JP6192449B2 - ベーンポンプ - Google Patents
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Description
(1)一対のベーンを案内溝に逆向きに組み込むと、ベーン先端の摺動抵抗で一対のベーン同士が離れる方向に力が働くことにより、一対のベーンが損傷する可能性があるので、一対のベーンを案内溝にロータの回転方向の一方向の向きに適合させて組み込む必要がある。
(2)ベーン側面に識別マークを付ける等の逆向き防止対策では、人為的ミス発生の可能性が残るので、完全な対策にならない。
(3)一対のベーンを正確に重ね合わせる必要があるので、一対のベーンの間にスプリングを挟み込むベーン構造の場合において、スプリングの弾発力に抗する組み込み作業が困難になる。
カム面と、該カム面の両側の第一側面および第二側面とを有するポンプ室と、
外周面の一部が前記カム面の一部に摺接するように偏心して前記ポンプ室に回転自在に支持される円形のロータと、
前記ロータの中心において径方向に延在するように形成された案内溝と、
前記案内溝に径方向出入り可能に支持され両端が前記カム面に摺接されるベーンと、
を備えるベーンポンプにおいて、
前記ベーンは第一プレートおよび第二プレートを備えており、
前記第一プレートの一端面には前記第一側面に摺接する摺接面が形成されており、前記第一プレートの該摺接面と反対側端面には肉盗みおよびリブが形成されているとともに、互いに係合する凸部と凹部とが設けられており、
前記第二プレートの一端面には前記第二側面に摺接する摺接面が形成されており、前記第二プレートの該摺接面と反対側端面には肉盗みおよびリブが形成されているとともに、互いに係合する凸部と凹部とが設けられており、
前記第一プレートと前記第二プレートとは互いの前記凸部と前記凹部とを係合された状態で当接されている、
ことを特徴とするベーンポンプ。
本実施形態において、本発明に係るベーンポンプは、自動車のブースタブレーキの真空源として使用するバキュームポンプに適用するものとして構成されている。
ハウジング10の第二側面19には吐出ポート23が、カム面17の当接部17aよりもロータ回転方向において後側で当接部17aに接近した位置に、カム面17に沿った円弧形状に形成されており、吐出ポート23にはハウジング10の底壁に形成された吐出路24が連通されている。
ロータ25には軸部28が同軸的に形成されており、軸部28はハウジング10の支持孔14に嵌入されて回転自在に支持されている。軸部28には給油路29が形成されており、給油路29は一端が軸部28の外周面における支持孔14の給油路15と対向する位置で開口され、他端が案内溝26の底面で開口されている。
ロータ25の軸部28の外側端面にはエンジンのカム軸等(図示せず)に連結されるカップリング30がねじ止めされており、ロータ25はカップリング30を介してエンジンによって回転されるようになっている。
ロータ25の回転方向で当接部17aよりも前側となるハウジング10のカム面17とロータ25の外周面とベーン31との間には、吸入側ポンプ作動室R1が形成され、ロータ25の回転方向で当接部17aよりも後側となるカム面17とロータ25の外周面とベーン31との間には、吐出側ポンプ作動室R2が形成され、当接部17aと反対側となるカム面17とロータ25の外周面とベーン31との間には、第3のポンプ作動室R3が形成される。カム面17に当接されるベーン31の各先端縁と当接部17aの間の距離が所定値より小さい場合を除き、吸入側ポンプ作動室R1には吸入ポート20が連通され、吐出側ポンプ作動室R2には吐出ポート23が連通される。
第一プレート32および第二プレート33は厚さTが案内溝26の溝幅Wよりも若干小さめで、短辺Aが案内溝26の深さDの1/2よりも若干小さめで、長辺Bがロータ25の直径以上でカム面17の直径以下の長方形の略平板形状に形成されている。第一プレート32および第二プレート33の長辺B側の両端部には面取り34、34がそれぞれR面取り形状に形成されている。
互いの凸部38が凹部39に挿入されて合わせられた正規の状態において、第一プレート32と第二プレート33とは凸部38および凹部39側端面同士が密着するとともに、双方の摺接面35、35が互いに平行な一対の側面を構成する。したがって、第一プレート32と第二プレート33とによって構成されたベーン31は案内溝26に適正に嵌入することができる。
ところが、ベーン31が案内溝26に不正規に嵌入された状態のロータ25の上に蓋体11が被せられてハウジング10にねじ止めされる場合には、第一プレート32の凸部38および第二プレート33の凸部38の分だけベーン31が案内溝26から突出することにより、蓋体11がハウジング10に適正にねじ止めされるのを自己制御的に阻止する状態になるので、ベーン31の案内溝26への不正規の組み付け作業のような人為的ミス発生による不良製品の出荷を未然に防止することができる。
カップリング30を介してロータ25が駆動されて、図1(a)において反時計方向に回転されると、吸入路21内の空気は吸入ポート20から吸入側ポンプ作動室R1内に吸入され、吐出側ポンプ作動室R2内の空気は吐出ポート23から吐出路24を通って外部に吐出される。
この吸入および吐出作用中に、給油口15Aに供給された潤滑油が給油路15および給油路29を経由して案内溝26に供給されるので、支持孔14と軸部28との摺接面、ベーン31の案内溝26とカム面17と第一側面18と第二側面19との摺接面およびロータ25とカム面17の当接部17aとの摺接面は充分に潤滑される。
