ところで、特許文献1では、延長トレイをプリンタ本体の開閉カバーに取付けているが、延長トレイを給紙トレイや排紙トレイそのものに設けることもある。例えば、給紙トレイや排紙トレイとして、装置側に開閉自在に設けられたトレイ本体と、トレイ本体に開閉自在に設けられた延長トレイとを備えたものがある。しかしながら、トレイ本体の開閉操作と延長トレイの開閉操作とを別々に行うならば、給紙トレイや排紙トレイの開閉操作が煩雑となって、使勝手が非常に悪くなる。
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、給紙トレイや排紙トレイに延長トレイを設けた構成において、給紙トレイや排紙トレイを閉じる操作が簡単かつ容易な用紙処理装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の用紙処理装置は、記録用紙が収容されるトレイを備えた用紙処理装置であって、前記トレイは、第1トレイ部材及び第2トレイ部材を備え、前記第1トレイ部材は、前記用紙処理装置の本体と該第1トレイ部材との間の第1支点で開閉自在に支持され、前記第2トレイ部材は、前記第1トレイ部材と該第2トレイ部材との間の第2支点で開閉自在に支持されて、前記第1トレイに対して開かれ、前記第1トレイ部材が閉じられる方向に移動される過程において前記第2支点を通る仮想鉛直線よりも前記本体側へと移行する重心位置を有し、前記第2トレイ部材が閉じられる方向に移動されるときに該第2トレイ部材の先端をガイドするガイド部を前記本体に設けている。
このような本発明の用紙処理装置では、例えば、第1トレイ部材が給紙トレイや排紙トレイのトレイ本体であり、第2トレイ部材がトレイ本体に設けられた延長トレイである。第1トレイ部材は、用紙処理装置の本体と該第1トレイ部材との間の第1支点で開閉自在に支持されている。また、第2トレイ部材は、第1トレイ部材と該第2トレイ部材との間の第2支点で開閉自在に支持されて、第1トレイに対して開かれ、第1トレイ部材が閉じられる方向に移動される過程において第2支点を通る仮想鉛直線よりも本体側へと移行する重心位置を有している。このため、第1トレイ部材を閉じる操作が行われると、第1トレイ部材が閉じられる途中で、第2トレイ部材の重心位置が第2トレイ部材の第2支点を通る仮想鉛直線よりも本体側へと移行する。このとき、第2トレイ部材がその自重により第2支点を中心にして本体側へと回転移動して、第2トレイ部材が閉られて行き、第1トレイ部材と第2トレイ部材とが折れ曲がる。そして、第1トレイ部材を閉じる操作が更に行われると、第2トレイ部材が閉じられる方向に更に移動して、第2トレイ部材の先端が本体側のガイド部によりガイドされ、第2トレイ部材が確実に閉じられる。すなわち、第1トレイ部材を閉じる操作が行われると、これに伴って第2トレイ部材も閉じられる。従って、第1トレイ部材を閉じる操作だけを行えばよく、第2トレイ部材を閉じる操作を格別に行う必要がなく、第1及び第2トレイ部材を閉じる操作が簡単かつ容易である。
また、本発明の用紙処理装置においては、前記ガイド部は、前記第2トレイ部材の先端が接触して滑動するガイド曲面である。
このようなガイド曲面により、第2トレイ部材の先端を滑らかにガイドすることができる。
更に、本発明の用紙処理装置においては、前記第2トレイ部材の先端には、コロが設けられ、前記ガイド部は、前記コロが接触して転がるガイド曲面である。
このようにガイド曲面に対して第2トレイ部材の先端のコロを接触させることにより、第2トレイ部材の先端を滑らかにガイドすることができる。
また、本発明の用紙処理装置においては、前記ガイド部は、前記第2トレイ部材の先端に接触して、前記先端をガイドする無端状ベルトと、前記無端状ベルトを張架する複数のローラとを有している。
このような無端状ベルトに対して第2トレイ部材の先端を接触させることにより、第2トレイ部材の先端を滑らかにガイドすることができる。
更に、本発明の用紙処理装置においては、前記ガイド部は、前記第2トレイ部材の先端に接触して、前記先端と共に移動するスライド部材と、前記スライド部材をガイドするガイド部材とを有している。
このようなスライド部材に対して第2トレイ部材の先端を接触させることにより、第2トレイ部材の先端を滑らかにガイドすることができる。
また、本発明の用紙処理装置においては、前記第2トレイ部材の先端部分は、前記第1トレイ部材に対して該第2トレイ部材が閉じられる側に屈曲している。
