以下、本発明の一実施形態に係る工具交換装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、工具交換装置の説明に先立ち、ロボットに取り付けられるツールについて概略説明する。ツールは、図1及び図2に示す如く、ツール本体50aと、該ツール本体50aに連結された機能部50bとを備える。ツール本体50aは、外面上で開放した空洞部51と該空洞部51の周囲に設けられた係合部52とを有する。
具体的には、ツール本体50aは、第一端と該第一端の反対側の第二端とを有する。ツール本体50aは、第一端から第二端に向けて掘り下げられ、第一端上(外面上)で開放した凹状又は穴状の空洞部51(図においては穴状の空洞部51)と、空洞部51内で該空洞部51の中心線CL回りに配置された係合部52とを含む。
ツール本体50aの空洞部51は、第一端側から第二端側に延びる中心線CL回りの内周面によって画定されている。これを前提に、ツール本体50aの係合部52は、空洞部51の内周面のうちの第一端側の内周面が内側(中心線CL側)に突出して形成されている。係合部52は、空洞部51における第一端上で開放する開口に添って設けられるか、或いは、空洞部51内のツール本体50aにおける第一端側で該空洞部51の中心線CL回りに配置される。なお、図1及び図2に図示された係合部52は、周方向に連続して形成されているが、係合部52は、周方向に断続的に形成されてもよい。
そして、ツール本体50aの第一端上には、第二端に向けて掘り下げられたガイド穴53が設けられている。ガイド穴53は、第二端に向けて縮径したテーパ状に形成されている。
機能部50bは、ツール本体50aの第二端に連結される。機能部50bは、処理の内容に応じた機能を有する。例えば、処理(加工)の内容が溶接(スポット溶接)である場合、機能部50bには、スポットガンが採用される。これに対し、処理(加工)の内容が部品の運搬(搬送)である場合、機能部50bには、一対の挟持体を有するハンドが採用される。なお、図1及び図2には、機能部50bとしてハンドを搭載したものが図示されている。
工具交換装置は、ツール5(ツール本体50a)が上記構成を備えることを前提にしている。具体的には、工具交換装置1は、図3及び図4に示す如く、産業用ロボット(以下、単にロボットという)に連結されるロボット連結部20と、ツール5に形成された空洞部51に挿入可能な挿入部21とを含む装置本体2と、装置本体2内に設けられたロック機構3であって、ツール5を連結(固定)した状態で維持させるロック機構3と、ロック機構3を作動させる駆動部4とを備える。
装置本体2は、図4に示す如く、ロボット連結部20及び挿入部21に加え、ロック機構3を収容する収容空間220が形成された本体部22を備える。また、本実施形態に係る装置本体2は、ツール5(ツール本体50a)のガイド穴53に嵌入可能なガイドピン23を有している。
本体部22は、第一方向に第一面と該第一面の反対側の第二面とを有する。本実施形態において、本体部22は、ブロック状に形成されている。すなわち、本体部22は、図3に示す如く、第一方向と直交する方向(以下、第二方向という)の両端に、それぞれが相反する方向に向いた第一壁面S1と第二壁面S2とを有するとともに、第一方向及び第二方向と直交する方向(以下、第三方向という)の両端に、それぞれが相反する方向に向いた第三壁面S3と第四壁面S4とを有する。
第一壁面S1、第二壁面S2、第三壁面S3、及び第四壁面S4のそれぞれは、本体部22の外側に向いている。本実施形態において、第一壁面S1、第二壁面S2、及び第三壁面S3は、平面状に形成されている。平面状に形成された第一壁面S1、第二壁面S2、及び第三壁面S3のうち、第二壁面S2及び第三壁面S3には、ツール5に対して電気的に接続される端子等(図示しない)を収容したコネクタボックス43が取り付けられている。なお、コネクタボックス43は、必要とする端子の数に応じ、第二壁面S2又は第三壁面S3の何れか一方のみに取り付けられることもある。
図4に戻り、収容空間220は、第一方向に本体部22を貫通し、本体部22の第一面上及び第二面上で開口している。収容空間220は、挿入部21と同心で設けられている。すなわち、収容空間220の中心線CLは、挿入部21の中心線CLと一致している。
装置本体2は、第二方向で収容空間220と外部とを連通させる空間部221を有する。より具体的に説明する。本体部22の第一面には、収容空間220を画定する内周面から本体部22における第一壁面S1に至る凹部(採番しない)が形成されている。そして、本体部22の第一面に固定された蓋部材223によって凹部の開放部分が閉じられている。
これにより、装置本体2には、凹部と蓋部材223で画定された空間部221であって、収容空間220を画定する内周面と第一壁面S1との両面で開放した空間部221が形成されている。すなわち、空間部221は、収容空間220に向けて開放するとともに、本体部22の第一壁面S1上に開口部222を形成している。
挿入部21は、筒状に形成され、本体部22の第二面から延出している。挿入部21の外径は、ツール5の空洞部51に挿入可能に設定される。挿入部21には、第一方向(中心線CL)と直交する方向に貫通した複数の穴210,…が周方向に間隔をあけて設けられている。
ロボット連結部20は、本体部22の収容空間220(第一面上の開口)を閉塞可能な円板で構成され、本体部22にネジ止めされる。なお、ロボット連結部20には、複数のネジ穴(図示しない)が設けられている。これにより、ロボットは、ロボット連結部20に外嵌された状態で自身に挿通されたネジ部材(図示しない)がロボット連結部20のネジ穴に螺合されることで工具交換装置1(装置本体2)に連結される。
