JP6189757B2 - セラミックグリーンシートおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品搭載用基板等のセラミック多層基板を製造するために用いられるセラミックグリーンシート、およびその製造方法に関するものである。
電子部品搭載用等のセラミック多層基板は、積層された複数のセラミック絶縁層を含む絶縁基板と、セラミック絶縁層の主面等に設けられた配線導体とを有している。このようなセラミック多層基板は、一般に、複数のセラミックグリーンシートが積層され、焼成されて製作されている。セラミックグリーンシートは、セラミック粉末が、樹脂材料等からなるバインダによって連結されて形成されている。
セラミックグリーンシートにおいては、主面にワックス層が積層された2層構造のものが用いられる場合がある。これは、セラミックグリーンシートの主面に配線導体用等の金属ペーストを印刷したときに、ワックス層の変形により金属ペーストの厚みを吸収して、上下のセラミックグリーンシート間の密着性を高めるためである。また、ワックス層は、上下のセラミックグリーンシートを互いに接着する接着層としても機能する。
ワックス層を含む2層構造のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末をバインダ等とともに成形してグリーンシートを作製した後、そのグリーンシートの主面に、ワックスを含むワックス層用シートを接着することによって作製されている。
特開2004-296727号公報 特開2006-013246号公報
しかしながら、上記従来技術の2層構造のセラミックグリーンシートにおいては、セラミックグリーンシートの表面部分に変形しやすいワックス層が存在しているため、次のような問題点があった。すなわち、複数のセラミックグリーンシートを上下に積層する時に、変形しやすいワックス層が横方向(シート間に沿う方向)に伸びやすい。そのため、セラミックグリーンシートの積層体の横側にワックス層の一部がはみ出てしまうこと等の不具合を生じる可能性があった。このようなはみ出しが発生すると、セラミック多層基板において寸法、外観または配線導体の断線等の不具合を生じる可能性がある。
本発明の一つの態様のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダおよびワックス材料を含んでおり、第1主面および該第1主面と反対側の第2主面を有するシート状である混合体を備えており、前記バインダが、非晶性の第1アクリルポリマーを主成分として含んでおり、前記ワックス材料が、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分として含んでおり、前記ワックス材料の含有量が、前記混合体の内部から前記第1主面にかけて漸次大きくなっていることを特徴とする。
本発明の一つの態様のセラミックグリーンシートの製造方法は、セラミック粉末、非晶性の第1アクリルポリマーを主成分とするバインダ、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分とするワックス材料、および前記第1アクリルポリマーの溶解度が前記第2アクリル
ポリマーの溶解度よりも大きい溶媒を主成分とする有機溶剤を混練してセラミックスラリーを作製する工程と、該セラミックスラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシート用の予備シートを作製する工程と、前記予備シートから前記有機溶剤を除去して、前記ワックス材料を前記バインダよりも先に前記予備シートの上面部分から析出させる工程とを備えることを特徴とする。
本発明の一つの態様のセラミックグリーンシートによれば、ワックス材料の含有量が、セラミックグリーンシートを形成している混合体の内部から第1主面にかけて漸次大きくなっている。そのため、セラミックグリーンシートの第1主面部分における接着性が効果的に高められている。また、セラミックグリーンリートの第1主面部分に、変形しやすい層状の部分であるワックス層が存在していない。そのため、例えば複数のセラミックグリーンシートを積層して上下に加圧したとしても、シート間においてセラミックグリーンシートの表面部分の変形(伸び)が抑制される。したがって、接着性が高く、かつ伸び等の変形の抑制が容易なセラミックグリーンシートを提供することができる。
本発明の一つの態様のセラミックグリーンシートの製造方法によれば、上記各工程を含み、溶媒に対する第1アクリルポリマーと第2アクリルポリマーとのそれぞれの溶解度の差を利用して、有機溶剤を除去するのに伴い、ワックス材料をバインダよりも先に予備シートの上面部分から析出させることから、予備シートの上面部分において内部よりも多くのワックス材料を析出させることができ、上記構成のセラミックグリーンシートを容易に作製することができる。