本変形例が第一実施形態に係るベーンと異なる点は、凸部38Aおよび凹部39Aの構成である。すなわち、第一プレート32および第二プレート33の摺接面35と反対側端面に段差部が長さ方向の中心において厚さ方向に延在するように形成されることにより、凸部38Aが第一プレート32および第二プレート33の摺接面35と反対側端面における長さ方向の片側半分に形成され、凹部39Aが他方の片側半分に形成されており、凸部38Aと凹部39Aは互いに噛合(係合)するように設定されている。
第一プレート32(第二プレート33)の摺接面35と反対側端面における長さ方向の片側半分に凸部38Aを形成し、他方の片側半分に凸部38Aに噛合する凹部39Aを形成することにより、第一プレートと第二プレートとを同一形状に形成することができるので、ベーンの製造コストを大幅に低減することができる。
本変形例が第一実施形態に係るベーンと異なる点は、凸部38Bおよび凹部39Bの構成である。すなわち、第一プレート32および第二プレート33の摺接面35と反対側端面に段差部が厚さ方向の中心において長さ方向に延在するように形成されることにより、凸部38Bが第一プレート32および第二プレート33の摺接面35と反対側端面における厚さ方向の片側半分に形成され、凹部39Bが他方の片側半分に形成されており、凸部38Bと凹部39Bは互いに噛合(係合)するように設定されている。
第一プレート32(第二プレート33)の摺接面35と反対側端面における厚さ方向の片側半分に凸部38Bを形成し、他方の片側半分に凸部38Bに噛合する凹部39Bを形成することにより、第一プレートと第二プレートとを同一形状に形成することができるので、ベーンの製造コストを大幅に低減することができる。
本実施形態が第一実施形態と異なる点は、ベーン41の構造である。
図6〜図7に示されているように、ベーン41は同一形状の第一プレート42および第二プレート43によって構成されており、第一プレート42および第二プレート43は耐摩耗性および耐熱性を有する樹脂が使用されて同一の長方形の略平板形状にそれぞれ成形されている。
第一プレート42および第二プレート43は厚さTが案内溝26の溝幅Wよりも若干小さめで、短辺Aが案内溝26の深さDよりも若干小さめで、長辺Cがロータ25の直径の1/2以上でカム面17の直径の1/2以下の長方形(四辺形)の略平板形状に形成されている。第一プレート42および第二プレート43の長辺Cの一端部には面取り44、44がそれぞれR面取り形状に形成されている。
互いの凸部48と凹部49とが噛合されて合わせられた正規の状態において、第一プレート42と第二プレート43とは凸部48および凹部49側端面同士が密着するとともに、双方の摺接面45、45が互いに平行な一対の側面を構成する。したがって、第一プレート42と第二プレート43とによって構成されたベーン41は案内溝26に適正に嵌入することができる。
ところが、ベーン41が案内溝26に不正規に嵌入された状態のロータ25の上に蓋体11が被せられてハウジング10にねじ止めされる場合には、第一プレート42の凸部48および第二プレート43の凸部48の分だけベーン41が案内溝26から余分に突出することにより、蓋体11がハウジング10に適正にねじ止めされるのを自己制御的に阻止する状態になるので、ベーン41の案内溝26への不正規の組み付け作業のような人為的ミス発生による不良製品の出荷を未然に防止することができる。
なお、凸部48および凹部49は長さ方向で互いに噛合するように形成するに限らず、互いの凸部48が凹部49に挿入するように形成してもよいし(図3参照)、厚さ方向で互いに噛合するように形成してもよい(図5参照)。
25…ロータ、26…案内溝、27…凹部、28…軸部、29…給油路、30…カップリング、
31…ベーン、 32…第一プレート、33…第二プレート、34…面取り、35…摺接面、36…肉盗み、37…リブ、38、38A、38B…凸部、39、39A、39B…凹部、
41…ベーン、 42…第一プレート、43…第二プレート、44…面取り、45…摺接面、46…肉盗み、47…リブ、48…凸部、49…凹部。
Claims (5)
- カム面と、該カム面の両側の第一側面および第二側面とを有するポンプ室と、
外周面の一部が前記カム面の一部に摺接するように偏心して前記ポンプ室に回転自在に支持される円形のロータと、
前記ロータの中心において径方向に延在するように形成された案内溝と、
前記案内溝に径方向出入り可能に支持され両端が前記カム面に摺接されるベーンと、
を備えるベーンポンプにおいて、
前記ベーンは第一プレートおよび第二プレートを備えており、
前記第一プレートの一端面には前記第一側面に摺接する摺接面が形成されており、前記第一プレートの該摺接面と反対側端面には肉盗みおよびリブが形成されているとともに、互いに係合する凸部と凹部とが設けられており、
前記第二プレートの一端面には前記第二側面に摺接する摺接面が形成されており、前記第二プレートの該摺接面と反対側端面には肉盗みおよびリブが形成されているとともに、互いに係合する凸部と凹部とが設けられており、
前記第一プレートと前記第二プレートとは互いの前記凸部と前記凹部とを係合された状態で当接されている、
ことを特徴とするベーンポンプ。 - 前記第一プレートおよび前記第二プレートが耐摩耗性および耐熱性を有する樹脂が使用されてそれぞれ成形されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。 - 前記第一プレートと前記第二プレートとが同一形状に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のベーンポンプ。 - 前記凸部が前記凹部に挿入するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載のベーンポンプ。 - 前記凸部および前記凹部が厚さ方向で互いに噛み合うように形成されている、
ことを特徴とする請求項1、2、3または4に記載のベーンポンプ。
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