JP2013168675A - 処理容器およびプラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 プラズマ処理装置において処理容器の内面を保護する保護部材の交換作業が容易で、部品コストも抑制できる処理容器を提供する。
【解決手段】 プラズマ処理装置の処理容器101において、窓用開口163を有する側壁101cの内面は、第1の保護部材としての板状の主ライナー215に覆われてプラズマや腐食性ガスから保護されている。主ライナー215は、窓用開口163に対応した大きさの開口を有している。窓用開口163の周囲においては、主ライナー215上に重ねて第2の保護部材としての小片の補助ライナー305が二重に配備され、二重貼り合わせ構造になっている。補助ライナー305は、窓用開口163に対応した大きさの開口を有して全体として額縁形(枠状)をなしており、側壁101cに着脱可能に設けられている。
【選択図】図6

Description

本発明は、例えばフラットパネルディスプレイ(FPD)用のガラス基板などの被処理体に対してプラズマ処理を行う際に被処理体を収容する処理容器および該処理容器を備えたプラズマ処理装置に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)に代表されるFPDの製造過程においては、真空下でガラス基板等の被処理体に、エッチング、成膜等の各種処理が施される。プラズマを利用して前記処理を行うために、真空引き可能な処理容器を備えたプラズマ処理装置が使用される。
プラズマ処理装置では、プラズマや腐食性ガスの作用によって金属製の処理容器の内面が損傷を受ける可能性がある。このため、例えばアルミニウム製の処理容器本体には陽極酸化処理(アルマイト処理)が施されている。また、処理容器本体の損傷を防ぐために、処理容器の内壁面に保護部材(ライナー)を配備することも行われている。ライナーに関する技術として、例えば特許文献1では、処理容器に形成された搬送口の内壁面に沿って着脱可能なライナー部材を配備することが提案されている。
しかし、プラズマ処理装置の処理容器内部においては、プラズマの分布やガス流が偏在する。このため、処理容器内部でプラズマやガス流れが集中しやすい場所では、プラズマや腐食性ガスの作用によってライナーが局所的に激しく消耗する。このような局所的な消耗が起きると、ライナーの寿命が短くなり、短期間でライナーを交換しなければならなかった。
国際公開WO2002/29877号
近時、FPD用の基板に対する大型化の要求が強まっており、一辺が2mを超える巨大な基板を処理対象とする場合もある。基板の大型化に対応して処理容器も大型化している。このように大型の処理容器を保護するため、ライナーも大型化している。大型のライナーに局所的な消耗が進行した場合、短いサイクルでライナー全体を交換する必要があった。このため、作業時間とライナーに係る部品コストが増大し、大きな負担になっていた。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、プラズマ処理装置において処理容器の内面を保護する保護部材の交換作業が容易で、部品コストも抑制できる処理容器を提供することを目的とする。
本発明に係る処理容器は、被処理体を内部に収容してプラズマ処理を行う処理容器であって、
開口部分を有する容器本体と、
前記容器本体をプラズマおよび/または腐食性ガスによる損傷から保護する保護部材とを備え、
前記保護部材は、前記容器本体の内壁面に沿って配設された第1の保護部材と、
前記開口部分の周囲において、前記第1の保護部材と分離して着脱可能に配設された第2の保護部材とを有し、前記第2の保護部材は、前記容器本体の開口部分の形状に対応した枠状又は該開口部分のコーナー部の形状に対応したU字状をなしている。
本発明の処理容器において、前記第1の保護部材は、前記容器本体の開口部分に対応した大きさの開口を有して前記容器本体に直接装着されており、
前記第2の保護部材は、前記第1の保護部材より小片に形成され、前記第1の保護部材に重ねて装着されていてもよい。
また、本発明の処理容器において、前記第2の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けてもよい。この場合、前記セラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であってもよい。また、前記第1の保護部材の表面に、アルマイト処理による酸化被膜またはAl溶射膜を設けてもよい。
また、本発明の処理容器において、前記保護部材は、前記開口部分の内壁面に沿って配設された筒状の第3の保護部材をさらに有しており、
前記第3の保護部材の端部と前記第1の保護部材の端部とは、接合部分の断面における両部材の境界線が非直線的に形成された嵌合構造をなして接合されており、該接合部分を前記第2の保護部材が覆っていてもよい。
また、本発明の処理容器において、前記保護部材は、前記開口部分の内壁面に沿って配設された筒状の第3の保護部材をさらに有しており、
前記第3の保護部材は、その一端部において外側に突出したフランジ部を有し、
前記第1の保護部材は、その開口端において段部を有し、
前記第3の保護部材と前記第1の保護部材とは、前記フランジ部と前記段部とが嵌まり合うことにより接合されており、該接合部分を前記第2の保護部材が覆っていてもよい。この場合、前記第3の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けてもよく、このセラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であってもよい。
また、本発明の処理容器において、前記第2の保護部材は、断面L字形をなしていてもよい。
また、本発明の処理容器において、前記保護部材は、前記第2の保護部材の上に重ねて配設された第4の保護部材をさらに有していてもよい。この場合、前記第4の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けてもよく、このセラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であってもよい。
また、本発明の処理容器において、前記容器本体の開口部分が基板を搬入・搬出する幅広な搬入出口であり、前記第2の保護部材が該搬入出口の両端部の周囲に配設されていてもよい。
また、本発明の処理容器において、前記容器本体の開口部分が窓用の開口であってもよい。
また、本発明の処理容器は、前記容器本体に配設された排気口と、
前記排気口へのガス流れを調整する整流板と、
前記整流板の端部に連設され、前記排気口に向かうガス流による損傷から前記整流板を保護する整流板保護部材と、
を、さらに備えていてもよい。この場合、前記整流板保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けてもよく、このセラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であってもよい。
本発明のプラズマ処理装置は、上記処理容器を備えたプラズマ処理装置である。
