以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
〔概要〕
近年、移動通信ネットワークにおいて、ビッグデータ時代の到来やスモールセル化の促進を背景に、当該ネットワークのエレメント(以下「NE」と略称する。)である基地局や基地局制御装置の設置数が増加傾向にある。
そのため、NEを監視する監視システム(あるいは監視装置)が、監視対象とするNE数も爆発的に増加することが懸念されている。なお、監視システムは、EMS(Element Management System)と呼ばれてもよいし、NMS(Network Management System)と呼ばれてもよい。
EMSの監視下に置くことのできるNE数は、EMSの処理能力に対して予想されるNE当たりの負荷レベルを基に決定できるが、多数のNEが予想を上回る負荷レベルに到達すると、EMSがダウンするおそれがある。そこで、以下では、EMSの負荷を可能な限り軽減して、EMSのダウンを抑制する技術について提案する。
例えば、EMSは、監視対象のNEのうちのいずれかをゲートウェイNE(以下「GNE」と略称する。)に選定する。当該選定は、例示的に、監視対象NEの負荷情報を収集し、収集した負荷情報に基づいて行なうことができる。非限定的な一例を挙げると、EMSは、負荷情報の示す負荷レベルが所定の閾値以下かつ最低のNEをGNEに選定する。
ここで、本実施形態のGNEは、EMSとNEとの間の監視に関わる通信を中継する「ゲートウェイ」としての機能に加えて、EMSの機能の一部を代行し、EMSに代わってNEの監視を可能にする機能(「監視代行機能」と称してもよい)を具備する。これらのゲートウェイ機能と監視代行機能とを併せてGNE機能と称する。
なお、NEに対する「監視」は、NEに対する「運用、管理及び保守(OAM)」と称してもよい。OAMに関わる通信(以下「OAM通信」とも称する。)は、「監視通信」あるいは「保守通信」と称してよく、OAM通信の信号は、「OAM信号」、「監視信号」あるいは「保守信号」と称してよい。
GNE機能は、EMSの監視対象であるNEに備えられる。GNE機能を具備するNEは、GNE機能を起動することにより、GNEとして、当該NEと通信可能に接続された他のNEの監視をEMSに代わって実施することが可能である。GNE機能の「起動」は、「有効化」と称してもよい。
GNE機能は、EMS(あるいはGNE)からGNE起動要求を受信した場合や、EMS(あるいはGNE)に障害が発生したことを、当該GNE機能を具備するNEが検出した場合に、起動される。GNE起動要求は、例えば、EMS(あるいはGNE)の負荷が所定の閾値を超えた場合に当該EMS(あるいはGNE)から送信される。
EMS(あるいはGNE)に障害が発生したことは、NEがEMS(あるいはGNE)から所定の信号を受信できないことをもって検出可能である。所定の信号の一例は、EMS(あるいはGNE)からNEに対して定期的に送信される信号(例えば、ヘルスチェック信号)である。
GNE起動要求及び所定の信号の受信監視は、GNEに選定されたNEが実施する。別言すると、GNEに選定されたNEは、EMS(あるいはGNE)との通信を監視することによりEMS(あるいはGNE)に異常状態(負荷上昇や障害発生等)を検出可能である。
これにより、GNEに選定されたNEは、EMS(あるいはGNE)に異常状態生じたことを検出すると、GNE機能を起動し、当該NE(GNE)により、GNEと通信可能に接続された他のNEに対する最低限のOAMを継続することが可能になる。また、EMSの負荷をNE(GNE)に分散することが可能になる。
GNE機能は、EMS(あるいはGNE)から解除要求を受信した場合や、EMS(あるいはGNE)に生じた障害が復旧した場合に、解除してよい。「解除」は、「無効化」と称してもよい。解除要求は、例えば、EMS(あるいはGNE)の負荷が所定の閾値以下に低下した場合に当該EMS(あるいはGNE)から送信される。
EMS(あるいはGNE)の障害が復旧したことは、NEがEMS(あるいはGNE)から所定の信号を受信することをもって検出可能である。所定の信号の一例は、EMS(あるいはGNE)からNEに対して定期的に送信される信号(例えば、ヘルスチェック信号)である。
GNEの選定、起動及び解除には、EMS及びNEにそれぞれ搭載されたソフトウェアによる制御を用いてよい。これにより、保守者の介在しない柔軟で自由度の高いGNEの選定、起動及び解除が可能になる。また、GNE自体に負荷上昇や障害等の異常状態が生じた場合に、GNEの再選択や変更を、NEに搭載されたソフトウェアによる制御を用いて自律的に実施可能である。したがって、例えば、SDN(Software-Defined Network)のような安心で安全なネットワーク管理の一手法を提供できる。当該手法は、ネットワーク管理の自律最適化を実現する上で効果的な手法である。
以下、上述のようなEMS及びNE(GNE)を含んだネットワーク監視システムを、移動通信ネットワークの基地局及び基地局制御装置の標準化団体である3GPPにより規定された仕様を活用して実現する例について説明する。なお、3GPPは、3rd Generation Partnership Projectの略称である。
3GPPにおいて、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)ネットワーク、及び、UMTSを進化させたLTE(Long Term Evolution)ネットワークが第3世代の移動通信ネットワークの一例として規定される。
第3世代の移動通信ネットワークにおいて、基地局はeNB(evolved Node B)と称され、基地局制御装置はRNC(Radio Network Controller)と称される。したがって、以下において、EMSの監視対象であるNEは、eNB及びRNCのいずれか一方又は双方を含む概念である。
また、第3世代の移動通信ネットワークでは、eNB−eNB間の通信インタフェースの一例としてX2インタフェースが規定され、RNC−RNC間の通信インタフェースの一例としてRNSAP(Radio Network Subsystem Application Part)インタフェースが規定される。これらの通信インタフェースは、NE間インタフェースと総称してよい。
以下に説明する実施形態では、EMSに異常状態が生じたことをGNEに選定されたNEにおいて検出可能とする。当該異常状態の検出に応じて、GNEは、当該GNEに対してNE間インタフェースによって接続された他の1又は複数のNEをGNEによる監視対象としてGNEの管理下に従属させる。なお、GNEの管理下に従属したNEを「配下NE」と称することがある。別言すると、GNEと配下NEとで1つの管理グループが形成される。管理グループは、NEグループと称してもよい。
ここで、GNEと配下NEとの間のNE間インタフェースにおいて、保守通信のための論理的なコネクション(あるいは、プロトコル)が確立していれば、当該コネクションにてGNEは配下NEとの間で保守通信が可能である。例えば、保守通信に用いるコネクション(IPアドレス等)が設定済みであれば、GNEは、その配下に従属させるNEとの間のNE間インタフェースにおいて当該コネクションを有効化すればよい。
別言すると、保守者は、NE間インタフェースに対して保守通信に用いるコネクション設定をしておけば、管理グループ構築のためのIPアドレスの設定等は不要である。なお、保守通信のためのコネクションは、保守コネクションあるいは監視コネクションと称してよい。また、保守コネクションを通じた保守通信の開始から終了までを管理する単位を保守セッションと称してよい。保守セッションは、EMSやGNEにおいて管理される。
なお、GNEに異常状態が生じた場合に備えて、GNE(以下「プライマリGNE」と称することがある。)の配下NEのいずれかをセカンダリGNEに選定してよい。例えば、プライマリGNEは、配下NEのうち、負荷が一定の閾値以下かつ最低のNEをセカンダリGNEに選定してよい。セカンダリGNEは、スタンバイGNEと称してもよい。
セカンダリGNEに選定されたNEは、GNEがEMSに異常状態が生じたことを検出可能であるのと同様に、プライマリGNEに異常状態が生じたことを検出可能である。当該異常状態の検出に応じて、セカンダリGNEは、GNE機能を起動し、プライマリGNE及びその配下NEに対する監視を代行する。
別言すると、配下NEの監視元がプライマリGNEからセカンダリGNEに変更される。監視元GNEの変更は、GNE機能を起動するNEの変更を意味するので、見かけ上、GNE機能がプライマリGNEからセカンダリGNEに移管(あるいは承継)されたように見える。したがって、GNEの変更は、便宜的に「GNE機能の移管」と称してもよい。
なお、セカンダリGNEは、プライマリGNEに異常状態が生じてから決定してもよいが、NE間での負荷情報の交換や選定処理に時間を要する可能性がある。GNEに障害が発生した場合には配下NEに対するOAMの中断が生じるので、これを回避できるように、セカンダリGNEは、プライマリGNEが正常動作している間に選定しておくとよい。
ただし、配下NEの負荷状況は時間の経過に応じて変化するため、配下NEの負荷状況の変化に応じてセカンダリGNEを変更してよい。負荷状況の変化は、例示的に、GNEが配下NEとの間で負荷情報を取得する通信を行なうことで検出可能である。例えば、配下NEは、GNEから定期的に受信される所定の信号(例えば、ヘルスチェック信号)の応答信号に自身の負荷情報を含めてよい。