ガイドピン23は、第一方向に延びている。ガイドピン23は、本体部22の第二面から外方に突出している。ガイドピン23は、ツール5のガイド穴53と対応した形状に形成される。
ロック機構3は、装置本体2(本体部22)に内装された直動体30であって、空洞部51に対する挿入部21の挿入方向と対応する方向(第一方向)に往復移動可能な直動体30と、直動体30の往復移動に伴って挿入部21の外周から出退するロック部材31,…とを含む。
直動体30は、第一方向に延びる軸部300と、軸部300に対して第一方向に移動可能に連結された押圧部301であって、挿入部21内に配置された押圧部301と、押圧部301を第一方向の一方側(軸部300の存在する側とは反対側)に向けて付勢する弾性体302とを備える。
軸部300は、雄ネジ部303と、押圧部301に接続される接続軸部304であって、雄ネジ部303に連続した接続軸部304とを備えている。軸部300(接続軸部304)には、弾性体302を受ける第一受部305が設けられている。
押圧部301は、第一方向の一方側から他方側に向けて縮径したテーパ部306を備える。押圧部301の内部には、弾性体302(弾性体302の後述する第二端)を受ける第二受部307が設けられている。
具体的に説明する。押圧部301には、第一方向に貫通した段付き穴308が設けられる。押圧部301の段付き穴308は、テーパ部306の先端(先細りした端部)側に小径穴308aを有するとともに、テーパ部306の基端側に大径穴308bを有する。これにより、段付き穴308を構成する大径穴308bと小径穴308aとの境界が第二受部307を構成している。
押圧部301は、第一方向に往復移動可能な状態で軸部300(接続軸部304)に連結される。押圧部301及び軸部300は、中心線CL回りで相対回転不能とされている。また、押圧部301及び軸部300は、中心線CL回りで装置本体2に対しても相対回転不能とされている。
弾性体302は、押圧部302の大径穴308b内に配置される。すなわち、弾性体302は、第一受部305と第二受部307との間に配置される。これにより、弾性体302は、第一受部305と第二受部307とを逆向きに付勢する。弾性体302には、コイルバネや板バネ等の種々のバネ部材を採用し得る。ここでは、複数の皿バネが弾性体302として設けられている。
上記構成の直動体30は、第一方向の一方側の移動限界位置(以下、第一限界位置という)LP1と第一方向の他方側の移動限界位置(以下、第二限界位置という)LP2とに位置変更可能に設けられている。
具体的に説明する。工具交換装置1は、直動体30の第一限界位置LP1に対応した位置に配置された第一スイッチLS1と、直動体30の第二限界位置LP2に対応した位置に配置された第二スイッチLS2とを備える。第一スイッチLS1及び第二スイッチLS2のそれぞれには、ON−OFFの切り換え可能な種々のスイッチが採用され得る。
ここでは、第一スイッチLS1及び第二スイッチLS2のそれぞれに、機械的なスイッチ(プッシュプランジャ式のリミットスイッチ)が採用されている。これに伴い、直動体30には、第一スイッチLS1及び第二スイッチLS2のプランジャ(採番しない)を押し操作するためのストライカー309が取り付けられている。第一スイッチLS1及び第二スイッチLS2のそれぞれは、ストライカー309による押し操作が可能となるように、プランジャを収容空間220内に介在させている。
これにより、工具交換装置1は、ストライカー309が第一スイッチLS1のプランジャを押し操作したときに、直動体30が第一限界位置LP1に到達したことを認識する。また、工具交換装置1は、ストライカー309が第二スイッチLS2のプランジャを押し操作したときに、直動体30が第二限界位置LP2に到達したことを認識する。
ロック部材31,…のそれぞれは、球体で構成されている。ロック部材31,…は、挿入部21に設けられた穴210,…の内部に配置されている。すなわち、ロック部材31,…は、挿入部21に設けられた複数の穴210,…のそれぞれの内部に配置される。ロック部材31,…は、転動することで、第一方向(挿入部21の中心線CL)と交差する方向に移動するようになっている。
これにより、ロック部材31,…は、一部が挿入部21の外周から外方に突出した状態と、全体が挿入部21内に退避した状態とに切り換え可能に設けられている。なお、挿入部21に設けられた穴210,…は、挿入部21の外周面側でロック部材31,…の外径よりも小径になっている。これにより、穴210,…からのロック部材31,…の脱落が防止されている。
駆動部4は、図4及び図5に示す如く、出力軸400を有する駆動モータ40と、直動体30に螺合された回転体411を含む駆動伝達機構41であって、駆動モータ40の出力軸400の回転を回転体411に伝達可能に構成された駆動伝達機構41とを備える。また、駆動部4は、駆動モータ40又は駆動伝達機構41の何れか一方の動作を規制するブレーキ装置42をさらに備える(図5参照)。
駆動モータ40は、装置本体2(本体部22)の外側に設けられている。具体的には、駆動モータ40は、本体部22の第一壁面S1と対向するように設けられている。駆動モータ40は、本体部22に直接的又は間接的に支持される。そして、駆動モータ40は、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と対応する方向(第一方向)に延びるように配置されている。駆動モータ40は、本体部22の第一壁面S1上に形成された開口部222と対応する位置(同レベル)に出力軸400を位置させている。