このように第2トレイ部材の先端部分を該第2トレイ部材が閉じられる側に屈曲させることにより、第2トレイ部材の重心位置として、第1トレイ部材が閉じられる途中で第1トレイ部材側の第2支点を通る仮想鉛直線よりも本体側へと移行する重心位置を設定することができる。
更に、本発明の用紙処理装置においては、前記ガイド部に対して前記第2トレイ部材の先端が接する位置は、前記第1支点を中心として前記第2支点を通るように描かれた円弧に対する該第2支点を通る接線よりも該第1支点側にある。
この場合は、ガイド部に対して第2トレイ部材の先端が接したときに、第1支点及び第2支点を通る直線と第2支点及び第2トレイ部材の先端を通る直線とがなす角度が90度未満の鋭角となり、ガイド部による第2トレイ部材の先端のガイドが容易となる。
また、本発明の用紙処理装置においては、前記第1トレイ部材に対して前記第2トレイ部材が開成された状態で、前記第1支点より前記第1トレイ部材の先端を経て延長された直線の延長部分と前記第2支点及び前記第2トレイ部材の重心位置を通る直線とのなす角度をTとし、前記第1支点から前記第2支点までの長さをZとし、前記第2支点から前記第2トレイ部材の先端までの長さをXとすると、X<Z×sinTの関係にある。
このような関係を設定することにより、第2トレイ部材の重心位置が第2トレイ部材の第2支点を通る仮想鉛直線よりも本体側へと移行して、第2トレイ部材がその自重により第2支点を中心にして本体側へと回転移動したときに、第2トレイ部材の先端が本体に接触して干渉することがなくなり、第2トレイ部材が閉られて行く。
更に、本発明の用紙処理装置においては、前記第1支点を中心として前記第2支点を通るように描かれた円弧に対する該第2支点を通る接線よりも該第1支点側で、前記第2トレイ部材を該第2トレイ部材が開かれる方向に付勢する付勢部材を備えている。
この場合は、第1トレイ部材を開く操作が行われて、第1トレイ部材が第1支点を中心にして本体から離間する方向に移動されると、付勢部材の付勢力により第2トレイ部材が第2支点を中心にして回転して開かれ、更に第2トレイ部材の慣性により該第2トレイ部材がより開かれて行く。従って、第2トレイ部材を開く操作を格別に行う必要がなく、第1及び第2トレイ部材の開く操作が簡単かつ容易である。
一方、本発明の画像形成装置は、上記本発明の用紙処理装置を備えている。
このような画像形成装置においても、上記本発明の用紙処理装置と同様の作用効果を奏することができる。
本発明では、第1トレイ部材を閉じる操作が行われると、第1トレイ部材が閉じられる途中で、第2トレイ部材の重心位置が第2トレイ部材の第2支点を通る仮想鉛直線よりも本体側へと移行する。このとき、第2トレイ部材がその自重により第2支点を中心にして本体側へと回転移動して、第2トレイ部材が閉られて行き、第1トレイ部材と第2トレイ部材とが折れ曲がる。そして、第1トレイ部材を閉じる操作が更に行われると、第2トレイ部材が閉じられる方向に更に移動して、第2トレイ部材の先端が本体側のガイド部によりガイドされ、第2トレイ部材が確実に閉じられる。すなわち、第1トレイ部材を閉じる操作が行われると、これに伴って第2トレイ部材も閉じられる。従って、第1トレイ部材を閉じる操作だけを行えばよく、第2トレイ部材を閉じる操作を格別に行う必要がなく、第1及び第2トレイ部材を閉じる操作が簡単かつ容易である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の用紙処理装置の第1実施形態を模式的に示す側面図である。第1実施形態の用紙処理装置1は、画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であって、画像形成装置と本体筐体2を共有し、画像形成装置と共に本体筐体2に内蔵されている。この用紙処理装置1は、記録用紙が収容される給紙トレイ(図示せず)及び排紙トレイ3を有しており、給紙トレイから記録用紙を引き出して画像形成装置に供給搬送し、画像形成装置で印刷された記録用紙を排紙トレイ3に排出する。
本体筐体2は、底板2a、両側の壁板2b、及び上板2cとを有しており、その一端側が開口部2dとなっている。排紙トレイ3は、トレイ本体4と、延長トレイ5とを有し、本体筐体2の開口部2dに設けられている。
トレイ本体4の下端4aは、本体筐体2の底板2aの端部に設けられた第1支点軸11により回転自在に支持されている。また、延長トレイ5の一端5aは、トレイ本体4の先端4b側に設けられた第2支点軸12により回転自在に支持されている。
