以下、本発明に係る薬剤情報管理システムについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態に係る薬剤情報管理システムは、日常的に薬剤を服用している患者が、地震等の災害(又はその他の非常事態)に遭遇したときに、周辺環境における薬剤又は医療機関に関する情報を容易に把握するためのシステムである。以下の説明では、薬剤として、糖尿病患者が日常的に投与しているインスリンを例に挙げて具体的に説明していくこととする。勿論、薬剤情報管理システムが管理する薬剤は、インスリンに限定されるものではなく、生体(人間以外の生物も含む)が服用可能な種々の薬剤を適用し得る。
図1に示すように、薬剤情報管理システム10(以下、単にシステム10ともいう)は、患者が所持する端末12と、インターネット等のネットワーク14を介して端末12に接続される管理サーバ16(管理部)と、薬剤を所有しネットワーク14を介して管理サーバ16に接続される種々の機関の端末18とから構成される。なお、薬剤を所有する機関としては、例えば、患者のかかりつけの病院20、他の病院22、薬局24等を挙げることができるが、この他にも災害時に緊急的に建てられる医療所や支援物資を供給するための支援物資供給所26等も該当する。以下の説明では、これらの複数種類の機関をまとめて医療機関という。
患者が所持する端末12や医療機関の端末18は、ネットワーク14を介して情報を通信可能な装置であればよく、例えば、コンピュータ、携帯型情報通信機器(スマートフォンを含む携帯電話機、タブレット端末等)、或いは他の情報通信機器を適用するがことができる。
特に、患者が所持する端末12は日常的に携行するものが望ましく、以下の説明ではスマートフォン12aを例に説明していく。スマートフォン12aは、ネットワーク14に有線接続されている基地局28に対して無線通信可能に構成されている。また、本実施形態に係るスマートフォン12aは、GPS衛星30との間で衛星通信を実施可能に構成されており、衛星通信によりスマートフォン12a自体の位置情報を取得することが可能である。
一方、医療機関の端末18は、外部のネットワーク14に定常的に接続されるコンピュータ(例えば、機関毎に所有するサーバ)であることが望ましい。
管理サーバ16は、スマートフォン12aからの要求に応じて、インスリンに関する情報をスマートフォン12aに提供する機能を有する。この管理サーバ16は、患者が服用している薬剤の情報を取り扱うという秘匿性を鑑み、上述した医療機関又は製薬会社等に設置されることが望ましい。
管理サーバ16は、図示しない演算処理部、記憶部、入出力部等を備える公知のコンピュータにより構成される。この管理サーバ16には、患者の薬剤に関する情報を管理するデータベース(以下、薬剤管理DB32という)が記憶されている。
薬剤管理DB32は、システム10に参加(登録)する複数の患者と複数の医療機関を管理するファイルであり、薬剤を基準に登録者を検索可能となっている。図2に示すように、薬剤管理DB32は、システム10に登録する一の患者の薬剤に関わる情報(以下、薬剤情報MFという)として、病気、薬剤、患者情報、受診医療機関、受診記録、薬剤の服用情報、コード、パスワード等が設定されている。
「病気」は、患者が実際に患っている病気の名称(例えば、糖尿病)が登録される。薬剤の管理においては、管理サーバ16による検索性を向上するための分類基準(カテゴライズ)となる。
「薬剤」は、上記の病気に応じて患者が服用する薬剤の名称であり、糖尿病に使用される薬剤としては、例えば、インスリンアスパルト、インスリンリスプロ、インスリングラルギン、インスリンデテミル、合成ヒト中性インスリン注射液、ヒトインスリン注射液、生合成ヒトイソフェンインスリン水性懸濁注射液、ヒトイソフェンインスリン水性懸濁注射液、生合成ヒト二相性イソフェニンスリン水性懸濁注射液、ヒト二相性イソフェニンスリン水性懸濁注射液等が挙げられる。これらの名称は一般名であり、「薬剤」の記載基準としてより詳細な製品名で記載してもよく、或いは製薬会社名を併記してもよい。
「患者情報」は、薬剤管理DB32に登録している患者の個人情報であり、例えば、氏名、英文表記、年齢、性別、住所、電話番号、メールアドレス等が挙げられる。この患者情報は、必要な情報欄が取捨されて、送信や公開可能な情報に加工される。例えば、他の患者が閲覧可能な情報では、英文表記に基づきイニシャルを作成する等の情報の秘匿性を高め、医療機関の中でもかかりつけの病院が受け取る情報の場合は、秘匿性を低くして情報が送信される。
「受診医療機関」は、患者のかかりつけの病院であり、病院の名称、担当医等が登録される。
「受診記録」は、患者の病態や病歴に関する情報であり、例えば、患者がかかりつけの病院以外の医療機関から薬剤の提供を受ける際に利用される。
「薬剤の服用情報」は、薬剤の投与に関する情報であり、1回当たりの投与量、1日の投与回数、投与器具(注射器の種類等)、処方履歴等が登録される。この薬剤の服用情報も薬剤の提供を受ける際に利用される。