本発明の処理容器によれば、容器本体をプラズマおよび/または腐食性ガスによる損傷から保護する保護部材として、容器本体の内壁面に沿って配設された第1の保護部材と、プラズマやガス流が集中しやすい容器本体の開口部分の周囲において、第1の保護部材と分離して着脱可能に配設された第2の保護部材と、を備えた構成とした。これにより、第2の保護部材に局所的な消耗が生じた場合でも、第2の保護部材のみを交換すればよい。従って、従来大きな負担になっていた保護部材の交換作業を短時間で容易に行うことができるとともに、交換頻度と交換部品の費用を抑制できる、という効果を奏する。
真空処理システムを概略的に示す斜視図である。 図1の真空処理システムの平面図である。 プラズマエッチング装置の概略構成を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の内部の構造を説明する図面である。 プラズマエッチング装置の内部の構造を説明する水平断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るプラズマエッチング装置の内部の構造を説明する図面である。 補助ライナーの配置例を示す要部断面図である。 補助ライナーの配置例を示す要部拡大図である。 補助ライナーの配置例を示す要部断面図である。 補助ライナーの配置例を示す要部断面図である。 補助ライナーの配置例を示す要部断面図である。
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここでは、本発明の第1の実施の形態の処理容器を備えた基板処理システムを例に挙げて説明を行なう。図1は、基板処理システムとしての真空処理システム100を概略的に示す斜視図であり、図2は、各チャンバーの蓋体(図示省略)を開放した状態で内部を概略的に示す平面図である。この真空処理システム100は、複数のプロセスチャンバー1a,1b,1cを有するマルチチャンバー構造をなしている。真空処理システム100は、例えばFPD用のガラス基板(以下、単に「基板」と記す)Sに対してプラズマ処理を行なうための処理システムとして構成されている。なお、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。
真空処理システム100では、複数の大型チャンバーが十字形に連結されている。中央部には搬送室3が配置され、その三方の側面に隣接して基板Sに対してプラズマ処理を行なう3つのプロセスチャンバー1a,1b,1cが配設されている。また、搬送室3の残りの一方の側面に隣接してロードロック室5が配設されている。これら3つのプロセスチャンバー1a,1b,1c、搬送室3およびロードロック室5は、いずれも真空チャンバーとして構成されている。搬送室3と各プロセスチャンバー1a,1b,1cとの間には図示しない開口部が設けられており、該開口部には、開閉機能を有するゲートバルブ7aがそれぞれ配設されている。また、搬送室3とロードロック室5との間には、ゲートバルブ7bが配設されている。ゲートバルブ7a,7bは、閉状態で各チャンバーの間を気密にシールするとともに、開状態でチャンバー間を連通させて基板Sの移送を可能にしている。また、ロードロック室5と外部の大気雰囲気との間にもゲートバルブ7cが配備されており、閉状態でロードロック室5の気密性を維持するとともに開状態でロードロック室5内と外部との間で基板Sの移送を可能にしている。
ロードロック室5の外側には、2つのカセットインデクサ9a,9bが設けられている。各カセットインデクサ9a,9bの上には、それぞれ基板Sを収容するカセット11a,11bが載置されている。各カセット11a,11b内には、基板Sが、上下に間隔を空けて多段に配置されている。また、各カセット11a,11bは、昇降機構部13a,13bによりそれぞれ昇降自在に構成されている。本実施の形態では、例えばカセット11aには未処理基板を収容し、他方のカセット11bには処理済み基板を収容できるように構成されている。
これら2つのカセット11a,11bの間には、基板Sを搬送するための搬送装置15が設けられている。この搬送装置15は、上下2段に設けられた基板保持具としてのフォーク17aおよびフォーク17bと、これらフォーク17a,フォーク17bを進出、退避および旋回可能に支持する駆動部19と、この駆動部19を支持する支持台21とを備えている。
プロセスチャンバー1a,1b,1cは、その内部空間を所定の減圧雰囲気(真空状態)に維持できるように構成されている。各プロセスチャンバー1a,1b,1c内には、図2に示したように、基板Sを載置する載置台としてのサセプタ105が配備されている。そして、各プロセスチャンバー1a,1b,1cでは、基板Sをサセプタ105に載置した状態で、基板Sに対して、例えば真空条件でのエッチング処理、アッシング処理、成膜処理などのプラズマ処理が行なわれる。
本実施形態では、3つのプロセスチャンバー1a,1b,1cで同種の処理を行ってもよいし、プロセスチャンバー毎に異なる種類の処理を行ってもよい。なお、プロセスチャンバーの数は3つに限らず、4つ以上であってもよい。
搬送室3は、真空処理室であるプロセスチャンバー1a〜1cと同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。搬送室3の中には、図2に示したように、搬送装置23が配設されている。搬送装置23は、回転可能に構成されており、進出・退避して基板Sを搬送する櫛歯状のフォーク25を備えている。そして、搬送装置23により、3つのプロセスチャンバー1a,1b,1cおよびロードロック室5の間で基板Sの搬送が行われる。
搬送装置23は、上下2段に設けられた搬送機構を備え、それぞれ独立して基板Sの出し入れを行うことが出来るように構成されている。
ロードロック室5は、プロセスチャンバー1a〜1cおよび搬送室3と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロック室5は、大気雰囲気にあるカセット11a,11bと減圧雰囲気の搬送室3との間で基板Sの授受を行うためのものである。ロードロック室5は、大気雰囲気と減圧雰囲気とを繰り返す関係上、極力その内容積が小さく構成されている。ロードロック室5には基板収容部27が上下2段に設けられており(図2では上段のみ図示)、各基板収容部27には、基板Sを支持する複数のバッファ28が間隔をあけて設けられている。これらバッファ28どうしの隙間は、櫛歯状のフォーク(例えばフォーク25)の逃げ溝となっている。また、ロードロック室5内には、矩形状の基板Sの互いに対向する角部付近に当接して位置合わせを行なうポジショナー29が設けられている。
図2に示したように、真空処理システム100の各構成部は、制御部30に接続されて制御される構成となっている(図1では図示を省略)。制御部30は、CPUを備えたコントローラ31と、ユーザーインターフェース32と記憶部33とを備えている。コントローラ31は、真空処理システム100において、例えばプロセスチャンバー1a〜1c、搬送装置15、搬送装置23などの各構成部を統括して制御する。ユーザーインターフェース32は、工程管理者が真空処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、真空処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等から構成される。記憶部33には、真空処理システム100で実行される各種処理をコントローラ31の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されたレシピが保存されている。ユーザーインターフェース32および記憶部33は、コントローラ31に接続されている。
