以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(実施形態1)
図1に、開示する回生制御システムERSを用いた自動車C(以下、車両Cという)の一例を示す。図2に、回生制御システムERSに用いた高圧蓄圧器14を示す。図3に、回生制御システムERSのブロック図を示す。
回生制御システムERSは、エンジン1、第1クラッチ2、トランスミッション3、ディファレンシャルギア4、駆動輪5、連結機構11、第2クラッチ12、オイルポンプモータ13(図1等ではPM)、高圧蓄圧器14、低圧リザーバ15(蓄圧器)、制御装置21などで構成されている。
エンジン1は、圧縮天然ガス(CNG)エンジン(ガス燃料エンジン)である。エンジン1は、ガスタンク6に接続されている。ガスタンク6は、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの天然ガスを貯留する大型のガス燃料タンクである。
エンジン1には、第1バルブ7が設けられている。第1バルブ7は、エンジン1とガスタンク6との間に設けられており、エンジン1とガスタンク6との間を開閉する機能を有している。通常の第1バルブ7は、エンジン1とガスタンク6との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
エンジン1の出力軸は、第1クラッチ2、トランスミッション3、ディファレンシャルギア4を介して駆動輪5に連結されている。図1は、エンジン1を動力源として走行している状態を表しており、駆動輪5は、エンジン1によって回転駆動されている。
オイルポンプモータ13は、オイルポンプ及び油圧モータのいずれか一方として機能する装置であり、オイルの吐出口及び吸込口のいずれか一方として機能する第1オイル出入口13a及び第2オイル出入口13bを有している。第1オイル出入口13aは、高圧蓄圧器14のオイル貯留室14dに接続されており、第2オイル出入口13bは、低圧リザーバ15に接続されている。
図4の(a)に示すように、オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時(減速回生時)には、第1オイル出入口13aは吐出口として機能し、第2オイル出入口13bは吸込口として機能する。図4の(b)に示すように、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時(力行時)には、第1オイル出入口13aは吸込口として機能し、第2オイル出入口13bは吐出口として機能する。
図1に示すように、オイルポンプモータ13の回転軸は、第2クラッチ12及び連結機構11を介して、駆動輪5への出力軸に連結されている。図1では、第2クラッチ12は切られた状態となっている。
高圧蓄圧器14は小型の耐圧容器であり、図2に示すように、円筒状のシリンダー14aと、シリンダー14a内をその内壁に密着しながら往復移動可能な円盤状の第1ピストン14b及び第2ピストン14cとを有している。シリンダー14a内は、第1ピストン14b及び第2ピストン14cによってオイル貯留室14dと空気貯留室14eとガス貯留室14fとに区画されている。オイル貯留室14dには、オイルが貯留され、空気貯留室14eには、例えば200〜300気圧レベルの高圧空気が貯留されている。ガス貯留室14fは、ガスタンク6に連通している。ガスタンク6は、高圧蓄圧器14及び低圧リザーバ15のうち高圧蓄圧器14のみに連通している。ガス貯留室14fには、ガスタンク6からの、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの圧縮天然ガスが貯留される。
高圧蓄圧器14には、第2バルブ16及び第3バルブ17が設けられている。第2バルブ16は、ガスタンク6と高圧蓄圧器14のガス貯留室14fとの間に設けられており、ガスタンク6と高圧蓄圧器14のガス貯留室14fとの間を開閉する機能を有している。通常の第2バルブ16は、ガスタンク6と高圧蓄圧器14との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。第3バルブ17は、オイルポンプモータ13と高圧蓄圧器14のオイル貯留室14dとの間に設けられており、オイルポンプモータ13と高圧蓄圧器14のオイル貯留室14dとの間を開閉する機能を有している。通常の第3バルブ17は、オイルポンプモータ13と高圧蓄圧器14との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
ガスタンク6、第2バルブ16などが、ガスタンク6から高圧蓄圧器14に供給される圧縮天然ガスにより高圧蓄圧器14内のオイルを高圧空気を介して加圧可能な加圧手段Pを構成している。
低圧リザーバ15は大型の耐圧容器であり、そこには、例えば、1〜30気圧レベルのオイルと空気とが分離した状態で貯留されている。
なお、高圧蓄圧器14及び低圧リザーバ15内の空気は緩衝用であり、気体であれば、窒素ガス等、その他のガスであってもよい。
図4の(a)に示すように、オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時(減速回生時)には、第1クラッチ2が切られて第2クラッチ12が繋げられ、第3バルブ17が開けられることで、駆動輪5の動力がオイルポンプモータ13に入力される。それにより、低圧リザーバ15のオイルが高圧蓄圧器14へ送り込まれる。その結果、高圧蓄圧器14の内圧が上昇し、より高圧なオイルが蓄積される(減速回生)。
図4の(b)に示すように、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時(力行時)には、第1クラッチ2が切られて第2クラッチ12が繋げられ、第3バルブ17が開けられた状態で、高圧蓄圧器14のオイルが低圧リザーバ15に向けて流出される。そのオイルの吐出圧により、オイルポンプモータ13は油圧モータとして駆動され、その動力が駆動輪5に出力される(力行)。
図3に示すように、制御装置21は、CPUやメモリ等のハードウエアと、制御プログラム等のソフトウエアとで構成されており、車両の減速回生や力行を総合的に制御する機能を有している。例えば、エンジン1やオイルポンプモータ13の駆動制御、第1クラッチ2や第2クラッチ12、第1バルブ7、第2バルブ16、第3バルブ17の制御なども制御装置21によって行われる。
回生制御システムERSを制御するために、各種センサが設置されている。
車両Cには、車速を計測する車速センサ31と、ブレーキペダルの操作量を計測するブレーキセンサ32と、アクセル開度を計測するアクセル開度センサ33とが設置されている。ガスタンク6には、その内圧を計測するタンク圧力センサ34が設置されている。オイルポンプモータ13には、その回転数を計測するオイルポンプモータ回転センサ35が設置されている。高圧蓄圧器14には、高圧蓄圧器14内のオイル油圧を計測する蓄圧器油圧センサ36と、高圧蓄圧器14内のオイル量を計測する蓄圧器油量センサ37とが設置されている。
車両Cの運転中は、これらセンサ31〜37の計測値が、制御装置21に出力されるようになっており、制御装置21は、これら計測値に基づいて回生制御システムERSを制御する。
この回生制御システムERSでは、制御装置21により、オイルポンプモータ13による力行時(オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時)に、加圧手段Pによる高圧蓄圧器14への加圧により、高圧蓄圧器14からオイルポンプモータ13、低圧リザーバ15にオイルを送り込む処理が行えるように工夫されている。
具体的に、制御装置21により、力行開始時に、高圧蓄圧器14内のオイル油圧(高圧蓄圧器14の内圧)がガスタンク6の内圧未満であるか否かを判定する判定制御が実行される(判定工程)。