本発明の実施形態のセラミックグリーンシートの要部を模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態のセラミックグリーンシートにより製作されたセラミック多層基板の一例を示す断面図である。 (a)〜(c)はそれぞれ図2に示すセラミック多層基板の製造方法を工程順に示す断面図である。 本発明のセラミックグリーンシートの製造方法を示すフロー図である。 (a)〜(c)は、それぞれ本発明の実施形態におけるセラミックグリーンシートの製造方法を工程順に、要部について模式的に断面図である。 セラミックスラリーをシート状に成形する工程の一例を示す断面図である。
本発明の実施の形態におけるセラミックグリーンシートおよびその製造方法について、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態のセラミックグリーンシートの要部(第1主面部分)を模式的に示す断面図である。図1では、セラミックグリーンシートの第1主面およびその近くの部分を拡大して示している。また、図2は、本発明の実施形態のセラミックグリーンシートにより製作されたセラミック多層基板の一例を示す断面図である。また、図3(a)〜(c)はそれぞれ図2に示すセラミック多層基板の製造方法を工程順に示す断面図である。
セラミックグリーンシート1は、セラミック粉末2、バインダ3およびワックス材料4を含んでいる混合体(符号なし)によって形成されている。混合体は、シート状であり、第1主面(例えば上面)と、この第1主面と反対側の第2主面(例えば下面)とを有している。なお、以下の説明においては、第1主面を上面とし、第2主面を下面として説明す
る。これらの上下の区別は説明状の便宜的なものであり、実際にセラミックグリーンシート1が使用される際の上下を規定するものではない。
また、以下の説明におけるアクリルポリマーとはアクリル酸エステルの重合体に加えて、メタクリル酸エステルの重合体も含んでいる。
セラミックグリーンシート1を形成している混合体1は、ワックス材料4の含有量が内部から上面(第1主面)にかけて漸次大きくなっている。セラミックグリーンシート1について、例えばその上面においてワックス材料4が層状に分離した部分を含むものにはなっていない。
実施形態のセラミックグリーンシート1が複数枚作製され、これらのセラミックグリーンシート1が積層された後に焼成されて、セラミック多層基板101の複数の絶縁層102が形成されている。セラミック多層基板101は、このような複数の絶縁層102が積層されてなる部分を含むものである。また、この絶縁層102の積層体の表面および内部等に配線導体103が設けられている。セラミック多層基板101に搭載された電子部品104は、ボンディングワイヤ105等の導電性接続材を介して配線導体103と電気的に接続される。また、配線導体103を介して電子部品104が外部電気回路(図示せず)と電気的に接続される。
配線導体103は、例えばタングステン、モリブデン、マンガン、銅、銀、パラジウムま
たは金等の金属材料からなる。金属材料(例えばタングステン)の粉末が有機溶剤およびバインダとともに混練されて作製された金属ペーストをセラミックグリーンシート1の表面(例えば第2主面)に印刷し、同時焼成することによって形成することができる。
すなわち、例えば、まず図3(a)に示すように複数のセラミックグリーンシート1を作製(成形)し、次に、図3(b)に示すようにセラミックグリーンシート1の第2主面に金属ペースト11をスクリーン印刷法等の印刷法で印刷する。その後、図3(c)に示すように複数のセラミックグリーンシートを積層するとともに上下方向に加圧して積層体12とした後、この積層体12を一体焼成する。これにより、例えば図2に示すようなセラミック多層基板を製作することができる。
セラミックグリーンシート1に含まれているセラミック粉末2は、例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウムまたは酸化マグネシウム等のセラミック粉末である。セラミック粉末2は、互いに焼結し合って酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体になる。このセラミック焼結体によってセラミック多層基板101のそれぞれの絶縁層102が形成されている。複数のセラミックグリーンシート1を積層した後に、この積層体(図示せず)を上下方向に加圧し、焼成することによってセラミック多層基板101の、互いに
積層された複数の絶縁層102を製作することができる。
セラミックグリーンシート1の混合体に含まれているバインダ3は、複数のセラミック粉末同士を互いに結合するためのものである。セラミック粉末2がバインダ3で互いに結合されていることにより、シート状等の所定の形状が確保されている。
なお、バインダ3は、セラミック粉末2に比べて非常に小さい高分子(後述)であるため、個々のバインダ分子ではなく、まとめて示している。
