JP6190571B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマを用いて大型の基板にプラズマ処理を施すプラズマ処理装置に関する。
FPD(フラットパネルディスプレイ)の製造工程において、FPD用のガラス基板に対してプラズマエッチング、プラズマアッシング、プラズマ成膜等の種々のプラズマ処理が施される。これらのプラズマ処理を行う装置として、高密度のプラズマを発生させて該プラズマによってガラス基板に所望のプラズマ処理を施す誘導結合プラズマ(ICP)処理装置が知られている。
通常、誘導結合プラズマ処理装置は、内部が気密に保持されてガラス基板が配置される処理室と、該処理室の外部に配置されたコイル状の高周波アンテナとを備えている。処理室は、天井部分を兼ねる誘電体からなる誘電体窓を有し、高周波アンテナは誘電体窓の上方に配置されている。誘導結合プラズマ処理装置では、高周波アンテナに高周波電力を印加することによって、誘電体窓を介して処理室内に誘導電界を形成し、該誘導電界によって、処理室内に導入された処理ガスを励起してプラズマを生成し、該プラズマを用いて、ガラス基板に対して所望のプラズマ処理を施す。
ここで、誘電体窓の下面が処理室に露出していると、該誘電体窓の下面がプラズマに晒されて損傷する。例えば、陽イオンによるスパッタリングによって削られる。誘電体窓は、容易に着脱することができないため、損傷しても容易に交換し、若しくはクリーニングすることができない。これに対応して、誘電体窓の下面を容易に着脱可能な誘電体からなる誘電体カバーで覆うことが行われている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、誘電体窓の下面を保護することができ、誘電体窓が損傷するのを防止することができる。
ところで、近年、FPD用のガラス基板は大型化し、これに対応して処理室も大型化しているため、該処理室の天井部材である誘電体窓も大型化し、該誘電体窓を覆う誘電体カバーも大型化している。誘電体カバーが大型化すると、該誘電体カバーを一枚の部材で構成するのが困難となるため、例えば、第4世代以降のFPD用のガラス基板を処理する誘導結合プラズマ処理装置では、図11に示すように、誘電体カバー100が複数の分割素片101を組み合わせることによって構成されている。また、各分割素片101は、処理室の天井部に配されたアルミニウムからなる梁に固定される誘電体カバー固定具102a,102bによって下面を支持される(例えば、特許文献2参照。)。
特開2001−28299号公報 特開2010−251708号公報
しかしながら、各分割素片101はプラズマから熱を受けて熱膨張し、例えば、隣接する各分割素片101の境目が口開くことがあるが、上述した誘電体カバー固定具102a,102bは隣接する各分割素片101の境目を全て覆わないため、当該境目が口開いたときに誘電体窓や梁がプラズマに晒されて損傷するという問題がある。
また、2つの分割素片101の境目には反応生成物が進入して堆積しており、各分割素片101の境目が口開くと反応生成物が剥離してパーティクルとなって処理室内を浮遊し、デポとしてガラス基板に付着するという問題がある。
本発明の目的は、誘電体カバーに覆われた他の構成部材が損傷するのを防止するとともに、デポが基板に付着するのを防止することができるプラズマ処理装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1記載のプラズマ処理装置は、プラズマが発生する処理空間をなす処理室と、該処理室内において前記プラズマに晒される基板と対向して配置される誘電体カバーとを備えるプラズマ処理装置において、前記誘電体カバーは複数の分割素片が組み合わされて構成され、隣接する2つの前記分割素片の境目はカバープレートによって覆われ、各前記分割素片は前記カバープレートによって下方から支持され、前記隣接する2つの分割素片の境目には第1の所定の幅の隙間が設けられ、前記カバープレートは、隣接する2つの前記分割素片の全境目の90%以上を覆い、各前記分割素片は正方形