本実施形態において、駆動モータ40には、電動モータが採用されている。すなわち、駆動モータ40は、モータコアやロータ等(図示しない)を収容したモータ本体401と、モータ本体401の外面(端面)から延出した出力軸400であって、モータコア又はロータと同心で回転する出力軸400とを備える。従って、本実施形態においては、出力軸400を空間部221(開口部222)の配置に対応させるに当り、モータ本体401が装置本体2(本体部22)の第二面側に延在している。すなわち、駆動モータ40は、モータ本体401をツール5側に延在させている。
本実施形態において、駆動モータ40は、連結されたツール5のツール本体50aの側近のスペースにモータ本体401が介在するように配置されている。すなわち、本実施形態に係る工具交換装置1においては、ツール5を連結した状態で、従来の工具交換装置では使用されていなかったツール本体50aの側近のスペース(デッドスペース)を有効活用し得る位置(駆動モータ40の配置スペースとして利用可能な位置)に駆動モータ40が配置されている。
これに伴い、駆動モータ40は、当該工具交換装置1にツール5を連結した状態で、互いに重なり合う装置本体2の本体部22とツール本体50aとの合計厚みの範囲内で収まるサイズのものが採用される。すなわち、駆動モータ40は、ツール5の機能部50bの影響を与えない範囲で配置可能なサイズのものが採用される。
駆動伝達機構41は、図4、図5、及び図6に示す如く、駆動モータ40の出力軸400に取り付けられた第一平歯車410と、回転体である第二平歯車411とを含む。そして、駆動伝達機構41は、第一平歯車410の回転を第二平歯車411に伝達可能に構成される。
また、駆動伝達機構41は、第一平歯車410と第二平歯車411との間に配置された第三平歯車414であって、第一平歯車410及び第二平歯車411のそれぞれが噛合した第三平歯車414をさらに含む。
第一平歯車410は、駆動モータ40の出力軸400に取り付けられている。第一平歯車410は、図6に示す如く、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの何れか一方の領域に配置される。従って、第一平歯車410の取り付けられた駆動モータ40についても、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの何れか一方の領域に配置される。
第二平歯車411は、図4に示す如く、直動体30の軸部300に螺合される雌ネジ部412aを有するボス412と、ボス412に対して同心で連結された歯車部413であって、ボス412の外周から外方に延出した歯車部413とを備える。本実施形態において、ボス412は、段付き筒状のボス本体412bと、内周面にネジ溝の形成された筒状の雌ネジ部材412aであって、ボス本体412b内に配置された雌ネジ部としての雌ネジ部材412aとを備える。雌ネジ部材412aは、ボス本体412bに対して中心線CL回りで回転不能に固定されている。
第二平歯車411は、直動体30(雄ネジ部303)に雌ネジ部412aを螺合させた状態で、直動体30回りで回転自在に設けられている。すなわち、第二平歯車411は、本体部22内で直動体30と同心に配置されたベアリング45によって軸支されている。本実施形態において、第二平歯車411は、ボス412の両端がベアリング45によって支持されている。これにより、第二平歯車411は、本体部22内の一定位置で直動体30の中心線CLを回転中心にして回転自在に設けられている。第二平歯車411の歯車部413は、外周の一部を本体部22に形成された空間部221に突出させている。
第三平歯車414は、本体部22の空間部221内に配置される。第三平歯車414は、第一平歯車410及び第二平歯車411のそれぞれの回転中心線と並行な軸線回りで回転自在に設けられる。
本実施形態において、第三平歯車414は、第一平歯車410と噛合する入力歯車部414aと、第二平歯車411(歯車部413)と噛合する出力歯車部414bであって、入力歯車部414aに対して同心で連結された出力歯車部414bとを備える。本実施形態において、駆動モータ40の出力を減速させるために、入力歯車部414aは、出力歯車部414bよりも大径に形成されている。また、第一平歯車410よりも入力歯車部414aが大径に設定され、第二平歯車411が出力歯車部414bよりも大径に設定されている。
入力歯車部414a及び出力歯車部414bは、互いに回転トルクを伝達し合えれば、一体的に成形されても、別個に成形されてもよい。ここでは、入力歯車部414a及び出力歯車部414bは、別体で成形され、トルク伝達可能に連結されている。具体的には、出力歯車部414bに対して自身の回転中心となる軸部(採番しない)が設けられ、入力歯車部414aが出力歯車部414bの軸部に対して相対回転不能な状態(本実施形態においてはキーを介在させた状態)で嵌着されている。これに伴い、第三平歯車414においては、出力歯車部414bの軸部がベアリング46に軸支されている。
第三平歯車414は、空間部221に配置された状態で、本体部22の第一壁面S1に形成された開口部222から一部を突出させる。すなわち、第三平歯車414は、一部を本体部22から外側に突出させ、第一平歯車410と噛合可能に設けられている。本実施形態に係る第三平歯車414は、入力歯車部414aと出力歯車部414bとを備えているため、第一平歯車410と噛合する入力歯車部414aの一部のみを本体部22から外部に突出させている。
