(第一実施形態)
以下、第一実施形態を説明する。
図1に示すように、DC−DCコンバータ1は、入力電圧Viに基づいて出力電圧Voを生成する。この出力電圧Voは、DC−DCコンバータ1が接続された負荷2に供給される。
DC−DCコンバータ1は、出力電圧Voを生成する変換回路11と、変換回路11を制御する制御回路12を有している。
変換回路11は、トランジスタT1,T2、インダクタL1、コンデンサC1を有している。トランジスタT1は例えばPチャネルMOSトランジスタであり、トランジスタT2は例えばNチャネルMOSトランジスタである。
トランジスタT1の第1端子(ソース端子)は入力電圧Viを供給する配線(以下、配線Vi)に接続されている。トランジスタT1のドレイン端子はトランジスタT2のドレイン端子に接続されている。トランジスタT2のソース端子は低電位電圧VSSを供給する配線(以下、配線VSS)に接続されている。低電位電圧VSSは例えば0V(ゼロボルト)である。トランジスタT1のゲート端子には制御回路12から制御信号DHが供給される。トランジスタT1は、制御信号DHに応答してオンオフする。トランジスタT2のゲート端子には制御回路12から制御信号DLが供給される。トランジスタT2は、制御信号DLに応答してオンオフする。
トランジスタT1とトランジスタT2の間のノードLXはインダクタL1の第1端子に接続され、インダクタL1の第2端子はコンデンサC1の第1端子に接続されている。コンデンサC1の第2端子は配線VSSに接続されている。インダクタL1とコンデンサC1の間の出力ノードNoは、負荷2に接続されている。なお、図1において、インダクタL1に直列に接続された抵抗は、インダクタL1に含まれる直流抵抗DCRである。また、コンデンサC1に直列に接続された抵抗は、コンデンサC1の等価直列抵抗ESRである。
制御回路12は、出力電圧Voに基づいて、メイン側のトランジスタT1に供給する制御信号DHのパルス幅を制御する。また、制御回路12は、制御信号DHに応じて、同期側のトランジスタT2に供給する制御信号DLを制御する。
制御回路12は、参照電圧生成回路21、リセット信号生成回路22、比較器(コンパレータ)23、駆動信号生成回路24、基準電源E1,E2を有している。リセット信号生成回路22は、参照電圧生成回路25、比較器26、ワンショット回路27を有している。駆動信号生成回路24は、RS−フリップフロップ回路(RS−FF回路)28、駆動回路29を有している。駆動信号生成回路24は制御部の一例である。
基準電源E1の第1端子(プラス端子)は参照電圧生成回路25に接続され、第2端子(マイナス端子)は配線VSSに接続されている。基準電源E1は、第1端子と第2端子の間の電位差を低電位電圧VSSに加算し、低電位電圧VSSより高い基準電圧VR1を生成する。基準電圧VR1の電圧値は、例えば出力電圧Voの目標値に応じて設定される。基準電源E1の第1端子(プラス端子)は、基準電源E2の第2端子(マイナス端子)に接続されている。基準電源E2の第1端子(プラス端子)はリセット信号生成回路22の参照電圧生成回路25に接続されている。基準電源E2は、基準電圧VR1に電圧Vpを加算し、基準電圧VR1より高い基準電圧VR2(=VR1+Vp)を生成する。
参照電圧生成回路21は、基準電圧VR1に基づいて参照電圧VS1を生成する。例えば、参照電圧生成回路21は、基準電圧VR1に、所定の割合で変化する、つまり第1傾斜を有する電圧を加算して参照電圧VS1を生成する。参照電圧VS1は第1参照電圧の一例である。参照電圧生成回路21は第1電圧生成回路の一例である。参照電圧VS1は、比較器23の非反転入力端子に供給される。基準電圧VR1に加算する電圧の傾斜は第1傾斜の一例である。
比較器23の反転入力端子には、出力電圧Voが供給される。比較器23は、出力電圧Voと参照電圧VS1を互いに大小比較した結果に応じた信号SC1を出力する。例えば、比較器23は、出力電圧Voが参照電圧VS1より高いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC1を生成するまた、比較器23は、出力電圧Voが参照電圧VS1より低いときに第2のレベル(例えばHレベル)の出力信号SC1を生成する。比較器23は第1比較器の一例である。出力信号SC1は、RS−FF回路28のセット端子Sに供給される。
参照電圧生成回路25は、基準電圧VR2とワンショット回路27にて生成されるリセット信号SR1に基づいて参照電圧VS2を生成する。例えば、参照電圧生成回路25は、基準電圧VR2に、所定の割合で変化する、つまり所定の傾斜を有する電圧を減算して参照電圧VS2を生成する。参照電圧VS2は第2参照電圧の一例である。参照電圧生成回路25は第2電圧生成回路の一例である。参照電圧VS2は、比較器26の反転入力端子に供給される。基準電圧VR2から減算する電圧の傾斜は第2傾斜の一例である。
比較器26の非反転入力端子には、出力電圧Voが供給される。比較器26は、出力電圧Voと参照電圧VS2を互いに大小比較した結果に応じた信号SC2を出力する。例えば、比較器26は、出力電圧Voが参照電圧VS2より低いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC2を生成する。また、比較器26は、出力電圧Voが参照電圧VS2より高いときに第2のレベル(例えばHレベル)の出力信号SC2を生成する。比較器26は第2比較器の一例である。出力信号SC2は、ワンショット回路27に供給される。
ワンショット回路27は、Hレベルの信号SC2に基づいて、その信号の立ち上がりエッジのタイミングからHレベルのパルス幅を所定値としたリセット信号SR1を出力する。リセット信号SR1は、RS−FF回路28のリセット端子Rと、参照電圧生成回路25に供給される。
RS−FF回路28のセット端子Sには比較器23の出力信号SC1が供給され、RS−FF回路28のリセット端子Rにはリセット信号生成回路22からリセット信号SR1が供給される。RS−FF回路28は、Hレベルの信号SC1に応答して、Hレベルの制御信号SG1を出力端子Qから出力し、Lレベルの制御信号SG2を反転出力端子XQから出力する。また、RS−FF回路28は、Hレベルのリセット信号SR1に応答して、Lレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2を出力する。
駆動回路29は、RS−FF回路28からの制御信号SG1,SG2に基づいて制御信号DH,DLを生成する。例えば、駆動回路29は、Hレベルの制御信号SG1及びLレベルの制御信号SG2に応答して、Lレベルの制御信号DH,DLを生成する。また、駆動回路29は、Lレベルの制御信号SG1及びHレベルの制御信号SG2に応答して、Hレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの制御信号DHに応答してオフする。同期側のトランジスタT2は、Hレベルの制御信号DLに応答してオンする。
参照電圧生成回路21は、定電流源31、コンデンサC11、スイッチ回路SW1を有している。
定電流源31の第1端子は配線Viに接続され、定電流源31の第2端子はコンデンサC11の第1端子に接続されている。コンデンサC11の第2端子には基準電圧VR1が供給される。コンデンサC11には、スイッチ回路SW1が並列に接続されている。スイッチ回路SW1は、例えば例えばPチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW1にはRS−FF回路28から出力される制御信号SG2が供給される。スイッチ回路SW1は、制御信号SG2に応答してオンオフする。スイッチ回路SW1は第2スイッチの一例である。
コンデンサC11と定電流源31の間のノードN11は、比較器23の非反転入力端子に接続されている。ノードN11の電位は参照電圧VS1である。
スイッチ回路SW1は、Lレベルの制御信号SG2に応答してオンし、コンデンサC11の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC11の第1端子に接続されたノードN11の電位は、基準電圧VR1と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路21は、基準電圧VR1と等しい参照電圧VS1を出力する。
スイッチ回路SW1は、Hレベルの制御信号SG2に応答してオフする。定電流源31は、入力電圧Viの配線からコンデンサC11に向って一定の電流Isを流す。コンデンサC11の第1端子に接続されたノードN11の電位は、定電流源31に流れる電流Isに応じて上昇する。したがって、ノードN11の電位は、基準電圧VR1に、コンデンサC11の両端子間の電位差を重畳した電位となる。
したがって、参照電圧VS1は、制御信号SG2に応答してスイッチ回路SW1がオンしている間、基準電圧VR1と等しくなる。そして、参照電圧VS1は、制御信号SG2に応答してスイッチ回路SW1がオフすると、基準電圧VR1から所定の割合(傾斜)にて変化(上昇)する。参照電圧VS1は、基準電圧VR1に対して、所定の傾斜にて上昇するスロープを付加した電圧である。このように、参照電圧生成回路21は、制御信号SG2に基づいて、基準電圧VR1を所定の割合で変化させて参照電圧VS1を生成する。
参照電圧生成回路25は、RS−フリップフロップ回路(RS−FF回路)32、スイッチ回路SW2、コンデンサC12、定電流源33を有している。
基準電圧VR2はコンデンサC12の第1端子に供給される。コンデンサC12の第2端子は定電流源33の第1端子に接続され、定電流源33の第2端子は配線VSSに接続されている。コンデンサC12と定電流源33の間のノードN12は、比較器26の反転入力端子に接続されている。コンデンサC12にはスイッチ回路SW2が並列に接続されている。スイッチ回路SW2は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW2には、RS−FF回路32の出力信号S11が供給される。スイッチ回路SW2は、出力信号S11に応答してオンオフする。スイッチ回路SW2は第1スイッチの一例である。