なお、GNEは、配下NEの中に負荷レベルが閾値を超えるNEしか存在しなければ、配下NEの中で他よりも負荷の低い複数のNEをそれぞれセカンダリGNEに選定してもよい。
セカンダリGNEにGNE機能が移管された場合に、プライマリGNEの配下に従属していたNEの中に当該セカンダリGNEとNE間インタフェースによる接続関係をもたないNEが存在することがある。例えば、1又は複数のセカンダリGNEのいずれともNE間インタフェースによる接続関係をもたないNEが存在することがある。
この場合、当該NEは、NE間インタフェースによる接続関係をもつ他のNEの中にセカンダリGNE以外のGNE(例えば、プライマリGNE)が存在すれば、当該GNEの配下に従属してよい。
NE間インタフェースによる接続関係をもつ他の全てのNEの中にGNEが存在しない場合、当該NEは、EMSの配下に従属してよい。その際、EMSが当該NEとの間の保守コネクションを既に無効化していれば、当該NEは、EMSに対して保守コネクションの有効化を要求する。当該要求は、例えばマジックパケットを用いて行なうことができる。マジックパケットは、WOL(Wake On LAN)と称される遠隔起動手順に用いられるパケットであり、EMS−NE間の保守コネクションをNEから再起動させることを可能にする。EMSは、マジックパケットを受信すると、EMSと当該NEとの保守コネクションを有効化する。
このように、GNEを変更する際には、いくつかのNEがEMSの管理下に復帰することがある。ただし、EMSの管理下に復帰可能なNE数を無制限に許容してしまうと、EMSの負荷軽減が図れないので、GNEの変更に伴ってEMSの管理下に復帰可能なNE数の上限値を設定しておいてよい。EMSの管理下に復帰を希望するNE(例えば上述したマジックパケットを送信するNE)の数が上限値を超える場合には、復帰よりもGNE配下のNE間で解決することを優先させる。例えば、当該NEと接続関係をもついずれのNEの負荷状況に関わらず、複数のセカンダリGNEを設定することで、負荷を分散させる。
(第1実施形態:GNE自律構築)
第1実施形態では、LTEネットワークにおけるEMS、eNB、及び、eNB間のX2インタフェースを用いたGNE自律構築について説明する。なお、UMTSネットワークにおけるEMS、RNC、及び、RNC間のRNSAPインタフェースを用いたGNE自律構築についても以下に説明する処理と同様の処理により実現可能である。
図1は、第1実施形態に係るネットワーク監視(あるいは、管理)システムの一例を示す図である。図1に示すネットワーク監視システム1は、例示的に、監視装置の一例であるEMS3と、複数のNE(例えば、eNB)5−1〜5−N(Nは2以上の整数)と、を備える。図1では、N=8の場合を例示しており、8台のNE5−1〜5−8(NE#A〜NE#H)が存在している。なお、以下において、NE5−1〜5−Nを区別しない場合には、単に「NE5」と表記することがある。
EMS3は、各NE5とそれぞれ通信可能に接続され、各NE5の状態を保守通信により監視する。保守通信は、EMS3と各NE5との間に設定される保守コネクションを通じて実施される。
NE5−1(NE#A)は、例示的に、4台のNE5−2〜5−5(NE#B,NE#C,NE#D及びNE#E)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−2(NE#B)は、例示的に、3台のNE5−1、5−3及び5−4(NE#A,NE#C及びNE#D)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−3(NE#C)は、例示的に、3台のNE5−1、5−2及び5−4(NE#A,NE#B及びNE#D)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−4(NE#D)は、例示的に、3台のNE5−1〜5−3(NE#A〜#C)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−5(NE#E)は、例示的に、4台のNE5−1及び5−6〜5−8(NE#A及びNE#F〜#H)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−6(NE#F)は、例示的に、3台のNE5−5、5−7及び5−8(NE#E,NE#G及びNE#H)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−7(NE#G)は、例示的に、2台のNE5−5及び5−6(NE#E及びNE#F)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
NE5−8(NE#H)は、例示的に、2台のNE5−5及び5−6(NE#E及びNE#F)とそれぞれX2インタフェースにより通信可能に接続されている。
なお、NE5−7及びNE5−8間(NE#G−NE#H間)には、X2インタフェースによる接続が存在しない。
各NE5は、それぞれ、既述のとおりEMS3と保守コネクションにより接続されており、図1の例では、実線で示すようにEMS3と各NE5との間の保守コネクションは、全てセッションが確立している。したがって、EMS3は、全てのNE5とのセッションを管理し、また、全てのNE5との間で送受信される保守信号を処理する。
一方、NE5間の保守コネクションについては、図1において点線で例示するように、セッションは確立されておらず、例えば、ハンドオーバ等のための呼制御信号がX2インタフェースを通じて送受信される。
このような状態において、X2インタフェースによる接続関係を有するNEグループ内でGNE候補となるNE5を、EMS3により選定する。当該選定は、各NE5の負荷情報に基づいて行なうことができる。非限定的な一例を挙げると、EMS3は、周期的に各NE5の負荷情報を収集し、負荷情報の示す負荷レベルが閾値以下かつ低い順にNE5をソートする。負荷情報の非限定的な一例は、CPU使用率やメモリ使用率等である。
各NE5の負荷情報の収集は、例示的に、ヘルスチェック信号を用いて実施することができる。例えば図2に示すように、EMS3がNE5を監視する際には、NE5の死活を監視するために、周期的にNE5に対してヘルスチェック信号を送信する(処理P11)。
ヘルスチェック信号を受信したNE5は、生存していれば応答信号をEMS3に返信する(処理P12)。当該応答信号に、NE5の負荷情報を含めることで、EMS3は、ヘルスチェックシーケンスにおいて各NE5の負荷情報を収集することができる。なお、各NE5の負荷情報は、ヘルスチェックシーケンスとは異なる個別のシーケンスを用いて実施しても構わない。
そして、EMS3は、例えば負荷レベルが所定の閾値以下で最低のNE5をGNE候補に決定(選定)し、当該NE5とX2インタフェースによる接続関係をもつNE5をソートしたリストから除外し、残りのNE5から次のGNE候補を選択する処理を繰り返す。
これにより、X2インタフェースによる接続関係をもつNE5が管理グループ(NEグループと称してもよい。)としてグルーピングされ、そのNEグループの中で負荷レベルが閾値以下で最低のNE5がGNE候補として選択される(処理P13)。なお、図1では、NE5−1〜5−4がNEグループ#1にグルーピングされ、NE5−5〜5−8がNEグループ#2にグルーピングされた様子を例示している。また、図2では、NE5−3(NE#C)がGNE候補として選択された様子を例示している。
その後、EMS3は、選択したNE5(例えば、NE#C)に対して、GNE候補であることを通知する(図2の処理P14)。当該通知(GNE候補通知)は、EMS3の異常状態を検出するNE5に選定されたことを当該NE5に通知する通知信号の一例である。GNE候補通知を受けたNE5は、当該通知に対する応答をEMS3に返信する(図2の処理P15)。当該応答を受信したEMS3は、以降、周期的に、GNE候補NE5に対してEMS3の負荷情報を通知する(図2の処理P16)。GNE候補のNE5は、EMS3との間のヘルスチェック信号の受信監視を有効化する(図2の処理P17)。
以上の状況において、EMS3において例えば負荷レベルが所定の閾値を超えた(別言すると、輻輳が発生した)ことが検出されたとする(図3の処理P21)。この場合、EMS3は、GNE候補のNE5(例えば、NE#C)に対してGNE起動要求を送信する(図3の処理P22)。GNE起動要求を受信したGNE候補のNE5は、GNE機能を起動し、応答をEMS3に返信する(図3の処理P23)。つまり、GNE起動要求は、EMS3の負荷が所定の閾値を超えたことを示す信号の一例である。
ここで、EMS3では、段階的な負荷レベル(例えば、CPU使用率:30%/50%/80%等)と、各負荷レベルに対応するGNE起動数(全管理NE数の25%/50%/100%等)と、を予め処理条件(ポリシー)として記憶しておいてよい。その場合、EMS3は、負荷上昇時に負荷レベルが定義された閾値に到達すると、対応するGNE起動数のGNE候補のNE5を選択し、選択したNE5に対してGNE起動要求を送信する。
一方、図4に例示するように、EMS3に障害が発生した場合(P31)、EMS3は、GNE候補のNE5に対してヘルスチェック信号を送信できない。そのため、GNE候補のNE5は、所定の周期でヘルスチェック信号を受信できない(ヘルスチェック断)。ヘルスチェック断を検出すると(処理P32)、GNE候補のNE5は、EMS3に何らかの障害や異常が生じたものと判断する。なお、EMS3の負荷上昇によりEMS3が所定周期でヘルスチェック信号をGNE候補のNE5に対して送信できない場合もある。