バインダ3は、上記のように、セラミック粉末11を互いに結合してシート状等の形状を形成させるとともに、その形状を維持するためのものである。バインダ3は、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルおよびメタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル系酸エステルのポリマー(アクリルポリマー)
の少なくとも一種を主成分として含んでいる。これらの、バインダ3として用いられるアクリルポリマーは非晶性である。すなわち、バインダ3は非晶性のアクリルポリマーである第1アクリルポリマーを主成分として含んでいる。
なお、第1アクリルポリマーについて、非晶性であるとは、結晶化度が50%未満のアクリルポリマーであることを意味し、第2アクリルポリマーについて、結晶性であるとは、結晶化度が50%以上のアクリルポリマーであることを意味する。なお、仮に非晶性のアクリルポリマーと結晶性のアクリルポリマーとをそれぞれ単独でフィルム状に成形したとすると、透明なフィルムになるものが非晶性であり、不透明なフィルムになるものが結晶性である。
バインダ3の主成分である第1アクリルポリマーは、非晶性であるため、後述するワックス材料4の主成分である結晶性の第2アクリルポリマーに比べて、低級アルコール等の有機溶剤に対する溶解度が大きい。この有機溶剤の詳細については後述する。
バインダ3は、主成分である第1アクリルポリマー以外に、ビニルエーテル等のビニル化合物を含んでいても構わない。
混合体の上面部分において比較的多く含まれているワックス材料4は、複数のセラミックグリーンシート1が積層される際に、上下のセラミックグリーンシート間の密着性(接着性)を高めるためのものである。
ワックス材料4の含有量は、セラミックグリーンシート1を形成している混合体の内部から第1主面にかけて漸次大きくなっている。そのため、セラミックグリーンシート1の第1主面部分における接着性が効果的に高められている。なお、図1の例において、例えば中心線(仮想の二点鎖線)で区切った部分よりも第1主面に近い側が、ワックス材料4が比較的多く含有された、接着性の高い部分である。
また、例えば従来の技術における2層構造のセラミックグリーンシートのような、セラミックグリーンリートの第1主面部分に、変形しやすい層状の部分であるワックス層が存在しているものではない。そのため、例えば複数のセラミックグリーンシートを積層して上下に加圧したとしても、シート間においてセラミックグリーンシートの第1主面部分の変形(伸び)が抑制される。したがって、接着性が高く、かつ伸び等の変形の抑制が容易なセラミックグリーンシートを提供することができる。
なお、セラミックグリーンシート1の主面部分は、セラミック粉末2に比べてワックス材料4が比較的多く含まれているため、内部に比べて弾性率が低くなっている。そのため、セラミックグリーンシート1の主面部分は、例えば前述したように金属ペースト11が印刷された複数のセラミックグリーンシート1が積層されるときに、その金属ペースト11の厚みを吸収できる程度の変形は容易である。したがって、金属ペースト11が印刷された複数のセラミックグリーンシート1が積層される際の、上下のセラミックグリーンシート1間の密着性の確保も容易である。
混合体におけるワックス材料の含有率は、例えば第1主面において最も大きく、第2主面において最も小さい。この場合、混合体の第1主面およびその近く(第1主面から数十μm程度の深さまでの部分)におけるワックス材料4の含有率は、例えば、バインダとの比率において、50〜80質量%程度に設定される。
この場合、混合体の第1主面から深さ方向に対するワックス材料の変化の割合は、例えば、深さ方向に約1μmの長さ毎に、約5%質量%ずつ小さくなる程度に設定される。
また、混合体におけるワックス材料4の含有率は、例えば、顕微FT−IR(フーリエ変換型赤外分光法)装置を用い、ワックス材料4の官能基をマッピングすることにより測定できる。
ワックス材料4は、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分として含んでいる。ワックス材料の主成分である第2アクリルポリマーが結晶性であることから、複数のセラミックグリーンシート1が積層される際に、加熱されることによって、例えばバインダ3が軟化する温度で、ワックス材4を溶融させることが容易である。そのため、混合体の第1主面において十分な接着性を生じさせることができる。
この場合、ワックス材料4の主成分である第2アクリルポリマーが融点を持つ結晶性の材料であるため、所定の温度(例えば上記融点よりも数℃高い程度)に加熱することによってワックス材料を容易に溶融させることができる。また、この融点を超える温度において、ワックス材料4全体を容易に溶融した状態に移行させて、柔軟で粘着性を有する状態にすることができる。