RS−FF回路32のセット端子Sにはリセット信号SR1が供給される。RS−FF回路32のリセット端子Rにはクロック信号CLKが供給される。クロック信号CLKは、DC−DCコンバータ1に含まれる発振回路、又はDC−DCコンバータ1を含む半導体装置の発振回路から供給される。RS−FF回路32は、出力端子Qから信号S11を出力する。例えば、RS−FF回路32は、Hレベルのリセット信号SR1に応答してHレベルの信号S11を出力し、Hレベルのクロック信号CLKに応答してLレベルの信号S11を出力する。
スイッチ回路SW2は、Hレベルの信号S11に応答してオンし、コンデンサC12の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC12の第2端子に接続されたノードN12の電位は、基準電圧VR2と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路25は、基準電圧VR2と等しい参照電圧VS2を出力する。
スイッチ回路SW2は、Lレベルの信号S11に応答してオフする。定電流源33は、コンデンサC12から低電位電圧VSSの配線に向って一定の電流Ipを流す。コンデンサC12の第2端子に接続されたノードN12の電位は、定電流源33に流れる電流Ipに応じて下降する。したがって、ノードN12の電位は、基準電圧VR2に、コンデンサC12の両端子間の電位差を重畳した電位となる。そして、このノードN12における電位は参照電圧VS2である。
したがって、参照電圧VS2は、リセット信号SR1に基づいてスイッチ回路SW2がオンしている間、一定の基準電圧VR2と等しくなる。そして、参照電圧VS2は、クロック信号CLKに基づいてスイッチ回路SW1がオフすると、基準電圧VR2から所定の割合(傾斜)にて変化(下降)する。参照電圧VS2は、基準電圧VR2に対して、所定の傾斜にて下降するスロープを付加した電圧である。参照電圧VS2の傾きは、コンデンサC12の容量値と、定電流源33に流れる電流Ipに基づく。このように、参照電圧生成回路25は、リセット信号SR1とクロック信号CLKに基づいて、基準電圧VR2を所定の割合で変化させて参照電圧VS2を生成する。
上記のように、参照電圧生成回路25は、クロック信号CLKに応じたタイミングで、基準電圧VR2から所定の割合で低下し、リセット信号SR1に応じたタイミングで基準電圧VR2となる参照電圧VS2を生成する。比較器26は、出力電圧Voを参照電圧VS2と比較して出力信号SC2を出力する。ワンショット回路27は、出力信号SC2に基づいてリセット信号SR1を出力する。
出力電圧Voが基準電圧VR2より低いとき、リセット信号SR1の立ち上がりタイミング(Hレベルのリセット信号SR1が出力されるタイミング)は、参照電圧VS2の傾きと、出力電圧Voと基準電圧VR2の電位差に基づく。そして、参照電圧VS2は、クロック信号CLKに基づくタイミングで、基準電圧VR2から低下する。したがって、リセット信号生成回路22は、クロック信号CLKと位相が異なるリセット信号SR1を生成する。クロック信号CLKとリセット信号SR1の間の位相差は、出力電圧Voに応じて変化する。つまり、リセット信号生成回路22は、クロック信号CLKに対して、出力電圧Voに応じた位相差のリセット信号SR1を生成する。
次に、図2にしたがって、上記DC−DCコンバータ1の動作を簡単に説明する。なお、図2は、説明を簡潔にするため、波形を縦軸方向及び横軸方向に適宜拡大,縮小して示している。
Hレベルのクロック信号CLKに基づいて参照電圧VS2は所定の割合で下降する。そして、参照電圧VS2が出力電圧Voより低くなると、Hレベルのリセット信号SR1が生成される。Hレベルのリセット信号SR1に基づいて生成されるHレベルの制御信号DH,DLにより図1に示すトランジスタT1がオフし、トランジスタT2がオンする。オンしたトランジスタT2によりノードLXは低電位電圧VSSレベルとなり、コイル電流ILXが減少する。
次に、Hレベルのリセット信号SR1に基づいて図1に示すRS−FF回路28から出力されるHレベルの制御信号SG2に基づいて参照電圧VS1は所定の割合で上昇する。そして、参照電圧VS1が出力電圧Voより高くなると、Hレベルのセット信号SC1が生成される。Hレベルのセット信号SC1に基づいて生成されるLレベルの制御信号DH,DLにより図1に示すトランジスタT1がオンし、トランジスタT2がオフする。オンしたトランジスタT1によりノードLXは入力電圧Viレベルとなり、コイル電流ILXが増加する。
トランジスタT1は、Hレベルのリセット信号SR1に基づいて生成されるHレベルの制御信号DHによりオフし、Hレベルの出力信号SC1に基づいて生成されるLレベルの制御信号DHによりオンする。したがって、トランジスタT1は、Hレベルの出力信号SC1からHレベルのリセット信号SR1までの間オンする。この期間をオン期間(Ton)とする。また、トランジスタT1は、Hレベルのリセット信号SR1からHレベルの出力信号SC1までの間オフする。この期間をオフ期間(Toff)とする。
出力電圧Voが上昇すると、出力信号SC1の出力タイミングが遅くなり、リセット信号SR1の出力タイミングが早くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが短くなり、出力電圧Voが低下する。出力電圧Voが下降すると、出力信号SC1の出力タイミングが早くなり、リセット信号SR1の出力タイミングが遅くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが長くなり、出力電圧Voが上昇する。したがって、出力電圧Voの高低に応じてトランジスタT1のオン時間(Ton)が調整され、出力電圧Voが安定する。
図1に示すリセット信号生成回路22は、クロック信号CLKに対して、コンデンサC12の容量値Cp、定電流源33の電流Ip、出力電圧Vo、基準電圧VR1,VR2に応じた位相差のリセット信号SR1を生成する。
参照電圧VS1の変化量(リップル)が十分に小さいとした場合、出力電圧Voは基準電圧VR1とほぼ等しくなる(Vo≒VR1)。
リセット信号SR1は、基準電圧VR2から所定の割合で変化(減少)する参照電圧VS2と、出力電圧Voを互いに比較した結果に応じて生成される。この参照電圧VS1は、コンデンサC12に蓄積した電荷を、定電流源33に流れる電流Ipに応じて低電位電圧VSSの配線に向って放電することにより得られる。従って、リセット信号SR1の発生タイミングは、基準電圧VR2と出力電圧Voの差電圧ΔVor、コンデンサC12の容量値Cp、電流Ipの値に応じてきまる。クロック信号CLKに対するリセット信号SR1の位相遅れTpは、
Tp=Ip/(Cp*ΔVor)
となる。
出力電圧Voが基準電圧VR1とほぼ等しいとき、クロック信号CLKに対するリセット信号SR1の遅延時間は、基準電圧VR1と基準電圧VR2の電位差、コンデンサC12の容量値、定電流源33における電流Ipに応じた値となる。基準電圧VR1と基準電圧VR2の電位差は、基準電源E2における順方向電圧Vpと等しい。このとき、クロック信号CLKに対するパルス信号(リセット信号SR1)の位相の遅れTpは、コンデンサC12の容量値Cpと、定電流源33の電流Ipに応じて、
Tp≒Ip/(Cp*Vp)
となる。
ここで、基準電圧VR2の電圧値(基準電源E2の順方向電圧Vp)、コンデンサC12の容量値Cp、定電流源33の電流Ipは、位相遅れTpをクロック信号CLKの周期Tclkよりも小さくなる(Tp<Tclk)ように設定される。
例えば、出力電圧Voが基準電圧VR1とほぼ等しいときに、コンデンサC12と定電流源33の間のノードN12の電位は、スイッチ回路SW2をオンすることにより、出力電圧Vo(≒VR1)から基準電圧VR2まで上昇する。このように、スイッチ回路SW2をオンしてからコンデンサC11の2つの電極の電位を互いに等しくするまでに要する時間をTd2とする。電圧Vp,容量値Cp,電流量Ipは、位相遅延量Tpをクロック信号CLKの周期Tclkと時間Td2の差とほぼ等しくする(Tp=Tclk−Td2)ように設定することが好ましい。
負荷2における負荷電流Ioが変化しない定常動作時において、出力電圧Voは安定している。したがって、メイン側のトランジスタT1は、リセット信号SR1に応じてオフされる。リセット信号生成回路22は、基準電圧VR2を所定の割合で変化させて生成した参照電圧VS2と、出力電圧Voを比較してリセット信号SR1を生成する。したがって、出力電圧Voが安定しているとき、クロック信号CLKの各パルスに対して、リセット信号SR1の各パルスの遅延時間は、各クロック信号CLKのサイクルに対して変化しない。したがって、定常動作時におけるリセット信号SR1の周期は、クロック信号CLKの周期と等しい。つまり、定常動作時におけるトランジスタT1のスイッチング周期(DC−DCコンバータ1の発振周波数)は、クロック信号CLKの周期と等しい。
リセット信号SR1は、出力電圧Voと参照電圧VS2を互いに比較した結果に応じて生成される。参照電圧VS2は、基準電圧VR2から所定の割合で低下する。したがって、リセット信号SR1の位相遅延量Tpは、出力電圧Voに応じて変化する。例えば、出力電圧Voが低下すると位相遅延量Tpは大きくなり、出力電圧Voが上昇すると位相遅延量Tpは小さくなる。
次に、図4にしたがって、比較例のDC−DCコンバータ100を説明する。
なお、比較例の回路について、上記実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
DC−DCコンバータ100の制御回路102に含まれるRS−FF回路28のリセット端子Rにはクロック信号CKbが供給される。RS−FF回路28は、Hレベルのクロック信号CKbに応答してLレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2を生成する。駆動回路29は、Lレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2に基づいて、Hレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1はHレベルの制御信号DHに応答してオフする。
制御回路102は、オフ時間タイマ103とアンド回路104を有している。オフ時間タイマ103は、制御信号SG2の立ち上がりタイミングから所定時間Hレベルの信号S12を生成する。アンド回路104は、比較器23の出力信号SC1と、オフ時間タイマ103の出力信号S12を論理演算(論理積演算)した結果に応じた信号S13を出力する。
