+8V/A、I1が1E+8V/Aまたは1E+9V/Aで測定を行った。
エネルギー校正:吸収強度が最適になるように窒化ホウ素と混合、粉砕しペレット状にしたα−Feの測定を行い、バックグラウンド処理を行い、スペクトル強度を1に規格化後、エッジジャンプの0.5を求めてエネルギー値7121.5eVとした。本発明で使用するXAFS解析法では、鉄のK吸収端のX線吸収微細構造(XAFS:X−ray Absorption Fine Structure)の測定を行い、このうちのX線吸収近傍構造(XANES:X−ray Absorption Near Edge Structure)部分を解析することにより、金属の電子状態(価数や結合状態)の評価を行った。このようなXAFSの測定方法は、「X線吸収分光法−XAFSとその応用−、株式会社アイピーシー発行、83−99頁」などに記載されている。
さらに具体的な測定方法を以下に示す。酸化物触媒及び標準物質3〜20mgをメノウ乳鉢を用いて充分に粉砕し、適量の窒化ホウ素を希釈材として加え、さらに混合、粉砕して試料を得た。
この試料をステンレス製の鋳型で厚さ1mm、直径10mmのペレット状にし、入射ビームがペレットのほぼ中心になるように試料を配置した。鉄原子が吸収する範囲のX線を照射し、試料前後のX線強度I0及びI1の値を計測して、X線のエネルギーを横軸に、吸光度μ=ln(I0/I)を縦軸にプロットしたものをX線吸収スペクトルとした。このX線吸収スペクトルを「X線吸収分光法−XAFSとその応用−、株式会社アイピーシー発行、55−60頁」に記載の方法により、バックグラウンドを差し引き、スペクトル強度を1に規格化した。
酸化物触媒のFe配位状態の分離について以下に示す。分離に用いるスペクトルとして、酸化物触媒スペクトル、FeMo12、FePO相それぞれを用い、上記の規格化したスペクトルから、7100eVから7150eVの範囲を抜出し、それぞれ強度を、IA(酸化物触媒)、IB(FeMo12)、IC(FePO相)とした。
FeMo12は、文献「H. Ehrenberg et al., Journal of Magnetism and Magnetic Materials 261 (2003) 353-359」にあるような結晶構造であり、Fe周辺は酸素が正8面体の6配位をしている。一方FePO相は、文献「Hains.J et al., Zeitschrift fur Kristallographie, vol. 218, issue 3−2003, pp. 193−200」にあるような結晶構造であり、Fe周辺は酸素が正4面体の4配位をしている。分離したスペクトル強度をID=m×IB+n×IC(m,nは任意の定数、m,n ≧0、)と定義し、Σ(IA(Ei)−ID(Ei))^2が最小になる、mとnを計算した(Σは相和を意味する。IA(Ei),ID(Ei)は、各エネルギーにおける規格化後のスペクトル強度)。この結果より、m/(m+n)を6配位成分、n/(n+m)を4配位成分として、4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比を求めた。
[実施例1]
約90℃の温水199.5gにヘプタモリブデン酸アンモニウム66.5gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス45.6g、硝酸セリウム23.0g、硝酸鉄45.4g、硝酸セシウム0.54g、及び硝酸コバルト27.5gを18質量%の硝酸水溶液41.1gに溶解させ、約90℃の温水205.3gを添加した(B液)。
A液とB液の両液を混合し、約50℃で約3時間程度撹拌混合し、蓚酸を4.5g添加し、1200barで高圧ホモジナイザーを使用して処理し、メジアン径が2.0μmの原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度240℃、出口温度約135℃で噴霧乾燥し、噴霧乾燥体を得た。得られた噴霧乾燥体を、窒素中で室温から330℃まで3hかけて昇温した後、330℃で3時間保持して仮焼成体を得た。得られた仮焼成体を第1本焼成として窒素中で440℃まで3hかけて昇温し、5h保持した。その後、540℃で10時間第2本焼成し、本焼成体を得た。本焼成体を酸素濃度0.5体積%の雰囲気下、450℃で1h保持することで酸化安定化処理し、酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成はMo12Bi3.0Fe3.6Ce1.7Co3.0Cs0.09であった。4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比の測定結果を表1に示す。
酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.2gを直径14mmのジャケット付SUS製反応管に充填し、反応温度430℃でイソブチレン8体積%、酸素12.8体積%、水蒸気3.0体積%及び窒素容量76.2%からなる混合ガスを120mL/min(NTP)の流量で通気し、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例2]
約90℃の温水208.8gにヘプタモリブデン酸アンモニウム69.6gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス35.0g、硝酸セリウム25.5g、硝酸鉄42.3g、硝酸セシウム0.57g、硝酸マグネシウム4.2g、硝酸ニッケル4.8g、及び硝酸コバルト28.8gを18質量%の硝酸水溶液41.3gに溶解させ、約90℃の温水196.0gを添加した(B液)。