EMS3からGNE起動要求を受信した場合、あるいは、ヘルスチェック断を検出した場合、GNE候補のNE5(例えばNE#C)は、図5に例示するGNE起動処理を実施する。
例えば、NE#C(=GNE#1)は、GNE機能を起動すると、X2インタフェースによる接続関係をもつNE5(例えば、NE#A,#B及び#D)に対して、NE#C配下への従属可否を確認する「従属要求」を送信する(処理P41)。当該従属要求には、送信元のGNE#1の負荷情報を含めてよい。従属要求を受信したNE5は、その応答(許容(OK)又は拒否(NG))をGNE#1へ返信する(処理P42)。当該応答には、従属要求を受信したNE5の負荷情報を含めてよい。
従属要求を受信したNE5がその応答としてNGを返信する(従属要求を拒否する)のは、例えば、当該NE5が既にGNEとなっている場合である。また、従属要求を受信したNE5が既に他のGNE配下に従属している場合がある。この場合、当該NE5は、各GNEから受信された従属要求に含まれる各GNEの負荷情報を基に、より負荷レベルの低いGNEの配下に従属することを選択してよい。そして、当該NE5は、選択したGNEに対しては従属許容(OK)を返信し、選択しなかったGNEに対しては従属拒否(NG)を返信する。
従属要求を送信したGNE#Cは、NE5からの応答を基に、配下に従属させるNE5を決定し、決定した配下NE5との間の保守コネクションを有効化(設定)する。その後、GNE#Cは、EMS3に対して、例えば、GNE起動完了と配下に従属するNE5のリスト(以下「NEリスト」と称する)とを通知(GNE起動通知)する(処理P46)。NEリストには、NE5を識別する識別情報(NE−ID)が含まれてよい。#A〜#Hは、それぞれNE−IDと捉えてもよい。
GNE起動通知を受けたEMS3は、障害が発生していなければ、GNE#Cに対して応答を返信し(処理P47)、GNE#Cから通知されたNEリストに含まれるNE−IDによって識別されるNE5との保守コネクションを無効化(解除)する(処理P48)。したがって、GNE起動通知は、保守コネクションを解除する対象のNE−IDを含む制御信号の一例である。なお、GNE#Cに対する応答(処理P47)は、NEリスト内のNE5との保守コネクションを無効化してから実施してもよい。
これにより、EMS3はGNE#C配下に従属したNE5との直接的な保守通信は不能となり、GNE#C配下に従属したNE5に対する保守通信は、GNE#Cを介して実施されることになる。
例えば、EMS3は、GNE#Cの配下NE5宛の保守信号の宛先をGNE#Cとする。GNE#Cは、EMS3から受信した保守信号に含まれる例えばNE−IDに基づいて当該保守信号の転送先NE5を識別し、保守信号の転送(中継)を実施する。
一方、GNE#C配下のNE5は、EMS3宛の保守信号の宛先をGNE#Cとする。GNE#Cは、配下NE5から受信したEMS3宛の保守信号をEMS3へ転送(中継)する。
この結果、例えば図6に示すような接続関係が確立する。すなわち、NEグループ#1において、NE#CがGNE#1として、GNE#1の配下に従属するNE#A,NE#B及びNE#Dとの間の保守コネクションを有効化し保守セッションを確立する(実線参照)。その一方で、EMS3とGNE#1配下のNE#A,NE#B及びNE#Dとの間の保守コネクションはそれぞれ無効化される(点線参照)。
NEグループ#2についても同様である。例えば図6に示すように、NEグループ#2において、NE#EがGNE#2として、GNE#2の配下に従属するNE#F,NE#G及びNE#Hとの間の保守コネクションを有効化する(実線参照)。その一方で、EMS3とGNE#2配下のNE#F,NE#G及びNE#Hとの間の保守コネクションはそれぞれ無効化される(点線参照)。なお、GNE5は第1のNEの一例であり、当該GNE5の配下に従属するNE5は、第2のNEの一例である。
これにより、EMS3では、図1に例示した接続関係と比較して約75%の保守セッションの管理が軽減されるため、以降の保守通信による定常的な負荷も軽減することが可能となる。なお、EMS3に障害が発生している場合、EMS3は、GNE5から保守コネクションを無効化する対象のNEリストを受信できないが、いずれのNE5との間の保守コネクションもそもそも無効な状態である。なお、EMS3は、GNE起動の競合を回避するために、GNE候補として通知したNE5とX2インタフェースによる接続関係をもつNE5をGNE候補の対象から除外してよい。
例えば、EMS3において、監視対象の全NE5の接続関係は、図7に例示するようなEMS管理テーブル(接続関係リスト)300により管理される。図6の例では、EMS3は、NE#CにGNE候補通知を送信すると、EMS管理テーブル300において接続関係をもつNE#A,NE#B及びNE#DをGNE候補の対象外とする。同様に、EMS3は、NE#EにGNE候補通知を送信すると、EMS管理テーブル300において接続関係をもつNE#A,NE#F,NE#G及びNE#HをGNE候補の対象外とする。それ以外のNE5はGNE候補となる。
以上のように、EMS3に異常状態が生じておらずEMS3が正常に稼働している際に、EMS3は、NE5の負荷情報を収集し、収集した負荷情報に基づいていずれかのNE5をGNE5に選定する。そして、GNE5は、当該GNE5とNE間インタフェースによる接続関係を有するNE5をGNE5配下に従属させることで、管理グループを自律的に形成(構築)する。
EMS3は、管理グループに含まれないNE5に対しても、他よりも負荷の低いNE5を、順次、GNE候補に選定し、その旨をNE5に通知する。このようなGNE候補の選定を周期的に実施することで、NE5の負荷変動に応じて適応的にGNE候補が変更(再選択)される。
そして、EMS3に負荷上昇や障害発生等の異常状態が生じた場合には、GNE5がGNE機能を起動(有効化)し、GNE機能によって配下NE5に対する保守通信をGNE5がEMS3に代わって自律的に行なう。これにより、NE5に対するサービス継続に必要最低限のOAMが可能となる。また、EMS3にとってみれば、監視対象のNE数が削減されるので、EMS3の負荷軽減を図ることができる。
以上の処理は、EMS3及びNE5のソフトウェア制御の連携によって実現できるので、EMS3の異常状態の検出や管理グループの構築に保守者の介在は不要である。
(第2実施形態:GNE変更制御)
上述したようにEMS3からGNE候補の通知を受けたNE(以下「プライマリGNE」と称することがある。)5に異常状態が生じることがある。この場合、例えば、プライマリGNE5の属するNEグループと同じNEグループに属する他のNE5がセカンダリGNE5として、プライマリGNE5配下に従属するNE5の監視を代行する。セカンダリGNE5は、スタンバイGNE5と称してもよい。
例えば、プライマリGNE5は、当該プライマリGNE5とX2インタフェースによる接続関係を有する配下NE5のいずれかをセカンダリGNE5に選定する。セカンダリGNE5は、プライマリGNE5との通信を監視することによりプライマリGNE5の状態を監視する。セカンダリGNE5は、プライマリGNE5に異常状態が生じたことを検出すると、プライマリGNE5とプライマリGNE5配下のNE5とをセカンダリGNE5配下に従属させる。これにより、NEグループ内におけるGNE5と配下NE5との間の従属関係(保守コネクションの設定)が変更され、セカンダリGNE5によって当該NEグループにおけるNE5の監視が承継される。
セカンダリGNE5の選定は、EMS3によるプライマリGNE5の選定と同様に、プライマリGNE5が配下NE5の負荷情報を収集し、当該負荷情報に基づいて実施してよい。例示的に、図5に示した処理シーケンスにおいて、NEグループ#1のGNE#1(NE#C)配下のNE5は、GNE#1からの従属要求に対する応答信号、あるいはGNE#1からの周期的なヘルスチェック信号に対する応答信号に、GNE#1の負荷情報を含める。
これにより、GNE#1では、配下NE5(NE#A,NE#B及びNE#D)の中から、例えば、負荷情報の示す負荷レベルが閾値以下かつ最低のNE5(例示的に、NE#B)をセカンダリGNE5に選定する(図5の処理P43)。
GNE#1は、選定したセカンダリGNE#Bに対してセカンダリGNE候補通知を送信する(図5の処理P44)。当該通知には、GNE#1の負荷情報を含めてもよい。当該通知を受信したセカンダリGNE#Bは、プライマリGNE#1に対して応答を返信する(処理P45)。当該応答には、セカンダリGNE#Bの負荷情報を含めてよい。
以後、セカンダリGNE#Bは、プライマリGNE#1であるNE#CからのGNE移管要求(GNE起動要求)及び周期的なヘルスチェック信号の受信監視を行なう。これにより、前述したEMS3とGNE候補との間の関係と同等の関係がプライマリGNE#CとセカンダリGNE#Bとの間にも構築される。
例えば図11に示すように、プライマリGN#Cは、セカンダリGN#Bを含む配下NE5に対して周期的にヘルスチェック信号を送信する(処理P51)。当該ヘルスチェック信号には、プライマリGNE#Cの負荷情報を含めてよい。ヘルスチェック信号を受信した配下NE5は、プライマリGNE#Cへ応答信号を返信する(処理P52)。当該応答信号には、当該配下NE5の負荷情報を含めてよい。
なお、ヘルスチェックシーケンスは周期的に繰り返されるため、プライマリGNE#Cは、配下NE5の負荷状況の変化に応じて、セカンダリGNE5を変更(再選択)してもよい。例えば、プライマリGNE#1は、ヘルスチェック信号の応答信号に含まれる負荷情報を基に、負荷レベルが閾値以下かつ最低のNE5に変更があれば、当該NE5にセカンダリGNE5を変更してよい(処理P53)。