このDC−DCコンバータ100は、同期型Toff制御コンバータであり、スロープ状の参照電圧VS1(ノコギリ波形の電圧)に基づいてトランジスタT1をオンし、クロック信号CKbに基づいてトランジスタT1をオフする。
次に、図5(a),(b)にしたがって、図1に示すDC−DCコンバータ1と、図4に示すDC−DCコンバータ100を比較する。
図5(a)に示すように、負荷電流Ioの変化に応じて出力電圧Voが低下する。図1に示す比較器23は、基準電圧VR1から所定の割合で上昇する参照電圧VS1と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じたタイミングでHレベルの信号SC1を出力する。したがって、出力電圧Voが低下すると、Hレベルの信号SC1の出力タイミングが早くなる。駆動信号生成回路24は、Hレベルの信号SC1に応答してLレベルの制御信号DHを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Lレベルの制御信号DHに応答してオンする。したがって、出力電圧Voの低下に応じて、メイン側のトランジスタT1がオンするタイミングが、定常動作時よりも早くなる。
図1に示すリセット信号生成回路22は、比較器26による参照電圧VS2と出力電圧Voの比較結果に応じたタイミングでHレベルのリセット信号SR1を生成する。出力電圧Voが低下すると、その分、Hレベルのリセット信号SR1を出力するタイミング、つまりリセット信号SR1の立ち上がりタイミングが遅くなる。駆動信号生成回路24は、Hレベルのリセット信号SR1に応答してHレベルの制御信号DHを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの制御信号DHに応答してオフする。したがって、出力電圧Voの低下に応じて、メイン側のトランジスタT1がオフするタイミングが、定常動作時よりも遅くなる。したがって、メイン側のトランジスタT1のオン期間Tonが定常動作時より長くなる。
図5(b)に示すように、比較例のDC−DCコンバータ100は、クロック信号CKbに同期してメイン側のトランジスタT1をオフする。例えば、クロック信号CKbの周波数を図1に示すクロック信号CLKの周波数と等しくする。そして、入力電圧Viや基準電圧VR1を図1に示すDC−DCコンバータ1のそれらと等しくした場合、図4に示すDC−DCコンバータ100においてトランジスタT1をオンするタイミングは、図1に示すDC−DCコンバータ1においてトランジスタT1をオンするタイミングと等しい。例えば、図5(b)に示すように、トランジスタT1をオンするタイミング(信号S13のタイミング)を、図5(a)に示す出力信号SC1と同じタイミングとなるように表示する。このとき、クロック信号CKbのタイミングは、定常動作時におけるリセット信号SR1のタイミングと等しい。
そして、負荷の変化に応じて出力電圧Voが低下した場合、図1に示すDC−DCコンバータ1は、出力電圧Voに応じて、トランジスタT1のオンタイミングを早くし、トランジスタT1のオフタイミングを遅くする。一方、図4に示すDC−DCコンバータ100は、出力電圧Voに応じてトランジスタT1のオンタイミングを早くし、クロック信号CKbに応じてトランジスタT1をオフする。したがって、図1に示すDC−DCコンバータ1は、図4に示すDC−DCコンバータ100に比べ、トランジスタT1のオン時間が長い。
また、図1に示すDC−DCコンバータ1の場合、図5(a)に示すように、出力電圧Voに応じて、トランジスタT1をオンしてからトランジスタT1をオフするまでの期間(オン期間Ton)を、クロック信号CLKの1周期よりも長くすることもできる。メイン側のトランジスタT1のオン期間Tonを長くすると、その分コイル電流ILXが連続的に上昇する。したがって、図1に示すDC−DCコンバータ1は、比較例のDC−DCコンバータ100と比べ、負荷の急変に対する特性が向上している。
例えば、図3に一点鎖線にて示すように、負荷電流Ioが急変する。そして、メイン側のトランジスタT1を100パーセントのデューティにて制御した場合、コイル電流ILXは、図3に実線で示すように上昇する。このとき、平滑用のコンデンサC1から失われる電荷量Q1は、負荷電流Ioとコイル電流ILXの差、つまり図3に一点鎖線にて示す負荷電流Ioと、実線にて示すコイル電流ILXにより囲まれた面積に対応する。
一方、図4に示すDC−DCコンバータ100のように、クロック信号CKbに応じてトランジスタT1をオンオフした場合、コイル電流ILXは、図3に破線で示すように上昇と下降を繰り返す。このとき、コイル電流ILXの平均値を二点鎖線にて示す。平滑用コンデンサC1から失われる電荷量Q2は、負荷電流Ioとコイル電流ILXの平均値の差、つまり図3に示す一点鎖線にて示す負荷電流Ioと、二点鎖線にて示すコイル電流ILXの平均値により囲まれた面積に対応する。
出力電圧Voは、平滑用のコンデンサC1から失われた電荷量に応じて変化する。したがって、メイン側のトランジスタT1を100パーセントのデューティで制御した場合、トランジスタT1を間欠的にオンした場合と比べ、出力電圧Voの変化量が小さくなる。このように、図1に示すDC−DCコンバータ1は、図4に示す比較例のDC−DCコンバータ100と比べ、出力電圧Voの変化が抑制される。
図6(a)は、図1に示すDC−DCコンバータ1のシミュレーション結果における出力電圧Vo,コイル電流ILX,負荷電流Io,クロック信号CLK及びリセット信号SR1を示す。図6(b)は、図4に示す比較例のDC−DCコンバータ100のシミュレーション結果における出力電圧Vo,コイル電流ILX,負荷電流Io及びクロック信号CKbを示す。なお、図6(a)と図6(b)において、各信号の縦軸のスケールは互いに同じである。これらのシミュレーション結果により、図1に示すDC−DCコンバータ1は、図4に示す比較例のDC−DCコンバータ100と比べ、負荷電流Ioの急激な増加に対して、出力電圧Voの変化量が少ない。
また、図1に示すDC−DCコンバータ1は、図4に示す比較例のDC−DCコンバータ100と比べ、負荷電流Ioの急激な減少に対して、出力電圧Voの変化量が少ない。負荷電流Ioが急激に増加したときと同様に、負荷電流Ioの急激な減少に応じて上昇する出力電圧Voに応じて、トランジスタT1のオンタイミングが遅くなり、トランジスタT1のオフタイミングが早くなる。これにより、図4に示す比較例のDC−DCコンバータ100に比べ、トランジスタT1のオン期間Tonが短くなる。この結果、出力電圧Voの変化が抑制される。
ところで、比較器を用いたDC−DCコンバータの1つは、比較器にて出力電圧と一定の参照電圧を比較する(例えば、特許文献2参照)。このDC−DCコンバータにおける出力電圧は、例えば平滑用コンデンサに含まれる等価直列抵抗ESRにより生じるリップル成分を含む。DC−DCコンバータは、出力電圧の変動に基づいて入力電圧が供給されるスイッチ回路のオン時間を調整し、入力電圧を降圧した出力電圧を生成する。このようなDC−DCコンバータは、平滑用コンデンサに等価直列抵抗ESRの値が小さいと、フィードバック系が不安定になりやすい。これは、以下の理由による。例えば、基準電圧をVrefとする。なお、ここでの説明において、出力電圧等については、図1に示す本実施形態の符号を用いる。
コンデンサC1の等価直列抵抗ESRが無い場合、出力電圧Voは、コイル電流ILXに対して一時遅れで変化する。その結果、コイル電流ILXが負荷電流Ioに達した後、出力電圧Voが基準電圧Vrefを越えるまでトランジスタT1をオンし、コンデンサC1に対する充電を継続する。これにより、コイル電流ILXは、負荷電流Ioよりも大きくなる。コイル電流ILXが負荷電流Ioに達した後、出力電圧Voが基準電圧Vrefを越えるまでの間、コンデンサC1に蓄積する電荷量をQ1とする。出力電流IoによりコンデンサC1が失った電荷量Q0より、蓄積した電荷量Q1が多い場合、発振する。一方、失った電荷量Q0より蓄積した電荷量Q1が少ない場合、リンギングし収束する。
図1に示すDC−DCコンバータ1は、所定の割合で変化(上昇)する参照電圧VS1を出力電圧Voと比較してトランジスタT1をオンするタイミングを決定している。このため、等価直列抵抗ESRの値が小さい、または等価直列抵抗ESRを含まないコンデンサを用いて、安定してスイッチング動作を行うことができる。
平滑用のコンデンサとして、一般的に、導電性高分子コンデンサや積層セラミックコンデンサが用いられる。積層セラミックコンデンサは導電性高分子コンデンサに比べて小型で安価であるが、等価直列抵抗ESRの値が導電性高分子コンデンサに比べて小さい。従って、上記のように一定の参照電圧を用いたDC−DCコンバータでは、積層セラミックコンデンサに直列に抵抗を接続して安定化を図る場合があった。しかし、本実施形態のDC−DCコンバータは、等価直列抵抗ESRの値が小さい方が好ましい。従って、積層セラミックコンデンサを用いることが好ましく、DC−DCコンバータの小型化及び低コスト化を図ることができる。
また、上記のように一定の参照電圧を用いたDC−DCコンバータにおいて、出力電圧を一定の基準電圧と比較した結果に応じてスイッチ回路のオン状態を強制的に継続することで、負荷の急激な変化に対応することが考えられる。例えば、アンド回路を用い、検出結果に応じた信号と、スイッチ回路をオフするための信号を合成した信号を生成する。このDC−DCコンバータにおいて、等価直列抵抗ESRの値が小さい又は含まない平滑用コンデンサを用いた場合、上記の検出結果に応じた信号によりスイッチ回路を強制的にオンする期間と、スイッチ回路をオフする期間とを交互に繰り返す動作状態となる場合がある。このような動作状態における出力電圧のリップル電圧やスイッチング周波数は、設計時に予想されないことが多く、対策が難しい。