そして、判定制御により高圧蓄圧器14内のオイル油圧がガスタンク6の内圧未満であると判定されたときに、制御装置21により、第2バルブ16及び第3バルブ17を開き、ガスタンク6から高圧蓄圧器14に圧縮天然ガスを供給し、加圧手段Pによる高圧蓄圧器14への加圧によって、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込む加圧制御が実行される(加圧工程)。
一方、高圧蓄圧器14内のオイル油圧がガスタンク6の内圧以上であると判定されたときに、制御装置21により、加圧手段Pによって高圧蓄圧器14を加圧することなく、高圧蓄圧器14内の高圧空気によって、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込む。
図5〜図7は、その制御の一例を示す。
図5のグラフは、車両Cの車速を表している。
高トルクが必要な始動時には、第2バルブ16及び第3バルブ17は開かれるため、高圧蓄圧器14は加圧手段Pによって加圧され、駆動輪5はオイルポンプモータ13(油圧モータ)によって駆動され、速度がV1になると第1バルブ7は開かれ第3バルブ17は閉じられ、エンジン1の駆動に切り替えられる(時間:t1)。その後、速度V1で所定時間(時間:t2)に達するまで走行する。
その後、減速する。その際、第2バルブ16及び第3バルブ17は開かれ第1バルブ7は閉じられ、オイルポンプモータ13による減速回生が行われる。その後、速度がV2になると第1バルブ7は開かれ第3バルブ17は閉じられ、エンジン1の駆動に切り替えられる(時間:t3)。その際、高圧蓄圧器14内のオイル油圧がガスタンク6の内圧未満であるか否かを判定する。その後、速度V2で所定時間(時間:t4)に達するまで走行する。
その後、加速する。その際、第3バルブ17は開かれ第1バルブ7は閉じられ、オイルポンプモータ13による力行が行われる。このとき、時間t3で高圧蓄圧器14内のオイル油圧がガスタンク6の内圧未満であると判定されたときには、第2バルブ16は開かれ、高圧蓄圧器14は加圧手段Pによって加圧され、ガスタンク6の内圧以上であると判定されたときには、第2バルブ16は閉じられ、高圧蓄圧器14は加圧手段Pによって加圧されない。
図6及び図7に示すように、始動時には、制御装置21は、第3バルブ17を開く(ステップSA1)。そして、制御装置21には、車速センサ31の計測値(車速)が入力される(ステップSA2)。その後、制御装置21は、車速センサ31の計測値(車速)が所定速度α以上であるか否かを判定する(ステップSA3)。
車速センサ31の計測値(車速)が所定速度α以上であると判定した場合には(ステップSA3でYES)、制御装置21は、制御をステップSA4に進め、所定速度α未満であると判定した場合には(ステップSA3でNO)、制御装置21は、制御をステップSA10に進める。
ステップSA4では、制御装置21は、第3バルブ17を閉じる。そして、制御装置21には、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が入力される(ステップSA5)。その後、制御装置21は、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したか否かを判定する(ステップSA6)。
アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したと判定した場合には(ステップSA6でYES)、制御装置21は、制御をステップSA7に進め、所定開度β以上減少していないと判定した場合には(ステップSA6でNO)、制御装置21は、制御をステップSA13に進める。
ステップSA7では、制御装置21は、第2バルブ16及び第3バルブ17を開き、第1バルブ7を閉じ、オイルポンプモータ13による減速回生を実行する。そして、制御装置21には、車速センサ31の計測値(車速)が入力される(ステップSA8)。その後、制御装置21は、車速センサ31の計測値(車速)が0であるか否かを判定する(ステップSA9)。
車速センサ31の計測値(車速)が0であると判定した場合には(ステップSA9でYES)、制御装置21は、制御を終了し、0よりも大きいと判定した場合には(ステップSA9でNO)、制御装置は、制御をステップSA14に進める。
ステップSA10では、制御装置21には、タンク圧力センサ34の計測値(ガスタンク6の内圧)と蓄圧器油圧センサ36の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル油圧)とが入力される。そして、制御装置21は、蓄圧器油圧センサ36の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル油圧)がタンク圧力センサ34の計測値(ガスタンク6の内圧)未満であるか否かを判定する判定制御を実行する(ステップSA11)。
蓄圧器油圧センサ36の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル油圧)がタンク圧力センサ34の計測値(ガスタンク6の内圧)未満であると判定した場合には(ステップSA11でYES)、制御装置21は、第2バルブ16を開き、加圧手段Pによる高圧蓄圧器14への加圧によって、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込む加圧制御を実行する(ステップSA12)。その後、制御装置21は、制御をステップSA2に戻す。
一方、蓄圧器油圧センサ36の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル油圧)がタンク圧力センサ34の計測値(ガスタンク6の内圧)以上であると判定した場合には(ステップSA11でNO)、制御装置21は、制御をステップSA2に戻す。それにより、高圧蓄圧器14内の高圧空気によって、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルが送り込まれる。
ステップSA13では、制御装置21は、第1バルブ7を開く。それにより、エンジン1による力行が実行される。その後、制御装置21は、制御をステップSA5に戻す。
ステップSA14では、制御装置21には、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が入力される。そして、制御装置21は、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したか否かを判定する(ステップSA15)。
アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したと判定した場合には(ステップSA15でYES)、制御装置21は、減速したとして、制御をステップSA7に進め、所定開度β以上減少していないと判定した場合には(ステップSA15でNO)、制御装置21は、第2バルブ16及び第3バルブ17を閉じる(ステップS16)。
そして、制御装置21には、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が入力される(ステップSA17)。その後、制御装置21は、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上増加したか否かを判定する(ステップSA18)。
アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上増加したと判定した場合には(ステップSA18でYES)、制御装置21は、加速したとして、制御をステップSA19に進め、所定開度β以上増加していないと判定した場合には(ステップSA18でNO)、定速であるとして、制御をステップSA13に進める。それにより、第1バルブ7は開かれる。
ステップSA19では、制御装置21には、車速センサ31の計測値(車速)が入力される。そして、制御装置21は、車速センサ31の計測値(車速)が所定速度α以上であるか否かを判定する(ステップSA20)。
