JP6201326B2 - 記録媒体の搬送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ等の画像形成装置に用いられ、記録媒体である用紙を正しく搬送させるための搬送装置に関する。
プリンタ等の画像形成装置にて、用紙を搬送方向に沿って正しく搬送させるための搬送装置が以前から知られている(特許文献1参照)。これは、搬送方向に平行且つ用紙の面に対して垂直なガイド面と、回転中心軸がガイド面に対して直交し、用紙を搬送するために配備された駆動ローラと、回転中心軸がガイド面に対して鋭角を成すように傾斜しており、駆動ローラとの間で挟持された用紙をガイド面に向けて搬送するために設けられた従動ローラとを備えている。即ち、従動ローラの回転中心軸は駆動ローラの回転中心軸に対して傾いている。従動ローラは円筒形であり、従動ローラは駆動ローラに対してバネ付勢されている。
用紙は従動ローラの回転によってガイド面に対して少し斜めに搬送される。ガイド面に当接した用紙はガイド面に沿って搬送される。
特開2007−161361号
従動ローラは円筒形であり、且つ従動ローラの回転中心軸が駆動ローラの回転中心軸に対して傾いているから、従動ローラと駆動ローラとの接触圧が、従動ローラの回転中心軸上の位置に応じて異なる。そのため、両ローラの回転軸が互いに平行な場合に比して、用紙の搬送力が低下する問題があった。
本発明の目的は、両ローラの回転軸が互いに傾いていても、用紙の搬送力が低下しない搬送装置を提供することにある。
搬送装置は、記録媒体の搬送方向に沿って延びたガイド面と、回転中心軸が前記ガイド面に対して直交し、記録媒体を搬送するための駆動ローラと、回転中心軸が前記ガイド面に対して鋭角を成すように傾斜しており、前記駆動ローラとの間で挟持された記録媒体を前記ガイド面に向けて搬送するための従動ローラとを備え、
前記従動ローラは、その回転中心軸に直交する複数の平面の各々に対応して、前記駆動ローラとの間で挟持された記録媒体に接触するための部分である複数の接触部を有し、前記従動ローラの前記複数の接触部の各々は、夫々対応する前記従動ローラの回転中心軸の一点から前記駆動ローラの回転中心軸までの最短距離が長いほど、その外径が大きく形成されている。
従動ローラの接触部の各々の外径を、夫々対応する従動ローラの回転中心軸から前記駆動ローラの回転中心軸までの最短距離が長いほど大きく形成することにより、接触部の駆動ローラに対する接触圧を均一にしている。これにより、記録媒体を搬送する力が低下することを防止することができる。
インクジェット記録装置の内部構成を示す正面図である。 搬送装置が設けられた第3案内通路の斜視図である。 搬送装置の平面図である。 (a)、(b)は、夫々第1及び第4拍車ローラを、図3のA方向から見た図である。 (a)、(b)は、夫々第1及び第4拍車ローラの拡大図である。 (a)、(b)は、従動ローラの変形例を示す平面図である。 (a)は、図3(a)に対応する側面図、(b)は、図6(a)に対応する側面図である。
以下、本発明の一実施形態を図を用いて詳述する。以下の記載では、上方及び下方は鉛直方向に沿う向きを指す。また、記録媒体の一例として用紙Pを例示するが、これに限定されず、シート状の記録媒体であればよい。更に、搬送装置としてインクジェット記録装置に用いられる用紙Pを搬送する装置を例示する。
(インクジェット記録装置の全体構成)
図1は、インクジェット記録装置1の内部構成を示す正面図である。インクジェット記録装置1は直方体状の筐体10を有し、該筐体10の天板上部には、用紙Pが排出されるトレイ11が設けられている。筐体10内には、上方から下方に向かって、複数のヘッド4、搬送ユニット5、給紙ユニット6が配置されている。ヘッド4からは、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各インクの液滴が用紙Pに吐出される。ヘッド4の上流側には、インクの吐出に先立ち、処理液を用紙Pに吐出する処理液ヘッド4aが設けられている。ここで、処理液とは、インクを用紙Pに吐出する前に、用紙Pに塗布されて、インクの成分を凝集又は析出させるものであり、これにより高い印刷品質を維持し又は画質を向上させる。
