JP6202193B2 - ローリング加工装置及びローリング加工方法 - Google Patents

ローリング加工装置及びローリング加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、ローリング加工装置及びローリング加工方法に関し、例えば、転がり軸受等の内輪や外輪に適用される環状部材を得るためのローリング加工装置及びそれを用いたローリング加工方法に関する。
従来より、転がり軸受等の内輪や外輪に適用される環状部材は、例えば、円環状のワークをローリング(圧下)加工して得られる。このようなローリング加工については、特許文献1に開示された方法が挙げられる。従来のローリング加工は、図16に示すように、サポートロール101、成形ロール102、及びマンドレル103で構成されたローリング加工装置100が用いられる。そして、ワーク104の内周面をマンドレル103の外周面に当接させ、ワーク104の外周面を成形ロール102の内周面に当接させるようにワーク104を設置する。その後、成形ロール102の回転軸をマンドレル103の回転軸に近づかせながら成形ロール102及びマンドレル103を回転させてワーク104を圧下して環状部材に成形する。
また、このようなローリング加工装置においては、曲げモーメントを相殺し、マンドレル103の折損を防止する技術が特許文献2に開示されている。特許文献2では、曲げモーメントを相殺するのに、機械的な構造で対処している。
しかし、特許文献1及び特許文献2に開示された技術は、いずれも1回のローリング加工で1つのワークから1つの環状部材を成形する技術であるため、作業効率に改善の余地があった。
そこで、環状部材を成形する生産性をより高めるために、特許文献3には、テーパーベアリング用の2つのワークを1回で冷間ローリングする技術が開示されている。
特開昭62−176627号公報 特開昭56−111533号公報 特開2006−320927号公報
しかしながら、特許文献3に開示された技術は、複数のワークを同時にローリング成形する態様であるものの、用途はテーパーベアリングに限られてしまう。また、特許文献3に開示された技術は、3つ以上のワークを同時にローリング成形する態様に適していなかった。
ここで、3個以上のワークを同時にローリング成形すると、図17に示すように、成形の荷重も3個分(約3倍)になってしまい、支点間距離Dが大きくなってしまう。その結果、マンドレル103が折損しやすくなる可能性が高くなる。これは、マンドレル103に対して、同じ向きに3個分(約3倍)の成形力がかかり、マンドレル103にかかる曲げが大きくなってしまうということが原因である。
本発明は、上記従来の技術に鑑みてなされたものであって、マンドレルを折損させる可能性を低減して3つ以上のワークを同時にローリング成形して環状部材を得ることができるローリング加工装置及びローリング加工方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するためのローリング加工装置のある態様は、円筒部材の外周面に当接する成形ロール及びサポートロールと、上記円筒部材の内周面に外周面が当接するマンドレルとのそれぞれの回転軸間とを互いに接近可能とされたローリング加工装置において、
上記マンドレルの外周面には、3つ以上の上記円筒部材が上記マンドレルの径方向に互い違いに設置され、
上記成形ロール及び上記サポートロールには円盤状の突出部が、上記円筒部材の数に応じて複数設けられ、
上記成形ロール及び上記サポートロールの上記突出部の少なくとも何れか一方の外周面を、対向する上記円筒部材の外周面に押圧する。
ここで、上記ローリング加工装置においては、上記マンドレルの外周面には、上記マンドレルの軸方向に沿って縮径され、3つ以上の上記円筒部材の内周面を上記マンドレルの径方向に互い違いに当接させる第1係合溝が設けられてもよい。
また、上記ローリング加工装置においては、上記成形ロール及び上記サポートロールの少なくとも何れか一方の外周面には、第1係合溝に対応して、上記円筒部材の外周面及び軸方向の端面に係合する第2係合溝が設けられてもよい。
また、上記ローリング加工装置においては、第1係合溝が、上記円筒部材の数に応じて複数設けられてもよい。すなわち、複数の第1係合溝が上記円筒部材毎に軸方向に独立して設けられ、上記円筒部材が当接する面が互いに軸方向に連続していない。
また、上記ローリング加工装置においては、軸方向に対向する上記成形ロール及び上記サポートロールに対して回転自在に設けられ、上記円筒部材の軸方向の両端部に対して付勢する1対の回転体が上記成形ロール及び上記サポートロールの少なくとも何れか一方に設けられてもよい。
また、上記課題を解決するためのローリング加工方法のある態様は、円筒部材の外周面に当接する円盤状の突出部をそれぞれ備えた成形ロール及びサポートロールと、前記円筒部材の内周面に外周面が当接するマンドレルとのそれぞれの回転軸間とを互いに接近可能とされたローリング加工装置に前記円筒部材を設置する設置工程と、前記円筒部材を前記成形ロール及び前記マンドレルによって拡径するローリング成形を行って環状部材を得るローリング成形工程とを含むローリング加工方法において、
上記設置工程は、上記マンドレルの外周面に設けられた第1係合溝に対して、3つ以上の円筒部材を、上記マンドレルの径方向に互い違いにそれらの内周面を当接させると共に、上記成形ロール及び上記サポートロールの上記突出部の少なくとも何れか一方の外周面に、対向する上記円筒部材の外周面を当接させて上記マンドレルの軸方向に設置する工程である。
ここで、上記ローリング加工方法においては、第1係合溝が、上記円筒部材の数に応じて複数設けられてもよい。
また、上記ローリング加工方法においては、軸方向に対向する上記成形ロール及び上記サポートロールに対して回転自在に設けられ、上記円筒部材の軸方向の両端部に対して付勢する1対の回転体が上記成形ロール及び上記サポートロールの少なくとも何れか一方に設けられてもよい。
本発明の一態様によれば、マンドレルを折損させる可能性を低減して3つ以上のワークを同時にローリング成形して環状部材を得ることができるローリング加工装置及びローリング加工方法を提供することができる。
ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態においてワークを設置した状態(設置工程)を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態においてワークの片側のローリング成形が終了したときの状態(ローリング工程)を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態の他の態様においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態の他の態様においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図であり、(a)はワークの数を2つとした場合、(b)はワークの数を4つとした場合である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態においてワークを設置した状態(設置工程)を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態においてワークの片側のローリング成形が終了したときの状態(ローリング工程)を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態の他の態様においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態の他の態様においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図であり、(a)はワークの数を2つとした場合、(b)はワークの数を4つとした場合である。 (a)はローリング加工装置及びローリング加工方法の第3実施形態においてワークを設置した状態(設置工程)を示す断面図であり、(b)は要部拡大図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第3実施形態の他の態様においてワークを設置した状態(設置工程)を示す断面図であり、(a)はワークの数を2つとした場合、(b)はワークの数を4つとした場合である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第4実施形態においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図である。 図13の要部拡大図である。 ローリング加工装置及びローリング加工方法の第4実施形態の他の態様においてワークへのローリング成形が終了したときの状態を示す断面図であり、(a)はワークの数を2つとした場合、(b)はワークの数を4つとした場合である。 従来のローリング加工装置においてワークをローリング加工したときの態様を示す断面図である。 従来のローリング加工装置において3つ以上のワークをローリング加工したときの態様を示す断面図である。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施態様が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
以下、本発明に係るローリング加工装置及びローリング加工方法の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第1実施形態においてワークをセットした状態を示す断面図である。
<ローリング加工装置>
図1に示すように、本実施形態のローリング加工装置1は、成形ロール10と、サポートロール20と、マンドレル30とを有する。成形ロール10、サポートロール20、及びマンドレル30は、それぞれ、互いに平行に設置された回転軸11,21,31を有し、これら回転軸11,21,31を軸として回転可能に設置されている。
[成形ロール]
成形ロール10には、回転軸11に、円盤形状の突出部12(12A,12B,12C)が軸方向に所定の間隔を有して複数設けられている。この所定の間隔とは、ローリング成形する対象の円筒部材(ワーク)4の加工完了時における軸方向の厚さ寸法とほぼ同じ寸法であることが好ましい。すなわち、これら突出部12A,12B,12Cの間隔を上記のように設定した本実施形態のローリング加工装置は、ローリング工程においてワーク4が軸方向に拡がらないように制限する機能をも有する。なお、これら突出部12A,12B,12Cのうち、突出部12Bは、ワーク4の外周面4bに当接する。したがって、突出部12Bは、ワーク4を介してマンドレル30の外周面を押圧する。成形ロール10は、その突出部12Bがワーク4を介してマンドレル30と当接し、マンドレル30と共に回転可能に設置される。突出部12は回転軸11と一体に形成されていることが望ましいが、突出部12を別体としてねじ止め、溶接または接着等の方法により回転軸11に固定してもよい。一体成形であれば強度や剛性の高い成形ロール10となるが、大径の円柱状素材から切削加工もしくは鍛造によって製造するため、製造コストが高くなる可能性がある。それに対して突出部12を別体として回転軸11と溶接により接合する構成であれば、一体成形よりも強度や剛性は若干下がるが、材料コストや加工コストを低滅させることができる。またねじ止めであれば使用中に成形ロール10の一部が破損した場合でも、破損部分のみを交換することで使用を続けることができ、さらには回転軸11に対して様々な大きさの突出部12を組み付けることもできるので多品種に対応することが可能となり、環状部材の製造コストを下げることができる。
[マンドレル]
マンドレル30は、ワーク4の内径よりも小さい外径をなす円柱形状の本体部30Aを有する。なお、図1では、マンドレル30の回転軸31が本体部30Aを兼ねている。
マンドレル30は、後述するように、本体部30Aに3つ以上のワーク4の内周面4aがマンドレル30の径方向に互い違いに当接されて、それらのワーク4を介して成形ロール10と共に回転可能とされる。
[サポートロール]
サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B)が軸方向に所定の間隔を有して複数設けられている。この所定の間隔とは、ローリング成形する対象の円筒部材(ワーク)4の加工完了時における軸方向の厚さ寸法とほぼ同じ寸法であることが好ましい。これら突出部22A,22Bはいずれも、ワーク4の外周面4bに当接しつつ、回転軸21と共に回転可能に設置される。突出部22は回転軸21と一体に形成されていることが望ましいが、突出部22を別体としてねじ止め、溶接または接着等の方法により回転軸21に固定してもよい。一体成形もしくは別体とした場合のそれぞれの効果は成形ロール10におけるものと同様である。成形ロール10とサポートロール20は必要に応じて、それぞれの突出部12,22を一体成形としても良く、別体としても良い。
ここで、複数の突出部12及び複数の突出部22は、ワーク4の数に応じて複数設けられる。例えば、ワーク4の数をn個、突出部12の数をm個、突出部22の数をk個とすると、n+2=m+kを満たすように突出部12及び突出部22が設けられる。
このように構成されたサポートロール20の突出部22A,22Bは、ワーク4を介してマンドレル30の外周面に当接して、マンドレル30と共に回転可能に設置される。
<ローリング加工方法>
次に、上述したローリング加工装置1を用いたローリング加工方法の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
ローリング加工装置1は、成形ロール10及びサポートロール20がいずれか一方の位置が固定され、他方が固有の駆動源を有して能動的に並進運動が可能とされる。そして、マンドレル30はワーク4の変形に伴って受動的に並進及び回転可能に設置されている。なお、成形ロール10及びサポートロール20はそれぞれ能動的に回転させるための図示しない駆動源を有している。
本実施形態では、サポートロール20の回転軸21の位置が固定され、成形ロール10の回転軸11が上記駆動源によって並進運動が可能なように設置され、マンドレル30はワーク4の変形に伴って受動的に回転し、かつマンドレル30の回転軸31はワーク4の変形に伴って受動的に並進可能に設置されているものとして説明する。このような構成により、位置制御するのが成形ロール10のみで済むため、ローリング加工装置1の構成がシンプルになる。なお、他の態様として、マンドレル30を固定して、成形ロール10及びサポートロール20がマンドレル30に向かって並進移動する態様を採用してもよい。
このような態様においては、成形ロール10及びサポートロール20をそれぞれ独立して駆動させてもよく、どちらか一方を回転させる制御を行い、他のロール及びマンドレルを従属的に回転させる態様としてもよい。
本実施形態のローリング加工方法は、少なくとも設置工程と、ローリング工程とを含み、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。本実施形態は、この設置工程に特別な技術的特徴を有する。
