以下、好ましい実施例を図面を用いて説明する。
本実施例では、ネットワーク全体を複数のエリアに分割してネットワークの障害を監視し、障害発生時に設定した伝送パスの迅速な復旧を行う例について説明する。また、本実施例では、通信システムがパケットトランスポートネットワークを構成する例について説明する。
図1は、本実施例における通信システム構成図の例である。本実施例の通信システムは、ネットワーク管理サーバ9、通信装置11〜14、21〜24、31〜34、41〜44、51〜54、61〜64、71〜74、81〜84、及び端末101〜102、を有する。本実施例では、通信装置11〜14はエリア1を構成し、通信装置21〜24はエリア2を構成し、通信装置31〜34はエリア3を構成し、通信装置41〜44はエリア4を構成し、通信装置51〜54はエリア5を構成し、通信装置61〜64はエリア6を構成し、通信装置71〜74はエリア7を構成し、通信装置81〜84はエリア8を構成する。また、運用開始段階において、現用系の伝送パス1(端末101、通信装置91、14、11、54、53、84、83、42、43、92を経由して端末102へ接続)が設定される。
ネットワーク管理サーバ9は、各エリアを通過する伝送パスに対して、エリアの入口側通信装置と出口側の通信装置と間において、エリア内のプロテクションパスを設定する。例えば、図1に示したエリア1においては、現用系の伝送パスが通信装置14にて伝送データを受信し、通信装置11より他エリアへ送信されるため、通信装置14と通信装置11の間の伝送パスに対して、通信装置14から通信装置13、12を経由して通信装置11に到達する経路に対して、エリア内のプロテクションパスを設定する。すなわち、通信装置14と11間のリンクにおいて、疎通があるかどうかを常に監視し、疎通が無くリンク障害が発生したと判定した場合、迂回経路として設定した、通信経路14から通信装置13、12を経由して通信装置11に到達する経路を用いて受信したデータの伝送を継続する処理を実行する。
また、現用系として設定したパスが通過するエリア5、8、4に対しても、図9に示したように、同様のエリア内プロテクションパスが設定される。さらに、端末101が接続する通信装置91と端末102が接続する通信装置92間の現用系の伝送パスに対して、図9に示した端点の通信装置である91と92間(端点間)のプロテクションパスを設定する。すなわち、通信装置91は、通信装置92との間において疎通があるか否かを常に監視し、疎通が無い場合には、上記設定した迂回路でのデータ伝送に、瞬時(例えば、数十ミリ秒というオーダー)に切り替わる。詳細には、図2を用いて後述するが、基本的な迂回路の設定として、現用系のパスが通過するエリアを極力通過しない経路を選択するように迂回路(プロテクションパス)が設定される。
また、ネットワーク管理サーバ9は、設定した伝送パスに対して、エリア単位で障害が発生した場合の復旧パスを事前に算出する。本実施例では、8個のエリアが存在するため、エリア単位の障害発生パターンとしては、256通りとなる。どのエリアにおいても障害が発生していない状態が1通り、ある1つのエリアが障害となっている状態が8通り、ある2つのエリアが障害となっている状態が28通り、ある3つのエリアが障害となっている状態が56通り、ある4つのエリアが障害となっている状態が70通り、ある5つのエリアが障害となっている状態が56通り、ある6つのエリアが障害となっている状態が28通り、ある7つのエリアが障害となっている状態が8通り、そして全てのエリアにおいて障害が発生している状態が1通りである。
ネットワーク管理サーバ9は、図8に示したように、前記の全ての障害パターンに対して識別子(ID)を付与し、現用系として設定する伝送パスに対する復旧パスを算出する。また、ネットワーク管理サーバ9は、図8に示したエリア障害パターンに対する伝送パスの復旧設定データから、例えば図10に示す、各エリア障害パターンに対するパスの復旧設定(復旧面)を算出する。図10では、エリア3及び8に障害が発生した場合の復旧面26における復旧パスの設定を示している。さらに、ネットワーク管理サーバ9は、図10に示した復旧面毎のデータより、図11、図12に示したように各通信装置における伝送パスの復旧設定(復旧面)を算出し、算出したテーブルを各装置へ通知する。各通信装置は、受信した復旧面毎のパスの復旧テーブルを保持する。なお、図8から図12に示すテーブルの詳細については後述する。
ネットワーク管理サーバ9は、各通信装置に対して復旧面毎の復旧パス設定テーブルを通知し、またエリア内プロテクションパスを設定、及び端点間のプロテクションパスを設定した後、通信システム内の通信装置の障害発生有無を監視し、エリア単位で障害が発生したか否かを判定し、その判定した障害パターンに応じた復旧面を選定し、各通信装置に対して設定パス復旧のための同一の復旧面IDを通知する。本実施例では、障害復旧に関係する全ての通信装置に対して同一のIDを送信するため、ネットワーク管理サーバ9は個々との通信装置に対して異なる情報を通知する必要がない。そのため、例えば、管理制御用のマルチキャストネットワークを、ネットワーク管理サーバ9と全ての通信装置間で構築することにより、ネットワーク管理サーバ9は1回の障害復旧用のIDを送信することにより、通信システム全体の復旧を指示することが出来る。各通信装置は、障害が発生した場合、ネットワーク管理装置より通知される復旧面のIDに従い設定パスの復旧設定を行い、受信データの伝送を実行する。
