JP6197230B2 - ケーブル被覆材分離装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ケーブルの銅線周りに被覆されている被覆材をケーブルから除去して銅線と被覆材とを分離するためのケーブル被覆材分離装置に関する。
電気配線工事等で余ったケーブルは、ケーブルの銅線部分とケーブルの周りの被覆材とを分離してリサイクルされる。ケーブルから被覆材を剥くためのケーブル被覆材分離装置としては、例えば特許文献1及び2に記載のものがある。特許文献1に記載のケーブル被覆材分離装置では、上下の回転刃がそれぞれ2つ設けられており、これらの回転刃は、上ローラ及び下ローラに取り付けられている。ケーブルは、上ローラ及び下ローラの回転によって下流側へ送られながら、回転刃によって切られる。このケーブル被覆材分離装置には、ケーブルガイド装置が設けられており、回転刃に入るケーブルを案内するようになっている。
また、特許文献2に記載のケーブル被覆材分離装置では、上下の回転刃の間にケーブルを挿入し、ケーブルに切り込みを入れるようになっており、回転刃の左右両側にはローラが設けられ、ローラによってケーブルを挟むようになっている。ローラは、モータによって回転駆動され、ローラの回転により把持したケーブルを積極的に下流側に送り出す。
特許第3999632号公報 特開平8−65850号公報
ところで、ケーブルの被覆材には様々な材質があり、例えばゴムのような滑りにくい材料で構成されていることがある。また、ケーブルはしばしばコイル状に巻かれて保管され、引き出した状態では湾曲している場合がある。このような場合、滑りにくい材質で作られたケーブルの被覆材が周囲の部材と接触する際に滑らなかったり、湾曲したケーブルが周囲の部材と干渉して移動が妨げられる可能性がある。
上記特許文献1に記載のケーブル被覆材分離装置では、上記のような場合、ケーブルの抵抗が大きすぎると、回転刃の回転によってケーブルを下流側に送り出すことができなくなる。また、上記特許文献2に記載のケーブル被覆材分離装置においても、ケーブルの抵抗が大きすぎると、上ローラ及び下ローラの回転によってケーブルを送ることができなくなる。あるいは、これを解決するために上ローラ及び下ローラの駆動力を大きくする必要がある。
本発明は、簡単な構造でかつ確実に、ケーブルを搬送して、ケーブルの電線から被覆材を分離することができるケーブル被覆材分離装置を提供することにある。
本発明の第1の観点に係るケーブル被覆材分離装置は、刃が互いに対向して配置された一対の回転刃と、回転刃の対向位置よりも上流側に位置し、ケーブルを案内するためのガイドカバーと、回転刃の対向位置よりも下流側に位置し、回転刃を通過したケーブルを案内するためのガイド板と、を備え、ガイドカバー及びガイド板は、上流側にむかって回転刃の対向位置から離れる方向に傾斜した傾斜面を有し、ガイドカバーとガイド板との間には、ケーブルを把持するための一対のガイドローラが設けられ、ガイドローラは、移動するケーブルとの接触により回転するように回転自在に設けられている、ことを特徴としている。
本発明においては、ガイドカバーによって案内されたケーブルが、一対の回転刃の間に供給されると、回転刃はケーブルの被覆材を切りながらケーブルを下流側に送り込む。このとき、ガイドローラは、ケーブルとの接触によって回転し、ケーブルを下流側に案内する。被覆材が切られたケーブルは、その後、ガイド板によって案内されながらさらに下流側に搬送される。
本発明に係るケーブル被覆材分離装置によれば、回転刃の対向位置よりも上流側にガイドカバー、下流側にガイド板が設けられ、これらのガイドカバー及びガイド板が上流側にむかって回転刃の対向位置から離れる方向に傾斜している。このため、滑りにくい材質の被覆材を有するケーブルや、湾曲したケーブルの被覆材を切る際にも、ガイドカバーやガイド板がケーブルの動きを妨げることなく、ケーブルに余計な力がかからずにケーブルを搬送することが可能となる。
また、本発明によれば、一対のガイドローラが設けられているので、ケーブルを搬送する際の周囲の部材との接触抵抗を低減することができ、ケーブルのより確実な搬送が可能となる。また、ガイドカバー、ガイド板及びガイドローラによってケーブルの動きが妨げられないので、回転刃の回転によってケーブルを下流側に搬送することができる。本発明では、一対のガイドローラが移動するケーブルとの接触により回転するように回転自在に設けられているので、ガイドローラを駆動手段によって駆動せず、簡単な構造で且つ確実にケーブルを搬送することが可能になる。
