JP2021091753A - ポリイミド基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低線膨張係数のポリイミドフィルムを有する、十分な寸法安定性を確保することができるポリイミド基板の製造方法の提供。【解決手段】基材上に、ポリアミック酸とアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化して、電子デバイスを形成するためのポリイミド基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物およびピロメリット酸二無水物、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミンを含むポリアミック酸溶液を用い、かつ前記熱硬化を連続的に昇温することにより行い、その昇温速度を、1℃/分超、10℃/分未満とすることを特徴とするポリイミド基板の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、ポリイミド(PI)前駆体であるポリアミック酸(PAA)溶液を用いたPI基板の製造方法に関するものである。
従来、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、および電子ペーパー等の電子デバイスの分野では、主としてガラス基板上に電子素子を形成したものが用いられているが、ガラス基板は剛直であり、しなやかさに欠けるため、フレキシブルになりにくいという問題がある。
そこで、フレキシブル性を有しかつ良好な耐熱性と寸法安定性とを有するPIフィルムをフレキシブル基板として用いる方法が提案されている。例えば、PIの前駆体であるPAA溶液を塗布、乾燥してPAA塗膜とし、これを熱硬化することによりガラス基板等の基材上にPIフィルムが積層一体化された状態としたものを利用することが提案されている。すなわち、基材上に積層されたPIフィルムの表面に電子素子を形成後、最後にPIフィルムをガラス基板から剥離することにより、PIフィルムからなるフレキシブル基板とする。
ここで、PIフィルムの良好な寸法安定性を確保するためには、400℃以上という高温度帯域において、PIフィルムの線膨張係数(CTE)を低くすることが必要である。
ここで、PIフィルムの良好な寸法安定性を確保するためには、400℃以上という高温度帯域において、PIフィルムの線膨張係数(CTE)を低くすることが必要である。
低CTEのPIフィルムを得るための方法として、基材上に、PAAとアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化して電子デバイスを形成するためのPI基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン(PDA)を含むPAAを用いたフレキシブルポリイミド基板を製造する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAを含むPAAにおいて、テトラカルボン酸100モル%に対して60モル%超のPMDA含むPAAを用いたPI基板を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAと微量の4,4′−オキシジアニリン(ODA)とを含むPAAにおいて、テトラカルボン酸100モル%に対して50モル%超のPMDA含むPAAを用いたPI基板を製造する方法が開示されている。
すなわち、特許文献1、特許文献2に開示された方法によれば、PMDAを比較的多量に用いたPAAとすることにより、400℃以上という高温度帯域において、低いCTEを示すPIフィルムとすることができると記載されている。
これらのPAA溶液を基材上に塗布して得られる塗膜を熱硬化することによりPIフィルムとする方法として、特許文献1の実施例には、「ステンレス基板に60〜100μmの厚さにキャストして150℃の熱風で10分間乾燥させた後、450℃まで昇温して30分間加熱」するという条件で、PAA塗膜を熱硬化する方法が記載されている。
また、特許文献2の実施例には、PAA塗膜の熱硬化条件として、「130℃のホットプレートで2分間ベーク(乾燥)し、厚さ18μmになるように製膜した後、得られた膜を、硬化炉を用い、200℃で30分間、さらに昇温して450℃で60分間加熱硬化」するという条件で、シリコン基板上に形成されたPAA塗膜を熱硬化する方法が記載されている。
例えば、特許文献1には、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAを含むPAAにおいて、テトラカルボン酸100モル%に対して60モル%超のPMDA含むPAAを用いたPI基板を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAと微量の4,4′−オキシジアニリン(ODA)とを含むPAAにおいて、テトラカルボン酸100モル%に対して50モル%超のPMDA含むPAAを用いたPI基板を製造する方法が開示されている。
すなわち、特許文献1、特許文献2に開示された方法によれば、PMDAを比較的多量に用いたPAAとすることにより、400℃以上という高温度帯域において、低いCTEを示すPIフィルムとすることができると記載されている。
これらのPAA溶液を基材上に塗布して得られる塗膜を熱硬化することによりPIフィルムとする方法として、特許文献1の実施例には、「ステンレス基板に60〜100μmの厚さにキャストして150℃の熱風で10分間乾燥させた後、450℃まで昇温して30分間加熱」するという条件で、PAA塗膜を熱硬化する方法が記載されている。
また、特許文献2の実施例には、PAA塗膜の熱硬化条件として、「130℃のホットプレートで2分間ベーク(乾燥)し、厚さ18μmになるように製膜した後、得られた膜を、硬化炉を用い、200℃で30分間、さらに昇温して450℃で60分間加熱硬化」するという条件で、シリコン基板上に形成されたPAA塗膜を熱硬化する方法が記載されている。