図2は、本実施例における小規模障害復旧後の通信システム構成図の例である。図2内の実線にて示した伝送パスは、エリア8において、通信装置84と83間のリンクに障害が発生し、エリア8内においてプロテクション機能が働いた後の現用系の伝送パスの状態を示している。一方、図2内の点線にて示した伝送パスは、現用系の伝送パスに対する端点間でのプロテクションパスの経路を示している。現用系の伝送パスが、エリア1、5、8、4を経由する経路にて設定されているため、端点間のプロテクションパスを設定する経路は、極力現用系の伝送パスが経由しないエリアを通過するように設定する。すなわち、通信装置91から、エリア2、6、7、3を経由して通信装置92へ到達する経路にて、端点間のプロテクションパスが、ネットワーク管理装置9により設定される。
また、通信装置91は、通信装置92との間において、実線で示された現用系の伝送パスに対して、疎通があるか否かを検査用のデータを送受信することにより、常に監視する。図2中では、現用系の伝送パスが通過するエリア5と8間のリンクに障害が発生した場合が想定されている。エリア5と8間のリンクに障害が発生した場合、通信装置91と92間の疎通が無くなり、通信装置91が現用系の経路に障害が発生したことを検知する。また、通信装置91は、現用系の伝送経路に障害が発生したことを検知すると、端点間のプロテクションパスとして設定した迂回路によるデータの伝送へと瞬時に切り替える。すなわち、通信装置91は、障害発生前は、端末101から受信したデータを通信装置14に伝送していたが、障害を検知した後は、端末101から受信したデータを通信装置24に対して伝送するように瞬時に切り替える。
図3は、本実施例における大規模障害復旧後の通信システム構成図の例である。図3中のネットワーク管理サーバ9は、通信システム内の全ての通信装置の障害発生有無を監視し、エリア単位で障害が発生したかを監視する。本実施例では、エリア3及びエリア8に障害が発生した場合を例に説明する。図3内のネットワーク管理サーバ9や通信装置、及び端末全ては、図1内の記載と同一である。図3において、実線にて示した伝送系は、図2において端点間のプロテクションが実行された後の伝送パスを示している。一方、図3において、点線にて示した経路は、エリア単位での障害を想定して事前に算出した伝送パスを示す。特に図3において点線にて示した経路は、端末101と102間の現用系の経路に対して、エリア3と8に障害が発生した場合の迂回路(復旧面)の設定を示している。
ネットワーク管理サーバ9は、図3中の全ての通信装置の稼働を監視しており、通信装置31〜34、及び通信装置81〜84の稼動が確認できない場合、エリア3とエリア8において障害が発生したと判定する。本実施例では、エリア3と8に障害が発生しており、図2において設定した端点間のプロテクションパスが損傷しており、通信が継続できない状態である。これに対してネットワーク管理サーバ9は、エリア3及びエリア8の障害を検出し、それらエリア障害に対する復旧面26(図3において点線に示した迂回路の設定)を選定し、復旧面を通知するためのIDを通信システム内の通信装置へと通知する。
管理制御用のネットワークとして、マルチキャストネットワークを用い、全ての通信装置及び端末に対して同一の復旧用のIDを通知する。なお、管理制御用のネットワークとしてマルチキャストネットワークを用いず、復旧面に関係した通信装置及び端末に対してのみ、個々に復旧面を示すIDを通知しても良い。例えば、後述する図10記載のテーブルを活用することにより、復旧面に関係する通信措置及び端末を容易に特定できる。
図3の例では、エリア3及びエリア8において障害が発生した場合を想定しており、ネットワーク管理サーバ9は、復旧面を示すIDである値26を、稼働する全ての通信装置に通知する。なお、現用系の伝送パスを復旧する観点では、ネットワーク管理サーバ9は、少なくとも通信装置91、14、11、54、51、52、61、62、71、72、73、41、44、43、及び92へ通知する。復旧面IDを受信した通信装置は、以下の設定変更を実施する。
すなわち、通信装置91は、伝送パス1の接続を通信装置24から通信装置14に切替える。通信装置14は、通信装置91から受信したデータを通信装置11へ伝送する。通信装置11は、通信装置14から受信したデータを通信装置54伝送する。通信装置54は、通信装置11から受信したデータを通信装置51へ伝送する。通信装置51は、通信装置54から受信したデータを通信装置52へ伝送する。通信装置52は、通信装置51から受信したデータを通信装置61へ伝送する。通信装置61は、通信装置52から受信したデータを通信装置62へ伝送する。通信装置62は、通信装置61から受信したデータを通信装置71へ伝送する。通信装置71は、通信装置62から受信したデータを通信装置72へ伝送する。
通信装置72は、通信装置71から受信したデータを通信装置73へ伝送する。通信装置73は、通信装置72から受信したデータを通信装置41へ伝送する。通信装置41は、通信装置73から受信したデータを通信装置44へ伝送する。通信装置44は、通信装置41から受信したデータを通信装置43へ伝送する。通信装置43は、通信装置44から受信したデータを通信装置92へ伝送する。以上の伝送パス切替えを実行することにより、端点間のプロテクションにて設定した伝送パス1は、端末101から通信装置91、14、11、54、51、52、61、62、71、72、73、41、44、43、92を経由し、端末102へと接続される。なお、図示していないが、逆方向の端末102から端末101への通信に対しても同様に設定される。
以上説明したように、ネットワーク管理サーバ9においてエリア単位で障害監視を行い、監視するエリアに障害が発生した場合は、障害から回復するめの復旧面IDを通知することにより、迅速に障害から復旧することが可能となる。なお、本実施例では、全てのネットワーク接続を同一のネットワークを仮定して説明したが、端末とエリアを接続するネットワークが、エリア間を接続するネットワークと種別が異なる設定でも良い。例えば、エリア間を接続するネットワークがMPLS−TP(Multi―Protocol Label Switching − Transport Profile)ネットワークであり、端末とエリア内の通信装置を接続するネットワークがIP(Internet Protocol)ネットワークといった構成でも良い。
