JP6185283B2 - フレキシブルデバイス用積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた耐熱性と寸法安定性を有するポリイミド系フィルムとガラス基板との積層体に関するものであり、この積層体のポリイミドフィルム表面に、電子素子を形成しフレキシブルデバイスを製造する際に有用である。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)や、電子ペーパー、などの電子デバイスの分野では、主としてガラス基板上に電子素子を形成したものが用いられているが、ガラス基板は剛直であり、しなやかさに欠けるため、フレキシブルになりにくいという問題がある。
そこで、フレキシブル性を有しかつ耐熱性を有するポリイミド等の有機高分子材料を基板として用いる方法が提案されている。
特許文献1〜3には、特定の化学構造を有するポリイミドフィルムを、キャリアとして使用するガラス基板上に積層し、このポリイミドフィルムを電子素子形成のための基板として利用することが提案されている。ここで用いられるガラス基板は、金属基板などと異なり、光透過性に優れるので、電子素子形成する際の検査工程が容易となる上、既存のガラス基板上に電子素子を形成するフレキシブルデバイス生産用の設備がそのまま転用できるという利点を有する。
このようなポリイミドが積層されたガラス基板においては、ガラス基板をキャリア用の基板として利用するので、ポリイミドフィルムの表面に電子素子を形成後、最後にポリイミドフィルムをガラス基板から剥離する必要があるが、ポリイミドフィルムとガラス基板が比較的強固に密着しているために、剥離が容易ではなく、これを工業的に行うためには、例えば、水等に浸漬することや、ガラス基板上に非晶質シリコン層を設けレーザー光を照射することによって剥離しなければならず、剥離性の改善が求められていた。
かかる剥離性を向上させるため、特許文献4には、ポリイミドフィルム層とガラス基板の間にパターン化された接着層(これが剥離層となる)を別途設ける方法が提案されている。
特開昭64−774号公報 特開2012−40836号公報 特開2012−102155号公報 特開2012−199546号公報
しかしながら、前記方法では、剥離性の改善は充分なものではなかった。また、前記方法に作成された積層体では、剥離後のポリイミドフィルムがカールしやすい傾向にあり、この点でも改良すべき点があった。
そこで、本発明は前記課題を解決するものであって、かつ良好な剥離性と、ガラス基板から剥離して、フレキシブルデバイスとした時にカールしにくいポリイミドフィルムとなる積層体の提供を目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究した結果、前記積層体にておいて、ガラス基板とポリイミド系フィルム層からなる積層体の構成を特定のものとすることにより前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は下記を趣旨とするものである。
1) ガラス基板と、2層以上の多層構造を有するポリイミド系フィルムとの積層体であって、ガラス基板とポリイミド系フィルムとの層間の接着強度が7N/cm以下であることを特徴とするフレキシブルデバイス用積層体。
2) ガラス基板から剥離したポリイミド系フィルムの曲率半径が30mm以上であることを特徴とする前記フレキシブルデバイス用積層体。
) ガラス基板に接するポリイミド系フィルム層に離型剤が配合されていることを特徴とする前記フレキシブルデバイス用積層体。
) 前記多層構造を形成するポリイミド系フィルムが、それぞれの残留歪を打ち消すように配置されていることを特徴とするフレキシブルデバイス用積層体。
本発明の積層体は、良好な剥離性を有しており、かつ剥離後のポリイミドフィルムのカールが抑制されているので、フレキシブルデバイスを製造する際の積層体として好適に用いることが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の積層体は、ガラス基板とポリイミド系フィルムとからなるものである。ガラス基板としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス等を用いることが出来、これらのなかで、無アルカリガラス基板を好ましく用いることが出来る。
前記ガラス基板の厚みとしては、0.3〜5.0mmが好ましい。厚みが0.3mmより薄いと基板のハンドリング性が低下することがある。また、厚みが5.0mmより厚いと生産性が低下することがある。これらのガラス基板は、ポリイミドフィルム層との離型性を向上させるために、離型層が設けられていても良い。
本発明の積層体で用いられるポリイミド系フィルムとは、ポリイミド系樹脂をフィルム化したものである。ポリイミド系樹脂は、主鎖にイミド結合を有する樹脂であり、具体例としては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、主鎖にイミド結合を有する樹脂であれば如何なる樹脂も使用することができる。 これらの樹脂は通常は単独で用いられるが、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリイミドは溶媒に溶解したポリアミック酸等ポリイミド前駆体を熱硬化して得られる前駆体型ポリイミドや溶媒可溶型のポリイミドを用いることができ、前駆体型ポリイミドを好ましく用いることが出来る。
前記ポリイミド系樹脂としては、イミド結合に由来する構成単位を50モル%以上有する(但し、全構成単位を100モル%とする)ことが好ましい。
前記ポリイミド系樹脂としては、市販品を用いてもよい。 即ち、例えば、「UイミドAR」、「UイミドAH」、「UイミドCR」、「UイミドCH」(いずれもユニチカ社製)やUワニスA(宇部興産社製)等のポリアミック酸型ワニス、「リカコートSN−20」(新日本理化社製)や「マトリミド5218」(ハンツマン社製)等を溶媒に溶解させた溶媒可溶型ポリイミドワニス、バイロマックスHR−11NN(東洋紡社製)等のポリアミドイミドワニスを使用することができる。