また、本発明の実施の形態では、回転刃の下流側に位置し、回転刃によって切られたケーブルの被覆材の切り込み部分を押し広げるためのさばき部を有することが好ましい。
この発明の実施の形態においては、回転刃によって被覆材が切られたケーブルは、回転刃の下流側に位置するさばき部によって切り込み部分が押し広げられる。
本発明の実施の形態に係るケーブル被覆材分離装置によれば、回転刃の下流側にさばき部が設けられているので、回転刃で切られた被覆材の切り込み部分を押し広げることができる。したがって、被覆材がケーブル中心の電線から剥がれやすくなり、被覆材が電線から分離しやすくなる。
また、特に回転刃の対向位置からさばき部に近接する方向にケーブルが湾曲している場合、湾曲したケーブルが回転刃の対向位置を通過した後、ケーブルがさばき部を通る際にさばき部材にかかる負荷が大きくなり、ケーブルの移動が止まってしまうことが考えられる。本発明では、回転刃の下流側にはガイド板が設けられ、このガイド板が上流側に向かって回転刃の対向位置から離れる方向に傾斜した傾斜面を有しているので、回転刃で被覆材が切られたあと、さばき部を通過したケーブルはガイド板によって案内されることにより、ケーブルがさばき部材につっかかることなく確実に下流側に移動する。
また、本発明の実施の形態では、ガイド板の上流側端部は、少なくとも一部がさばき部よりも上流側に位置していることが好ましい。
この実施の形態においては、ガイド板の上流側端部は少なくとも一部がさばき部よりも上流側に位置しているので、回転刃の対向位置から下流側に移動したケーブルがガイド板によってさばき部よりも上流側で案内され、ケーブルの下流側への搬送が安定する。
さらに、本発明の別の実施の形態では、ガイドカバー及びガイド板の少なくとも一方の傾斜面は、平面であることが好ましい。
この別の実施の形態においては、ガイドカバー及びガイド板の少なくとも一方の傾斜面は、平面であるので、簡単な形状でケーブルを下流側に案内することが可能になる。
本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置の正面図である。 本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置の平面図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置の動作を示す断面図である。 本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置の平面図である。 図5のB−B線に沿った断面図である。 本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置の動作を示す断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、第二実施形態以降では、第一実施形態と同様の構成には、図面に第一実施形態と同一符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置1の正面図であり、図2は、本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置1の平面図であり、図3は、図2のA−A線に沿った断面図である。以下では、図1において上下方向をケーブル被覆材分離装置1の上下方向、図1の左右方向をケーブル被覆材分離装置1の左右方向、図2においてケーブル被覆材分離装置1の右側を上流側、左側を下流側として説明する。
これらの図1乃至図3に示すように、本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置1は、下部ヘッド6と、下部ヘッド6に固定された一対の支柱2と、支柱2に支持された上部ヘッド4と、これらの上部ヘッド4及び下部ヘッド6にそれぞれ回転可能に支持された上部回転軸8及び下部回転軸10と、上部回転軸8及び下部回転軸10にそれぞれ固定された一対の上部回転刃12及び下部回転刃14と、上部回転刃12及び下部回転刃14によって切られたケーブルC(図4)の被覆材の切り込み部分を押し広げるためのさばき部材16と、ケーブルCを上流側から下流側へ案内するための案内機構18と、を備えている。