<設置工程>
上記設置工程は、図1に示すように、マンドレル30に挿通された複数のワーク4の外周面4bに成形ロール10の突出部12及びサポートロール20の突出部22のそれぞれの端面が当接するように複数(例えば3つ)のワーク4を設置する工程である。
ここで、本実施形態の設置工程は、マンドレル30の本体部30Aに対して、複数(例えば3つ)のワーク4の内周面4aをマンドレル30の径方向に互い違いになるように、ワーク4の外周面4bが突出部12及び突出部22の外周面に当接するように設置する工程である。
このとき、図1に示すように、突出部22Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、突出部22Aの軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の一方の端面に当接するようにワーク4A及びワーク4Bが設置される。また、図1に示すように、突出部22Bの外周面がワーク4Cの外周面4bと、突出部22の軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の他方の端面に当接するようにワーク4B及びワーク4Cが設置される。すなわち、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
一方、成形ロール10は、成形ロール10の突出部12Aの一方の端面が、ワーク4Aの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接してワーク4Aの一方(上)の向きへの動きを制限するように設置される。また、突出部12Bは、その外周面がワーク4Bの外周面4に、その一方の端面がワーク4Aの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に、その他方の端面がワーク4Cの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接するよう設置される。これによりワーク4Aの他方(下)の向きへの動き、及びワーク4Cの一方(上)の向きへの動きが制限される。同様に、突出部12Cは、ワーク4Cの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に当接してワーク4Cの他方(下)の向きへの動きを制限するように設置される。
<ローリング工程>
上記ローリング工程は、内周面4aがマンドレル30の本体部30Aの外周面30aに互い違いに当接されたワーク4A,4B,4Cを、成形ロール10の移動によって拡径するローリング成形を行って環状部材2を得る工程である。
具体的には、図示しない駆動源によって、成形ロール10の突出部12A,12B,12Cを回転させながら、マンドレル30の回転軸31と成形ロール10の回転軸11との距離を縮める方向に上記駆動源によって成形ロール10を移動させる。これによってワーク4Bは成形ロール10の突出部12Bとマンドレル30の外周面30aとに狭持され、ワーク4Bは圧下される。
ワーク4Bの圧下が完了すると成形ロール10の突出部12A,12Cがマンドレル30の外周面30aに当接する。その後、図2に示すようにさらに成形ロール10を並進運動させて成形ロール10の突出部12A,12Cがマンドレル30を押圧することによって、マンドレル30は受動的に回転と並進運動を行い、そのマンドレル30の外周面30aとサポートロール20の突出部22A,22Bとに挟持されたワーク4A,4Cが圧下されていく。
本実施形態においては、成形ロール10からの圧下力Fは、成形ロール10→ワーク4B→マンドレル30→ワーク4A,4C→サポートロール20の経路で伝わる。すなわち、ワーク4Bには圧下力Fが加わり、ワーク4A,4Cには、それぞれに圧下力F/2が加わる。そのため、ワーク4Bがワーク4A,4Cよりも速く変形する。その後、突出部12A,12B,12Cによる圧下を進行させ、ワーク4A,4B,4Cの径方向の厚さが所定の厚さに達したことを契機にワーク4A,4B,4Cのローリング成形が終了する(図3参照)。
このように、本実施形態においてワーク4をマンドレル30に対して径方向に互い違いに配置することによって、マンドレル30には図3に示すように交互に力が働くようになり、ワーク4を成形するとともに、マンドレル30に発生する曲げを低減させることができる。これは、一般的なローリング加工装置の構成において、サポートロール(マンドレルを押すロール)の役割を、ワークの成形が担っているということである。
また、サポートロール20の突出部22A,22Bの支点間距離Dは、ワーク4が1個だけのローリング加工の場合の支点間距離とほぼ同じである。すなわち、本実施形態における複数のワーク4の配置によって、1個のワーク4をローリング成形する場合とほぼ同等の力がマンドレル30にかかることになることになるので、マンドレル30の折損を防ぎ、より多くのワーク4を同時にローリング成形することができる。
ここで、本実施形態の他の態様として、図4に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を増やすことも可能であり、例えば、図4に示すように5個のワーク4を同時にローリング成形することも可能である。さらに多くのワーク4を同時に成形しても、図4に示すように、互い違いに配置されたワーク4に対して圧下するため、マンドレル30にかかる曲げを抑制することができる。その結果として、マンドレル30の折損の心配なく、より多くのワーク4を同時にローリング成形することができる。
また、従来のローリング加工装置では、マンドレルの支持を突出部にさせようとすると、幅方向にかなりのスペースが必要になるが、本実施形態のようにワークの成形力でマンドレルを支持するようにすれば、多数個を同時にローリング成形する反面、とてもコンパクトなローリング加工装置を提供することができる。
また、本実施形態の他の態様として、図5(a),(b)に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を奇数個ではなく偶数個にすることも可能である。例えば、図5(a)に示すように、2個のワーク4A,4Bを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、突出部22Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、突出部22Aの軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の一方の端面に当接するようにワーク4A及びワーク4Bが設置される。また、突出部22の軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の他方の端面に当接するようにワーク4Bが設置される。すなわち、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
一方、成形ロール10は、成形ロール10の突出部12Aの一方の端面が、ワーク4Aの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接してワーク4Aの一方(上)の向きへの動きを制限するように設置される。また、突出部12Bは、その外周面がワーク4Bの外周面4に、その一方の端面がワーク4Aの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に当接するよう設置される。これによりワーク4Aの他方(下)の向きへの動きが制限される。