「コード」は、患者による薬剤情報MFの登録時に、患者のスマートフォン12aに固有に付与する識別符号であり、患者がスマートフォン12aを使用して管理サーバ16にアクセスする際には、このコードが利用されて薬剤管理DB32の中から患者の薬剤情報MFを特定する。
「パスワード」は、患者が薬剤情報MFを利用するために個人的に設定する識別符号であり、管理サーバ16にアクセスする際の認証用に用いられる。
管理サーバ16は、上記の薬剤情報MFを薬剤毎に薬剤管理DB32に登録して管理することで、患者のスマートフォン12aからのアクセスに基づき、患者が服用している薬剤を検出する。このため、患者が複数の薬剤を服用している場合、薬剤管理DB32には、個々の薬剤毎に他の情報(患者情報、受診記録、薬剤の服用情報)が登録されるとよい。
また、医療機関もこの薬剤管理DB32に一緒に登録することが可能である。この場合、「患者情報」には、医療機関名、住所、電話番号、メールアドレス等が登録されればよく、「受診医療機関」、「受診記録」、「薬剤の服用情報」等はブランクでよい。医療機関も、所有している薬剤単位で登録されることが好ましい。勿論、管理サーバ16は、医療機関専用のデータベースを別に用意して薬剤管理DB32に関連付けて記憶する構成としてもよい。
管理サーバ16は、上記の薬剤管理DB32を利用して、災害時に患者が薬剤を緊急に要望した際に、その薬剤に関する情報を有している医療機関又は患者を検出するように構成されている。管理サーバ16の演算処理部は、記憶部に保存された薬剤情報管理プログラム34を読み出して処理することで、図3に示すように、データベース登録部36、ソフトウェア提供部38、認証部40、データベース検索部42、位置検出部44、周辺環境設定部46、同一薬剤検出部48、送信情報生成部50及び掲示板生成部52を機能的に構成する。
データベース登録部36は、患者又は医療機関の薬剤情報MFを薬剤管理DB32に登録する際に所定の処理を行う。例えば、データベース登録部36は、薬剤情報MFの登録を案内するホームページをネットワーク14上に公開し、患者が上記の薬剤情報MF(図2参照)をスマートフォン12aから入力することで、このホームページ上の入力情報を薬剤管理DB32への登録用に自動変換する。また、データベース登録部36は、登録した患者の操作に基づき、登録された薬剤情報MFの変更(更新)も実施可能であり、変更時には一旦登録された薬剤情報MFをホームページ上に表示する機能を有するとよい。さらに、データベース登録部36は、薬剤管理DB32に薬剤情報MFが新しく登録される際(すなわち、新規登録の患者)に、患者が設定するパスワードPと関連付けるようにコードCを自動的に付与する。
ソフトウェア提供部38は、システム10を使用する際に用いる専用ソフトウェア(図示せず)を患者又は医療機関の端末12に送信する。具体的には、データベース登録部36からの指示に基づき、スマートフォン12a用の専用ソフトウェアを送信して使用可能となるように保存(インストール)させる。専用ソフトウェアは、端末12の機種やオペレーティングシステム(OS)に応じて異なるプログラムとなっている。また、ソフトウェア提供部38は、データベース登録部36が付与したコードCを専用ソフトウェアに組み込んで送信する。
システム10に使用される患者のスマートフォン12aは、専用ソフトウェアがインストールされることにより、アクセス信号出力部54、専用画面表示/入力部56が動作可能に構築される。
アクセス信号出力部54は、スマートフォン12aの表示画面上に操作アイコン58を表示し、災害時に、患者による操作アイコン58の操作に基づき緊急アクセス信号Sを管理サーバ16に送信する機能を有する。この緊急アクセス信号Sは、患者のスマートフォン12aからのアクセスであることを管理サーバ16が特定するために、データベース登録部36が付与したコードCと、患者が入力したパスワードPを含む信号となっている。
専用画面表示/入力部56は、スマートフォン12aが管理サーバ16にアクセスした際に、管理サーバ16が提供する情報画面を表示すると共に、情報画面に表示された入力欄や選択欄に情報を入力する機能を有する。この情報画面としては、患者自身の薬剤情報MF、送信情報生成部50が生成する一覧表や要求情報、又は掲示板生成部52が生成する掲示板60、一覧掲示板66等が挙げられる。
管理サーバ16の認証部40は、スマートフォン12aから送信されたパスワードPと、薬剤情報MFに登録されたパスワードが一致するか否かを確認し、一致している場合のみ管理サーバ16の情報を提供可能とする。
データベース検索部42は、薬剤管理DB32を参照して患者の薬剤情報MFを検索する機能を有している。本実施形態では、スマートフォン12aから送信された緊急アクセス信号Sに含まれるコードCに基づき、薬剤管理DB32内を検索することが可能となっており、患者の薬剤情報MFを効率的且つ正確に特定することができる。
位置検出部44は、スマートフォン12aの現在位置、つまり患者の現在位置を検出する。すなわち、予め登録される薬剤情報MFには、患者の住所が登録されているものの、患者が外出中に災害に遭遇する、災害によって登録した住所に待機することができない等の可能性もある。このため、管理サーバ16は、スマートフォン12aを介した患者の指示、又は緊急アクセス信号Sを受信する等の条件下に、スマートフォン12aの現在位置の検出を実施する。