、若しくは矩形の誘電体部材からなり、該誘電体部材の一辺は少なくとも500mm以上であり、前記カバープレートを支持するカバープレート支持具が、前記カバープレートとは別に設けられ、処理ガスを供給するガス供給部がさらに設けられ、前記カバープレートは、前記ガス供給部及び前記処理室の間に介在し、且つ前記ガス供給部及び前記処理室を連通するガス導入穴を有し、前記カバープレート支持具は、前記カバープレートを下方から支持するフランジ及び軸部を有する断面T字状の部材からなり、前記カバープレート支持具の軸部及び各前記分割素片の間には第2の所定の幅の隙間が設けられ、前記カバープレートは、前記処理ガス供給部に対向する部分において、前記誘電体カバーを下方から支持するフランジ及び軸部を有する断面がT字状の部材からなり、前記カバープレートの軸部及び各前記分割素片の間には第3の所定の幅の隙間が設けられ、前記第1の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記隣接する2つの分割素片が当接することがない程度の大きさであり、前記第2の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記カバープレート支持具の軸部及び各前記分割素片が当接することがない程度の大きさであり、前記第3の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記カバープレートの軸部及び各前記分割素片が当接することがない程度の大きさであることを特徴とする。
請求項記載のプラズマ処理装置は、請求項記載のプラズマ処理装置において、前記誘電体部材の一辺は少なくとも900mm以上であることを特徴とする。
請求項記載のプラズマ処理装置は、請求項1又は2記載のプラズマ処理装置において、前記誘電体カバーに関して前記基板と反対側に配されて高周波電力が印加される高周波アンテナと、前記誘電体カバー及び前記高周波アンテナの間に配される誘電体窓と、前記誘電体窓を支持する梁とをさらに備え、前記カバープレートは前記梁に取り付けられることを特徴とする。
本発明によれば、隣接する2つの分割素片の境目はカバープレートによって覆われるので、各分割素片が熱膨張して隣接する2つの分割素片の境目が口開いても、誘電体カバーに覆われた他の構成部材がプラズマに晒されることがない。これにより、他の構成部材が損傷するのを防止することができる。また、隣接する2つの分割素片の境目に堆積した反応生成物が剥離しても、カバープレートが境目から剥離した反応生成物の飛散を防止するので、反応生成物に起因するデポが基板に付着するのを防止することができる。
また、各分割素片はカバープレートによって支持されるので、各分割素片をボルト等によって固定する必要が無く、各分割素片が熱膨張してもボルト等によって拘束されることがないため、各分割素片に圧縮応力や引っ張り応力が発生するのを防止することができる。
さらに、各分割素片は誘電体窓を支持する支持梁に固定されることなくカバープレートによって支持されるので、支持梁の形状にかかわらずその分割数及び分割形状を決めることができる。
本発明の実施の形態に係るプラズマ処理装置の構成を概略的に示す断面図である。 図1における誘電体窓の分割形態を示す底面図である。 図1における誘電体カバーを白抜き矢印に沿う方向から眺めた場合を示す図である。 図3におけるカバープレートの各部の断面図であり、図4(A)は図3における線A−Aに沿う断面図であり、図4(B)は図3における線B−Bに沿う断面図であり、図4(C)は図3における線C−Cに沿う断面図であり、図4(D)は図3における線D−Dに沿う断面図である。 図4(E)は図4(C)におけるカバープレートの変形例を示す断面図である。 従来のプラズマ処理装置におけるガス流路とガス導入穴の位置関係を示す図である、図5(A)は分割素片が熱膨張していない場合を示し、図5(B)は分割素片が熱膨張している場合を示す。 図3における各カバープレートを展開した場合を示す図である。 図3における各カバープレートの第1の変形例を示す図である。 