図5及び図6に示す如く、ブレーキ装置42は、本体部22の外側に配置される。具体的には、ブレーキ装置42は、本体部22の第一壁面S1と対向するように配置される。
ブレーキ装置42は、図5に示す如く、ブレーキ本体420と、ブレーキ本体420を貫通した回転軸421とを備える。ブレーキ本体420には、回転軸421の回転を規制する状態と該回転軸421の回転を許容する状態とに切り換え可能に構成されたブレーキ機構(図示しない)が内装されている。ここでは、ブレーキ装置42として、無励磁作動式のものが採用されている。すなわち、停電等で電力供給が絶たれた状態になったときに、制動機能を発揮するブレーキ装置42が採用されている。従って、上記構成のブレーキ装置42は、電力供給されていないとき(無励磁のとき)にブレーキ機構が回転軸421の回転を規制する。
ブレーキ装置42は、回転軸421が第一方向に延びるように配置されている。上記構成のブレーキ装置42は、ブレーキ本体420に回転軸421が貫通しているため、ブレーキ本体420の両側で回転軸421が本体部22に直接的又は間接的に支持されたベアリング47によって軸支される。
ブレーキ装置42は、駆動モータ40の出力軸400や駆動伝達機構41の回転部(第一平歯車410、第二平歯車411、第三平歯車414)に対して回転軸421の回転トルク(負のトルク)が伝達可能となるように設けられる。
本実施形態において、ブレーキ装置42は、駆動伝達機構41の動作を規制する。すなわち、ブレーキ装置42は、駆動伝達機構41に負のトルクを伝達し、駆動伝達機構41の動作を規制することで、駆動モータ40の出力軸400の自由な回転を規制する。
具体的に説明する。ブレーキ装置42は、回転軸421に取り付けられた制動用平歯車422であって、第三平歯車414に噛合する制動用平歯車422を含む。
上述の如く、第三平歯車414は、入力歯車部414aと出力歯車部414bとを備え、入力歯車部414aの一部を本体部22の第一壁面S1から外側に突出させている。これに伴い、制動用平歯車422は、図6に示す如く、第一平歯車410と同様に、入力歯車部414aと噛合している。
制動用平歯車422は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの何れか一方の領域に配置される。従って、制動用平歯車422を備えるブレーキ装置42についても、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの何れか一方の領域に配置される。
上述の如く、第一平歯車410は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの一方の領域に配置される。これに伴い、制動用平歯車422は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの他方の領域に配置される。
従って、第一平歯車410及び制動用平歯車422は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のそれぞれに振り分けられて配置されている。これに伴い、駆動モータ40及びブレーキ装置42についても、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のそれぞれに振り分けられて配置されている。
上述のように、駆動モータ40及びブレーキ装置42は、装置本体2(本体部22)の外側に配置される。これに伴い、工具交換装置1は、図4に示す如く、駆動モータ40及びブレーキ装置42を収容するケース44を備える。ケース44は、本体部22の第一壁面S1に固定される。そして、工具交換装置1は、メンテナンス性を考慮し、ケース44に対して駆動モータ40及びブレーキ装置42が取り付けられている。
具体的には、駆動モータ40のモータ本体401がケース44に固定され、ブレーキ装置42の回転軸421を軸支するベアリング47がケース44に支持されている。すなわち、本実施形態に係る工具交換装置1において、駆動モータ40及びブレーキ装置42(ベアリング47)は、ケース44を介して間接的に本体部22に支持されている。
これにより、ケース44が装置本体2(本体部22)から取り外されたときに、第三平歯車414(入力歯車部414a)に対する第一平歯車410及び制動用平歯車422の噛合が解除されつつ、駆動モータ40及びブレーキ装置42も取り外せるようになっている。
このようにケース44が装置本体2から取り外されると、本体部22の第一壁面S1から第三平歯車414(入力歯車部414a)の一部が露呈するため、ケース44が本体部22に再度取り付けられると、第三平歯車414(入力歯車部414a)に対して第一平歯車410及び制動用平歯車422が噛合し、駆動モータ40及びブレーキ装置42がケース44を介して本体部22に固定される。
本実施形態に係る工具交換装置1は、以上の通りである。続いて、上記構成の工具交換装置1の作動について説明する。
上記工具交換装置1にツール5を取り付けるに当り、直動体30は、第二限界位置LP2に位置する。この状態で、直動体30の押圧部301は、複数のロック部材31,…を押圧せずに、複数のロック部材31,…は、挿入部21内に退避している。この状態で、装置本体2の挿入部21がツール5(ツール本体50a)の空洞部51に挿入される。このとき、ガイドピン23がツール5のガイド穴53に嵌入され、ツール5と工具交換装置1とが位置決めされる。