車速センサ31の計測値(車速)が所定速度α以上であると判定した場合には(ステップSA20でYES)、制御装置21は、制御をステップSA13に進める。それにより、第1バルブ7は開かれ、エンジン1による力行が実行される。
一方、車速センサ31の計測値(車速)が所定速度α未満であると判定した場合には(ステップSA20でYES)、制御装置21は、第3バルブ17を開く(ステップSA21)。そして、制御装置21には、蓄圧器油量センサ37の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル量)が入力される(ステップSA22)。その後、制御装置21は、蓄圧器油量センサ37の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル量)が所定量γ以上であるか否かを判定する(ステップSA23)。
蓄圧器油量センサ37の計測値(高圧蓄圧器14内のオイル量)が所定量γ以上であると判定した場合には(ステップSA23でYES)、制御装置21は、制御をステップSA2に戻し、所定量γ未満であると判定した場合には(ステップSA23でNO)、制御装置21は、制御をステップ10に進める。それにより、第1バルブ7は開かれ、エンジン1による力行が実行される。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、制御装置21が、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時に、加圧手段Pによるガスタンク6に連通した高圧蓄圧器14への加圧により、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込む加圧制御を実行するので、トルクを大きくすることができる。
また、加圧手段がない従来の回生制御システムでは、オイルポンプモータが油圧モータとして機能する時(力行時)に、その力行中に高圧蓄圧器の内圧が低下し、トルクが低下するという課題がある。
ここで、本実施形態によれば、制御装置21が、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時に、加圧手段Pによる高圧蓄圧器14への加圧により、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込む加圧制御を実行するので、力行中にトルクが低下するのを抑制することができる。
また、2つの蓄圧器が、高圧蓄圧器14及び低圧リザーバ15からなり、ガスタンク6が、高圧蓄圧器14及び低圧リザーバ15のうち高圧蓄圧器14のみに連通しているので、回生制御システムERSの構造を簡易化することができる。
また、制御装置21が、高圧蓄圧器14の内圧がガスタンク6の内圧未満であるか否かを判定する判定制御を実行し、判定制御により高圧蓄圧器14の内圧がガスタンク6の内圧未満であると判定されたときに、加圧制御では、加圧手段Pによる高圧蓄圧器14への加圧により、高圧蓄圧器14から低圧リザーバ15にオイルを送り込むので、高圧蓄圧器14の内圧がガスタンク6の内圧以上であるときは、高圧蓄圧器14は加圧手段Pによって加圧されない。そのため、加圧手段Pを無駄に用いることなく、トルクを大きくすることができる。
また、加圧手段Pのガスタンク6が、ガス燃料エンジン1のガス燃料タンクで構成されている。つまり、ガス燃料タンクは、加圧手段Pのガスタンク6を兼用している。そのため、回生制御システムESRの構造を簡易化することができる。
なお、本実施形態では、エンジン1のガス燃料を天然ガスとしたが、これに限らず、例えば、水素としてもよい。
また、本実施形態では、高圧蓄圧器14のシリンダー14a内にピストン14b,14cを2つ設け、シリンダー14a内をオイル貯留室14dと空気貯留室14eとガス貯留室14fとに区画したが、シリンダー内にピストンを1つだけ設け、シリンダー内をオイル貯留室とガス貯留室とに区画してもよい。
(実施形態2)
本実施形態は、エンジン1やガスタンク6、高圧蓄圧器14が実施形態1と異なっているが、その他の点については、実施形態1と同様の構成である。そこで、以下の説明では、実施形態1の構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を用いて説明を行う。
エンジン1は、圧縮空気エンジン(ガス燃料エンジン)である。エンジン1は、ガスタンク6に接続されている。ガスタンク6は、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの空気を貯留する大型の圧縮空気タンクである。
高圧蓄圧器14は小型の耐圧容器であり、図8に示すように、円筒状のシリンダー14aと、シリンダー14a内をその内壁に密着しながら往復移動可能な円盤状のピストン14bとを有している。シリンダー14a内は、ピストン14bによってオイル貯留室14dとガス貯留室14fとに区画されている。オイル貯留室14dには、オイルが貯留されている。ガス貯留室14fには、ガスタンク6からの、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気が貯留される。
ガスタンク6、第2バルブ16などが、ガスタンク6から高圧蓄圧器14に供給される圧縮空気により高圧蓄圧器14内のオイルを加圧可能な加圧手段Pを構成している。
なお、回生制御システムERSの制御については、実施形態1と同様の制御である。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
また、加圧手段Pのガスタンク6が、圧縮空気エンジン1の圧縮空気タンクで構成されている。つまり、圧縮空気タンクは、加圧手段Pのガスタンク6を兼用している。そのため、回生制御システムESRの構造を簡易化することができる。
また、高圧蓄圧器14のシリンダー14a内にピストン14bを1つだけ設けているので、高圧蓄圧器14の構造を簡易化することができる。
(実施形態3)
本実施形態は、エンジン1がないことや、蓄圧器41,42が高圧蓄圧器及び低圧リザーバのいずれか一方として機能することなどが実施形態1と異なっているが、その他の点については、実施形態1と同様の構成である。そこで、以下の説明では、実施形態1の構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を用いて説明を行う。
図9に、開示する回生制御システムERSを用いた車両Cの一例を示す。図10に、回生制御システムERSに用いた蓄圧器41,42を示す。図11に、回生制御システムERSのブロック図を示す。
回生制御システムERSは、トランスミッション3、駆動輪5、ガスタンク6、オイルポンプモータ13(図9等ではPM)、第1蓄圧器41、第2蓄圧器42、第1切替弁51、第2切替弁52、制御装置21などで構成されている。
ガスタンク6は、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの空気を貯留する大型の圧縮空気タンクである。
オイルポンプモータ13の回転軸は、トランスミッション3を介して、駆動輪5への出力軸に連結されている。
第1蓄圧器41及び第2蓄圧器42は、高圧蓄圧器及び低圧リザーバのいずれか一方として機能する小型の耐圧容器であり、円筒状のシリンダー41a,42aと、シリンダー41a,42a内をその内壁に密着しながら往復移動可能な円盤状のピストン41b,42bとを有している。シリンダー41a,42a内は、ピストン41b,42bによってオイル貯留室41c,42cとガス貯留室41d,42dとに区画されている。オイル貯留室41c,42cには、オイルが貯留されている。ガス貯留室41d,42dは、ガスタンク6に連通している。つまり、ガスタンク6は、各蓄圧器41,42に連通している。ガス貯留室41d,42dには、ガスタンク6からの、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気が貯留される。
