JP6198244B2 - 金型の耐性の評価方法 - Google Patents
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Description
特許文献1は、第1試験面を有する第1試験片を保持する第1保持手段と、この第1試験面に対峙する第2試験面を有する第2試験片を保持する第2保持手段と、両試験面の接触部分に繰返荷重を印加する荷重印加手段と、繰返荷重が印加された際に、両試験面を繰返し安定的に接触させる接触安定化手段とを備えている凝着摩耗試験装置を開示している。
しかしながら、熱間成形によるプレス加工において、金型のR部(凸端部)及びR部の近傍は金型と被加工材との接触状態が面接触であり、加えて、金型のR部及びR部の近傍では被加工材における張力発生、曲げ、さらには、被加工材と金型との間の相対すべりが一連のプロセスで起こり、その結果として、金型の表面に形成された被膜に損傷、剥離が発生する。前述した特許文献1に開示された技術は接触状態、剥離プロセスの点で、金型でのプレス成形を模擬できておらず、実際の金型の耐性(耐損傷性、耐剥離性)を評価することができないものと考えられる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、金型の耐剥離性を簡易に且つ正確に評価する方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の金型の耐性の評価方法は、薄板である被加工材を熱間でプレス成形する金型被膜の耐性を評価する方法であって、前記被加工材を金型でプレスし、プレス後の金型の表面に設定した検査領域における金型被膜の剥離分布と、前記検査領域における力学的な負荷分布と、を求め、求めた剥離分布と負荷分布とを基に、金型被膜の耐性を評価するものであって、前記力学的な負荷分布として、検査領域内における面圧の逆数を採用すると共に、前記剥離分布として、検査領域内における剥離の個数を採用した上で、前記剥離分布と力学的な負荷分布との積算値を基に、金型の耐剥離性を評価することを特徴とする。
また、本発明に係る評価方法の最も好ましい他の形態は、薄板である被加工材を熱間でプレス成形する金型被膜の耐性を評価する方法であって、前記被加工材を金型でプレスし、プレス後の金型の表面に設定した検査領域における金型被膜の剥離分布と、前記検査領域における力学的な負荷分布と、を求め、求めた剥離分布と負荷分布とを基に、金型被膜の耐性を評価するものであって、前記力学的な負荷分布として、検査領域内における金型の曲率の逆数を採用すると共に、前記剥離分布として、検査領域内における剥離の個数を採用した上で、前記剥離分布と力学的な負荷分布との積算値を基に、金型の耐剥離性を評価することを特徴とする。
図1は、本発明に係る金型2の耐性の評価するに際して使用するプレス装置1を示したものである。このプレス装置1は、実際のプレス装置と略同じ構成を有し、プレス元材W(被加工材)を熱間でプレス成形して所望する形状のプレス成形品を製造するための金型2を有している。
図1のプレス装置1に備えられた金型2は、実際のプレス成形に使用される金型(実金型)であってもよく、実金型の数分の一程度の大きさを有するモデル金型であってもよい。いずれにしても、評価に用いる金型2は、凝着発生状況が評価したい実金型と略同様に発生する必要がある。
プレス元材Wは、鋼、アルミ、チタンなどからなる薄板であって、例えば、3mm以下の板厚を有している。このプレス元材Wには、例えば、メッキ処理などにより亜鉛被膜が施されており、金型2には、PVD処理などによりTiC(チタンカーバイト)などの表面被膜が形成されている。
このような状況を鑑み、本発明は、金型2の耐性を正確に評価する評価方法を提供するものである。
図4の斜視図に示すように、評価に用いられる金型2は、同側面形状で奥行き方向に所定の長さを有するものとなっている。
図2、図3に示すように、まず、金型2に備えられた上金型2b(パンチ)、下金型2a(ダイ)の間に、プレス元材Wを配置し、温度調節手段3にて一定温度まで加熱する。