この状態で、ブレーキ装置42及び駆動モータ40のそれぞれに電力が供給される。すなわち、ブレーキ装置42における回転軸421の規制が解除され、駆動伝達機構41を構成する第一平歯車410、第二平歯車411、及び第三平歯車414のそれぞれが回転自在な状態にされた上で、駆動モータ40が駆動する。これに伴い、駆動モータ40の出力が駆動伝達機構41の回転体である第二平歯車411に伝達され、第二平歯車411の雌ネジ部412a(雌ネジ部材412a)が定位置で回転する。これに伴い、雌ネジ部412aに螺合された雄ネジ部303を有する直動体30は、第一限界位置LP1に向けて移動する。
そして、直動体30の移動に伴い、押圧部301(テーパ部306)が複数のロック部材31,…のそれぞれを押圧する。これに伴い、複数のロック部材31,…のそれぞれが移動し、直動体30が第一限界位置LP1に到達した状態で、複数のロック部材31,…のそれぞれが挿入部21の外周から外側に突出した状態になる。これにより、複数のロック部材31,…のそれぞれとツール5の係合部52とが圧接した状態で係合し、装置本体2の挿入部21がツール5の空洞部51から脱出不能になる。
そして、直動体30が第一限界位置に到達すると(ロック部材31,…が係合部52と係合すると)、ストライカー309が第一スイッチLS1をONにし、その第一スイッチLS1からの信号を基に、ブレーキ装置42及び駆動モータ40への電力供給が絶たれる。これにより、駆動モータ40が停止するのに併せてブレーキ装置42における回転軸421の回転が規制される。
このようにブレーキ装置42の回転軸421の回転が規制されると、回転軸421に取り付けられた制動用平歯車422が第三平歯車414の回転を規制し、第三平歯車414に係合した第一平歯車410や第二平歯車411の回転も規制される。従って、ツール5の荷重等の作用により、係合部52と係合状態にあるロック部材31,…が穴210,…内に押し戻されるような力が作用し、ロック部材31,…が直動体30を第二限界位置LP2に押し戻そうとしても、直動体30(雄ネジ部303)に螺合した雄ネジ部303を有する第二平歯車411の回転が規制されることで、直動体30の押し戻しが阻止され、ロック部材31,…とツール5の係合部52との係合状態が維持される。
また、停電等で工具交換装置1への電力供給が絶たれた場合でも、ブレーキ装置42が無励磁式のものであるため、回転軸421の回転を規制する。従って、停電時に工具交換装置1とツール5との連結が不要に解除されることが確実に防止される。
そして、ツール5を交換する場合、ブレーキ装置42及び駆動モータ40のそれぞれに電力が供給される。すなわち、ブレーキ装置42における回転軸421の規制が解除され、駆動伝達機構41を構成する第一平歯車410、第二平歯車411、及び第三平歯車414のそれぞれが回転自在な状態にされた上で、駆動モータ40が駆動する。このとき、工具交換装置1の駆動モータ40は、逆転駆動する。これに伴い、駆動モータ40の出力が駆動伝達機構41の回転体である第二平歯車411に伝達され、第二平歯車411の雌ネジ部412a(雌ネジ部材412a)が定位置で逆回転する。これに伴い、雌ネジ部412aに螺合された雄ネジ部303を有する直動体30は、第二限界位置LP2に向けて移動する。
これに伴い、押圧部301と複数のロック部材31,…のそれぞれとの圧接が解除され、複数のロック部材31,…のそれぞれが穴210,…内に退避可能な状態になる。そして、直動体30が第二限界位置LP2に到達すると、ストライカー309が第二スイッチLS2をONにし、その第二スイッチLS2からの信号を基に、ブレーキ装置42及び駆動モータ40への電力供給が絶たれる。これにより、駆動モータ40が停止するのに併せてブレーキ装置42における回転軸421の回転が規制される。
そして、上述のように、複数のロック部材31,…のそれぞれが穴210,…内に退避可能な状態になっているため、ロボットを動作させて工具交換装置1を第一方向に移動させることで、複数のロック部材31,…のそれぞれが穴210,…内に入り込みつつ(係合が解除されつつ)、装置本体2の挿入部21がツール5の空洞部51から脱出することになる。従って、上記構成の工具交換装置1は、ツール5の係合部52に対するロック部材31,…の係合とその解除とにより、ツール5の着脱を円滑に行うことができる。
なお、上記構成の工具交換装置1において、直動体30を構成する軸部300と押圧部301とが第一方向に相対移動可能に連結されるとともに、弾性体302によって付勢されているため、係合部52とロック部材31,…との係合とその解除とが繰り返されることで、押圧部301が摩耗しても、押圧部301がロック部材31,…を常に同じ又は略同じ状態で押圧する。従って、本実施形態に係る工具交換装置1は、長期に亘って使用されても、ツール5を適正に取り付けることができる。
以上のように、本実施形態に係る工具交換装置1によれば、駆動モータ40は、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と対応する方向(第一方向)に延びるように配置される。
