JP6202580B2 - 熱物性測定方法及び熱物性測定装置 - Google Patents

熱物性測定方法及び熱物性測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、固体の熱電能や熱伝導率といった熱物性値を測定するための方法及び装置に関するものである。
鉛、白金等の金属材料の熱電能の絶対値は、物性測定の分野において広く用いられている熱電能の相対測定法に欠かせない物性値である。絶対熱電能は、金属材料の熱電能がゼロとなる状態を利用し、超伝導体を基準物質とした比較測定によって導かれている。この方法は、測定可能な温度領域が超伝導転移温度より低い温度に制限されてしまうことから、測定温度領域を拡大するためには、測定可能なトムソン係数からケルビンの関係式を用いて絶対熱電能を導くことが必要となる。
ここで、一般的に熱電能Sは、金属や半導体に温度差ΔTを与えた時に発生する電圧ΔVを用いて、S=ΔV/ΔTと定義される。この定義に基づく熱電能の測定値は、正確には測定対象金属と配線材料(金属)との相対値、すなわち熱電能の差に該当するため、測定対象金属の絶対熱電能を求めるためには、配線材料の熱電能を考慮した補正が必要となる。特に、測定対象金属の熱電能が数十μV/K程度の場合には、このような補正の影響を無視することはできない。
ところで、熱電能の測定装置は、既にいくつか市販されているが、いずれの装置においても測定原理としては簡便な相対測定法が採用されている。ここで、相対測定法では、装置に含まれた配線材料の絶対熱電能を測定することによって、測定対象金属の熱電能の値を補正する必要があるが、現在においては絶対熱電能を実測する設備がないため、下記の非特許文献2〜4に示されるように、各メーカーとも1970年代から80年代に実施された絶対熱電能の測定データに依存しているのが実情である。
具体的には、絶対熱電能の測定については、1916年にネットレトン(Nettleton)が金属細線に極性を反転させた直流電圧を印加したときのトムソン係数の算出方法(以下、「DC反転法」という。)を提案して以来(非特許文献1参照)、ロバート(Robert)らにより鉛、銅、白金などを対象として行われ(非特許文献2〜4参照)、0ケルビン(K)から1600ケルビン(K)までの絶対熱電能が決定された。そして、この測定結果は現在まで広く基準値として採用されている。
ここで、上記トムソン係数μは以下の式(1)で表される。
Figure 0006202580
なお、上式においてT1とT2は、測定対象金属の両端に電圧が印加されるときにおける当該両端の温度[K]であり、Iは上記金属に流れる電流[A]、Lは上記金属の端から中点までの長さ[m]、κは上記金属の熱伝導率[W/mK]、aは上記金属の断面積[m2]、δTは後述するように極性を反転させた直流電流を測定対象たる金属に流したときに生じる上記金属の中央部(中点)における温度変化の半分[K]を意味する。
そして、絶対熱電能Sはケルビンの式、すなわち以下の式(2)により算出される。
Figure 0006202580
なお、上式においてT0は超伝導転移温度である92Kを意味する。
また、式(2)から、精度の高い絶対熱電能Sを求めるためには、トムソン係数μを正確に求める必要があることが分かる。
ここで従来の絶対熱電能測定法では、温度勾配を与えた測定対象金属に直流電圧を印加して生じる温度変化を測定することによりトムソン係数を求めたが、トムソン効果による発熱量は同時に発生するジュール熱の約1/100以下という小さな値を持つものである。
そこで、熱量の正確な測定を行うため、トムソン効果により発生する熱流が電流に比例することに着目し、極性を反転させた直流電流を対象物に流すことによって電流により生じるジュール熱の効果を相殺させる上記DC反転法が採用されている。
なお、以下の特許文献1には、熱電能Sの上記定義(ΔV/ΔT)に基づいて熱電能を算出する熱電材料評価装置及び熱電特性評価方法が開示されている。
また、以下の非特許文献1では熱伝導方程式に基づき直流法によりトムソン係数導出式(ネットレトン(Nettlteton)の式)が導かれ、非特許文献2では上記ネットレトンの式を用いて鉛金属のトムソン係数からゼーベック係数が初めて実測されている。
また、非特許文献3では電流注入法により銅金属のトムソン係数からゼーベック係数が初めて実測され、非特許文献4では電流注入法により白金金属のトムソン係数からゼーベック係数が900Kから1600Kの範囲で初めて実測されている。
