JP2012137228A - ガスタービン燃焼器 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明の課題は、圧力変動の発生を抑制して、燃焼器の信頼性が向上できるガスタービン燃焼器を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、上記課題を解決するために、燃料と空気が供給される燃焼室と、該燃焼室の上流側壁面に位置し、複数の空気孔が同心円の列状に形成されている空気孔プレートと、該空気孔プレートのそれぞれの空気孔の上流側に配置された複数の燃料ノズルとを備えたガスタービン燃焼器において、前記空気孔プレートは、前記燃焼室側の表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記空気孔プレートの最も内周側に位置する前記空気孔の軸方向長さが、他の空気孔の軸方向長さより短く形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4
本発明の課題は、圧力変動の発生を抑制して、燃焼器の信頼性が向上できるガスタービン燃焼器を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、上記課題を解決するために、燃料と空気が供給される燃焼室と、該燃焼室の上流側壁面に位置し、複数の空気孔が同心円の列状に形成されている空気孔プレートと、該空気孔プレートのそれぞれの空気孔の上流側に配置された複数の燃料ノズルとを備えたガスタービン燃焼器において、前記空気孔プレートは、前記燃焼室側の表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記空気孔プレートの最も内周側に位置する前記空気孔の軸方向長さが、他の空気孔の軸方向長さより短く形成されていることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明はガスタービン燃焼器に係り、特に、燃料と空気を複数の同軸噴流として燃焼室内に供給するように構成されたものに好適なガスタービン燃焼器に関するものである。
化石資源を燃料とするガスタービン発電プラントでは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出量を低減する手段として、発電効率の向上が挙げられる。発電効率の向上には、ガスタービン燃焼器で生成される燃焼ガスの高温化が有効である。しかし、燃焼ガスの高温化に伴い、環境汚染物質である窒素酸化物(NOx)の排出量が増加するため、発電効率の向上とともにNOx排出量の低減が重要な技術課題となっている。
一方、地球温暖化防止策として、水素含有燃料の利用もある。水素含有燃料は、燃焼の際に、CO2排出量が少ないため、近年では、製鉄所で副生するコークス炉ガスや製油所で副生するオフガスなどを燃料として有効利用することが検討されている。また、豊富な資源である石炭をガス化して発電する石炭ガス化複合発電プラント(IGCC :Integrated coal Gasification Combined Cycle)では、ガスタービンに供給される燃料中の炭素分を回収・貯留するシステム(CCS :Carbon Capture and Storage)が検討されている。
上記のような副生ガスは、水素を30%〜60%含み、IGCCプラントの燃料である石炭ガス化ガスは水素を25%〜90%含む。従って、ガスタービン発電プラントにおいては、このような水素含有燃料の需要が高まっている。また、上記のような燃料に含有される水素は、可燃範囲が広く燃焼速度が速いため、燃焼室内の壁面近傍で高温の火炎が形成され、燃焼器の信頼性を損なうことが懸念される。
そこで、高温の火炎が局所的に形成されることを防止する手段として、空気孔プレートに複数の穴を設けることで燃料を分散させ、燃焼室内で均一に燃焼させる方法が有効である。
燃料の分散性を高めて高温の火炎の形成を防止し、NOx排出量を低減する方法として、特許文献1及び2に開示されたものがある。特許文献1及び2には、複数の燃料ノズルと複数の空気孔を備え、燃料流及び燃料流の周囲に形成された空気流を燃焼室に噴射するバーナを複数個配置して、燃料の分散性を高めて高温の火炎の形成を防止する燃焼器が開示されている。また、非特許文献1には、特許文献1で開示されたバーナで水素含有燃料を燃焼させた際に発生する可能性のある圧力変動について開示されている。
Asai,T., Koizumi,H., Dodo,S., Takahashi,H., Yoshida,S. and Inoue,H., 2010, "Applicability of a Multiple-Injection Burner to Dry Low-NOx Combustion of Hydrogen-Rich Fuels," GT2010-22286, Proceedings of ASME Turbo Expo 2010, Glasgow, UK.