そして、セカンダリGNE5(例示的に、NE#B)は、プライマリGNE5(例示的に、NE#C)からGNE移管要求(GNE起動要求)を受信するか、あるいは、ヘルスチェック信号の受信失敗を検出すると、GNE機能を起動する。
例えば図12に示すように、プライマリGNE#Cが、閾値を超える負荷上昇を検出すると(処理P61)、セカンダリGNE#Bに対してGNE移管要求を送信する(処理P62)。
当該GNE移管要求を受信したセカンダリGNE#Bは、その応答をプライマリGNE#Cへ返信する(処理P63)。この場合、セカンダリGNE#Bは、GNE移管要求の受信をもってプライマリGNE#Cに異常状態(例えば、負荷上昇)が生じたことを認識(検出)する。
また、例えば図13に示すように、プライマリGNE#Cに障害が発生し(処理P71)、セカンダリGNE#Bにおいてヘルスチェック信号が所定周期内に受信されないと(処理P72)、ヘルスチェック断が検出される(処理P73)。
以上のように、セカンダリGNE5#Bは、GNE移管要求を受信するか、あるいは、ヘルスチェック断を検出することでプライマリGNE#Cの異常状態を検出すると、GNE起動処理を実施する。
例えば図14に示すように、セカンダリGNE#Bは、GNE起動処理を開始すると(処理P81)、X2インタフェースによる接続関係をもつNE#A,NE#C及びNE#Dに対して従属要求を送信する(処理P82)。
プライマリGNE#Cは、障害が発生していなければ、従属要求をセカンダリGNE#Bから受信する。従属要求を受信したプライマリGNE#Cは、GNE5をNE#CからNE#Bに変更する旨をEMS3に対してGNE変更通知によって通知する(処理P83)。GNE変更通知には、例示的に、変更前後のGNE5を識別するNE−IDを含めてよい。
EMS3は、GNE変更通知を受信すると、変更前のGNE5であるNE#Cとの間の保守コネクションを無効化するとともに、新たにGNE5となるNE#Bとの間の保守コネクションを有効化し(処理P84)、応答をNE#Cへ返信する(処理P85)。したがって、GNE変更通知は、GNE5の変更に応じてEMS3と変更前後のGNE5との間の保守コネクションの設定を制御する制御信号の一例である。
EMS3から応答を受信したNE#Cは、GNE機能を無効化し(処理P86)、従属要求の送信元であるセカンダリGNE5(NE#B)に対して応答(OK又はNG)を送信する(処理P87)。
一方、GNEでないNE#A及びNE#Dは、セカンダリGNE#Bから従属要求を受信すると、その応答(OK又はNG)をセカンダリGNE#Bへ返信する(処理P88)。応答としてNGを返信する(従属要求を拒否する)のは、例えば、NE#A及びNE#Dは、自身が既にGNE5に選定されている場合や既に他のGNE5の配下に従属している場合等である。
セカンダリGNE#Bは、従属要求に対する応答が各NE#A,NE#C及びNE#Dから受信されると、各NE#A,NE#C及びNE#Dとの間の保守コネクションを有効化し、EMS3に対してGNE起動通知を送信する(処理P89)。当該GNE起動通知には、例示的に、セカンダリGNE#B配下に従属したNEリストを含めてよい。例えば、NEリストには、NE#A,NE#C及びNE#DそれぞれのNE−IDが含まれる。
EMS3は、新GNE5であるNE#BからGNE起動通知を受信すると、その応答をNE#Bに返信し(処理P90)、例えば、GNE起動通知に含まれるNEリストに含まれるNE5との保守コネクションを無効化する(処理P91)。したがって、GNE起動通知は、保守コネクションを解除する対象のNE−IDを含む制御信号の一例である。なお、NE#Bに対する応答(処理P90)は、NEリストに含まれるNE5との保守コネクションを無効化してから実施してもよい。
これにより、EMS3はNEリストに含まれるNE5との直接的な保守通信は不能となり、当該NEリストに含まれるNE5に対する保守通信は、セカンダリGNE#Bを介して実施されることとなる。
例えば、EMS3は、セカンダリGNE#Bの配下NE5宛の保守信号の宛先をGNE#Bとする。GNE#Bは、EMS3から受信した保守信号に含まれる例えばNE−IDに基づいて当該保守信号の転送先NE5を識別し、保守信号の転送(中継)を実施する。
一方、GNE#B配下のNE5は、EMS3宛の保守信号の宛先をGNE#Bとする。GNE#Bは、配下NE5から受信したEMS3宛の保守信号をEMS3へ転送(中継)する。
以上により、図6に例示した接続関係が図8に例示する接続関係に変更される。図8の例では、EMS3と旧GNE5であるNE#Cとの間の保守コネクションが無効化され、代替的に、EMS3と新GNE5であるNE#Bとの間の保守コネクションが有効化される。また、新GNE5であるNE#Bが送信する従属要求により、NE#A,NE#C及びNE#Dは、新GNE#Bの配下に従属し、それぞれ新GNE#Bとの保守コネクションが有効化される。
このようにして、NEグループ#1内においてNE5間で自律的にGNE5の変更が速やかに実施され、EMS3と新GNE#Bとの間、および、当該GNE#Bと配下NE5との間のOAM信号の疎通が可能となる。
なお、プライマリGNE5がセカンダリGNE5を選定する際に、配下NE5に負荷レベルが閾値以下のNE5が存在しないこともある。その場合、例えば図9に示すように、同一NEグループ(例えば#1)における複数NE5(例えば、NE#B及びNE#D)をセカンダリGNE5に設定することにより、負荷分散を行なってもよい。この場合、同一NEグループにおいて複数のセカンダリGNEに対応した複数のサブグループが形成され、複数のサブグループに負荷が分散される。
また、複数のGNEのいずれかの負荷が軽減した場合、例えば、負荷の軽減したGNE(例えばNE#B)から他のGNE(例えばNE#D)にその状況を通知する。当該通知を受けたGNE#Dは、GNE機能を無効化し、負荷の軽減したGNE#B配下に従属してよい。これにより、図8に例示したように、NEグループ#1は、単一のGNE#Bが存在する接続関係に戻ることも可能である。
なお、図7に例示したEMS管理テーブル300と同様に、NE5においても、自NE5とX2インタフェースによる接続関係にあるNE5が管理される。NE5は、その管理情報を拡張した例えば図10に示すような管理テーブル(接続関係リスト)500を記憶し、GNE状態と従属関係とを接続関係にあるNE5毎に管理する。なお、管理テーブル500は、接続関係リスト500と称してもよい。
図10に示す管理テーブル500は、NE#Aが保持する管理テーブル500の一例である。図10の(A)は、図1に例示したGNE起動前、図10の(B)は、図6に例示したGNE起動後、図10の(C)は、図8に例示した現GNE負荷上昇後(単一セカンダリGNEへの移管)における管理情報をそれぞれ示している。
図10の(A)では、各NE5は、EMS3によって正常に保守通信が行なわれている状況を示している。この場合、NE#B〜#Eの中に「GNE状態」が「On」(起動あるいは有効)であるNE5は存在せず、EMS3との保守コネクションが有効である。
その後、EMS3に異常状態が生じると、図10の(B)に例示するように管理情報が変更される。図10の(B)では、NE#C及び#Eの「GNE状態」が「On」となり、当該NE#C及び#EがそれぞれGNE5としてEMS3との保守コネクションを保持(維持)している。NE#Aは、GNE#C配下に従属しているので、管理テーブル500において、NE#Cとの「従属関係」が従属を示す「On」となっている。なお、GNE#C配下のNE#A,NE#B及びNE#Dは、既述のとおりGNE#Cとの間の保守コネクションによりOAMが実施されている。
また、図10の(B)において、NE#Aと接続関係にあるNE#Eは、NEグループ#2のGNE5に設定されている。そのため、NE#Aは、2つのNE#C及びNE#Eのいずれかを従属先として選択することが可能である。
ここで、例えば、最初にNEグループ#2のNE#EがGNE5に設定され場合に、NE#EがNE#Aに対して従属要求を送信した時点で、NE#Aは、一旦、NE#Eに従属する。そのため、NE#Aの管理テーブル500において、NE#Eとの「従属関係」が「On」となる。
その後、NEグループ#1においてNE#CがGNE5に設定された場合に、NE#Aは、NE#Cから、再度、従属要求を受信する。この時、NE#Aは、NE#Cからの例えば従属要求にて通知される負荷情報と、現在の従属先であるGNE#Eから例えばヘルスチェック信号にて通知される負荷情報と、を比較する。
その結果、例えば、負荷情報の示す負荷レベルがより低い方のNE5(本例では、NE#C)を従属先として選択し、NE#Cと従属関係を確立する。これにより、NE#Aの管理テーブル500において、NE#Eとの「従属関係」が「Off」となり、代わりに、NE#Cとの「従属関係」が「On」となる。この状態を示しているのが図10の(B)である。
そして、図10の(C)は、GNE#Cに異常状態が生じたことによって、同一NEグループ#1においてセカンダリGNE#BにGNE5が変更された場合の管理テーブル500の管理情報を示している。
この例では、GNE#Cの異常状態検出時に、NE#Bの負荷レベルが最低であったことから、GNE5がGNE#CからNE#Bに変更されている。そのため、管理テーブル500において、NE#Cの「GNE状態」が「On」から「Off」に変更され、NE#AのNE#Cとの「従属関係」が「On」から「Off」に変更される。併せて、NE#Bの「GNE状態」が「Off」から「On」に変更され、NE#AのNE#Bとの「従属関係」が「Off」から「On」に変更される。
