以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る手動式のシャッター装置の全体正面図であり、この全体正面図は、上下方向を開閉移動方向とするシャッターカーテン1が全閉となっているときを示している。
建物等の構造物の出入口である開口部2を上下に移動して開閉するシャッターカーテン1は、開口部2の左右両側で建物の壁等の躯体3に取り付けられているガイドレール4に、シャッターカーテン1の左右両端部である幅方向両端部がスライド自在に挿入されていることにより、これらのガイドレール4に案内されて開閉移動する。このため、左右対称の形状を有しているこれらのガイドレール4は、シャッターカーテン1の開閉移動を案内するガイド部材であって、シャッターカーテン1に対して不動となった不動部材となっている。
開口部2の上部にはシャッターケース5が設けられ、このシャッターケース5の内部に巻取軸6が左右一対のブラケット7で支持されて回転自在に収納配置され、この巻取軸6にシャッターカーテン1の上端が結合されている。シャッターカーテン1の閉じ側の端部、言い換えると、シャッターカーテン1の下端部は座板8となっており、この座板8の上端には、シャッターカーテン1の大部分を形成する多数のスラット9が上下に連結され、このため、シャッターカーテン1は、その主要部が多数のスラット9の連設で形成されたスラット式となっている。
シャッターカーテン1が左右一対のガイドレール4に案内されて上昇し、座板8が、シャッターケース5の下面を形成していてシャッターカーテン1を上下に挿通させているスリットが設けられているまぐさに達するまで、シャッターカーテン1が巻取軸6に巻き取られることにより、シャッターカーテン1は開口部2を全開とする。また、座板8に係止棒等の操作棒の先端を係止等して手作業で引き下げ操作を行うと、シャッターカーテン1は巻取軸6を回転させながら巻取軸6から繰り出されて閉じ移動し、座板8が開口部2の床2Aに着床することにより、シャッターカーテン1は開口部2を全閉とする。
このようにシャッターカーテン1を巻取軸6から繰り出して閉じ移動させるときには、回転する巻取軸6に組み込まれている図示しないリターンスプリングが蓄圧されるため、全閉位置又は全閉となる途中位置で停止しているシャッターカーテン1を手操作で開き移動させるために上昇させるときには、リターンスプリングの蓄圧力によって巻取軸6の回転が補助されることになり、これより、シャッターカーテン1を軽く上昇させることができる。
シャッターカーテン1を形成している多数のスラット9のうち、所定のスラット9Aには、すなわち、シャッターカーテン1が全閉となっているときにほぼ腰の高さ位置にあるスラット9Aには、シャッターカーテン1を手操作で開き移動及び閉じ移動させるために手を掛ける2個の手掛け部材10が固定位置されている。また、シャッターカーテン1には、このシャッターカーテン1を施錠状態及び解錠状態にロックするためのロック装置11が、左右方向であるシャッターカーテン1の幅方向の中央部に配置され、本実施形態では、このロック装置11は、スラット9Aの上端に連結されているスラット9Bに取り付けられている。
なお、スラット9A及びスラット9Bを含む全部のスラット9についてのシャッターカーテン1の厚さ方向の寸法は、同じ又は略同じになっている。
ロック装置11は、シャッターカーテン1を開閉移動不能の状態、言い換えると、シャッターカーテン1をガイドレール4に結合した状態にして施錠するための施錠装置を構成するものとなっている。
図2は、スラット9Bの正面図であり、図3は、スラット9Bの裏面図であり、これらの図2及び図3には、ガイドレール4が断面図として示されている。図3に示されているように、ロック装置11のロック装置本体11Aは、この本体11Aに結合されたベース部材50を介してスラット9Bに取り付けられ、このロック装置本体11Aの左右側面からは、ロック装置11の一対のロック部材12が突出している。これらのロック部材12は、スラット9Bの長手方向であってシャッターカーテン1の幅方向である左右方向へロック装置本体11Aに対して前後進移動自在となっている。それぞれのロック部材12には、連結部材13を介してバー部材14が連結され、それぞれのバー部材14の先部は、スラット9Bの長手方向端部に配置されたガイド部材15の内部にスライド自在に挿入されている。
また、連結部材13は、スラット9Bに取り付けられた案内部材51に案内されて左右方向へ直線的に移動自在となっており、バー部材14もガイド部材15に案内されて左右方向へ直線的に移動自在となっている。