前記前駆体型ポリイミドは、原料となるテトラカルボン酸やその二無水物とジアミンの略等モルを、溶媒中で反応させて得られるポリイミド前駆体溶液をガラス基板上に塗布して、乾燥、熱硬化(イミド化)してポリイミドフィルムとするものである。
このポリイミド前駆体溶液を製造する際の、反応温度としては、−30〜60℃が好ましく、−15〜40℃がより好ましい。またこの反応において、モノマー及び溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。
ここでテトラカルボン酸もしくはその二無水物としては、例えばピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン、酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、2,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルメタンテトラカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸やこれらの二無水物などを単体もしくは混合物として使用することが出来るがこれらに限定されるものではない。
ここで、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸もしくはこれらの二無水物が特に好ましく用いられる。
また、ジアミンとしては例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタン、1,2−エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7―ヘプタンジアミン、1,8―オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1、10―デカンジアミン、1,12―ドデカンジアミン、cis−1,4―ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4―ジアミノシクロヘキサン、1,4―ジアミノシクロヘキサン異性体混合物、cis−cis−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、cis−trans−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、trans−trans−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン異性体混合物、cis−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、trans−1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノエチル)シクロヘキサン異性体混合物、cis−trans−4,4’−メチレンビス(2ーメチルシクロヘキシルアミン)、trans−trans−4,4’−メチレンビス(2ーメチルシクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2ーメチルシクロヘキシルアミン)異性体混合物、cis−cis−4,4’−ジアミノジシクロヘキシレンプロパン、cis−trans−4,4’−ジアミノジシクロヘキシレンプロパン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシレンプロパン等を単体もしくは混合物として使用することが出来るがこれらに限定されるものではない。
ここで、p−フェニレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンが特に好ましく用いられる。
ポリイミド前駆体の固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。このポリアミック酸溶液は部分的にイミド化されていても良い。
また本発明のポリイミド前駆体溶液の25℃に於ける粘度は1〜150Pa・sが好ましく、5〜100Pa・sがより好ましい。
ポリイミド前駆体溶液に用いられる溶媒としては、ポリイミド前駆体を溶解する溶媒であれば如何なる溶媒でも使用することが出来るが、例えば、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、水溶性アルコール系溶媒が挙げられる。
アミド系溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。
また、エーテル系化合物としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
また、水溶性アルコール系化合物としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
これらの溶媒は2種以上を混合して用いることができる。これらの溶媒のうち、特に好ましい例としては、単独溶媒としてはN,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられ、また、混合溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミドとN−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンとメタノール、N−メチル−2−ピロリドンと2―メトキシエタノール等の組み合わせが挙げられる。