図4(B)における支持パッドの支持梁への取り付け方法の変形例を示す図である。 図3における各カバープレートの第2の変形例を示す図である。 図3における各カバープレートの第3の変形例を示す図である。 従来のプラズマ処理装置における分割素片及び誘電体カバー固定具の配置形態を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施の形態に係るプラズマ処理装置は、例えば、FPD用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)Sに対してプラズマエッチング、プラズマアッシング、プラズマ成膜等のプラズマ処理を施す。これらのプラズマ処理が施される基板が用いられるFPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が該当する。
図1は、本実施の形態に係るプラズマ処理装置の構成を概略的に示す断面図である。
図1において、プラズマ処理装置10は、容器1と、該容器1内に配置されて、容器1内の図中上方の空間をなすアンテナ室2及び同下方の空間をなす処理室3に容器1の内部を区画する誘電体窓4とを備える。プラズマ処理装置10において、誘電体窓4は、アンテナ室2の底部を構成すると共に、処理室3の天井部分を構成する。処理室3は、気密に保持されて誘導結合プラズマが発生し、該誘導結合プラズマによって基板Sに所望のプラズマ処理が施される。
容器1は、上部と底部とこれらを連結する4つの側壁とを有する角筒形状の容器である。なお、容器1の側壁の数は、4つに限られず、例えば、プラズマ処理装置10の構成や実行されるプラズマ処理の内容に応じて3つ、若しくは5つ以上であってもよい。また、容器1は上部と底部とこれらを連結する筒状部とを有する円筒形状の容器であってもよい。容器1の材料としては、アルミニウムやアルミニウム合金等の導電体が用いられ、容器1は接地される。容器1の材料としてアルミニウムを用いた場合には、容器1の内壁面から異常放電が発生しないように、容器1の内壁面にはアルマイト処理が施されていてもよい。
誘電体窓4は、容器1の上部や底部と平行に配置された誘電体の板状部材からなり、複数の分割部材、例えば8つの分割誘電部材5に分割される(図2参照)。誘電体窓4の厚さは、例えば40mmであり、誘電体窓4を構成する誘電体としては、例えば、Al等のセラミックスや石英が用いられる。なお、誘電体窓4の分割形態は、図2に示すような8分割に限られず、プラズマ処理が施される基板の大きさやプラズマ処理の内容に応じて分割数及び分割形状を決めることができ、また、誘電体窓4は分割されていなくてもよい。
プラズマ処理装置10は、さらに、誘電体窓4を支持する支持部材として支持梁6を備える。支持梁6は、例えば、アルミニウムからなる平面視井桁状の部材であり、各分割誘電部材5を下方から支持する。支持梁6は容器1の天井部分から図中下方へ延出する円筒形状のサスペンダ7によって釣支され、例えば、容器1の内部における上下方向の略中央の位置において水平状態を維持するように配置される。
支持梁6の上下方向に関する位置については、後述のアンテナ8の構造や処理室内の構造によっては略中央に限られず、中央より上、若しくは中央より下であってもよい。また、サスペンダ7の形状及び配置形態は、該サスペンダ7が釣支する支持梁6の形状や大きさによって適宜決定される。支持梁6の材料としては、導電体、例えば、アルミニウム等の金属材料が用いられ、支持梁6の材料としてアルミニウムを用いた場合には、表面から汚染物が発生しないように、支持梁6の内外の表面にはアルマイト処理が施される。なお、後述するように、支持梁6の一部には処理ガスを流すためのガス流路16が形成される。
プラズマ処理装置10は、さらに、アンテナ室2の内部に配置された高周波アンテナ(以下、単に「アンテナ」という。)8を備える。アンテナ8は、例えば、その外郭が略正方形、若しくは略矩形の平面角形渦巻き形状をなし、誘電体窓4の上面に配置される。容器1の外部には整合器9及び高周波電源11が設置され、アンテナ8の一端は、整合器9を介して高周波電源11に接続される。アンテナ8の他端は、容器1の内壁に接続され、容器1を介して接地される。