図4は、ガイド部材15の部分を示す図3の一部拡大図であり、図5は、図4のS5−S5線断面図である。シャッターカーテン1の幅方向となっている左右両側に2個設けられているガイドレール4は、図5に示されているように、図1で説明した壁等の躯体3にベース部材30を介して取り付けられており、このベース部材30は、シャッターカーテン1で開閉される開口部2と平行となっていて躯体3とは反対側となっている面が開口している平断面略コ字形状の部材であり、ベース部材30は、ビス等の結合具31により躯体3に結合されている。ガイドレール4は、ベース部材30の開口面を塞いでこのベース部材30に配置され、ベース部材30の被係止部30Aにガイドレール4の係止部4Aが係止されているとともに、ビス等の結合具32によりベース部材30にガイドレール4が結合されている。
また、図3で説明したガイド部材15は、図4に示されているように、スラット9Bにリベット等の止着具16で止着された底部材17の突片17Aがガイド部材15の孔15Aに挿入されて折り曲げられることにより、底部材17を介してスラット9Bに取り付けられている。また、ガイド部材15は、図4及び図5から分かるとおり、底部材17側が開口していてバー部材14の先部がスライド自在に挿入された断面ハット形状となっており、ガイド部材15の内部には、スライド部材18もスライド自在に収納配置されている。
このスライド部材18は、図5に示されているように、ガイドレール4側の端部と底部材17側の面とが開口した細長の箱形状となっており、スライド部材18のガイドレール4側とは反対側の端部には、端面壁部18Aが設けられ、この端面壁部18Aは、バー部材14の先部に形成されていてコイルばね19が収納されているばね収納空間部14Aの内部に挿入されている。そして、バー部材14のばね収納空間部14Aは、前述したロック装置11のロック部材12の前後進移動方向の両側となっている前壁部14Bと後壁部14Cとを含んで形成されている。上記コイルばね19は、バー部材14の後壁部14Cとスライド部材18の端面壁部18Aとの間に配置されている。
上述したように、スライド部材18はガイドレール4側の端部と底部材17側の面とが開口した細長の箱形状となっているため、図5で示されているスライド部材18の側面部18Bは、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向の両側に存在し、これらの側面部18Bに孔部20が形成されている。これらの孔部20には、後部がガイド部材15の内部に挿入されているラッチ部材21に形成された突起部21Aが挿入され、このラッチ部材21は、突起部21Aを中心にシャッターカーテン1の厚さ方向に揺動自在となっている。
以上説明した構造から分かるように、図2で示されているロック装置11のロック部材12には、連結部材13とバー部材14とコイルばね19とスライド部材18とを介してラッチ部材21が連結されている。したがって、ロック部材12がロック装置本体11Aから突出する運動を行った場合には、言い換えると、ロック部材12がロック装置本体11Aに対して前進移動した場合には、連結部材13の移動により、図6に示すように、バー部材14の後壁部14Cで圧縮されるコイルばね19によってスライド部材18及びラッチ部材21は、シャッターカーテン1に対して進出移動し、シャッターカーテン1からのラッチ部材21の進出移動は、底部材17に形成されている隆起部17Bに乗り上げたラッチ部材21が前記突起部21Aを中心にシャッターカーテン1の厚さ方向へ揺動しながら行われる。また、ロック部材12がロック装置本体11Aに対して後退する運動を行った場合には、言い換えると、ロック部材12がロック装置本体11Aに対して後進移動した場合には、図5に示されているように、バー部材14の前壁部14Bがスライド部材18の端面壁部18Aに当接してスライド部材18を引っ張ることにより、ラッチ部材21は、後退移動する。
なお、本実施形態に係るラッチ部材21は、図4で示されているように、ガイドレール4側の先端部に、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向に3個の凸部21Bが形成された熊手形状となっている。
図2、図5及び図6に示されているように、それぞれのガイドレール4の内部には、ラッチ部材21が係止することによってシャッターカーテン1が施錠されるラッチ受け部材22が取り付けられている。図7はこのラッチ受け部材22を示し、図7(A)は、ラッチ受け部材22の正面図であり、図7(B)は、ラッチ受け部材22の側面図である。全体形状が縦長形状となっているラッチ受け部材22は板金製であり、このラッチ受け部材22は、ラッチ受け部材22の材料である板金によるベース部60に、ラッチ受け部61と、突出部62とを設けたものである。本実施形態では、複数個のラッチ受け部61が間隔をあけて上下方向に設けられており、これらのラッチ受け部61の上側と下側に、言い換えると、これらのラッチ受け部61に対してシャッターカーテン1の開閉移動方向の両側に2個の突出部62が設けられている。