図4は、本実施例における障害復旧設定の流れを示すシーケンス図の例である。ネットワーク管理サーバ9は、ネットワーク管理者等からのパス設定入力を受け付ける(ステップS201)。ネットワーク管理サーバ9は、入力されたパス設定に従い、現用系として運用する、各通信装置への設定パスを算出する(ステップS202)。ネットワーク管理サーバ9は、エリア内の障害から復旧するための設定パスを算出する(ステップ203)。ネットワーク管理サーバ9は、現用系の伝送パスとして設定した経路に対して、最大限通過するエリアが異なるように端点間のプロテクションパス(迂回路)を算出する(ステップS204)。
ネットワーク管理サーバ9は、エリア単位に対する障害が発生した場合の伝送パス復旧設定(復旧面)を算出する(ステップS205)。より詳細には、ネットワーク管理装置9は、例えば図8にて後述するエリア障害パターン毎に、現用系のパスを復旧するパスリストから構成される復旧面の算出を実行する。なお、本実施例では、復旧面の算出は、想定されるエリア障害パターン全てに対して算出するが、特定のエリアにおける障害パターンに対してのみ算出しても良い。ネットワーク管理サーバ9は、前記算出したエリア障害パターン毎の復旧面データから、例えば図10にて後述する復旧面毎の復旧パス設定を算出する。また、ネットワーク管理サーバ9は、前記算出した復旧面毎の復旧パス設定データから、例えば図11から図12に示す通信装置毎、且つ復旧面毎の復旧パス設定を算出する。さらに、エリア間のプロテクションと端点間のプロテクションではそれぞれタイマーを用いるため、ネットワーク管理者等から各タイマーの値の設定入力を受け付ける。
ネットワーク管理サーバ9は、算出した各種の復旧パス設定およびタイマーの設定値を、各エリア内に存在する通信装置へと通知及び設定し、現用系として運用する伝送パスの設定、及び障害復旧時の伝送パス設定を実行する(ステップS206−1〜10)。ステップS206に続き、エリア内のプロテクション設定とタイマーの設定値を受信した通信装置は、其々においてプロテクションパスの設定とタイマーの設定を実行する(ステップS207−1〜4)。エリア内のプロテクション設定は例えば図1に示したエリア8の通信装置81において通信装置84から受信して通信装置82へ伝送するという設定であって、通信装置84が通信装置83との間でリンク85に障害を検出した場合、通信装置84が通信装置81へ送信先を切り替えるだけで、復旧面IDなどを通知する必要もなく、通信装置81は通信装置82へ伝送するという設定である。
ステップ207に続き、端点間のプロテクションパス設定とタイマーの設定値を受信した通信装置は、其々においてプロテクションパスの設定を実行する(ステップ208−1〜6)。端点間のプロテクションパスの設定は例えば図2に示したエリア2の通信装置24において通信装置91から受信して通信装置21へ伝送するという設定であって、通信装置91が通信装置14との間でリンクに障害を検出した場合、或いは、通信装置92との間において疎通がないと判定した場合、通信装置91が通信装置24へ送信先を切り替えるだけで、復旧面IDなどを通知する必要もなく、通信装置24は通信装置21へ伝送するという設定である。また、通信装置91、92はステップ208−5、6において、障害を検出してから端点間のプロテクションを実行するまでの時間として、例えば100ミリ秒の時間を設定する。なお、ステップ208−1〜4において他の伝送パスのプロテクションのためにタイマーの設定を実行しても良い。
ステップS208に続き、エリア単位での障害復旧に対する復旧面の設定を受信した通信装置は、其々において復旧面の設定を実行する(ステップS209−1〜10)。復旧面の設定は、通知された復旧面IDに基づいて伝送するパスの設定である。
図4ではエリアそれぞれへエリア内のプロテクション設定あるいは端点間のプロテクションパス設定のいずれかの設定を実行する例を示したが、1つのエリアへ両方の設定を実行しても良い。図1などには端末101、102の伝送パス1のみを示したが、他にも端末を接続し、複数の伝送パスが設定される場合、1つのエリアへ第1の伝送パスのエリア内のプロテクション設定を実行するとともに第2の伝送パスの端点間のプロテクションパス設定を実行することも可能である。また、図1に示したエリア8の通信装置81においてエリア内のプロテクション設定は通信装置84から受信して通信装置82へ伝送する設定とし、端点間のプロテクションパス設定は通信装置72から受信して通信装置84へ伝送する設定とすることなども可能である。
図5は、本実施例におけるエリア内リンク障害に対する復旧処理の流れを示すシーケンス図の例である。ステップS209に続き、エリア内の各通信装置は、設定されたエリア内プロテクションを実行する必要性のある障害が発生しているか否かを監視する(ステップS210−1〜8)。また、通信装置91及び92は、設定された端点間のプロテクションを実行する必要性のある障害が発生しているか否かを監視する(ステップS210−9〜10)。一方、ネットワーク管理サーバ9は、エリア単位での障害監視を開始する(ステップS211−1〜8)。このエリア単位での障害監視は予め設定された周期で実行しても良い。
図5の例では、エリア8にリンク障害が発生した状況を想定している。より詳細には、通信装置84と83間を接続するリンク85に障害が発生(ステップ212−1)した状況を想定している。通信装置84と83間のリンク85に障害が発生すると、エリア8内の通信装置84及び83により、障害発生が検知される(ステップS213−1)。一方、通信装置91においても、端点間のプロテクション実行のための監視機能により、端点間に一時的に障害が発生していることを検出する(ステップS213−2)。通信装置91は、端点間の疎通に障害が発生した場合、エリア内のプロテクションによる復旧が想定されるため、復旧待ちのタイマーを稼働させる(ステップS214)。なお、本実施例では、タイマー時間を100ミリ秒に設定している。