プラズマ処理装置10は、更に、誘電体窓4の下面を覆う「カバー」としての誘電体カバー12を備える。誘電体カバー12は、正方形形状、若しくは矩形形状の板状部材からなり、該板状部材は誘電体材料によって形成される。
誘電体カバー12の形状は正確に正方形、若しくは矩形であることが望ましいが、プラズマ処理装置10等の構造上の制約、例えば構造物との干渉を解消するために構造物を回避する場合には部分的に外形に凹凸が生じるため、本実施の形態では略正方形、若しくは略矩形となる。しかしながら、略正方形、若しくは略矩形であっても、本発明が奏する効果には影響がないため、これらの形状を含めて本実施の形態では正方形、若しくは矩形と称する。後述の分割素片13や分割誘電部材5についても同様である。なお、誘電体カバー12の材料としては、例えば、Al等のセラミックスや石英が用いられる。
本実施の形態において、誘電体カバー12は、誘電体窓4とは異なり、9つの分割素片13に分割される。具体的には、図3に示すように、誘電体カバー12は、3×3に配列された9つの分割素片13が組み合わされて構成される。
本発明の効果を最低限奏するためには分割素片13の大きさに制約は無いが、分割素片13が大きいほど熱膨張による隣接する各分割素片13の境目の口開き量が大きくなり、上述した問題点が顕著になるため、本発明が奏する効果、例えば、他の構成部材の損傷防止効果やパーティクル飛散防止効果も顕著になり、分割素片13の一辺の長さが少なくとも500mm以上、好ましくは800mm乃至は900mm以上になるとより大きな効果を奏することができる。本実施の形態において分割素片13の形状は正方形、若しくは矩形であるが、分割素片13の形状はこれらに限定されることなく、必要に応じて、三角形や五角形等であってもよく、また、異なる形状の組合せからなってもよい。
図1に戻り、プラズマ処理装置10は、容器1の外部に配されたガス供給装置14を備える。ガス供給装置14は、一部のサスペンダ7の内部に形成された中空部としてのガス導入路15を介して支持梁6のガス流路16に接続される。ガス供給装置14は、プラズマ処理に用いられる処理ガスを供給し、基板Sにプラズマ処理が施される際、処理ガスが、ガス導入路15、支持梁6内のガス流路16及び後述するカバープレート17に形成されたガス導入穴18を介して処理室3内に供給される。処理ガスとしては、例えば、CFガス、Cガス、SFガスが用いられる。
さらに、プラズマ処理装置10は、処理室3内において誘電体窓4と対向し、処理室3の底面に電気的絶縁体21を介して配置されるステージとしてのサセプタ19と、サセプタ19を収容する筐体状の絶縁体枠20と、容器1の側壁において処理室3内に面するように配置されて基板Sの処理室3内への搬入及び処理室3からの搬出の際に通過する開口の密閉及び開放に用いられるゲートバルブ40とを備える。
サセプタ19の上面は絶縁体枠20に覆われず、基板Sを載置し、吸着固定するための載置面22を構成する静電チャック(図示せず)が形成される。該載置面22は、誘電体カバー12に対向する。サセプタ19の材料としては、例えば、アルミニウム等の導電体が用いられ、静電チャックは静電気力を発生する静電電極となる導電体層と該導電体層を挟むように上部及び下部にそれぞれ形成された誘電体層とから構成される。
また、容器1の外部には、整合器23と、高周波電源24とが設置される。サセプタ19は、処理室3の底面の穴(図示しない)に挿通された通電棒23aを介して整合器23に接続され、さらに、該整合器23を介して高周波電源24に接続される。基板Sに対してプラズマ処理が施される際、サセプタ19には高周波電源24からバイアス用の高周波電力(例えば、380kHzの高周波電力)が供給され、プラズマ中のイオンが載置面22に載置された基板Sに効果的に引き込まれる。
さらに、容器1の外部には排気装置25が設置される。排気装置25は、容器1の底部に接続された排気管26を介して、処理室3に接続される。基板Sに対してプラズマ処理が施される際には、排気装置25は、処理室3内の空気を排気し、処理室3内を真空雰囲気に維持する。