前記ポリアミック酸溶液等ポリイミド系樹脂溶液には、ガラス基板からの剥離性を向上させるために離型剤を配合することが好ましい。このようにすることにより、ガラス基板とポリイミド系フィルムとの層間の接着強度を、本発明で必要とする7N/cm以下にすることが容易に達成出来る。ここで、前記接着強度としては、6N/cm以下がより好ましく、4N/cm以下が更に好ましい。ここで接着強度はJIS K6854に基づいて測定した値である。
離型剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸や、そのアミド、金属塩が挙げられ、好ましくはステアリン酸である。
配合量としては、ポリイミド系樹脂固形分100質量部に対して0.01から2質量部添加することが好ましく、より好ましくは0.01から1質量部である。配合量が0.01質量部より少ないと効果に乏しく、2質量部前より多い場合には効果は変わらず、むしろポリイミド系フィルムの力学的強度等の物性が低下する傾向となる
前記ポリイミド系樹脂溶液には、必要に応じて、例えば、各種界面活性剤、レベリング剤等の公知の添加物を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。また、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
本発明の積層体は、前記ガラス基板上に、例えば前記ポリイミド前駆体溶液を塗布、乾燥、熱硬化することにより製造することが出来る。
ガラス基板上への前記ポリイミド前駆体溶液の塗布は、連続もしくは枚葉で行うことが出来る。
ガラス基板上への連続塗布は、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、グラビアコーター、リバースロールコーター等の塗工機を用いておこなうことが出来る。
また、ガラス基板上への枚葉塗布は、バーコーター、ドクターブレードコーター、スピンコーター等の塗工機を用いて行うことができる。
ここで、ガラス基材への連続塗布は、ガラスが剛直であるため、困難を伴うことが多いので、工業生産の観点からは枚葉塗布が好ましい。
塗布厚みとしては、熱硬化後のポリイミドフィルムの厚さが、3〜100μmとすることが好ましく、10〜50μmとすることがより好ましい。
次にガラス基板上に塗布されたポリイミド前駆体溶液を乾燥する。ここでいう乾燥とは、加熱等の手段によりポリイミド前駆体溶液における溶媒量を減少させることをいう。この際、塗膜中の固形分濃度が50質量%以上となるまで溶媒の除去を行うことが好ましい。 乾燥には任意の装置を用いることができ、熱風乾燥機が好ましいが、赤外線加熱、電磁誘導加熱などを使用してもよい。乾燥のためには50〜200℃の温度範囲が適当である。
本発明の積層体は前記乾燥された塗膜の表面に更にポリイミド前駆体を塗布、乾燥して2層以上の多層構造とすることが好ましい。
この2層目のポリイミド前駆体は、1層目に使用したポリイミド前駆体と同種であっても異種であっても良いが、ポリイミド前駆体の熱硬化後に発生する、2層以上のポリイミドフィルム中のお互いの残留歪を打ち消すようにすることが好ましい。そのようにするには、例えば特許第4841103号公報に記載されているように1層目のポリイミド前駆体の硬化速度を2層目より遅くしたり、1層目のポリイミドの線膨張係数(CTE)を2層目のポリイミドのCTEよりも小さくしたりすれば良い。
このようにすることにより、硬化した後、ガラス基板から剥離することにより得られるポリイミドフィルムのカールを抑制することができる。
本発明の積層体から得られるポリイミド系フィルムは、そのカール性を評価する指標の一つであるフィルムの曲率半径は30mm以上であることが好ましく、50mm以上がより好ましく、70mm以上がさらに好ましい。ここで曲率半径は、10cm角に切り出したポリイミド系フィルム片の曲率半径を測定した値である。
前記乾燥塗膜は次に熱硬化を行う。熱硬化温度としては200℃以上、好ましくは300℃以上である。また、上限は450℃程度である。このような高温で十分に加熱処理を行う。ポリイミドの熱硬化の際、水や溶媒などのガスが発生するため、熱硬化は熱風循環下で行うことが好ましい。
前記の如くして得られた積層体は、ポリイミド系フィルム表面に電子素子形成後、これをガラス基板から剥離することによりフレキシブルデバイスとする。剥離するには、公知の方法、例えば駆動ロール、ロボット等の機械装置を用いて容易に剥離することができる。
なお、本発明のポリイミド系フィルムは、透明であることが好ましい。透明性の指標である500nmでの光線透過率としては、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
以上のべたように、本発明の積層体は、ポリイミド系フィルムの剥離が容易であり、剥離されたポリイミド系フィルムが優れた耐熱性と寸法安定性を有する上、そのカールが抑制されているので、フレキシブルデバイス製造用の積層体として好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらの実施例によって限定されるものではない。
<ポリイミド前駆体溶液の調製>
実施例及び比較例で使用したポリイミド前駆体溶液を以下のようにして調製した。
<ポリイミド前駆体溶液A>
特許第4841103号公報 参考例3記載の方法により、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)からポリイミド前駆体溶液を得た。すなわち、三つ口・フラスコに窒素ガス気流下、BPDA18.38g(62.5mmol)を採取し、DMAc122.5gを加えて溶解した。これにPDA6.62g(61.2mmol)とNMP52.5gを加えて室温で一夜間撹拌して、固形分濃度12.5質量%の均一なポリイミド前駆体溶液を得た。これをポリイミド前駆体溶液Aとする。
<ポリイミド前駆体溶液B>