一方、通信装置84は、ステップS213−1の障害発生検知により、通信装置53から受信したデータを通信装置81へ伝送し、通信装置81は受信したデータを通信装置82へ伝送し、通信装置82は受信したデータを通信装置83へ伝送し、通信装置83は受信したデータを通信装置42へ伝送する迂回路を利用した伝送(エリア内プロテクション)を実行する(ステップ215)。なお、本実施例では、エリア内プロテクションの実行は、50ミリ秒程度で実行がなされる。そのため、タイマー時間を100ミリ秒に設定した通信装置91は、エリア内のプロテクションにより通信経路が復旧される場合、端点間のプロテクション機能は実行しない。本実施例では、端点間のプロテクション実行前に、エリア内プロテクションが実行されるため、端点間の通信復旧が検出され(ステップS216)、通信装置91は、タイマーにて設定した復旧待ちの状態を解除する(ステップS217)。
図6は、本実施例におけるエリア間リンク障害に対する復旧処理の流れを示すシーケンス図である。本実施例では、図6に示したように、エリア5と8を接続するリンクに障害が発生した場合を想定している(ステップS220−1〜2)。エリア5内の通信装置53は、エリア8と接続するリンクに対して障害が発生していることを検出する(ステップS221−1)。また、エリア8内の通信装置84は、エリア5と接続するリンクに障害が発生していることを検出する(ステップS221−2)。一方、通信装置91においても、通信装置92と間における疎通に障害が発生していることを検出する(ステップS221−3)。
ステップ221−1に続き、エリア5内の通信装置53は、障害に対する復旧を試みるが、エリア内でのプロテクションでは救済できないことを確認する(ステップS222−1)。また、ステップ221−2に続き、エリア8内の通信装置84も障害に対する復旧を試みるが、エリア内でのプロテクションでは救済できないことを確認する(ステップS222−2)。一方、通信装置91では、ステップ221−3に続き、エリア内プロテクションによる障害復旧の実行待ちのタイマーを始動させる(ステップS223)。なお、本実施例では、障害復旧待ちのタイマーは100ミリ秒に設定する。そのため、100ミリ秒経過した段階において、エリア内でのプロテクションにより端点間の疎通が回復しない場合、図2において説明した端点間のプロテクションを実行し、通信障害を回復する(ステップS224)。
図7は、本実施例におけるエリア障害に対する復旧処理の流れを示すシーケンス図の例である。図7の例では、エリア3およびエリア8において、エリア障害が発生した場合を想定している(ステップS230−1〜2)。なお、エリア障害とは、エリア内の通信装置すべてに障害が発生する場合、あるいは他のエリアと接続するリンクのすべてに対して障害が発生している状態を示す。ステップ230−1〜2に示したエリア障害が発生すると、通信装置91は、通信装置92と間において設定している端点間のプロテクションに対する疎通確認により、障害が発生していることを検出する(ステップS231)。その後、エリア内でのプロテクションによる復旧待ちのタイマーを稼働させる(ステップS232)。なお、本実施例では、タイマー時間は100ミリ秒を設定している。
しかし、ステップ229−1〜2において説明したように、エリア障害が発生しているため、エリア内のプロテクションは実行されない。通信装置91は、端点間プロテクションの実行を試みるが、図3において説明したように、端点間のプロテクションにて設定した経路においても障害が発生しているため、端点間のプロテクションの実行が不可であることを確認する(ステップS233)。また、通信装置91は、端点間のプロテクションの実行不可をネットワーク管理サーバ9へ通知する(ステップS234)。
ネットワーク管理サーバ9は、端点間のプロテクションが不可であることを受信すると、エリアにおいて障害が発生していることを確認する(ステップS235−1〜2)。ネットワーク管理サーバ9は、エリア3およびエリア8において、エリア障害が発生していることを確認したのち、障害回復のための復旧パターンを判定する(ステップS236)。ネットワーク管理サーバ9は、エリア障害からの回復のための復旧面IDを関係するエリアの通信装置、及び通信装置91と92に対して通知する(ステップS237−1〜7)。具体的には、ネットワーク管理サーバ9は、図示していない管理制御用のマルチキャストネットワークを用いて復旧面IDを通知する。
なお、本実施例では、ネットワーク管理サーバ9は、伝送パスの復旧に関連した通信装置に対してマルチキャストネットワークを用いて復旧面のIDを通知したが、通信装置それぞれに対して、同一のIDを個別に通知しても良い。復旧面のIDを受信したエリア内の通信装置は、復旧面IDに従ったデータ伝送の設定を実行する(ステップS238−1〜5)。具体的には、ネットワーク管理サーバより通知された復旧面IDと事前に受信保持している復旧面毎の伝送パス設定テーブルとから、伝送パス復旧設定を行い、受信データの伝送を実行する。また、通信装置91及び92も、復旧面IDに従ったデータ伝送の設定を実行する(ステップS238−6〜7)
図8は、本実施例におけるエリア障害パターン毎に現用系のパスを復旧するパスリストから構成される復旧面テーブルの例である。図8に示されるように、どのエリアにも障害が発生していない状況を、現在の運用系として管理し、例えば伝送パス1(P1)に関しては、端末101から通信装置91、14、11、54、53、84、83、42、43、92を経由して、端末102に到達する構成を示している。なお、伝送パス1に対して、片方向の伝送パス設定について説明したが、逆方向の伝送パス設定についても同様に実行される。