また、非特許文献5及び6には、交流法を採用した熱電能測定装置が記載されているが、いずれも熱電能を相対的に測定する方法に関する内容となっている。
特開2011−185697号公報
H.R.Nettleton,"OnthemeasurementoftheThomsoneffectinwires",Proc.Phys.Soc.London(1916) R.B.Robert,"Theabsolutescaleofthermoelectricity",PhilosophicalMagazine,vol.36,no.1,pp.91-107(1977) R.B.Robert,"Theabsolutescaleofthermoelectricity",PhilosophicalMagazinePartB,vol.43,no6,pp.1125-1135(1981) R.B.Robertetal.,"TheabsolutescaleofthermoelectricityIII",PhilosophicalMagazinePartB,vol.52,no6,pp.1147-1163(1985) 中村高士、田巻明、青野朋義、「交流法熱電能測定装置の試作」、応用物理学会学術講演会講演予稿集、JST資料番号Y0055A、vol.52、no.1、p.41(1991.10) 田巻明、青野朋義、「AC法熱電能測定装置の試作と希土類化合物の熱電能の研究」、東京電機大学総合研究所年報、JST資料番号L0877A、no.10、p.167-172(1991.5)
上記式(1)を構成する物理量はいずれも測定可能なものであるが、測定対象金属の熱伝導率κや長さLについては正確な測定が困難であるという問題があった。また、この問題を解決するため、測定対象金属の所定部分の温度を一定に保つように流す電流の大きさを制御する電流注入法も考案されたが、非平衡法の一種であるために複雑な平衡操作が要求されることから、高い技能が必要となるという問題があった。
このことから、多くの研究は相対的な熱電能を対象とし、絶対熱電能については十分な検証が行われてこなかった。そして実際に、上記非特許文献2の著者らにより、1970年以前に得た過去のデータと改めて測定したデータとの間の不一致も報告され、絶対熱電能の評価法は未だ十分に確立していないという問題がある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、簡便に精度の高い絶対熱電能や熱伝導率を得ることのできる熱物性測定方法及び熱物性測定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、温度勾配を与えた導体若しくは半導体に交流電圧又は交流電流を印加して導体若しくは半導体の第一の温度変化を測定し、導体若しくは半導体に極性の異なる直流電圧又は直流電流を印加して導体若しくは半導体の第二の温度変化を測定し、測定された第一及び第二の温度変化を用いて導体若しくは半導体の絶対熱電能又は熱伝導率の少なくとも一方を算出するという手段を提供する。
本発明によれば、簡便に精度の高い絶対熱電能や熱伝導率を得ることができる。
本発明の実施の形態に係る熱物性測定装置50の構成を示すブロック図である。 図1に示された測定部55の構成を示す図である。 図1に示された熱物性測定装置50を用いて実現される熱物性測定方法を説明するためのフローチャートである。 直流電圧を印加したときの金属試料4の温度分布を示すグラフである。 交流電圧を印加したときの金属試料4の温度分布を示すグラフである。
最初に、本発明の実施の形態に係る熱物性測定方法を実施する際に利用されるトムソン係数について説明する。
本トムソン係数は、直流(DC)反転法に交流電圧の印加を組み合わせた交流直流(AC-DC)法を利用することを前提とすると、以下のように導出できる。
直流電圧を印加する場合と同様の熱的な境界条件を満たす測定対象金属(金属細線)に交流電圧VACを印加して、金属細線に交流電流I(ω)が流れた場合、金属細線の定常状態での温度分布Tは、式(3)の熱伝導方程式で表される。
Figure 0006202580
なお、上式において、xは金属細線の一端を原点とする1次元座標(長さ[m])、μはトムソン係数[μV/K]、I(ω)は金属細線に流れる電流[A]、ρは金属細線の電気抵抗率[Ω/m]、sは金属細線の熱容量[J/gK]、dは金属細線の質量密度[kg/m3]、tは時間[s]を意味する。
このとき、直流の場合と異なり、時間的に変動する正弦波の交流電圧VACが印加されるため、温度は時間と場所の関数となることから、偏微分方程式を解かなくてはならない。この熱伝導方程式は係数に変数を含むため一般に解くことは容易でないが、周波数が十分高い場合には厳密解を比較的容易に求めることができる。