図2は、鋼板(溶融亜鉛メッキ材)をプレス元材Wとした場合の例であり、図2の「加熱」に示す如く、温度調節手段3にて金型2近傍の温度(装置内温度)を所定の温度になるまで加熱する(図3のS1)。なお、プレス元材Wとしては、例えば、板厚1.4mm、590MPa級の薄鋼板などが採用可能であり、温度調節手段3にて金型2近傍の温度(装置内温度)を、例えば760℃になるまで加熱する。なお、この温度調節手段3は、金型2の温度調整(冷却など)を実現するように構成されていることが好ましい。
図5のグラフの横軸は、設定された検査領域Sに沿った位置であり、R部4の端(面取りされている部分が終了した位置、R止まり部)からの距離で示されている。縦軸は剥離数Nであって、剥離が存在する格子点の個数を奥行き方向(同じ横軸の値)に積算したものである。この図5を参照すれば、距離0の位置に6個の剥離が存在し、距離0.15、0.3、0.45の距離に10個の剥離が存在し、距離0.60の距離に8個の剥離がすることが判る。
図6は、2次元成形力学モデルを用いたシミュレーションを行った結果で求められた面圧の逆数の分布K−1を示している。シミュレーションにおいては、プレス元材Wは弾塑性体、金型2は弾性体として計算を行っており、力学的負荷分布は、面圧の逆数K−1を検査領域S全体で正規化した分布とされている。なお、面圧の逆数K−1の正規化は必須ではなく、後述する耐性スコアの数値が適切なものとして算出されるのであれば、正規化は必要ない。
本来、プレス成形を行う金型2においては、金型の表面に形成された被膜の損傷や剥離を完全に避けて通ることはできない。金型2のいずれかの部位(例えば、高い面圧が発生するR部4など)に剥離が起こることは避けがたい。逆に、金型表面で面圧が低い領域には、損傷や剥離が起こり難いことは知見されている。
このような状況を確実に反映する指標として、剥離の数Nの分布と面圧の逆数K−1の分布とを掛け合わせ積分することで得られる、本実施形態の耐剥離性スコアは有益である。
被膜の種類の異なる2つの金型2(被膜Aの金型、被膜Bの金型)を用意して、それぞれの金型2を用いて、耐性スコアを求めてみた。求めた結果は、被膜Aの金型=9.06であり、被膜Bの金型=8.97であった。各金型2の目視による剥離状況は、略同じであり、その結果と一致するように、両金型2の耐性スコアの値は略等しいものとなっている。
となる。
また、剥離分布として、検査領域S内における剥離の面積の分布を採用してもよい。
2 金型
2a 下金型
2b 上金型
3 温度調節手段
4 R部(凸端部)
S 検査領域
W プレス元材(被加工材)
Claims (2)
- 薄板である被加工材を熱間でプレス成形する金型被膜の耐性を評価する方法であって、
前記被加工材を金型でプレスし、
プレス後の金型の表面に設定した検査領域における金型被膜の剥離分布と、前記検査領域における力学的な負荷分布と、を求め、
求めた剥離分布と負荷分布とを基に、金型被膜の耐性を評価するものであって、
前記力学的な負荷分布として、検査領域内における面圧の逆数を採用すると共に、前記剥離分布として、検査領域内における剥離の個数を採用した上で、
前記剥離分布と力学的な負荷分布との積算値を基に、金型の耐剥離性を評価する
ことを特徴とする金型の耐性の評価方法。 - 薄板である被加工材を熱間でプレス成形する金型被膜の耐性を評価する方法であって、
前記被加工材を金型でプレスし、
プレス後の金型の表面に設定した検査領域における金型被膜の剥離分布と、前記検査領域における力学的な負荷分布と、を求め、
求めた剥離分布と負荷分布とを基に、金型被膜の耐性を評価するものであって、
前記力学的な負荷分布として、検査領域内における金型の曲率の逆数を採用すると共に、前記剥離分布として、検査領域内における剥離の個数を採用した上で、
前記剥離分布と力学的な負荷分布との積算値を基に、金型の耐剥離性を評価する
ことを特徴とする金型の耐性の評価方法。
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JP2014168473A JP6198244B2 (ja) | 2014-08-21 | 2014-08-21 | 金型の耐性の評価方法 |
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