それぞれのラッチ受け部61は、ラッチ受け部材22の材料である板金を直角又は略直角に切り起こし加工することにより形成されており、また、それぞれの突出部62は、この板金を半抜き加工することにより形成されている。さらに、それぞれの突出部62は、図7(B)から分かるように、シャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向の寸法を有しているとともに、突出部62の外面は、この寸法の両端の間が最も大きい突出量となっている外面になっていて、さらに、湾曲して突出した湾曲状外面となっている。また、それぞれのラッチ受け部61とそれぞれの突出部62は、ベース部60から同じ方向へ突出しているとともに、それぞれのラッチ受け部61のベース部60からの突出量は、L1であり、それぞれの突出部62のベース部60からの突出量は、L2であり、この突出量L2は、突出量L1よりも大きくなっている。
また、図7(A)に示されているように、ベース部60の左右両側の縁部60Aから左右方向内側にずれた箇所にラッチ受け部61が設けられており、このため、これらの縁部60Aからラッチ受け部61の箇所までの部分は、ラッチ受け部61が存在していないラッチ受け部不存在部分63となっている。これらのラッチ受け部不存在部分63は、ベース部60の上下の全長に渡る長さを有しており、突出部62の左右寸法は、ラッチ受け部61の左右寸法と同じ又は略同じであるため、ラッチ受け部不存在部分63には、突出部62も存在していない。本実施形態では、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向についてのラッチ受け部61と突出部62の寸法は、ラッチ受け部不存在部分63の寸法よりも長くなっている。
図5及び図6に示されているように、ガイドレール4は、前述した係止部4Aが形成されているガイドレール本体4Bに、ガイドレール4の内部において、突片4Cを設けたものとなっており、アルミ又はアルミ合金の押し出し成形品又は引き抜き成形品であるガイドレール4は、ガイドレール本体4Bに係止部4Aと突片4Cとが一体に形成されたものとなっており、ガイドレール本体4Bと突片4Cとの間には、シャッターカーテン1の幅方向内側に開口した隙間64が形成されている。ガイドレール4の内部にラッチ受け部材22を配置するときには、ベース部60に左右2個設けられているラッチ受け部不存在部分63のうち、シャッターカーテン1の幅方向外側のラッチ受け部不存在部分63を隙間64に挿入し、次いで、図7(A)に示されているベース部60の2個の孔60Bに図2のビス等の止着具66を挿入し、これらの止着具66によりラッチ受け部材22をガイドレール4に取り付ける。
なお、ベース部60のラッチ受け部不存在部分63を隙間64に挿入することは、図5に示されているように、突片4Cにラッチ受け部61を当接させるまで行う。すなわち、隙間64についてのシャッターカーテン1の幅方向の長さは、ラッチ受け部不存在部分63についての長さよりも長いか、この長さと同じであるため、ベース部60のラッチ受け部不存在部分63を隙間64に挿入することを、突片4Cにラッチ受け部61を当接させて行うことができる。但し、突片4Cにラッチ受け部61を当接させずにこれらの間に若干の隙間があっても使用条件等のうえで支障がなければ、突片4Cにラッチ受け部61を当接させなくてもよい。
図5に示されているように、隙間64は、ラッチ受け部61及び突出部62よりもシャッターカーテン1の幅方向の外側に設けられており、また、後述する仕切り部71も、ラッチ受け部61及び突出部62よりもシャッターカーテン1の幅方向の外側に設けられている。
本実施形態では、ベース部60の孔60Bは、ラッチ受け部不存在部分63の箇所ではなく、ラッチ受け部61及び突出部62の幅寸法内の箇所に設けられているため、孔60Bに上述した止着具66を挿入する作業を、隙間64の外部から行うことができ、この挿入作業を容易に行える。但し、孔60Bをラッチ受け部不存在部分63の箇所に設け、この孔60Bと一致する孔を突片4Cの基部に形成し、この孔と孔60Bとに止着具66を挿入することにより、止着具66によってラッチ受け部材22を突片4Cによる締め付けと共にガイドレール4に取り付けてもよい。