そして、必要に応じて、ユーザーインターフェース32からの指示等にて任意のレシピを記憶部33から呼び出してコントローラ31に実行させることで、コントローラ31の制御下で、真空処理システム100での所望の処理が行われる。
前記制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体、例えばCD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリなどに格納された状態のものを利用できる。あるいは、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
次に、以上のように構成された真空処理システム100の動作について説明する。
まず、搬送装置15の2枚のフォーク17a,17bを進退駆動させて、未処理基板を収容したカセット11aから基板Sを受け取り、ロードロック室5の上下2段の基板収容部27のバッファ28にそれぞれ載置する。
フォーク17a,17bを退避させた後、ロードロック室5の大気側のゲートバルブ7cを閉じる。その後、ロードロック室5内を排気して、内部を所定の真空度まで減圧する。次に、搬送室3とロードロック室5との間のゲートバルブ7bを開いて、搬送装置23のフォーク25により、ロードロック室5の基板収容部27に収容された基板Sを受け取る。
次に、搬送装置23のフォーク25により、プロセスチャンバー1a,1b,1cのいずれかに基板Sを搬入し、サセプタ105に受け渡す。そして、プロセスチャンバー1a,1b,1c内で基板Sに対してエッチング等の所定の処理が施される。次に、処理済みの基板Sは、サセプタ105から搬送装置23のフォーク25に受け渡され、プロセスチャンバー1a,1b,1cから搬出される。
そして、基板Sは、前記とは逆の経路でロードロック室5を経て、搬送装置15によりカセット11bに収容される。なお、処理済みの基板Sを元のカセット11aに戻してもよい。
次に、図3から図5を参照しながら、本実施の形態に係る処理容器、およびこの処理容器を備えた本発明の一実施の形態に係るプラズマエッチング装置について説明を行う。図3は、プロセスチャンバー1a,1bまたは1cとして適用可能なプラズマエッチング装置200の概略構成を示す断面図である。図4は、プラズマエッチング装置200の処理容器101の内部の構成を示す図面である。図5は、処理容器101の内部の構成を示す水平断面図である。
図3に示したように、プラズマエッチング装置200は、矩形をした基板Sに対してエッチングを行なう容量結合型の平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。
このプラズマエッチング装置200は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状に成形された処理容器101を有している。処理容器101の本体(容器本体)は、底壁101a、4方の側壁101b,101c,101d,101eおよび蓋体101fにより構成されている。壁101bの内面には、板状をした保護部材としてのライナー201a〜201dが、壁101cの内面には同ライナー203a〜203cが、壁101dの内面には同ライナー205a〜205cが、壁101eの内面には同ライナー207a〜207cが、それぞれ配設されている(図5参照)。
蓋体101fは、図示しない開閉機構により開閉可能に構成されている。蓋体101fを閉じた状態で蓋体101fと側壁101b,101c,101d,101eとの接合部分は、シール部材102によってシールされ、処理容器101内の気密性が保たれている。
処理容器101内の底部には、枠形状の絶縁部材103が配置されている。絶縁部材103の上には、基板Sを載置可能な載置台であるサセプタ105が設けられている。
下部電極でもあるサセプタ105は、基材107を備えている。基材107は、例えばアルミニウムやステンレス鋼(SUS)などの導電性材料で形成されている。基材107は、絶縁部材103の上に配置され、両部材の接合部分にはOリングなどのシール部材113が配備されて気密性が維持されている。絶縁部材103と処理容器101の底壁101aとの間も、シール部材114により気密性が維持されている。基材107の側部外周は、絶縁部材117により囲まれている。これによって、サセプタ105の側面の絶縁性が確保され、プラズマ処理の際の異常放電が防止されている。
サセプタ105の上方には、このサセプタ105と平行に、かつ対向して上部電極として機能するシャワーヘッド131が設けられている。シャワーヘッド131は処理容器101の上部の蓋体101fに支持されている。シャワーヘッド131は中空状をなし、その内部には、ガス拡散空間133が設けられている。また、シャワーヘッド131の下面(サセプタ105との対向面)には、処理ガスを吐出する複数のガス吐出孔135が形成されている。このシャワーヘッド131は接地されており、サセプタ105とともに一対の平行平板電極を構成している。
シャワーヘッド131の上部中央付近には、ガス導入口137が設けられている。このガス導入口137には、処理ガス供給管139が接続されている。この処理ガス供給管139には、2つのバルブ141,141およびマスフローコントローラ143を介して、エッチングのための処理ガスを供給するガス供給源145が接続されている。処理ガスとしては、例えばハロゲン系ガスやOガスのほか、Arガス等の希ガスなどを用いることができる。
前記処理容器101の底部の4隅には、排気口151が4箇所に形成されている。排気口151には排気管153が接続されており、この排気管153は排気装置155に接続されている。排気装置155は、例えばターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これにより処理容器101内を所定の減圧雰囲気まで真空引きすることが可能に構成されている。
また、処理容器101の側壁101bには、該側壁101bに貫通形成された開口部としての基板搬送用開口161が設けられている。この基板搬送用開口161は、ゲートバルブ7aによって開閉される(図1および図2参照)。そして、このゲートバルブ7aを開にした状態で基板Sが隣接する搬送室3との間で搬送されるようになっている(図1および図2参照)。また、処理容器101の側壁101c〜101eには、これらの側壁101c〜101eを貫通形成された開口部としての窓用開口163が設けられている。各窓用開口163には、透明な石英板165が装着されている。
サセプタ105の基材107には、給電線171が接続されている。この給電線171にはマッチングボックス(M.B.)173を介して高周波電源175が接続されている。これにより、高周波電源175から例えば13.56MHzの高周波電力が、下部電極としてのサセプタ105に供給される。なお、給電線171は、底壁101aに形成された開口177を介して処理容器内に導入されている。