すなわち、トムソン効果による吸熱及び発熱の効果は正弦波電流に比例することから、十分周波数が高い条件(ω>>κ/sdL2)では、トムソン効果による発熱と吸熱の寄与は打ち消される。周波数領域における数値的シミュレーションによれば、金属細線の大きさにもよるが、1Hz以上であれば十分な相殺効果が得られる。さらに、熱的平均化が十分になるため、ジュール効果による発熱も時間に対して一定と見なせる。この周波数極限では、式(3)は次式(4)のように簡素化される。
Figure 0006202580
そして、この微分方程式を満たす解を求めると、次式(5)が得られる。
Figure 0006202580
なお、上式において温度TACは金属細線に交流電圧VACを印加した時の金属細線の中心部分の温度[K]を意味し、Dはジュール項に関する係数を意味する。
式(5)においては、第1項がジュール発熱による温度上昇、第2項が金属細線に与えられている温度勾配による金属細線中央部の初期温度に相当する。すなわち、印加する交流電圧の周波数が十分高い条件のもとでは、トムソン効果が相殺され、初期に与えられた温度勾配にジュール効果が重畳しただけの温度分布となっている。ここで、交流電圧を印加した時の温度変化ΔTACを次式(6)のように定義する。
Figure 0006202580
なお、後述するように、この量は、初期温度(T1+T2)/2を予め熱電対などで測定しておけば、電流を印加した際の温度からその温度を引くことにより実験的に得ることができる。
これより温度変化δT、すなわち上記のように、極性を反転させた直流電流を金属細線に流したときの金属細線の中点における温度変化の半分[K]は、次式(7)のように表すことができる。
Figure 0006202580
ここで、式(7)の分母は、金属細線の電気抵抗R(=2ρL/a)と電流Iとの積であるから、金属細線に印加する直流電圧VDCに相当する。すなわち、トムソン効果によって生じる温度差は、初期に与えた温度勾配に加えてジュール効果による温度勾配にも比例することを表している。また、金属細線の抵抗が大きい程、温度変化は小さくなることを表している。
なお、AC-DC法では直流電圧VDCと実効値の等しい交流電圧VACを用いていることから、上記直流電圧VDCは交流電圧VACと表記しても良いので、ここでは後者で表記する。
これより、式(7)に交流電圧VAC及び交流電圧VACを印加した時の金属細線の温度変化ΔTACを代入して、同式を右辺のトムソン係数μについて解くと、以下のようなトムソン係数の算出式を得ることができる。
Figure 0006202580
上記の式(8)をネットレトン(Nettleton)の導出した式(1)と比較すると、トムソン係数μを求めるには交流電圧VACと交流電圧VACを印加した時の金属細線の温度上昇ΔTACの値が必要とされるが、正確な測定が困難な金属細線の幾何形状や熱伝導率の情報は必要とならないため、トムソン係数μを求めることが原理的に可能なことが分かる。
以下においては、このように導出された式(8)を利用してトムソン係数を得るための熱物性測定装置及び熱物性測定方法について詳しく説明する。なお、本明細書中における同一符号は、同一又は相等部分を示す。
図1は、本発明の実施の形態に係る熱物性測定装置50の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、熱物性測定装置50は、ユーザインタフェース51と、記憶部53と、演算部54と、測定部55と、これらを互いに接続するバス52とを含む。
ここで、ユーザインタフェース51は、ユーザの熱物性測定装置50に対する動作命令を受け付けると共に、生成されたデータをユーザが目視により認識できるよう表示する機能を有する。また、記憶部53は、演算部54が実行するプログラムを格納すると共に、バス52を介して供給されたデータを記憶する。また、演算部54は、記憶部53に予め格納されたプログラムを実行することにより、供給されたデータを対象として所定の演算を行う。そして、測定部55は、後に詳しく説明するように、金属細線(以下、「金属試料」という。)等が有する熱電特性を測定する。
図2は、図1に示された測定部55の構成を示す図である。図2に示されるように、測定部55はチャンバ1と、金属ブロック2,3と、熱電対5,61,62と、加熱用ヒータ63,64と、温度コントローラ65と、電圧印加部100とを含み、電圧印加部100は正極性直流電源6と、負極性直流電源7と、交流電源8と、スイッチ9とを含む。ここで、交流電源8としては、例えば実効値が容易に計算できる量子化交流電圧発生器が用いられるが、他の交流電源であってもよい。