プラズマ処理装置10において、基板Sに対してプラズマ処理が施される際、アンテナ8には高周波電源11から誘導電界形成用の高周波電力(例えば、13.56MHzの高周波電力)が供給される。これにより、アンテナ8が処理室3内に誘導電界を形成する。この誘導電界は処理ガスを励起してプラズマを生じさせる。
図3は、図1における誘電体カバーを白抜き矢印に沿う方向から眺めた場合を示す図である。
図3において、上述したように、各分割素片13は3×3に配列され、隣接する2つの分割素片13の境目には所定の幅、例えば、室温において2〜3mmの幅の隙間27が設けられる。さらに、誘電体カバー12の基板S側の面(以下、「下面」という。)には、各隙間27を覆うように長尺の矩形状部材である複数のカバープレート17が、各隙間27に対応するように配置されている。カバープレート17の長さは少なくとも500mm以上、好ましくは800mm以上、より好ましくは900mm以上に設定されるとともに、幅は隙間27の幅よりも大きく設定され、カバープレート17における隙間27と対向しない部分が、隙間27を挟んで隣接する2つの分割素片13の縁を下方から支持する。すなわち、各カバープレート17が各分割素片13を支持する。
また、カバープレート17の各々は2つの支持パッド28(カバープレート支持具)によって支持梁6に取り付けられ、支持梁6のガス流路16や後述するガス供給部29のガス流路30に対応する箇所に設けられた複数のガス導入穴18を有する。
図4(A)乃至図4(D)は、図3におけるカバープレートの各部の断面図であり、図4(A)は図3における線A−Aに沿う断面図であり、図4(B)は図3における線B−Bに沿う断面図であり、図4(C)は図3における線C−Cに沿う断面図であり、図4(D)は図3における線D−Dに沿う断面図である。
図4(A)に示すように、カバープレート17は隙間27を覆うとともに、隣接する2つの分割素片13の縁を下方から支持する。
図4(B)に示すように、支持パッド28はフランジ28a及び軸部28bを有する断面T字状の蓋部材であり、フランジ28aによってカバープレート17を支持し、中空部31を有する軸部28bの内側面に形成された雌ネジ部(図示しない)と、支持梁6の下面に螺合するボルト32の頭部33の側面に形成された雄ネジ部(図示しない)との螺合によってカバープレート17は支持梁6へ取り付けられる。
また、軸部28b及び各分割素片13の間には、所定の幅、例えば、室温において2〜3mmの幅の隙間35が設けられる。これにより、各分割素片13が熱膨張しても軸部28bに当接することがなく、もって、各分割素片13や軸部28bに圧縮応力が発生するのを確実に防止することができる。
図4(C)に示すように、支持梁6において内部にガス流路16が形成される箇所では、カバープレート17に該カバープレート17を貫通してガス流路16及び処理室3内を連通する複数のガス導入穴18が設けられる。また、図4(D)に示すように、支持梁6が存在しない箇所において分割誘電部材5に挟まれるようにガス供給部29が設けられ、ガス供給部29の内部にはガス流路30が形成されるとともに、ガス供給部29にはガス導入路15を有するサスペンダ7から分岐したガス供給路34が接続される。
図4(C)や図4(D)において、カバープレート17は、フランジ17a及び軸部17bを有する断面がT字状の部材からなり、フランジ17aが各分割素片13の縁を下方から支持し、軸部17bが2つの分割素片13の間を貫通して支持梁6やガス供給部29に到達する。各ガス導入穴18は軸部17bを貫通するので、ガス流路30及び処理室3内を連通させる。
また、軸部17b及び各分割素片13の間には、所定の幅、例えば、室温において2〜3mmの幅の隙間36が設けられる。これにより、各分割素片13が熱膨張しても軸部17bに当接することがなく、もって、各分割素片13や軸部17bに圧縮応力が発生するのを確実に防止することができる。