また、サセプタ105の側方には、処理容器101内のガス流れをコントロールする整流板としてのバッフル板181が設けられている。バッフル板181は、平面四角形のサセプタ105の4辺に対応して4枚設けられている。各バッフル板181は、処理容器101の底壁101aから立設された絶縁壁183および絶縁壁185によって略水平に支持されている。シャワーヘッド131のガス吐出孔135からサセプタ105上の基板Sへ向けて供給された処理ガスは、基板Sの表面で四方に拡散し、バッフル板181の整流作用により、処理容器101の底部4箇所に設けられた排気口151へ向けてガス流を形成しつつ排気される構成となっている。
次に、以上のように構成されるプラズマエッチング装置200における処理動作について説明する。まず、ゲートバルブ7aが開放された状態で、被処理体である基板Sが、搬送装置23のフォーク25によって搬送室3から基板搬送用開口161を介して処理容器101内へと搬入される。基板Sは、搬送装置23のフォーク25に支持された状態で移送される。そして、フォーク25からサセプタ105へ基板Sの受渡しが行われる。その後、ゲートバルブ7aが閉じられ、排気装置155によって、処理容器101内が所定の真空度まで真空引きされる。
次に、バルブ141を開放して、処理ガスをガス供給源145から処理ガス供給管139、ガス導入口137を介してシャワーヘッド131のガス拡散空間133へ導入する。この際、マスフローコントローラ143によって処理ガスの流量制御が行われる。ガス拡散空間133に導入された処理ガスは、さらに複数の吐出孔135を介してサセプタ105上に載置された基板Sに対して均一に吐出され、処理容器101内の圧力が所定の値に維持される。
この状態で高周波電源175から高周波電力がマッチングボックス173を介してサセプタ105に印加される。これにより、下部電極としてのサセプタ105と上部電極としてのシャワーヘッド131との間に高周波電界が生じ、処理ガスが解離してプラズマ化する。このプラズマにより、基板Sにエッチング処理が施される。
エッチング処理を施した後、高周波電源175からの高周波電力の印加を停止し、ガス導入を停止した後、処理容器101内を所定の圧力まで減圧する。次に、ゲートバルブ7aを開放し、サセプタ105から搬送装置23のフォーク25に基板Sを受け渡し、処理容器101の基板搬送用開口161から搬送室3へ搬出する。以上の操作により、基板Sに対するエッチング処理が終了する。
図4は、第1の実施の形態に係る処理容器101の内部を示す図面である。ここでは、処理容器101の基板搬送用開口161を有する側壁101bと、窓用開口163を有する側壁101cとの内面を図示している。
基板搬送用開口161を有する側壁101bの内面は、保護部材としてのライナー201a,201b,201c,201dにより覆われている。第2の保護部材としてのライナー201aおよび201cは、横長(幅広)に形成された基板搬送用開口161の両端のコーナー部161aの周囲の内壁面をそれぞれ保護している。第1の保護部材としてのライナー201b,201dは、横長に形成された基板搬送用開口161の中央付近の直線部分161bの周囲の内壁面を保護している。
プラズマエッチング装置200の内部に発生するプラズマは、横長に形成された基板搬送用開口161の直線部分161bよりも、両端付近のコーナー部161aに集中しやすい。このため、側壁101bを一枚ものの大型のライナーで保護した場合、基板搬送用開口161のコーナー部161aの周囲で消耗が激しく、直線部分161bの周囲では消耗の進行が遅くなる。そして、コーナー部161aの周囲の消耗に合わせてライナーの交換を行うとすれば、交換頻度が多くなり、交換部品の費用も増大してしまう。
そこで、本実施の形態では、側板101bに配備される保護部材を、基板搬送用開口161のコーナー部161aの周囲を覆うライナー201a,ライナー201cと、基板搬送用開口161の直線部分161bを覆うライナー201b,ライナー201dと、に4分割した。基板搬送用開口161のコーナー部161aを覆うライナー201a,201cと、直線部分161bを覆うライナー201b,201dとを比較すると、ライナー201a,201cの方が損傷を受けやすく、交換サイクルが短い。このような分割構造によって、消耗の激しいライナー201a,201cのみを、これらに比べて消耗の進行が遅いライナー201b,201dとは別に交換することができる。
ライナー201a〜201dの厚みは、例えば3〜5mmの範囲内とすることができる。また、プラズマによる損傷を受けやすいライナー201a,201cの厚みを、ライナー201b,201dの厚みよりも大きくしてもよい。
ライナー201a〜201dとしては、例えば処理容器101を構成する側壁101b〜101eと同様の材質例えばアルミニウムなどの基材表面にアルマイト処理(陽極酸化処理)を施したものを用いることができる。また、ライナー201a〜201dとして、アルミニウムなどの基材表面に、プラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を形成したものを使用することも好ましい。プラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜としては、例えばY溶射膜、YF溶射膜、Al溶射膜、BC溶射膜等を用いることができる。これらの中でも、優れたプラズマエロージョン耐性を持つY溶射膜またはYF溶射膜がより好ましい。
本実施の形態では、ライナー毎にその表面を被覆する保護膜(例えば、アルマイト処理による酸化被膜や、セラミックス溶射膜等)の種類を変えることもできる。例えば、プラズマが集中しやすいコーナー部161aの周囲のライナー201a,201cについては、Y溶射膜やYF溶射膜などの高いプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜で表面を被覆し、他の部分例えばライナー201b,201dについては、Al溶射膜やアルマイト処理による酸化被膜で表面を被覆しておくことができる。このように、プラズマが集中しやすいコーナー部161aの周囲に、高いプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜で被覆されたライナー201a,201cを用いることにより、小分割されたライナー201a,201cの交換回数を低減できる。なお、酸化還元反応の激しいBClガス雰囲気に曝される部位には、表面に酸化被膜を持たない金属や合金を用いることもできる。
上記セラミックス溶射膜は、その膜厚が厚くなりすぎると剥がれやすくなることから、例えば50μm〜200μmの範囲内の膜厚とすることができる。
ライナー201a〜201dは、側壁101bに着脱自在に装着されている。ライナー201a〜201dを側壁101bに装着する方法は特に限定されるものではない。例えば螺子等の固定手段で側壁101bにライナー201a〜201dを接合すればよい。なお、電気的に接地された側壁101bとライナー201a〜201dとの導通がとれておらず、ライナー201a〜201dが電気的にフローティング状態になると、これらに電荷が蓄積して異常放電の原因となり、さらに処理容器101内で生成するプラズマの安定性が損なわれる場合がある。従って、側壁101bとライナー201a〜201dとの間の導通を確保しておくことが好ましい。側壁101bとライナー201a〜201dとの導通を確保するために、側壁101bと各ライナー201a〜201dとの間に、例えばシールドスパイラルなどの導通部材をそれぞれ配備してもよい。