搬送ユニット5により、用紙Pは水平に搬送された後に上向きに搬送されてトレイ11に送られる。給紙ユニット6により、搬送ユニット5に用紙Pが供給される。
以下の記載では、ヘッド4がインクを吐出する領域において用紙Pを搬送する方向を副走査方向、水平面内において該副走査方向と直交する方向を主走査方向と呼ぶ。
ヘッド4は、主走査方向に延びた直方体状のライン型ヘッドであって、その下面はインクを吐出する多数の液体吐出口が形成されたノズル面40として形成されている。ノズル面40の液体吐出口からはインクが用紙Pに向けて液滴状に吐出される。これにより、用紙P上に画像が形成される。
前記搬送ユニット5は、プラテン50と、該プラテン50の両側に配備されて用紙Pを図1の左側から右側に搬送する搬送ローラ対51、51aと、一方の搬送ローラ51aとトレイ11との間に位置して用紙Pがその中を通過するガイド52、52a、52b及び送りローラ対53、53a、53bと、プラテン50よりも下側に配置される再送ガイド部9とから構成される。送りローラ対53の下側には、用紙Pの端部を検出すると、その旨の信号を発するセンサSE1が設けられている。筐体10上にて、送りローラ対53よりも搬送方向下流側には、用紙Pがトレイ11に排出される際に通過する排出口15が開設されている。後記の如く、再送ガイド部9は用紙Pの両面にインクを吐出する際に用いられる。
再送ガイド部9は、用紙Pを案内する5つの第1乃至第5の案内通路90、90a、90b、90c、90dと、5つの搬送ローラ対91、91a、91b、91c、91dを備えて構成される。該5つの搬送ローラ対のうち、2つの搬送ローラ対91a、91bは搬送ローラ対51、51aとは逆に用紙Pを図1の右側から左側に搬送する。
第1案内通路90はガイド52の途中部位に接続されて、送りローラ対53の反転により一面にインクが吐出された用紙Pを搬送ローラ対91に搬送する。第1案内通路90とガイド52との交差箇所には、用紙Pの搬送路を第1案内通路90に向ける切替機構(図示せず)が配置されている。
前記給紙ユニット6は、給紙トレイ60と給紙ローラ61と、用紙Pがその中を通過するガイド62を有して構成され、該ガイド62は前記第4案内通路90cの途中部位に接続される。給紙ローラ61は給紙トレイ60内の最上位の用紙Pを取り出す。取り出された該用紙Pは、前記の搬送ローラ対91c、91d及び第5案内通路90dを介して、搬送ユニット5の上流側に搬送される。
筐体10の内側上部にて、ヘッド4に干渉しない位置には、筐体10内の各機構及び電気回路の動作を司る制御部8が配置されている。筐体10の側面にて、制御部8の下側には、外部のパーソナルコンピュータからの情報が入力される端子13が設けられている。端子13からの情報は、制御部8に入力される。筐体10の上面には、制御部8に電気的に接続されて、使用者が各種情報を入力操作する操作パネル12が設けられている。
(片面印刷時)
用紙Pの一面にのみインクを吐出して、画像を形成する場合は、搬送方向上流側の搬送ローラ対51によって用紙Pをプラテン50に搬送する。用紙Pはプラテン50の上面に支持されつつ搬送され、ヘッド4によってインクが吐出される。プラテン50を通過した用紙Pは、搬送方向下流側の搬送ローラ対51aによって搬送力を付与されて、3つのガイド52、52a、52b及び3つの送りローラ対53、53a、53bによってトレイ11に送られる。搬送ローラ対51、51a及び送りローラ対53、53a、53bは、夫々制御部8に接続された別個のモータ(図示せず)によって回転駆動される。尚、送りローラ対53は、センサSE1によって用紙Pの端部が検出されると、制御部8によって用紙Pを再送ガイド部9に送るように反転され得る。下流側の送りローラ対53bによって、排出口15から用紙Pがトレイ11に1枚ずつ排出される。