なお、カバープレート17の断面形状はT字状に限られず、例えば、図4(E)に示すように、上面が平坦な一の字状であってもよい。この場合、支持梁6は下方に突出してカバープレート17の上面と接触する。
ところで、図11に示されるような従来のプラズマ処理装置では、カバープレート17が存在しないため、支持梁やガス供給部のガス流路を誘電体カバーの分割素片で覆う必要があり、図5(A)に示すように、分割素片101にガス導入穴103が設けられ、該ガス導入穴103がガス流路104及び処理室内を連通させていた。
しかしながら、分割素片101は一辺の長さが少なくとも500mmの正方形状、若しくは矩形状の板状部材であるため、分割素片101がプラズマから熱を受けて熱膨張した場合、全周方向に亘って大きく伸びる。通常、ガス導入穴103は分割素片101の周縁部に設けられるため、ガス導入穴103の位置が大きくずれ、図5(B)に示すように、一部のガス導入穴103がガス流路104と対向せず、結果として、ガス流路104及び処理室内の連通が阻害されることがある。また、ガス導入穴103の直径はせいぜいφ0.5〜1mmであるため、セラミックス等からなる分割素片101にガス導入穴103を開削するのは非常に難しく、分割素片101において1つでもガス導入穴103の加工不良が生じると、当該分割素片101が欠陥品となる。そして、分割素片101は、上述したように、一辺の長さが少なくとも500mmであるため、分割素片101が欠陥品となると材料節約の観点からは非常に効率が悪い。なお、図11では誘電体カバー100が4分割されているが、誘電体カバー100を例えば、9分割とすることによって分割素片101の大きさを多少小さくしたとしても、ガス導入穴103の開削の困難性は変わらないため、欠陥品の発生頻度はほぼ変わらず、材料節約に関して大きな改善は期待できない。
一方、本実施の形態に係るプラズマ処理装置10では、ガス導入穴18が分割素片13ではなく、カバープレート17に設けられる。カバープレート17の幅は分割素片101の一辺の長さよりも大幅に小さく、カバープレート17が熱膨張してもカバープレート17は幅方向にさほど伸びず、図4(C)や図4(D)に示す断面において、僅かにガス導入穴18が幅方向に移動するのみである。したがって、プラズマ処理装置10では、カバープレート17の固定位置に関わらず、ガス流路16,30及び処理室3内の連通が阻害されることがない。また、ガス導入穴18の加工不良が生じて当該カバープレート17が欠陥品となっても、カバープレート17は分割素片101に比べて小さいため、材料節約の観点からはさほど問題とならない。
各カバープレート17の厚さは小さい方が好ましく、例えば、5mm以下に設定されるのがよい。これにより、カバープレート17が処理室3内へ突出しないので、カバープレート17が異常放電の起点となることがない。また、同様の理由により、カバープレート17の縁はエッジとならないように面取りが施され、若しくはラウンド状に形成される。なお、カバープレート17の全体をラウンド形状としてもよい。
また、誘電体カバー12を構成する分割素片13は、AlやZrO等のセラミックスや石英等の誘電体、所定の芯材にY等の誘電性材料を溶射したもの、若しくは、導電体、例えば、アルミニウムの表面にアルマイト処理が施されたものによって構成される。
本実施の形態に係るプラズマ処理装置10によれば、隣接する2つの分割素片13の境目に設けられた隙間27はカバープレート17によって覆われるので、各分割素片13が熱膨張して隙間27が口開いても、カバープレート17が隙間27を覆って誘電体窓4や支持梁6をプラズマに晒すことがない。これにより、誘電体窓4や支持梁6がプラズマによって損傷するのを防止することができる。また、カバープレート17により覆われているためにそもそも隙間27にデポの要因となる反応生成物が堆積し難く、さらに、例え、隙間27に反応生成物が堆積したとしても、カバープレート17が隙間27を覆って該隙間27から剥離した反応生成物の飛散を防止するので、反応生成物に起因するデポが基板Sに付着するのを防止することができる。