上述のようにしてラッチ受け部材22をガイドレール4に取り付けるための作業は、シャッターカーテン1の左右両側に2個配置されているそれぞれのガイドレール4について行う。これらのガイドレール4は左右対称形状となっていて、ラッチ受け部材22は、ベース部60に左右2個のラッチ受け部不存在部分63が左右対称に設けられているものとなっているため、左右2個のガイドレール4について、ラッチ受け部材22を共通の部材として用いることができる。
以上のようにしてラッチ受け部材22がそれぞれのガイドレール4に取り付けられると、図5に示されているように、ラッチ受け部材22に設けられているラッチ受け部61と突出部62は、ガイドレール4の内部において、シャッターカーテン1側へ突出することになり、突出方向が同じになっているラッチ受け部61の突出量と突出部62の突出量は、図7(B)のL1とL2になっているため、突出部62のシャッターカーテン1側への突出量は、ラッチ受け部61のシャッターカーテン1側への突出量よりも大きくなっている。
また、ラッチ受け部材22において、突出部62はラッチ受け部61から上下にずれた箇所に設けられているため、上述のようにラッチ受け部材22がそれぞれのガイドレール4に取り付けられることにより、ガイドレール4に内部において、突出部62は、ラッチ受け部61からシャッターカーテン1の開閉移動方向である上下方向にずれた箇所に配置されることになる。
なお、本実施形態において、ラッチ受け部61と突出部62が設けられているラッチ受け部材22は、図5に示されているように、シャッターカーテン1の裏面(図2及び図5で示されている開口部2が形成された建物等の構造物の内側に向いているシャッターカーテン1の背面)と対面して、ガイドレール4の内部に配置されている。
また、ガイドレール4の内部には、2個の消音部材65がシャッターカーテン1の厚さ方向に対向して取り付けられており、弾性材料で形成されていてガイドレール4の全長又は略全長に渡る上下長さを有しているこれらの消音部材65により、ガイドレール4に案内されてシャッターカーテン1が開閉移動する際に、シャッターカーテン1がガイドレール4に直接接触することや、この接触で異音等が生ずることが防止されるようになっている。
本実施形態では、シャッターカーテン1にこのシャッターカーテン1の幅方向に進退可能に配置されているラッチ部材21が、シャッターカーテン1の全閉時において、図6に示されているように、底部材17に形成されている隆起部17Bに乗り上げながらガイドレール4側へ進出移動したときには、ラッチ部材21の前述した凸部21Bはラッチ受け部材22のラッチ受け部61に係止し、これにより、全閉位置においてシャッターカーテン1が施錠される。そして、図5に示されているように、ラッチ部材21が後進移動したときには、凸部21Bはラッチ受け部61から離脱し、シャッターカーテン1の施錠は解錠される。
なお、ラッチ部材21がガイドレール4側へ進出移動することは、前述したように、圧縮されるコイルばね19のばね力を介して行われるため、凸部21Bがラッチ受け部61と一致してしまってラッチ部材21が所定量運動しないときには、コイルばね19は圧縮されることになり、そして、シャッターカーテン1を上下に多少移動させて凸部21Bの位置とラッチ受け部61の位置とがずれることにより、コイルばね19の圧縮された反発力によりラッチ部材21が進出移動して、凸部21Bはラッチ受け部61に係止することになる。
また、ラッチ受け部材22には、複数個のラッチ受け部61が上下方向に間隔をあけて設けられているとともに、ラッチ部材21には、3個の凸部21Bが上下方向に設けられているため、例えば、図1で説明した座板8からラッチ部材21の配置箇所までの高さ寸法が異なる各種のシャッターカーテン1について、ラッチ受け部材22と、このラッチ受け部材22が内部に配置されているガイドレール4とを共通化することができる。
図8は、図3で示したロック装置11の内部構造を示している。この図8は、図1と同じく、シャッター装置の正面側(スラット9Bの表面側)から見た図となっており、ロック装置本体11Aの内部にはピニオン部材23が回転自在に配置されている。また、シャッター装置の背面側(スラット9Bの裏面側)から見た図となっている図3に示されているように、ロック装置本体11Aの裏面には、手で操作される手操作部材となっているサムターン部材24が設けられている。図1で示されているように、ロック装置11の鍵穴11Bはスラット9Bの表面に露出しており、この鍵穴11Bに挿入されて手で操作される手操作部材となっている図示外の板キーと、図3で示されているサムターン部材24との両方は、図示されていないシリンダ等の連結部材を介してピニオン部材23と連結されており、これらの板キーとサムターン部材24の回動操作可能範囲は180度である。
