JP6181997B2 - ガスタービン燃焼器およびガスタービン燃焼器の燃焼室へ燃料と燃焼用空気を供給する方法 - Google Patents

ガスタービン燃焼器およびガスタービン燃焼器の燃焼室へ燃料と燃焼用空気を供給する方法 Download PDF

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本発明は、ガスタービン燃焼器およびガスタービン燃焼器の燃焼室へ燃料と燃焼用空気を供給する方法に係り、特に、オフガスや副生ガス、石炭ガス化ガスなど水素を含むガス燃料の燃焼に好適なガスタービン燃焼器に関する。
ガスタービンでは、環境規制への対応のため、高効率化と窒素酸化物(NOx)排出量の低減化が求められており、ガスタービン燃焼器に関して種々の燃焼方式が研究されている。そのような燃焼方式の一つに、燃料と空気を同軸噴流として燃焼室に供給し燃焼させる同軸噴流燃焼方式がある(例えば特許文献1参照)。この同軸噴流燃焼方式では、予混合燃焼方式と比較して短い距離で燃料と空気を均等に混合することができ、火炎の逆流防止とNOx排出量の低減の両立を図っている。
一方、ガスタービン発電プラントでは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO)の排出量を削減するため、発電効率の向上の他に、化石燃料以外の水素などの燃料を積極的に利用することが検討されている。また、近年では、発電コスト低減や資源有効利用の観点から、石油製油所で発生するオフガスや製鉄プロセスで発生するコークス炉ガス(COG: Coke Oven Gas)などの水素を含む副生ガスをガスタービン燃焼器の燃料として有効利用することが求められている。また、豊富な資源である石炭をガス化して発電する石炭ガス化複合発電プラント(IGCC: Integrated coal Gasification Combined Cycle)では、ガスタービン燃焼器に供給される燃料中の炭素分を分離、回収するシステムが国内外で検討されている。これらガスタービン発電プラントで供給される燃料成分は、副生ガスで30%〜60%の水素を含み、二酸化炭素分離回収付IGCCプラントの燃料である石炭ガス化ガスで25%〜90%の水素を含む。
特開2009−133508号
水素含有燃料を用いるガスタービンの場合、水素は天然ガスに比較して着火エネルギが小さく、燃焼速度が速い。このため、予混合燃焼方式では予混合器に火炎が逆流したり、予混合器内で自着火したりする可能性がより高くなる。一方、拡散燃焼方式で水素含有燃料を用いると、水素は理論空気量が小さいため、燃焼室内で量論混合比となる領域での火炎温度がさらに上昇し、火炎温度の上昇に伴いNOx排出量がより増加する可能性がある。
特許文献1などに記載の同軸噴流燃焼方式は、天然ガスなどの一般的なガス燃料に関して火炎の逆流防止と低NOx燃焼を実現するのに有効である。しかし、特許文献1も含めて、従来、水素を含むガス燃料を使用する場合に低NOx燃焼と燃焼器の安定な運用を両立させる方法は開示されていない。
特に、特許文献1の燃焼器に示されたバーナで水素含有燃料を燃焼させた場合、水素は燃焼速度が速いため、ガスタービン燃焼器内で形成される火炎が燃焼器構造物に接近しやすく、信頼性上の問題を引起す可能性がある。特に燃料と空気を噴射するバーナ構造物背後の後流領域に可燃混合気が存在し着火源となる場合、着火源を基点とした圧力波が継続的な圧力変動を誘起し、燃焼振動と呼ばれる不安定燃焼状態に陥る可能性がある。燃焼振動は燃焼器の繰返し疲労寿命を消費し、信頼性を低下させる原因となる。
また、製油所のオフガスや製鉄所のCOGのみならず、IGCCプラントにおいてもガス生成設備の負荷変動によりガスタービンに供給される水素濃度が変化する。このため、状況によって燃焼速度が増加してガスタービン構造物に火炎が接近することにより、信頼性上の問題を引起す可能性がある。さらに二酸化炭素回収率の増加に応じて水素濃度が増加し、燃焼室内の壁面近傍で高温の火炎が局所的に形成される確率が高まるため、燃焼器の信頼性を向上する手段が求められる。
本発明の目的は、水素含有燃料を燃料として用いても、燃焼安定性を維持してガスタービン燃焼器の信頼性向上を図ることができ、さらに、NOx排出量の低減を図ることが可能なガスタービン燃焼器およびガスタービン燃焼器の燃焼室へ燃料と燃焼用空気を供給する方法を提供することにある。