また、図2に示されるように、金属ブロック2の温度を測定するための熱電対61と金属ブロック3の温度を測定するための熱電対62の測定点はそれぞれ、金属試料4と金属ブロック2,3とが接続される部分に配置される。そして、温度コントローラ65は、熱電対61,62で測定された温度に応じたヒータ制御信号を加熱用ヒータ63,64へ供給することによって、金属ブロック2,3の温度がそれぞれ温度T1,T2となるような熱量を供給するよう加熱用ヒータ63,64を制御する。
そして、かかる構成を有する測定部55に、測定対象として例えば金属試料4が設置される。
ここで、測定部55は、熱解析における熱的境界条件を十分に満足できるように設計されている。具体的には、チャンバ1内は熱の対流伝達を抑制するために真空とされ、金属試料4の両端には上記のように、当該金属試料4に温度勾配を与えるために温度T1,T2の金属ブロック2,3が接続される。これらの金属ブロック2,3は熱浴としての機能を有するが、熱電対61,62で温度をモニタリングしつつペルチェ素子等を用いることにより、精度のよい温度制御を実現することができる。
なお、金属試料4に温度勾配を与える方法としては、雰囲気制御を可能とする管状炉を用いる他、安定なヒータを利用すること等も考えられる。
また、金属試料4の中央部には、トムソン効果による吸熱及び発熱、さらに交流電圧を印加した場合のジュール効果による発熱を測定するために熱電対5が取り付けられる。このとき、熱電対5からの熱の流出を低減するため、熱コンダクタンスの十分小さな100μm以下の熱電対が取り付けられ、熱電対5からの出力電圧はナノボルト直流電圧計によって測定される。なお、900K以上の高温領域では、放射温度計を用いることにより温度を測定することも考えられる。
また、金属試料4の両端間には、極性の異なる直流電圧及びそれと実効値が等しい交流電圧を発生することが可能な直流・交流電圧発生器100が接続される。ここで、交流電源8により発生される交流の波形は周期的であればよく、例えば正弦波や矩形波等が考えられる。このとき、最適な周波数は金属試料4の熱的な時定数と深く関連しており、金属試料4の大きさや材質等に応じて異なるため、実験をした上で決定する必要がある。
さらに、直流・交流電圧発生器100の基準電圧の経時変化(ドリフト)に起因する誤差の発生を抑制するため、スイッチ9は制御信号Ctにより交流電源8、正極性直流電源6、負極性直流電源7、交流電源8の順番に導通(オン)させるが、この動作については後に詳しく説明する。
図3は、図1に示された熱物性測定装置50により実現される熱電能測定方法を説明するためのフローチャートである。以下において、当該熱電能測定方法を図3を用いて詳しく説明する。
まずステップS1において、金属試料4の両端に温度T1と温度T2の金属ブロック2,3を設置する。
次に、ステップS2において金属試料4の中央部に熱電対5を取り付け、ステップS3においてチャンバ1内を真空にする。
次に、ステップS4において金属試料4の両端に交流電圧VACを印加して、金属試料4の中央部の温度TAC1を熱電対5で測定する。
次に、ステップS5において金属試料4の両端に正極性の直流電圧V+DCを印加して、金属試料4の中央部の温度T+DCを熱電対5で測定する。
次に、ステップS6において金属試料4の両端に負極性の直流電圧V-DCを印加して、金属試料4の中央部の温度T-DCを熱電対5で測定する。
図4は、直流電圧を印加したときの金属試料4の温度分布を示すグラフである。ここで、横軸は金属試料4の一端からの距離(位置)、縦軸は温度を示す。上記のように、長さ2Lの金属試料4の両端には温度T1と温度T2の金属ブロック2,3が設置されるため、グラフ40に示されるように、金属試料4は初期状態において温度T1,T2間で一端からの距離に定比例した温度勾配を有する。このことから、金属試料4の中点(位置L)における初期温度TSは(T1+T2)/2であることが分かる。
そして、上記のようにステップS5において金属試料4の両端に正極性の直流電圧V+DCを印加したときの金属試料4の温度分布はグラフ30で示され、ステップS6において金属試料4の両端に負極性の直流電圧V-DCを印加したときの金属試料4の温度分布はグラフ20で示される。このとき、電流によるジュール熱の効果がないときの金属試料4の温度分布は、上記のように極性の反転した電流を流すことにより該効果が相殺されることから、グラフ20とグラフ30の中間に位置するグラフ10で示される。これより、金属試料4に直流電圧を印加した場合において、電流による効果を捨象したときの中点における温度TDCは(T+DC+T-DC)/2と評価することができる。ここで、図1に示された演算部54は、温度T+DCと温度T-DCとの差の1/2を計算することにより、上記温度変化δTを算出する。