第2支点軸12周りには、キックバネ13が設けられており、キックバネ13によりトレイ本体4に対して延長トレイ5が開成する方向Aに付勢されている。
本体筐体2の両側の壁板2bの側端部には、それぞれのガイド傾斜曲面6が形成されており、各ガイド傾斜曲面6の間が開放されている。
ここで、印刷された記録用紙は、本体筐体2の開口部2dにおける各ガイド傾斜曲面6の間を通って排紙トレイ3へと排出される。また、トレイ本体4及び延長トレイ5は、略同一の幅を有しており、延長トレイ5の先端5bの幅が各ガイド傾斜曲面6の離間距離よりも広くされ、後で述べるように延長トレイ5の先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6に接するようにされている。
ところで、トレイ本体4の開閉操作と延長トレイ5の開閉操作とを別々に行うならば、排紙トレイ3の開閉操作が煩雑となって、使勝手が非常に悪くなる。そこで、本実施形態では、トレイ本体4を開閉する操作を行うと、これに伴って延長トレイ5も開閉される構成としている。次に、そのような構成について詳しく説明する。
まず、図1に示すようにトレイ本体4がストッパー(図示せず)に当接するまで第1支点軸11を中心にして開成され、延長トレイ5が別のストッパー(図示せず)に当接するまで第2支点軸12を中心にして開成されて、延長トレイ5がトレイ本体4の延長方向に位置決めされ、延長トレイ5とトレイ本体4との間の角度が概ね180°未満の規定角度に設定されて、排紙トレイ3が開成されているとする。
このとき、第1支点軸11の中心よりトレイ本体4の先端4bを経て延長された直線S1の延長部分と第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の重心位置mを通る直線S2とのなす角度をTとし、第1支点軸11の中心から第2支点軸12の中心までの長さをZとし、第2支点軸12の中心から延長トレイ5の先端5bまでの長さをXとすると、X<Z×sinTの関係が設定されている。
この状態で、図2に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が行われると、その過程おいては、延長トレイ5の重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kへと接近して、重心位置mが仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行する。そして、延長トレイ5の重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを越えると、延長トレイ5がその自重により第2支点軸12を中心にして本体筐体2側へと回転移動して、トレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がる。このとき、第2支点軸12周りのキックバネ13によりトレイ本体4に対して延長トレイ5が開成する方向Aに付勢されていることから、延長トレイ5の自重とキックバネ13の付勢力とが釣り合うまで延長トレイ5が本体筐体2側へと回転移動する。
また、上記X<Z×sinTの関係が設定されているため、延長トレイ5が本体筐体2側へと回転移動しても、延長トレイ5の先端が本体筐体2に接触して干渉することはなく、延長トレイ5の閉成動作が阻害されることもない。
そして、図3に示すようにトレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がった状態で、トレイ本体4が更に閉じられると、延長トレイ5の先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6に接する。このとき、各ガイド傾斜曲面6に対する延長トレイ5の先端5bの両側部の接触位置は、第1支点軸11を中心として第2支点軸12の中心を通るように描かれた円弧Jに対する第2支点軸12の中心を通る接線Uよりも第1支点軸11側にあることから、第1支点軸11の中心及びトレイ本体4の先端4bを通る直線S1と第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端5bを通る直線S3とがなす角度αが90度未満の鋭角となる。また、第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端を通る直線S3と各ガイド傾斜曲面6とがなす上側の角度βが90度未満の鋭角となるように、各ガイド傾斜曲面6が下方に向いて傾斜している。このため、トレイ本体4が閉じられて、延長トレイ5が第1支点軸11を中心に回転移動すると、各ガイド傾斜曲面6から延長トレイ5の先端5bへと作用する力により、その角度αがより小さくなるように延長トレイ5が第2支点軸12を中心にして回転して、延長トレイ5の先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6に沿って下方に滑動し、延長トレイ5が閉じられて行く。