現在位置の検出は、いくつかの方法を挙げることができ、例えば上述したように患者のスマートフォン12aがGPS機能を備えている場合は、GPS機能で検出された位置をスマートフォン12aから受信すればよい。また、GPS機能がない端末12は、ネットワークアドレスを用いて基地局28を検出し、基地局28の位置を患者の現在位置とみなしてもよい。検出した位置情報は、後述するように患者の周辺環境を設定するために使用するので、位置情報に高い精度を求める必要がないからである。勿論、位置検出部44は、薬剤情報MFに登録された住所に基づき、患者の位置を特定してもよい。
周辺環境設定部46は、患者の周辺に存在する医療機関又は患者を特定するために、位置検出部44が検出した患者の現在位置の位置情報に基づき周辺環境の範囲を設定する。周辺環境の範囲の設定は、例えば、患者の現在位置に対し半径10km以内とする、或いは患者の現在位置の地域(例えば、市町村単位)とする等、種々のパターンを挙げることができる。また、周辺環境の範囲は、地域に応じて変動してもよく、例えば、人口密集地では範囲を小さくし、人口過疎地では範囲を大きくしてもよい。
同一薬剤検出部48は、データベース検索部42が特定した患者の薬剤情報MFに基づき、薬剤管理DB32中で同じ薬剤を登録している医療機関又は患者の検出を行う。この検出においては、周辺環境設定部46により設定された周辺環境の範囲内に制限して行うことで、迅速に検出していくことができる。
送信情報生成部50は、同一薬剤検出部48が検出した医療機関又は患者の薬剤情報MFを利用して、外部に送信する情報を生成する。例えば、管理サーバ16から患者に対しては、同一薬剤検出部48が特定した医療機関又は患者の情報を一覧表にまとめて送信する。患者は、この一覧表の情報に基づき自身にとって都合のよい医療機関を選択することができる。
また、送信情報生成部50は、管理サーバ16から同じ薬剤を所有する医療機関や他の患者に対して、医療情報の提供を要求する情報提供要求部50aを備える。ここで「医療情報」とは、薬剤の所有(在庫)状況、薬剤の提供が可能か否か、患者を診察することが可能か否か、診察を行っている診療科や医師等の情報が挙げられる。つまり、医療情報は、本実施形態において薬剤又は医療機関に関する情報に相当する。
情報提供要求部50aは、上記の医療情報の提供を要望する要望情報を生成し、同一薬剤検出部48が特定した複数の医療機関又は他の患者に対し要望情報を送信する。要望情報には、薬剤の提供を望む患者がいること、該患者の診察が可能か否か、要望されている薬剤の所有状況、薬剤の提供が可能か否か等の前記医療情報の確認項目が形成される。要望情報を受信した医療機関は、現在の診察状況や薬剤の所有状況を確認して管理サーバ16に送信する。一方、要望情報を受信した他の患者は、例えば、自身が診察を受けた医療機関や薬剤の提供を受けた医療機関等の口コミ情報(或いは、自身の薬剤の所有数)を管理サーバ16に送信する。
この場合、システム10に登録する医療機関の端末18には、医療機関用ソフトウェア(図示せず)を配布しておき、この医療機関用ソフトウェアによる表示上で、要望されたインスリンに関する医療情報が入力可能であることが好ましい。これにより、管理サーバ16側では、医療機関用ソフトウェアの入力形式に沿って返信された返信情報を容易に処理することができる。
掲示板生成部52は、システム10の登録者(患者及び医療機関)のみがネットワーク14上で閲覧及び書き込み可能な公開ページ(掲示板60又は一覧掲示板66)を自動生成する。災害の発生時には、システム10が掲示板60又は一覧掲示板66を生成することにより、登録者は掲示板60又は一覧掲示板66を参照して薬剤の情報をある程度把握することが可能となる。
管理サーバ16は、以上の機能部を相互に動作することにより、薬剤又は医療機関に関する医療情報を自動的に提供可能に管理する。なお、説明は省略するものの、システム10は、登録する患者や医療機関の薬剤情報MFについて意図しない者への漏洩を防止するために、種々のセキュリティ機能を採用し得る。
また、上記のシステム10は、クライアント−サーバ方式のネットワーク14により構成されているが、これに限定されないことは勿論である。例えば、患者及び医療機関の端末12、18に接続される管理部を、peer−to−peer型ネットワークとして構成してもよい。一実施例としては、ノードを市町村等の地域毎に用意して患者及び医療機関を登録し、患者が登録された地域にいないときには、ノード間で通信を行うことにより、他の地域の薬剤管理DBを検索するように構成するとよい。
本実施形態に係る薬剤情報管理システム10は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下その作用効果について説明する。