これにより、駆動モータ40が装置本体2から大きく外側に突出することがない。すなわち、駆動モータ40は、出力軸400の延びる方向で長手をなしている。そのため、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と直交する方向に延びるように配置されると、装置本体2から大きく突出することになる。しかしながら、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と対応する方向に延びるように駆動モータ40が配置されると、駆動モータ40における短手部分が装置本体2と横並びに配置された状態になり、装置本体2からの突出が最大限に抑えられる。
従って、ロボットを作動させたときに、工具交換装置1の駆動モータ40(モータ本体)がロボット(ロボットアーム)や周辺機器と干渉することが抑制できる。
また、駆動モータ40に電動モータが採用された場合、モータ本体401内にはモータコア等の重量物があるため、その重量によっては、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と直交する方向に延びるように駆動モータ40が配置されると、ロボット(ロボットアーム)が動作したときに、大きな慣性力が作用し、ロボットやツール5との連結部分(装置本体2のロボット連結部20や挿入部21等)に大きなモーメントが作用することがある。そのため、ロボットやツール5との連結精度が維持されなかったり、ロボットやツール5との連結部分(ロボット連結部20、挿入部21)が破損したり、損傷したりする虞もある。
しかし、本実施形態に係る工具交換装置1によれば、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と対応する方向に延びるように駆動モータ40が配置されているため、駆動モータ40の重心位置が装置本体2に対して近い位置に存在する。
そのため、ロボットが作動したときに、駆動モータ40の影響による慣性力が大きくなりにくく、ロボットやツール5との連結部分(装置本体2のロボット連結部20や挿入部21等)に大きなモーメントが作用しにくくなる。
これにより、工具交換装置1は、ロボットとツール5との連結状態を維持することができ、また、ロボットやツール5との連結部分の損傷を防止することもできる。また、駆動モータ40は、出力軸400の延びる方向に長尺であるため、上述の如く、出力軸400が直動体30の往復移動する方向と対応する方向に延びるように駆動モータ40が設けられることで、外側に大きく突出することを抑えることができ、装置全体を小型にすることもできる。
本実施形態において、駆動伝達機構41は、出力軸400に取り付けられた第一平歯車410と、回転体である第二平歯車411とを含み、第一平歯車410の回転を第二平歯車411に伝達可能に構成される。
これにより、比較的簡易な構成で駆動モータ40の駆動(回転)を回転体に効率的に伝達することができる。また、平歯車を基本構成にされることで、駆動伝達機構41が複雑化や大型化することが抑制され、工具交換装置1全体が小型化する。
また、本実施形態において、駆動伝達機構41は、第一平歯車410と第二平歯車411との間に配置された第三平歯車414であって、第一平歯車410及び第二平歯車411のそれぞれが噛合した第三平歯車414をさらに含む。
これにより、第一平歯車410及び第二平歯車411の少なくとも何れか一方が小径に設定され、これらの間隔が広くなっても、第三平歯車414を介して第一平歯車410(出力軸400)の回転を第二平歯車411に確実に伝達することができる。
その上、第一平歯車410と第二平歯車411との間に第三平歯車414が介在することで、第一平歯車410の回転中心と第二平歯車411の回転中心との間隔を適度に確保でき、装置本体2に対して駆動モータ40を干渉させることなく配置することができる。また、三つの平歯車(第一平歯車410、第二平歯車411、第三平歯車414)が作動的に噛合するため、これらのピッチ径を適宜設定することで、直動体30の移動速度、すなわち、ツール5の係合部52に対するロック部材31,…の係合速度を適正な速度に設定することもできる。
本実施形態において、上述の如く、第一平歯車410は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの何れか一方の領域に配置される。
これにより、第一平歯車410が第二平歯車411と第三平歯車414との両方に対して一列に配置されず、装置全体を小型にすることができる。より具体的に説明すると、第一平歯車410が第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線L上に配置されると、三つの平歯車410,411,414が一列にならび、歯車の配列の長さが最も長くなるが、第二平歯車411が第一平歯車410の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lを躱すことで、歯車の配列の長さが長くなることを抑えることができる。従って、駆動伝達機構41が第一平歯車410、第二平歯車411、及び第三平歯車414で構成されても大型化することを抑えることができる。
また、本実施形態に係る工具交換装置1は、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合した状態で、駆動伝達機構41の動作を規制するブレーキ装置42を備える。
これにより、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合したときに、駆動伝達機構41の回転体411の回転で直動(往復動)する直動体30の動作も規制される。従って、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合した状態で、駆動モータ40の出力が不足したり、駆動モータ40が停止したりしても、直動体30が移動することがなく、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合した状態で維持できる。よって、ロボットとツール5との連結が確実に維持される。