この結果、図4に示すようにトレイ本体4及び延長トレイ5が折り畳まれて、排紙トレイ3が閉成される。従って、トレイ本体4を閉じる操作だけを行えばよく、延長トレイ5を格別に操作する必要がなく、排紙トレイ3を閉じる操作が簡単かつ容易である。
一方、図4に示すように排紙トレイ3が閉成された状態で、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5も開かれて、延長トレイ5の先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6で滑動して上方へと移動して行く。そして、トレイ本体4を開く操作が継続されると、キックバネ13の付勢力により延長トレイ5が加速して開かれ、更に図2及び図1に示すように延長トレイ5の慣性により該延長トレイ5がより開かれて、排紙トレイ3が開成される。従って、排紙トレイ3を開成するときにも、トレイ本体4を開く操作だけを行えばよく、延長トレイ5を開く操作を格別に行う必要がなく、排紙トレイ3を開く操作が簡単かつ容易である。
図5は、本発明の用紙処理装置の第2実施形態を模式的に示す側面図である。第2実施形態の用紙処理装置1Aは、第1実施形態の用紙処理装置1と同様に画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であるが、排紙トレイ3の延長トレイ5Aの先端5bの両側にそれぞれのコロ21を設けた点が第1実施形態の用紙処理装置1とは異なる。
図6(a)に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が行われると、その過程おいて、延長トレイ5Aの重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行し、延長トレイ5Aが第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力に抗してその自重により第2支点軸12を中心にして本体筐体2側へと回転移動して、トレイ本体4と延長トレイ5Aとが折れ曲がる。
ここでも、上記X<Z×sinTの関係が設定されているため、延長トレイ5Aの先端が本体筐体2に接触して干渉することはない。
そして、図6(b)に示すようにトレイ本体4と延長トレイ5Aとが折れ曲がった状態で、トレイ本体4が更に閉じられると、延長トレイ5Aの先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6に接する。このとき、第1支点軸11の中心及びトレイ本体4の先端4bを通る直線S1と第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端5bを通る直線S3とがなす角度αが90度未満の鋭角となり、また第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端を通る直線S3と各ガイド傾斜曲面6とがなす上側の角度βが90度未満の鋭角となる。このため、トレイ本体4が閉じられて、延長トレイ5が第1支点軸11を中心に回転移動すると、各ガイド傾斜曲面6から延長トレイ5の先端5bへと作用する力により、その角度αがより小さくなるように延長トレイ5が第2支点軸12を中心にして回転して、延長トレイ5Aの先端5bの両側のコロ21が各ガイド傾斜曲面6上で転がって移動し、延長トレイ5Aが閉じられて行く。この結果、図6(c)に示すようにトレイ本体4及び延長トレイ5Aが折り畳まれて、排紙トレイ3が閉成される。
このように延長トレイ5Aの先端5bの各コロ21が各ガイド傾斜曲面6上で転がって移動することから、延長トレイ5Aの先端5bと各ガイド傾斜曲面6との間の摩擦抵抗が小さい。従って、延長トレイ5Aをより小さな力で滑らかに閉じることができ、トレイ本体4が延長トレイ5Aを通じて受ける力も小さくなって、トレイ本体4をより小さな力で滑らかに閉じることができる。
