JP6183432B2 - 車体のフロア下部構造 - Google Patents
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図7は、特許文献1において、車両の骨格を構成する部材を概略的に説明するために車体の下方から見た平面図である。
図7に示すように、車体の前端部の左右両側には、車両前後方向に延びるフロントサイドメンバ51が設けられ、これらフロントサイドメンバ51の車両後方には、フロアパネル52の下面の左右両側に接合されるフロアサイドメンバ53が設けられている。これらフロアサイドメンバ53は、車両前後方向に沿って延在し、車両前方からの外部荷重を吸収するために設けられる部材であり、前端部がフロントサイドメンバ51の後端部に接合され、前端部から後端部に亘って直線で車両後方へ向かう下面視で「ハの字」状に拡開するように配置されている。そして、フロアサイドメンバ53の後端部は、車両前後方向に沿って延在するリヤサイドメンバ54の前端部に接合されている。
しかしながら、上述した特許文献1、2に示す従来の構造においては、車両前方からの外部荷重を吸収するフロアサイドメンバ53が前端部から後端部にかけて直線でかつ下面視で「ハの字」状に拡開して設けられているので、車両前方からの外部荷重により、フロアトンネル52aが開くような変形を起こすことになる。この現象は、図8に示すように、車両前方からの荷重Fが、車体骨格のフロアサイドメンバ53に対して力Pのように直角方向に作用することになるからである。
したがって、従来の構造では、車両前方からの荷重Fが車体骨格のフロアサイドメンバ53に直角方向の力Pとして、フロアトンネル52aの側に作用するのみとなるため、車両前方からの荷重Fを吸収する効果を充分得られない場合がある。
さらに、本発明において、前記フロアサイドメンバの後端部は、前記フロアサイドメンバの車両幅方向の外側で車両前後方向に延在するサイドシルと、前記フロアサイドメンバの車両幅方向の内側で車両幅方向に延在するリヤクロスメンバとに合流して接合されている。
てリヤサスペンションスプリングシートまで延びる湾曲部を有しており、前記フロントサイドメンバの湾曲部と前記リヤサイドメンバの湾曲部は、前記フロアサイドメンバと同様に湾曲し、接合する前記フロアサイドメンバの前後端部で湾曲形状が連続するように形成されている。
このため、本発明のフロア下部構造によれば、フロアパネル及びフロアトンネルの前半部分には、車体の中心線側への変形が起こることになるので、フロアトンネルを閉じる方向に変形させることができる。通常、車両前方からの外部荷重がフロアトンネルに掛かると、該フロアトンネルは開く方向に変形を起こすので、フロアトンネルの剛性が低下する傾向にあり、フロアトンネルを閉じる方向に変形させることは、フロアトンネルの剛性向上あるいは剛性維持に有利である。
しかも、本発明のフロア下部構造では、フロアサイドメンバの前後端部の幅方向中心線が真っ直ぐに車両前後方向へ向いているので、フロアサイドメンバをS字状の湾曲に変形する効率を向上させることができる。
図1〜図6は本発明の実施形態に係る車体のフロア下部構造を示すものである。
すように、車体下部の骨格は、主として、フロアパネル1、フロアサイドメンバ2、フロントサイドメンバ3、サイドシル4、リヤサイドメンバ5等によって構成されている。
このフロアパネル1の前端部には、車両幅方向に沿って延在する縦壁であって、エンジンルームと車室内とを隔離するためのダッシュパネル11が設けられている。また、フロアパネル1の上面の車両幅方向中央部には、車両前後方向に沿って延在するフロアトンネル12が車体中心線O(図1参照)に沿って設けられており、該フロアトンネル12は、車室内側に突出する断面ハット型形状に形成されている。なお、図1において、矢印X方向は車両前方を示している。
これらフロアサイドメンバ2の平面形状は、前端部2aの幅方向中心線Cが真っ直ぐに車両前方へ向き、かつ後端部2bの幅方向中心線Cが真っ直ぐに車両後方へ向いており、車両前後方向の中間部分2cの前半部分2c1(第1湾曲部)が、車両幅方向の内側(幅方向中心線C側)に凸状に湾曲して形成され、車両前後方向の中間部分2cの後半部分2c2(第2湾曲部)が、車両幅方向の外側(幅方向中心線Cと反対側)に凸状に湾曲して形成されている。すなわち、フロアサイドメンバ2の全体形状は、後半部分2c2の幅W2が前半部分2c1の幅W2よりも大きく設定された緩やかな連続曲線(S字状もしくはコサイン形状)に形成されている(図1参照)。
幅方向に延在して設けられており、フロアパネル1の上面に突出して形成した縦壁面1aに接合されている。しかも、接合部D2を構成する部品は、フロアパネル1にも接合されている。
このような3部品の接合部D2によって、フロアサイドメンバ2の車両前後方向の中間部分2cのうちで、後半部分2c2における湾曲形状の終端がしっかりと固定され、湾曲変形が安定化することになり、特に、フロアサイドメンバ2の後端部2bが車両幅方向の外側に開かないようにして固定されることになる。なお、接合部D2における各々の部品接合は、3部品に限られず、2部品間の接合でも良い。
このようなフロントサイドメンバ3及びリヤサイドメンバ5が湾曲変形すると、車両前方からの外部荷重が吸収されるのみならず、フロアサイドメンバ2の前後に位置する湾曲部3b,5aの湾曲変形によってフロアサイドメンバ2の前半部分2c1及び後半部分2c2の湾曲変形が促進されるようになっている。