次に、ステップS7において金属試料4の両端に再度交流電圧VACを印加して、金属試料4の中央部の温度TAC2を熱電対5で測定する。
そして、ステップS8において、演算部54は、温度(TAC1+TAC2)/2と初期温度TSの差を取ることにより上記温度変化ΔTACを算出する。
ここで、図5は、交流電圧VACを印加したときの金属試料4の温度分布を示すグラフ11を示す。なお、図5は図4と同様に、横軸は金属試料4の一端からの距離(位置)、縦軸は温度を示し、金属試料4の初期状態における温度勾配がグラフ40で示される。
グラフ11は、ステップS4及びステップS7において交流電圧VACが印加されたときの金属試料4の温度分布の平均値を示し、図5に示されるように、上記温度変化ΔTACは金属試料4の中点におけるグラフ11とグラフ40の差として表される。
次に、ステップS9において、演算部54は、記憶部53に予め格納されたプログラムを実行することにより、得られた温度変化δT及び温度変化ΔTACを用いて上式(8)によりトムソン係数を算出し、算出されたトムソン係数を用いて上式(2)により金属試料4の絶対熱電能を算出する。
次に、ステップS10において、演算部54は、ステップS9で算出されたトムソン係数を用いて以下のように熱伝導率を算出する。
上記式(1)を熱伝導率κについて解くと以下の式(9)が得られる。
Figure 0006202580
このことから、式(9)の右辺にステップS9で得られたトムソン係数を代入することにより、金属試料4の熱伝導率を算出することができる。
ここで一般的には、熱伝導率を算出するためには加えた熱量の値が必要であるが、かかる熱量を正確に測定することは難しいため、精度の高い値を得ることは容易でないという問題がある。これに対し、上記方法は、測定試料の中央部(中点)における温度変化等といった容易に測定できる物理量だけを用いて熱伝導率を算出することができるため、精度の高い熱伝導率を簡便に得ることができる。
なお、上記のように算出された絶対熱電能や熱伝導率の値は記憶部53に記憶され、ユーザインタフェース51は、熱物性測定装置50のユーザにより入力された所定の動作命令に応じて、当該値をユーザが目視により認識できるよう表示する。
また、上記熱電能測定方法は、測定対象が金属である場合のほか、半導体又は半金属であっても同様な作用効果を得ることができる。
以上より、本発明の実施の形態に係る熱電能測定方法及び熱物性測定装置によれば、簡易な手段により精度よくトムソン係数μを求めることができるため、精度の高い絶対熱電能や熱伝導率の値を簡便に得ることができる。
そして、このように精度の高い絶対熱電能や熱伝導率の値を得ることによって、既存の熱物性測定装置の精度や信頼性を向上させることができると共に、新たな材料の熱電能や熱伝導率の値を算出することによって、従来よりも測定可能な温度範囲が広い熱物性測定装置を実現することができるなど、既存の熱物性測定装置を高機能化させることができる。
2,3 金属ブロック
4 金属細線(金属試料)
5,61,62 熱電対
6 正極性直流電源
7 負極性直流電源
8 交流電源
9 スイッチ
50 熱物性測定装置
54 演算部
55 測定部
63,64 加熱用ヒータ
65 温度コントローラ
100 直流・交流電圧発生器

Claims (15)

  1. 金属の絶対熱電能又は熱伝導率を求めるために、前記金属の試料の第1点と第2点との間に温度勾配を与えて、前記金属の熱物性を測定する方法であって、
    前記試料、所定の周波数ωを有する交流電圧又は交流電流を印加して、前記第1点と第2点との間の中央部における第一の温度変化を測定する第一のステップと、
    前記試料に極性が相異なる第一及び第二の直流電圧又は直流電流を印加して、前記中央部における第二及び第三の温度変化を測定し、前記第二及び第三の温度変化の差を算出する第二のステップと、
    前記第一の温度変化と、前記第二及び第三の温度変化の差とに基づいて前記金属の絶対熱電能又は熱伝導率の少なくとも一方を算出する第三のステップとを有し、
    前記所定の周波数ωは、トムソン効果による吸熱及び発熱の寄与を打ち消すことができる周波数であることを特徴とする熱物性測定方法。