板キーとサムターン部材24とのうち、どちらかが一方の方向へ180度回動操作されると、上記シリンダ等の連結部材を介してピニオン部材23も同じ方向へ180度回動し、上記どちらかが他方の方向へ180度回動操作されると、ピニオン部材23も上記シリンダ等の連結部材を介して同じ方向へ180度回動する。図8に示すように、ピニオン部材23には複数の歯部23Aが形成され、ロック装置11のそれぞれのロック部材12には、これらの歯部23Aに噛合する複数の歯部12Aが形成されているため、上記どちらかが一方の方向へ180度回動操作された場合には、ロック部材12は、図8から図9のように、ロック装置本体11Aに対して前進移動し、これにより、前述したようにラッチ部材21は、シャッターカーテン1から進出移動して、このラッチ部材21の凸部21Bはラッチ受け部材22のラッチ受け部61に係止し、全閉位置に達しているシャッターカーテン1は施錠される。また、上記どちらかが他方の方向へ180度回動操作された場合には、ロック部材12は、図9から図8のように、ロック装置本体11Aに対して後進移動し、これにより、ラッチ部材21もシャッターカーテン1に対し後退移動して、ラッチ部材21の凸部21Bはラッチ受け部材22のラッチ受け部61から離脱し、シャッターカーテン1の施錠が解錠されることになり、この後、図1で示した手掛け部材10に手を掛けることにより、シャッターカーテン1を開き移動させることができる。
なお、板キーの回動操作によってシャッターカーテン1の施錠が解錠されたときには、このときの板キーの向きは縦方向となっており、このため、シャッターカーテン1の開き移動操作を、縦方向の強度が大きい板キーにより有効に行えるようになっている。
以上のことから分かるように、ロック装置11のロック部材12の前後進移動により、ラッチ部材21のラッチ受け部材22に対する係止と離脱が選択されてシャッターカーテン1の施錠と解錠が選択される。すなわち、ロック装置11のロック部材12が前後進移動すると、ラッチ受け部材22に対するラッチ部材21の係止と離脱が切り替えられ、これにより、シャッターカーテン1の施錠と解錠が切り替えられる。
なお、ピニオン部材23を回動させようとする力がロック部材12側からピニオン部材23に入力した場合には、ロック部材12とピニオン部材23の前述した歯部12A,23Aの形状設定により、ピニオン部材23は回動しない。このため、ロック部材12が図8で示されている後進位置に達しているときは、前述の板キーやサムターン部材24が操作されない限り、ラッチ部材21はラッチ受け部材22から離脱した状態にロックされ、また、ロック部材12が図9で示された前進位置に達しているときは、板キーやサムターン部材24が操作されない限り、ラッチ部材21はラッチ受け部材22に係止した状態にロックされる。
図10は、サムターン部材24が配置されたロック装置本体11Aの裏面を示す。したがって、この図10は、図8及び図9とは表裏が逆となっている。サムターン部材24は、ロック部材12が後進移動限に達しているとき(図10で示されているとき)及び前進移動限に達しているとき(図12で示されているとき)に、シャッターカーテン1の幅方向である左右方向に長い細長部材となっているとともに、その長手方向中央部に設けられた中心軸を中心に、図8等で示されているピニオン部材23を回動させるために、前述したように180度回動自在となっている。サムターン部材24を図10の矢印Aのように図10中左側へ180度回動させると、ロック部材12は前進移動してラッチ部材21がラッチ受け部材22に係止し、シャッターカーテン1は施錠される。この後、サムターン部材24を図12の矢印Bのように図12中右側へ180度回動させると、ロック部材12は後進移動してラッチ部材21はラッチ受け部材22から離脱し、シャッターカーテン1の施錠は解錠される。
図10及び図12に示されているように、シャッターカーテン1の施錠時及び解錠時においてサムターン部材24の長手方向の両端部と対向しているロック装置本体11Aの箇所には、凸部41が形成されている。この凸部41は、図10のS11−S11線断面図である図11に示されており、板金で形成されているロック装置本体11Aの一部を半球面状又は略半球面状に半抜き加工することにより、凸部41がロック装置本体11Aに設けられている。