なお、GNE5は、GNE変更のトリガとなる負荷レベル(例えば、CPU使用率:70%等)についての閾値を予め処理条件(ポリシー)として記憶しておいてよい。GNE5は、当該GNE5の負荷レベルが閾値を超えると、セカンダリGNE5に対してGNE移管要求を送信する。
次に、例えば図15に示すように、NEグループ#2においてNE#EからセカンダリGNE#2(NE#G)にGNE5が変更された場合を想定する。この場合、NE#GとNE#Hとの間には、X2インタフェースによる接続が存在しないため、保守コネクションも確立せず、NE#Hが孤立することになる。NE#Hは、旧GNE#EとはX2インタフェースにより通信可能に接続されているが、セカンダリGNE#GとはX2インタフェースにより通信可能に接続されていない第3のNEの一例である。
このようなケースでも、NE#Hは、GNE変更前のGNE#Eとの間のヘルスチェック断は検出可能である。そこで、NE#Hは、ヘルスチェック断を検出した後、新GNE#2から従属要求が受信されず、かつ、接続関係にある他のNE5にGNE5が存在しない場合、NE#HとEMS3との間の保守コネクションの有効化をEMS3に要求する。例えば、NE#Hは、無効化されているEMS3との保守コネクションの対向IPアドレス宛に例えばマジックパケットを送信する。
EMS3は、マジックパケットを受信することにより、当該マジックパケットの送信元であるNE#HにOAMの緊急事態が発生したことを検知し、当該NE#Hとの保守コネクションを有効化する(図15のEMS3−NE#H間の実線参照)。これにより、新GNE#G配下に従属できないNE#Hは、EMS3によってOAMが継続される。
NEグループ#1のように、X2インタフェースによりフルメッシュで構築された接続関係であれば、基本的には、いずれのNE5がGNE5となっても、従属関係が消失することはない。しかし、フルメッシュで構築された接続関係においても、一部のX2インタフェースに対するハンドオーバ規制等の運用条件によっては、従属関係が消失するケースが生じることもある。
従属関係を消失したNE5は、X2インタフェースによる接続関係を有する他のNE5に他のNEグループのGNE5が存在すれば、当該GNE5の配下に従属してよい。他のGNE5も存在しなければ、上記のNE#Hの場合と同様に、従属関係が消失したNE5に限ってEMS3配下に従属(復帰)することを許容する。
ただし、セカンダリGNE5の負荷情報に関わらず、このようなEMS3配下への復帰を回避するために、図9に例示したように、複数のセカンダリGNE5を設定することも可能である。図15の例では、NE#HがEMS3に復帰する判断をする契機で、自身(NE#H)の負荷レベルが閾値以下であれば、自身がGNE5となることを選択可能である。
この場合、図14に例示した処理シーケンスのように、現GNE(NE#C)からEMS3に対してGNE変更通知(処理P83)は行なわれない。そのため、NE#Hは、前述のように例えばマジックパケットを用いてEMS3との間で保守コネクションを有効化した後、GNE起動通知をEMS3へ送信する。
以上のように、GNE5が起動した後に、当該GNE5に異常状態が生じた場合も、NE5どうしのソフトウェア制御の連携によって、保守者不介在でNEグループにおいて正常に稼働するNEの中から新たなGNEを自律的に選択、設定することが可能である。したがって、NE5に対するOAMに支障や中断をきたさない効果が得られる。
(第3実施形態:GNE機能解除)
次に、EMS3の異常状態が解消した場合(例えば、EMS3の障害復旧時や負荷緩和時)のGNE機能解除処理について説明する。
(全解除処理)
EMS3の障害復旧時は、EMS3は、再起動直後の状態であると考えてよいため、負荷レベルが最低の状態であると判断してよい。EMS3の障害が復旧すると、EMS3によるヘルスチェックシーケンスが再開される。
例えば図9に例示したようにNEグループ#1において複数のGNE#1(NE#B)及びGNE#2(NE#E)が存在する状態でEMS3に障害が発生した後、当該障害が復旧したとする。この場合、図16に例示するように、GNE#1及び#2を含むNE5の全ては、EMS3からヘルスチェック信号を受信するので(処理P101)、GNE#1及び#2では、EMS3が復旧したと判断し、ヘルスチェック信号に対する応答をEMS3に返信する(処理P102)。
NE5の全ては、現在の従属関係を解除するまでヘルスチェック信号の応答を返信しない(受信したヘルスチェック信号は破棄してよい)。そして、GNE#1及び#2は、例えば解除率100%(全解除)の処理を実行する。
解除率100%時には、非限定的な一例として、GNE#1及び#2とそれぞれの配下に従属しているNE5の全てをEMS3配下に復帰させる。例えば、GNE#1は、配下NE5であるNE#A,NE#C及びNE#Dの全てに対して解除要求を送信する。同様に、GNE#2は、配下NE5であるNE#F,NE#G及びNE#HDの全てに対して解除要求を送信する(処理P111)。
解除要求を受信したNE5は、その応答(OK又はNG)を解除要求送信元のGNE#1又は#2へ返信する(処理P112)。なお、応答としてNGを返信するのは、例えば、解除要求を受信したNE5が既にGNE5に選定されていた場合である。解除要求に対する応答を受信したGNE#1及び#2は、それぞれ、例えば、応答がOKであったNE5のNEリストを含むGNE解除通知をEMS3に対して送信する(処理P113)。
EMS3は、NE5からの返信を受信していない場合、通常はNE5に障害が生じたと判定する。しかし、障害復旧後においては、GNEの存在を考慮し、EMS3は、GNE#1及び#2からそれぞれGNE解除通知を受信することにより配下に従属しているNE5の存在を確認すると共に、その応答をGNE#1及び#2のそれぞれに返信する(処理P114)。
そして、EMS3は、受信したGNE解除通知に含まれるNEリストを基に解除対象のNE5を識別し、当該NE5に対しては、再度、ヘルスチェック信号を送信することにより応答の返信を確認した上で、NE5の正常性を確認する(処理P115)。したがって、GNE解除通知は、障害発生中に構成されたGNEと配下に従属しているNE5を判断するための制御信号の一例である。なお、GNE解除通知に対する応答は、NE5へのヘルスチェック信号送信後に実施してもよい。
これにより、EMS3は、NEリストに含まれるNE5と、GNE5を介さない直接的な保守通信が可能になり、EMS3において、セッション管理の負荷が上昇する。EMS3は、自身の負荷レベルの推移を監視(経過監視)し(処理P116)、負荷レベルが閾値を超えると、図3及び図5に例示したように、GNE起動処理を再度実施することになる。
(段階的解除処理)
これに対して、EMS3の負荷緩和によるGNE解除処理では、例えば、EMS3の負荷レベルに応じて、EMS3の配下に復帰させるNE5を段階的に指定する。例えば、EMS3は、EMS3配下に復帰可能なNE数を解除対象とするGNEに対して解除率により指定する。解除率は、例えば、NEグループ単位に1〜100%の範囲で指定可能である。
非限定的な一例を挙げると、EMS3では、NE5当たりの管理において平均的に要する負荷レベルを記憶しておくことにより、EMS3の負荷レベルが閾値を下回った時点で、現在の負荷レベルから閾値到達までの負荷上昇に収まるNE数を計算することができる。
EMS3は、計算したNE数以下の範囲で、NEグループ単位でGNE5とその配下NE5をEMS3配下に復帰させる。この時、1NEグループ当たりのNE数が多数である場合、算出された復帰可能NE数によっては、解除可能なNE5がそのNEグループ内の一部に限られることもある。
この場合、EMS3は、そのNEグループに属するNE数に対してEMS3配下に復帰可能なNE数を解除率としてGNEに指定する。これにより、GNE5は、指定された解除率に従った台数の配下NE5の従属を解除する。
また、EMS3は、負荷緩和と判断する負荷レベルを複数設定することが可能であり、それぞれの負荷レベルに応じた段階的な解除(EMS3への復帰)を指示することが可能である。段階的な解除により、一斉に解除を行なった場合に、EMS3の負荷が急激に上昇するリスクを回避できる。
負荷緩和時の段階的なGNE解除処理シーケンスの一例を図17〜図19に示す。ただし、図17〜図19では、EMS3における段階的な負荷レベル低下の検出契機が2回の事例を示している。
例えば図17に示すように、EMS3の負荷レベル(例えばCPU使用率)が30%になるとEMS3の負荷緩和が検出される(処理P200)。負荷緩和が検出されると、EMS3は、例えば解除率50%を指定したGNE解除要求をNEグループ#1のGNE#1(NE#B)へ送信する(処理P201)。
GNE#1(NE#B)は、GNE解除要求を受信すると、その応答をEMS3に返信し(処理P202)、指定された解除率(50%)に従って解除するNE数を算出する。図17の例では、NEグループ#1に4台のNE#A〜#Dが属しているので、GNE#1は、例えば半分の2台のNE5(例示的に、NE#A及びNE#C)を解除対象に決定する(処理P203)。なお、GNE解除要求に対する応答は、解除対象のNE5を決定した後に実施してもよい。
GNE#1は、解除対象に決定したNE#A及びNE#Cに対してそれぞれ解除要求を送信する(処理P204)。解除要求を受信したNE#A及びNE#Cは、それぞれ、受信した解除要求に対する応答(OK又はNG)をGNE#1に返信する(処理P205)。なお、応答としてNGを返信するのは、例えば、解除要求を受信したNE5が既にGNEに選定されている場合である。