特許第4841103号公報 参考例7記載の方法により、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)および3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸(BPA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)および4,4’−オキシジアニリン(ODA)から均一なポリイミド前駆体溶液を得た。すなわち、三つ口・フラスコに窒素ガス気流下、ODA30.03g(0.15mol)、PDA91.92g(0.85mol)、DMAc1180g及びNMP506gを採取し、このフラスコを氷水中に入れて上記内容物を30分間攪拌した後、BPDA250.09g(0.85mol)を加え、40℃の湯浴中で1時間攪拌を行った。次いで、BPA49.54(0.15mol)を加えて40℃の湯浴中で2時間攪拌し、さらに60℃の湯浴中で3時間攪拌を行い、固形分濃度20質量%の均一なポリイミド樹脂前駆体の溶液を得た。これをポリイミド前駆体溶液Bとする。
<ポリイミド前駆体溶液C>
ポリイミド前駆体溶液Aに、ポリイミド固形分100質量部あたり0.5質量部のステアリン酸を加え、均一なポリイミド前駆体溶液を得た。これをポリイミド前駆体溶液Cとする。
[実施例1]
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(コーニング社製 イーグル2000)の表面上に前記ポリイミド前駆体溶液Cを熱硬化後のフィルムの厚さが20μmになるようにバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥してポリイミド前駆体被膜を形成した。次いで、窒素ガス気流下で、100℃から360℃まで2時間かけて昇温した後、360℃で2時間熱処理し、ポリイミド前駆体を熱硬化させてイミド化した。これによって、ガラス基板と厚さ約15μmのポリイミドフィルム層を有する積層体を得た。得られた積層体のポリイミドフィルムは、容易に手でガラス板から剥離することが出来た。(この積層体をL−1とし、ポリイミドフィルムをP−1とする。)
[実施例2]
厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板(コーニング社製 イーグル2000)の表面上に前記ポリイミド前駆体溶液Cを熱硬化後のフィルムの厚さが16μmになるようにバーコータによって塗布し、130℃で10分間乾燥してポリイミド前駆体被膜を形成した。次いで、室温(25℃)に戻し、このポリイミド前駆体被膜上に、前記ポリイミド前駆体溶液Bを熱硬化後のフィルムの厚さが4μmになるようにバーコータによって塗布し、100℃で5分間乾燥して2層目の塗膜を外層を形成した。次いで、実施例1と同様に熱硬化させてイミド化した。これによって、ガラス基板と、2層からなる厚さ約20μmのポリイミドフィルム層を有する積層体を得た。得られた積層体のポリイミドフィルムは、容易に手でガラス基板から剥離することが出来た。(この積層体をL−2とし、ポリイミドフィルムをP−2とする。)
[比較例1]
ポリイミド前駆体溶液Cをポリイミド前駆体溶液Aに変更した以外は、実施例1と同様にして積層体を得た。得られた積層体のポリイミドフィルムは手でガラス基板から剥離することが困難であったので、温水に浸漬することによりガラス基板から剥離した。(この積層体をL−3とし、ポリイミドフィルムをP−3とする。)
[比較例2]
ポリイミド前駆体溶液Cをポリイミド前駆体溶液Aに変更した以外は、実施例2と同様にして積層体を得た。得られた積層体のポリイミドフィルムは手でガラス基板から剥離することが困難であったので、温水に浸漬することによりガラス基板から剥離した。(この積層体をL−4とし、ポリイミドフィルムをP−4とする。)
<接着強度の評価>
前記積層体L−1〜L〜4のガラス基板とポリイミドフィルム層の層間の接着強度をJIS K6854に基づいて180°剥離試験により測定した。
表1から、L−1およびL−2の接着強度は、それぞれ、3.8N/cm、3.5N/mと低い値となり、剥離性に優れていることが判る。これに対し、L−3およびL−4の接着強度は7N/cmを超えており、剥離が困難であることが判る。
<カール特性の評価>
前記ポリイミドフィルムP−1〜P−4を縦100mm、横100mmの大きさの試験片に切り出し、150℃×30分の加熱処理を行った後、それぞれ23℃、60%RHの雰囲気中に24時間放置した後、曲率半径を測定した。結果を表2に示す。
表2から、P−1およびP−2の曲率半径は、それぞれ、35mm、90mmと高い値となり、カールが抑制されていることが判る。これに対し、P−3およびP−4の曲率半径は30mm未満であり、カールが充分に抑制されていないことが判る。
上表から、本発明の積層体は、剥離性にすぐれ、かつ、剥離されたポリイミドフィルムはカールが抑制されていることが判る。この効果により、本発明の積層体は、フレキシブルデバイス用の積層体として好適に使用することが出来る。

Claims (4)

  1. ガラス基板と、2層以上の多層構造を有するポリイミド系フィルムとの積層体であって、ガラス基板とポリイミド系フィルムとの層間の接着強度が7N/cm以下であることを特徴とするフレキシブルデバイス用積層体。
  2. ガラス基板から剥離したポリイミド系フィルムの曲率半径が30mm以上であることを特徴とする請求項1記載のフレキシブルデバイス用積層体。
  3. ガラス基板に接するポリイミド系フィルム層に離型剤が配合されていることを特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブルデバイス用積層体。
  4. 多層構造を形成するポリイミド系フィルムが、それぞれの残留歪を打ち消すように配置されていることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載のフレキシブルデバイス用積層体。
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