本実施形態に係る工具交換装置1は、駆動伝達機構41が第三平歯車414を備えることを前提に、ブレーキ装置42をさらに備え、ブレーキ装置42は、直動体30の往復移動する方向と対応する方向に延びる回転軸421と、該回転軸421に取り付けられた制動用平歯車422であって、第三平歯車414に噛合する制動用平歯車422とを含み、ロック部材31,…が係合部52と係合した状態で回転軸421を制動するように構成される。
かかる構成によれば、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合したときに、ブレーキ装置42の回転軸421の回転が規制され、該回転軸421に取り付けられた制動用平歯車422の回転も規制される。そうすると、制動用平歯車422と噛合する第三平歯車414の回転が規制され、第三平歯車414と噛合する回転体である第二平歯車411の回転も規制される。その結果、駆動伝達機構41の回転体(第二平歯車411)の回転で直動(往復動)する直動体30の動作も規制される。
従って、ロック部材31,…がツール本体50aの係合部52と係合した状態で、駆動モータ40の出力が不足したり、駆動モータ40が停止しても、直動体30が移動したりすることがなく、ロック部材31,…が係合部52と係合した状態(ツール5がロボットに連結された状態)で維持できる。これにより、ロボットとツール5との連結が確実に維持される。
特に、本実施形態において、第一平歯車410及び制動用平歯車422は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のそれぞれに振り分けられて配置されている。
これにより、第一平歯車410及び制動用平歯車422の何れもが第二平歯車411と第三平歯車414との両方に対して一列に配置されず、装置全体を小型にすることができる。
より具体的に説明すると、第一平歯車410及び制動用平歯車422の何れかが、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線L上に配置されると、三つの平歯車410,411,414が一列にならび、歯車の配列の長さが最も長くなる。しかし、第一平歯車410及び制動用平歯車422が、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lを躱すことで、歯車の配列の長さが長くなることを抑えることができる。従って、駆動伝達機構41が第一平歯車410、第二平歯車411、及び第三平歯車414で構成され、ブレーキ装置42が制動用平歯車422を装備しても大型化することを抑えることができる。
尚、本発明の工具交換装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、ロック機構3が、球状のロック部材31,…を備えたが、これに限定されない。例えば、ロック機構3は、直動体30の往復動に伴って挿入部21の外周に対して出退可能に設けられたカム部材をロック部材31,…として備えたものであってもよい(図11参照)。
上記実施形態において、駆動モータ40として電動モータが採用されたが、これに限定されない。駆動モータ40は、出力軸400の延びる方向で長手にされることを前提に、例えば、油圧モータや、エアーモータであってもよい。
上記実施形態において、ブレーキ装置42が設けられたが、ブレーキ装置42は必須の要件ではなく、必要に応じて設けられればよい。なお、工具交換装置1とツール5との連結を確実に維持するには、ブレーキ装置42が設けられることが好ましいことは言うまでもない。また、ブレーキ装置42が設けられない場合、駆動モータ40には、サーボモータや、ステッピングモータ等の電気的に制動可能な電気モータを採用することが好ましい。このようにすれば、ロック部材31,…とツール5の係合部52との係合状態を維持することができる。但し、停電等のように電力供給の絶たれる状況が発生し得ることを考慮すれば、上記実施形態のように、無励磁作動式のブレーキ装置42を採用することが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、ブレーキ装置42の回転軸421に取り付けられた制動用平歯車422が、駆動伝達機構41の第三平歯車414に噛合されることで、ブレーキ装置42が駆動モータ40に対して横並びに配置されたが、これに限定されない。例えば、ブレーキ装置42は、駆動モータ40に直列に設けられたり、駆動モータ40に組み込まれたり(駆動モータ40がブレーキ付きモータにされたり)することで、ツール5と工具交換装置1とが連結した状態で、駆動モータ40の動作を直接規制するようにしてもよい。但し、ブレーキ装置42が駆動モータ40と直列的に設けられた場合、第一方向におけるブレーキ装置42と駆動モータ40との合計長さが長くなるため、ロボットアームの連結位置を基準とした荷重点が該基準から遠くなる。そのため、ロボットを作動させたときの慣性モーメントが大きくなることがある。従って、慣性モーメントが許容範囲を超える場合には、上記実施形態と同様に駆動モータ40とブレーキ装置42とが横並びに配置されればよい。