エリア障害に関して、例えばエリア3とエリア8に障害が発生していることを検出すると、復旧面として復旧面26を選択することを示している。また、復旧面26では、伝送パス1は、端末101から通信装置91、14、11、54、51、52、61、62、71、72、73、41、44、43、92を経由して、端末102に到達する経路が設定されることを示している。
他のエリア障害パターンである、エリア1における障害発生やエリア2の障害発生パターンに対しても、復旧面1や復旧面2が設定され、同様に他の全ての障害パターンに対する復旧面が設定される。なお、本実施例では、復旧面における伝送パスの算出では、障害エリアを経由しないように選択されるが、他の方式、例えば障害エリアを経由せず且つ最短ホップとなるように選択しても良い。
図9は、本実施例における端点間プロテクション及びエリア内プロテクションに対する現用系のパスを復旧するパス設定を示すテーブルの例である。伝送パス1に対する端点間プロテクションは、復旧を実行するためのID(1001)で識別される。また、復旧のための経路として、端末101から通信装置91、24、21、22、63、62、71、74、31、34、33、92を経由して、端末102到達する迂回路構成を示している。また、エリア1、エリア4、エリア5、及びエリア8に対するエリア内プロテクションによる障害復旧は、ID(2001〜2004)で識別される。エリア1に対するエリア内プロテクションによる迂回路として、通信装置14にて受信したデータを通信装置13、12経由で通信装置11まで伝送する迂回路構成を示している。
図10は、本実施例における復旧面26に対する通信装置及び端末毎のパス接続構成の例である。図10は、エリア3及びエリア8に障害が発生した場合の復旧面26における通信装置及び端末のパス復旧接続構成を示している。図10に示したテーブルは、図8のテーブルデータから復旧面26のみに関するデータを、通信装置及び端末毎の伝送パス設定に並び変えたものである。復旧面26では、例えば通信装置51では、伝送パス1に対して、通信装置54から受信したデータを通信装置52へ伝送、及び通信装置52から受信したデータを通信装置54へ伝送する構成を示している。同様に、他の通信装置及び端末についても、データの伝送パス設定が図10のテーブルに記載される。
図11は、本実施例における通信装置54に対する復旧面毎の復旧パス設定リストの例である。例えば、復旧面26では、通信装置54は、伝送パス1(P1)に対して通信装置11から受信したデータを通信装置51に伝送、及び通信装置51から受信したデータを通信装置11に伝送する構成を示している。同様に、他の復旧面についても、データの伝送パス設定が図11のテーブルに記載される。
図12は、本実施例における通信装置91に対する復旧面毎の復旧パス設定リストの例である。例えば、端点間のプロテクション(1001)では、通信装置91は、伝送パス1(P1)に対して端末101から受信したデータを通信装置24に伝送、及び通信装置24から受信したデータを端末101に伝送する構成を示している。同様に、他の復旧面についても、データの伝送パス設定が図12のテーブルに記載される。
図13は、本実施例における通信装置11、12、13、14、21、22、23、24、31、32、33、34、41、42、43、44、51、52、53、54、61、62、63、64、71、72、73、74、81、82、83、84、91、92(通信装置11等とする)のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。通信装置11等は、ネットワークインタフェース110−1〜n、スイッチ111、テーブル管理部112、データ転送テーブル113、利用テーブル制御部116、及びプロテクション管理部117とから構成される。また、データ転送テーブル113は、現用系のパス設定を示すテーブル114と復旧時におけるパス設定を示すテーブル115とから構成される。
通信装置11等は、ネットワークインタフェース110を介してパス設定のためのデータ及び復旧面の識別子(復旧ID)を受信、及びプロテクション実行監視のための生存確認データを送受信する。スイッチ111は、転送用のデータを受信した場合、データ転送用の現用系テーブルに従い、出力先のネットワークインタフェース110へデータをスイッチする。一方、受信したデータが、パス設定のためのデータ及び復旧のためのパス設定識別子(復旧ID)の場合は、テーブル転送部へ受信データをスイッチする。また、生存確認用のデータを受信した場合は、プロテクション管理部117へデータを転送する。一方、生存確認用のデータをプロテクション管理部117から受信した場合は、送信先識別子に従い、他の通信装置へ向けて適切なネットワークインタフェース110へ生存確認用のデータを転送する。
テーブル管理部112では、受信したデータがパス設定の場合、現用系のテーブル114或いは復旧面テーブル115を更新する。一方、テーブル管理部112は、受信したデータが復旧用のパス設定を示す識別子(復旧ID)の場合は、利用テーブル制御部116へ受信した復旧IDを通知する。利用テーブル制御部116は、テーブル管理部112から受信した復旧用のパス設定識別子(復旧ID)に従い、スイッチ111が受信データ転送用に利用する現用系のテーブルを復旧IDが示す転送テーブルに更新する。