また、ワックス材料4の主成分である第2アクリルポリマーが結晶性であるため、上記構成のセラミックグリーンシートの作製が容易である。すなわち、結晶性の第2アクリルポリマーは、非晶性の第1アクリルポリマーに比べて有機溶剤に対する溶解度が低くなりやすい傾向がある。そのため例えば後述するように有機溶剤にバインダ3およびワックス材料4を一旦溶解させた後に有機溶剤を除去してセラミックグリーンシートの成形を行なうときに、ワックス材料4をバインダ3よりも先に、成形中のセラミックグリーンシートの上側(第1主面側)から析出させることが容易であり、上面側において内部よりもワックス材料の含有量を大きくすることが容易である。
結晶性の第2アクリルポリマーとしては、例えば長鎖の側鎖を有するアクリルポリマーが挙げられる。側鎖自体は、直鎖の炭化水素基を基本とするものが好ましい。長鎖の側鎖部分が互いに隣り合って並びやすい(結晶化しやすい)ため、結晶性を有するアクリルポリマーが容易に得られる。
具体的には、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル等の重合体であり、炭素数16〜18の炭化水素基を側鎖として含むアクリルポリマーが挙げられる。このアクリルポリマーは、例えば上記炭素数の第一級アルコールがメタクリル酸とエステル結合したモノマー(以下、長側鎖モノマーともいう)を重合して得られる。この場合、長側鎖モノマーに加えて他のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルが含まれていてもよい。他のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとしては、例えば上記の第1アクリルポリマーを形成するモノマーと同様のもの(アクリル酸メチルまたはメタクリル酸メチル等)が挙げられる。
長側鎖モノマーは、同じ構造のものが用いられること、つまり一種類のものが単独で用いられることが好ましい。互いに同じ構造の側鎖であれば、側鎖同士が互いに並びやすく、より結晶化しやすい。
なお、上記側鎖の第一級アルコールの炭素数は、上記の範囲に限らず、これよりも多い炭素数でもよく、少ない炭素数でもよい。ただし炭素数が多くなり過ぎたり、少なくなり過ぎたりすると結晶性が低くなる傾向がある。そのため、長側鎖モノマーに含まれる第一級アルコールの炭素数は、10〜20の範囲が好ましく、上記16〜18の範囲がより好ましい。
なお、ワックス材料4の融点は、例えば約50〜80℃程度であり、バインダのガラス転移
温度は約30〜50℃程度である。この程度の温度差であれば、バインダ3が、混合体の形状を確保できる程度に柔軟である状態で、ワックス材料4が溶融できるため、セラミックグリーンシート1としての保形性、および接着性の両立の点でより有利である。すなわち、ワックス材料4の融点は、バインダ3のガラス転移温度よりも若干(例えば5〜10℃程度)高い温度であることが好ましい。
また、混合体におけるワックス材料4の形態としては、例えばセラミック粉末の間に分散した粒状のもの、または不定形状のもの、または種々の形態が混在しているもの等が挙げられる。図1においては、ワックス材料4が粉末状(球状)である例を示している。
また、セラミックグリーンシート1を形成している混合体は、下面(第2主面)においてはワックス材料4を含んでいなくても構わない。混合体の下面側にワックス材料4が含まれていない場合には、下面側において混合体がより変形しにくい。そのため、このセラミックグリーンシート1の下面に金属ペーストを印刷する際に下面部分における変形が抑制される。したがって、この場合にはセラミックグリーンシート1に対する印刷性等の点で有利である。なお、混合体の下面側にワックス材料4が含まれていない場合とは、例えば混合体(セラミックグリーンシート1の下面をFT−IR等の方法で分析したときに、ワックス材料4が検知されない場合を意味する。
例えば、前述した図3に示すセラミック多層基板の製造方法においても、セラミックグリーンシートの第2主面に金属ペースト11を印刷している。そのため、図3(a)に示す成形時においては第1主面が上向きになっていたが、図3(b)に示す金属ペースト11の印刷の工程においてはセラミックグリーンシートを上下ひっくり返して、第2主面が上向きになるようにして、金属ペースト11を印刷しやすくしている。
また、実施形態のセラミックグリーンシート1において、低級アルコールを主成分とする有機溶剤に対する第2アクリルポリマーの溶解度が、その有機溶剤に対する第1アクリルポリマーの溶解度よりも小さいものであってもよい。低級アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)およびブタノール等が挙げられる。有機溶剤は、例えば、主成分である低級アルコールを約80質量%以上含むものであり、低級アルコールからなるものも含まれる。