また、図5(b)に示すように、4個のワーク4A〜4Dを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B、22C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。
そして、突出部22Aの外周面がワーク4Aの外周面4bに当接し、突出部22Bの軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の一方の端面に当接してワーク4A及びワーク4Bが設置される。また、突出部22Bの外周面がワーク4Cの外周面4bに当接し、突出部22Bの軸方向の一方の端面がワーク4Bの軸方向の他方の端面に当接してワーク4B及びワーク4Cが設置される。また、突出部22Bの外周面がワーク4Cの外周面4bに当接し、突出部22Cの軸方向の一方の端面がワーク4Dの軸方向の一方の端面に当接してワーク4C及びワーク4Dが設置される。
すなわち、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、ワーク4Dは、突出部22Bと突出部22Cとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
一方、成形ロール10は、成形ロール10の突出部12Aの軸方向の一方の端面が、ワーク4Aの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接してワーク4Aの一方(上)の向きへの動きを制限するように設置される。また、突出部12Bは、その外周面がワーク4Bの外周面4に当接し、その軸方向の一方の端面がワーク4Aの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に、その他方の端面がワーク4Cの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接するよう設置される。また、突出部12Cは、その外周面がワーク4Dの外周面4に当接し、その軸方向の一方の端面がワーク4Cの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接するよう設置される。
これによりワーク4Aの他方(下)の向きへの動き、及びワーク4Cの一方(上)の向きへの動きが制限される。同様に、突出部12Cは、ワーク4Cの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に当接してワーク4Cの他方(下)の向きへの動きを制限するように設置される。
なお、このように同時にローリング成形するワーク4が奇数個ではなく偶数個とした場合、マンドレル30を傾斜させるモーメントに耐えるようにマンドレル30の剛性や支持剛性を設定することで、マンドレル30にかかる曲げを抑制することができる。その結果として、マンドレル30の折損の心配なく、より多くのワーク4を同時にローリング成形することができる。
以上説明したように、本実施形態のローリング加工装置及びローリング加工方法によれば、マンドレルを折損させる可能性を低減して3つ以上の円筒部材を同時にローリング成形して環状部材を得ることができる。その結果、従来とほとんど同じ加工時間で複数個の円筒部材の成形ができるようになり、生産性を大幅に向上させることができる。また、本実施形態によれば、マンドレルの折損を心配することなく多数個のワークを同時にローリング成形できる。
(第2実施形態)
図6は、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第2実施形態においてワークをセットした状態を示す断面図である。
<ローリング加工装置>
図6に示すように、本実施形態のローリング加工装置1は、成形ロール10と、サポートロール20と、マンドレル30とを有する。成形ロール10、サポートロール20、及びマンドレル30は、それぞれ、互いに平行に設置された回転軸11,21,31を有し、これら回転軸11,21,31を軸として回転可能に設置されている。
[成形ロール]
成形ロール10には、回転軸11に、円盤形状の突出部12(12A,12B,12C)が軸方向に所定の間隔を有して複数設けられている。この所定の間隔とは、ローリング成形する対象の円筒部材(ワーク)4の加工完了時における軸方向の厚さ寸法とほぼ同じ寸法であることが好ましい。すなわち、これら突出部12A,12B,12Cの間隔を上記のように設定した本実施形態のローリング加工装置は、ローリング工程においてワーク4が軸方向に拡がらないように制限する機能をも有する。なお、これら突出部12A,12B,12Cのうち、突出部12Bは、ワーク4の外周面4bに当接する。したがって、突出部12Bは、ワーク4を介してマンドレル30の外周面を押圧する。成形ロール10は、その突出部12Bがワーク4を介してマンドレル30と当接し、マンドレル30と共に回転可能に設置される。
[マンドレル]
マンドレル30は、ワーク4の内径よりも小さい外径をなす円柱形状の本体部30Aと、マンドレル30の回転軸31の軸方向に沿って縮径された第1係合溝32とを有する。なお、図6では、マンドレル30の回転軸31が本体部30Aを兼ねている。
マンドレル30は、後述するように、第1係合溝32に3つ以上のワーク4の内周面4aがマンドレル30の径方向に互い違いに当接されて、それらのワーク4を介して成形ロール10と共に回転可能とされる。
[サポートロール]
サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B)が軸方向に所定の間隔を有して複数設けられている。この所定の間隔とは、ローリング成形する対象の円筒部材(ワーク)4の加工完了時における軸方向の厚さ寸法とほぼ同じ寸法であることが好ましい。これら突出部22A,22Bはいずれも、ワーク4の外周面4bに当接しつつ、回転軸21と伴に回転可能に設置される。
また、突出部22A,22Bの外周面には、第1係合溝32に対応して、ワーク4の外周面4b及び軸方向の端面に係合する第2係合溝23A,23Bがそれぞれ設けられている。
ここで、複数の突出部12及び複数の突出部22は、ワーク4の数に応じて複数設けられる。例えば、ワーク4の数をn個、突出部12の数をm個、突出部22の数をk個とすると、n+2=m+kを満たすように突出部12及び突出部22が設けられる。
このように構成されたサポートロール20の突出部22A,22Bは、ワーク4を介してマンドレル30の外周面に当接して、マンドレル30と共に回転可能に設置される。
<ローリング加工方法>
次に、上述したローリング加工装置1を用いたローリング加工方法の一実施形態について図面を参照して以下に説明する。
ローリング加工装置1は、成形ロール10及びサポートロール20がいずれか一方の位置が固定され、他方が固有の駆動源を有して能動的に並進運動が可能とされる。そして、マンドレル30はワーク4の変形に伴って受動的に回転及び並進運動が可能に設置されている。
本実施形態では、サポートロール20の回転軸21の位置が固定されており、成形ロール10の回転軸11が上記駆動源によって並進運動が可能なように設置され、マンドレル30はワーク4の変形に伴って受動的に回転及び並進運動が可能に設置されているものとして説明する。このような構成により、位置制御するのが成形ロール10のみで済むため、ローリング加工装置1の構成がシンプルになる。なお、他の態様として、マンドレル30の位置を固定して、成形ロール10及びサポートロール20がマンドレル30に向かって並進移動する態様を採用してもよい。このような態様においては、成形ロール10及びサポートロール20をそれぞれ独立して駆動させてもよく、どちらか一方を回転させる制御を行い、他のロール及びマンドレルを従属的に回転させる態様としてもよい。