しかしながら、前記特許文献に記載されたPAAは、剛直なモノマであるPMDAを比較的多量に用いているため、得られるPIフィルムが硬くなりすぎて、PIフィルムと基材との密着性が損なわれるという問題があった。 また、PMDAの分子量がBPDAの分子量より小さいため、得られるPIフィルムの高分子鎖におけるイミド結合量が高くなる傾向があり、これに起因してPIフィルムの吸水率が増加し、吸水による寸法変化を起こしやすいという問題があった。
このような問題を回避するため、逆にPMDAの使用量の少ないPAAを用いると、低CTEが確保しにくいという問題があった。
このような問題を回避するため、逆にPMDAの使用量の少ないPAAを用いると、低CTEが確保しにくいという問題があった。
そこで、本発明は前記課題を解決するものであって、PMDAの使用量を比較的少量とした場合であっても、得られるPIフィルムの低CTE、すなわち十分な寸法安定性を確保することができるPI基板の製造方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するために鋭意研究した結果、基材上に特定のPAA溶液を塗布、乾燥、熱硬化してPI基板を製造する際に、特定の化学構造としたPAAを用い、かつ熱硬化を特定の条件で行うことにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
基材上に、PAAとアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化して、電子デバイスを形成するためのPI基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAを含むPAAを用い、かつ前記熱硬化を連続的に昇温することにより行い、その昇温速度を、1℃/分超、10℃/分未満とすることを特徴とするPI基板の製造方法。
基材上に、PAAとアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化して、電子デバイスを形成するためのPI基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAを含むPAAを用い、かつ前記熱硬化を連続的に昇温することにより行い、その昇温速度を、1℃/分超、10℃/分未満とすることを特徴とするPI基板の製造方法。
本発明の製造方法により得られるPI基板は、全テトラカルボン酸成分に対するPMDAの使用量を少なくした場合であっても、良好な寸法安定性(低CTE)を確保できる。従い、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、および電子ペーパー等のフレキシブルデバイス用の基板として好適に用いることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のPI基板製造方法においては、基材上に、PAAとアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化してPI基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、BPDAおよびPMDA、ジアミン成分として、PDAを含むPAA溶液を用いることが必要である。PAA溶液は、芳香族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物とを溶媒中で反応させることにより得られる。
ここで、PMDAの使用量としては、基材に対する密着性の確保および吸水による寸法変化抑制の観点から、テトラカルボン酸成分全量に対し、70モル%以下とすることが好ましく、60%以下とすることがより好ましい。
ここで、PMDAの使用量としては、基材に対する密着性の確保および吸水による寸法変化抑制の観点から、テトラカルボン酸成分全量に対し、70モル%以下とすることが好ましく、60%以下とすることがより好ましい。
本発明で用いられるPAA溶液においては、BPDAおよびPMDAの一部を他の芳香族テトラカルボン酸二無水物に置換してもよい。このような芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4′−ヘキサフルオロイソプロピリデンフタル酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4′−オキシジフタル酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、p−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、m−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単体または混合物として使用することができる。これらの使用量は、全芳香族テトラカルボン酸二無水物に対し、20モル%以下とすることが好ましく、10モル%以下とすることがより好ましい。
本発明で用いられるPAA溶液においては、PDAの一部を他の芳香族ジアミンに置換してもよい。芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、4,4′−オキシジアニリン(ODA)、3,3′−ビストリフルオロメチル−4,4′−ジアミノビフェニル(TFMB)、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノベンズアニリド、ジアミノベンゾエート、ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,5−ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジアミノベンゾトリフルオライド、1,4−ビス(p−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、ジアミノアントラキノン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシフェニル)ジフェニルスルホン等を挙げることができる。これらの芳香族ジアミンは、単体または混合物として使用することができる。これらの使用量は、全芳香族ジアミンに対し、20モル%以下とすることが好ましく、10モル%以下とすることがより好ましい。