第1切替弁51は、オイルポンプモータ13と、第1蓄圧器41に設けられた第1給排バルブ53aと、第2蓄圧器42に設けられた第2給排バルブ53bとに接続されている。第1切替弁51は、図12の(a)に示すように、第1蓄圧器41からオイルポンプモータ13にオイルが流入する流入経路とオイルポンプモータ13から第2蓄圧器42にオイルが流出する流出経路とが形成される状態と、図12の(b)に示すように、第2蓄圧器42からオイルポンプモータ13にオイルが流入する流入経路とオイルポンプモータ13から第1蓄圧器41にオイルが流出する流出経路とが形成される状態とに切替可能となっている。図9、図10及び図12に示すように、給排バルブ53a,53bは、蓄圧器41,42のオイル貯留室41c,42cと第1切替弁51との間に設けられており、蓄圧器41,42のオイル貯留室41c,42cと第1切替弁51との間を開閉する機能を有している。通常の給排バルブ53a,53bは、蓄圧器41,42と第1切替弁51との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
第2切替弁52は、ガスタンク6と、第1蓄圧器41に設けられた第1供給バルブ54aと、第2蓄圧器42に設けられた第2供給バルブ54bとに接続されている。第2切替弁52は、図12の(a)に示すように、ガスタンク6から第1蓄圧器41に圧縮空気が流入する流入経路が形成される状態と、図12の(b)に示すように、ガスタンク6から第2蓄圧器42に圧縮空気が流入する流入経路が形成される状態とに切替可能となっている。図9、図10及び図12に示すように、供給バルブ54a,54bは、蓄圧器41,42のガス貯留室41d,42dと第2切替弁52との間に設けられており、蓄圧器41,42のガス貯留室41d,42dと第2切替弁52との間を開閉する機能を有している。通常の供給バルブ54a,54bは、蓄圧器41,42と第2切替弁52との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
ガスタンク6、第2切替弁52、供給バルブ54a,54bなどが、ガスタンク6から蓄圧器41(又は42)に供給される圧縮空気により蓄圧器41(又は42)内のオイルを加圧可能な加圧手段Pを構成している。
第1蓄圧器41には、第1排出バルブ55aが、第2蓄圧器42には、第2排出バルブ55bが設けられている。排出バルブ55a,55bは、蓄圧器41,42のガス貯留室41d,42dと蓄圧器41,42外との間に設けられており、蓄圧器41,42のガス貯留室41d,42dと蓄圧器41,42外との間を開閉する機能を有している。通常の排出バルブ55a,55bは、蓄圧器41,42内外の間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。排出バルブ55a,55bを開放位置に制御することにより、各蓄圧器41,42は、圧縮空気を取り出し可能となっている。
なお、蓄圧器41(又は42)から圧縮空気を取り出すと、蓄圧器41(又は42)の内圧が下降する。
オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時(減速回生時)には、給排バルブ53a,53bが開けられ、駆動輪5の動力がオイルポンプモータ13に入力される。それにより、低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)のオイルが高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)へ送り込まれる。その結果、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の内圧が上昇し、より高圧なオイルが蓄積される(減速回生)。
図12に示すように、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時(力行時)には、給排バルブ53a,53bが開けられた状態で、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)のオイルが低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)に向けて流出される。そのオイルの吐出圧により、オイルポンプモータ13は油圧モータとして駆動され、その動力が駆動輪5に出力される(力行)。
なお、図12の(a)では、第1蓄圧器41が高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が低圧リザーバとして機能し、(b)では、第2蓄圧器42が高圧蓄圧器として、第1蓄圧器41が低圧リザーバとして機能する。
図11に示すように、制御装置21は、実施形態1と同様の機能を有している。例えば、オイルポンプモータ13の駆動制御、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a,53b、供給バルブ54a,54b、排出バルブ55a,55bの制御なども制御装置21によって行われる。
回生制御システムERSを制御するために、実施形態1と同様のセンサ31〜37が設置されている。蓄圧器油圧センサ36及び蓄圧器油量センサ37は、各蓄圧器41,42に設置されている。
この回生制御システムERSでは、制御装置21により、力行時(オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時)に、第1蓄圧器41及び第2蓄圧器42のうちいずれか1つの蓄圧器41(又は42)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42(又は41)から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる蓄圧器41(又は42)の加圧により、加圧手段Pにより加圧する蓄圧器41(又は42)からオイルポンプモータ13、圧縮空気を取り出す蓄圧器42(又は41)にオイルを送り込む処理が行えるように工夫されている。
具体的に、制御装置21により、力行時に、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a,53b、供給バルブ54a,54b、排出バルブ55a,55bを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)を加圧手段Pにより加圧し、現在低圧レシーバとして機能する蓄圧器42(又は41)から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の加圧によって、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)から現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)にオイルを送り込む加圧制御が実行される(加圧工程)。
ここで、第1蓄圧器41が現在高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が現在低圧リザーバとして機能する時には、図12の(a)に示すように、給排バルブ53a,53b、第1供給バルブ54a及び第2排出バルブ55bを開き、第2供給バルブ54b及び第1排出バルブ55aを閉じる。第2蓄圧器42が現在高圧蓄圧器として、第1蓄圧器41が現在低圧リザーバとして機能する時には、図12の(b)に示すように、給排バルブ53a,53b、第2供給バルブ54b及び第1排出バルブ55aを開き、第1供給バルブ54a及び第2排出バルブ55bを閉じる。