GNE#1は、解除対象のNE#A及びNE#Cから応答を受信すると、例えば、応答がOKであったNE5のリスト(NEリスト)を含むGNE解除通知をEMS3に送信する(処理P206)。
GNE#1からGNE解除通知を受信したEMS3は、その応答をGNE#1へ返信し(処理P207)、GNE解除通知に含まれるNEリストを基に解除対象のNE#A及びNE#Cとの間の保守コネクションをそれぞれ有効化する(処理P208)。なお、受信したGNE解除通知に対する応答は、保守コネクションを有効化した後に実施してもよい。
これにより、EMS3は、NE#A及びNE#Cとの直接的な保守通信が可能となり、EMS3のセッション管理の負荷が上昇する。EMS3は、負荷レベルの推移を監視(経過監視)し(処理P209)、負荷レベルが閾値を超えると、図3及び図5に例示したように、GNE起動処理を再度実施することになる。
EMS3は、経過監視において一定期間、負荷レベルの超過がなく、更に負荷レベルが低下したことを検出すると(処理P210)、図18に例示する解除処理シーケンスを実施する。
例えば、上述のごとくNEグループ#1に属する2台のNE#A及びNE#Cに対する保守コネクションを有効化した結果、EMS3の負荷レベルが一時的に50%を超えたが、その後、負荷レベルが50%に低下したと仮定する。
EMS3は、負荷レベルが50%に低下したことを検出すると(処理P300)、例えば解除率100%を指定したGNE解除要求をNEグループ#1のGNE#1(NE#B)へ送信する(処理P301)。
GNE#1(NE#B)は、GNE解除要求を受信すると、その応答をEMS3に返信し(処理P302)、指定された解除率(100%)に従って解除するNE数を算出する。図18の例では、GNE#1は、図17の処理シーケンスで解除されなかった残りの2台のNE#B及びNE#Dを解除対象として決定する(処理P303)。なお、GNE解除要求に対する応答は、解除対象のNE5を決定した後に実施してもよい。
GNE#1は、解除対象に決定した自身(NE#B)以外のNE#Dに対して解除要求を送信する(処理P304)。解除要求を受信したNE#Dは、受信した解除要求に対する応答(OK又はNG)をGNE#1に返信する(処理P305)。なお、応答としてNGを返信するのは、例えば、解除要求を受信したNE5が既にGNE5に選定されている場合である。
GNE#1は、解除対象のNE#Dから応答を受信すると、例えば、応答がOKであったNE5のリスト(NEリスト)を含むGNE解除通知をEMS3に送信する(処理P306)。なお、本例では、GNE#1(NE#B)自身も解除対象であるので、NEリストには、NE#B及びNE#Dが含まれる。
GNE#1からGNE解除通知を受信したEMS3は、その応答をGNE#1へ返信し(処理P307)、GNE解除通知に含まれるNEリストを基に解除対象のNE#B及びNE#Dとの間の保守コネクションをそれぞれ有効化する(処理P308)。なお、受信したGNE解除通知に対する応答は、保守コネクションを有効化した後に実施してもよい。
これにより、EMS3は、NE#B及びNE#Dと直接的な保守通信が可能となり、EMS3のセッション管理の負荷が上昇する。EMS3は、負荷レベルの推移を監視(経過監視)し(処理P309)、負荷レベルが閾値を超えると、図3及び図5に例示したように、GNE起動処理を再度実施することになる。
EMS3は、経過監視において一定期間、負荷レベルの超過がなく、更に負荷レベルが低下したことを検出すると(処理P310)、図19に例示する解除処理シーケンスを実施する。
例えば、上述のごとくNEグループ#1に属する全てのNE#A〜#Dに対する保守コネクション(セッション)を有効化した結果、EMS3の負荷レベルが一時的に80%を超えたが、その後、負荷レベルが80%に低下したと仮定する。
EMS3は、負荷レベルが80%に低下したことを検出すると(処理P400)、例えば解除率100%を指定したGNE解除要求をNEグループ#2のGNE#2(NE#E)へ送信する(処理P401)。
GNE#2(NE#E)は、GNE解除要求を受信すると、その応答をEMS3に返信し(処理P402)、指定された解除率(100%)に従って解除するNE数を算出する。図19の例では、GNE#2は、NEグループ#2に属する全てのNE#E〜#Hを解除対象として決定する(処理P403)。なお、GNE解除要求に対する応答は、解除対象のNE5を算出、決定した後に実施してもよい。
GNE#2は、解除対象に決定した自身(NE#E)以外のNE#F〜NE#Hに対してそれぞれ解除要求を送信する(処理P404)。解除要求を受信したNE#F〜NE#Hは、それぞれ、受信した解除要求に対する応答(OK又はNG)をGNE#2に返信する(処理P405)。なお、応答としてNGを返信するのは、例えば、解除要求を受信したNE5が既にGNE5に選定されている場合である。
GNE#2は、解除対象のNE#F〜NE#Hからそれぞれ応答を受信すると、例えば、応答がOKであったNE5のリスト(NEリスト)を含むGNE解除通知をEMS3に送信する(処理P406)。なお、本例では、GNE#2(NE#E)自身も解除対象であるので、NEリストには、NE#E〜NE#Hが含まれる。
GNE#2からGNE解除通知を受信したEMS3は、その応答をGNE#2へ返信し(処理P407)、GNE解除通知に含まれるNEリストを基に解除対象のNE#E〜NE#Hとの間の保守コネクションをそれぞれ有効化する(処理P408)。なお、受信したGNE解除通知に対する応答は、保守コネクションを有効化した後に実施してもよい。
これにより、EMS3は、NE#E〜NE#Hと直接的な保守通信が可能となり、EMS3のセッション管理の負荷が上昇する。EMS3は、負荷レベルの推移を監視(経過監視)し(処理P409)、負荷レベルが閾値を超えると、図3及び図5に例示したように、GNE起動処理を再度実施することになる。
図16〜図19に例示した処理完了後の接続関係は、図2に例示した接続関係となる。なお、図16に例示した処理シーケンスでは、NEグループ#1について全解除となるため、図2に例示した接続関係に復帰する。
これに対し、図17に例示した処理シーケンスでは、初回の負荷レベルの低下検出時に、図8に例示した接続関係が図20に例示する接続関係に変更される。その後、一定時間の経過監視において閾値超過がなく、更なる負荷レベルの低下が検出された場合に、図18に例示した2回目の解除(全解除)処理が実施され、NEグループ#1は図2に例示した接続関係に復帰する。
このように、EMS3は、低下した負荷レベルに対していくつかの段階的な閾値と対応する解除率を記憶しておき、閾値を超える負荷上昇のリスクを伴う負荷レベルでは、限られた数のNE5を解除対象にする。これにより、閾値を超える負荷上昇のリスクを最小限に抑えることが可能になる。
段階的な解除を行なわずに一斉解除した場合は、EMS3の負荷レベルが急激に上昇して簡単に閾値を超えてしまう結果、GNE起動処理を繰り返すといった余剰な処理を誘発しかねない。そのため、EMS3の負荷緩和時においては、段階的な解除処理を実施することが効果的である。
EMS3は、段階的な負荷レベル(例えばCPU使用率:50%/20%等)と各負荷レベルに対応するNE解除数(例えば全管理NE数の50%/100%等)を予め処理条件(ポリシー)を記憶しておいてよい。これにより、負荷減少時に負荷レベルが閾値に低下した際に、対応するNE解除数の範囲内で解除処理を実施してEMS3配下に解除したNE5を復帰させることが可能である。
(EMS及びGNE(NE)の構成例)
次に、上述した各実施形態で説明した機能を実現するEMS3及びGNE(NE)5の構成例について説明する。
(EMSの構成例)
図21は、EMS3のハードウェア構成例を示すブロック図であり、図22は、EMS3のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
EMS3は、例示的に、サーバコンピュータ等のコンピュータを用いて実現可能である。図21に示すように、EMS3は、ハードウェア構成に着目すると、例示的に、CPU31、メモリ32、ハードディスクドライブ(HDD)33、イーサネットインタフェース34、及び、USBインタフェース35を備える。なお、「イーサネット」は登録商標である。
CPU31は、演算処理能力を演算処理装置の一例であり、メモリ32やHDD33に記憶されたプログラム(あるいはソフトウェア)やデータ等を読み取って動作することにより、EMS3全体の動作を制御する。
プログラムやデータには、EMS3が上述した各実施形態で述べたOAM機能を実現するプログラムやOAM機能に用いられるデータ等が含まれる。データには、図7に例示したEMS管理テーブル300や、既述のEMS3の負荷レベルに関する閾値、負荷レベルに応じた解除率等が含まれる。
CPU31が、これらのプログラムやデータを読み取って動作することにより、上述した各実施形態で述べたOAM機能がEMS3において具現される。このように具現されるOAM機能に着目したソフトウェア構成例を例示したのが図22である。
メモリ32及びHDD33は、記憶部の一例であり、上述のごとくEMS3がOAM機能を具現するのに用いるプログラムやデータを記憶する。メモリ32は、例示的に、CPU31のワークメモリとして機能し、CPU31は、HDD33に記憶されたプログラムやデータをメモリ32に展開して用いる。
イーサネットインタフェース34は、図1に例示したようにNE5との相互通信(保守通信と称してもよい。)を可能にする有線伝送路に対応した伝送路インタフェースの一例である。EMS3(CPU31)は、イーサネットインタフェース34を通じてNE5との間の保守コネクションを有効化したり無効化したりすることができる。