また、排紙トレイ3が閉成された状態で、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5Aも開かれて行き、延長トレイ5の先端5bの各コロ21が各ガイド傾斜曲面6で転がって上方へと移動して行く。そして、トレイ本体4を開く操作が継続されると、キックバネ13の付勢力により延長トレイ5Aが加速して開かれ、更に延長トレイ5Aの慣性により該延長トレイ5Aがより開かれて、排紙トレイ3が開成される。従って、トレイ本体4を開く操作だけを行えばよく、延長トレイ5Aを開く操作を格別に行う必要がなく、排紙トレイ3を開く操作が簡単かつ容易である。
図7は、本発明の用紙処理装置の第3実施形態を模式的に示す側面図である。第3実施形態の用紙処理装置1Bは、第1実施形態の用紙処理装置1と同様に画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であるが、各ガイド傾斜曲面6を設ける代わりに、各無端状ベルト22を設けた点が第1実施形態の用紙処理装置1とは異なる。
各無端状ベルト22は、本体筐体2の両側の壁板2bの側端部に配置されており、各無端状ベルト22の間が開放されて、印刷された記録用紙が各無端状ベルト22の間を通って排紙トレイ3へと排出されるようにされている。また、各無端状ベルト22は、本体筐体2の両側の壁板2bに設けられた一組のローラ23にそれぞれ張架されて、周回移動自在に支持されている。
図8(a)に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が行われると、その過程おいて、延長トレイ5の重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行し、延長トレイ5が第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力に抗してその自重により第2支点軸12を中心にして本体筐体2側へと回転移動して、トレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がる。
ここでも、上記X<Z×sinTの関係が設定されているため、延長トレイ5Aの先端が本体筐体2に接触して干渉することはない。
そして、図8(b)に示すようにトレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がった状態で、トレイ本体4が更に閉じられると、延長トレイ5の先端5bの両側部が各無端状ベルト22に接する。このとき、各無端状ベルト22に対する延長トレイ5の先端5bの両側部の接触位置は、第1支点軸11を中心として第2支点軸12の中心を通るように描かれた円弧Jに対する第2支点軸12の中心を通る接線Uよりも第1支点軸11側にあることから、第1支点軸11の中心及びトレイ本体4の先端4bを通る直線S1と第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端5bを通る直線S3とがなす角度αが90度未満の鋭角となる。また、第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端を通る直線S3と各無端状ベルト22とがなす上側の角度が90度未満の鋭角となる。このため、トレイ本体4が閉じられて、延長トレイ5が第1支点軸11を中心に回転移動すると、各無端状ベルト22から延長トレイ5の先端5bへと作用する力により、その角度αがより小さくなるように延長トレイ5が第2支点軸12を中心にして回転して、延長トレイ5の先端5bの両側部が各無端状ベルト22と共に下方に移動しつつ、各無端状ベルト22が周回移動し、延長トレイ5が閉じられて行く。この結果、図8(c)に示すようにトレイ本体4及び延長トレイ5が折り畳まれて、排紙トレイ3が閉成される。
各無端状ベルト22は、各ローラ23と共に滑らかに周回移動する。このため、延長トレイ5の先端5bの両側部は、各無端状ベルト22から大きな抵抗を受けることなく、各無端状ベルト22と共に下方に滑らかかつ容易に移動する。従って、延長トレイ5をより小さな力で滑らかに閉じることができ、トレイ本体4が延長トレイ5を通じて受ける力も小さくなって、トレイ本体4をより小さな力で滑らかに閉じることができる。