上部ヘッド4は、支柱2に対して上下方向にスライド可能に設けられており、移動機構20のハンドル22を操作することによって、上部ヘッド4の高さ位置を調整可能となっている。一方、下部ヘッド6は、設置面に固定されている。このような構造により、上部ヘッド4は、下部ヘッド6に対して近接離間する方向に移動可能となっている。
上部回転軸8及び下部回転軸10は、互いに平行に、上部ヘッド4のスライド方向と直交する方向に配置され、軸受8A、10Aにそれぞれ軸支されている。上部回転軸8及び下部回転軸10の一端は、支柱2から突出しており、これらの端部にそれぞれ上部回転刃12及び下部回転刃14が固定されている。上部回転軸8及び下部回転軸10の他端は、図示しない駆動機構に接続され、互いに反対方向に回転可能となっている。具体的には、上部回転軸8は図3において時計回りに、下部回転軸10は図3において反時計回りに回転する。
上部回転刃12及び下部回転刃14は、円盤状に形成されて鉛直方向の同一平面上に位置し、その全周に刃が形成されている。上部回転刃12及び下部回転刃14の対向位置、即ち、上部回転刃12の下縁部と下部回転刃14の上縁部との間には、ケーブルCが挿入される隙間G(図4)が形成される。
さばき部材16は、上部回転刃12及び下部回転刃14の下流側に配置され、鉛直方向に且つ上部回転刃12及び下部回転刃14と同一平面上に配置された板状部材である。さばき部材16の搬送方向略中央より下流側の下流側部分24Aの上縁は、上流側に向かって下方に傾斜している。一方、さばき部材16の搬送方向略中央より上流側、つまり下流側部分24Aよりも上流側の上流側部分24Bの上縁は、隣接する下流側部分24Aの上縁の高さよりも上方に突出している。このような形状により、さばき部材16の上流側部分24Bは、上方且つ上流側に突出するさばき部32を構成する。さばき部32の上流側の端部は、上流側に向かって先細りに形成された刃33となっており、その先端は若干丸まっている。また、さばき部32の上端32Aは、下部回転刃14の最上端の高さ位置とほぼ同じ高さ位置に位置している。また、さばき部材16の上流側の側縁28には、下部回転刃14に干渉しないように、円弧状の凹部30が形成されている。
案内機構18は、ケーブルCを上部回転刃12及び下部回転刃14へ案内するためのガイドバー34と、上部回転刃12及び下部回転刃14の対向位置よりも上流側に配置され、ガイドバー34とともにケーブルCを案内するためのガイドカバー36と、上部回転刃12と下部回転刃14の対向位置よりも下流側に配置され、被覆材が切られたケーブルCを案内するためのガイド板38と、ガイドカバー36及びガイド板38の間に位置してケーブルCを把持する一対のガイドローラ39と、を有する。
ガイドバー34は、上部回転刃12及び下部回転刃14の間の隙間Gの左右両側に一対設けられている。各ガイドバー34は、上部回転刃12及び下部回転刃14の上流側からガイドローラ39より上流側の位置まで、上部回転刃12及び下部回転刃14の平面とほぼ平行な向きに配置された棒状部材である。ガイドバー34は、他方のガイドバー34に対向する面が、下流側に向かって互いに近接するように傾斜している。これらのガイドバー34は、それぞれ支持部材40に固定されており、これらの支持部材40は、移動機構42によって互いに近接離間するようにスライド可能に設けられている。したがって、移動機構42のハンドル44を操作することにより、ガイドバー34が近接離間する方向に移動するようになっている。
ガイドカバー36は、一対のガイドバー34の間の空間を覆うようにガイドバー34の下方の位置で支持部材40に固定された、一対の板状部材である。各ガイドカバー36は、上流側の部分が、上流側に向かって下方に、即ち上流側に向かって隙間Gから離れる方向に傾斜した平坦な平面である傾斜面36Aとなっており、この傾斜面36Aの下流側に水平方向に延びる平坦面36Bが形成されている。平坦面36Bは、下部回転刃14の最上端の高さ位置よりも下方の高さ位置に配置されている。ガイドカバー36は、支持部材40に固定されているので、ガイドバー34と同様に互いに近接離間するように移動可能となっており、互いの端部が近づいた際には一方の端部が他方の端部に重なり合うように上下方向に配置されている。