PAA溶液を得るための溶媒としては、アミド系溶媒を用いることが必要である。アミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−エチル−2−ピロリドン(NEP)等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独または混合物として用いることができる。これらの中で、NMP、DMAcが、PAAに対する溶解性の観点から好ましい。これらの溶媒の含水率は500ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましい。このようにすることにより、PAA溶液中の含水率が低減され、PAA溶液の良好な保存安定性を確保することができる。
本発明で用いられるPAA溶液を得る際の反応温度としては、−30〜70℃が好ましく、−15〜60℃がより好ましい。また、この反応において、モノマおよび溶媒の添加順序は特に制限はなく、いかなる順序でもよい。PAAの固形分濃度としては1〜50質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。このPAAは部分的にイミド化されていてもよい。このようにして得られるPAA溶液の粘度は、塗布性の観点から、30℃での溶液粘度として、3Pa・s以上、100Pa・s以下とすることが好ましい。
本発明のPAA溶液は、基材に対する密着性確保の観点から、前記のようにして得られたPAA溶液にアルコキシシランを配合することが好ましい。アルコキシシランの配合量は、PAA質量に対し、5ppm超、500ppm未満とすることが好ましく、5ppm超、200ppm未満とすることがより好ましい。
アルコキシシランとしては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APMS)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APES)、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン(UPES)、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。これらの中で、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、およびこれらの混合物が好ましい。
本発明で用いられるPAA溶液は、これを50℃程度に加温することにより、PAAの一部をアルコキシシランで変性することもできる。
本発明で用いられるPAA溶液には、PIフィルムの透明性等の光学的特性を損なわない範囲で、シリカ、アルミナ等の微粒子が配合されていてもよい。これらの微粒子の体積平均粒子径(動的光散乱法による)は、10nm以上、100nm以下とすることが好ましい。また、その配合量は、PAA質量に対し、5質量%以上、20質量%以下とすることが好ましい。
本発明で用いられるPAA溶液には、他の重合体が本発明の効果を損なわない範囲で添加されていてもよい。
前記PAA溶液を用いてPI基板を得る際は、基材上にPAA溶液を、塗布、乾燥後、連続的に昇温し、熱硬化してPIフィルムとすることが必要である。ここで「連続的に昇温」とは、熱硬化の際の雰囲気温度を制御された昇温速度で昇温することをいう。この昇温速度は、PIフィルムの良好な寸法安定性(低CTE)を確保する観点から、1℃/分超、10℃/分未満で行うことが必要であり、1℃/分超、5℃/未満で行うことが好ましい。昇温の際の上限温度は、350℃以上、500℃以下とすることが好ましく、400℃以上、450℃以下とすることがより好ましい。この昇温過程においては、昇温途中で、雰囲気温度を一定時間保持する工程が含まれていてもよい。また、上限温度に達した際は、10分以上保持することが好ましい。
熱硬化の際の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
このように昇温速度を制御された範囲とすることにより、PMDAの配合量を少なくした場合であっても、得られるPIフィルムの低CTEを確保することができる。昇温速度を、1℃/分以下とすると生産性が低下することがあり、10℃/分以上とすると低CTEの確保が難しいことがある。
熱硬化の際の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
このように昇温速度を制御された範囲とすることにより、PMDAの配合量を少なくした場合であっても、得られるPIフィルムの低CTEを確保することができる。昇温速度を、1℃/分以下とすると生産性が低下することがあり、10℃/分以上とすると低CTEの確保が難しいことがある。
本発明の製造方法で得られるPIフィルムのCTEは、10ppm/K以下とすることが好ましく、8ppm/K以下とすることがより好ましい。
CTEは,JIS K7197−1991の規定に準拠し、TMA(熱機械分析)により確認することができる。すなわち、十分に乾燥されたサンプル(長さ20mm、幅5mm)を支持台にかけ、27mNの荷重を加えた後、窒素雰囲気中下、100℃〜450℃まで5℃/minの昇温速度で加熱後、徐々に降温し、その後、再び、100℃〜450℃まで5℃/minの昇温速度で加熱して、再加熱時の、100℃〜450℃における線膨張率を測定することにより、確認することができる。
本発明の製造方法で用いられる基材としては、ガラス基板、シリコン基板、金属箔等を用いることができるが、ガラス基板を用いることが好ましい。ガラス基板を構成するガラス素材としては、例えば、ソーダライムガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス等を挙げることができ、これらの中で、無アルカリガラスが好ましい。これらのガラス基板は、シランカップリング剤処理等公知の表面処理がなされていてもよい。ガラス基板の厚みとしては、0.3〜5.0mmが好ましい。厚みが0.3mmより薄いと基板のハンドリング性が低下することがある。また、厚みが5.0mmより厚いと生産性が低下することがある。