上述したプラズマ処理装置10では、隙間27は所定の幅を有するので、隣接する2つの分割素片13の各々が熱膨張しても互いに当接することがなく、もって、各分割素片13に圧縮応力が発生するのを確実に防止することができる。
また、各分割素片13はカバープレート17によって支持されるので、各分割素片13をボルト等によって固定する必要が無く、各分割素片13が熱膨張してもボルト等によって拘束されることがなく、各分割素片13に圧縮応力や引っ張り応力が発生するのを防止することができる。
さらに、カバープレート17を取り付ける支持パッド28がカバープレート17とは別に設けられ、支持パッド28のフランジがカバープレート17を支持するので、カバープレート17もボルト等によって固定する必要が無く、カバープレート17に圧縮応力や引っ張り応力が発生するのを防止することができる。
以上、本発明について、上記実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、カバープレート17の各々は、図6に示すように、長尺の矩形状部材からなるが、カバープレートの形態はこれに限られず、各カバープレート17が互いに接合された1つの井桁状部材で構成されてもよく、若しくは、図7に示すように、カバープレートの各々が略十字状の部材37からなり、各部材37が組み合わされて用いられてもよい。
支持パッド28は、支持梁6の下面に螺合するボルト32の頭部33と嵌合することによって支持梁6へ取り付けられたが、支持パッド28の支持梁6への取り付け方法はこれに限られず、例えば、図8に示すように、支持梁6の上方から座ぐり加工によって支持梁6内にボルト座面39を設け、ボルト38によって支持梁6及び支持パッド28を共締めすることにより、支持パッド28を支持梁6へ取り付けてもよい。
また、上述の実施の形態では、各分割素片13が正方形、若しくは矩形の場合について説明したが、各分割素片13間の隙間27の位置が支持梁6の位置に制約されないため、各分割素片13の形状は三角形や五角形、若しくはそれ以上の多角形、さらには各分割素片の設置環境に応じた不規則な形状であってもよい。
また、上述の実施の形態では、各カバープレート17が全ての隙間27を覆ったが、加工精度や構造上の理由等によって全ての隙間27を完全に覆うことが難しければ、実質的に覆わなくても支障が生じない部分、例えば、図9に示すように、容器1の側壁近傍において隙間27が一部露出していてもよい。容器1の側壁近傍における隙間27の一部は、サセプタ19の存在しない容器1の底部のみと対向するため、当該隙間27の一部から反応生成物が飛散して重力によって落下する場合は、当該反応生成物が容器1の底部に落下するのみであり、サセプタ19の載置面22に載置された基板Sに到達しない。また、上記隙間27の一部からサセプタ19の載置面22までは離れているため、飛散した反応生成物がガスによって運ばれる場合であっても、基板Sへ到達しにくい。さらに、各カバープレート17が少なくとも全ての隙間27の90%以上を覆えば、隙間27からの反応生成物の飛散量を低減することができ、反応生成物に起因するデポが基板に殆ど付着しない。したがって、各カバープレート17は少なくとも全ての隙間27の90%以上を覆うのが好ましい。
上述した特許文献2では、梁に固定された誘電体カバー固定具102a,102bが各分割素片101の境目に配置されることによって各分割素片101を支持するため、各分割素片101の境目の位置は梁の配置箇所と一致させる必要があるが、上述したプラズマ処理装置10では、支持梁6に取り付けられた支持パッド28は分割素片13を直接支持することなく、カバープレート17を介して分割素片13を支持しており、カバープレート17のみが各分割素片13の間の境目に配置されていればよいので、必ずしも各分割素片13の境目の位置が支持梁6の配置箇所と一致する必要はない。