システム10の管理サーバ16は、災害が発生していない通常時には、災害対策の一環として登録用モードを実施している。登録用モードでは、データベース登録部36がネットワーク14上にホームページを公開し、インスリンを服用している患者や所有している医療機関に対し薬剤情報MFの登録を案内している。
図4に示すように、登録用モードでは、薬剤情報MFの登録を行おうとする患者や医療機関(以下、登録者ともいう)が、所有しているスマートフォン12aやコンピュータ(以下、登録者端末62ともいう)を用いて、管理サーバ16のホームページにアクセスする(ステップS1)。なお、登録用モードでは、既に薬剤情報MFを登録した登録者も、コードC及びパスワードPを用いて管理サーバ16にアクセスし、先に登録した薬剤情報MFを変更することが可能である。
管理サーバ16は、登録者のアクセスを受信すると、データベース登録部36により、登録者が入力すべき項目「病気」、「薬剤」、「患者情報」、「受診医療機関」、「受診記録」、「薬剤の服用情報」、「パスワード」を有した登録画面情報を登録者端末62に送信する(ステップS2)。登録者は、この登録画面情報に沿って、自身の薬剤情報MF(図2参照)を入力して管理サーバ16に送信する(ステップS3)。この際、薬剤の提供に直接関わるインスリンの正式な名称や薬剤の服用情報は正確な登録がなされるように、登録画面上において階層順に選択させるようにしてもよい。つまり、患者が登録画面上で病気を選択すると、その病気に服用されている薬剤の選択欄を表示し、さらに薬剤を選択すると、その薬剤の服用情報の選択欄を表示することで、誤入力を低減することができる。勿論、登録者自身により薬剤の名称を入力させて、情報が誤っている場合にはその旨を伝えるようにしてもよい。
データベース登録部36は、登録者端末62が送信してきた薬剤情報MFを処理して、薬剤管理DB32に薬剤情報MFの新規追加を行い、登録者端末62に固有のコードCを付与した専用ソフトウェアを送信する(ステップS4)。管理サーバ16は、この専用ソフトウェアの送信をもって、登録者に薬剤情報MFが登録されたことを知らせ、薬剤管理DB32において薬剤情報MFの管理を行う。管理サーバ16は、付与したコードCと薬剤情報MFとを薬剤管理DB32上で紐付けて(関連づけして)保存し、以後のアクセス時(薬剤情報MFの変更等を含む)にはコードCに基づき薬剤情報MFを読み出す。
一方、登録者端末62は、専用ソフトウェアが送信されると、この専用ソフトウェアをインストールする(ステップS5)。これにより、例えば、登録者端末62がスマートフォン12aの場合には、操作アイコン58がスマートフォン12aの表示画面に表示される。操作アイコン58は、ネットワーク14上で管理サーバ16に直接接続可能なリンク機能を有しており、アクセス信号出力部54は、操作アイコン58の操作に基づき、付与されたコードCを含む緊急アクセス信号Sを管理サーバ16に送信することができる。なお、管理サーバ16へのアクセスは、操作アイコン58の操作に限定されないことは勿論であり、登録者端末62の種類やOSに応じて、管理サーバ16に簡単にアクセスすることが可能な手段を適宜採用し得る。
また、医療機関の場合は、管理サーバ16に登録する薬剤情報MFとして、所有しているインスリンの種類を全て登録することが好ましい。データベース登録部36は、所有する多種類のインスリンが容易に登録できるように、医療機関専用の表示画面情報を送信するようにしてもよい。
以上のように、システム10は、通常時に登録用モードを実施することにより、本システム10への登録者数の増加を図る。そして、システム10は、災害が発生した場合に、管理者の操作指示に基づき災害用モードを実施する。この際、登録用モードは、事前に登録していなかった患者でもインスリンの提供が受けられるように、災害用モード中も停止されずにそのまま継続する。
図5に示すように、災害時には、インスリン(又はインスリンに関する診察)を緊急に必要とする患者と、システム10に登録している医療機関との間で、管理サーバ16を介して情報の送受信を行う。災害用モードにおいて、管理サーバ16は、薬剤管理DB32に登録した患者の緊急アクセス信号Sを受信可能な待機状態となっている。インスリンを必要とする患者は、この災害モードを実施している管理サーバ16に対し、緊急アクセス信号Sによってインスリンの要望を行う(ステップS10)。
患者は、登録時に用いたスマートフォン12a(以下、需要患者端末64ともいう)に表示されている操作アイコン58を操作して、緊急アクセス信号Sを管理サーバ16に送信する。操作アイコン58の操作時には、パスワードPの入力を案内する画面を表示し、薬剤情報MFの登録時に設定したパスワードPの入力を促す。これにより需要患者端末64は、固有のコードCと共にパスワードPを含む緊急アクセス信号Sを管理サーバ16に送信する。
管理サーバ16は、需要患者端末64から緊急アクセス信号Sを受信すると、緊急アクセス信号Sを受け付けた旨を知らせる要望受領情報を需要患者端末64に返信する(ステップS11)。この要望受領情報には、データベース検索部42が特定した患者のインスリンの種類、位置検出部44が検出した需要患者端末64の位置情報を含むことが好ましい。需要患者は、この要望受領情報によって、要望したインスリンが正しく、又は自身の現在位置が合っていることを確認することができる。