USBインタフェース35は、記録媒体の一例であるUSBメモリをEMS3に接続することを可能にする記録媒体インタフェースの一例である。USBインタフェース35に接続したUSBメモリから、当該USBに記憶されたプログラムやデータをCPU31が読み取って例えばHDD33に記憶することで、上述したOAM機能を具現するプログラム等をEMS3にインストールすることができる。なお、OAM機能を具現するプログラム等のEMS3へのインストールは、インターネット等の通信回線を介して行なってもよい。
次に、図22に示すように、EMS3は、ソフトウェア構成に着目すると、例示的に、GNE管理部36、NE管理部37、EMS機能部38、及び、負荷管理部39を備える。
GNE管理部36は、例示的に、NE5との間の保守コネクションの制御(有効化及び無効化)や、GNE候補の決定(選定)、GNEの変更、GNEの起動及び解除処理等を実施する。そのため、GNE管理部36は、例示的に、保守コネクション制御部361、GNE候補決定部362、GNE変更処理部363、GNE起動/解除処理部364を備える。
保守コネクション制御部361は、GNE5の起動、変更及び解除に応じて、NE5との間の保守コネクションの設定(有効化及び無効化)を制御する。例示的に、保守コネクション制御部361は、既述のように、GNE5配下に従属したNE5との間の保守コネクションを無効化したり、GNE解除処理によってEMS3配下に復帰したNE5との間の保守コネクションを有効化したりする。
GNE候補決定部362は、例えばNE管理部37と連携して動作することにより、既述のように、各NE5の負荷情報に基づいてGNE候補のNE5を決定する。各NEの負荷情報は、例示的に、後述するNE負荷状況変化管理部371にて管理される。
GNE変更処理部363は、既述のGNE機能の移管処理(例えば図14参照)に伴ってGNE5からGNE変更通知が受信された場合に、GNE5をGNE変更通知により通知されたGNE5に変更する処理を実施する。なお、GNE変更通知は、例示的に、NE管理部37のGNE変更通知処理部372にて受信され、GNE変更処理部363に転送される。
GNE5の変更処理には、保守コネクション制御部361に対して変更前後のGNE5を識別する情報を通知する処理が含まれてよい。これにより、保守コネクション制御部361は、変更前のGNE5との保守コネクションを無効化するとともに、変更後のGNE5との保守コネクションを有効化することができる。
GNE起動/解除処理部364は、NE管理部37及び負荷管理部39と連携してGNE5の起動及び解除処理を実施する。例示的に、GNE起動/解除処理部364は、EMS3の負荷レベルが所定の閾値レベルを超えた場合に、NE管理部37のGNE起動/解除通知処理373に対してGNE起動要求を送信する指示を与える。また、GNE起動/解除処理部364は、EMS3の負荷レベルが所定の閾値レベル以下となった場合に、NE管理部37のGNE起動/解除通知処理373に対してGNE解除要求を送信する指示を与える。
さらに、GNE起動/解除処理部364は、GNE起動/解除通知処理373を通じてGNE5からGNE起動通知を受信すると、当該通知に含まれる、GNE5配下に従属したNEリストを保守コネクション制御部361に通知する。さらに、GNE起動/解除処理部364は、GNE5からGNE解除通知が受信されると、当該通知に含まれる解除対象のNEリストを保守コネクション制御部361に通知する。
保守コネクション制御部361は、GNE起動/解除処理部364から通知されたNEリストに含まれるNE5に対する保守コネクションを無効化あるいは有効化する。これにより、GNE5の起動あるいは解除に応じたNE5との間の保守コネクションの制御が可能になる。
NE管理部37は、例示的に、EMS機能部38のヘルスチェック処理部381と連携してNE5の負荷状況を管理するとともに、GNE起動通知及びGNE変更通知の受信処理、並びに、GNE候補通知、GNE起動要求及びGNE解除要求の送信処理を実施する。
そのため、NE管理部37は、例示的に、NE負荷状況変化管理部371、GNE変更通知処理部372、及び、GNE起動/解除通知処理部373を備える。
NE負荷状況変化管理部371は、ヘルスチェック処理部381により実行されるヘルスチェックシーケンスにおいて取得される各NE5の負荷情報を収集、管理し、各NE5の負荷状況及びその変化を管理する。当該NE負荷状況変化管理部371で管理される負荷情報を基にGNE候補決定部362によるGNE候補の決定が実施される。
GNE変更通知処理部372は、例示的に、GNE5が変更(移管)される場合に変更前のGNEから送信されるGNE変更通知を受信処理してGNE変更処理部363に転送する。
GNE起動/解除通知処理部373は、例示的に、GNE5から送信されたGNE起動通知の受信処理と、GNE候補に決定したNE5に対するGNE候補通知、当該NE5に対するGNE起動要求及びGNE5に対するGNE解除要求の送信処理と、を実施する。
EMS機能部38は、例示的に、EMS3の管理下に従属するNEに対するヘルスチェック処理を実施するヘルスチェック処理部381を備える。ヘルスチェック処理部381は、既述のとおりNE5との間でヘルスチェックシーケンスを実施する。
負荷管理部39は、EMS3の負荷を管理する。そのため、負荷管理部39は、例示的に、負荷レベル管理部391と負荷判定部392とを備える。
負荷レベル管理部391は、EMS3の負荷情報の一例としてCPU31の使用率等の負荷レベルを監視し管理する。
負荷判定部392は、負荷レベル管理部391で監視、管理されている負荷レベルと所定の閾値レベルとを比較して、EMS3の負荷が閾値レベルを超えて上昇したか、あるいは、閾値レベル未満に低下したかを判定する。当該判定の結果が、GNE起動/解除処理部364によるGNE5の起動又は解除処理のトリガに用いられる。
(GNE(NE)の構成例)
図23は、GNE(NE)5のハードウェア構成例を示すブロック図であり、図24は、GNE(NE)5のソフトウェア構成例を示すブロック図である。
図23に示すように、NE5は、ハードウェア構成に着目すると、例示的に、呼処理プロセッサ50、無線処理部51、有線処理部52、保守プロセッサ53、メモリ54、及び、HDD55を備える。
呼処理プロセッサ50は、演算能力を有する演算処理装置の一例であり、無線処理部51を通じた無線通信と、有線処理部52を通じた有線通信と、を制御(例示的に、呼制御)する。呼制御に用いられるプログラム(あるいはソフトウェア)やデータは、例示的に、メモリ54やHDD55に記憶されている。呼処理プロセッサ50は、これらのプログラムやデータを適宜にメモリ54やHDD55から読み込んで動作することで、呼制御を実施する。
無線処理部51は、呼処理プロセッサ50からの制御に応じて例えば無線端末との間で送受信される無線信号を処理する。
有線処理部52は、呼処理プロセッサ50からの制御に応じて例えばEMS3や他のNE5との間で有線通信により送受信される信号を処理する。当該有線通信には、例示的に、既述のX2インタフェースやRNSAPインタフェースを通じた通信が含まれる。
保守プロセッサ53は、呼処理プロセッサ50と同様に、演算能力を有する演算処理装置の一例であり、メモリ54やHDD55に記憶されたプログラムやデータを適宜に読み込んで動作することにより、既述の各実施形態で説明したGNE機能を具現する。データには、図10に例示した管理テーブル500や、GNE5の負荷レベルに関する閾値等が含まれる。このように具現されるGNE機能に着目したソフトウェア構成例を例示したのが図24である。
なお、当該GNE機能を具現するプログラム及びデータは、EMS3の場合と同様に、USBメモリ等の記録媒体から例えばHDD55にインストールされてもよいし、インターネット等の通信回線を通じてHDD55にインストールされてもよい。
メモリ54及びHDD55は、NE5における記憶部の一例であり、上述したように、呼処理プロセッサ50が呼制御に用いるプログラムやデータを記憶するとともに、保守プロセッサ53がGNE機能を具現するのに用いるプログラムやデータを記憶する。メモリ54は、例示的に、各プロセッサ50及び53のワークメモリとして機能し、各プロセッサ50及び53は、HDD55に記憶されたプログラムやデータをメモリ54に展開して用いる。
次に、図24に示すように、NE5は、ソフトウェア構成に着目すると、例示的に、GNE機能部56、EMS管理部57、負荷管理部58、及び、セカンダリGNE機能部59を備える。
GNE機能部56は、例示的に、EMS3からGNE候補通知を受けた場合に当該NE5の配下に従属するNE5の従属関係を管理し、GNE機能の起動及び解除、セカンダリGNE5の決定制御、及び、セカンダリGNE5へのGNE変更制御等を実施する。
GNE機能部56は、監視部の一例であるEMS管理部57(又は、セカンダリGNE機能部59)の監視結果に応じて、保守コネクションの設定を制御する制御部の一例である。例えば、当該制御部は、自NE5と配下NE5との間の保守コネクションの設定と、EMS3と配下NE5との間の保守コネクションの設定と、を制御する。
そのため、GNE機能部56は、例えば、配下NE従属関係管理部561、起動/解除制御部562、セカンダリGNE決定制御部563、及び、GNE変更制御部564を備える。