(両面印刷時)
使用者が用紙Pの両面にインクを吐出するように、操作パネル12を操作した場合は、ヘッド4によってインクが一面に吐出された用紙Pは送りローラ対53によって一旦上向きに搬送される。この際にセンサSE1によって用紙Pの搬送上流側の端部が検出されると、制御部8によって送りローラ対53が反転される。これとともに、切替機構によって用紙Pは第1案内通路90に案内される。搬送ローラ対91により、用紙Pは第2案内通路90aに案内され、搬送ローラ対91aにより、用紙Pは第3案内通路90bに沿って図1の右側から左側に搬送される。即ち、用紙Pはプラテン50に沿って搬送された時とは逆向きに搬送される。
第3案内通路90bの途中には、用紙Pの姿勢を整えながら、用紙Pを搬送する後記の搬送装置2が設けられている。搬送装置2にて姿勢を整えられた用紙Pは搬送ローラ対91bによって第4案内通路90c内を搬送され、該用紙Pは搬送ローラ対91c、91d及び第5案内通路90dを介して、前記の搬送ローラ対51に搬送される。即ち、一面にインクが吐出された用紙Pは表裏が反転されて再びヘッド4に向けて搬送される。用紙Pの両面にインクを吐出する場合は、用紙Pの搬送経路が長くなるから、第3案内通路90b上に搬送装置2を設けて用紙Pの姿勢を整えている。
また、図1では用紙Pの搬送方向の長さは、搬送ローラ対91aと搬送装置2の間の距離よりも長い。従って、用紙Pは搬送途中で、搬送ローラ対91aと搬送装置2の両方に挟持される場合がある。このとき、搬送ローラ対91aによって搬送される用紙Pの搬送速度が、搬送装置2による用紙Pの搬送速度よりも少し速くなるように搬送ローラ対91aを回転させればよい。これにより、用紙Pは搬送ローラ対91aと搬送装置2との間で引っ張られず、搬送装置2にて効果的に姿勢が整えられる。
(搬送装置)
図2は、搬送装置2が設けられた第3案内通路90bの斜視図であり、図3は、後記の支持ブラケット22を省いた搬送装置2の平面図である。該第3案内通路90bは、用紙Pの面が接する水平面71と該水平面71に直交して設けられたガイド壁70を備えて構成される。水平面71の上方には、該水平面71との間に所定の間隔を隔てつつ、水平面71と平行に延びる支持面(図示せず)が配置されている。用紙Pは、水平面71と支持面との間を搬送される。ガイド壁70の内面は、用紙Pの端縁が接するガイド面7を構成し、該ガイド面7は用紙Pの搬送方向に沿って延びている。
水平面71上には、開口72が開設されている。搬送装置2は、上端部が該開口72から少し突出するように開口72に嵌まった駆動ローラ20と該駆動ローラ20の上部に配置されて駆動ローラ20との間で用紙Pを挟持して搬送する従動ローラ3とを備えて構成される。尚、駆動ローラ20及び従動ローラ3は、第3案内通路90b上に、用紙Pの搬送方向に沿って2つ設けられているが、図示及び説明の便宜上、1つだけを図示ずる。駆動ローラ20及び従動ローラ3の数は、1つだけでもよく、2つ以上でもよい。支持面には開口が開設されており、従動ローラ3は該開口から下方に向けて突出し配置されている。支持面上で従動ローラ3の近傍には、支持ブラケット22が固定され、従動ローラ3の両端部は該支持ブラケット22の側面に回転自在に嵌まっている。尚、従動ローラ3は支持ブラケット22の内側に設けられたバネ(図示せず)によって、駆動ローラ20に付勢されていてもよい。駆動ローラ20の両端部からは支え軸21が外向きに延び、該支え軸21は駆動モータ(図示せず)に連結される。駆動ローラ20は該駆動モータによって回転させられ、該駆動モータには制御部8から給電される。