非特許文献1に開示されているように、特許文献1に開示されたバーナで水素含有燃料を燃焼する際、バーナ下流の後流に流入した可燃混合気が着火源となって圧力変動が発生することが懸念される。この圧力変動が発生すると、燃焼器の信頼性を低下させる原因となるため、圧力変動の抑制が強く望まれていた。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、圧力変動の発生を抑制して、燃焼器の信頼性が向上できるガスタービン燃焼器を提供することにある。
本発明のガスタービン燃焼器は、上記目的を達成するために、燃料と空気が供給される燃焼室と、該燃焼室の上流側壁面に位置し、複数の空気孔が同心円の列状に形成されている空気孔プレートと、該空気孔プレートのそれぞれの空気孔の上流側に配置された複数の燃料ノズルとを備えたガスタービン燃焼器において、前記空気孔プレートは、前記燃焼室側の表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記空気孔プレートの最も内周側に位置する前記空気孔の軸方向長さが、他の空気孔の軸方向長さより短く形成されているか、
或いは、前記空気孔プレートは、前記燃焼室側の表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記燃料ノズル側の最も内周側に位置する前記空気孔の領域が、他の空気孔の領域よりも前記燃焼室側に窪んでいることを特徴とする。
或いは、前記空気孔プレートは、前記燃焼室側の表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記燃料ノズル側の最も内周側に位置する前記空気孔の領域が、他の空気孔の領域よりも前記燃焼室側に窪んでいることを特徴とする。
本発明によれば、圧力変動の発生を抑制することができ、ガスタービン燃焼器の信頼性が向上できる効果がある。
まず、本発明のガスタービン燃焼器を備えたガスタービンプラントの概略構成を、図2を用いて説明する。
図2に示す如く、ガスタービンプラント1は、大気より空気101を吸入し圧縮する空気圧縮機2と、空気圧縮機2により圧縮した圧縮空気102とガス燃料200を燃焼させ、燃焼ガス110を生成する燃焼器3と、燃焼器3で発生した燃焼ガス110により駆動されるタービン4と、タービン4の回転動力を利用して発電する発電機6と、ガスタービン4を起動する起動用モータ7とから概略構成されている。
燃焼器3はバーナ8を備えており、このバーナ8は、燃焼室5に空気圧縮機2で圧縮された圧縮空気102aを導くための空気孔21を複数個設けた空気孔プレート20と、ガス燃料200を空気孔21内に向けて噴射する複数の燃料ノズル22とから成り、複数の空気孔21と複数の燃料ノズル22は、一つ一つ対応し、同軸に近い状態で配置されている。
複数の燃料ノズル22は燃料分配器23と連結しており、この燃料分配器23により、燃料ノズル22に供給するガス燃料200の系統を分配できるようになっている。
また、ガス燃料200は、燃料遮断弁60を通って2つに分岐し、それぞれの系統で燃料圧力調整弁61a、62a及び燃料流量調整弁6図1(b)、62bを通過して、ガス燃料201、202として燃料ノズル22に供給される。尚、本実施例では、燃料を2系統に分配したが、それ以上の数の系統に分配してもよい。
このように燃料系統を複数に分割すれば、系統数の増加により運転の自由度を拡大できる。ガス燃料200としては、コークス炉ガスや製油所オフガス、或いは石炭ガス化ガスなどの水素含有燃料が使用される。
次に、図1(a)、図(b)に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例1におけるバーナ8の詳細を示す。
該図に示す如く、空気孔プレート20に形成される空気孔21は、燃焼器3の軸を中心として複数列から成り、本実施例1では、バーナ中心から外側に向けて1列目空気孔21A、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21Cの3列から成る。この空気孔の列数は、2列以上、各列の空気孔数は4孔以上であるのが望ましい。また、各列の空気孔の中心軸は、各列のピッチ円の周方向に傾斜しているため、空気孔を通過した流れは、空気孔の下流で螺旋状に旋回する。
そして、本実施例では、空気孔プレート20は、燃焼室側表面301のバーナ中心が燃焼室5側に最も突出している凸型に形成されており、更に、燃料ノズル側表面300上において、1列目空気孔21Aの領域が、周囲の領域よりも燃焼室5側に窪んでいる構成となっている。
一方、燃料ノズル22は、各列の燃料ノズル先端と燃料ノズル側表面300の位置(空気孔の入口位置)の距離が同等となるように、1列目空気孔21Aに対応する1列目燃料ノズル22Aの長さが、2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21Cに対応する2列目燃料ノズル22B及び3列目燃料ノズル22Cよりも長くなっている。
従って、各列の燃料ノズル先端と燃焼室側表面301の位置(空気孔の出口位置)までの距離(L1、L2、L3:図4参照)は、互いに異なっている。その結果、空気プレート20の最も内周側に位置する1列目空気孔21Aの軸方向長さが、2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21Cの軸方向長さよりも短く形成されている。尚、1列目燃料ノズル22Aにはガス燃料201が供給され、2列目燃料ノズル22B及び3列目燃料ノズル22Cにはガス燃料202が供給される。