本発明は、燃焼室に空気を供給する空気供給流路が複数形成された空気供給流路構成部材と、空気供給流路を通して燃焼室に燃料を噴射する複数の燃料ノズルを備えたガスタービン燃焼器であって、空気供給流路内に旋回流を形成させ、さらに縮流を起こすようにして、空気と燃料を燃焼室内に供給することを特徴とする。
本発明によれば、水素含有燃料を燃料として用いても、燃焼安定性を維持してガスタービン燃焼器の信頼性向上とNOx排出量の低減を実現することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第一の実施例におけるガスタービン燃焼器上流側の軸方向断面図。 図1AにおけるB部の拡大図。 本発明の第一の実施例におけるガスタービン燃焼器の構造を示す全体構成図。 本発明の第一の実施例における空気孔および空気孔プレートの正面図。 比較例における軸方向断面図。 本発明の第一の実施例における空気孔内部における燃料濃度分布図。 本発明の第二の実施例における空気孔内部における燃料濃度分布図。
以下、本発明の第一の実施例であるガスタービン燃焼器について図面を用いて説明する。
先ず、図2を用いて、本発明のガスタービン燃焼器を備えたガスタービンプラント1の概略構成を説明する。ガスタービンプラント1では、圧縮機2で圧縮された圧縮空気102がディフューザー9を通過後、燃焼器3へ流入し、外筒10とライナ12の間を通過する。圧縮空気102の一部はライナ12の冷却空気103として燃焼室5に流入する。外筒10とライナ12の間を通過した圧縮空気102は燃焼用空気104として、燃焼室の上流側に位置する空気孔プレート20に形成された複数の空気孔21に流入し燃焼室5に噴出する。本実施例において、空気供給流路は空気孔であり、空気供給流路構成部材は空気孔プレートである。燃料は、燃料噴出方向から見て空気孔プレート20の上流側に位置する複数の燃料ノズル22から各空気孔21を通して燃焼室5に供給される。燃焼用空気104は燃料ノズル22から噴出する燃料と混合し燃焼室5に火炎を形成する。複数の空気孔21を有する空気孔プレート21と複数の燃料ノズル22によりバーナ8が構成される。
図3に空気孔プレート20を示す。複数の空気孔21が、空気孔プレート20の中心軸まわりに同心円状に複数列配置されている。本実施例では3列となっている。空気孔21は、各列のピッチ円周方向に傾斜しており、噴出する燃焼用空気104に空気孔プレート20の中心軸周りに旋回がかかるよう適度な旋回角が付与されている。図2に示すように空気孔プレート20はライナ12と同軸となっているため、燃焼用空気104に旋回を与えることで、ライナ内部の燃焼室5中心軸周りに旋回が作用し、循環渦80を形成でき、火炎を安定化することができる。なお、図3の空気孔は中心から外側に向けて1列目空気孔51、2列目空気孔52、3列目空気孔53の3列から成る3列で構成されている。空気孔プレートには、同心円状に配置した空気孔列が2列以上、また、1列の空気孔数は4孔以上であることが望ましい。
いわゆる同軸噴流燃焼方式の燃焼器とは、1組の燃料ノズル22と空気孔21から成る構成単位を空気プレート20に対して全面的(広範囲)に複数組配置させることによって燃焼器を構成するものである。この燃焼器における各空気孔21内では、燃料ノズル22から燃焼室5に向かって噴出される燃料流が空気孔21に流入する燃焼空気流と同伴し、空気流が燃料流を包み込むような噴流を形成する。さらに、この噴流の作用によって燃料と空気の混合が促進されるので、いわゆる予混合方式の燃焼器と比較して短い混合距離で予混合気を生成することができる。各空気孔21内でこのように生成された予混合気は空気孔プレート20を介して噴出され、複数の噴流を形成して予混合気を燃焼室5に供給する。このように予混合気の噴流を複数集合させることで燃焼室に供給される燃料量及び空気量を保持しながら、燃焼器全体として安定した低NOx燃焼を実現している。さらに、予混合方式の燃焼器と比較して短距離での予混合が可能であるので、逆火による焼損の可能性も低くすることができる。なお、ここでいう同軸噴流燃焼方式とは、燃料ノズルの中心軸と空気孔の中心軸が一致する構成の燃焼器だけを意味するものではなく、燃料流と、この燃料流を包み込むような環状の空気流とが空気孔21内に形成される作用によって両者を予混合することができる構成の燃焼器を意味する。従って、例えば、そのような予混合気の噴流が形成できれば、燃料ノズルの中心軸と空気孔の中心軸がずれている構成のものも含む。なお、本実施例では、燃料ノズルの中心軸と空気孔の中心軸を一致させている。