図14は、本実施例におけるネットワーク管理サーバ9のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ネットワーク管理サーバ9は、CPU191、メモリ192、ストレージ193、ネットワークインタフェース194を備え、各構成はバス190を介して互いに接続される。CPU191は、ストレージ193に格納された各種のプログラムをメモリ192にロードし、プログラムを実行する。CPU191がプログラムを実行することによってネットワーク管理サーバ9が備える機能を実現できる。メモリ192は、CPU191によって実行されるプログラム及び当該プログラム実行に必要なデータを格納する。メモリ192に格納されるプログラム及びデータについては、図15を用いて後述する。ネットワークインタフェース194−1〜nは、1乃至複数の外部ネットワークと接続するためのインタフェースである
図15は、本実施例におけるネットワーク管理サーバ9のメモリに格納されるプログラム及びデータの例を示す図である。メモリ192では、現用系パス算出処理300、エリア内プロテクション設定算出処理301、端点間プロテクション設定算出処理302、エリア障害毎復旧設定算出処理303、障害エリア監視処理304、及びパス設定処理305を実行する。現用系パス算出処理300では、ネットワーク管理者等からのパス設定入力を受け付け、入力されたパス設定、例えば端末101と端末102間に1Gbpsのパス設定といった入力に従い、現用系の伝送パス1(P1)として運用するための各通信装置への設定パスを算出し、現用系パス設定データベース310としてメモリ192に保持する。本実施例では、伝送パス1(P1)として、端末101と端末102間は、通信装置91、14、11、54、53、84、83、42、43、92を経由して接続され、本設定をパス設定処理305の機能を用いて、各通信装置に対して設定を行う。なお、端末101と端末102間は、同一の伝送品質にて双方向にパス設定しても良いし、異なる伝送品質にて一方向ずつ設定しても良い。
エリア内プロテクション設定算出処理301では、現用系パス算出処理300にて算出した現用系の伝送パスに対して、各エリアにおいて通過する設定に対しての迂回路を算出する。例えば、図1に示したエリア1においては、現用系の伝送パスが通信装置14にて伝送データを受信し、通信装置11より他のエリアへ送信されるため、通信装置14と通信装置11の間の伝送パスに対して、通信装置14から通信装置13及び通信装置12を経由して通信装置11に到達する経路(図9に示したエリア1−P1として示した経路)を、エリア内のプロテクションパスとして算出し、エリア内プロテクション設定データベース311として、メモリ192に保持する。同様に、現用系の伝送パスが通過する他のエリアに対しても、現用系の伝送パスに対する迂回路(図9に示したエリア4−P1、エリア5−P1、エリア8−P1、として示した経路)が算出される。計算方法としては、各エリアにおいて、現用系の伝送パスとして設定される経路のリンクを、迂回路検索のネットワークトポロジーデータから削除して算出する。
端点間プロテクション設定処理算出処理302では、現用系の伝送パスが通過するエリアと極力異なるように、現用系の伝送パスに対する迂回路を算出する。具体的には、現用系の伝送パスが、エリア1、5、8、4を経由する経路にて設定されているため、端点間のプロテクションパスとして設定する経路は、現用系の伝送パスが経由しないエリア、すなわち通信装置91から、エリア2、6、7、3を経由して通信装置92へ到達する経路(図9に示した端点間プロテクションP1のデータ)を、端点間のプロテクションパスとして算出し、端点間プロテクション設定データベース312として、メモリ192に保持する。計算方法としては、現用系の伝送パスとして設定される経路のリンクを、迂回路検索のネットワークトポロジーデータから削除して算出する。
エリア障害復旧設定算出処理303では、ネットワーク管理者等からの入力に従い、図1に示した通信システム全体において、複数の通信装置をまとめてエリアとして管理する設定を行う。また、図8にて示したエリア障害パターン毎の、現用系の伝送パスを復旧するパスリストから構成される復旧面データ(図10〜図12に示したデータ)の算出を行い、エリア障害復旧データベース313としてメモリ192に保持する。
障害エリア監視処理304では、各通信装置の稼動状況を監視し、障害の発生検出と伴にエリア単位での障害有無を判定し、装置およびエリアにおける障害情報を障害エリアデータベース314としてメモリ192に保持する。パス設定処理305では、現用系パス算出処理にて決定された伝送パス設定、エリア内プロテクションパス設定、端点間プロテクションパス設定、及びエリア監視処理304にて決定された復旧IDを各通信装置に通知する。
なお、現用系パス算出処理300、エリア内プロテクション設定算出処理301、端点間プロテクション設定算出処理302、エリア障害復旧設定算出処理303については、図16及び図17のフローチャートを用いて処理フローについて説明する。また、障害エリア監視処理304、及びパス設定処理305については、図20のフローチャート図を用いて処理フローについて説明する。
図16は、本実施例におけるネットワーク管理サーバ9が、通信装置に対する復旧のための復旧パス算出から設定までを説明するフローチャートの例である。ネットワーク管理サーバ9(CPU191)は、ストレージ193に格納されたプログラムをメモリ192にロード後に実行し、障害からの復旧のための設定算出を開始する(ステップS350)。ネットワーク管理サーバ9は、ネットワーク管理者からの入力に従い、管理する通信システム全体に対して、複数の通信装置毎にまとめてエリアとして管理する設定を行う。また、エリア障害パターンの列挙を行い、それぞれに対して復旧面としての識別子を付与する(ステップS351)。本実施例では、8個のエリアに分割して管理を実施するため、全部で256通りのパターンとして識別子を付与して管理する。なお、本実施例では、ネットワーク管理者からの入力にしたがって、通信装置をエリアに分割して管理したが、予めデータベースとして、ストレージ等にエリアの区分けを格納しておいても良い。