A液とB液の両液を混合し、約50℃で約3時間程度撹拌混合し、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸を2.5g添加し、1000barで高圧ホモジナイザーを使用して処理し、メジアン径が4.0μmの原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度240℃、出口温度約135℃で噴霧乾燥し、噴霧乾燥体を得た。得られた噴霧乾燥体を、窒素中で室温から320℃まで3hかけて昇温した後、320℃で3時間保持して仮焼成体を得た。得られた仮焼成体を第1本焼成として窒素中で460℃まで3hかけて昇温し、5h保持した。その後、550℃で8時間第2本焼成し、本焼成体を得た。本焼成体を酸素濃度0.5体積%の雰囲気下、420℃で1h保持することで酸化安定化処理し、酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成はMo12Bi2.2Fe3.2Ce1.8Co3.0Mg0.5Ni0.5Cs0.09であった。4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比の測定結果を表1に示す。
酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例3]
スラリーに添加する蓚酸を6.0gに変更し、メジアン径が2.5μmの原料スラリーを得た以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。Fe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルを図1に示す。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.1gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例4]
酸化安定化処理の酸素濃度を6.5体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.9gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例5]
酸化安定化処理の酸素濃度を9.2体積%に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒5.0gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例6]
酸化安定化処理の温度を560℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒5.4gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例7]
酸化安定化処理の温度を230℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.3gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例8]
第1本焼成の温度を400℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例9]
第1本焼成の温度を425℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例10]
第1本焼成の温度を480℃に変更した以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.8gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例11]
スラリーの高圧ホモジナイザーの圧力を700barに変更し、メジアン径が7.0μmの原料スラリーを得た以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例12]
スラリーの高圧ホモジナイザーの圧力を200barに変更し、メジアン径が9.0μmの原料スラリーを得た以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[実施例13]
スラリーの高圧ホモジナイザーの圧力を1500barに変更し、メジアン径が0.1μmの原料スラリーを得た以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[比較例1]
スラリーに蓚酸を添加せず、メジアン径が8.0μmの原料スラリーを得た以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒5.0gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[比較例2]
酸化安定化処理をしない以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。Fe−K吸収端X線吸収微細構造スペクトルを図1に示す。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[比較例3]
第1本焼成をしない以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.7gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[比較例4]
空気雰囲気下で仮焼成と本焼成をした以外は実施例1と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒4.0gを反応管に充填し、実施例1と同じ条件で、メタクロレイン合成反応を行った。反応評価結果を表1に示す。
[比較例5]
約90℃の温水199.5gにヘプタモリブデン酸アンモニウム66.5gを溶解させた(A液)。また、硝酸ビスマス45.6g、硝酸セリウム23.0g、硝酸鉄45.4g、硝酸セシウム0.54g、及び硝酸コバルト27.5gを18質量%の硝酸水溶液41.1gに溶解させ、約90℃の温水205.3gを添加した(B液)。
A液とB液の両液を混合し、約50℃で約3時間程度撹拌混合し、1200barで高圧ホモジナイザーを使用して処理し、メジアン径が2.0μmの原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度240℃、出口温度約135℃で噴霧乾燥し、噴霧乾燥体を得た。得られた噴霧乾燥体100gに対し、蓚酸を4.5g添加して混合し、窒素中で室温から330℃まで3hかけて昇温した後、330℃で3時間保持して仮焼成体を得た。得られた仮焼成体を第1本焼成として窒素中で440℃まで3hかけて昇温し、5h保持した。その後、540℃で10時間第2本焼成し、本焼成体を得た。本焼成体を酸素濃度0.5体積%の雰囲気下、450℃で1h保持することで酸化安定化処理し、酸化物触媒を得た。得られた酸化物触媒の組成はMo12Bi3.0Fe3.6Ce1.7Co3.0Cs0.09であった。4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比の測定結果を表1に示す。
