JP2018158287A - 触媒の製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、不飽和アルデヒドを原料とし、不飽和カルボン酸を製造するための触媒を製造する方法として、モリブデン含有割合と硫酸根含有割合に応じ、触媒の前駆化合物の焼成工程における酸素濃度を制御することが開示されている。
[1] モリブデン(Mo)及びアンチモン(Sb)を含む触媒の製造方法であって、
各成分元素の供給源化合物を水性系で一体化及び加熱することにより調製液とする調液工程、該調製液を乾燥処理して粉体とする乾燥工程、該粉体を成型し触媒前駆体とする成型工程及び該触媒前駆体を焼成し触媒とする焼成工程を含み、
該焼成工程の焼成雰囲気の酸素濃度が下記式(1)に従う触媒の製造方法。
(αSb/αMo)×40≦ 酸素濃度(%)≦(αSb/αMo)×40+1.9 (1)
(式中、αSbは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるアンチモン(Sb)の濃度を表わし、αMoは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるモリブデン(Mo)の濃度を表わす。)
Mo12VaXbCucYdSbeZfSigChOi (2)
(式中、XはNb及び/又はWを示し、YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、Ni及びBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、a〜iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0<e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
[4] 前記アンチモン(Sb)の供給源化合物が3価のアンチモン化合物を含む、[1]乃至[3]のいずれかに記載の触媒の製造方法。
[5] 前記アンチモン(Sb)の供給源化合物が、アンチモン(Sb)を含む複数の成分元素を共に含む化合物以外の供給源化合物を含む、[1]乃至[4]のいずれかに記載の触媒の製造方法。
[6] [1]乃至[5]のいずれかに記載の触媒の製造方法により製造された触媒を用いて、アクロレインを酸素含有ガスにより気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
尚、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、アンチモン(Sb)、ケイ素(Si)、炭素(C)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)の各元素は、それぞれカッコ内の元素記号を用いて表記する場合がある。
上記各成分元素の供給源化合物を水性系で一体化及び加熱するとは、各成分元素の供給源化合物の水溶液ないし水分散液を一括にあるいは段階的に混合又は熟成処理することを意味する。すなわち、(イ)上記の各供給源化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせた方法はいずれも上記各成分元素の供給
源化合物の水性系での一体化の概念に含まれる。
上記粉体100重量部に対して、好ましくは約0.01重量部〜50重量部程度使用することが好ましい。また、必要によりセラミックス繊維、ウイスカー等の無機繊維を触媒粒子の機械的強度向上材として用いることもできる。強度向上のためには、セラミックス繊維が特に好ましい。これらの繊維の使用量は、粉体100重量部に対して好ましくは1重量部〜30重量部である。上記バインダー及び機械的向上剤は、通常、予め上記粉体と混合して用いられる。
(αSb/αMo)×40≦ 酸素濃度(%)≦(αSb/αMo)×40+1.9 (1)
(式中、αSbは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるアンチモン(Sb)の濃度を表わし、αMoは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるモリブデン(Mo)の濃度を表わす。)
尚、Sbの供給源化合物は、Sbを含む複数の成分元素を共に含む化合物以外の供給源化合物を含むことが、製造された触媒の活性が向上し、アクリル酸製造時の収率を向上できるため好ましい。前記αSb/αMoの値が高いほうが触媒前駆体の酸化状態が還元されている傾向であり、それに併せて焼成雰囲気の酸素濃度範囲を調整することにより焼成後の触媒の酸化状態が最適化される傾向にある。
更に、αSb/αMoは0.002以上が好ましく、0.004以上であることがより好ましい。前記範囲内であることにより製造された触媒は酸化状態が最適化される傾向にあり、アクリル酸の収率を向上させることができる。
Mo12VaXbCucYdSbeZfSigChOi (2)
(式中、XはNb及び/又はWを示し、YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、Ni及びBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、a〜iはそれぞれの元素の原子比を示し、0
<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0<e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。)
上記組成式(2)の触媒とすることで、より高収率でアクリル酸を製造することができる。
Vの供給源化合物の具体例としては、バナジン酸アンモニウム、五酸化バナジウム、シュウ酸バナジウム、硫酸バナジウム等が挙げられ、Vの添加量は、0<a≦12となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1≦a≦6、更に好ましくは1≦a≦5となるように添加する。aが前記範囲内であることにより選択性の高い触媒とすることができる。
Xの添加量は0≦b≦12となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1≦b≦6、更に好ましくは0.5≦b≦4となるように添加する。bが前記範囲内であることにより選択性の高い触媒とすることができる。
Yの添加量は0≦d≦8となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.01≦d≦6、更に好ましくは0.1 ≦d≦4となるように添加する。dが前記範囲内であることにより選択性の高い触媒とすることができる。
特に限定されないが、Fe、Co及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、Niであることが更に好ましい。