ガイド板38は、さばき部材16の上縁に固定された板状部材で、さばき部材16の設置平面に対して略垂直に配置されている。ガイド板38は、下流側部分24Aの上縁の傾斜にしたがって、上流側に向かって下方に、即ち上流側に向かって、上部回転刃12と下部回転刃14との対向位置から離れる方向に平坦に傾斜した、平面である傾斜面となっている。ガイド板38において、さばき部材16のさばき部32よりも上流側の部分には、上流側に向かって開口するスリット46が形成され、このスリット46内からさばき部32が上方に突出している。換言すると、ガイド板38は、さばき部32の左右両側に延びている、つまり、ガイド板38においてさばき部32より上流側の部分は、左右に分割され、それらの上流端は、さばき部32の上流端よりも下流側且つ下方に位置している。
ガイドローラ39は、上部回転刃12及び下部回転刃14の間の隙間Gの左右両側にそれぞれ設けられている。ガイドローラ39は、上下方向に延びる回転軸39Aを中心に回転可能に設けられており、これらの回転軸39Aは、ガイドバー34から下流側に延びるブラケット34Aに固定されている。ガイドローラ39には、ガイドローラ39を回転するための駆動機構は設けられておらず、回転自在に設けられている。
図4は、本発明の第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置1の動作を示す断面図である。
ケーブル被覆材分離装置1に挿入されるケーブルCは、内部に銅線Xを有し、その周りに被覆材Yが被覆されている。ケーブルCの直径に合わせてハンドル22を操作して移動機構20を駆動し、上部回転刃12と下部回転刃14との間の隙間Gが、銅線Xの直径とほぼ同じとなるように、隙間Gの大きさを調整する。次に、ハンドル44を操作して移動機構42を駆動することによって、ガイドバー34の間の距離が、ケーブルCの直径とほぼ同じとなるように、距離を調整する。この際、ガイドカバー36は、ガイドバー34とともに支持部材40に固定されているので、ガイドバー34の移動とともにガイドカバー36も互いに近接または離間する方向に移動する。また、ガイドローラ39の回転軸39Aは、ブラケット34Aに固定されているので、ガイドバー34の移動とともにガイドローラ39も互いに近接離間する方向に移動する。
ケーブルCを上流側からガイドカバー36の上方でガイドバー34の間に挿入すると、ケーブルCがガイドバー34によって案内されながら上部回転刃12と下部回転刃14との間に挿入される。上部回転刃12及び下部回転刃14は互いに反対方向に回転しているので、ケーブルCの被覆材Yのみを切りながら、ケーブルCを下流側に移動させる。このとき、ガイドローラ39は、ケーブルCを把持することで左右方向の位置決めを行い、ケーブルCに接触することによって回転しながらケーブルCを下流側に案内する。ケーブルCは被覆材Yの上下部分が切られた状態で、さばき部材16に搬送される。
被覆材Yの上下部分が切られた状態で、ケーブルCがさばき部材16まで搬送されると、さばき部32の刃33が、下部回転刃14で切った被覆材Yの切り込み部分に挿入される。さばき部32は、上流側に向かって先細りとなっている、つまり下流側にむかって幅が大きくなるので、ケーブルCが下流側に搬送されるにしたがって切り込み部分がさばき部32によって押し広げられる。これにより被覆材Yが銅線Xから剥離した状態で下流側に搬送される。
ここで、ケーブルCはコイル状に巻かれて保管されていることがあり、その場合、ケーブルCを繰り出すとケーブルCが湾曲している場合がある。例えばケーブルCが左右方向または上方向に向かって湾曲している場合には、ガイドバー34やガイドローラ39、上部回転刃12及び下部回転刃14がケーブルの湾曲をある程度矯正しながらケーブルCの搬送及び被覆材Yの切り込みを行う。
一方、ケーブルCが下方向に向かって湾曲した状態でケーブル被覆材分離装置1に挿入された場合、ガイドカバー36の傾斜面36AによってケーブルCが下方から押されるのが回避される。一方で、上部回転刃12及び下部回転刃14を出たケーブルCは、ガイド板38によって下方に湾曲するのが防止される。
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