また、要望受領情報は、専用画面表示/入力部56により表示されて、需要患者端末64が所定箇所に入力可能な形式をとっていてもよい。これにより、需要患者は、この要望受領情報を確認した後に、確認した旨を知らせる情報(例えば、位置情報が誤っている場合は正しい位置情報を含む)を管理サーバ16に簡単に送信することができる。管理サーバ16は、この情報に基づき薬剤情報MFを再度変更する。
その後、管理サーバ16は、特定した需要患者端末64の現在位置に基づき、周辺環境設定部46により患者の周辺環境の範囲を設定し、要望されたインスリンに関する医療情報の提供を求める要望情報を医療機関や他の患者にブロードキャストで送信する(ステップS12)。この際、同一薬剤検出部48は、周辺に存在する複数の医療機関及び患者の中で要望したインスリンを所有している医療機関及び患者を読み出す。そして、情報提供要求部50aが、要望されたインスリンに応じた要望情報を生成し、送信情報生成部50がこの要望情報を医療機関端末18や他の登録者端末62に自動送信する。
要望情報を受信した医療機関は、現在の診察の状況や要望されているインスリンの在庫を確認する等して、診察の可否やインスリンの提供の可否等を返信情報として医療機関端末18から管理サーバ16に送信する(ステップS13)。この場合、上述したように要望情報が医療機関用ソフトウェアで表示されれば、医療機関側が忙しい状況でも簡単な操作で返答することができる。また、医療機関端末18(医療機関用ソフトウェア)は、要望情報と薬剤の在庫を管理するソフトとを関連させることで、要望されたインスリンの在庫の有無を自動的に検索する構成となっていてもよい。
一方、要望情報を受信した他の患者は、上述した口コミ情報(或いは、自身の薬剤の所有数)を返信情報として管理サーバ16に送信する(ステップS14)。この際、要望情報は、専用画面表示/入力部56により適宜の表示形式で表示されることで、登録者端末62は、簡単な操作で返信情報を送信することができる。
管理サーバ16は、所定時間(例えば、1時間程度)にわたって上記の返信情報を受信し、要望したインスリンに関する医療(インスリンの受け渡しや診察)を提供可能な医療機関を送信情報生成部50により一覧表等にまとめて医療提供情報として需要患者端末64に送信する(ステップS15)。この医療提供情報は、専用画面表示/入力部56により医療機関の詳細な情報(住所や電話番号、メールアドレス)も一緒に表示され、一覧表の中から医療機関を選択することが可能となっている。
患者は、医療提供情報を需要患者端末64により受信すると、自身に都合がよい医療機関を任意に選択し、選択情報として需要患者端末64から管理サーバ16に返信する(ステップS16)。選択情報には、需要患者端末64のコードCが含まれており、管理サーバ16は、この選択情報を受信すると需要患者端末64(すなわち、患者)をスムーズに特定することができる。また、選択情報は、患者が医療内容(例えばインスリンの提供を受ける、医師の診察を受ける等)を選択することが可能となっていることが好ましい。医療機関は、選択された医療内容に応じて、患者の受け入れ体制を予め作ることができる。以下の説明では、インスリンの提供を受ける場合について述べることにする。
管理サーバ16は、選択情報により選択された医療機関端末18に対し、インスリンの確保を要求するため、薬剤確保要求情報を送信する(ステップS17)。この薬剤確保要求情報には、患者の薬剤情報MF(例えば、患者情報等)が必要な限りにおいて添付されることが好ましい。これにより、患者が医療機関からインスリンを受け取る際に、本人確認や病状確認等を容易に行うことが可能となる。
薬剤確保要求情報を受信した医療機関は、需要患者に渡すために要求されたインスリンを確保し、その旨を薬剤確保情報として医療機関端末18から管理サーバ16に送信する(ステップS18)。
管理サーバ16は、薬剤確保情報を受信すると、この薬剤確保情報をそのまま(又は加工して)需要患者端末64に送信する(ステップS19)。これにより、需要患者は、需要患者端末64を介して、必要な薬剤が確保されたことを確認することができる。このように、本システム10は、上記のステップによって、需要患者が被災してインスリンを所持していない状況でも、周辺の医療機関のインスリンの所有情報を良好に提供することができる。
なお、以降のインスリンの受け渡し方法は、基本的には患者が医療機関に直接受け取りに行くことが前提であるが、特に限定されるものではなく、医療機関側のスタッフが届ける、又は患者や医療機関の状況に応じて介助者等が受け取りを行ってもよい。この際、需要患者端末64に送信された薬剤確保情報の表示を条件にインスリンの受け渡しを行うようにすれば、インスリンの提供を正確且つ効率的に行うことができる。
次に、上述したネットワーク14上における需要患者、管理サーバ16及び医療機関の行動手順に対応した管理サーバ16の処理フローについて、図6を参照して説明していく。