処理容器101において、窓用開口163を有する側壁101cの内面は、保護部材としてのライナー203a,203b,203cに覆われている。第2の保護部材としてのライナー203bは、側壁101cの窓用開口163の周囲の内壁面を保護している。第1の保護部材としてのライナー203a,203bは、窓用開口163が形成されていない部分の側壁101cの内壁面を保護している。
プラズマエッチング装置200の内部に発生するプラズマは、角を持つ窓用開口163の縁部163aに集中しやすい。このため、側壁101cを一枚ものの大型のライナーで保護した場合、窓用開口163の周囲で消耗が激しく、窓用開口163から離れた部位では消耗の進行が遅くなる。そして、窓用開口163の周囲の消耗に合わせてライナーの交換を行うとすれば、交換頻度が多くなり、交換部品の費用も増大してしまう。
そこで、本実施の形態では、側壁101cに配備される保護部材を、窓用開口163の周囲を覆うライナー203bと、窓用開口163から離れた部位を覆うライナー203a,203cと、に3分割した。窓用開口163の周囲を覆うライナー203bと、その両側のライナー203a,203cとを比較すると、ライナー203bの方が損傷を受けやすく、交換サイクルが短い。このような分割構造によって、消耗の激しいライナー203bのみを、これらに比べて消耗の進行が遅いライナー203a,203cとは別に交換することができる。
ライナー203a〜203cとしては、上記ライナー201a〜201dと同様の材質、構成のものを用いることができる。例えば、プラズマが集中しやすい窓用開口163の周囲に配備されるライナー203bについては、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。一方、ライナー203bに比べてプラズマの集中が生じにくい位置に配備されたライナー203a,203cについては、Al溶射膜やアルマイト処理による酸化被膜で表面を被覆しておくことができる。もちろん、ライナー203a〜203cに、保護膜として共にアルマイト処理による酸化被膜を形成しておいてもよいし、同じ材質のセラミックス溶射膜を形成しておいてもよい。また、ライナー203a,203b,203cと側壁101cとの間は、例えばシールドスパイラルなどの導通部材によって導通を図っておくことが好ましい。
なお、説明は省略するが、側壁101cと同様に、処理容器101の側壁101dには、保護部材としてのライナー205a,205b,205cが配備されており、側壁101eには、ライナー207a,207b,207cが配備されている。そして、窓用開口163の周囲のライナー205bおよびライナー207bは他の部分とは分割可能に形成されている。
また、図5に示したように、本実施の形態の処理容器101では、サセプタ105の周囲に配備されたバッフル板181の両端に、整流板保護部材としての継板209が設けられている。シャワーヘッド131から基板Sへ向けて供給されたガス流は、基板Sに衝突して一旦基板Sと平行な方向へ流れの向きを変えた後、さらにバッフル板181の端部付近において下方の排気口151へ向けて流れの向きを変える。このため、バッフル板181の両端部には、ガス流が集中する結果となる。従って、バッフル板181の両端部は、他の部位に比べて腐食性ガス等による消耗が激しい。
そこで、本実施の形態では、バッフル板181の両端部に継板209を設けた。継板209は平板状をなし、バッフル板181の両端に例えば螺子等の固定手段で連結されている。このように、バッフル板181の両端に継板209を延設したことによって、バッフル板181本体の劣化スピードを遅くすることができる。また、継板209が劣化した場合には、継板209のみを交換すればよいため、バッフル板181の全体を交換する場合に比べて交換作業が容易で部品費用も大幅に抑制できる。
バッフル板181および継板209としては、上記ライナー201a〜201dと同様の材質のものを用いることができる。例えば、ガス流が集中しやすい部位に配備される継板209については、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。一方、バッフル板181については、Al溶射膜やアルマイト処理による酸化被膜で表面を被覆しておくことができる。もちろん、バッフル板181および継板209に、保護膜として共にアルマイト処理による酸化被膜を形成しておいてもよいし、同じ材質のセラミックス溶射膜を形成しておいてもよい。
以上のように、本実施の形態では、処理容器101内でプラズマが集中しやすい開口部分の周囲において、第2の保護部材としてのライナー201a,201c、およびライナー203b,205b,207bを、他の部分とは分離して着脱可能に配設する構成を採用した。かかる構成により、小片に形成されたライナー201a,201cまたはライナー203b,205b,207bに局所的な損傷が生じた場合には、ライナー201a,201cまたはライナー203b,205b,207bのみを交換すればよい。従って、従来大きな負担になっていたライナーの交換作業を短時間で容易に行うことができるとともに、交換頻度と交換部品の費用も抑制できる。
また、本実施の形態では、処理容器101内でガス流が集中しやすいバッフル板181の両端に、着脱可能な継板209を設けた。これにより、バッフル板181を保護して部品寿命を長期化できるとともに、継板209が消耗した場合には、継板209のみを交換すればよい。小片の継板209の交換作業は容易であるため、交換作業時間が短くて済み、交換部品の費用も抑制できる。
[第2の実施の形態]
次に、図6から図11を参照しながら、本発明の第2の実施の形態について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態にかかる処理容器の内部を示す図面である。ここでは、処理容器101の基板搬送用開口161を有する側壁101bと、窓用開口163を有する側壁101cとの内壁面を図示している。
基板搬送用開口161を有する側壁101bの内面は、第1の保護部材としての板状の主ライナー211により覆われてプラズマや腐食性ガスから保護されている。主ライナー211は、基板搬送用開口161に対応した大きさの開口を有している。
基板搬送用開口161の両端のコーナー部161aの周囲においては、主ライナー211上に重ねて、主ライナー211より小片に形成された第2の保護部材としての補助ライナー301a,301bが二重に配備されている。つまり、基板搬送用開口161のコーナー部161aの周囲は、主ライナー211と補助ライナー301aまたは301bとによる二重貼り合わせ構造になっている。
補助ライナー301a,301bは、基板搬送用開口161のコーナー部161aの形状に合わせてコの字形(U字形)をなしており、側壁101bに着脱可能に設けられている。
図7に、補助ライナー301a(301b)が配備された基板搬送用開口161のコーナー部161a付近の断面構造を示した。基板搬送用開口161の内面には、第3の保護部材として、横に幅広の筒状をした角筒ライナー213が挿入されている。角筒ライナー213は、主ライナー211に対して略垂直に配備されている。角筒ライナー213は図示しない螺子等の固定手段で側壁101bに固定されている。