この場合には、例えばセラミックグリーンシート1を成形する際に、ワックス材料4とバインダ3との溶解度の差(溶媒量の減少に伴う析出のしやすさ)を利用して、ワックス材料4とバインダ3とを別個に(ワックス材料4をバインダ3よりも先に)混合体の第1主面部分から析出させることが容易である。すなわち、上記実施形態での成形がより容易なセラミックグリーンシート1とすることができる。
例えば、後述するセラミックグリーンシートの作製時に、有機溶剤の主成分である溶媒としてメタノールまたはイソプロピルアルコール等の低級アルコールが用いられた場合には、第1アクリルポリマー(例えばメタクリル酸メチル等)の溶解度が約10%程度である。これに対して、第2アクリルポリマー(例えばメタクリル酸ラウリル等)の溶解度が約2%程度である。言いかえれば、上記の低級アルコールを主成分とする有機溶剤は、第2アクリルポリマーに対していわゆる貧溶媒に相当するものであり、有機溶剤の除去(気化)に伴い、第1アクリルポリマーに優先して第2アクリルポリマーを析出させる性質を有している。
(セラミックグリーンシートの製造方法)
図4は、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法を示すフロー図である。本発明の実施形態のセラミックグリーンシートの方法は、以下の各工程を含んでいる。すなわち
、まず、セラミック粉末、非晶性の第1アクリルポリマーを主成分とするバインダ、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分とするワックス材料、および第1アクリルポリマーの溶解度が第2アクリルポリマーの溶解度よりも大きい溶媒を主成分とする有機溶剤を混練してセラミックスラリーを作製する工程。次に、セラミックスラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシート用の予備シートを作製する工程。次に、予備シートから有機溶剤を除去して、ワックス材料をバインダよりも先に予備シートの上面部分から析出させる工程。以上の各工程が含まれている。以下、各工程について説明する。
図5(a)〜(c)は、それぞれ本発明の実施形態におけるセラミックグリーンシートの製造方法を工程順に、要部について模式的に示す断面図である。図6は、セラミックスラリーをシート状に成形する工程の一例を示す断面図である。
まず図5(a)に示すように、セラミック粉末2、バインダ、およびワックス材料4を有機溶剤とともに混練してセラミックスラリーを作製する。セラミックスラリーにおいてバインダは有機溶剤に溶解しているため、バインダと有機溶剤とを一体的に示している。
セラミック粉末2およびバインダ3は、例えば、上記実施形態のセラミックグリーンシートで例示したものと同様のものを用いることができる。この場合、セラミック粉末は、製作しようとするセラミック多層基板の用途等に応じて、適宜、粉砕、分級等の処理が施される。
有機溶剤としては、例えば上記実施形態のセラミックグリーンシートに関する説明で例示したような溶媒(メタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール)を主成分とするものが用いられる。有機溶剤は、実質的に上記溶媒のみからなるものであってもよい。実質的に溶媒のみからなるものとは、通常の工業的手段で上記溶媒を準備したときに含有される程度の不純物が含有されていても構わないことを意味する。また、有機溶剤には、低級アルコール以外に、シクロヘキサン等の炭化水素化合物やジメチルエーテル等のエーテル化合物等が含まれていても構わない。
ワックス材料4は、上記のように結晶性の第2アクリルポリマーである。このような材料としては、例えば、上記実施形態のセラミックグリーンシートで例示したものと同様のものが挙げられる。
ワックス材料4は、例えば、ワックスを有機溶剤に溶解させたワックス溶液粉末、溶剤との混合物等として、セラミック粉末、バインダおよび有機溶剤とを含む混合物に添加される。ワックス材料4を含むセラミックスラリーは、例えば回転ミル中で混練される。
セラミックスラリーへのワックス材料の添加量は、セラミック粉末に対してバインダが8〜20質量%の場合に、約2〜10質量%の範囲で行なわれる。
なお、セラミックスラリーは、後の工程での成形性等の向上のために、セラミック粉末2、バインダおよびワックス材料4に加えて、可塑剤、分散剤、顔料および焼結助材等の種々の添加材(図示せず)が添加されていても構わない。
次に図5(b)に示すように、作製したセラミックスラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシート用の予備シートを作製する。セラミックスラリーのシート状の形状への加工は、例えば図6に示すようなドクターブレード法によって行なうことができる。ホッパー中に溜めたセラミックスラリーを、所定の速度で移動する帯状の塗工紙(キャリア)上に塗布し、乾燥することによって成形を行なうことができる。セラミックスラリーの塗布厚み(つまり成形するセラミックグリーンシートの厚み)は、ドクターブレードと