管理サーバ16は、通常時に登録用モードを実施しており、データベース登録部36により患者及び医療機関からの薬剤情報MFの登録を受け付けている(ステップS101)。また、管理サーバ16は、登録用モードの実施中に災害用モードを実施するか否かの指示を判別している(ステップS102)。そして、災害が発生し、管理者等からの災害用モードの実施指示に基づき、災害用モードを開始する(ステップS103)。
災害用モードを開始すると、管理サーバ16は、患者からの緊急アクセス信号Sの受信を判別する(ステップS104)。この緊急アクセス信号Sには、上述したように、需要患者端末64に付与されたコードCと、患者が設定したパスワードPが含まれている。
管理サーバ16は、ネットワーク14を介して需要患者端末64から緊急アクセス信号Sを受信すると、先ず、パスワードPが予め登録されたものと一致するか否かを認証部40により確認する(ステップS105)。パスワードPの認証後に、データベース検索部42が緊急アクセス信号SのコードCに紐付けられた薬剤情報MFを、薬剤管理DB32から検索して読み出す(ステップS106)。これにより、管理サーバ16は需要患者端末64の所有者を認識し、これと同時に要望された薬剤(インスリンの種類)を特定する。
また、管理サーバ16は、パスワードPの認証後、位置検出部44により需要患者の現在位置の検出を行う(ステップS107)。さらに、薬剤情報MFの特定と患者の現在位置の検出を行うと、送信情報生成部50は、これらの情報に基づき要望受領情報を生成して需要患者端末64に送信する(ステップS108)。
次に、位置検出部44が検出した需要患者端末64の現在位置に基づき、周辺環境設定部46が需要患者の周辺環境の範囲を設定し、同一薬剤検出部48がデータベース検索部42により特定されたインスリンを所有する医療機関又は他の患者を検出する(ステップS109)。なお、この処理は順序が逆でもよく、例えば、先に同一薬剤検出部48がインスリンを所有する医療機関を検出して、周辺環境設定部46により患者の現在位置に対し遠距離にある医療機関を削除していく等の処理を行ってもよい。
その後、管理サーバ16の送信情報生成部50(情報提供要求部50a)は、同一薬剤検出部48が検出した医療機関又は他の患者に対し、薬剤に関する医療情報の提供を要望する要望情報を生成して送信する(ステップS110)。管理サーバ16は、要望情報の送信にともない時間の経過を計測し、その間に医療機関端末18又は他の登録者端末62からの返信情報を受信する(ステップS111)。
所定時間の経過後、送信情報生成部50は、医療機関又は他の患者の返信情報に基づき、要望したインスリンに関する医療の提供が可能な医療機関を一覧表にまとめて、医療提供情報として需要患者端末64に送信する(ステップS112)。送信後、管理サーバ16は、需要患者端末64から医療機関を選択した選択情報の受信を判別する(ステップS113)。
需要患者端末64から選択情報を受信すると、送信情報生成部50は、インスリンの確保を要求する薬剤確保要求情報を生成して医療機関端末18に送信する(ステップS114)。その後、管理サーバ16は、医療機関端末18からのインスリンを確保した旨を通知する薬剤確保情報の受信を判別する(ステップS115)。薬剤確保情報を受信すると、送信情報生成部50は、この薬剤確保情報を需要患者端末64に送信する(ステップS116)。これにより、要望されたインスリンの情報を需要患者に提供したことになり、管理サーバ16は、緊急アクセス信号Sを受け付けた際の処理フローを終了する。この災害用モードは、管理者が災害中であると判断した場合には継続的に実施される。
なお、管理サーバ16がインスリンの提供を要請する対象は、医療機関や他の患者(周辺の登録者)に限定されないことは勿論であり、提供可能な医療機関や患者がいない又は少ない場合には、災害支援を行う対策機関、製薬会社、或いは被災していない遠方の登録者等にインスリンを要請してもよい。
以上のように、本実施形態に係る薬剤情報管理システム10は、データベース検索部42が特定した一の患者の薬剤情報MFに基づき、同じ薬剤を服用する他の患者、又は同じ薬剤を所有する医療機関を検出する同一薬剤検出部48を有することで、一の患者が服用する薬剤に関わる情報を容易に提供することができる。すなわち、管理サーバ16は、患者からの要望に基づき薬剤管理DB32を検索し、同じ薬剤を所有する医療機関等を知らせることができる。よって、災害等に遭遇した患者は、緊急時でも薬剤又は医療機関に関する情報を正確且つ速やかに得て、医療機関等にアクセスすることが可能となり、服用する薬剤を確保する又は診察を受ける等の対応を良好に図ることができる。
また、システム10は、一の患者の位置情報を検出する位置検出部44を有することで、患者の現在位置に基づき、その周辺に存在する医療機関等を知らせることができる。その結果、患者は、現在位置近くの医療機関等から薬剤や診察を受けることが可能となり、緊急性が非常に高い場合でも容易に対応することができる。
また、システム10は、登録者端末62毎にコードCを付与することにより、需要患者端末64から管理サーバ16にアクセスする際に、コードCによって患者の薬剤情報MFを迅速に特定することが可能となる。患者側は、緊急時に、自身が服用しているインスリンを改めて入力する必要がなくなるので、スムーズ且つ正確にインスリンを要望することができる。