本実施形態のローリング加工方法は、少なくとも設置工程と、ローリング工程とを含み、必要に応じてその他の工程を含んでもよい。本実施形態は、この設置工程に特別な技術的特徴を有する。
<設置工程>
上記設置工程は、図6に示すように、マンドレル30に挿通された複数のワーク4の外周面4bに成形ロール10の突出部12及びサポートロール20の突出部22のそれぞれの端面が当接するように複数(例えば3つ)のワーク4を設置する工程である。
ここで、本実施形態の設置工程は、マンドレル30の第1係合溝32に対して、複数(例えば3つ)のワーク4の内周面4aをマンドレル30の径方向に互い違いになるように、ワーク4の外周面4bが突出部12及び突出部22の外周面に当接するように設置する工程である。
このとき、図6に示すように、突出部22Aの外周面に第2係合溝23Aを設けた態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の一方の端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。また、図6に示すように、突出部22Bの外周面に第2係合溝23Bを設けた態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Cの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向の端面がワーク4Cの軸方向の一方の端面に係合するように、ワーク4Cが設置される。
また、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
一方、成形ロール10は、成形ロール10の突出部12Aの一方の端面が、ワーク4Aの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接してワーク4Aの一方(上)の向きへの動きを制限するように設置される。また、突出部12Bは、その外周面がワーク4Bの外周面4に、その一方の端面がワーク4Aの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に、その他方の端面がワーク4Cの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接するよう設置される。これによりワーク4Aの他方(下)の向きへの動き、及びワーク4Cの一方(上)の向きへの動きが制限される。同様に、突出部12Cは、その一方の端面がワーク4Cの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に当接してワーク4Cの他方(下)の向きへの動きを制限するように設置される。
<ローリング工程>
上記ローリング工程は、内周面4aがマンドレル30の第1係合部32の外周面30aに互い違いに当接されたワーク4A,4B,4Cを、成形ロール10の移動によって拡径するローリング成形を行って環状部材2を得る工程である。
具体的には、図示しない駆動源によって、成形ロール10の突出部12A,12B,12Cを回転させながら、マンドレル30の回転軸31と成形ロール10の回転軸11との距離を縮める方向に上記駆動源によって成形ロール10を移動させる。これによってワーク4Bは成形ロール10の突出部12Bとマンドレル30の外周面30aとに狭持され、ワーク4Bは圧下される。
ワーク4Bの圧下が完了すると成形ロール10の突出部12A,12Cがマンドレル30の外周面30aに当接する。その後、図7に示すように、さらに成形ロール10を並進運動させて成形ロール10の突出部12A,12Cがマンドレル30を押圧することによって、マンドレル30は受動的に回転と並進運動を行い、そのマンドレル30の外周面30aとサポートロール20の突出部22A,22Bとに挟持されたワーク4A,4Cが圧下されていく。
本実施形態においては、成形ロール10の突出部12Bは、その外周面でワーク4Bの外周面を直接押圧し、ワーク4Bを圧下する。このとき、成形ロール10からの圧下力Fは、成形ロール10→ワーク4B→マンドレル30→ワーク4A,4C→サポートロール20の経路で伝わる。すなわち、ワーク4Bには圧下力Fが加わり、ワーク4A,4Cには、それぞれに圧下力F/2が加わる。そのため、ワーク4Bがワーク4A,4Cよりも速く変形する。その後、突出部12A,12B,12Cによる圧下を進行させ、ワーク4A,4B,4Cの径方向の厚さが所定の厚さに達したことを契機にワーク4A,4B,4Cのローリング成形が終了する(図8参照)。
このように、本実施形態においてワーク4をマンドレル30に対して径方向に互い違いに配置することによって、マンドレル30には図8に示すように交互に力が働くようになり、ワーク4を成形するとともに、マンドレル30に発生する曲げを低減させることができる。これは、一般的なローリング加工装置の構成において、サポートロール(マンドレルを押すロール)の役割を、ワークの成形が担っているということである。
また、サポートロール20の突出部22A,22Bの支点間距離Dは、ワーク4が1個だけのローリング加工の場合の支点間距離とほぼ同じである。すなわち、本実施形態における複数のワーク4の配置によって、1個のワーク4をローリング成形する場合とほぼ同等の力がマンドレル30にかかることになることになるので、マンドレル30の折損を防ぎ、より多くのワーク4を同時にローリング成形することができる。
ここで、本実施形態の他の態様として、図9に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を増やすことも可能であり、例えば、図9に示すように5個のワーク4を同時にローリング成形することも可能である。
このとき、成形ロール10の突出部12A,12Cには、第1係合溝32に対応し、ワーク4A,4Eの外周面4b及び軸方向の一方の端面に係合する第2係合溝13A,13Cが設けられている。ここで、第2係合溝13(23)は、加工するワーク4の数によってどの突出部12(22)に設けられるかが選択される。
このように、さらに多くのワーク4を同時に成形しても、図9に示すように、互い違いに配置されたワーク4に対して圧下するため、マンドレル30にかかる曲げを抑制することができる。その結果として、マンドレル30の折損の心配なく、より多くのワーク4を同時にローリング成形することができる。
また、従来のローリング加工装置では、マンドレルの支持を突出部にさせようとすると、幅方向にかなりのスペースが必要になるが、本実施形態のようにワークの成形力でマンドレルを支持するようにすれば、多数個を同時にローリング成形する反面、とてもコンパクトなローリング加工装置を提供することができる。
また、本実施形態の他の態様として、図10(a),(b)に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を奇数個ではなく偶数個にすることも可能である。例えば、図10(a)に示すように、2個のワーク4A,4Bを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、突出部22Aの外周面に第2係合溝23Aを設けた態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の一方の端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。