本ガスタービンプラント1は燃焼器3で燃料を燃焼させ、発生した高温高圧の燃焼ガス110をタービン4に流入させて駆動し、タービン4の回転動力を電力として取り出す。
燃料ノズル22へ燃料を供給する燃料供給系統201および燃料供給系統202は燃料遮断弁60を備えた燃料供給系統200から分岐している。また、燃料供給系統201、202はそれぞれ燃料圧力調整弁61a、62aを備えており、個別に制御できる。またその下流には燃料流量調整弁61b、62bをそれぞれ備えている。
本実施例の燃焼器は複数本の燃料ノズル22を備えており、それぞれ燃料ノズル22は燃料を分配する燃料ヘッダー23に接続される。燃料ヘッダー23はエンドカバー7内部に設けられており、燃料ヘッダー23には燃料供給系統201、202から燃料が供給される。なお、本実施例では、燃料を2系統に分配したが、それ以上の数の系統に分配してもよい。
このように燃料系統を複数に分配すれば、系統数の増加により運転の自由度を拡大できる。本実施例の燃焼器3では燃料として、コークス炉ガスや製油所オフガス、石炭ガス化ガスなどの水素含有燃料を使用でき、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas: LNG)をはじめとする多くのガス燃料にも適用できる。
次に、図1A及び図1Bを用いて本実施例における空気孔プレート20の詳細な構成について説明する。図1Aはガスタービン燃焼器上流側の軸方向断面図であり、図1Bは図1AにおけるB部の拡大図である。本発明は、空気孔(空気供給流路)内に旋回流を形成させ、さらに旋回流が縮流を起こすようにして、空気と燃料を燃焼室内に供給するものである。本実施例では、空気孔21内に旋回流を形成する手段を備え、空気孔21の出口側端部に絞り要素を備える。具体的には、本実施例では、各空気孔21の内部(空気孔主要部の内壁面)に螺旋状の旋回溝40を設け、空気孔20出口側(空気孔出口部)に収縮流路(絞り流路)41を配置している。
次に、本実施例の作用効果を比較例と対比しながら説明する。図4に比較例の燃焼器上流側の断面図を示す。比較例の燃焼器構造ならびに燃料系統は本実施例と基本的に同様であるが、各空気孔21に旋回流を形成する手段や絞り流路が設けられていない点において本実施例と異なる。
いずれの燃焼器においても、空気孔プレート20出口面の空気孔21列間の下流に後流と呼ばれる循環流を伴う低流速領域90が形成される。この低流速領域90は循環流である後流により、各空気孔21から噴出した燃料と空気の混合気を巻き込んでいるため、着火する可能性がある。水素含有燃料をガスタービンに使用する場合、水素は燃料を着火するために必要な最小着火エネルギが低く着火しやすくなる上に、可燃範囲が広がる。これらのため、燃焼室5上流側に位置する空気孔プレート20に火炎が接近しやすくなり、火炎面83aが火炎面83bへ変化する。
また、ガスタービンがより高温化した場合、圧縮空気102の温度が高くなるため、着火しやすくなる上に可燃範囲が広がり、火炎が接近しやすくなる。水素含有燃料を使用する場合には、これらがより問題となる。
特に、製油所のオフガスや製鉄所のCOG、IGCCプラントの石炭ガス化ガスのように、水素濃度が変化する燃料を用い、燃料中の水素濃度が増加する状況が生じた場合、水素は燃焼速度が速いため、空気孔プレート20へ接近した火炎が低流速領域90における着火源となり混合気が着火する可能性がある。
混合気の着火は圧力波を発生させ、低流速領域90や空気孔21及び燃料ノズル22の出口における圧力が瞬間的に上昇する。燃料ノズル22の出口の圧力が上昇すると、燃料供給差圧が低下して、空気に対する燃料の比率(以下、燃空比と呼ぶ)が減少する。この燃空比が減少する燃料希薄の条件では、火炎面における燃空比の減少に伴い燃焼速度が減少するため、火炎面は燃焼室5下流に後退する。火炎面が下流に後退すると、燃料供給差圧の低下は解消され、火炎面は再び空気孔プレート20に接近する。この際、低流速領域90に存在する混合気が着火し、上記の現象が繰り返された結果、圧力変動が周期的に発生する燃焼振動と呼ばれる不安定燃焼状態に陥る。