さらに、需要患者端末64が、コードCを含む緊急アクセス信号Sを所定の操作に基づき自動送信するアクセス信号出力部54を有することで、緊急時において、複雑な手順を踏まずにコードCを簡単に送信することができる。そして、管理サーバ16は、緊急アクセス信号Sに基づき薬剤情報MFを直ちに特定することができる。
なお、薬剤情報管理システム10による薬剤又は医療機関に関する情報の提供は、上述した方法に限定されるものではなく、種々の応用例及び変形例を取り得る。以下、他の応用例について、いくつか説明していく。
〔第1応用例〕
図7に示す第1応用例に係る薬剤又は医療機関に関する情報の提供方法は、上述した提供方法と比較して、登録者と管理サーバ16との情報の送受信をより単純化した構成を採っている。すなわち、第1応用例に係る提供方法は、患者(需要患者端末64)が緊急アクセス信号Sを送信することにより(ステップS20)、管理サーバ16は、コードCに基づき薬剤情報MFを特定すると共に、患者の現在位置を検出し、緊急アクセス信号Sを受け付けた旨を知らせる要望受領情報を需要患者端末64に送信する(ステップS21)。
そして、管理サーバ16の周辺環境設定部46及び同一薬剤検出部48は、患者の現在位置に基づき、同じインスリンを所有している周辺の医療機関を特定し、その特定結果を、送信情報生成部50により一覧にまとめて医療提供情報として需要患者端末64に送信する(ステップS22)。
需要者は、この医療提供情報を閲覧して、医療機関に対しインスリンの提供が可能か否か(又は診察が可能か否か)の確認を行う(ステップS23)。なお、医療提供情報には、需要患者端末64から医療機関端末18へのアクセスを容易にする情報(例えば、医療機関のメールやホームページのアドレス等)が含まれることが好ましい。
医療機関は、需要患者から直接的にアクセスされることで、インスリンの提供の可否、確保又は診察の可否を連絡する(ステップS24)。なお、需要患者と医療機関の間におけるアクセス(ステップS23、S24)は、例えば、電話による連絡等も含まれる。
換言すれば、第1応用例に係る提供方法において、管理サーバ16は、緊急アクセス信号Sから特定した薬剤情報MFに基づき、医療機関を検出して需要患者端末64に知らせるだけの処理を行う。このため、薬剤の要請時における処理を簡単に行うことができ、アクセス数が多い場合でも良好に処理することができる。
〔第2応用例〕
図8及び図9に示す第2応用例に係る薬剤又は医療機関に関する情報の提供方法では、災害用モードにおいて、管理サーバ16の掲示板生成部52が薬剤情報MFの掲示板60を生成する構成となっている。
この掲示板60は、例えば、病気単位且つ市町村等の地域単位に区分して生成されることが好ましい。このような区分によって形成された掲示板60により、患者や医療機関は、目的や所在する地域に応じた掲示板60を容易に確認することができる。また、掲示板60は、システム10に登録している登録者のみが閲覧可能な閉鎖性を有して生成される。
第2応用例に係る薬剤の所在情報の提供方法では、患者(需要患者端末64)がインスリンの要望を行う、すなわち緊急アクセス信号Sを送信することにより(ステップS30)、管理サーバ16は、コードCに基づき薬剤情報MFを特定すると共に、患者の現在位置を検出し、緊急アクセス信号Sを受け付けた旨を知らせる要望受領情報を需要患者端末64に送信する(ステップS31)。
その後、特定した薬剤情報MFと需要患者端末64の現在位置に基づき、掲示板生成部52は、病気と地域に区分された掲示板60の中から記載すべき掲示板60を選択して、その掲示板60に自動的に記載を行う(ステップS32)。各地域に存在する医療機関は、この掲示板60を閲覧することによって薬剤を要望している患者の存在を把握することができる(ステップS33)。
図9に示すように、掲示板60は、例えば、需要患者端末64が緊急アクセス信号Sを送信することにより書き込まれる要望欄60aと、医療機関等(他の患者を含む)が要望欄60aを参照して書き込み可能な回答欄60bとにより構成されるとよい。要望欄60aには、要望日時の他に、インスリンを要望した患者が自身であることを特定でき、且つ多くの個人情報を開示しないように、例えば、患者の簡単な所在地やイニシャル等が表示されるとよい。また、要望する薬剤も併記され、併記された薬剤には具体的な医療プロトコル(薬剤の服用情報)が表示される表示欄(図示せず)にリンクできるように生成される。また、要望欄60aには、自身の要望が掲載された欄に対して、需要患者端末64により他のメッセージを追加可能であることが望ましい。要望欄60aは、基本的には要望日時順(投稿順)に順次追記されていくが、緊急性等に応じて、要望欄60aの表記順が変更されてもよい。