上部回転刃12及び下部回転刃14の左右両側にガイドバー34を設けているので、ケーブルCの中心軸を上部回転刃12及び下部回転刃14に合わせるようにケーブルCを案内することができる。したがって、上部回転刃12及び下部回転刃14が、ケーブルCの中心軸に沿って被覆材Yを適切な深さで切ることができる。
ガイドバー34の下方にガイドカバー36を設け、ガイドカバー36が、上流側にむかって下方に傾斜する傾斜面36Aを有しているので、ケーブルCが下方向に向かって湾曲した状態でケーブル被覆材分離装置1に挿入された場合、平らな台の上を移動する場合と比べて、ガイドカバー36がケーブルCを下方から押すのを抑制することができ、ケーブルCをある程度下方に湾曲させたままとすることができる。したがって、ケーブルCの移動時にケーブルCに大きな負荷がかかるのを防止することができ、ケーブルCをスムーズに搬送することができる。また、ガイドカバー36が傾斜面36Aを有しているので、被覆材に滑りにくい材料を使用している場合でも、ケーブルCがガイドカバー36に引っかかりにくくなるから、ケーブルCをスムーズに搬送することができる。
上部回転刃12及び下部回転刃14の下流側にさばき部材16を設けたので、ケーブルCの被覆材Yの切り込み部分が、さばき部32によって押し広げられる。したがって、ケーブル被覆材分離装置1を出たケーブルCの被覆材Yが銅線Xから分離しやすくなり、被覆材の除去作業を容易に行うことができる。
前述のように、ケーブルCが下方向に湾曲した状態でケーブル被覆材分離装置1に挿入される場合、上部回転刃12及び下部回転刃14を通過したケーブルCは、下方に移動する。このため、ケーブルCが移動するにしたがって、さばき部32に被覆材Yが突き刺さり、さばき部32にかかる負荷が大きくなり、場合によってはケーブルCがそれ以上移動できなくなってしまう。本実施形態では、上部回転刃12及び下部回転刃14の下流側にガイド板38を設け、このガイド板38を上流側に向かって下方に傾斜する傾斜面としたので、ケーブルCが下方に湾曲しながら移動すると、ガイド板38がケーブルCを上方に押し上げるように案内する。したがって、さばき部32にかかる負荷を軽減することができ、ケーブルCがさばき部32につっかかって移動できなくなってしまう不具合を防止することができる。また、被覆材に滑りにくい材料を使用している場合でも、ケーブルCがガイド板38に引っかかりにくくなるから、ケーブルCをスムーズに搬送することができる。
ガイドカバー36は、平坦な傾斜面36Aを有し、ガイド板38は傾斜面を形成する板状部材となっているので、例えば湾曲面を有する構造に比べて、ガイドカバー36及びガイド板38を容易に製造することができる。
一対のガイドローラ39が設けられているので、ガイドローラ39が回転しながらケーブルCを案内することでケーブルCの搬送が妨げられるのを防止することができる。また、ガイドバー34や、ガイドカバー36、ガイド板38、及びガイドローラ39が、ケーブルCの移動を妨げないので、ケーブルCの移動に必要な力が低減し、上部回転刃12及び下部回転刃14の回転のみによってケーブルCを下流側に移動させることができる。したがって、ガイドローラ39を駆動機構によって回転駆動する必要がないから、ガイドローラ39に駆動機構を設けず、ケーブルとの接触により回転するように回転自在とする構造とすることができる。したがって、簡単な構造でケーブルCを確実に搬送することができる。
ガイド板38の上流側の部分が、さばき部32の上流端よりも上流側に位置しているので、上部回転刃12及び下部回転刃14を通過したケーブルCを確実にさばき部32まで案内することができる。
特に、多数の細い銅線Xがまとめられて被覆材Yで被覆されている場合、銅線Xが曲がりやすく、さばき部32にからまってケーブルCを搬送しにくい場合がある。本実施形態では、さばき部32の刃33が丸まっているので、ケーブルCの銅線Xがさばき部32にからまりにくく、ケーブルCの搬送をスムーズに行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置について説明する。本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置100は、第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置100と比較すると、さばき部が設けられていない点が異なる。