図1に示すDC−DCコンバータ1は、所定の割合で変化(上昇)する参照電圧VS1を出力電圧Voと比較してトランジスタT1をオンするタイミングを調整する。また、DC−DCコンバータ1は、所定の割合で変化(下降)する参照電圧VS2を出力電圧Voと比較してトランジスタT1をオフするタイミングを調整する。つまり、DC−DCコンバータ1は、トランジスタT1のオン期間を連続的に調整する。このため、予想されない動作状態になることがない。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1−1)基準電圧VR1から所定の割合で変化する参照電圧VS1と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオンする。そして、基準電圧VR2から所定の割合で変化する参照電圧VS2と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオフする。負荷2における負荷電流Ioの変化に応じた出力電圧Voの変動に応じて、メイン側のトランジスタT1のオン期間Tonを調整する。トランジスタT1のオン期間を長くすると、コイル電流ILXは連続的に変化する。したがって、負荷の急変に対する特性を向上することができる。
(1−2)基準電圧VR1から所定の割合で上昇する参照電圧VS1と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオンする。出力電圧Voが低下するとき、トランジスタT1のオンタイミングが早くなる。したがって、負荷変動に対する出力電圧Voの低下に応じてトランジスタT1をオンすることができ、出力電圧Voの変動を抑制することができる。
(1−3)基準電圧VR2から所定の割合で下降する参照電圧VS2と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオフする。出力電圧Voが上昇するとき、トランジスタT1のオンタイミングが遅くなる。したがって、負荷変動に対する出力電圧Voの上昇に応じてトランジスタT1をオフすることができ、出力電圧Voの変動を抑制することができる。
(1−4)リセット信号生成回路22の参照電圧生成回路25は、クロック信号CLKに応答するRS−FF回路32の出力信号S11によりスイッチ回路SW2をオフし、リセット信号SR1に応答するRS−FF回路32の出力信号S11によりスイッチ回路SW2をオンする。そして、スイッチ回路SW2のオンオフにより、コンデンサC12の蓄積電荷を定電流源33に流れる電流Ipに応じて下降させ、基準電圧VR2から所定の割合で変化する参照電圧VS2を生成する。この参照電圧VS2と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じたリセット信号SR1によりトランジスタT1をオフする。このため、定常動作時において、トランジスタT1のスイッチング周波数を、クロック信号CLKのサイクル(周波数)と等しくすることができる。これにより、ノイズ対策を容易に行うことができる。これは、スイッチング周波数が固定されていると、既知の周波数のスイッチング動作等に起因するノイズの発生が予想しやすく、設計において、システム側としてはノイズを回避しやすいからである。
(第二実施形態)
以下、第二実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部または全てを省略する。
図7に示すように、この実施形態のDC−DCコンバータ41は、出力電圧Voを生成する変換回路11と、変換回路11を制御する制御回路42を有している。制御回路42は、参照電圧生成回路21、リセット信号生成回路51、比較器23、駆動信号生成回路24、基準電源E1,E2を有している。リセット信号生成回路51は、参照電圧生成回路52、比較器26、ワンショット回路27を有している。
リセット信号生成回路51は、出力電圧Voと基準電圧VR2に基づいて、リセット信号SR2を生成する。
参照電圧生成回路52は、基準電圧VR2に基づいて参照電圧VS3を生成する。例えば、参照電圧生成回路52は、基準電圧VR2に、所定の割合で変化する、つまり所定の傾斜を有する電圧を減算して参照電圧VS3を生成する。参照電圧VS3は第2参照電圧の一例である。参照電圧生成回路52は第2電圧生成回路の一例である。基準電圧VR2から減算する電圧の傾斜は第2傾斜の一例である。
参照電圧生成回路52は、スイッチ回路SW2、コンデンサC22、定電流源53を有している。
基準電圧VR2はコンデンサC22の第1端子に供給される。コンデンサC22の第2端子は定電流源53の第1端子に接続され、定電流源53の第2端子は配線VSSに接続されている。コンデンサC22と定電流源53の間のノードN22は、比較器26の反転入力端子に接続されている。コンデンサC22にはスイッチ回路SW2が並列に接続されている。スイッチ回路SW2は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW2にはリセット信号SR2が供給される。スイッチ回路SW2は、リセット信号SR2に応答してオンオフする。
スイッチ回路SW2は、Hレベルのリセット信号SR2に応答してオンし、コンデンサC22の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC22の第2端子が接続されたノードN32の電位は、基準電圧VR2と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路52は、基準電圧VR2と等しい参照電圧VS3を出力する。スイッチ回路SW2は、Lレベルのリセット信号SR2に応答してオフする。定電流源53は、コンデンサC22から低電位電圧VSSの配線に向って電流Icを流す。コンデンサC22の第2端子が接続されたノードN32の電位は、定電流源53に流れる電流Icに応じて下降する。したがって、ノードN22の電位は、基準電圧VR2に、コンデンサC22の両端子間の電位差を重畳した電位となる。そして、このノードN22における電位は参照電圧VS3である。
したがって、参照電圧VS3は、リセット信号SR2に応答したスイッチ回路SW2がオンしている間、基準電圧VR2と等しくなる。そして、参照電圧VS3は、リセット信号SR2に応答したスイッチ回路SW1がオフすると、基準電圧VR2から所定の割合(傾斜)にて変化(下降)する。参照電圧VS3は、基準電圧VR2に対して、所定の傾斜にて下降するスロープを付加した電圧である。このように、参照電圧生成回路52は、リセット信号SR2に基づいて、基準電圧VR2を所定の割合で変化させて参照電圧VS3を生成する。
比較器26の反転入力端子には参照電圧VS3が供給される。比較器26の非反転入力端子には出力電圧Voが供給される。比較器26は、出力電圧Voと参照電圧VS3を互いに大小比較した結果に応じた信号SC3を出力する。例えば、比較器26は、出力電圧Voが参照電圧VS3より高いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC3を生成し、出力電圧Voが参照電圧VS3より低いときに第2のレベル(例えばHレベル)の信号SC3を生成する。ワンショット回路27は例えばワンショット・マルチバイブレータである。ワンショット回路27は、Hレベルの信号SC3に基づいて、その信号SC3の立ち上がりエッジのタイミングからHレベルのパルス幅を所定値としたリセット信号SR2を出力する。
次に、図8にしたがって、この実施形態のDC−DCコンバータ41の動作を簡単に説明する。なお、図8は、説明を簡潔にするため、波形を縦軸方向及び横軸方向に適宜拡大,縮小して示している。
Hレベルのリセット信号SR2に基づいて参照電圧VS3は、所定の割合で下降する。また、Hレベルのリセット信号SR2に基づいて図7に示すRS−FF回路28から出力されるHレベルの制御信号SG2に基づいて参照電圧VS1は所定の割合で上昇する。そして、参照電圧VS1が出力電圧Voより高くなると、Hレベルのセット信号SC1が生成される。Hレベルのセット信号SC1に基づいて生成されるLレベルの制御信号DH,DLにより図7に示すトランジスタT1がオンし、トランジスタT2がオフする。オンしたトランジスタT1によりノードLXは入力電圧Viレベルとなり、コイル電流ILXが増加する。
次に、参照電圧VS3が出力電圧Voより低くなると、Hレベルのリセット信号SR2が生成される。Hレベルのリセット信号SR2に基づいて生成されるHレベルの制御信号DH,DLにより図7に示すトランジスタT1がオフし、トランジスタT2がオンする。オンしたトランジスタT2によりノードLXは低電位電圧VSSレベルとなり、コイル電流ILXが減少する。
出力電圧Voが上昇すると、出力信号SC1の出力タイミングが遅くなり、リセット信号SR2の出力タイミングが早くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが短くなり、出力電圧Voが低下する。出力電圧Voが下降すると、出力信号SC1の出力タイミングが早くなり、リセット信号SR2の出力タイミングが遅くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが長くなり、出力電圧Voが上昇する。したがって、出力電圧Voの高低に応じてトランジスタT1のオン時間(Ton)が調整され、出力電圧Voが安定する。
図7に示すリセット信号生成回路51は、コンデンサC22、スイッチ回路SW2、定電流源53、出力電圧Vo、基準電圧VR1,VR2を用いてリセット信号SR2を生成する。リセット信号生成回路51は、Hレベルのリセット信号SR2に基づくタイミングから参照電圧VS3を所定の割合で下降させる。そして、参照電圧VS3が出力電圧Voより低くなると、Hレベルのリセット信号SR2が生成される。したがって、出力電圧Voが安定しているとき、Hレベルのリセット信号SR2は、リセット信号生成回路51に含まれる素子の値と、出力電圧Vo、基準電圧VR1,VR2に応じて設定される周期で繰り返し発生する。リセット信号SR2の周波数はトランジスタT1をスイッチングする周波数であり、リセット信号生成回路51に含まれる素子の値と、出力電圧Vo、基準電圧VR1,VR2に応じて設定される。
例えば、参照電圧VS1の変化量(リップル)が十分に小さいとした場合、出力電圧Voは基準電圧VR1とほぼ等しくなる(Vo≒VR1)。リセット信号SR2の周波数Fcは、コンデンサC22の容量値Cc、定電流源53の電流量Icに基づいて、
Fc≒Ic/(Cc*Vc)
となる。したがって、リセット信号SR2の周波数Fcは、基準電圧VR2(基準電源E2の電圧Vc)、コンデンサC22の容量値Cc、定電流源53の電流Icにより設定される。
次に、図9にしたがって、比較例のDC−DCコンバータ110を説明する。