回答欄60bは、要望欄60aに個々に投稿された欄に対応して、回答が順次追記されていくように構成される。また、回答者の名称には具体的な住所や地図、連絡先が表示される表示欄(図示せず)にリンクできるように生成されるとよい。さらに、掲示板生成部52は、医療機関が要望欄60aに回答する際に複数の要望欄60aで同じ薬剤が要望されている場合には、1度の回答で複数の要望欄60aに自動的に回答するように構成してもよい。
図8に戻り、医療機関は、以上の掲示板60を閲覧して、回答欄60bに薬剤の提供を書き込む(ステップS34)。この場合、システム10は、医療機関用ソフトウェアによって医療機関がインスリンの名称を選択すれば、インスリンが提供可能である旨を自動的に回答欄60bに記載するように構成してもよい。これにより、医療機関の作業の手間を大幅に軽減することができる。
患者は、需要患者端末64を介して掲示板60を閲覧し、自身が要望した要望欄60aに対する回答を確認する(ステップS35)。その後は、第1応用例と同様に、患者が回答欄60bに記載された医療機関に対してアクセスを行い(ステップS36)、医療機関は、需要患者からのアクセスに基づきインスリンの提供の可否及び確保を連絡する(ステップS37)。
以上のように、システム10は、災害用モードにおいて掲示板60を生成することで、患者及び医療機関がこの掲示板60を参照して薬剤情報MFを確認することができる。また、他の患者もこの掲示板60を閲覧することによって、災害発生時における薬剤の状況を確認することができる。
〔第3応用例〕
上述した実施形態、第1及び第2応用例に係る薬剤の所在情報の提供方法は、医療機関の数が多い地域にとって特に有用である。しかしながら、医療機関の数が少ない地域にとっては、例えば、管理サーバ16に薬剤の要望を行ったとしても、周辺に医療機関が少ないために、医療機関から薬剤の提供情報が得られない可能性もある。このため、システム10は、管理サーバ16において同じ薬剤を服用している登録者を整理(例えば、グループ化等)し、災害発生時に登録者間で薬剤の共有化(シェア)を促すように構成してもよい。
薬剤の共有化とは、登録者が登録した薬剤情報MFに基づき、掲示板生成部52が、同一の薬剤を所有し且つ同一の地域に存在する登録者の情報を一覧として掲示板(以下、一覧掲示板66という:図1参照)に記載して、その一覧掲示板66を基に、登録者間で薬剤の所持状況の情報交換を促すようにするものである。勿論、共有化を図る登録者には医療機関が含まれてもよい。
図10に示すように、管理サーバ16は、災害用モードを開始すると、薬剤管理DB32を参照して、同じ薬剤を使用している登録者毎にグループ化を行う(ステップS40)。そして、薬剤情報MFを登録した各々の登録者端末62(需要患者端末64、医療機関端末18)に対し、一覧掲示板66への登録の可否を確認する掲載可否情報を送信する(ステップS41)。この掲載可否情報は、登録者が一覧掲示板66への登録の可否を容易に行い、また管理サーバ16の処理が容易となるように所定形式(例えば、WEB形式)により返信可能となっていることが好ましい。
掲載可否情報が送信された登録者は、一覧掲示板66への登録の可否を判断して、一覧掲示板66への登録許可情報を通知する(ステップS42)。なお、一覧掲示板66への登録を拒否する場合は、掲載可否情報が需要患者端末64においてそのまま放置されてよい。
管理サーバ16は、登録者端末62からの登録許可情報を随時受け付けており、登録許可情報を受信した場合には、掲示板生成部52により薬剤及び地域毎に生成された一覧掲示板66に自動記載を行い、すなわち一覧掲示板66への追加を行う(ステップS43)。
その後、薬剤を要望する患者は、需要患者端末64を用いて一覧掲示板66の閲覧を行う(ステップS44)。また、一覧掲示板66に登録された医療機関や他の患者は、一覧掲示板66の閲覧を行いつつ、自身の所有するインスリンが提供可能であることを書き込む。
そして、薬剤が必要な場合は、一覧掲示板66の一覧に記載されている登録者に対してアクセスを行い(ステップS45)、登録者は、需要患者からのアクセスに基づきインスリンの提供の可否及び確保を連絡する(ステップS46)。
以上のように、災害時には、管理サーバ16の指示下に登録者の情報を一覧掲示板66に掲載することにより、周辺環境において同じ薬剤を使用している登録者を知ることができる。よって、緊急に薬剤が必要となった場合には、薬剤の提供を申し込むこともできる。
この一覧掲示板66は、登録者が随時書き込むことが可能であり、同じインスリンを所持している登録者が互いに連絡を取り合うことができる。よって、インスリンが不足していることを、登録者の連盟で災害対策機関等に要望することもできる。また例えば、災害時にインスリンを相互に融通し合うことで、災害時に薬剤が一部において多量に存在し、他部において不足する等の不都合を低減することができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。例えば、本実施形態、第1〜第3応用例に係る薬剤の所在情報の提供方法は、個別に実施するだけでなく、2つ以上を組み合わせて行うようにしてもよい。また、薬剤情報管理システム10は、災害の発生時における情報提供に限定されず、日常において緊急を要する場合に、薬剤情報MFの提供を受けるようにしてもよい。