図5は、本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置100の平面図である。図6は、図5のB−B線に沿った断面図である。図5及び図6に示すように、ケーブル被覆材分離装置100には、ガイド板38を支持する支持部材102が設けられているが、この支持部材102は、第一実施形態のさばき部材16とは異なり、ガイド板38から上方に突出するさばき部を有していない。
図7は、本発明の第二実施形態に係るケーブル被覆材分離装置100の動作を示す断面図である。
ケーブル被覆材分離装置100にケーブルCが挿入されると、第一実施形態に係るケーブル被覆材分離装置1と同様に、ガイドバー34、ガイドカバー36、ガイドローラ39、及びガイド板38によってケーブルCが案内される。第二実施形態ではさばき部が設けられていないので、上部回転刃12及び下部回転刃14によって被覆材Yが切られたケーブルCは、そのままガイド板38に案内されながら下流側に搬送される。
このように構成された本実施形態によれば、第一実施形態と同様の効果の他、次のような効果を得ることができる。
本実施形態では、さばき部が設けられていないが、その場合であっても、上流側に向かって下方に傾斜する傾斜面であるガイド板38が、ケーブルCを上方に押し上げるように案内する。したがって、ケーブルCが下方に湾曲している場合であっても、ケーブルCが周囲の部材に干渉して移動が妨げられることがなく、ガイド板38がケーブルCをスムーズに移動させることができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えばガイド板は、前述の実施形態では上流側の部分が、さばき部よりも上流側に位置していたが、ガイド板の少なくとも一部がさばき部よりも上流側に位置していればよい。また、ガイド板は、必ずしも上流側端部がさばき部よりも上流側に位置している必要はなく、さばき部よりも下流側に位置していてもよい。
前述の実施形態では、ガイドカバー36及びガイド板38は、平坦な傾斜面を有していたが、これに限らず、例えば円弧状に湾曲した面を有して構成されていてもよい。要するに、ガイドカバー及びガイド板は、全体として上流側にむかって回転刃の対向位置から離れる方向に傾斜していればよい。
さばき部は、下方から上方に突出するように設けられ、下部回転刃によって切られた被覆材の切り込み部分を押し広げるように構成されていたが、これに限らず、例えばさばき部は上方から下方に突出するように設けられ、上部回転刃によって切られた被覆材の切り込み部分を押し広げるように構成されていてもよい。この場合には、ガイドカバー及びガイド板も上部回転刃側に設けられているのがよい。
1 ケーブル被覆材分離装置
12 上部回転刃
14 下部回転刃
32 さばき部
34 ガイドバー
36 ガイドカバー
38 ガイド板
39 ガイドローラ
C ケーブル
X 銅線
Y 被覆材

Claims (4)

  1. 刃が互いに対向して配置された一対の回転刃と、
    前記回転刃の対向位置よりも上流側に位置し、ケーブルを案内するためのガイドカバーと、
    前記回転刃の対向位置よりも下流側に位置し、前記回転刃を通過した前記ケーブルを案内するためのガイド板と、を備え、
    前記ガイドカバー及び前記ガイド板は、上流側にむかって前記回転刃の対向位置から下方向に傾斜した傾斜面を有し、
    前記ガイドカバーと前記ガイド板との間には、前記ケーブルを把持する一対のガイドローラが設けられ、前記ガイドローラは、移動する前記ケーブルとの接触により回転するように回転自在に設けられている、
    ことを特徴とするケーブル被覆材分離装置。
  2. 前記回転刃の下流側に位置し、前記回転刃によって切られた前記ケーブルの被覆材の切り込み部分を押し広げるためのさばき部を有する、
    請求項1に記載のケーブル被覆材分離装置。
  3. 前記ガイド板の上流側端部は、少なくとも一部が前記さばき部よりも上流側に位置している、請求項2に記載のケーブル被覆材分離装置。
  4. 前記ガイドカバー及び前記ガイド板の少なくとも一方の前記傾斜面は、平面である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のケーブル被覆材分離装置。
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