また、燃焼振動発生時の火炎面は空気孔プレート20出口面に周期的に接近しており、各空気孔21から噴出した燃料と空気の混合気が、火炎面に到達するまでの距離が短くなる。混合気の混合度が低下すると、混合気中の局所的な燃空比が増加するため、空気孔プレート20出口付近に局所高温部が発生し、周期的な熱負荷により燃焼器構造物の信頼性が低下するとともに、時間平均的なNOx排出量が増加する。
本実施例では、空気孔21内に旋回流を形成させ、さらに旋回流に縮流を起こすようにして、空気と燃料を燃焼室内に供給することにより、空気孔内を流れる燃焼用空気に遠心力を作用させて、燃焼用空気を空気孔内壁面側へ分離し、空気孔プレート20出口面に形成される低流速領域90へ侵入する混合気の燃料濃度を下げ、着火する確率を低減するようにしている。
すなわち、本実施例では、空気孔21の内部に旋回溝40を設けることで、空気孔21の内部で燃料の外周側を流れる燃焼用空気104へ旋回を与える。燃焼用空気104は燃料より密度が高いため、遠心力により空気孔内壁面側へ分離し、燃料は空気孔中心軸側へと分離する。空気孔21の出口部に設けた収縮流路41では、旋回を与えた空気流の旋回速度が増加するため、燃料と空気の分離効果を十分に高めることができる。そのため、空気孔プレート20出口面に形成される低流速領域90へ侵入する混合気は、遠心力によって分離された空気が主体となり、着火する確率を低減することができる。
また、空気孔21の入口部の孔径は空気孔21の主要部内径に対し拡大しており、滑らかに(本実施例では一定の曲率で)空気孔21の主要部内径まで減少している。空気孔21の入口部孔径が拡大し、曲率を有していることにより、燃焼用空気104は空気孔21の入口部壁面に沿って流入することが可能となる。そして、燃焼用空気104が空気孔21の壁面に沿って流れるため、空気孔21の内部(主要部)に設けた螺旋状の旋回溝40により燃焼用空気104へ旋回が付与される。また、本実施例では、燃料ノズル22の先端は、空気孔21の主要部の上流側に位置しているが、空気孔21の入口部に燃料ノズル22の先端が位置するようにしている。このように燃料ノズル22の先端を配置することにより、燃焼用空気がより空気孔21の壁面に沿って流れやすくなり、燃焼用空気に旋回を与えやすくなる。
図5に空気孔内各位置における燃料濃度分布を示す。なお、図5において、本実施例と比較例の比較を容易にするため、中心軸から壁面までの距離を1として正規化して燃料濃度分布を表示している。
燃料ノズル22から噴射した燃料は、空気孔21の壁面側へ拡散し、同方向に流れる空気と混合する。そのため、空気孔21内の燃料濃度分布は空気孔21の軸中心が最も濃度の高い分布となる。比較例では、空気孔21の内部に旋回機構がないため、空気孔21の出口における燃料が空気孔の内壁面まで拡散し、空気孔21の内壁面側の混合気中の燃料濃度が高まる。空気孔21の内壁面側に形成される混合気は、空気孔21列間の間隙に形成される低流速領域90へ侵入する可能性が高いため、空気孔21の内壁面側の燃料濃度が高いほど着火する確率が増加する。また、水素含有燃料を用いる場合、水素は拡散係数が高いため、空気孔21の内壁面側の水素濃度が増加し、低流速領域90で着火する可能性がある。
一方、本実施例では、空気孔21の内部に設けた旋回溝40により、空気流に旋回を付与し、空気孔21の出口部の収縮流路41において旋回速度が高まるため、遠心力により空気は空気孔21の内壁面側へ、燃料は空気孔21の中心軸側へと分離する。燃料は空気孔21の内壁面側への拡散を伴い、空気孔21の中心軸側へ分離するため、空気孔21の出口部の内壁面側の燃料濃度が比較例と比較して低く、空気孔21の中心軸側の燃料濃度が比較例に比べ高い分布となる。したがって、低流速領域90へ侵入する空気孔21の内壁面側の混合気(空気孔内を流れる混合気の外周側)の燃料濃度は、可燃範囲外まで低下するため、火炎面が空気孔プレート20の出口面に接近する場合においても、低流速領域90で混合気が着火する確率を低減できる。そのため、低流速領域90での混合気の着火に起因する燃焼振動の発生を抑制することができる。