Zの添加量は0≦f≦500となるように添加することが好ましく、より好ましくは0.1≦f≦400、更に好ましくは1≦f≦300となるように添加する。fが前記範囲内であることにより選択性の高い触媒とすることができる。
前記X、前記Y、前記Zそれぞれの成分元素の供給源化合物としては、成分元素の酸化物、硝酸塩、炭酸塩、アンモニウム塩、水酸化物、カルボン酸塩、カルボン酸アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム塩、水素酸、アセチルアセテート、アルコキシド等が挙げられる。
但し、前記Sbを含む複数の成分元素を共に含む化合物は難水溶性である可能性が高いことより、Sbの供給源化合物としては、前記Sbを含む複数の成分元素を共に含む化合物以外の供給源化合物を含むことが好ましい。
アクロレインと酸素含有ガスとの気相接触酸化により、アクリル酸を製造するためには、既存の方法を使用することができる。例えば、反応器としては、固定床管型反応器を用いることができる。この場合、反応は、反応器を通じて単流通法を用いてもリサイクル法を用いても行うことができ、この種の反応に一般的に使用される条件下で実施できる。
・空間速度SV(hr−1)=反応器に供給するアクロレインガスの体積流量(0℃、1気圧条件)/反応器に充填された触媒の体積(反応性の無い固形物は含まない)
アクロレイン転化率、アクリル酸選択率、アクリル酸収率は、下記の式(1)〜(3)のように定義する。
(1)アクロレイン転化率(モル%)=100×(反応したアクロレインのモル数)/(供給したアクロレインのモル数)
(2)アクリル酸選択率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(転化
したアクロレインモル数)
(3)アクリル酸収率(モル%)=100×(生成したアクリル酸モル数)/(供給したアクロレインモル数)
調製液5mlをサンプリングし、Acrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した。濾過した濾液を60℃とし、純水および硝酸を加えて50mlに定容した。定容した溶液をICP-OES(Thermo Fisher Scientific社製 iCAP6500DUO型)にてプラズマ発光分析によりSb濃度及びM
o濃度を測定し、測定結果よりαSb/αMoを計算した。
製造された触媒33mlを、ナイターを入れたジャケット付き反応管(内径21mm)に充填して加熱し、組成ガス(アクロレイン6体積%、酸素8体積%、スチーム22体積%、窒素ガス64体積%)を導入し、空間速度SVを1550hr−1として反応させた。
因みに、ナイター浴は、アルカリ金属の硝酸塩からなる熱媒体に反応管を入れて反応させる塩浴をいい、この熱媒体は200℃以上で溶融し、400℃まで使用可能で除熱効率がよいので、発熱量の大きな酸化反応に適した反応浴である。
酸素を除く構成成分の実験式が表1に示す組成である触媒を以下のようにして製造した。なお、使用した各供給源化合物の量は、表1に示す量である。
塩基性炭酸ニッケルを純水に分散させ、これにシリカ及び三酸化アンチモンを加えて十分に撹拌してスラリー状液とした。該スラリー状液を加熱して濃縮し、乾燥した。得られた乾燥固体をマッフル炉にて800℃で3時間焼成し、生成固体を粉砕して60メッシュ篩を通過する粉末(Sb−Ni−Si−O粉末)を得た。一方、純水を80℃に加熱し、パラモリブデン酸アンモニウム、メタバナジン酸アンモニウムを順次攪拌しながら溶解した。これに硫酸銅を純水57mlに溶解させた硫酸銅水溶液を加え、さらに水酸化ニオブを加えて攪拌し、スラリー液を得た。 該スラリー液に、三酸化アンチモンを加え、上記Sb−Ni−Si−O粉末を撹拌しながら徐々に加えた後、90℃で4時間撹拌混合して調製液とした。
該粉体に対して1.5重量%のグラファイトを添加混合し、小型打錠成形機にて成形して触媒前駆体とした。
該触媒前駆体を表1の焼成条件で焼成し、触媒を製造した。
得られた触媒を用いて熱媒温度235℃でアクロレインを酸素含有ガスにて気相接触酸化し、アクロレイン転化率、アクリル酸選択率を測定した。結果を表1に示す。
Claims (6)
- モリブデン(Mo)及びアンチモン(Sb)を含む触媒の製造方法であって、
各成分元素の供給源化合物を水性系で一体化及び加熱することにより調製液とする調液工程、該調製液を乾燥処理して粉体とする乾燥工程、該粉体を成型し触媒前駆体とする成型工程及び該触媒前駆体を焼成し触媒とする焼成工程を含み、
該焼成工程の焼成雰囲気の酸素濃度が下記式(1)に従う触媒の製造方法。
(αSb/αMo)×40≦ 酸素濃度(%)≦(αSb/αMo)×40+1.9 (1)
(式中、αSbは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるアンチモン(Sb)の濃度を表わし、αMoは調製液をAcrodisc Syringe Filter(Pall社製)孔径0.1μmのフィルターにより80℃で濾過した溶液におけるモリブデン(Mo)の濃度を表わす。) - 前記触媒が下記組成式(2)で示される触媒である、請求項1に記載の触媒の製造方法。
Mo12VaXbCucYdSbeZfSigChOi (2)
(式中、XはNb及び/又はWを示し、YはMg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、ZはFe、Co、Ni及びBiからなる群より選ばれた少なくとも一種の元素を示し、a〜iはそれぞれの元素の原子比を示し、0<a≦12、0≦b≦12、0<c≦12、0≦d≦8、0<e≦500、0≦f≦500、0≦g≦500、0≦h≦500の範囲にあり、iは他の元素の酸化状態を満足させる値である。) - 前記αSb/αMoが0.002以上である、請求項1または2に記載の触媒の製造方法。
- 前記アンチモン(Sb)の供給源化合物が3価のアンチモン化合物を含む、請求項1乃
至3のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。 - 前記アンチモン(Sb)の供給源化合物が、アンチモン(Sb)を含む複数の成分元素を共に含む化合物以外の供給源化合物を含む、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の触媒の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の触媒の製造方法により製造された触媒を用いて、アクロレインを酸素含有ガスにより気相接触酸化するアクリル酸の製造方法。
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