また、排紙トレイ3が閉成された状態で、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5も開かれて行き、延長トレイ5の先端5bの両端部が各無端状ベルト22と共に上方に移動する。そして、トレイ本体4を開く操作が継続されると、キックバネ13の付勢力により延長トレイ5が加速して開かれ、更に延長トレイ5の慣性により該延長トレイ5がより開かれて、排紙トレイ3が開成される。従って、トレイ本体4を開く操作だけを行えばよく、延長トレイ5を開く操作を格別に行う必要がなく、排紙トレイ3を開く操作が簡単かつ容易である。
図9は、本発明の用紙処理装置の第4実施形態を模式的に示す側面図である。第4実施形態の用紙処理装置1Cは、第1実施形態の用紙処理装置1と同様に画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であるが、各ガイド傾斜曲面6を設ける代わりに、各スライド部材25を設けた点が第1実施形態の用紙処理装置1とは異なる。
各スライド部材25は、本体筐体2の両側の壁板2bの側端部に配置されており、本体筐体2の底板2aに突設されたそれぞれのガイドレール26によって上下方向に移動自在に支持され、かつ本体筐体2の上板2cに吊り下げられたそれぞれのバネ部材27に接続されて弾性的に支持され、該各スライド部材25の自重と各バネ部材27の弾性力とが均衡するような上下方向の位置に静止している。各スライド部材25、各ガイドレール26、並びに各バネ部材27の間が開放されて、印刷された記録用紙がそれらの間を通って排紙トレイ3へと排出されるようにされている。
更に、各スライド部材25には、排紙トレイ3が閉じられるときに延長トレイ5の先端5bが侵入するそれぞれの凹部25aが形成されている。
図10(a)に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が行われると、その過程おいて、延長トレイ5の重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行し、延長トレイ5が第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力に抗してその自重により第2支点軸12を中心にして本体筐体2側へと回転移動して、延長トレイ5が閉られて、トレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がる。
ここでも、上記X<Z×sinTの関係が設定されているため、延長トレイ5Aの先端が本体筐体2に接触して干渉することはない。
そして、図10(b)に示すようにトレイ本体4と延長トレイ5とが折れ曲がった状態で、トレイ本体4が更に閉じられると、延長トレイ5の先端5bの両側部が各スライド部材25の凹部25aに浅く浸入する。このとき、各スライド部材25に対する延長トレイ5の先端5bの両側部の接触位置は、第1支点軸11を中心として第2支点軸12の中心を通るように描かれた円弧Jに対する第2支点軸12の中心を通る接線Uよりも第1支点軸11側にあることから、第1支点軸11の中心及びトレイ本体4の先端4bを通る直線S1と第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端5bを通る直線S3とがなす角度αが90度未満の鋭角となる。また、第2支点軸12の中心及び延長トレイ5の先端を通る直線S3と各スライド部材25の垂直方向の移動軌跡とがなす上側の角度が90度未満の鋭角となる。このため、トレイ本体4が閉じられて、延長トレイ5が第1支点軸11を中心に回転移動すると、各スライド部材25から延長トレイ5の先端5bへと作用する力により、その角度αがより小さくなるように延長トレイ5が第2支点軸12を中心にして回転し、延長トレイ5の先端5bの両側部が各スライド部材25の凹部25aに深く浸入して、延長トレイ5の先端5bの両側部が各スライド部材25と共に下方に移動しつつ、延長トレイ5が閉じられて行く。このとき、各バネ部材27により各スライド部材25が弾性的に支持されていることから、各バネ部材27の弾性力に抗して、延長トレイ5の先端5bの両側部及び各スライド部材25が下方に移動することになる。この結果、図10(c)に示すようにトレイ本体4及び延長トレイ5が折り畳まれて、排紙トレイ3が閉成される。