図1に示すように、車両前方からの外部荷重Fが車体の前端部に掛かる場合、荷重Fは、フロントサイドメンバ3を経由してフロアサイドメンバ2の幅方向中心線C上に作用することになる。フロアサイドメンバ2では、図6に示すように、車両前方からの外部荷重Fに対して力Pが作用することになり、この力Pにより中間部分2cの前半部分2c1はより内側に湾曲変形し、中間部分2cの後半部分2c2はより外側に湾曲変形する。これに伴って、フロアパネル1及びフロアトンネル12の前端部寄りの部分には車体中心線Oの方向への変形が起こり、フロアトンネル12は閉じる方向に変形する。すなわち、力Pを受けたフロアサイドメンバ2が、フロアトンネル12の前端部寄りの部分を圧縮変形することとなり、この変形により更にフロアトンネル21の剛性を向上して、車両前方からの外部荷重Fを効率的に吸収することが可能となる。
可能になるため、フロアトンネル12を閉じる方向に変形させることができる。しかも、フロアサイドメンバ2の前後端部2a,2bの幅方向中心線Cが真っ直ぐに車両前後方向へ向いていることから、車両前方からの外部荷重Fを受けたフロアサイドメンバ2の湾曲変形を効率的にかつ安定して起こすことができる。
さらに、本発明の実施形態のフロア下部構造において、フロアサイドメンバ2の後端部2bをサイドシル4とリヤクロスメンバ9とに合流させて接合した接合部D2に形成しているため、フロアサイドメンバ2の後半部分2c2に位置する湾曲形状の終端を3つの部材の集合により確実に固定でき、かつフロアサイドメンバ2の後端部2bの湾曲部を外側に開かないように保持でき、フロアサイドメンバ2の全体が倒れるのを防止できる。
2 フロアサイドメンバ
2a 前端部
2b 後端部
2c 中間部分
2c1 前半部分
2c2 後半部分
3 フロントサイドメンバ
3a 直線部
3b 湾曲部
4 サイドシル
5 リヤサイドメンバ
5a 湾曲部
6 ダッシュクロスメンバ
7 ダッシュロアエクステンション
8 サスペンションフレーム
9 リヤクロスメンバ
12 フロアトンネル
13 ビード
14 フロアクロスメンバ
31,32 サスペンションフレームの懸架部
33 リヤサスペンションスプリングシート
C 幅方向中心線
D1,D2 接合部
F 車両前方からの外部荷重
P フロアサイドメンバに掛かる力
O 車体中心線
Claims (4)
- 車体の左右両側に車両幅方向に間隔を置いて配置され、車両前方から車両後方へ向かって設けられるフロントサイドメンバ、フロアサイドメンバ及びリヤサイドメンバを有しているサイドメンバと、フロアパネルとを備え、
該フロアパネルの左右両側に車両幅方向に間隔を置いて配置され接合される前記フロアサイドメンバを車両前後方向に延在して設けるとともに、前記フロアパネルの中央部にフロアトンネルを車両前後方向に延在して設け、前記フロアパネルの左右両側に配置された前記フロアサイドメンバの車両幅方向の外側にサイドシルを車両前後方向に延在して設けた車体のフロア下部構造において、
前記フロアサイドメンバの平面形状は、前端部の幅方向中心線が真っ直ぐに車両前方へ向き、前記フロアサイドメンバの前端部には、車両前後方向に沿って延びる前記フロントサイドメンバの後端部が接合され、
前記フロアサイドメンバの平面形状は、後端部の幅方向中心線が真っ直ぐに車両後方へ向き、前記フロアサイドメンバの後端部には、車両前後方向に沿って延びる前記リヤサイドメンバの前端部が接合され、
前記フロントサイドメンバの後端部は、前記フロアトンネルの前端部と架橋するダッシュクロスメンバが接合され、
前記フロントサイドメンバの後端部は、前記フロアサイドメンバの前端部と架橋するダッシュロアエクステンションが接合され、
前記フロアサイドメンバは、前端部の幅方向中心線が真っ直ぐに車両前方へ向き、かつ後端部の幅方向中心線が真っ直ぐに車両後方へ向いており、車両前後方向の中間部分の前半部分が、車両幅方向の内側に凸状に湾曲する箇所を含んで形成され、車両前後方向の中間部分の後半部分が、車両幅方向の外側に凸状に湾曲する箇所を含んで形成されていることを特徴とする車体のフロア下部構造。 - 前記ダッシュクロスメンバは、前記フロアトンネルの前端部よりも車両前後方向の前側で、かつ、前記ダッシュロアエクステンションの前記フロントサイドメンバとの接合部よりも車両前後方向の前側で前記フロントサイドメンバと接合されていることを特徴とする請求項1に記載の車体のフロア下部構造。
- 前記フロアトンネルの後端部と前記サイドシルの後端部には、車両幅方向に延在するリヤクロスメンバが接合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車体のフロア下部構造。
- 前記フロアパネルには、車両幅方向に延在するフロアクロスメンバが設けられ、前記フロアサイドメンバの車両前後方向の中間部分のうち、車両幅方向の内側に凸状に湾曲する前半部分と、車両幅方向の外側に凸状に湾曲する後半部分との中央の節には、前記フロアクロスメンバが接合されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の車体のフロア下部構造。
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