上記実施形態において、駆動伝達機構41が第一平歯車410と第二平歯車411との間に介在する第三平歯車414を備えたが、これに限定されない。例えば、駆動伝達機構41は、図7に示す如く、第一平歯車410に対して第二平歯車411を直接噛合したものであってもよい。また、上記実施形態において、第三平歯車414が入力歯車部414aと出力歯車部414bとを備えたが、これ限定されない。例えば、第三平歯車414が設けられる場合、第三平歯車414を単一の平歯車としてもよい。この場合、第一平歯車410及び第二平歯車411は、同一の平歯車(第三平歯車414)に噛合される。
上記実施形態において、第一平歯車410が第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のうちの一方の領域に配置されたが、これに限定されない。例えば、第一平歯車410は、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線L上に配置されてもよい。なお、装置の小型化を考慮すれば、上記実施形態と同様にされることが好ましいことは勿論である。
また、上記実施形態において、駆動モータ40とブレーキ装置42とが設けられ、第一平歯車410(駆動モータ40)及び制動用平歯車422(ブレーキ装置42)が、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域のそれぞれに振り分けられて配置されたが、これに限定されない。例えば、第一平歯車410(駆動モータ40)及び制動用平歯車422(ブレーキ装置42)の両方が、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域の何れか一方の領域内に配置されてもよい。
また、第一平歯車410(駆動モータ40)又は制動用平歯車422(ブレーキ装置42)の何れか一方が、第二平歯車411の回転中心と第三平歯車414の回転中心とを結ぶ仮想線Lの両側にある二つの領域の何れか一方の領域内に配置され、何れか他方が仮想線L上に配置されてもよい。なお、装置の小型化を考慮すれば、上記実施形態と同様にされることが好ましいことは言うまでもない。
上記実施形態において、駆動伝達機構41として歯車機構が採用されたが、これに限定されない。例えば、駆動伝達機構41は、図8に示す如く、駆動モータ40の出力軸400に取り付けられた第一プロケット415と、直動体30に螺合された回転体としての第二スプロケット416と、第一スプロケット415と第二スプロケット416に架け渡される無端環状のチェーン418とを備えたものであってもよい。また、ブレーキ装置42が設けられる場合、図9に示す如く、ブレーキ装置42の回転軸421に制動用スプロケット423を取り付け、第一スプロケット415、第二スプロケット416及び制動用スプロケット423に単一のチェーン418を架け渡してもよい。
また、図10に示す如く、第一スプロケット415と第二スプロケット416との間に第三スプロケット417が配置されるとともに、ブレーキ装置42の回転軸421に制動用スプロケット423が取り付けられ、これらのスプロケット415,416,417,423にチェーン418a,418b,418cを架け渡すようにしてもよい。なお、この場合、第三スプロケット417は、第一スプロケット415に掛け渡されるチェーン418aを噛合させる一段目のスプロケット、第二スプロケット416に掛け渡されるチェーン418bを噛合させる二段目のスプロケット、及び、制動用スプロケット423に掛け渡されるチェーン418cを噛合させる三段目のスプロケットを備えた多段スプロケットが採用される。
このようにしても、駆動モータ40の回転がチェーン418,481c,481b,418cを介して第二スプロケット416に伝達され、直動体30が第一方向に往復移動する。なお、スプロケット415,416,417,423にチェーン418、418,481c,481b,418cを架け渡す場合、図9に示す如く、チェーン418,481c,481b,418cの脱落を阻止するためのアイドラ419が配置されてもよい。
また、図8〜図10において、スプロケット415,416,417,423とチェーン418,481c,481b,418cとを前提としたが、例えば、スプロケット415,416,417,423をプーリーに代え、これに伴って、チェーン418,481c,481b,418cをベルトに代えても勿論よい。
上記実施形態において、回転体としての第二平歯車411におけるボス412が、ボス本体412bと、雌ネジ部材412aとを備えたが、これに限定されない。例えば、回転体411(ボス412)そのものに雌ネジ部412a(ネジ溝)が形成されてもよい。
上記実施形態において、直動体30が雄ネジ部303を備えるとともに、回転体(第二平歯車)411が雄ネジ部303と螺合する雌ネジ部412aを備えたが、これに限定されない。例えば、回転体411に軸状の雄ネジ部が設けられるとともに、直動体30の軸部300に雌ネジ部としてのネジ穴が設けられ、ネジ穴に回転体の雄ネジ部が螺合されてもよい。このようにしても、回転体411が駆動モータ40の出力を受けて回転することで、雄ネジ部とネジ穴との螺合により、直動体30は第一方向に往復動する。
上記実施形態において、ケース44を介して駆動モータ40及びブレーキ装置42が装置本体2(本体部22)に支持されたが、これに限定されない。例えば、駆動モータ40及びブレーキ装置42は、装置本体2(本体部22)の第一壁面S1に直接支持(固定)されてもよい。従って、ケース44は必須の構成要件ではなく、必要に応じて設けられればよい。