なお、比較例の回路について、上記実施形態や図4に示す比較例と同様の部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
DC−DCコンバータ110の制御回路112は、オン時間タイマ113を有している。オン時間タイマ113には、入力電圧Viと出力電圧Voが供給される。オン時間タイマ113は、Hレベルの制御信号SG1に応答して、その制御信号SG1の立ち上がりタイミングから、入力電圧Viと出力電圧Voに応じた時間経過後にHレベルの信号S21を生成する。RS−FF回路28は、Hレベルの信号S21に応答してLレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2を生成する。駆動回路29は、Lレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2に応答して、Hレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの制御信号DHに応答してオフする。したがって、このDC−DCコンバータ110は、メイン側のトランジスタT1をオンした後、入力電圧Viと出力電圧Voに応じた期間後にメイン側のトランジスタT1をオフする。
次に、図10(a),(b)にしたがって、図7に示すDC−DCコンバータ41と、図9に示すDC−DCコンバータ110を比較する。
図10(a)に示すように、図7に示すDC−DCコンバータ41は、負荷電流Ioの変化に応じて出力電圧Voが低下すると、出力電圧Voと参照電圧VS1の比較結果に応じて、制御信号SC1の立ち上がりタイミングが定常動作時より早くなる。また、出力電圧Voと参照電圧VS3の比較結果に応じて、リセット信号SR2の立ち上がりタイミングが定常動作時より遅くなる。したがって、メイン側のトランジスタT1のオン時間が定常動作時より長くなる。トランジスタT1のオン時間に応じて、コイル電流ILXが上昇する。
図10(b)に示すように、図9に示す比較例のDC−DCコンバータ110は、オン時間タイマ113により設定された時間、トランジスタT1をオンし、オフ時間タイマ103により設定された時間、トランジスタT1をオフする。これにより、トランジスタT1のスイッチング周波数を高くする(スイッチングサイクルを短くする)ことで、コイル電流ILXを上昇させる。
しかし、図9に示すDC−DCコンバータ110は、トランジスタT1のオン期間Tonは、オン時間タイマ113により制限される。このため、図7に示すDC−DCコンバータ41は、比較例のDC−DCコンバータ110と比べ、オン期間Tonが長い。したがって、図7に示すDC−DCコンバータ41は、比較例のDC−DCコンバータ110と比べ、負荷の急変に対する特性が向上している。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(2−1)第一実施形態の(1−1)〜(1−3)と同様の効果を奏する。
(2−2)定常動作時におけるトランジスタT1のスイッチング周波数を、リセット信号生成回路51に含まれるコンデンサC22,定電流源53、基準電圧VR1,VR2に応じて設定する。これにより、ノイズ対策を容易に行うことができる。これは、スイッチング動作等に起因するノイズの発生するスイッチング周波数を適宜設定することで、設計において、システム側としてはノイズを回避しやすいからである。
(2−3)リセット信号生成回路51の参照電圧生成回路52は、コンデンサC22の蓄積電荷を定電流源53の電流Icに応じて放電し、所定の割合で変化する参照電圧VS3を生成する。そして、参照電圧VS3と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてトランジスタT1をオフする。コンデンサC22の容量値Ccや定電流源53の電流Ic等を適宜設定することにより、出力電圧Voの発振やリンギングを抑制することができる。
(第三実施形態)
以下、第三実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部または全てを省略する。
図11に示すように、この実施形態のDC−DCコンバータ61は、出力電圧Voを生成する変換回路11と、変換回路11を制御する制御回路62を有している。
制御回路62は、出力電圧Voに基づいて、メイン側のトランジスタT1に供給する制御信号DHのパルス幅を制御する。また、制御回路62は、制御信号DHに応じて、同期側のトランジスタT2に供給する制御信号DLを制御する。
制御回路62は、参照電圧生成回路71、セット信号生成回路72、比較器73、駆動信号生成回路24、基準電源E3,E4を有している。セット信号生成回路72は、参照電圧生成回路75、比較器76、ワンショット回路77を有している。駆動信号生成回路24は、RS−FF回路28、駆動回路29を有している。
基準電源E3の第1端子(プラス端子)は参照電圧生成回路71に接続され、第2端子(マイナス端子)は配線VSSに接続されている。基準電源E3は、第1端子と第2端子の間の電位差を低電位電圧VSSに加算し、低電位電圧VSSより高い基準電圧VR3を生成する。基準電圧VR3の電圧値は、例えば出力電圧Voの目標値に応じて設定される。基準電源E3の第1端子は、基準電源E4の第1端子(プラス端子)に接続され、基準電源E4の第2端子(マイナス端子)はセット信号生成回路72の参照電圧生成回路75に接続されている。基準電源E4は、基準電圧VR3から電圧Vpを減算し、基準電圧VR3より低い基準電圧VR4(=VR3−Vp)を生成する。
参照電圧生成回路71は、基準電圧VR3に基づいて参照電圧VS4を生成する。例えば、参照電圧生成回路71は、基準電圧VR3に、所定の割合で変化する、つまり所定の傾斜を有する電圧を減算して参照電圧VS4を生成する。参照電圧VS4は第2参照電圧の一例である。参照電圧生成回路71は第2電圧生成回路の一例である。参照電圧VS4は、比較器73の反転入力端子に供給される。基準電圧VR3から減算する電圧の傾斜は第2傾斜の一例である。
比較器73の反転入力端子には、出力電圧Voが供給される。比較器73は、出力電圧Voと参照電圧VS4を互いに大小比較した結果に応じた信号SC4を出力する。例えば、比較器73は、出力電圧Voが参照電圧VS4より高いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC4を生成するまた、比較器73は、出力電圧Voが参照電圧VS4より低いときに第2のレベル(例えばHレベル)の出力信号SC4を生成する。比較器73は第2比較器の一例である。出力信号SC4は、RS−FF回路28のセット端子Sに供給される。
参照電圧生成回路75は、基準電圧VR4とワンショット回路77にて生成されるセット信号SS1に基づいて参照電圧VS5を生成する。例えば、参照電圧生成回路75は、基準電圧VR4に所定の割合で変化する、つまり所定の傾斜を有する電圧を加算して参照電圧VS5を生成する。参照電圧VS5は第1参照電圧の一例である。参照電圧生成回路75は第1電圧生成回路の一例である。参照電圧VS5は、比較器76の非反転入力端子に供給される。基準電圧VR4に加算する電圧の傾斜は第1傾斜の一例である。
比較器76の反転入力端子には、出力電圧Voが供給される。比較器76は、出力電圧Voと参照電圧VS5を互いに大小比較した結果に応じた信号SC5を出力する。例えば、比較器76は、出力電圧Voが参照電圧VS5より高いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC5を生成する。また、比較器76は、出力電圧Voが参照電圧VS5より低いときに第2のレベル(例えばHレベル)の出力信号SC5を生成する。比較器76は第1比較器の一例である。出力信号SC5は、ワンショット回路77に供給される。
ワンショット回路77は、Hレベルの信号SC5に基づいて、その信号の立ち上がりエッジのタイミングからHレベルのパルス幅を所定値としたセット信号SS1を出力する。セット信号SS1は、RS−FF回路28のセット端子Sと、参照電圧生成回路75に供給される。
RS−FF回路28のセット端子Sにはセット信号生成回路72からセット信号SS1が供給され、RS−FF回路28のリセット端子Rには比較器73の出力信号SC4が供給される。RS−FF回路28は、Hレベルのセット信号SS1に応答して、Hレベルの制御信号SG1を出力端子Qから出力し、Lレベルの制御信号SG2を反転出力端子XQから出力する。また、RS−FF回路28は、Hレベルの出力信号SC4に応答して、Lレベルの制御信号SG1とHレベルの制御信号SG2を出力する。
駆動回路29は、RS−FF回路28からの制御信号SG1,SG2に基づいて制御信号DH,DLを生成する。例えば、駆動回路29は、Hレベルの制御信号SG1及びLレベルの制御信号SG2に応答して、Lレベルの制御信号DH,DLを生成する。また、駆動回路29は、Lレベルの制御信号SG1及びHレベルの制御信号SG2に応答して、Hレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの制御信号DHに応答してオフする。同期側のトランジスタT2は、Hレベルの制御信号DLに応答してオンする。
参照電圧生成回路71は、定電流源31、コンデンサC31、スイッチ回路SW3を有している。
コンデンサC31の第1端子には基準電圧VR3が供給される。コンデンサC31の第2端子は定電流源31の第1端子に接続され、定電流源31の第2端子は配線VSSに接続されている。コンデンサC31には、スイッチ回路SW3が並列に接続されている。スイッチ回路SW3は、例えば例えばPチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW3にはRS−FF回路28の制御信号SG1が供給される。スイッチ回路SW3は、制御信号SG1に応答してオンオフする。スイッチ回路SW3は第2スイッチの一例である。
コンデンサC31と定電流源31の間のノードN31は、比較器73の反転入力端子に接続されている。ノードN31の電位は参照電圧VS4である。
スイッチ回路SW3は、Lレベルの制御信号SG1に応答してオンし、コンデンサC31の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC31の第2端子における電位は、基準電圧VR3と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路71は、基準電圧VR3と等しい参照電圧VS4を出力する。