各スライド部材25は、各ガイドレール26によってそれぞれ滑らかに移動自在に支持され、また各スライド部材25の自重と各バネ部材27の弾性力とが概ね均衡している。このため、延長トレイ5の先端5bの両側部は、各スライド部材25から大きな抵抗を受けることなく、また各バネ部材27から大きな抗力を受けることなく、各スライド部材25と共に下方に滑らかかつ容易に移動する。従って、延長トレイ5をより小さな力で滑らかに閉じることができ、トレイ本体4が延長トレイ5を通じて受ける力も小さくなって、トレイ本体4をより小さな力で滑らかに閉じることができる。
また、排紙トレイ3が閉成された状態で、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5も開かれて行き、延長トレイ5の先端5bの両端部が各スライド部材25と共に上方に移動し、更にキックバネ13の付勢力により延長トレイ5が加速して開かれ、延長トレイ5の慣性により該延長トレイ5がより開かれて、排紙トレイ3が開成される。従って、トレイ本体4を開く操作だけを行えばよく、延長トレイ5を開く操作を格別に行う必要がなく、排紙トレイ3を開く操作が簡単かつ容易である。
図11は、本発明の用紙処理装置の第5実施形態を模式的に示す側面図である。第5実施形態の用紙処理装置1Dは、第1実施形態の用紙処理装置1と同様に画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であるが、延長トレイ5Bの先端側の概ね半分を本体筐体2の側に折り曲げている。
このような延長トレイ5Bの重心位置mは、本体筐体2の側に近づくため、図12に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が開始されてから、延長トレイ5Bの重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行するまでのトレイ本体4の回転角度が小さくなる。そして、延長トレイ5Bの重心位置mが仮想鉛直線Kを超えると、延長トレイ5Bが第2支点軸12を中心にして回転して、トレイ本体4と延長トレイ5Bとが折れ曲がり、更にトレイ本体4が閉じられると、延長トレイ5Bの先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6に接触して下方に滑動し、トレイ本体4及び延長トレイ5Bが折り畳まれて、排紙トレイ3が閉成される。従って、延長トレイ5Bの重心位置mが仮想鉛直線Kを超えるまでのトレイ本体4の操作量が減少する。
また、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5Bが加速して開かれ、更に延長トレイ5Bの慣性により該延長トレイ5Bがより開かれて、排紙トレイ3が開成される。従って、排紙トレイ3も容易である。
図13は、本発明の用紙処理装置の第6実施形態を模式的に示す側面図である。第6実施形態の用紙処理装置1Eは、第1実施形態の用紙処理装置1と同様に画像形成装置に設けられた用紙搬送装置であるが、延長トレイ5Cの先端5bを本体筐体2側に近づくようにL字形に折り曲げている。
この場合も、延長トレイ5Cの重心位置mは、本体筐体2の側に近づくため、図14に示すようにトレイ本体4を閉じる操作が開始されてから、延長トレイ5Cの重心位置mが第2支点軸12の中心を通る仮想鉛直線Kを超えて本体筐体2側へと移行するまでのトレイ本体4の回転角度が小さくなる。そして、延長トレイ5Cの重心位置mが仮想鉛直線Kを超えると、延長トレイ5Cが第2支点軸12を中心にして回転して、トレイ本体4と延長トレイ5Cとが折れ曲がり、更にトレイ本体4が閉じられると、延長トレイ5Cの先端5bの両側部が各ガイド傾斜曲面6によってガイドされて、トレイ本体4及び延長トレイ5Cが折り畳まれ、排紙トレイ3が閉成される。従って、延長トレイ5Cの重心位置mが仮想鉛直線Kを超えるまでのトレイ本体4の操作量が減少する。
また、トレイ本体4を開く操作が行われると、第2支点軸12周りのキックバネ13の付勢力により延長トレイ5Cが加速して開かれ、更に延長トレイ5Cの慣性により該延長トレイ5Cがより開かれて、排紙トレイ3が開成される。
尚、上記各実施形態では、用紙搬送装置の排紙トレイを例示しているが、他の種類の用紙処理装置及び他の種類のトレイについても本発明を適用することができる。他の種類の用紙処理装置としては、後処理装置や原稿搬送装置があり、また他の種類のトレイとしては、給紙トレイ、あるいは搬送途中の用紙が一時的に載置される中間トレイ等がある。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと解される。