また、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
一方、成形ロール10は、成形ロール10の突出部12Aの一方の端面が、ワーク4Aの軸方向の一方の端面(例えば上端面)に当接してワーク4Aの一方(上)の向きへの動きを制限するように設置される。また、突出部12Bは、その外周面がワーク4Bの外周面4に、その一方の端面がワーク4Aの軸方向の他方の端面(例えば下端面)に当接するよう設置される。これによりワーク4Aの他方(下)の向きへの動きが制限される。また、突出部12Bには、第1係合溝32に対応し、ワーク4Bの外周面4b及び軸方向の他方の端面に係合する第2係合溝13Bが設けられている。これによりワーク4Bの他方(下)の向きへの動きが制限される。
また、図10(b)に示すように、4個のワーク4A〜4Dを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B、22C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。
そして、突出部22Aには、第1係合溝32に対応し、ワーク4Aの外周面4b及び軸方向の一方の端面(例えば上端面)に係合する第2係合溝23Aが設けられている。
また、成形ロール10には、円盤形状の突出部12(12A,12B、12C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。突出部12Cの外周面には、第1係合溝32に対応し、ワーク4Dの外周面4b及び軸方向の他方の端面(例えば下端面)に係合する第2係合溝13Cが設けられている。
このような態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の一方の端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。ここで、ワーク4Aは、突出部12Aと突出部12Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、ワーク4Cは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、第2係合溝13Cの外周面がワーク4Dの外周面4bと、第2係合溝13Cの軸方向端面がワーク4Dの軸方向の他方の端面と係合するように、ワーク4Dが設置される。ここで、ワーク4Dは、突出部22Bと突出部22Cとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
ここで、偶数個のワーク4を同時にローリング成形する場合、図10(a),(b)を参照して上述した態様以外に、最大で収容可能なワークの数が奇数個のローリング加工装置を用いてワークの数を1つ減らして加工してもよい。例えば、図9を参照して上述した「ワークの数を5個としたローリング加工装置」を用いてワークの数を1つ少ない4個のワークを同時にローリング成形することも可能である。
以上説明したように、本実施形態のローリング加工装置及びローリング加工方法によれば、マンドレルを折損させる可能性を低減して3つ以上の円筒部材を同時にローリング成形して環状部材を得ることができる。その結果、従来とほとんど同じ加工時間で複数個の円筒部材の成形ができるようになり、生産性を大幅に向上させることができる。また、本実施形態によれば、マンドレルの折損を心配することなく多数個のワークを同時にローリング成形できる。
特に、本実施形態では、マンドレル30に設けられた第1係合溝32、及び成形ロール10及びサポートロール20の少なくとも何れか一方に設けられた第2係合溝13(23)によってワーク4の変形の過程でその幅が拡がることを防ぐことができる。
また、第1係合溝32及び第2係合溝13(23)が設けられることによって、上記設置工程においてワーク4をマンドレル30にセットする際の作業性が向上すると共に、ワーク4の軸方向の位置決め精度が向上する。
(第3実施形態)
次に、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、マンドレルに設けられた第1係合溝と成形ロール及びサポートロールに設けられた第2係合溝の態様が第2実施形態と異なるだけであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。図11(a),(b)は、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第3実施形態における環状部材の加工概要を示す断面図である。
図11(a),(b)に示すように、本実施形態では、第1係合溝32が、ワーク4の数に応じて複数設けられている。具体的には、ワーク4A,4B,4Cの全ての内周面4aが当接する第1係合溝32が軸方向に面一の一つの溝形状ではなく、本体部30Aに複数の縮径された第1係合溝32A,32B,32Cがそれぞれ独立して設けられている。
また、成形ロール10の突出部12Bには、第1係合溝32Bに対応し、ワーク4Bの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝13Bが設けられている。
また、サポートロール20の突出部22A,22Bには、第1係合溝32A,32Cに対応し、ワーク4A,4Cの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝23A,23Bが設けられている。
本実施形態は、ローリング条件によっては、ワーク4が拡径だけでなく、軸方向にも伸びてきてしまうことがあり、それを解決する態様である。
すなわち、本実施形態のように第2係合溝12B,23A,23Bが設けられることにより、ワーク4の軸方向への伸びを抑制することができる。したがって、支点間距離Dも小さいまま、より高い精度で複数個のワークを同時にローリング成形するローリング加工装置及びそれを用いたローリング加工方法を提供することができる。
また、本実施形態の他の態様として、図12(a),(b)に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を奇数個ではなく偶数個にすることも可能である。例えば、図12(a)に示すように、2個のワーク4A,4Bを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、第1係合溝32が、ワーク4の数に応じて複数設けられている。具体的には、ワーク4A,4Bの全ての内周面4aが当接する第1係合溝32が軸方向に面一の一つの溝形状ではなく、本体部30Aに複数の縮径された第1係合溝32A,32Bがそれぞれ独立して設けられている。
また、成形ロール10の突出部12Bには、第1係合溝32Bに対応し、ワーク4Bの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝13Bが設けられている。
また、サポートロール20の突出部22Aには、第1係合溝32Aに対応し、ワーク4Aの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝23Aが設けられている。なお、サポートロール20の突出部22Bには、図11に示したような第2係合溝23Bは設けられない。