シャッターカーテン1の施錠時及び解錠時においてそれぞれの凸部41と対向しているサムターン部材24の長手方向の両端部には、凸部41を内部に収納する凹部42が形成されており、また、サムターン部材24の長手方向両端部には、凹部42からサムターン部材24の外縁部まで達する溝43が形成されている。これらの溝43は、サムターン部材24を図10中左側へ矢印Aのように回動させたときに、凸部41と順次対面することになるサムターン部材24の軌跡状箇所に連続形成されたものとなっている。
そして、凹部42及び溝43の少なくとも周辺部は、すなわち図11の実施形態では、凹部42と溝43を除くサムターン部材24のロック装置本体11Aと対向している全部の部分は、凹部42や溝43からロック装置本体11A側へ突出した突出部44(図11を参照)となっており、この突出部44の突出量は、ロック装置本体11Aの凸部41と突出部44とが当接可能な大きさとなっている。
ラッチ部材21をラッチ受け部材22に係止させてシャッターカーテン1を施錠させるために、図10の状態(この図10では、サムターン部材24に設けられている小突起状の指示部24Aがロック装置本体11Aに表示されている「開」を指しているため、図10は、ラッチ部材21とラッチ受け部材22とによるシャッターカーテン1の施錠が解錠されている状態を示している。)となっていたサムターン部材24を図10の矢印Aの方向へ180度回動させた場合には、ロック装置本体11Aに対してサムターン部材24は、凹部42と溝43とが凸部41を通過しながら回動し、そして、180度の回動終了近くにおいて、凹部42の少なくとも周辺部に設けられている上記突出部44が凸部41に当接する。このため、サムターン部材24の180度の回動は、合成樹脂等の弾性変形可能な材料で形成されているサムターン部材24が弾性変形して突出部44が凸部41を乗り上げることによって行われ、この乗り上げによって凸部41がサムターン部材24の凹部42の内部に入る。この状態が図12で示されている。
この図12では、上述の小突起状の指示部24Aがロック装置本体11Aに表示されている「閉」を指しているため、ラッチ部材21とラッチ受け部材22とによってシャッターカーテン1が施錠されている状態を示している。
ラッチ部材21をラッチ受け部材22から離脱させてシャッターカーテン1の施錠を解錠させるために、図12の状態となっていたサムターン部材24を図12の矢印Bの方向へ180度回動させた場合には、初めに、サムターン部材24の突出部44がロック装置本体11Aの凸部41にサムターン部材24の弾性変形によって乗り上げながら、サムターン部材24は回動し、この後、180度の回動終了近くにおいて、サムターン部材24の溝43が凸部41を通過してから、この凸部41がサムターン部材24の凹部42の内部に入る。
以上のことから、ラッチ部材21をラッチ受け部材22から離脱させてシャッターカーテン1の施錠を解錠させるために、図12の状態となっていたサムターン部材24を図12の矢印Bの方向へ180度回動させる場合には、サムターン部材24の突出部44がロック装置本体11Aの凸部41に当接してこの凸部41を乗り上げるときの抵抗力が生じ、この抵抗力に抗しながらサムターン部材24の操作者はサムターン部材24を回動させることになる。そして、180度の回動終了近くでは、サムターン部材24の溝43が凸部41を通過し、凸部41が円滑にサムターン部材24の凹部42の内部に入るため、180度の回動終了近くでは、上述の抵抗力は生じない。
このため、本実施形態では、ロック装置本体11Aの凸部41と、サムターン部材24の凹部42、溝43、突出部44とにより、サムターン部材24の回動操作に抵抗力を付与するための抵抗力付与機構45(図11参照)が構成され、この抵抗力付与機構45は、ラッチ部材21をラッチ受け部材22に係止させるためのロック部材12の前進移動の終了近くと、この前進移動後にラッチ部材21をラッチ受け部材22から離脱させるためのロック部材12の後進移動開始直後とにおいて、サムターン部材24の回動操作に抵抗力を付与し、ラッチ部材21をラッチ受け部材22から離脱させるためのロック部材12の後進移動の終了近くと、この後進移動後にラッチ部材21をラッチ受け部材22に係止させるためのロック部材12の前進移動開始直後とにおいて、サムターン部材24の回動操作に抵抗力を付与しないものとなっている。
したがって、ロック部材12が前進移動限に達した後において、ロック部材12を後進移動させる方向へサムターン部材24を回動操作しようとしたときは、抵抗力付与機構45による抵抗力が生ずるため、ロック部材12を後進移動させる方向へ不用意に又は誤ってサムターン部材24が回動操作されることを防止することができる。