[実施例14]
金属組成がMo12Bi1.6Ce1.0Fe2.6Co5.0Rb0.1で表される金属酸化物を45質量%のシリカ担体に担持した酸化物触媒を下記のようにして調製した。
シリカ一次粒子の平均粒子直径が12nmのSiOを30質量%含む水性シリカゾル750gと、シリカ一次粒子の平均粒子直径が41nmのSiOを30質量%含む水性シリカゾル750gとを混合してシリカゾルの混合液を得た。
約90℃の温水735.3gにヘプタモリブデン酸アンモニウム411.9gを溶解させ、28%のアンモニア水16.6gを添加した(A液)。また、硝酸ビスマス147.5g、硝酸セリウム87.0g、硝酸鉄204.3g、硝酸ルビジウム2.85g、及び硝酸コバルト285.0gを16.6質量%の硝酸水溶液384.9gに溶解させた(B液)。
シリカゾルの混合液にA液を加え、混合液を得た。その混合液にB液を入れ、酒石酸を37.9g添加し、約50℃で約3時間程度撹拌混合した。この混合液を1200barで高圧ホモジナイザーを使用して処理し、メジアン径が2.0μmの原料スラリーを得た。この原料スラリーを噴霧乾燥器に送り、入り口温度240℃、出口温度約135℃で噴霧乾燥し、噴霧乾燥体を得た。得られた噴霧乾燥体を、窒素中で室温から330℃まで3hかけて昇温した後、330℃で3時間保持して仮焼成体を得た。得られた仮焼成体を第1本焼成として窒素中で450℃まで3hかけて昇温し、5h保持した。その後、580℃で2時間第2本焼成し、本焼成体を得た。本焼成体を酸素濃度0.5体積%の雰囲気下、450℃で1h保持することで酸化安定化処理し、酸化物触媒を得た。4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比の測定結果を表1に示す。
酸化物触媒の反応評価として、この酸化物触媒50gを用いて、接触時間=4.0(sec・g/mL)でプロピレンのアンモ酸化反応を行った。原料組成(モル比)はプロピレン/アンモニア/空気=1/1.22/9.39であった。反応開始から24時間後の反応評価結果を表1に示す。
[比較例6]
酸化安定化処理をしない以外は実施例14と同じ条件で酸化物触媒を得た。酸化物触媒の反応評価として、酸化物触媒50gを用いて、接触時間=4.2(sec・g/mL)でプロピレンのアンモ酸化反応を行った。原料組成(モル比)はプロピレン/アンモニア/空気=1/1.17/9.92であった。反応開始から24時間後の反応評価結果を表1に示す。
本発明の酸化物触媒は、不飽和アルデヒド又は不飽和ニトリルの製造に用いられる触媒として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト、及びランタノイド元素を含有し、
    4配位Fe/(4配位Fe+6配位Fe)の比が、0.20以上1.0以下であり、
    オレフィン及び/又はアルコールを酸化反応させて、不飽和アルデヒドを得る酸化工程、又はオレフィン及び/又はアルコールをアンモ酸化反応させて、不飽和ニトリルを得るアンモ酸化工程に用いられる、
    酸化物触媒。
  2. 前記モリブデン12原子に対する、前記ビスマスの原子比aが、1.5≦a≦6.0であり、前記鉄の原子比bが、1.5≦b≦7.0であり、前記コバルトの原子比cが、2.0≦c≦8.0であり、前記ランタノイド元素の原子比dが、0.50≦d≦6.0である、請求項1に記載の酸化物触媒。
  3. 下記組成式(1)で表される組成を有する、請求項1又は2に記載の酸化物触媒。
    Mo12BiaFebCocdefg (1)
    (式(1)中、Moは前記モリブデン、Biは前記ビスマス、Feは前記鉄、Coは前記コバルトを示し、
    Aはランタン、セリウム、プラセオジウム、ネオジム、及びユーロピウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の前記ランタノイド元素を示し、
    Bはニッケル、マンガン、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、錫、及び鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示し、
    Cはセシウム、ルビジウム、及びカリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ元素を示し、
    a〜fは、Mo12原子に対する各元素の原子比を示し、1.5≦a≦6.0、1.5≦b≦7.0、2.0≦c≦8.0、0.50≦d≦6.0、0.010≦e≦2.0、及び0≦f<2.0を満たし、
    gは酸素以外の構成元素の原子価によって決まる酸素の原子数である。)
  4. モリブデン、ビスマス、鉄、コバルト、及びランタノイド元素を含む原料と、キレート剤と、を混合して原料スラリーを得る混合工程と、
    前記原料スラリーを乾燥して乾燥体を得る乾燥工程と、
    前記乾燥体を仮焼成して仮焼成体を得る仮焼成工程と、
    前記仮焼成体を不活性ガス雰囲気下で本焼成して本焼成体を得る本焼成工程と、
    前記本焼成体を、酸素を含む雰囲気で酸化安定化処理して、酸化物触媒を得る酸化安定化処理工程と、
    を有する、
    酸化物触媒の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールを酸化反応させて、不飽和アルデヒドを得る酸化工程を有する、不飽和アルデヒドの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸化物触媒を用いて、オレフィン及び/又はアルコールをアンモ酸化反応さて、不飽和ニトリルを得るアンモ酸化工程を有する、不飽和ニトリルの製造方法。
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