そして、加圧制御では、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)内のオイル量が所定量δ以下になったときに、制御装置21により、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a,53b、供給バルブ54a,54b、排出バルブ55a,55bを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器(現在加圧手段Pにより加圧する蓄圧器)41(又は42)を低圧リザーバとして機能する蓄圧器(圧縮空気を取り出す蓄圧器)に、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器(現在圧縮空気を取り出す蓄圧器)42(又は41)を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器(加圧手段Pにより加圧する蓄圧器)に切り替える。
また、制御装置21により、減速回生時(オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時)に、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a,53b、供給バルブ54a,54b、排出バルブ55a,55bを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)を加圧手段Pにより加圧し、現在低圧レシーバとして機能する蓄圧器42(又は41)から圧縮空気を取り出し、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)から現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)にオイルを送り込む減速回生制御が実行される。
図13は、その制御の一例を示す。
なお、図13では、初期段階に、第1蓄圧器41が高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が低圧リザーバとして機能し、ガスタンク6の内圧と高圧蓄圧器として機能する第1蓄圧器41の内圧とは同じである。この初期段階には、第1蓄圧器41内のオイル量と第2蓄圧器42内のオイル量との比は、例えば、9対1である。
始動時には、制御装置21は、給排バルブ53a,53b、第1供給バルブ54a及び第2排出バルブ55bを開き、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41を加圧手段Pにより加圧し、現在低圧レシーバとして機能する蓄圧器42から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41の加圧によって、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41から現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42にオイルを送り込む加圧制御を実行する(ステップSB1)。
そして、制御装置21には、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が入力される(ステップSB2)。その後、制御装置21は、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したか否かを判定する(ステップSB3)。
アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したと判定した場合には(ステップSB3でYES)、制御装置21は、制御をステップSB4に進め、所定開度β以上減少していないと判定した場合には(ステップSB3でNO)、制御装置21は、制御をステップSB7に進める。
SB4では、制御装置21は、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)を加圧手段Pにより加圧し、現在低圧レシーバとして機能する蓄圧器42(又は41)から圧縮空気を取り出し、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)から現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)にオイルを送り込む減速回生制御を実行する。そして、制御装置21には、車速センサ31の計測値(車速)が入力される(ステップSB5)。その後、制御装置21は、車速センサ31の計測値(車速)が0であるか否かを判定する(ステップSB6)。
車速センサ31の計測値(車速)が0であると判定した場合には(ステップSB6でYES)、制御装置21は、制御を終了し、0よりも大きいと判定した場合には(ステップSB6でNO)、制御装置は、制御をステップSB2に戻す。
ステップSB7では、制御装置21には、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)内のオイル量)が入力される。そして、制御装置21は、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)内のオイル量)が所定量δ(例えば、蓄圧器41,42内のオイル総量の1割に相当する量)以下であるか否かを判定する(ステップSB8)。
現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)内のオイル量)が所定量δ以下であると判定した場合には(ステップSB8でYES)、制御装置21は、供給バルブ54a,54b、排出バルブ55a,55bを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は41)を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に切り替える(ステップSB9)。
ここで、第1蓄圧器41が現在高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が現在低圧リザーバとして機能する時には、第2供給バルブ54b及び第1排出バルブ55aを開き、第1供給バルブ54a及び第2排出バルブ55bを閉じる。第2蓄圧器42が現在高圧蓄圧器として、第1蓄圧器41が現在低圧リザーバとして機能する時には、第1供給バルブ54a及び第2排出バルブ55bを開き、第2供給バルブ54b及び第1排出バルブ55aを閉じる。
その後、制御装置21は、制御をステップSB2に戻す。
一方、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42)内のオイル量)が所定量δよりも大きいと判定した場合には(ステップSB8でNO)、制御装置21は、制御をステップSB2に戻す。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、実施形態1と同様の効果が得られる。
また、加圧手段Pのガスタンク6が、圧縮空気タンクで構成されている。つまり、エンジンを省くことができる。そのため、回生制御システムESRの構造を簡易化することができる。
また、制御装置21が、加圧制御では、加圧手段Pにより加圧する蓄圧器41(又は42)内のオイル量が所定量δ以下になったときに、加圧手段Pにより加圧する蓄圧器41(又は42)と圧縮空気を取り出す蓄圧器42(又は41)とを切り替えるので、連続力行を実行することができる。そのため、車両の連続走行を実行することができる。
また、制御装置21が、オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時に、2つの蓄圧器41,42のうちいずれかの蓄圧器41(又は42)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42(又は41)から圧縮空気を取り出し、圧縮空気を取り出す蓄圧器42(又は41)から加圧手段Pにより加圧する蓄圧器41(又は42)にオイルを送り込むので、減速回生を実行することができる。そのため、車両の連続走行を実行することができる。