以上説明した施錠装置の構造及び作用から分かるように、ロック装置11のロック装置本体11Aや、ロック部材12に連結された連結部材13、この連結部材13に連結されたバー部材14、さらには、バー部材14にコイルばね19を介して連結されたスライド部材18、このスライド部材18に連結されたラッチ部材21、このラッチ部材21が係止、離脱を行うラッチ受け部材22により、本実施形態に係るシャッターカーテン1のための施錠装置67(図3を参照)が構成されている。
ところで、シャッターカーテン1が左右のガイドレール4に案内されて上下に開閉移動しているときに、シャッターカーテン1全体が、このシャッターカーテン1の左右端部がスライド自在に挿入されているガイドレール4に対して、シャッターカーテン1の幅方向や厚さ方向に移動することがある。
図13は、シャッターカーテン1全体が、シャッターカーテン1の厚さ方向のうち、前述のラッチ受け部材22が配置された側に移動した場合を示している。このラッチ受け部材22には、シャッターカーテン1側へ突出しているラッチ受け部61が設けられているが、ラッチ受け部材22には、ラッチ受け部61からシャッターカーテン1の開閉移動方向にずれた箇所において、突出部62が設けられており、この突出部62もシャッターカーテン1側へ突出している。そして、図7(B)で示したように、突出部62の突出量L2はラッチ受け部61の突出量L1よりも大きいため、シャッターカーテン1全体がラッチ受け部材22側に移動しても、シャッターカーテン1は突出部62に接触することになり、ラッチ受け部61にシャッターカーテン1が接触することを回避させることができる。
そして、シャッターカーテン1が全閉となっているときに、このシャッターカーテン1を操作する操作者の腰の高さ位置あたりに前述の施錠装置のロック装置11とラッチ受け部材22が配置されているため、全閉となっているシャッターカーテン1を開き移動させると、シャッターカーテン1の全体の上下長さの3分の1〜2分の1程度がラッチ受け部材22を通過するが、この通過時に、シャッターカーテン1全体が、ラッチ受け部材22が配置された側に移動しても、このラッチ受け部材22には、シャッターカーテン1側へ突出しているラッチ受け部61が設けられているとともに、ラッチ受け部61からシャッターカーテン1の開閉移動方向にずれた箇所において、突出部62も設けられていて、突出部62の突出量L2はラッチ受け部61の突出量L1よりも大きいため、シャッターカーテン1全体がラッチ受け部材22側に移動しても、シャッターカーテン1は突出部62に接触することになり、ラッチ受け部61にシャッターカーテン1が接触することを回避させることができる。
このため、本実施形態によると、開閉移動中のシャッターカーテン1がラッチ受け部61に近づいても、シャッターカーテン1がラッチ受け部61に接触することが突出部62により阻止されることになり、このため、シャッターカーテン1の円滑な開閉移動がラッチ受け部材22のラッチ受け部61により影響されるおそれを減少させることができる。
また、突出部62は、前述したように、シャッターカーテン1の開閉移動方向の寸法を有しているとともに、この突出部62の外面が、図7(B)から分かるように、この寸法の両端の間が最も大きい突出量となっている外面になっていて、シャッターカーテン1側へ湾曲して突出した湾曲状外面となっているため、これを言い換えると、ラッチ受け部材22に突出部62よりも多く設けられているラッチ受け部61は、前述したように、ラッチ受け部材22の材料である板金の直角又は略直角の切り起こし加工で形成されていて、その先端部は丸みのない鋭利状になっているに対し、突出部62の先端部は湾曲した形状となっているため、開閉移動中のシャッターカーテン1が突出部62に接触しても、突出部62とシャッターカーテン1との接触を軽減することができ、シャッターカーテン1が損傷することはない。
さらに、シャッターカーテン1の裏面側に配置されているロック装置11による施錠装置の施錠、解錠を行うために、シャッターカーテン1の表面側に設けられているロック装置11の鍵穴11Bに板キーを差し込んで回動操作等するときに、シャッターカーテン1が、ラッチ受け部材22が配置される側に押されて移動することもあるが、このようなシャッターカーテン1の移動も、シャッターカーテン1がラッチ受け部61に接触する前に突出部62により阻止されることになり、ラッチ受け部61にシャッターカーテン1が接触することを回避させることができる。
また、突出部62は、ラッチ受け部61に対してシャッターカーテン1の開閉移動方向の両側に設けられているため、開閉移動中のシャッターカーテン1がラッチ受け部61に接触することを、これらの突出部62により一層有効に阻止することができる。