ネットワーク管理サーバ9は、ステップS351に続いて、図1において説明した、現用系の伝送パスを算出する(ステップS352)。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS352に続いて、図1において説明した、各エリア内でのプロテクション設定について算出する(ステップS353)。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS353に続いて、図2において説明した、端末間での伝送パスに対する端点間のプロテクション設定について算出する(ステップ354)。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS354に続いて、図3にて説明したエリア障害パターン毎の伝送パスの復旧設定を算出する(ステップS355)。
ネットワーク管理サーバ9は、ステップS355までに算出した通信装置毎の伝送パスを復旧するためのIDと復旧のための伝送パス設定を各通信装置へ通知する(ステップS356)。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS356に続いて、エリア単位での障害監視制御のプロセスを開始し、各通信装置は、プロテクションの実行可否を判定するための監視プロセスを開始する(ステップS357)。
図17は、本実施例におけるネットワーク管理サーバ9が実行する障害復旧面の伝送パス算出を説明するフローチャートの例である。図17は、図16にて説明したステップS355の処理の内容をより詳細に説明する図である。ステップS355の処理は、具体的には、図17に示したステップS360からステップS369のプロセスを有する。ネットワーク管理サーバ9は、エリア障害パターン毎の復旧面パスの算出を開始する(ステップS360)。
ネットワーク管理サーバ9は、ステップS360に続いて、復旧パスが未設定である復旧面を一つ選択する(ステップS361)。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS361に続いて、復旧パスが未設定である現用系の伝送パスを順番に一つ選択する(ステップS362)。本実施例では、順番をパスが必要とする帯域幅の大きい順として実施したが、その他の方法、例えばサービス契約に基づいた優先度等を利用しても良い。ネットワーク管理サーバ9は、ステップS362に続いて、選択した現用系の伝送パスに対する復旧パスを算出する処理を実行する(ステップS363)。復旧パスの算出では、障害発生を想定しているエリアを通過しないように、及び必要とする帯域を確保可能であり且つ最短ホップ数となるように復旧用の伝送パスを算出する処理を実行する。
ネットワーク管理サーバ9は、ステップS363の処理において、復旧用の伝送パスが算出できたか否かを判定する(ステップS364)。ステップS364の判定において、復旧用のパスが算出できた場合は、算出した伝送パスを復旧用の伝送パスとして設定する(ステップS365)。ネットワーク管理サーバは、ステップS365に続き、現用系として設定した伝送パス全てに対する復旧パスを探索したか否かを判定する(ステップS366)。
ステップS366の判定において、現用系の全てのパスに対する復旧パス探索を完了していないと判定した場合は、ステップS362に戻って処理を継続する。ステップS366の判定において、現用系の全てのパスに対する復旧パス探索を完了したと判定した場合は、全ての復旧面に対して復旧パス探索を完了したか否かを判定する(ステップS367)。ステップS367の判定において、全ての復旧面に対して復旧パス探索を完了していないと判定した場合は、ステップS361に戻って処理を継続する。ステップS367の判定において、全ての復旧面に対して復旧パス探索を完了したと判定した場合は、各復旧面における復旧パスの算出処理を終了(ステップS368)し、図16に示したステップS356の処理を開始する。ステップS364の判定において、復旧用のパスが算出できなかった場合は、復旧パスの算出不可を表示する(ステップS369)。ステップS369の処理を実行した後、ステップS362に戻って処理を継続する。
図18は、本実施例におけるエリア内の通信装置が実行するエリア内プロテクションを説明するフローチャートの例である。このフローチャートの処理は、図13を用いて説明したように生存確認するためのデータを管理する通信装置内、特にエリア内にある図1では通信装置11内等のプロテクション管理部117が実行する。エリア内を通過する現用系の伝送パスに対して、エリアに対する入口側の通信装置は、出口側の通信装置と相互に生存確認するためのデータを送受信し、エリア内のプロテクションが必要かどうかの監視を開始する(ステップS600)。
入口側の通信装置は、出口側の通信装置との間のリンクに障害が発生したか否かを監視する。入口側の通信装置は、監視の結果として、出口側の通信装置に接続するリンクに障害が発生していないと判定した場合は、監視の処理を継続する。入口側の通信装置は、監視の結果として、出口側の通信装置に接続するリンクに障害が発生したと判定した場合は、出口側の通信装置に接続するリンクに対する迂回路(エリア内プロテクションパス)を通して、出口側の通信装置に受信データを転送する。
実際はエリア内の通信装置であっても、通信装置に接続する全てのリンクの障害すなわちエリア間のリンクの障害も検出するため、全てのリンクを通して生存確認するためのデータを送受信しており、生存確認するためのデータに基づきリンクに障害が発生したか否かを判定する(ステップS601)。ステップS601の判定において、リンクに障害が発生したと判定すると、エリア内プロテクションが設定されたリンクの障害かを判定し(ステップS602)、設定されたリンクであると判定した場合はエリア内プロテクションを実行する(ステップS603)。ここで、エリア内プロテクションとしての設定は図4を用いて既に説明したとおりステップS207による設定であって、エリア間のリンクの障害に対しては設定が無いと判定する。