スイッチ回路SW3は、Hレベルの制御信号SG2に応答してオフする。定電流源31は、入力電圧Viの配線からコンデンサC31に向って一定の電流Isを流す。コンデンサC31の第1端子における電位は、定電流源31に流れる電流Isに応じて上昇する。したがって、ノードN31の電位は、基準電圧VR3に、コンデンサC31の両端子間の電位差を重畳した電位となる。
したがって、参照電圧VS4は、制御信号SG2に応答してスイッチ回路SW3がオンしている間、基準電圧VR3と等しくなる。そして、参照電圧VS4は、制御信号SG2に応答してスイッチ回路SW3がオフすると、基準電圧VR3から所定の割合(傾斜)にて変化(上昇)する。参照電圧VS4は、基準電圧VR3に対して、所定の傾斜にて上昇するスロープを付加した電圧である。このように、参照電圧生成回路71は、制御信号SG2に基づいて、基準電圧VR3を所定の割合で変化させて参照電圧VS4を生成する。
参照電圧生成回路75は、RS−フリップフロップ回路(RS−FF回路)32、スイッチ回路SW4、コンデンサC32、定電流源33を有している。
定電流源33の第1端子は配線Viに接続され、定電流源33の第2端子はコンデンサC32の第1端子に接続されている。コンデンサC32の第2端子には基準電圧VR4が供給される。コンデンサC32と定電流源33の間のノードN32は、比較器76の非反転入力端子に接続されている。コンデンサC32にはスイッチ回路SW4が並列に接続されている。スイッチ回路SW4は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW4は、RS−FF回路32の出力信号S31に応答してオンオフする。スイッチ回路SW4は第1スイッチの一例である。
RS−FF回路32のセット端子Sにはセット信号SS1が供給される。RS−FF回路32のリセット端子Rにはクロック信号CLKが供給される。RS−FF回路32は、出力端子Qから信号S31を出力する。例えば、RS−FF回路32は、Hレベルのセット信号SS1に応答してHレベルの信号S31を出力し、Hレベルのクロック信号CLKに応答してLレベルの信号S31を出力する。
スイッチ回路SW4は、Hレベルの信号S31に応答してオンし、コンデンサC32の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC32の第1端子に接続されたノードN32の電位は、基準電圧VR4と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路75は、基準電圧VR4と等しい参照電圧VS5を出力する。
スイッチ回路SW4は、Lレベルの信号S31に応答してオフする。定電流源33は、入力電圧Viの配線からコンデンサC32に向って一定の電流Ipを流す。コンデンサC32の第1端子における電位は、定電流源33に流れる電流Ipに応じて上昇する。したがって、ノードN32の電位は、基準電圧VR4に、コンデンサC32の両端子間の電位差を重畳した電位となる。そして、このノードN32における電位は参照電圧VS5である。
したがって、参照電圧VS5は、セット信号SS1に基づいてスイッチ回路SW4がオンしている間、基準電圧VR4と等しくなる。そして、参照電圧VS5は、クロック信号CLKに基づいてスイッチ回路SW4がオフすると、基準電圧VR4から所定の割合(傾斜)にて変化(上昇)する。参照電圧VS5は、基準電圧VR4に対して、所定の傾斜にて上昇するスロープを付加した電圧である。このように、参照電圧生成回路75は、セット信号SS1とクロック信号CLKに基づいて、基準電圧VR4を所定の割合で変化させて参照電圧VS5を生成する。
比較器76の非反転入力端子には参照電圧VS5が供給される。比較器76の反転入力端子には出力電圧Voが供給される。比較器76は、出力電圧Voと参照電圧VS5を互いに大小比較した結果に応じた信号SC5を出力する。例えば、比較器76は、出力電圧Voが参照電圧VS5より低いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC5を生成し、出力電圧Voが参照電圧VS5より高いときに第2のレベル(例えばHレベル)の信号SC5を生成する。ワンショット回路77は例えばワンショット・マルチバイブレータである。ワンショット回路77は、Hレベルの信号SC5に基づいて、その信号SC5の立ち上がりエッジから、Hレベルのパルス幅を所定値としたセット信号SS1を出力する。
上記のように、参照電圧生成回路75は、クロック信号CLKに応じたタイミングで、基準電圧VR4から所定の割合で上昇し、セット信号SS1に応じたタイミングで基準電圧VR4となる参照電圧VS5を生成する。比較器76は、出力電圧Voを参照電圧VS5と比較してパルス信号SC5を出力する。ワンショット回路77は、パルス信号SC5に基づいてセット信号SS1を出力する。
出力電圧Voが基準電圧VR4より高いとき、セット信号SS1の立ち上がりタイミング(Hレベルのセット信号SS1が出力されるタイミング)は、参照電圧VS5の傾きと、出力電圧Voと基準電圧VR4の電位差に基づく。そして、参照電圧VS5は、クロック信号CLKに基づくタイミングで、基準電圧VR4から上昇する。したがって、セット信号生成回路72は、クロック信号CLKと位相が異なるセット信号SS1を生成する。クロック信号CLKとセット信号SS1の間の位相差は、出力電圧Voに応じて変化する。つまり、セット信号生成回路72は、クロック信号CLKに対して、出力電圧Voに応じた位相差のセット信号SS1を生成する。クロック信号CLKに対するセット信号SS1の位相遅れは、第一実施形態と同様に設定される。
次に、図12にしたがって、上記のDC−DCコンバータ61の作用を簡単に説明する。なお、図12において、縦軸及び横軸は、説明を簡潔にするため、適宜拡大、縮小して示している。
Hレベルのクロック信号CLKに基づいて参照電圧VS5は所定の割合で上昇する。そして、参照電圧VS5が出力電圧Voより高くなると、Hレベルのセット信号SS1が生成される。Hレベルのセット信号SS1に基づいて生成されるLレベルの制御信号DH,DLにより図11に示すトランジスタT1がオンし、トランジスタT2がオフする。オンしたトランジスタT1によりノードLXは入力電圧Viレベルとなり、コイル電流ILXが増加する。
次に、Hレベルのセット信号SS1に基づいて図11に示すRS−FF回路28から出力されるHレベルの制御信号SG2に基づいて参照電圧VS4は所定の割合で下降する。そして、参照電圧VS4が出力電圧Voより低くなると、Hレベルの出力信号SC4が生成される。Hレベルの出力信号SC4に基づいて生成されるHレベルの制御信号DH,DLにより図11に示すトランジスタT1がオフし、トランジスタT2がオンする。オンしたトランジスタT2によりノードLXは低電位電圧VSSレベルとなり、コイル電流ILXが減少する。
トランジスタT1は、Hレベルの出力信号SC4に基づいて生成されるHレベルの制御信号DHによりオフし、Hレベルのセット信号SS1に基づいて生成されるLレベルの制御信号DHによりオンする。したがって、トランジスタT1は、Hレベルのセット信号SS1からHレベルの出力信号SC4までの間オンする。この期間をオン期間(Ton)とする。また、トランジスタT1は、Hレベルの出力信号SC4からHレベルのセット信号SS1までの間オフする。この期間をオフ期間(Toff)とする。
出力電圧Voが上昇すると、セット信号SS1の出力タイミングが遅くなり、出力信号SC4の出力タイミングが早くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが短くなり、出力電圧Voが低下する。出力電圧Voが下降すると、セット信号SS1の出力タイミングが早くなり、出力信号SC4の出力タイミングが遅くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが長くなり、出力電圧Voが上昇する。したがって、出力電圧Voの高低に応じてトランジスタT1のオン時間(Ton)が調整され、出力電圧Voが安定する。
次に、図14にしたがって、比較例のDC−DCコンバータ120を説明する。
なお、比較例の回路について、上記実施形態と同様の部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
DC−DCコンバータ120の制御回路122に含まれるRS−FF回路28のセット端子Sにはクロック信号CKbが供給される。RS−FF回路28は、Hレベルのクロック信号CKbに応答してHレベルの制御信号SG1とLレベルの制御信号SG2を生成する。駆動回路29は、Hレベルの制御信号SG1とLレベルの制御信号SG2に基づいて、Lレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1はLレベルの制御信号DHに応答してオンする。
制御回路122は、オン時間タイマ123とアンド回路124を有している。オン時間タイマ123は、制御信号SG1の立ち上がりタイミングから所定時間Hレベルの信号S32を生成する。アンド回路124は、比較器73の出力信号SC4と、オン時間タイマ123の出力信号S32を論理演算(論理積演算)した結果に応じた信号S33を出力する。
このDC−DCコンバータ120は、同期型Ton制御コンバータであり、クロック信号CKbに基づいてトランジスタT1をオンし、スロープ状の参照電圧VS4(ノコギリ波形の電圧)に基づいてトランジスタT1をオフする。
次に、図15(a),(b)にしたがって、図11に示すDC−DCコンバータ61と、図14に示すDC−DCコンバータ120を比較する。
図15(a)に示すように、負荷電流Ioの変化に応じて出力電圧Voが低下する。図11に示す比較器73は、基準電圧VR3から所定の割合で下降する参照電圧VS4と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じたタイミングでHレベルの信号SC4を出力する。したがって、出力電圧Voが低下すると、Hレベルの信号SC4の出力タイミングが遅くなる。駆動信号生成回路24は、Hレベルの信号SC4に応答してHレベルの制御信号DHを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの制御信号DHに応答してオフする。したがって、出力電圧Voの低下に応じて、メイン側のトランジスタT1がオフするタイミングが、定常動作時よりも遅くなる。