この遠心力を利用した気体の分離は、二種の流体の密度差が大きいほど効果が高まるため、密度の低い水素を主成分とする水素含有燃料には好適である。さらに燃料中の水素濃度が高まる場合、燃料の密度は水素濃度の増加に伴い減少するため、燃料と空気の密度差が大きくなり、遠心力による分離効果が高まる。このため、燃料が空気孔21の中心軸側へ集中し、空気孔プレート20の出口面に形成される低流速領域90に可燃性混合気が侵入する確率が低下する。したがって、本実施例の燃焼器は、燃料組成の水素濃度の変化に対して高い燃焼安定性を有する。
また、空気孔21の出口部では、混合気が収縮流路41を通過することにより、空気孔軸方向の流速が高まり、旋回半径の減少に伴い旋回速度が増加するため、混合気流に慣性が生じ、空気孔下流においても混合気流は旋回半径を減少しながら燃焼室5へ噴出する。すなわち、旋回流は縮流を起こして燃焼室5に噴出する。噴出した混合気は空気孔21壁面による拘束が無いため、旋回半径を拡大し、各空気孔21の下流に小型循環流81を形成する。小型循環流81は周囲から空気を取込みながら空気孔21の出口から噴出した混合気と合流し、急速に混合する。合流位置における混合気は、燃料濃度の偏差が減少するとともに燃料濃度も低下するため、混合気が火炎面に到達した際の燃空比は低下し、局所高温部が減少することによりNOx排出量は低減する。同時に燃料過濃領域の発生確率の低下に伴い、火炎面が空気孔プレート20へ接近する確率も低下するため、空気孔プレート20が火炎面から受ける熱負荷も低下し、燃焼器構造物の信頼性を確保することが可能となる。
なお、本実施例では燃焼用空気104に旋回を付与する手段として、矩形の旋回溝40を設けているが、旋回溝40の形状に三角ねじを用いても良い。また、空気孔内壁面の切削等により旋回溝40を形成する以外に、旋回翼を空気孔壁面に設置した場合においても同様の効果が得られる。
また、本実施例の燃料に天然ガスを用いた場合においても、燃料密度が空気密度より低い燃料であれば、空気孔21内部において燃焼用空気104へ旋回を付与することにより同様の分離効果が得られる。特に、発電効率の向上には、ガスタービン入口温度の高温化が有効であるが、ガスタービンの高温化に伴い、圧縮空気の温度が高くなるため、着火しやすくなる。天然ガスを燃料とする場合にも本実施例を適用することにより、低流速領域90での混合気の着火の確率を低減することができる。
本発明の第二の実施例であるガスタービン燃焼器について図6を用いて説明する。図6は第二の実施例におけるガスタービン燃焼器の空気孔プレート部における拡大断面と、空気孔各位置における燃料濃度分布を示す。なお、図6においても中心軸から壁面までの距離を1として正規化して燃料濃度分布を表示している。
本実施例のガスタービン燃焼器もまた、第一の実施例と同様のガスタービン発電プラントに適用され、プラントの構成および運用方法は第一の実施例と同様である。本実施例の特徴は、燃料ノズル22の中心軸が空気孔21の中心軸から偏心して配置したことである。燃料ノズル22の中心軸と空気孔21の中心軸は平行となるように配置されている。なお、その他ガスタービン燃焼器の構成は実施例1と同様である。
本実施例の作用効果を空気孔21の中心軸上に燃料ノズル22の中心軸を配置した実施例1と比較する。本実施例では、燃料ノズル22の中心軸が空気孔21の中心軸から距離L偏心しているため、燃料ノズル22出口における燃料濃度の最大位置が空気孔21中心軸から距離L偏心する。燃料は空気孔内部を通過するに従い、燃料ノズル22の中心軸上から空気孔22中心軸側と内壁面側の双方向に拡散する。一方、空気孔21の入口部から流入する空気は、空気孔内に設置した旋回溝40により旋回が付与され、空気孔21の出口部に設けた収縮流路41により旋回速度が増加するため、実施例1と同様に遠心力の効果で密度の高い空気は空気孔21の内壁面側へ、密度の軽い燃料は空気孔21中心軸側へ分離される。これら燃料の拡散と分離の効果が重畳した結果、本実施例の空気孔21の出口における燃料濃度分布は、空気孔21の内壁面側の燃料濃度の低下は実施例1と同等であるが、空気孔21中心軸側の燃料濃度は実施例1に比べ低くなる。そのため、空気孔21出口下流に形成される小型循環流81との合流位置における混合気は、実施例1に比べ燃料濃度分布の偏差が小さくなるため、燃焼室5内部で燃料過濃領域が形成される確率が低下する。したがって、燃料ノズル22の中心軸を空気孔21の中心軸から偏心した実施例2のガスタービン燃焼器は、低流速領域90へ侵入する混合気の燃空比を低減し、低流速領域90における着火の確率を低下するとともに、空気孔プレート20への火炎接近の要因となる燃料過濃領域の形成を抑制できる。このため、低流速領域90での混合気の着火に起因する燃焼振動の発生を抑制することができる。また、火炎面が空気孔プレート20へ接近する確率も低下するため、空気孔プレート20が火炎面から受ける熱負荷も低下し、燃焼器構造物の信頼性を確保することが可能となる。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