図3に示すように、従動ローラ3は回転中心軸Lに沿って延びたローラ本体30と、該ローラ本体30上に回転中心軸Lに沿って互いに離間して配列されローラ本体30よりも大径の複数枚の拍車ローラ31、32、33、34とを備えて構成される。ローラ本体30と拍車ローラ31、32、33、34とは、同じ回転中心軸Lを中心とする。拍車ローラ31、32、33、34は、ローラ本体30に固定されており、拍車ローラ31、32、33、34とローラ本体30とは一体的に回転する。拍車ローラ31、32、33、34は図示の便宜上、ローラ本体30上に4つ設けられているとして説明するが、5つ以上設けられてもよい。
拍車ローラ31、32、33、34の外周が搬送される用紙Pに当接し、従動ローラ3は、拍車ローラ31、32、33、34の用紙Pへの該当接により回転させられる。駆動ローラ20は用紙Pとの摩擦に鑑みて、外周面がゴム等から形成される。一方、拍車ローラ31、32、33、34は金属板をプレス加工して形成されるが、拍車ローラ31、32、33、34の材質及び製法はこれに限定されない。
駆動ローラ20の回転中心軸L1は、ガイド面7に対して直交している。これに対し、従動ローラ3の回転中心軸Lはガイド面7に対して水平面内で鋭角θを成すように傾いており、該従動ローラ3は駆動ローラ20との間で挟持された用紙Pをガイド面7に向けて搬送する。鋭角θは約85°を想定しており、従って、従動ローラ3の回転中心軸Lは駆動ローラ20の回転中心軸L1に対して仮想点Mを中心として約5°傾いている。しかし、回転中心軸Lの傾き角度の値はこれらに限定されない。尚、仮想点Mは、駆動ローラ20の回転中心軸L1と従動ローラ3の回転中心軸Lとの交点である。駆動ローラ20の回転中心軸L1及び従動ローラ3の回転中心軸Lは水平面71に対して平行に延びている。また、仮想点Mは水平面71上にてガイド壁70が設けられた側部とは反対側の側部寄りに位置する。
4つの拍車ローラ31、32、33、34のうち、最も仮想点Mに近い拍車ローラを第1拍車ローラ31とし、仮想点Mから遠ざかるに従って順に第2乃至第4拍車ローラ32、33、34とする。第1拍車ローラ31から第4拍車ローラ34に向かうに従って、回転中心軸Lは駆動ローラ20の回転中心軸L1から離れてゆく。
用紙Pは、第1乃至第4拍車ローラ31、32、33、34を備えた従動ローラ3によりガイド面7に対して斜めに搬送されて、搬送側の端部がガイド面7に接する。更なる駆動ローラ20と従動ローラ3の回転により、用紙Pはガイド面7に押し付けられながら、ガイド面7に沿って搬送される。即ち、用紙Pは搬送途中にて、姿勢がガイド面7に沿って整えられる。
拍車ローラ31、32、33、34は、従動ローラ3の回転中心軸Lに直交する複数の平面N(図3参照)に対応して設けられており、駆動ローラ20との間で用紙Pを挟持するから、本発明の「接触部」を構成する。図4(a)、(b)は、夫々第1及び第4拍車ローラ31、34を、回転中心軸Lに沿う図3のA方向から見た図である。
各拍車ローラ31、32、33、34は、ローラ本体30の外側に、先端が尖った多数の歯35を周方向に配列して構成される。歯35の歯先が用紙Pに軽く食い込むことにより、用紙Pを安定して搬送させることができる。即ち、歯35の歯先円の直径が、本発明の「接触部の外径」に相当する。
(拍車ローラの外径)
図4(a)に示すように、平面N内において、第1拍車ローラ31の回転中心軸L’は、駆動ローラ20の回転中心軸L1に対して水平方向に沿って僅かにしかずれていない。従って、平面N内における、第1拍車ローラ31の回転中心軸L’上の一点から、回転中心軸L1までの最短距離S1は短い。これにより、駆動ローラ20と第1拍車ローラ31の歯先円との隙間は、用紙Pの厚みに対応して形成されることができる。