図11に示すセット信号生成回路72は、比較器76による参照電圧VS5と出力電圧Voの比較結果に応じたタイミングでHレベルのセット信号SS1を生成する。出力電圧Voが低下すると、その分、Hレベルのセット信号SS1を出力するタイミング、つまりセット信号SS1の立ち上がりタイミングが早くなる。駆動信号生成回路24は、Hレベルのセット信号SS1に応答してLレベルの制御信号DHを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Lレベルの制御信号DHに応答してオンする。したがって、出力電圧Voの低下に応じて、メイン側のトランジスタT1がオンするタイミングが、定常動作時よりも早くなる。したがって、メイン側のトランジスタT1のオン期間Tonが定常動作時より長くなる。
図15(b)に示すように、比較例のDC−DCコンバータ120は、クロック信号CKbに同期してメイン側のトランジスタT1をオンする。例えば、クロック信号CKbの周波数を図11に示すクロック信号CLKの周波数と等しくする。そして、入力電圧Viや基準電圧VR3を図11に示すDC−DCコンバータ61のそれらと等しくした場合、図14に示すDC−DCコンバータ120においてトランジスタT1をオンするタイミングは、図11に示すDC−DCコンバータ61においてトランジスタT1をオンするタイミングと等しい。例えば、図15(b)に示すように、トランジスタT1をオンするタイミング(信号S33のタイミング)を、図15(a)に示すセット信号SS1と同じタイミングとなるように表示する。このとき、クロック信号CKbのタイミングは、定常動作時におけるセット信号SS1のタイミングと等しい。
負荷の変化に応じて出力電圧Voが低下した場合、図14に示すDC−DCコンバータ120は、クロック信号CKbに応じてトランジスタT1をオンし、出力電圧Voに応じてトランジスタT1のオフタイミングを遅くする。したがって、このDC−DCコンバータ120は、クロック信号CKbの1つの周期において、トランジスタT1を継続的にオンする(デューティ100パーセント)が可能である。しかし、トランジスタT1は、クロック信号CKbに応じたタイミングでオンされる。このため、負荷の変動が例えばトランジスタT1をオフした直後に発生すると、つぎのクロック信号CKbまでトランジスタT1がオンされないため、その分、コイル電流ILXの上昇するタイミングが遅れる。
一方、図11に示すDC−DCコンバータ61は、出力電圧Voの低下に応じて、トランジスタT1のオンタイミングを早くし、トランジスタT1のオフタイミングを遅くする。
したがって、図11に示すDC−DCコンバータ61は、図14に示すDC−DCコンバータ120に比べ、トランジスタT1をオンするタイミングが早い。このため、図11に示すDC−DCコンバータ61は、図14に示すDC−DCコンバータ120に比べ、負荷変動に対する応答性が良い。
例えば、図13に一点鎖線にて示すように、負荷電流Ioが急変する。その負荷電流Ioの変動に応じてトランジスタT1をオンした場合、コイル電流ILXは、図13に実線で示すように上昇する。このとき、平滑用のコンデンサC1から失われる電荷量Q1は、負荷電流Ioとコイル電流ILXの差、つまり図13に一点鎖線にて示す負荷電流Ioと、実線にて示すコイル電流ILXにより囲まれた面積に対応する。
一方、図14に示すDC−DCコンバータ120のように、クロック信号CKbに応じてトランジスタT1をオンした場合、コイル電流ILXは、図13に破線で示すようにクロック信号CKbによりトランジスタT1がオンされるまで下降した後、上昇する。このとき、平滑用コンデンサC1から失われる電荷量Q2は、負荷電流Ioと破線で示すコイル電流ILXにより囲まれた面積に対応する。
出力電圧Voは、平滑用のコンデンサC1から失われた電荷量に応じて変化する。したがって、メイン側のトランジスタT1を負荷電流Ioの急変に応じてオンした場合、トランジスタT1をクロック信号CKbによりオンした場合と比べ、出力電圧Voの変化量が小さくなる。このように、図11に示すDC−DCコンバータ61は、図14に示す比較例のDC−DCコンバータ120と比べ、出力電圧Voの変化が抑制される。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(3−1)基準電圧VR4から所定の割合で変化する参照電圧VS5と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオンする。そして、基準電圧VR3から所定の割合で変化する参照電圧VS4と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオフする。負荷2における負荷電流Ioの変化に応じた出力電圧Voの変動に応じて、メイン側のトランジスタT1のオン期間Tonを調整する。トランジスタT1のオン期間を長くすると、コイル電流ILXは連続的に変化する。したがって、負荷の急変に対する特性を向上することができる。
(3−2)基準電圧VR4から所定の割合で上昇する参照電圧VS5と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオンする。出力電圧Voが低下するとき、トランジスタT1のオンタイミングが早くなる。したがって、負荷変動に対する出力電圧Voの低下に応じてトランジスタT1をオンすることができ、出力電圧Voの変動を抑制することができる。
(3−3)基準電圧VR3から所定の割合で下降する参照電圧VS4と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてメイン側のトランジスタT1をオフする。出力電圧Voが上昇するとき、トランジスタT1のオンタイミングが遅くなる。したがって、負荷変動に対する出力電圧Voの上昇に応じてトランジスタT1をオフすることができ、出力電圧Voの変動を抑制することができる。
(3−4)セット信号生成回路72の参照電圧生成回路75は、クロック信号CLKに応答するRS−FF回路32の出力信号S31によりスイッチ回路SW4をオフし、リセット信号SR1に応答するRS−FF回路32の出力信号S31によりスイッチ回路SW4をオンする。そして、スイッチ回路SW4のオンオフにより、コンデンサC12の蓄積電荷を定電流源33に流れる電流Ipに応じて上昇させ、基準電圧VR3から所定の割合で変化する参照電圧VS4を生成する。この参照電圧VS4と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じたリセット信号SR1によりトランジスタT1をオンする。このため、定常動作時において、トランジスタT1のスイッチング周波数を、クロック信号CLKのサイクル(周波数)と等しくすることができる。これにより、ノイズ対策を容易に行うことができる。これは、スイッチング周波数が固定されていると、既知の周波数のスイッチング動作等に起因するノイズの発生が予想しやすく、設計において、システム側としてはノイズを回避しやすいからである。
(第四実施形態)
以下、第四実施形態を説明する。
なお、この実施形態において、上記実施形態と同じ構成部材については同じ符号を付してその説明の一部または全てを省略する。
図16に示すように、この実施形態のDC−DCコンバータ81は、出力電圧Voを生成する変換回路11と、変換回路11を制御する制御回路82を有している。制御回路82は、参照電圧生成回路71、セット信号生成回路91、比較器73、駆動信号生成回路24、基準電源E3,E4を有している。駆動信号生成回路24は、RS−FF回路28、駆動回路29を有している。セット信号生成回路91は、参照電圧生成回路92、比較器76、ワンショット回路77を有している。
セット信号生成回路91は、出力電圧Voと基準電圧VR4に基づいて、セット信号SS2を生成する。
参照電圧生成回路92は、基準電圧VR4に基づいて参照電圧VS6を生成する。例えば、参照電圧生成回路92は、基準電圧VR4に、所定の割合で変化する、つまり所定の傾斜を有する電圧を加算して参照電圧VS6を生成する。参照電圧VS6は第1参照電圧の一例である。参照電圧生成回路92は第1電圧生成回路の一例である。基準電圧VR4に加算する電圧の傾斜は第1傾斜の一例である。
参照電圧生成回路92は、スイッチ回路SW4、コンデンサC42、定電流源53を有している。
定電流源53の第1端子は配線Viに接続され、定電流源53の第2端子はコンデンサC42の第1端子に接続されている。コンデンサC42の第2端子には基準電圧VR4が供給される。コンデンサC42と定電流源53の間のノードN42は、比較器76の非反転入力端子に接続されている。コンデンサC42にはスイッチ回路SW4が並列に接続されている。スイッチ回路SW4は、例えばNチャネルMOSトランジスタである。スイッチ回路SW4は、セット信号SS2に応答してオンオフする。
スイッチ回路SW4は、Hレベルのセット信号SS2に応答してオンし、コンデンサC42の両端子間を短絡する。したがって、コンデンサC42の第1端子が接続されたノードN32の電位は、基準電圧VR4と等しくなる。したがって、参照電圧生成回路92は、基準電圧VR4と等しい参照電圧VS6を出力する。
スイッチ回路SW4は、Lレベルのセット信号SS2に応答してオフする。定電流源53は、入力電圧Viの配線からコンデンサC42に向って電流Icを流す。コンデンサC42の第1端子が接続されたノードN32の電位は、定電流源53に流れる電流Icに応じて上昇する。したがって、ノードN32の電位は、基準電圧VR4に、コンデンサC42の両端子間の電位差を重畳した電位となる。そして、このノードN32における電位は参照電圧VS6である。
したがって、参照電圧VS6は、セット信号SS2に応答したスイッチ回路SW4がオンしている間、基準電圧VR4と等しくなる。そして、参照電圧VS6は、セット信号SS2に応答したスイッチ回路SW3がオフすると、基準電圧VR4から所定の割合(傾斜)にて変化(上昇)する。参照電圧VS6は、基準電圧VR4に対して、所定の傾斜にて上昇するスロープを付加した電圧である。このように、参照電圧生成回路92は、セット信号SS2に基づいて、基準電圧VR4を所定の割合で変化させて参照電圧VS6を生成する。