−変形例−
本実施形態では、蓄圧器41,42から取り出された圧縮空気により、冷熱の生成、温熱の生成、発電及び負圧の生成のうち少なくとも1つを実行する装置をさらに設けてもよい。
冷熱の生成を実行する装置は、図14に示すように、例えば冷房用空調装置61である。冷房用空調装置61は、膨張機61a、膨張弁61bを有する冷熱源61c、ファン61dを有している。膨張機61aは、蓄圧器41(又は42)から取り出された、例えば5気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気で作動し、空気を断熱膨張する。膨張弁61bは、膨張機61aによって断熱膨張される空気を断熱膨張する。冷熱源61cは、膨張弁61bによって断熱膨張される空気を利用して冷熱を生成する。冷房用空調装置61は、冷却源61cを通じて冷やされる空気を、ファン61dで車室内に送り込むことにより、車室の温度を下降させる。
温熱の生成を実行する装置は、例えば暖房用空調装置62である。暖房用空調装置62は、膨張機62a、タービンコンプレッサー62b、温熱源62c、ファン62dを有している。膨張機62aは、蓄圧器41(又は42)から取り出された、例えば5気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気で作動する。タービンコンプレッサー62bは、膨張機62aと同軸上に設けられている。タービンコンプレッサー62bは、膨張機62aで作動し、空気を圧縮する。温熱源62cは、タービンコンプレッサー62bによって圧縮される空気を利用して温熱を生成する。暖房用空調装置62は、温熱源62cを通じて暖められる空気を、ファン62dで車室内に送り込むことにより、車室の温度を上昇させる。
発電を実行する装置は、図15に示すように、例えば発電装置63である。発電装置63は、膨張機63a、発電機63b、バッテリ63cを有している。膨張機63aは、蓄圧器41(又は42)から取り出された、例えば5気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気で作動する。発電機63bは、膨張機63aと同軸上に設けられている。発電機63bは、膨張機63bで作動し、発電する。発電装置63は、発電機63bで発電される電力を、バッテリ63cに送り込む。
負圧の生成を実行する装置は、図16に示すように、例えばブレーキブースタ装置64である。ブレーキブースタ装置64は、デュフェーザー真空ポンプ64a、真空チャンバ64b、チャンバ開閉弁64c、ブレーキブースタ64dを有している。デュフェーザー真空ポンプ64aは、蓄圧器41(又は42)から取り出された、例えば5気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気で作動し、真空チャンバ64b内に低圧(真空)を生成する。チャンバ開閉弁64cは、真空チャンバ64bとブレーキブースタ64dとの間に設けられている。ブレーキブースタ装置64は、真空チャンバ64b内に生成される低圧を、ブレーキブースタ64dに送り込む。
−変形例の効果−
以上より、本変形例によれば、冷房用空調装置61、暖房用空調装置62、発電装置63及びブレーキブースタ装置64が、それぞれ、蓄圧器41(又は42)から取り出された圧縮空気により、冷熱の生成、温熱の生成、発電及び負圧の生成を実行するので、蓄圧器41(又は42)から取り出された圧縮空気を有効利用することができる。
(実施形態4)
本実施形態は、蓄圧器41〜43が3つ設けられていることなどが実施形態3と異なっているが、その他の点については、実施形態3と同様の構成である。そこで、以下の説明では、実施形態3の構成要素と同様の構成要素については、同一の符号を用いて説明を行う。
図17に、開示する回生制御システムERSを用いた車両Cの一例を示す。図18に、回生制御システムERSのブロック図を示す。
回生制御システムERSは、トランスミッション3、駆動輪5、ガスタンク6、オイルポンプモータ13(図17等ではPM)、第1蓄圧器41、第2蓄圧器42、第3蓄圧器43、第1切替弁51、第2切替弁52、制御装置21などで構成されている。
第1〜第3蓄圧器41〜43は、高圧蓄圧器又は低圧リザーバとして機能する小型の耐圧容器である。第3蓄圧器43は、第1蓄圧器41及び第2蓄圧器42と同様の構成である。つまり、図19及び図20に示すように、第3蓄圧器43は、シリンダー43aと、ピストン43bとを有している。シリンダー43a内は、ピストン43bによってオイル貯留室43cとガス貯留室43dとに区画されている。オイル貯留室43cには、オイルが貯留されている。ガス貯留室43dは、ガスタンク6に連通している。つまり、ガスタンク6は、各蓄圧器41〜43に連通している。ガス貯留室43dには、ガスタンク6からの、例えば300気圧よりも高い気圧レベルの圧縮空気が貯留される。
図17、図19及び図20に示すように、第1切替弁51は、オイルポンプモータ13と、第1蓄圧器41に設けられた第1給排バルブ53aと、第2蓄圧器42に設けられた第2給排バルブ53bと、第3蓄圧器43に設けられた第3給排バルブ53cとに接続されている。第1切替弁51は、第1〜第3蓄圧器41〜43のうちいずれか1つの蓄圧器からオイルポンプモータ13にオイルが流入する流入経路とオイルポンプモータ13からそれ以外の1つの蓄圧器にオイルが流出する流出経路とが形成される状態に切替可能となっている。第3給排バルブ53cは、第1給排バルブ53a及び第2給排バルブ53bと同様の構成である。つまり、第3給排バルブ53cは、第3蓄圧器43のオイル貯留室43cと第1切替弁51との間に設けられており、第3蓄圧器43のオイル貯留室43cと第1切替弁51との間を開閉する機能を有している。通常の第3給排バルブ53cは、第3蓄圧器43と第1切替弁51との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
第2切替弁52は、ガスタンク6と、第1蓄圧器41に設けられた第1供給バルブ54aと、第2蓄圧器42に設けられた第2供給バルブ54bと、第3蓄圧器43に設けられた第3供給バルブ54cとに接続されている。第2切替弁52は、ガスタンク6から第1〜第3蓄圧器41〜43のうちいずれか1つの蓄圧器に圧縮空気が流入する流入経路が形成される状態に切替可能となっている。第3供給バルブ54cは、第1供給バルブ54a及び第2供給バルブ54bと同様の構成である。つまり、第3供給バルブ54cは、第3蓄圧器43のガス貯留室43dと第2切替弁52との間に設けられており、第3蓄圧器43のガス貯留室43dと第2切替弁52との間を開閉する機能を有している。通常の第3供給バルブ54cは、第3蓄圧器43と第2切替弁52との間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。
ガスタンク6、第2切替弁52、供給バルブ54a〜54cなどが、ガスタンク6から蓄圧器41(又は42、又は43)に供給される圧縮空気により蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイルを加圧可能な加圧手段Pを構成している。
第3蓄圧器43には、第3排出バルブ55cが設けられている。第3排出バルブ55cは、第1排出バルブ55a及び第2排出バルブ55bと同様の構成である。つまり、第3排出バルブ55cは、第3蓄圧器43のガス貯留室43dと第3蓄圧器43外との間に設けられており、第3蓄圧器43のガス貯留室43dと第3蓄圧器43外との間を開閉する機能を有している。通常の第3排出バルブ55cは、第3蓄圧器43内外の間を遮断する状態(閉止位置)に制御されている。第3排出バルブ55cを開放位置に制御することにより、第3蓄圧器43は、圧縮空気を取り出し可能となっている。