  2. 前記所定の周波数ωは、ω>>κ/sdL (κは前記金属の熱伝導率、sは前記金属の熱容量、dは前記金属の質量密度、Lは前記第1点又は前記第2点から前記中央部までの長さである。)である、請求項1に記載の熱物性測定方法。
  3. 前記第一のステップで印加する交流電圧は、前記直流電圧と同じ大きさの実効値を持つ、請求項1又は2に記載の熱物性測定方法。
  4. 前記第二のステップは、
    前記第一の直流電圧として前記試料に正極性の直流電圧を印加して、前記中央部における前記第二の温度変化を測定する正電圧印加ステップと、
    前記第二の直流電圧として前記試料に負極性の直流電圧を印加して、前記中央部における前記第三の温度変化を測定する負電圧印加ステップと、
    前記正電圧印加ステップで測定された前記第二の温度変化と前記負電圧印加ステップで測定された前記第三の温度変化との差を算出する温度変化算出ステップ、とを含む請求項1に記載の熱物性測定方法。
  5. 前記第二のステップは、前記第一のステップの次に実行され、
    前記第二のステップの次に、さらに前記金属に交流電圧を印加して、前記金属の温度変化を測定する第四のステップと、
    前記第一及び第四のステップで測定された前記温度変化の平均値を算出して前記第一の温度変化とする第五のステップとをさらに有する請求項1に記載の熱物性測定方法。
  6. 前記第三のステップは、
    前記金属のトムソン係数を算出するトムソン係数算出ステップと、
    前記トムソン係数算出ステップにおいて算出された前記トムソン係数を用いて前記金属の絶対熱電能又は熱伝導率の少なくとも一方を算出する熱物性算出ステップとを含む、請求項1から5のいずれかに記載の熱物性測定方法。
  7. 温度勾配を与えた金属の試料の第1点と第2点との間正極性若しくは負極性の直流電圧又は交流電圧を選択的に印加する電圧印加手段と、
    前記電圧印加手段により、所定の周波数ωを有する前記交流電圧を印加したときにおける前記試料の中央部の第一の温度変化と、前記正極性若しくは負極性の直流電圧を印加したときにおける前記試料の中央部の第二若しくは第三の温度変化とを測定する温度測定手段と、
    前記第一の温度変化と、前記第二及び第三の温度変化の差とに基づいて前記金属の絶対熱電能又は熱伝導率の少なくとも一方を算出する熱物性算出手段とを備え
    前記所定の周波数ωは、トムソン効果による吸熱及び発熱の寄与を打ち消すことができる周波数であることを特徴とする熱物性測定装置。
  8. 前記所定の周波数ωは、ω>>κ/sdL (κは前記金属の熱伝導率、sは前記金属の熱容量、dは前記金属の質量密度、Lは前記第1点又は前記第2点から前記中央部までの長さである。)である、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  9. 前記電圧印加手段は、前記交流電圧を生成する量子化交流電圧発生器を含む、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  10. 前記熱電能算出手段は、
    前記正極性の直流電圧を印加した時に前記温度測定手段により測定された前記金属の温度と、前記負極性の直流電圧を印加した時に前記温度測定手段により測定された前記温度との差を算出して前記第二の温度変化とする、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  11. 前記電圧印加手段は、前記交流電圧として正弦波交流電圧を前記金属に印加する、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  12. 前記電圧印加手段は、前記交流電圧として矩形波交流電圧を前記金属に印加する、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  13. 前記温度測定手段は、熱電対又は放射温度計からなる、請求項7に記載の熱物性測定装置。
  14. 前記金属の両端に接続された二つの金属ブロックと、
    前記二つの金属ブロックを異なる温度に設定する温度設定手段とをさらに備えた請求項7に記載の熱物性測定装置。
  15. 前記金属ブロックの温度を前記金属との接続部分で測定する熱電対をさらに備え、
    前記温度設定手段は、前記熱電対で測定された温度に応じて前記金属ブロックの温度を設定する、請求項14に記載の熱物性測定装置。
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