比較器76の非反転入力端子には参照電圧VS6が供給される。比較器76の反転入力端子には出力電圧Voが供給される。比較器76は、出力電圧Voと参照電圧VS6を互いに大小比較した結果に応じた信号SC5を出力する。例えば、比較器76は、出力電圧Voが参照電圧VS6より低いときに第1のレベル(例えばLレベル)の信号SC5を生成し、出力電圧Voが参照電圧VS6より高いときに第2のレベル(例えばHレベル)の信号SC5を生成する。ワンショット回路77は例えばワンショット・マルチバイブレータである。ワンショット回路77は、Hレベルの信号SC5に基づいて、その信号SC5の立ち上がりエッジのタイミングからHレベルのパルス幅を所定値としたセット信号SS2を出力する。なお、セット信号SS2の出力タイミングは、第二実施形態と同様に設定される。
次に、図17にしたがって、この実施形態のDC−DCコンバータ81の動作を簡単に説明する。なお、図17は、説明を簡潔にするため、波形を縦軸方向及び横軸方向に適宜拡大,縮小して示している。
Hレベルのセット信号SS2に基づいて参照電圧VS6は、所定の割合で上昇する。また、Hレベルのセット信号SS2に基づいて図16に示すRS−FF回路28から出力されるHレベルの制御信号SG2に基づいて参照電圧VS4は所定の割合で下降する。そして、参照電圧VS4が出力電圧Voより低くなると、Hレベルのセット信号SC4が生成される。Hレベルのセット信号SC4に基づいて生成されるHレベルの制御信号DH,DLにより図16に示すトランジスタT1がオフし、トランジスタT2がオンする。オンしたトランジスタT2によりノードLXは低電位電圧VSSレベルとなり、コイル電流ILXが減少する。
次に、参照電圧VS6が出力電圧Voより高くなると、Hレベルのセット信号SS2が生成される。Hレベルのセット信号SS2に基づいて生成されるLレベルの制御信号DH,DLにより図16に示すトランジスタT1がオンし、トランジスタT2がオフする。オンしたトランジスタT1によりノードLXは入力電圧Viレベルとなり、コイル電流ILXが増加する。
出力電圧Voが上昇すると、セット信号SS2の出力タイミングが遅くなり、信号SC4の出力タイミングが早くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが短くなり、出力電圧Voが低下する。出力電圧Voが下降すると、セット信号SS2の出力タイミングが早くなり、信号SC4の出力タイミングが遅くなる。その結果、トランジスタT1のオン期間Tonが長くなり、出力電圧Voが上昇する。したがって、出力電圧Voの高低に応じてトランジスタT1のオン時間(Ton)が調整され、出力電圧Voが安定する。
次に、図18にしたがって、比較例のDC−DCコンバータ130を説明する。
なお、比較例の回路について、上記実施形態や図14に示す比較例と同様の部材については同じ符号を付し、説明を省略する。
DC−DCコンバータ130の制御回路132は、オフ時間タイマ133を有している。オフ時間タイマ133には、入力電圧Viと出力電圧Voが供給される。オフ時間タイマ133は、Hレベルの制御信号SG2に応答して、その制御信号SG2の立ち上がりタイミングから、入力電圧Viと出力電圧Voに応じた時間経過後にHレベルのセット信号SS2を生成する。RS−FF回路28は、Hレベルのセット信号SS2に応答してHレベルの制御信号SG1とLレベルの制御信号SG2を生成する。駆動回路29は、Hレベルの制御信号SG1とLレベルの制御信号SG2に応答して、Lレベルの制御信号DH,DLを生成する。メイン側のトランジスタT1は、Lレベルの制御信号DHに応答してオンする。したがって、このDC−DCコンバータ130は、メイン側のトランジスタT1をオフした後、入力電圧Viと出力電圧Voに応じた期間後にメイン側のトランジスタT1をオンする。
次に、図19(a),(b)にしたがって、図16に示すDC−DCコンバータ81と、図18に示すDC−DCコンバータ130を比較する。
図19(a)に示すように、図16に示すDC−DCコンバータ81は、負荷電流Ioの変化に応じて出力電圧Voが低下すると、出力電圧Voと参照電圧VS6の比較結果に応じて、セット信号SS2の立ち上がりタイミングが定常動作時より早くなる。また、出力電圧Voと参照電圧VS4の比較結果に応じて、制御信号SC4の立ち上がりタイミングが定常動作時より遅くなる。したがって、メイン側のトランジスタT1のオン時間が定常動作時より長くなる。トランジスタT1のオン時間に応じて、コイル電流ILXが上昇する。
図19(b)に示すように、図18に示す比較例のDC−DCコンバータ130は、出力電圧Voと参照電圧VS6の比較結果に応じた信号SC4によりトランジスタT1をオフし、オフ時間タイマ133により設定された時間経過後にトランジスタT1をオンする。出力電圧Voが低下すると、信号SC4の出力タイミングが遅くなり、トランジスタT1のオン期間Tonが長くなる。しかし、トランジスタT1は、オフ時間タイマ133により設定される時間経過後にオンされる。このため、例えばトランジスタT1をオフした直後に負荷の変動が発生すると、オフ時間タイマ133により設定された時間経過しなければトランジスタT1がオンされないため、その分、コイル電流ILXの上昇が遅れる。
一方、図16に示すDC−DCコンバータ81は、出力電圧Voの低下に応じて、トランジスタT1のオン時間が早くなる。このため、図16に示すDC−DCコンバータ81は、図18に示すDC−DCコンバータ130と比べ、負荷変動に対する応答性が良い。
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(4−1)第三実施形態の(3−1)〜(3−3)と同様の効果を奏する。
(4−2)定常動作時におけるトランジスタT1のスイッチング周波数を、セット信号生成回路91に含まれるコンデンサC42,定電流源53、基準電圧VR3,VR4に応じて設定する。これにより、ノイズ対策を容易に行うことができる。これは、スイッチング動作等に起因するノイズの発生するスイッチング周波数を適宜設定することで、設計において、システム側としてはノイズを回避しやすいからである。
(4−3)セット信号生成回路91の参照電圧生成回路92は、コンデンサC42の蓄積電荷を定電流源53の電流Icに応じて放電し、所定の割合で変化する参照電圧VS6を生成する。そして、参照電圧VS6と出力電圧Voを互いに比較した結果に応じてトランジスタT1をオフする。コンデンサC42の容量値Ccや定電流源53の電流Ic等を適宜設定することにより、出力電圧Voの発振やリンギングを抑制することができる。
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・非同期整流方式のDC−DCコンバータに具体化すること。
・ワンショット回路27を省略してもよい。
・上記実施形態では、スイッチ回路の一例としてPチャネルMOSトランジスタT1を開示したが、NチャネルMOSトランジスタを用いてもよい。また、スイッチ回路としてバイポーラトランジスタを用いてもよい。あるいは、複数のトランジスタを含むスイッチ回路を用いてもよい。
・同期側のトランジスタT2を、ダイオード、又はダイオード接続したトランジスタとしてもよい。
・同期側のトランジスタT2を、PチャネルMOSトランジスタとしてもよい。この場合、駆動回路29は、トランジスタT2の導電型に応じたレベルの制御信号DLを生成するとよい。
・上記実施形態における基準電圧VR1,VR2を制御回路12,42の外部で生成するようにしてもよい。同様に、基準電圧VR3,VR4を制御回路62,82の外部で生成するようにしてもよい。
・上記実施形態におけるトランジスタT1,T2を制御回路12,42,62,82に含めるようにしてもよい。また、変換回路11を制御回路12,42,62,82に含めるようにしてもよい。
・駆動回路29において、メイン側のトランジスタT1と同期側のトランジスタT2が同時にオンしないように、制御信号DH,DLにデッドタイムを設定してもよい。
・図20に、上記DC−DCコンバータ1(又はDC−DCコンバータ41,61,81)を有する電子機器200の一例を示す。電子機器200は、本体部210と、本体部210に電力を供給する電源部230とを有している。
まず、本体部210の内部構成例を説明する。
プログラムを実行する中央処理装置(CPU)211には、そのCPU211で実行されるプログラム又はCPU211が処理するデータを記憶するメモリ212が接続されている。また、CPU211には、インタフェース(I/F)213を介してキーボード214A及びポインティングデバイス214Bが接続されている。ポインティングデバイス214Bは、例えばマウス、トラックボール、タッチパネルや静電センサを有するフラットデバイス等である。
また、CPU211には、インタフェース215を介してディスプレイ216が接続され、インタフェース217を介して通信部218が接続されている。ディスプレイ216は、例えば液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスパネル等である。通信部218は、例えばローカルエリアネットワークボード等である。
また、CPU211には、インタフェース219を介して外部記憶装置220が接続され、インタフェース221を介して着脱可能記録媒体アクセス装置222が接続されている。外部記憶装置220は、例えばハードディスクである。アクセス装置222がアクセスする着脱可能な記録媒体としては、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、フラッシュメモリカード等が挙げられる。
次に、電源部230の内部構成例を説明する。
DC−DCコンバータ1と交流アダプタ231は、スイッチSWを介して上記本体部210に接続されている。これらDC−DCコンバータ1及び交流アダプタ231のいずれか一方から電力が本体部210に供給される。DC−DCコンバータ1は、図20の例では、例えば電池232からの入力電圧Viを出力電圧Voに変換し、その出力電圧Voを本体部210に供給する。
このような電子機器としては、ノート型のパーソナルコンピュータ、携帯電話等の通信機器、携帯情報端末(PDA)等の情報処理装置、デジタルカメラやビデオカメラ等の映像機器、テレビジョン装置等の受信機などが挙げられる。