角筒ライナー213の端部には、外側へ向けて突出した小フランジ部213aが形成されている。一方、主ライナー211の開口の縁(開口端部)には、切り欠き段部211aが形成されている。そして、角筒ライナー213の小フランジ部213aが主ライナー211の切り欠き段部211aと嵌め合わされるようにして、主ライナー211と角筒ライナー213とが接合されている。つまり、主ライナー211の端部と角筒ライナー213の端部とは、接合部分の断面における両部材の境界線が非直線的に形成されるような嵌合構造をなして接合されている。
補助ライナー301a(301b)は、主ライナー211と角筒ライナー213との前記接合部位を内側から覆うように主ライナー211に重ねて配備されている。補助ライナー301a(301b)は、主ライナー211を貫通する螺子401により側壁101bに固定されている。この螺子401により、補助ライナー301a(301b)と主ライナー211と側壁101bとの導通が確保される。よって、補助ライナー301a(301b)と主ライナー211とは接地電位に維持される。なお、側壁101bと主ライナー211と補助ライナー301a(301b)との間の導通を確保する目的で、これらの間に例えばシールドスパイラルなどの導通部材を配備してもよい。
前記のとおり、プラズマエッチング装置200の内部に発生するプラズマは、基板搬送用開口161の中央の直線部分161bよりも、両端のコーナー部161aに集中しやすい。このため本実施の形態では、側壁101bの基板搬送用開口161のコーナー部161aの周囲において、主ライナー211の上に重ねて補助ライナー301a(301b)を配備した。このように、プラズマによる損傷を受けやすい箇所のライナーを二重構造にしたことにより、コーナー部161aの周囲の主ライナー211の消耗を防ぎ、主ライナー211の交換回数を低減できる。また、損傷を受けやすい部分に配備された補助ライナー301a,301bは主ライナー211に比べて小片であるため、交換作業が容易であり、主ライナー211全体を交換する場合に比べて交換時間と部品費用を抑制できる。
さらに、補助ライナー301a,301bだけでなく、主ライナー211と角筒ライナー213についても、一体成型せずに別部材によって分割形成したので、加工が容易になって製造コストを抑制できるほか、各部材の交換作業も容易に行うことができる。本実施の形態では、主ライナー211と角筒ライナー213との接合部分を、主ライナー211の切り欠き段部211aと角筒ライナー213の小フランジ部213aとの嵌合構造にした。主ライナー211と角筒ライナー213とを分割形成した場合、部品加工精度や組立て精度の不足、あるいはプラズマエッチング処理中の熱膨張などが原因となって接合部分に隙間が生じると、当該接合部分で異常放電が発生しやすくなる。このため、接合部分の構造を、前記のような嵌合構造にすることにより、接合部分での異常放電を生じにくくしている。そして、さらに接合部分の上から補助ライナー301a(301b)を装着することにより、接合部分での異常放電の発生を確実に防止することができる。
主ライナー211や補助ライナー301a,301bとしては、第1の実施の形態のライナー201a〜201dと同様の材質のものを用いることができる。例えば、プラズマが集中しやすい基板搬送用開口161の内周面を覆う角筒ライナー213や、同コーナー部161aの周囲を覆う補助ライナー301a,301bとしては、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。図7のA部分の拡大図に、補助ライナー301a(301b)として、アルミニウム基材501の表面にY溶射膜503を形成した状態を例示した。一方、角筒ライナー213や補助ライナー301a,301bに比べてプラズマの影響を直接受けにくい主ライナー211については、Al溶射膜やアルマイト処理による酸化被膜で表面を被覆しておくことができる。もちろん、主ライナー211、角筒ライナー213および補助ライナー301a,301bに、保護膜として共にアルマイト処理による酸化被膜を形成しておいてもよいし、同じ材質のセラミックス溶射膜を形成しておいてもよい。
図8は、本実施の形態の変形例における基板搬送用開口161のコーナー部161a付近の拡大図である。図9は、図8のIX−IX線矢視の断面構造を示している。この変形例では、基板搬送用開口161のコーナー部161aの両端(片端のみ図示)において、開口の縁を覆うように主ライナー211に重ねてコの字形(U字形)をした第2の保護部材としての補助ライナー303を配備した。なお、主ライナー211の構成は前記と同様である。
基板搬送用開口161の内面には、主ライナー211と直交して、第3の保護部材としての横に幅広の筒状をした角筒ライナー213が配備されている。この角筒ライナー213の構成、ならびに主ライナー211と角筒ライナー213との接合構造およびその作用は前記のとおりである。
断面視L字形の補助ライナー303は、基板搬送用開口161のコーナー部161aにおいて、主ライナー211と角筒ライナー213との前記接合部位を内側から覆うように角部に重ねて配備されている。補助ライナー303は、螺子402により角筒ライナー213に固定されている。補助ライナー303の断面形状をL字形にしたことによって、基板搬送用開口161の縁に形成される角部に装着しやすくなるとともに、主ライナー211と角筒ライナー213との接合部分を被覆しやすくなるという利点がある。
本変形例では、プラズマが集中しやすい基板搬送用開口161のコーナー部161aに補助ライナー303が配備されている。このような構造によって、主ライナー211および角筒ライナー213の消耗を防ぐとともに、両部材の接合部分からの異常放電を確実に防止できる。補助ライナー303としては、第1の実施の形態のライナー201a〜201dと同様の材質のものを用いることができる。例えば、プラズマが集中しやすい部位に配備される補助ライナー303としては、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。主ライナー211および角筒ライナー213については前記と同様の構成のものを使用できる。
再び図6を参照する。窓用開口163を有する側壁101cの内面は、第1の保護部材としての板状の主ライナー215に覆われてプラズマや腐食性ガスから保護されている。主ライナー215は、窓用開口163に対応した大きさの開口を有している。
窓用開口163の周囲においては、主ライナー215上に重ねて第2の保護部材としての小片の補助ライナー305が二重に配備されている。つまり、窓用開口163の周囲は、主ライナー215と補助ライナー305による二重貼り合わせ構造になっている。
補助ライナー305は、窓用開口163に対応した大きさの開口を有して全体として額縁形(枠状)をなしおり、側壁101cに着脱可能に設けられている。
図10に、補助ライナー305が配備された窓用開口163付近の断面構造を示した。窓用開口163の内面には、第3の保護部材としての角筒状をした角筒ライナー217が挿入されている。角筒ライナー217は、主ライナー215に対して略垂直に配備されている。角筒ライナー217は図示しない螺子等の固定手段で側壁101cに固定されている。