上述した実施の形態においては、8分割された誘電体窓4と9分割された誘電体カバー12で構成される場合、誘電体窓4と誘電体カバー12の分割数が異なる場合について説明したが、例えば、誘電体窓4と誘電体カバー12の分割数をともに同じ9にしてもよく、この場合、分割素片13の間の境目と支持梁6とで配置箇所を一致させてもよい。その一方で、例えば、図10に示すように、各分割素片13の境目に設けられた隙間27の位置が支持梁6の配置箇所(図中破線で示す。)からオフセットしていてもよい。この場合、各カバープレート40に誘電体カバー12の下面に沿うように本体41から突出する突出部42を設け、該突出部42を支持パッド28で支持することにより、カバープレート40の本体41を支持パッド28の位置(支持梁6の配置箇所)からオフセットすることができ、もって、カバープレート40の本体41で各隙間27を覆い、且つ各分割素片13を支持することができる。
また、誘電体カバー12の分割数及び分割素片13の形状は上述した実施の形態における分割数や形状に限定されるものではなく、必要に応じて分割数及び分割素片の形状を変更することができるのは言うまでもない。
S 基板
4 誘電体窓
6 支持梁
8 アンテナ
10 プラズマ処理装置
12 誘電体カバー
13 分割素片
17,40 カバープレート
18 ガス導入穴
27 隙間
28 支持パッド

Claims (3)

  1. プラズマが発生する処理空間をなす処理室と、該処理室内において前記プラズマに晒される基板と対向して配置される誘電体カバーとを備えるプラズマ処理装置において、
    前記誘電体カバーは複数の分割素片が組み合わされて構成され、
    隣接する2つの前記分割素片の境目はカバープレートによって覆われ、
    各前記分割素片は前記カバープレートによって下方から支持され、
    前記隣接する2つの分割素片の境目には第1の所定の幅の隙間が設けられ、
    前記カバープレートは、隣接する2つの前記分割素片の全境目の90%以上を覆い、
    各前記分割素片は正方形、若しくは矩形の誘電体部材からなり、該誘電体部材の一辺は少なくとも500mm以上であり、
    前記カバープレートを支持するカバープレート支持具が、前記カバープレートとは別に設けられ、
    処理ガスを供給するガス供給部がさらに設けられ、
    前記カバープレートは、前記ガス供給部及び前記処理室の間に介在し、且つ前記ガス供給部及び前記処理室を連通するガス導入穴を有し、
    前記カバープレート支持具は、前記カバープレートを下方から支持するフランジ及び軸部を有する断面T字状の部材からなり、
    前記カバープレート支持具の軸部及び各前記分割素片の間には第2の所定の幅の隙間が設けられ、
    前記カバープレートは、前記処理ガス供給部に対向する部分において、前記誘電体カバーを下方から支持するフランジ及び軸部を有する断面がT字状の部材からなり、
    前記カバープレートの軸部及び各前記分割素片の間には第3の所定の幅の隙間が設けられ、
    前記第1の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記隣接する2つの分割素片が当接することがない程度の大きさであり、
    前記第2の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記カバープレート支持具の軸部及び各前記分割素片が当接することがない程度の大きさであり、
    前記第3の所定の幅は、各前記分割素片が熱膨張しても前記カバープレートの軸部及び各前記分割素片が当接することがない程度の大きさであることを特徴とするプラズマ処理装置。
  2. 前記誘電体部材の一辺は少なくとも900mm以上であることを特徴とする請求項1記
    載のプラズマ処理装置。
  3. 前記誘電体カバーに関して前記基板と反対側に配されて高周波電力が印加される高周波
    アンテナと、
    前記誘電体カバー及び前記高周波アンテナの間に配される誘電体窓と、
    前記誘電体窓を支持する梁とをさらに備え、
    前記カバープレートは前記梁に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の
    プラズマ処理装置。
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