ところが、従動ローラ3の回転中心軸Lは、駆動ローラ20の回転中心軸L1に対して傾いているから、図4(b)に示すように、平面N内において、第4拍車ローラ34の回転中心軸L”は、図4(a)に示す第1拍車ローラ31の回転中心軸L’に比して、駆動ローラ20の回転中心軸L1に対して水平方向に沿って大きくずれている。
従って、平面N内における、第4拍車ローラ34の回転中心軸L上の一点から回転中心軸L1までの最短距離S2は距離S1に比して長い。この場合、第4拍車ローラ34の径が、第1拍車ローラ31の径と同じであれば、駆動ローラ20の周面と第4拍車ローラ34の歯先円との隙間は、駆動ローラ20の周面と第1拍車ローラ31の歯先円との隙間に比して大きくなり、これでは用紙Pを搬送する力が低下する。
尚、平面N内において、第1拍車ローラ31の回転中心軸Lは、駆動ローラ20の回転中心軸Lに対して水平方向に沿ってずれていなくてもよい。この場合、第1拍車ローラ31に対応する平面N内に、駆動ローラ20の回転中心軸L1と従動ローラ3の回転中心軸Lとの交点である仮想点Mが位置する構成であればよい。
従って、本実施形態では、第1乃至第4拍車ローラ31、32、33、34は、対応する各平面N内における、従動ローラ3の回転中心軸L上の一点と、駆動ローラ20の回転中心軸L1との間の最短距離(中心間距離)が長いほど、歯先円の直径が大きく形成されている。具体的には、第1拍車ローラ31から第4拍車ローラ34に向かって順に歯先円の直径が大きく形成されている。各拍車ローラ31、32、33、34の半径は、各拍車ローラ31、32、33、34に対応する平面内における最短距離の長さから駆動ローラ20の半径を引いた値に相当する。第1拍車ローラ31から第4拍車ローラ34に向かって、対応する各平面N内における最短距離が長くなっているため、第1拍車ローラ31から第4拍車ローラ34に向かって順に歯先円の直径が大きく形成されている。用紙Pを安定して搬送するためには、各拍車ローラ31、32、33、34について、歯35のピッチは等しいから、歯先円の直径が最大の第4拍車ローラ34は歯数が多く、歯先円の直径が最小の第1拍車ローラ31は歯数が少ない。
また、1の拍車ローラの歯先円の外径と他の拍車ローラの歯先円の外径との差は、該1の拍車ローラの中心間距離と該他の拍車ローラの中心間距離との差に略等しい。これにより、全ての拍車ローラ31、32、33、34について、歯先円と駆動ローラ20の周面との隙間を等しくし、第1乃至第4拍車ローラ31、32、33、34の駆動ローラ20に対する接触圧を均一にしている。これにより、用紙Pを搬送する力が低下することを防止している。
(拍車ローラの位相ずれ)
また、前記の如く、各第1乃至第4拍車ローラ31、32、33、34は、多数の歯35を周方向に形成している。この場合、1の拍車ローラの歯と他の拍車ローラの歯との間の位相差が0、即ち両拍車ローラの歯が同じ位相を有していると、以下の問題が生じる。
図5(a)、(b)は、夫々第1及び第4拍車ローラ31、34の拡大図であり、両拍車ローラ31、34の位相が同じであると仮定した図である。図5(a)に示すように、第1拍車ローラ31は1の歯35の歯先が、前記平面N内における、該第1拍車ローラ31の回転中心軸L上の一点と駆動ローラ20の回転中心軸L1を結ぶ仮想線R上に位置している。これにより、該歯35の歯先は用紙Pに確実に食い込むことができ、用紙Pを安定して搬送することができる。
その一方、前記の如く、平面N内において、第4拍車ローラ34の回転中心軸L”は、第1拍車ローラ31の回転中心軸L’に比して、駆動ローラ20の回転中心軸L1に対して水平方向に沿って大きくずれている。従って、第4拍車ローラ34の歯35の位相が第1拍車ローラ31の歯35の位相と同じであると、図5(b)に実線で示すように、第4拍車ローラ34は1の歯35の歯先が、仮想線R上に位置しない。これでは、該歯35の歯先は用紙Pに食い込むことができないので、用紙Pを安定して搬送することができない。