角筒ライナー217の端部には、外側へ向けて突出した小フランジ部217aが形成されている。一方、主ライナー215の開口の縁(開口端部)には、切り欠き段部215aが形成されている。そして、角筒ライナー217の小フランジ部217aが主ライナー215の切り欠き段部215aと嵌め合わされるようにして、主ライナー215と角筒ライナー217とが接合されている。つまり、主ライナー215の端部と角筒ライナー217の端部とは、接合部分の断面における両部材の境界線が非直線的に形成されるような嵌合構造をなして接合されている。
断面視L字形をなす補助ライナー305は、主ライナー215と角筒ライナー217との前記接合部位を内側から覆うように主ライナー215に重ねて配備されている。
補助ライナー305の断面をL字形にしたことによって、窓用開口163の縁に形成される角部に装着しやすくなるとともに、主ライナー215と角筒ライナー217との接合部分を被覆しやすくなるという利点がある。補助ライナー305は、主ライナー215を貫通する螺子403により側壁101cに固定されている。この螺子403により、補助ライナー305と主ライナー215と側壁101cの導通が確保される。よって、補助ライナー305と主ライナー215とは接地電位に維持される。なお、側壁101cと主ライナー215と補助ライナー305との間の導通を確保する目的で、これらの間に例えばシールドスパイラルなどの導通部材を配備してもよい。
前記のとおり、プラズマエッチング装置200の内部に発生するプラズマは、窓用開口163の縁部163aに集中しやすい。このため、本実施の形態では、窓用開口163の周囲に、主ライナー215の上に重ねて補助ライナー305を配備した。このように、プラズマによる損傷を受けやすい箇所のライナーを二重構造にしたことにより、窓用開口163の周囲で主ライナー215の消耗を防ぎ、主ライナー215の交換回数を低減できる。また、損傷を受けやすい部分に配備された補助ライナー305は、主ライナー215に比べて小型であるため、交換作業が容易であり、主ライナー215全体を交換する場合に比べて交換時間と部品費用を抑制できる。
さらに、補助ライナー305だけでなく、主ライナー215と角筒ライナー217についても、一体成型せずに別部材によって分割形成したので、加工が容易になって製造コストを抑制できるほか、各部材の交換作業も容易に行うことができる。また、本実施の形態では、主ライナー215と角筒ライナー217との接合部分を、主ライナー215の切り欠き段部215aと角筒ライナー217の小フランジ部217aとの嵌合構造にし、その上に補助ライナー305を装着した。これにより、主ライナー215と角筒ライナー217とを分割形成したことによって生じやすくなる接合部分からの異常放電を確実に防止することができる。
主ライナー215、角筒ライナー217や補助ライナー305としては、第1の実施の形態のライナー201a〜201dと同様の材質のものを用いることができる。例えば、プラズマが集中しやすい窓用開口163の内周面を覆う角筒ライナー217や同縁部163aを覆う補助ライナー305については、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。一方、角筒ライナー217や補助ライナー305に比べてプラズマの影響を直接受けにくい主ライナー215については、Al溶射膜やアルマイト処理による酸化被膜で表面を被覆しておくことができる。もちろん、主ライナー215、角筒ライナー217および補助ライナー305に、保護膜として共にアルマイト処理による酸化被膜を形成しておいてもよいし、同じ材質のセラミックス溶射膜を形成しておいてもよい。
図11は、本実施の形態の変形例における窓用開口163付近の断面構造を示している。本変形例では、第1の保護部材としての主ライナー215の上に、第2の保護部材としての補助ライナー307が配備され、さらにその上に重ねて第4の保護部材としての補助ライナー309が配備された3重構造をなしている。なお、主ライナー215の構成は前記と同様である。
窓用開口163の内面には、主ライナー215と直交して、第3の保護部材としての角筒状をした角筒ライナー217が配備されている。角筒ライナー217は図示しない螺子により側壁101cに固定されている。主ライナー215と角筒ライナー217との接合構造およびその作用は、前記のとおりである。
窓用開口163の周囲には、開口を有する平板状の補助ライナー307が、主ライナー215に重ねて配備されている。そして、断面L字形をした額縁状(枠状)の補助ライナー309は、主ライナー215と補助ライナー307と角筒ライナー217とを覆うように配備されている。補助ライナー309は、補助ライナー307および主ライナー215を貫通する図示しない螺子により側壁101cに固定されている。補助ライナー309の断面をL字形にしたことによって、窓用開口163の縁に形成される角部に装着しやすくなるとともに、主ライナー215と角筒ライナー217と補助ライナー309との接合部分を被覆しやすくなるという利点がある。
主ライナー215と角筒ライナー217との間には、導通を確保する目的で導通部材としてのシールドスパイラル404が介在配備されている。また、主ライナー215と補助ライナー307との間にも、同様の目的でシールドスパイラル405が介在配備されている。さらに、補助ライナー307と補助ライナー309との間にも同様の目的でシールドスパイラル406が介在配備されている。シールドスパイラル404〜406によって、角筒ライナー217と主ライナー215と補助ライナー307と補助ライナー309との導通が確保されている。なお、前記のとおり、角筒ライナー217は側壁101cに螺子止めされているため、この螺子(図示省略)を介して、角筒ライナー217、主ライナー215、補助ライナー307,309が接地電位となって異常放電が防止されている。
本変形例では、主ライナー215の上に、補助ライナー307が配備され、さらにその上に重ねて補助ライナー309が配備された3重構造をなしている。このような3重構造によって、プラズマが集中しやすい窓用開口163の縁部163aにおいて、主ライナー215および角筒ライナー217の消耗を防ぐとともに、両部材の接合部分からの異常放電を確実に防止できる。このため、主ライナー215の交換回数を低減できる。
また、窓用開口163の周囲において、交換部品である補助ライナーを補助ライナー307と補助ライナー309に細分化して配備したため、これらの交換作業が容易であり、主ライナー215全体を交換する場合に比べて交換時間と部品費用を抑制できる。
補助ライナー307,補助ライナー309としては、第1の実施の形態のライナー201a〜201dと同様の材質のものを使用できる。例えば、プラズマが集中しやすい部位に配備される補助ライナー307および補助ライナー309としては、アルミニウムなどの基材表面に、優れたプラズマエロージョン耐性を有するY溶射膜やYF溶射膜などのセラミックス溶射膜を形成したものを使用することが好ましい。なお、補助ライナー307と補助ライナー309に、それぞれ異なる材質のセラミックス溶射膜を形成しておくことも可能である。主ライナー215および角筒ライナー217については前記と同様の構成のものを使用できる。
なお、図示および説明は省略するが、処理容器101の側壁101dおよび101eについても、窓用開口163の周囲に、側壁101cと同様のライナー構造を有している。