また、図12(b)に示すように、4個のワーク4A〜4Dを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B、22C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。
そして、突出部22Aには、第1係合溝32Aに対応し、ワーク4Aの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝23Aが設けられている。また、突出部22Bには、第1係合溝32Cに対応し、ワーク4Cの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝23Bが設けられている。
また、成形ロール10には、円盤形状の突出部12(12A,12B、12C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。突出部12Bの外周面には、第1係合溝32Bに対応し、ワーク4Bの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝13Bが設けられている。また、突出部12Cの外周面には、第1係合溝32Dに対応し、ワーク4Dの外周面4b及び軸方向の両端面に係合する第2係合溝13Cが設けられている。
このような態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の両端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。ここで、ワーク4Aは、突出部12Aと突出部12Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
また、第2係合溝13Bの外周面がワーク4Bの外周面4bと、第2係合溝13Bの軸方向端面がワーク4Bの軸方向の両端面と係合するように、ワーク4Bが設置される。ここで、ワーク4Bは、突出部22Aと突出部22Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
また、第2係合溝23Bの外周面がワーク4Cの外周面4bと、第2係合溝23Bの軸方向端面がワーク4Cの軸方向の両端面と係合するように、ワーク4Cが設置される。ここで、ワーク4Cは、突出部12Bと突出部12Cとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
また、第2係合溝13Cの外周面がワーク4Dの外周面4bと、第2係合溝13Cの軸方向端面がワーク4Dの軸方向の両端面と係合するように、ワーク4Dが設置される。ここで、ワーク4Dは、突出部22Bと突出部22Cとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。
ここで、偶数個のワーク4を同時にローリング成形する場合、図12(a),(b)を参照して上述した態様以外に、最大で収容可能なワークの数が奇数個のローリング加工装置を用いてワークの数を1つ減らして加工してもよい。例えば、「ワークの数を5個としたローリング加工装置」を用いてワークの数を1つ少ない4個のワークを同時にローリング成形することも可能である。
(第4実施形態)
次に、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第4実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態は、回転体を設けた点が第2実施形態と異なるだけであるので、上述の実施形態と同じ符号を付した同様の構成については説明を省略することがある。図13,図14は、ローリング加工装置及びローリング加工方法の第4実施形態における環状部材の加工概要を示す断面図である。
図13,図14に示すように、本実施形態では、ワーク4の軸方向の両端面に対して付勢する1対の回転体50が成形ロール10及びサポートロール20に設けられている。これらの回転体50はそれぞれに回転軸を有し、軸方向に対向する突出部12及び突出部22の軸方向端面に放射状に、回転自在に配置されている。なお、回転体50は、成形ロール10及びサポートロール20の少なくとも何れか一方に設けられればよいが、成形ロール10及びサポートロール20に設けられることが好ましい。
本実施形態は、第3実施形態と同様、ローリング条件によっては、ワーク4が拡径だけでなく、軸方向にも伸びてきてしまうことがあり、それを解決する態様である。以下、ワーク4Bを例として具体的に説明する。図14に示すように、ワーク4Bは、その内周面4aがマンドレル30の第1係合溝の32の外周面に当接している側で突出部12Bの外周面に径方向に挟持されている。また、ワーク4Bは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部22A,22Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50B,50Bに挟持されている。
このように設置されたワーク4Bは、ローリング工程によって、マンドレル30の外周面30aに当接している側が軸方向に伸びた場合、マンドレル40の回転に伴ってその部分が1対の回転体50B,50Bに挟持される側に移動した際、1対の回転体50B,50Bが元の軸方向の寸法までワーク4Bを軸方向に押し戻すように付勢する。
また、図13に示すように、本実施形態によれば、回転体50を設けることによって、ワーク4の端面と突出部12及び突出部22の端面との間に作用する摩擦力を低減させることができるので、成形ロール10とサポートロール20の回転がスムーズになり、ローリング加工に必要なエネルギーを削減することができる。さらに、ワーク4と突出部12及び突出部22に焼き付いたりする障害を防ぐことができる。
また、本実施形態の他の態様として、図示はしないが、図15(a),(b)に示すように、同時にローリング成形するワーク4の個数を奇数個ではなく偶数個にすることも可能である。例えば、図15(a)に示すように、2個のワーク4A,4Bを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B)が軸方向に所定の間隔を有して2つ設けられている。
そして、突出部22Aには、第1係合溝32に対応し、ワーク4Aの外周面4b及び軸方向の一方の端面(例えば上端面)に係合する第2係合溝23Aが設けられている。
また、成形ロール10には、円盤形状の突出部12(12A,12B)が軸方向に所定の間隔を有して2つ設けられている。
このような態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の一方の端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。ここで、ワーク4Aは、突出部12Aと突出部12Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、ワーク4Aは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部12A,12Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50A,50Aに挟持されている。
また、ワーク4Bは、その内周面4aがマンドレル30の第1係合溝の32の外周面に当接している側で突出部12Bの外周面に径方向に挟持されている。また、ワーク4Bは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部22A,22Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50B,50Bに挟持されている。