従って、図5(b)に点線で示すように、第4拍車ローラ34は第1拍車ローラ31に対して位相がずれるように、ローラ本体30に取り付けられている。即ち、第1拍車ローラ31の歯先が仮想線R上に位置しているときに、第4拍車ローラ34の歯先も仮想線R上に位置するように、両拍車ローラ31、34の歯35は位相がずれている。回転中心軸Lと回転中心軸L1との角度差が5°のときは、第1拍車ローラ31と第4拍車ローラ34の歯35の位相差は約7°であるが、この値に限定されない。
上記説明では、第4拍車ローラ34の歯35の位相ずれについて説明したが、第2、第3拍車ローラ32、33についても、第1拍車ローラ31の歯先が仮想線R上に位置しているときに、歯先が仮想線R上に位置するように、第1拍車ローラ31に対して位相がずれている。これにより、全ての拍車ローラ31、32、33、34の歯35の歯先を、同時に用紙Pに食い込ませ、用紙Pを安定して搬送している。即ち、各拍車ローラ31、32、33、34において、各歯35の歯先が、各拍車ローラ31、32、33、34の外径のうちで回転中心軸Lからの距離が最も大きい。そのため、各拍車ローラ31、32、33、34の各歯35の歯先が、対応する仮想線R上に位置するときが、各拍車ローラ31、32、33、34が最も用紙Pに対して強く圧接されるときである。そこで、各拍車ローラ31、32、33、34の各歯の歯先が、対応する仮想線R上に位置するタイミングが一致するように、各拍車ローラ31、32、33、34の歯35の位相をずらすことで、用紙Pの搬送の安定化を図っている。
(従動ローラの変形例)
上記記載では、図3の平面図に示すように、各拍車ローラ31、32、33、34に対応する平面N内において、従動ローラ3の回転中心軸Lは駆動ローラ20の回転中心軸L1よりも用紙搬送方向上流側に位置している。この場合、図7(a)に示すように、用紙Pが水平面71上に沿って搬送されると、用紙Pの先端は、駆動ローラ20よりも先に、各拍車ローラ31、32、33、34に接触しやすい。各拍車ローラ31、32、33、34は搬送される用紙Pによって回転されるローラであるため、用紙Pが駆動ローラ20よりも先に、各拍車ローラ31、32、33、34に接触すると、用紙Pのジャムが生じやすくなる。また、各拍車ローラ31、32、33、34には複数の歯35が形成されているため、用紙Pが駆動ローラ20よりも先に各拍車ローラ31、32、33、34に接触すると、用紙Pの先端に傷が付きやすい。
この点に鑑みて、図6(a)に示すように、第1拍車ローラ31が他の拍車ローラに比して、用紙Pの上流側に配置されるように、従動ローラ3を構成してもよい。この場合、駆動ローラ20の回転中心軸L1と従動ローラ3の回転中心軸Lとの交点である仮想点Mが、第1拍車ローラ31に対応する平面N内か、もしくは、平面内1においてガイド壁70が設けられた側部寄りに位置する構成であればよい。尚、該仮想点Mが、第1拍車ローラ31に対応する平面N内に配置されていてもよい。この場合、図7(b)に示すように、用紙Pが水平面71上に沿って搬送されると、用紙Pの先端は、各拍車ローラ31、32、33、34よりも先に、駆動ローラ20に接触しやすい。駆動ローラ20はゴム等により構成されているため、用紙Pの先端に傷が付きにくい。
また、図6(b)に示すように、第1拍車ローラ31と第4拍車ローラ34を同径に、第2拍車ローラ32と第3拍車ローラ33を同径に形成してもよい。第1拍車ローラ31は第2拍車ローラ32よりも大径であり、従動ローラ3は長手方向の中央部を挟んで対称な形状に形成される。この場合、駆動ローラ20の回転中心軸L1と従動ローラ3の回転中心軸Lとの交点である仮想点Mが、回転中心軸Lに沿う方向において第2拍車ローラ32と第3拍車ローラ33との中央に位置する構成であればよい。