以上のように、本実施の形態では、処理容器101内でプラズマやガス流が集中しやすい部分において、保護部材としてのライナーを主ライナー(主ライナー211,215)と補助ライナー(補助ライナー301a,301b,303,305,307,309)の二層以上の多重構造にし、かつ補助ライナーを小片に形成した。かかる構成によって、主ライナーの交換頻度を低減し、補助ライナーの交換作業を容易に行うことができる。また、交換部品の費用も抑制できる。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明は上記実施形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、下部電極(基材107)に高周波電力を印加するRIEタイプの容量結合型平行平板プラズマエッチング装置を例示して説明したが、上部電極に高周波電力を供給するタイプであってもよいし、容量結合型に限らず誘導結合型であってもよい。
また、本発明の処理容器は、FPD用基板を処理対象とするプラズマエッチング装置に限らず、例えば半導体ウエハを対象とするものであってもよいし、プラズマエッチング装置に限らず、例えばプラズマアッシング装置、プラズマCVD装置等の他のプラズマ処理装置にも適用することができる。
また、上記実施の形態で示した保護部材としてのライナー(主ライナー、角筒ライナーおよび補助ライナー)の形状や、側壁への固定方法、およびライナーどうしの接合構造は、あくまでも例示であり、数多くの変形例が存在し得るが、それらも本発明の技術的範囲に属する。
1a,1b,1c…プロセスチャンバー、3…搬送室、5…ロードロック室、100…真空処理システム、101…処理容器、101a…底壁、101b〜101d…側壁、101f…蓋体、105…サセプタ、151…排気口、161…基板搬送用開口、161a…コーナー部、163…窓用開口、163a…縁部、201a〜201d…ライナー、203a〜203c…ライナー

Claims (19)

  1. 被処理体を内部に収容してプラズマ処理を行う処理容器であって、
    開口部分を有する容器本体と、
    前記容器本体をプラズマおよび/または腐食性ガスによる損傷から保護する保護部材とを備え、
    前記保護部材は、前記容器本体の内壁面に沿って配設された第1の保護部材と、
    前記開口部分の周囲において、前記第1の保護部材と分離して着脱可能に配設された第2の保護部材と、
    を有し、
    前記第2の保護部材は、前記容器本体の開口部分の形状に対応した枠状又は該開口部分のコーナー部の形状に対応したU字状をなしていることを特徴とする処理容器。
  2. 前記第1の保護部材は、前記容器本体の開口部分に対応した大きさの開口を有して前記容器本体に直接装着されており、
    前記第2の保護部材は、前記第1の保護部材より小片に形成され、前記第1の保護部材に重ねて装着されていることを特徴とする請求項1に記載の処理容器。
  3. 前記第2の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の処理容器。
  4. 前記セラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であることを特徴とする請求項3に記載の処理容器。
  5. 前記第1の保護部材の表面に、アルマイト処理による酸化被膜またはAl溶射膜を設けたことを特徴とする請求項4に記載の処理容器。
  6. 前記保護部材は、前記開口部分の内壁面に沿って配設された筒状の第3の保護部材をさらに有しており、
    前記第3の保護部材の端部と前記第1の保護部材の端部とは、接合部分の断面における両部材の境界線が非直線的に形成された嵌合構造をなして接合されており、該接合部分を前記第2の保護部材が覆っていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の処理容器。
  7. 前記保護部材は、前記開口部分の内壁面に沿って配設された筒状の第3の保護部材をさらに有しており、
    前記第3の保護部材は、その一端部において外側に突出したフランジ部を有し、
    前記第1の保護部材は、その開口端において段部を有し、
    前記第3の保護部材と前記第1の保護部材とは、前記フランジ部と前記段部とが嵌まり合うことにより接合されており、該接合部分を前記第2の保護部材が覆っていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の処理容器。
  8. 前記第3の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けたことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の処理容器。
  9. 前記セラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であることを特徴とする請求項8に記載の処理容器。
  10. 前記第2の保護部材は、断面L字形をなしていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の処理容器。
  11. 前記保護部材は、前記第2の保護部材の上に重ねて配設された第4の保護部材をさらに有していることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の処理容器。
  12. 前記第4の保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けたことを特徴とする請求項11に記載の処理容器。
  13. 前記セラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であることを特徴とする請求項12に記載の処理容器。
  14. 前記容器本体の開口部分が基板を搬入・搬出する幅広な搬入出口であり、前記第2の保護部材が該搬入出口の両端部の周囲に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の処理容器。
  15. 前記容器本体の開口部分が窓用の開口であることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の処理容器。
  16. 前記容器本体に配設された排気口と、
    前記排気口へのガス流れを調整する整流板と、
    前記整流板の端部に連設され、前記排気口に向かうガス流による損傷から前記整流板を保護する整流板保護部材と、
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の処理容器。
  17. 前記整流板保護部材の表面にプラズマエロージョン耐性を有するセラミックス溶射膜を設けたことを特徴とする請求項16に記載の処理容器。
  18. 前記セラミックス溶射膜が、YまたはYFの溶射膜であることを特徴とする請求項17に記載の処理容器。
  19. 請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の処理容器を備えたプラズマ処理装置。
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