また、図15(b)に示すように、4個のワーク4A〜4Dを同時にローリング成形することも可能である。具体的には、サポートロール20には、円盤形状の突出部22(22A,22B,22C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。
そして、突出部22Aには、第1係合溝32に対応し、ワーク4Aの外周面4b及び軸方向の一方の端面に係合する第2係合溝23Aが設けられている。
また、成形ロール10には、円盤形状の突出部12(12A,12B,12C)が軸方向に所定の間隔を有して3つ設けられている。
ここで、ワーク4の軸方向の両端面に対して付勢する1対の回転体50(50A〜50D)が成形ロール10及びサポートロール20に設けられている。これらの回転体50はそれぞれに回転軸を有し、軸方向に対向する突出部12及び突出部22の軸方向端面に放射状に、回転自在に配置されている。なお、回転体50は、成形ロール10及びサポートロール20の少なくとも何れか一方に設けられればよいが、成形ロール10及びサポートロール20に設けられることが好ましい。
このような態様においては、第2係合溝23Aの外周面がワーク4Aの外周面4bと、第2係合溝23Aの軸方向端面がワーク4Aの軸方向の一方の端面と係合するように、ワーク4Aが設置される。ここで、ワーク4Aは、突出部12Aと突出部12Bとに軸方向に挟まれて軸方向の移動が制限されるように設置される。また、ワーク4Aは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部12A,12Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50A,50Aに挟持されている。
また、ワーク4Bは、その内周面4aがマンドレル30の第1係合溝の32の外周面に当接している側で突出部12Bの外周面に径方向に挟持されている。また、ワーク4Bは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部22A,22Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50B,50Bに挟持されている。
また、ワーク4Cは、その内周面4aがマンドレル30の第1係合溝の32の外周面に当接している側で突出部22Bの外周面に径方向に挟持されている。また、ワーク4Cは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部22A,22Bの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50C,50Cに挟持されている。
また、ワーク4Dは、その内周面4aがマンドレル30の第1係合溝の32の外周面に当接している側で突出部12Cの外周面に径方向に挟持されている。また、ワーク4Dは、第1係合溝32の外周面に当接している側と径方向の反対側では、軸方向の両端面が、対向する突出部22B,22Cの軸方向の内面側に設けられた1対の回転体50D,50Dに挟持されている。
ここで、偶数個のワーク4を同時にローリング成形する場合、図15(a),(b)を参照して上述した態様以外に、最大で収容可能なワークの数が奇数個のローリング加工装置を用いてワークの数を1つ減らして加工してもよい。例えば、「ワークの数を5個としたローリング加工装置」を用いてワークの数を1つ少ない4個のワークを同時にローリング成形することも可能である。
以上、本発明に係るローリング加工装置及びローリング加工方法について説明したが、本発明に係るローリング加工装置及びローリング加工方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。例えば、上述の実施形態では、マンドレルに第1係合溝を設けたが、この第1係合溝がなくても複数のワークの保持が可能であれば、第1係合溝は必ずしも設けられなくともよい。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
1 ローリング加工装置
2 環状部材
4 円筒部材(ワーク)
10 サポートロール
11 回転軸
12 突出部
13 第2係合溝
20 成形ロール
21 回転軸
22 突出部
23 第2係合溝
30 マンドレル
31 回転軸
32 第1係合溝
50 回転体

Claims (8)

  1. 円筒部材の外周面に当接する成形ロール及びサポートロールと、前記円筒部材の内周面に外周面が当接するマンドレルとのそれぞれの回転軸間とを互いに接近可能とされたローリング加工装置において、
    前記マンドレルの外周面には、3つ以上の前記円筒部材が前記マンドレルの径方向に互い違いに設置され、
    前記成形ロール及び前記サポートロールには円盤状の突出部が、前記円筒部材の数に応じて複数設けられ、
    前記成形ロール及び前記サポートロールの前記突出部の少なくとも何れか一方の外周面を、対向する前記円筒部材の外周面に押圧することを特微とするローリング加工装置。
  2. 前記マンドレルの外周面には、前記マンドレルの軸方向に沿って縮径され、3つ以上の前記円筒部材の内周面を前記マンドレルの径方向に互い違いに当接させる第1係合溝が設けられる請求項1に記載のローリング加工装置。
  3. 前記成形ロール及び前記サポートロールの少なくとも何れか一方の外周面には、第1係合溝に対応して、前記円筒部材の外周面及び軸方向の端面に係合する第2係合溝が設けられる請求項2に記載のローリング加工装置。
  4. 第1係合溝が、前記円筒部材の数に応じて複数設けられる請求項1〜3の何れか1項に記載のローリング加工装置。
  5. 軸方向に対向する前記成形ロール及び前記サポートロールに対して回転自在に設けられ、前記円筒部材の軸方向の両端部に対して付勢する1対の回転体が前記成形ロール及び前記サポートロールの少なくとも何れか一方に設けられた請求項1〜4の何れか1項に記載のローリング加工装置。
  6. 円筒部材の外周面に当接する円盤状の突出部をそれぞれ備えた成形ロール及びサポートロールと、前記円筒部材の内周面に外周面が当接するマンドレルとのそれぞれの回転軸間とを互いに接近可能とされたローリング加工装置に前記円筒部材を設置する設置工程と、前記円筒部材を前記成形ロール及び前記マンドレルによって拡径するローリング成形を行って環状部材を得るローリング成形工程とを含むローリング加工方法において、
    前記設置工程は、前記マンドレルの外周面に設けられた第1係合溝に対して、3つ以上の円筒部材を、前記マンドレルの径方向に互い違いにそれらの内周面を当接させると共に、前記成形ロール及び前記サポートロールの前記突出部の少なくとも何れか一方の外周面に、対向する前記円筒部材の外周面を当接させて前記マンドレルの軸方向に設置する工程であることを特徴とするローリング加工方法。
  7. 第1係合溝が、前記円筒部材の数に応じて複数設けられる請求項6に記載のローリング加工方法。
  8. 軸方向に対向する前記成形ロール及び前記サポートロールに対して回転自在に設けられ、前記円筒部材の軸方向の両端部に対して付勢する1対の回転体が前記成形ロール及び前記サポートロールの少なくとも何れか一方に設けられた請求項6又は7に記載のローリング加工方法。
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