なお、蓄圧器41(又は42、又は43)から圧縮空気を取り出すと、蓄圧器41(又は42、又は43)の内圧が下降する。
図19の(b)に示すように、オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時(減速回生時)には、第1給排バルブ及び第2給排バルブ53a,53b(又は第2給排バルブ53b及び第3給排バルブ53c、又は第1給排バルブ53a及び第3給排バルブ53c)が開けられ、駆動輪5の動力がオイルポンプモータ13に入力される。それにより、低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は43、又は41)のオイルが高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)へ送り込まれる。その結果、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の内圧が上昇し、より高圧なオイルが蓄積される(減速回生)。
なお、図19では、第1蓄圧器41が高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が低圧リザーバとして機能する。
図20に示すように、オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時(力行時)には、第1給排バルブ及び第2給排バルブ53a,53b(又は第2給排バルブ53b及び第3給排バルブ53c、又は第1給排バルブ53a及び第3給排バルブ53c)が開けられた状態で、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)のオイルが低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は43、又は41)に向けて流出される。そのオイルの吐出圧により、オイルポンプモータ13は油圧モータとして駆動され、その動力が駆動輪5に出力される(力行)。
なお、図20の(a)では、第1蓄圧器41が高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が低圧リザーバとして機能し、(b)では、第2蓄圧器42が高圧蓄圧器として、第3蓄圧器43が低圧リザーバとして機能し、(c)では、第3蓄圧器43が高圧蓄圧器として、第1蓄圧器41が低圧リザーバとして機能する。
図18に示すように、制御装置21は、実施形態3と同様の機能を有している。例えば、オイルポンプモータ13の駆動制御、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a〜53c、供給バルブ54a〜54c、排出バルブ55a〜55cの制御なども制御装置21によって行われる。
回生制御システムERSを制御するために、実施形態3と同様のセンサ31〜37が設置されている。蓄圧器油圧センサ36及び蓄圧器油量センサ37は、各蓄圧器41〜43に設置されている。
この回生制御システムERSでは、制御装置21により、力行時(オイルポンプモータ13が油圧モータとして機能する時)に、第1〜第3蓄圧器41〜43のうちいずれか1つの蓄圧器41(又は42、又は43)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42,43(又は41,43、又は41,42)から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる蓄圧器41(又は42、又は43)の加圧により、加圧手段Pにより加圧する蓄圧器41(又は42、又は43)からオイルポンプモータ13、圧縮空気を取り出す蓄圧器42,43(又は41,43、又は41,42)のうちいずれか1つの蓄圧器42(又は43、又は41)にオイルを送り込む処理が行えるように工夫されている。
具体的に、制御装置21により、力行時に、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a〜53c、供給バルブ54a〜54c、排出バルブ55a〜55cを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42,43(又は41,43、又は41,42)から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の加圧によって、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)から現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は43、又は41)にオイルを送り込む加圧制御が実行される(加圧工程)。
ここで、第1蓄圧器41が現在高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が現在低圧リザーバとして機能する時には、図20の(a)に示すように、第1給排バルブ53a及び第2給排バルブ53b、第1供給バルブ54a並びに第1排出バルブ55a及び第2排出バルブ55bを開き、第3給排バルブ53c、第2供給バルブ54b及び第3供給バルブ54c並びに第1排出バルブ55aを閉じる。第2蓄圧器42が現在高圧蓄圧器として、第3蓄圧器43が現在低圧リザーバとして機能する時には、図20の(b)に示すように、第2給排バルブ53b及び第3給排バルブ53c、第2供給バルブ54b並びに第1排出バルブ55a及び第3排出バルブ55cを開き、第1給排バルブ53a、第1供給バルブ54a及び第3供給バルブ54c並びに第2排出バルブ55bを閉じる。第3蓄圧器43が現在高圧蓄圧器として、第1蓄圧器41が現在低圧リザーバとして機能する時には、図20の(c)に示すように、第1給排バルブ53a及び第3給排バルブ53c、第3供給バルブ54c並びに第1排出バルブ55a及び第2排出バルブ55bを開き、第2給排バルブ53b、第1供給バルブ54a及び第2供給バルブ54b並びに第3排出バルブ55cを閉じる。
そして、加圧制御では、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイル量が所定量δ以下になったときに、制御装置21により、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a〜53c、供給バルブ54a〜54c、排出バルブ55a〜55cを制御し、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器(加圧手段Pにより加圧する蓄圧器)と低圧リザーバとして機能する蓄圧器とを切り替える。
ここで、現在高圧蓄圧器として機能する第1蓄圧器41内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第2蓄圧器42を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第3蓄圧器43を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。現在高圧蓄圧器として機能する第2蓄圧器42内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第3蓄圧器43を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第1蓄圧器41を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。現在高圧蓄圧器として機能する第3蓄圧器43内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第1蓄圧器41を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第2蓄圧器42を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。