キャリアとの間の隙間の大小によって調節することができる。
この成形に続いて、キャリアシートの移動につれてセラミックスラリーに含まれていた有機溶剤(前述した溶媒を主成分とするもの)が気化して除去され、セラミック粉末2同士がバインダ3によって互いに結合される。有機溶剤の気化、除去に際しては、シート状に成形されたセラミックスラリーに対して送風または輻射加熱等の手段によって、気化等を促進、または適当な気化速度に調整するようにしてもよい。
この有機溶剤の除去に伴い、図5(c)に示すように、予備シートの上部から、ワックス材料4が次第に析出してくる。これにより、予備シートの上部において内部よりも多くのワックス材料4を析出させることができる。なお、予備シートの上部からワックス材料4の析出し始めるのは、外気に面した上部において有機溶剤の蒸発がより早いことにより、ワックスの析出化が促進されるためである。
予備シートの上部における有機溶剤の気化、除去に応じて、予備シートの内部から上部に向かって、溶融したワックス材料4とともに有機溶剤が予備シートの上面側にさらに移動し、さらにこの上部においてより多くのワックス材料4が含有されるようになる。
以上の工程により、上面(例えば前述した実施形態のセラミックグリーンシート1における第1主面)にワックス材料4が多く含まれているセラミックグリーンシート1が作製される。すなわち、キャリアシート上で、セラミックスラリーが予備シートに成形され、この予備シートがセラミックグリーンシートになる。
また、このセラミックグリーンシート1においては、ワックス材料4の析出が上面側で進行し、上面側においてより多く析出しているため、上面側ではワックス材料4の含有率が大きいが、内部に向かって次第に、そのワックス材料4の含有量が減少する。そのため、ワックス材料4の含有量が、混合体の内部から上面(第1主面)にかけて漸次大きくなっているセラミックグリーンシート1を容易に作製(成形)することができる。
なお、本発明のセラミックグリーンシートおよびその製造方法は、上記実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、セラミックグリーンシート1は、混合体に加えて、混合体の露出表面に形成された識別用等のマーク(図示せず)等を含むものであってもよい。
1・・・・セラミックグリーンシート
2・・・・セラミック粉末
3・・・・バインダ
4・・・・ワックス材料
11・・・・金属ペースト
101・・・・セラミック多層基板
102・・・・絶縁層
103・・・・配線導体
104・・・・電子部品
105・・・・ボンディングワイヤ

Claims (5)

  1. セラミック粉末、バインダおよびワックス材料を含んでおり、第1主面および該第1主面と反対側の第2主面を有するシート状である混合体を備えており、
    前記バインダが、非晶性の第1アクリルポリマーを主成分として含んでおり、
    前記ワックス材料が、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分として含んでおり、
    前記ワックス材料の含有量が、前記混合体の内部から前記第1主面にかけて漸次大きくなっていることを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. 前記第2アクリルポリマーが、炭素数が16〜18の直鎖の炭化水素基を含む側鎖を有するアクリルポリマーであることを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート。
  3. 前記混合体は、前記第2主面において前記ワックス材料を含んでいないことを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート。
  4. 低級アルコールを主成分とする有機溶剤に対する前記第2アクリルポリマーの溶解度が、前記有機溶剤に対する前記第1アクリルポリマーの溶解度よりも小さいことを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート。
  5. セラミック粉末、非晶性の第1アクリルポリマーを主成分とするバインダ、結晶性の第2アクリルポリマーを主成分とするワックス材料、および前記第1アクリルポリマーの溶解度が前記第2アクリルポリマーの溶解度よりも大きい溶媒を主成分とする有機溶剤を混練してセラミックスラリーを作製する工程と、
    該セラミックスラリーをシート状に成形してセラミックグリーンシート用の予備シートを作製する工程と、
    前記予備シートから前記有機溶剤を除去して、前記ワックス材料を前記バインダよりも先に前記予備シートの上面部分から析出させる工程とを備えることを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
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