配下NE従属関係管理部561は、例示的に、当該NE5の管理下に従属するNE5の従属関係を管理する。例えば、図6に例示したNEグループ#1のGNE#1であれば、配下NE従属関係管理部561は、NE#A,NE#B及びNE#Dが配下に従属していることを管理する。図6に例示したNEグループ#2のGNE#2であれば、配下NE従属関係管理部561は、NE#F,NE#G及びNE#Hが配下に従属していることを管理する。
起動/解除制御部562は、EMS管理部57と連携してGNE機能の起動及び解除を制御する。例えば、起動/解除制御部562は、図3〜図5により説明したGNE起動処理及び図16〜図19により説明したGNE解除処理を実施する。
セカンダリGNE決定制御部563は、負荷管理部58と連携して例えば図5及び図11に例示したセカンダリGNE候補の決定、及び、決定したセカンダリGNE候補との間の通信(例えば、ヘルスチェックシーケンスを含む)制御を実施する。
GNE変更制御部564は、セカンダリGNE機能部59と連携して、例えば図12〜図14により説明した、プライマリGNE5からセカンダリGNE5へのGNE変更処理を制御する。
EMS管理部57は、EMSとの通信を監視することによりEMS3の状態(例えば、負荷の上昇及び低下、並びに、障害の発生及び復旧)を監視する。そのため、EMS管理部57は、例示的に、EMS障害判定部571、EMS負荷判定部572、及び、ヘルスチェック監視機能を含むEMS通信処理部573を備える。
EMS障害判定部571は、例えば、EMS3から所定周期でヘルスチェック信号を受信できないことがEMS通信処理部573にて検出された場合に、EMS3に障害が発生したと判定する。当該判定結果は、GNE機能部56の起動/解除制御部562に通知され、これにより、起動/解除制御部562は、GNE起動処理を実施する。
また、EMS障害判定部571は、EMS3に障害が発生したと判定した後に、EMS3からヘルスチェック信号を受信したことがEMS通信処理部573にて検出された場合に、EMS3の障害が復旧したと判定する。当該判定結果は、GNE機能部56の起動/解除制御部562に通知され、これにより、起動/解除制御部562は、GNE解除処理を実施する。
EMS通信処理部573は、EMS3との間の通信を処理する。当該処理には、既述のヘルスチェックシーケンスで送受信される信号の処理が含まれる。例えば、EMS通信処理部573は、EMS3から所定周期でヘルスチェック信号が受信されるか否かを監視し、その監視(検出)結果をEMS障害判定部571へ通知する。
また、EMS通信処理573は、自NE5の負荷情報をEMS3へ送信する送信部の一例であり、例示的に、EMS3から周期的に受信されるヘルスチェック信号に対する応答信号に、自NE5の負荷情報を含める。さらに、EMS通信処理部573は、既述のマジックパケットをEMS3宛に送信することが可能である。
また、EMS通信処理部573は、EMS3からGNE候補通知、GNE起動要求あるいはGNE解除要求が受信されるか否かを監視する。したがって、EMS通信処理部573は、EMS3から送信された信号を受信する受信部の一例でもある。これらの通知あるいは要求が受信されると、EMS通信処理部573は、当該受信の旨をEMS負荷判定部572に通知する。
EMS負荷判定部572は、GNE起動要求の受信がEMS通信処理部573から通知されると、EMS3に所定の閾値を超える負荷上昇が生じたと判定し、その判定結果をGNE機能部56の起動/解除制御部562に通知する。これにより、起動/解除制御部562は、GNE起動処理を実施する。
また、EMS負荷判定部572は、GNE解除要求の受信がEMS通信処理部573から通知されると、EMS3の負荷が所定の閾値未満に低下したと判定し、その判定結果をGNE機能部56の起動/解除制御部562に通知する。これにより、起動/解除制御部562は、GNE解除処理を実施する。
なお、GNE解除要求に解除率が指定されている場合、例えば、当該解除率がEMS通信処理部573からEMS負荷判定部572を通じて起動/解除制御部562に通知される。当該通知を受けた起動/解除制御部562は、例えば図17〜図19により説明したように、指定の解除率に従ってGNEの段階的な解除処理を実施する。
負荷管理部58は、例示的に、セカンダリGNE5を含む配下NE5の負荷状態を監視する。そのため、負荷管理部58は、例示的に、負荷診断判定部581及びヘルチェック処理部582を備える。
ヘルスチェック処理部582は、図11に例示したようにセカンダリGNE5を含む配下NE5との間でヘルスチェックシーケンスを実施し、ヘルスチェック信号及び応答信号に含まれる負荷情報を負荷診断判定部581に通知する。
負荷診断判定部581は、ヘルスチェック処理部582から通知された負荷情報を基に、セカンダリGNE5の負荷状態を診断、判定し、例えば、負荷レベルが閾値以下かつ最も低いNE5に変更があれば、その旨をセカンダリGNE決定制御部563に通知する。当該通知を受けたセカンダリGNE決定制御部563は、当該NE5をセカンダリGNEとして決定する(セカンダリGNEの更新:図11参照)。
セカンダリGNE機能部59は、監視部の一例であり、(プライマリ)GNE5との通信を監視することによりGNE5の状態(例えば、負荷の上昇及び低下、並びに、障害の発生及び復旧)を監視する。そのため、EMS管理部57は、例示的に、GNE障害判定部591、GNE負荷判定部592、及び、ヘルスチェック監視機能を含むGNE通信処理部593を備える。
GNE障害判定部571は、例えば、GNE5から所定周期でヘルスチェック信号を受信できないことがGNE通信処理部593にて検出された場合に、GNE5に障害が発生したと判定する。当該判定結果は、GNE機能部56のGNE機能移管制御部564に通知され、これにより、GNE機能移管制御部564は、GNE機能の移管処理を実施する(例えば図13及び図14参照)。
GNE通信処理部593は、GNE5に選定された他のNE5との間の通信を処理する。当該処理には、既述のヘルスチェックシーケンスで送受信される信号の処理が含まれる。例えば、GNE通信処理部593は、GNE5から所定周期でヘルスチェック信号が受信されるか否かを監視し、その監視(検出)結果をGNE障害判定部591へ通知する。また、GNE通信処理部593は、GNE5からGNE移管要求が受信されるか否かを監視する。GNE移管要求が受信されると、ヘルスチェック監視部593は、当該受信の旨をGNE負荷判定部592に通知する。
GNE負荷判定部592は、GNE移管要求の受信がGNE通信処理部593から通知されると、GNE5に所定の閾値を超える負荷上昇が生じたと判定し、その判定結果をGNE機能部56のGNE変更制御部564に通知する。これにより、GNE変更制御部564は、セカンダリGNEへのGNE変更処理を実施する(例えば図12及び図14参照)。
なお、セカンダリGNE5は、プライマリGNE5の負荷緩和あるいは障害復旧によりプライマリGNE5配下に従属(復帰)してもよい。当該復帰は、例えば、GNE変更制御部564とセカンダリGNE機能部59とが連携して、セカンダリGNE5との間でネゴシエーションを実施することで実現可能である。
例えば、セカンダリGNE5におけるGNE障害判定部591は、プライマリGNE5に障害が発生したことを検出した後に、当該GNE5からヘルスチェック信号を受信したことがGNE通信処理部593にて検出されると、GNE5の障害が復旧したと判定する。また、セカンダリGNE5におけるGNE負荷判定部592は、例えばGNE復帰要求の受信がGNE通信処理部593から通知されると、プライマリGNE5の負荷が所定の閾値未満に低下したと判定する。
これらの判定結果は、GNE機能部56のGNE変更制御部564に通知され、GNE変更制御部564は、通知された判定結果に応じて、セカンダリGNE5をプライマリGNE5の配下NEとして復帰させるためのネゴシエーションをプライマリGNE5との間で実施する。
以上のように、上述した各実施形態によれば、保守者不介在でネットワーク管理を自律的に最適化し、柔軟で信頼度の高いネットワーク管理を実現することができる。例えば、EMS3の状態を監視するGNE5が、監視結果に応じて、NE間インタフェースを通じて通信可能な他のNE5との間に保守コネクションの設定を制御する。これにより、GNE5とその配下に従属するNE5とを含む管理グループを自律的に形成(構築)することができる。したがって、EMS3の異常状態の検出やGNE5の設定、起動等を、保守者不介在で、EMS3及びNE5に搭載されるソフトウェア制御により実施することができる。
また、NE5におけるGNE機能は、EMS3との間の保守通信のゲートウェイとして機能するだけでなく、EMS3によるNE5の監視を代行する機能を具備するので、EMS3に異常状態が生じても、GNE5によってNE5に対するOAMの継続が可能である。したがって、NE5の最低限のサービス継続を保証するOAMが可能になる。
さらに、EMS3は、GNE5配下に従属したNE5のリストを含み、当該NE5との間保守コネクションを解除する要求である制御信号をGNE5から受信することにより、GNE5配下に従属したNE5との間の保守コネクションを解除できる。したがって、EMS3による監視対象のNE数が削減されるので、EMS3における保守通信のためのセッション管理の負荷を軽減することができる。
なお、上述した例では、EMS3が監視対象のNE5の負荷情報を周期的に収集することにより、GNE候補に選定するNE5を各NE5の負荷変動に応じて適応的に変更するが、GNE候補は予め定めておいてもよい。例えば、他のNE5に比べて処理能力が高く負荷レベルが定常的に一定レベル以内に収まることが予め分かっているNE5が存在すれば、当該NE5を予めGNE候補に設定しておいてもよい。