ガラス基板へのPAA溶液の塗布方法としては、テーブルコータ、ディップコータ、バーコータ、スピンコータ、ダイコータ、スプレーコータ等公知の方法を用い、連続式またはバッチ式で塗布することができる。
本発明の製造方法においては、得られたPIフィルムの表面に電子素子を形成後、当該PIフィルムをガラス基板等の基材から、レーザ照射等公知の方法で剥離することができるので、電子デバイスの製造に有用である。
ガラス基板等の基材からの剥離後のPIフィルムの厚みは、1μm以上、50μm以下とすることが好ましく、5μm以上、40μm以下とすることがより好ましい。
電子素子としては、従来電子デバイスの分野で用いられているあらゆる電子素子が使用可能である。電子素子の形成方法は、PI塗膜(フィルム)をフレキシブル基板として用いる電子デバイスの分野で公知の方法を採用することができる。
電子デバイスとしては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、電子ペーパー等のフレキシブルデバイスが挙げられる。
以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、PDA(0.600モル)と含水率が200ppm以下のNMP(重合溶媒)を投入して攪拌し、PDAを溶解した。この溶液をジャケットで30℃以下に冷却しながら、BPDA(0.312モル)とPMDA(0.300モル)とを徐々に加えた後、60℃で100分重合反応させることにより、PAA固形分濃度が18質量%のPAA溶液を得た。この溶液に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APMS)を、室温(25℃)にて、PAA質量に対し、80ppm加えて、攪拌することにより、均一なPAA溶液(A−1)を得た。
厚み0.7mmの無アルカリガラス基板(20cm角)の表面上に、A−1をテーブルコータにより塗布し、45℃で30分、80℃で10分乾燥してPAA塗膜を形成した。
次いで、窒素ガス気流下、表1に示す昇温条件で450℃まで昇温し、450℃で60分保持することより、PAA塗膜を熱硬化した。その後、PIフィルムをガラス基板から剥離して、厚み20μmのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
ガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、PDA(0.600モル)と含水率が200ppm以下のNMP(重合溶媒)を投入して攪拌し、PDAを溶解した。この溶液をジャケットで30℃以下に冷却しながら、BPDA(0.312モル)とPMDA(0.300モル)とを徐々に加えた後、60℃で100分重合反応させることにより、PAA固形分濃度が18質量%のPAA溶液を得た。この溶液に、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APMS)を、室温(25℃)にて、PAA質量に対し、80ppm加えて、攪拌することにより、均一なPAA溶液(A−1)を得た。
厚み0.7mmの無アルカリガラス基板(20cm角)の表面上に、A−1をテーブルコータにより塗布し、45℃で30分、80℃で10分乾燥してPAA塗膜を形成した。
次いで、窒素ガス気流下、表1に示す昇温条件で450℃まで昇温し、450℃で60分保持することより、PAA塗膜を熱硬化した。その後、PIフィルムをガラス基板から剥離して、厚み20μmのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
<実施例2〜4>
昇温条件を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
昇温条件を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
<実施例5>
テトラカルボン酸二無水物として、BPDA(0.252モル)とPMDA(0.360モル)とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
テトラカルボン酸二無水物として、BPDA(0.252モル)とPMDA(0.360モル)とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
<比較例1〜4>
昇温条件を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
昇温条件を表1に記載の条件としたこと以外は、実施例1と同様にして、厚み20mのPIフィルムを得た。このPIフィルムのCTE測定結果を表1に示した。
実施例、比較例で示したように、ガラス基板上に形成されたPAA塗膜を所定の昇温速度で連続的に昇温することにより、得られるPIフィルムの低CTEを確保することができる。
本発明の製造方法を用いて得られるPI基板は、寸法安定性、耐熱性に優れるので、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、有機ELディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)、および電子ペーパー等のフレキシブルデバイス用の基板として好適に用いることができる。
Claims (1)
- 基材上に、ポリアミック酸(PAA)とアミド系溶媒とを含む溶液を塗布、乾燥、熱硬化して、電子デバイスを形成するためのポリイミド基板を製造するに際し、テトラカルボン酸成分として、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)およびピロメリット酸二無水物(PMDA)、ジアミン成分として、p−フェニレンジアミン(PDA)を含むPAA溶液を用い、かつ前記熱硬化を連続的に昇温することにより行い、その昇温速度を、1℃/分超、10℃/分未満とすることを特徴とするポリイミド基板の製造方法。
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