また、制御装置21により、減速回生時(オイルポンプモータ13がオイルポンプとして機能する時)に、第1切替弁51や第2切替弁52、給排バルブ53a〜53c、供給バルブ54a〜54c、排出バルブ55a〜55cを制御し、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42,43(又は41,43、又は41,42)から圧縮空気を取り出し、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は43、又は41)から現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)にオイルを送り込む減速回生制御が実行される。
図21は、その制御の一例を示す。
なお、図21では、初期段階に、第1蓄圧器41が高圧蓄圧器として、第2蓄圧器42が低圧リザーバとして機能し、ガスタンク6の内圧と高圧蓄圧器として機能する第1蓄圧器41の内圧とは同じである。この初期段階には、第1蓄圧器41内のオイル量と第2蓄圧器42内のオイル量と第3蓄圧器43内のオイル量との比は、例えば、1対0.5対0.5である。
始動時には、制御装置21は、第1給排バルブ53a及び第2給排バルブ53b、第1供給バルブ54a並びに第2排出バルブ55b及び第3排出バルブ55cを開き、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42,43から圧縮空気を取り出し、加圧手段Pによる現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41の加圧によって、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41から現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42にオイルを送り込む加圧制御を実行する(ステップSC1)。
そして、制御装置21には、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が入力される(ステップSC2)。その後、制御装置21は、アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したか否かを判定する(ステップSC3)。
アクセル開度センサ33の計測値(アクセル開度)が所定開度β以上減少したと判定した場合には(ステップSC3でYES)、制御装置21は、制御をステップSC4に進め、所定開度β以上減少していないと判定した場合には(ステップSC3でNO)、制御装置21は、制御をステップSC7に進める。
ステップSC4では、制御装置21は、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)を加圧手段Pにより加圧し、それ以外の蓄圧器42,43(又は41,43、又は41,42)から圧縮空気を取り出し、現在低圧リザーバとして機能する蓄圧器42(又は43、又は41)から現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)にオイルを送り込む減速回生制御を実行する。そして、制御装置21には、車速センサ31の計測値(車速)が入力される(ステップSC5)。その後、制御装置21は、車速センサ31の計測値(車速)が0であるか否かを判定する(ステップSC6)。
車速センサ31の計測値(車速)が0であると判定した場合には(ステップSC6でYES)、制御装置21は、制御を終了し、0よりも大きいと判定した場合には(ステップSC6でNO)、制御装置は、制御をステップSC2に戻す。
ステップSC7では、制御装置21には、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の蓄圧器油量センサ37の計測値(高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイル量)が入力される。そして、制御装置21は、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の蓄圧器油量センサ37の計測値(高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイル量)が所定量δ(例えば、蓄圧器41〜43内のオイル総量の4分の1に相当する量)以下であるか否かを判定する(ステップSC8)。
現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイル量)が所定量δ以下であると判定した場合には(ステップSC8でYES)、制御装置21は、給排バルブ53a〜53c、供給バルブ54a〜54c、排出バルブ55a〜55cを制御し、高圧蓄圧器として機能する蓄圧器と低圧リザーバとして機能する蓄圧器とを切り替える。
ここで、現在高圧蓄圧器として機能する第1蓄圧器41内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第2給排バルブ53b及び第3給排バルブ53c、第2供給バルブ54b並びに第1排出バルブ55a及び第3排出バルブ55cを開き、第1給排バルブ53a、第1供給バルブ54a及び第3供給バルブ54c並びに第2排出バルブ55bを閉じ、第2蓄圧器42を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第3蓄圧器43を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。現在高圧蓄圧器として機能する第2蓄圧器42内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第1給排バルブ53a及び第3給排バルブ53c、第3供給バルブ54c並びに第1排出バルブ55a及び第2排出バルブ55bを開き、第2給排バルブ53b、第1供給バルブ54a及び第2供給バルブ54b並びに第3排出バルブ55cを閉じ、第3蓄圧器43を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第1蓄圧器41を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。現在高圧蓄圧器として機能する第3蓄圧器43内のオイル量が所定量δ以下になったときには、第1給排バルブ53a及び第2給排バルブ53b、第1供給バルブ54a並びに第1排出バルブ55a及び第2排出バルブ55bを開き、第3給排バルブ53c、第2供給バルブ54b及び第3供給バルブ54c並びに第1排出バルブ55aを閉じ、第1蓄圧器41を高圧蓄圧器として機能する蓄圧器に、第2蓄圧器42を低圧リザーバとして機能する蓄圧器に切り替える。
その後、制御装置21は、制御をステップSC2に戻す。
一方、現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)の蓄圧器油量センサ37の計測値(現在高圧蓄圧器として機能する蓄圧器41(又は42、又は43)内のオイル量)が所定量δよりも大きいと判定した場合には(ステップSC8でNO)、制御装置21は、制御をステップSC2に戻す。
−効果−
以上より、本実施形態によれば、実施形態3と同様の効果が得られる。
なお、本実施形態では、蓄圧器41〜43を3つ設けたが、4つ以上設けてもよい。
また、本実施形態では、実施形態3と同様、蓄圧器41〜43から取り出された圧縮空気により、冷熱の生成、温熱の生成、発電及び負圧の生成のうち少なくとも1つを実行する装置を設けてもよい。
(その他の実施形態)
本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記各実施形態の構成要素を任意に組み合わせてもよい。