図6(b)に示す構成では、第1拍車ローラ31と第4拍車ローラ34、第2拍車ローラ32と第3拍車ローラ33とを夫々共通にすることができるから、拍車ローラを制作するコストを軽減することができる。
本発明は、用紙を正しく搬送させるための搬送装置に用いると有用である。
1 インクジェット記録装置
2 搬送装置
3 従動ローラ
7 ガイド面
20 駆動ローラ
31 第1拍車ローラ
32 第2拍車ローラ
33 第3拍車ローラ
34 第4拍車ローラ

Claims (8)

  1. シート状の記録媒体の搬送方向に沿って延び且つ記録媒体の面が接する水平面に直交して設けられたガイド面と、
    回転中心軸が前記ガイド面に対して直交し、記録媒体を搬送するための駆動ローラと、
    回転中心軸が前記水平面内で前記ガイド面に沿った記録媒体の搬送方向に対して鋭角を成すように傾斜しており、前記駆動ローラとの間で挟持された記録媒体を前記ガイド面に向けて搬送するための従動ローラとを備え、
    前記従動ローラは、その回転中心軸に直交する複数の平面の各々に対応して、前記駆動ローラとの間で挟持された記録媒体に接触するための部分である複数の接触部を有し、
    前記従動ローラの前記複数の接触部の各々は、夫々対応する前記従動ローラの回転中心軸の一点から前記駆動ローラの回転中心軸までの最短距離が長いほど、その外径が大きく形成されている、搬送装置。
  2. 前記従動ローラ上にて、1の接触部の外径と他の接触部の外径の差は、該1の接触部に対応する前記最短距離と該他の接触部に対応する前記最短距離の差に対応している、請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記接触部は、従動ローラの回転中心軸に沿って配列され先端が尖った多数の歯を周方向に配列した複数の拍車ローラであり、前記接触部の外径は前記拍車ローラの歯先円の直径として規定される、請求項1又は2に記載の搬送装置。
  4. 前記複数の拍車ローラは一体的に回転し、各拍車ローラの歯先は、対応する前記拍車ローラの回転中心軸と前記駆動ローラの回転中心軸とを結ぶ仮想線上に位置し、
    1の拍車ローラの歯先が対応する前記仮想線上に位置したときに、他の拍車ローラの歯先も対応する前記仮想線上に位置するように、各拍車ローラは互いに位相がずれている、請求項3に記載の搬送装置。
  5. 前記従動ローラは、前記ガイド面側の接触部が最も小径に形成され、前記ガイド面から離れる接触部ほど大径に形成された、請求項1乃至4の何れかに記載の搬送装置。
  6. 前記従動ローラは、前記ガイド面側の接触部が最も大径に形成され、前記ガイド面から離れる接触部ほど小径に形成された、請求項1乃至4の何れかに記載の搬送装置。
  7. 前記従動ローラは、前記ガイド面側の接触部が最も大径に形成され、長手方向の中央部に位置する接触部が最も小径に形成され、該長手方向の中央部を挟んで対称な形状に形成された、請求項1乃至4の何れかに記載の搬送装置。
  8. 前記ガイド面は前記水平面上の側部に設けられて、前記従動ローラの回転中心軸は、平面視で前記水平面上にて該側部寄りに位置する仮想点を交点とするように、前記駆動ローラの回転中心軸に対して傾いており、
    前記従動ローラの回転中心軸は、少なくともその一部が前記仮想点から記録媒体の搬送方向の下流側に位置するように延び、前記従動ローラの複数の接触部は、少なくともその一部が前記駆動ローラの回転中心軸に対して記録媒体の搬送方向の下流側に位置する、請求項に記載の搬送装置。
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