1…ガスタービンプラント、2…圧縮機、3…燃焼器、4…タービン、5…燃焼室、6…トランジションピース、7…エンドカバー、8…バーナ、9…ディフーザ、10…外筒、12…ライナ、20…空気孔プレート、21…空気孔、22…燃料ノズル、23…燃料ヘッダー、40…旋回溝、41…収縮流路、51…1列目空気孔、52…2列目空気孔、53…3列目空気孔、60…燃料遮断弁、61a、62a…燃料圧力調整弁、61b、62b、…燃料流量調整弁、70…淀み領域、80…循環流、81…小型循環流、83a、83b…火炎面、90…低流速領域、102…圧縮空気、103…冷却空気、104…燃焼用空気、110…燃焼ガス、200、201、202…燃料供給系統、

Claims (6)

  1. 燃焼室を形成する燃焼器ライナと、前記燃焼室に空気を供給する空気供給流路が複数形成された空気供給流路構成部材と、前記空気供給流路を通して前記燃焼室に燃料を噴射する複数の燃料ノズルを備えたガスタービン燃焼器であって、
    前記空気供給流路内に旋回流を形成させる機構と、前記空気供給流路の出口側端部に絞り要素を備え、
    前記空気供給流路構成部材は、前記空気供給流路を構成する複数の空気孔が同心円状に複数列設けられた空気孔プレートであり、
    前記空気孔の内壁面に螺旋状の旋回溝または旋回翼が形成されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  2. 請求項に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記空気孔プレートに形成された前記空気孔は、空気孔入口部、空気孔主要部、空気孔出口部から構成され、
    前記空気孔主要部の内壁面に前記螺旋状の旋回溝または旋回翼が形成され、
    空気孔出口部に前記絞り要素として収縮流路が形成され、
    前記空気孔入口部は、前記空気孔入口部の孔径が前記空気孔主要部の内径に対し滑らかに拡大するように構成されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  3. 請求項に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記燃料ノズルの中心軸が前記空気孔の中心軸から偏心して配置されていることを特徴とするガスタービン燃焼器
  4. 請求項に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記燃料ノズルは前記空気孔入口部に位置していることを特徴とするガスタービン燃焼器。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載のガスタービン燃焼器において、
    前記燃料として水素を含む燃料を前記燃料ノズルに供給するようにしたことを特徴とするガスタービン燃焼器。
  6. 燃焼室に燃焼用空気を供給する空気供給流路が複数形成された空気供給流路構成部材と、前記空気供給流路を通して前記燃焼室に燃料を噴射する複数の燃料ノズルを備え
    前記空気供給流路構成部材は、前記空気供給流路を構成する複数の空気孔が同心円状に複数列設けられた空気孔プレートであるガスタービン燃焼器の前記燃焼室へ前記燃料と前記燃焼用空気を供給する方法であって、
    前記空気孔の内壁面に螺旋状の旋回溝または旋回翼が形成された前記空気孔プレートを用いて前記空気供給流路内に旋回流を形成させ、前記旋回流に縮流を起こすようにして、前記燃焼用空気と前記燃料を前記燃焼室内に供給することを特徴とするガスタービン燃焼器の燃焼室へ燃料と燃焼用空気を供給する方法。
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