また、突出部62は、ラッチ受け部61と共にラッチ受け部材22に設けられているため、ラッチ受け部材22は、突出部62が設けられた部材を兼ねることになり、このため、部材点数の削減を図ることができ、また、ガイドレール4の内部に突出部62を設ける作業と、ガイドレール4の内部にラッチ受け部61を設ける作業とを同じ作業として行えるようになる。
さらに、本実施形態に係るラッチ受け部材22は板金製であり、突出部62は板金の半抜き加工により形成されているため、板金の半抜き加工という簡単な作業により、突出部62をラッチ受け部材22に容易に形成することができる。
また、本実施形態のラッチ受け部材22は、板金製のベース部60を有していて、このベース部60の縁部60Aからシャッターカーテン1に進退可能に配置されたラッチ部材21の進退方向に離れた箇所において、ラッチ受け部61がベース部60に設けられており、このため、ベース部60のうち、縁部60Aからラッチ受け部61の箇所までの部分がラッチ受け部不存在部分63となっており、また、ガイドレール4は、ガイドレール本体4Bと、このガイドレール本体4Bとの間に隙間64を形成している突片4Cとを含んで形成されており、この隙間64にラッチ受け部不存在部分63を挿入したときに、図5に示されているように、突片4Cにラッチ受け部61を当接させている。
このため、シャッターカーテン1を施錠するために、図6に示されているように、ラッチ部材21がシャッターカーテン1からラッチ受け部61側へ進出したときに、このラッチ部材21の先端部である前述の凸部21Bが侵入してしまう間隔(隙間)が、突片4Cとラッチ受け部61との間に存在しておらず、このため、ラッチ部材21の凸部21Bをラッチ受け部61に一層確実に係止させることができる。
さらに、本実施形態では、ラッチ受け部材22にラッチ受け部61を設けることは、板金製のラッチ受け部材22に、板金の切り起こし加工を行うことにより行われているため、簡単な作業である板金の切り起こしにより、ラッチ受け部61を容易にラッチ受け部材22に形成できる。
図14は、シャッターカーテン1を構成している前述の多数のスラット9のうち、ロック装置11やラッチ部材21が配置されているスラット9Bを除くスラット9を示している。スラット9Bを除く全部のスラット9、又はこれらのスラット9のうち、所定のスラット9には、シャッターカーテン1の幅方向の両端部であるスラット9の長さ方向の両端部において、耐風フック部材(抜け止め部材)70が取り付けられており、図14で示されているスラット9は、図2及び図3から分かるように、スラット9Bの下端に連結されているスラット9Aとなっている。合成樹脂製の耐風フック部材70は、シャッターカーテン1全体が風圧等によりシャッターカーテン1の厚さ方向に大きく撓み変形しても、ガイドレール4の内部に挿入されているシャッターカーテン1の幅方向端部がガイドレール4の内部から抜け出すことを防止するためのものである。
このため、図5に示されているように、ガイドレール4の内部には、ラッチ受け部材22が配置された空間S1に対し、間隔をあけて互いに対向している2個の仕切り部71によって仕切られている空間S2が設けられており、耐風フック部材70の先端部には、シャッターカーテン1全体が風圧等によりシャッターカーテン1の厚さ方向に大きく撓み変形したときに、2個の仕切り部71に当接することにより、シャッターカーテン1の幅方向端部がガイドレール4の内部から抜け出すことを防止するためのフランジ部70Aが設けられている。
図14に示されているように、耐風フック部材70におけるフランジ部70Aとは反対側には、断熱材等が充填されているスラット9Bの内部に挿入された基部70Bが設けられており、この基部70Bは、スラット9Aにリベット72により結合されている。そして、図14のS15−S15線断面図である図15に示されているように、基部70Bの表裏両面70C,70Dは、基部70Bのざぐり加工によってシャッターカーテン1の厚さ方向内側に窪んだ面となっている。このため、リベット72の両端部72A,72Bが外側へ突出する頭部状となっていても、これらの端部72A,72Bは、シャッターカーテン1全体の外面からこのシャッターカーテン1の厚さ方向外側へ突出していない。
このため、シャッターカーテン1がガイドレール4に案内されて開閉移動するときに、スラット9Bに耐風フック部材70を結合するための部材となっているリベット72の両端部72A,72Bが、図5等に示されている前述の消音部材65に接触することはなく、この消音部材65が損傷することもない。