ステップS601でリンクの障害が発生していないと判定した場合、ステップS602でエリア内プロテクションとして設定済みでないと判定した場合、およびステップS603の処理を実行後は、ステップS601に戻って処理を継続する。なお、ステップS602のエリア内プロテクションとして設定済みでないとの判定は、シーケンスとして図6のステップS222に対応し、図6のステップS223、S224および次に説明する端点間のプロテクションへ処理を移行する。
図19は、本実施例における通信装置が実行する端点間プロテクションを説明するフローチャートの例である。このフローチャートの処理は、図13を用いて説明したように生存確認するためのデータを管理する通信装置内、特に端点となる図1では通信装置91、92内のプロテクション管理部117が実行する。端末間を接続する伝送パスの端点に配置された通信装置の送信側の通信装置は、他の端点に配置された通信装置と相互に生存確認するためのデータを送受信し、端点間のプロテクションが必要かどうかの監視処理を開始する(ステップS700)。
送信側の通信装置は、端点間のプロテクションを設定した伝送経路に障害が発生したか否かを判定する(ステップS701)。ステップS701の判定において、障害が発生していないと判定した場合、ステップS701の処理を継続する。ステップS701の判定において、障害が発生したと判定した場合は、エリア内のプロテクションによる伝送経路の復旧待ちのためのタイマーを作動させる(ステップS702)。なお、本実施例では、エリア内のプロテクション処理を50ミリ秒程度で実行されると想定し、タイマーにて復旧待ちを100ミリ秒実行する設定をする。
ステップS702に続き、送信側の通信装置は、設定したタイマー時間を超過したかを判定する(ステップS703)。ステップS703の判定において、設定したタイマー時間を超過したと判定した場合、送信側の通信装置は、端点間のプロテクションパスを経由して、他方の端点にある通信装置へデータを伝送できるようにする(ステップS704)。ステップS704に続き、端点間のプロテクションパスを経由して疎通は回復したか否かを判定する(ステップS705)。ステップS705の判定において、疎通が回復しないと判定した場合は、端点間のプロテクションの実行不可をネットワーク管理サーバ9へ通知する(S706)。ここで、ネットワーク管理サーバ9への通知は、シーケンスとして図7のステップS234に対応し、次に説明するエリア障害に対する復旧処理へ移行する。
また、ステップS703の判定において、設定したタイマー時間を超過していないと判定した場合は、続いて端点間の疎通は回復したか否かを判定する(ステップS707)。ステップS707の判定において、端点間の疎通が回復していないと判定した場合は、ステップ703に戻って処理を継続する。ステップS707の判定において、疎通が回復したと判定した場合は、エリア内プロテクションによる復旧待ちのタイマーを停止する(ステップS708)。ステップS708に続き、ステップS701に戻って処理を継続する。
図20は、本実施例におけるネットワーク管理サーバ9が実行する障害の監視と復旧設定の通知を説明するフローチャートの例である。ネットワーク管理サーバ9(CPU191)は、エリアに障害が発生した場合の復旧パス設定を通知するためのプログラムをメモリ192にロードして開始する(ステップS380)。ステップS380に続き、ネットワーク管理サーバ9は、通信装置障害が発生したか否かを監視する(ステップS381)。この監視は100ミリ秒より十分に長い間隔で実行しても良い。ステップS381の判定において、通信装置に障害が発生していないと判定した場合は、続いて、端点間のプロテクションの実行不可の通知を受信したか否かを判定する(ステップS382)。
ステップS382の判定において、端点間のプロテクションの実行不可が発生していないと判定した場合は、ステップS381に戻って処理を継続する。ステップS382の判定において、端点間のプロテクションの実行不可の通知を受信したと判定した場合は、どのエリアで障害が発生したかを判定する(ステップS383)。ステップS383に続き、ネットワーク管理サーバ9は、発生したエリア障害を復旧するための復旧面を判定する(ステップS384)。ステップS384に続き、ネットワーク管理サーバ9は、エリア障害を復旧するための復旧IDを関連する通信装置に通知する(ステップS385)。
ステップS381の判定において、通信装置に障害が発生したと判定した場合は、検出した通信装置を登録する(ステップS386)。ステップS386に続き、ネットワーク管理サーバ9は、エリア障害が発生したか否かを判定する(ステップS387)。なお、本実施例におけるエリア障害とは、エリアに属する通信装置すべてに障害が発生した場合を想定しているが、他のエリアと接続するリンクすべてに障害が発生した場合にて、エリアの障害を判定しても良い。ステップS387の判定において、エリア障害に至っていないと判定した場合は、ステップS381の処理を継続する。ステップS387の判定において、エリア障害が発生していると判定した場合は、ステップS383に移動し処理を継続する。
以上で説明したように、障害の規模に応じてエリア内のプロテクションと端点間のプロテクションパスと復旧面とを設け、これらを各通信装置へ予め通知して設定し、障害の検出時は個別のパスの情報を通知することなく、エリア内のプロテクションと端点間のプロテクションパスは障害を検出した通信装置が選択可能となり、復旧面は復旧面IDのマルチキャストのみで選択可能となる。これにより、通信システムを構成するパス数やノード数の規模の影響を受けず、障害の規模に応じて迂回パスの範囲を最適化し、復旧までの時間を短縮できる通信システムを提供することが可能となる。