次に、実施例1の構成における作用、効果につて、従来技術と比較して説明する。
まず、図3に従来技術のバーナの下流に形成される流動と火炎の概略図を示す。該図に示す如く、従来技術では、空気孔プレート20の燃料ノズル側表面300と燃焼室側表面301は、ともに平板状となっており、燃料ノズル22の長さもすべて等しくなっている。
しかし、従来技術のバーナで水素含有燃料を燃焼させた場合、圧力変動が発生する可能性があり、燃焼状態が不安定になることが考えられる。以下、この圧力変動が発生する原理について説明する。
従来技術では、空気孔プレート20の燃焼室側表面301が平板状となっているため、その下流のデッドスペースに形成される低速領域の後流90は、下流に大きく拡大している。水素は燃焼速度が速いため、火炎面83aが火炎面83b、83cのように、バーナ近傍まで接近する可能性がある。火炎面がバーナに接近すると、後流90に可燃範囲の混合気が存在した場合、接近した火炎が着火源となって可燃混合気が着火する可能性がある。
混合気の着火は圧力波を発生させ、後流90や空気孔21内及び燃料ノズル22の出口における圧力が瞬間的に上昇する。燃料ノズル22の出口の圧力が上昇すると、燃料供給差圧が低下して、燃料流量及び空気流量に対する燃料流量の比(燃空比)が減少する。この燃空比が減少する燃料希薄の条件では、火炎面における燃空比の減少に伴い燃焼速度が減少するため、火炎面は下流に後退する。火炎面が下流に後退すると、燃料供給差圧の低下は解消されて、燃空比が再び増加する。火炎面における燃空比の増加に伴い燃焼速度は増加するため、火炎面は、空気孔プレート20の近傍に再び接近する。そこに、後流90に存在する可燃混合気が着火すると、上記の現象が繰り返されて火炎位置が変動し、その結果、圧力変動が発生する。
このように、水素リッチ燃料の燃焼では、後流90の可燃混合気の着火が原因で圧力変動が発生する。
以上の圧力変動の発生原理から、圧力変動の周波数fは、燃料ノズル22の先端から空気孔プレート20の燃焼室側表面301(空気孔出口)までの距離をL、燃料流速をUf、音速をUaとすると、次の式(1)で表される。
f = 1 / (L/Uf + L/Ua) (1)
尚、従来技術では、各列のLが等しいため、式(1)から各列で発生する圧力変動の周波数は互いに等しい。その結果、各列の圧力変動は同調し、圧力変動の振幅が増大しやすい傾向にある。
f = 1 / (L/Uf + L/Ua) (1)
尚、従来技術では、各列のLが等しいため、式(1)から各列で発生する圧力変動の周波数は互いに等しい。その結果、各列の圧力変動は同調し、圧力変動の振幅が増大しやすい傾向にある。
以上のように、後流90の可燃混合気が着火することにより、バーナ近傍まで火炎が接近し、圧力変動が発生する可能性がある。水素を含有しない燃料、例えば液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)などでは、バーナ中央部に火炎を付着させて保炎性を確保するのが一般的である。しかし、水素含有燃料では、燃焼速度が速いために、そのようなバーナ中央部への火炎付着による保炎性の確保は必要なく、むしろ火炎付着により過熱されることによって、バーナの信頼性が低下することが懸念される。従って、水素含有燃料では、バーナのどの位置においても可燃混合気の着火を抑制し、火炎付着を防止する必要がある。
そこで、本発明では、圧力変動の発生原因である後流90での可燃混合気の着火を抑制するものである。以下、これについて説明する。
図4に実施例1のバーナの下流に形成される流動と火炎の概略図を示す。該図に示す如く、本実施例では、空気孔プレート20は、燃焼室側表面301のバーナ中心が燃焼室5側に最も突出している凸型となっているため、1列目空気孔21A、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21C下流のそれぞれの後流91、92、93は、縮小して火炎から遠ざかり、更にバーナの外周から中心に向けてプレート斜面に沿う流れ99が生じる。
従って、1列目空気孔21A、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21C下流のそれぞれの後流91、92、93の可燃混合気は、火炎からの熱を受けにくく、更にプレート斜面に沿う流れ99により、火炎は下流に押し戻されるため、後流での可燃混合気の着火は抑えられ、圧力変動の発生は抑制されることになる。
更に本実施例では、最内周の1列目空気孔21A下流の後流91における可燃混合気の形成を抑制することにより、可燃混合気の着火が抑制できる。しかし、水素含有燃料の水素濃度が高い場合、火炎の燃焼速度がさらに速くなるため、2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21C下流のそれぞれの後流92及び93より火炎に近い、1列目空気孔21A下流の後流91に可燃混合気が存在すると、それが着火する恐れが懸念される。
そこで、本実施例では、燃料ノズル側表面300上の1列目空気孔21Aの領域を周囲の領域よりも燃焼室5側に窪ませている。その結果、1列目空気孔21Aにおける燃料と空気の混合距離が短くなるため混合が進まず、1列目空気孔21A下流の後流91に流入する混合気は可燃範囲から外れる。従って、火炎が1列目空気孔21A下流の後流91に接近しても、そこに存在する混合気は可燃範囲から外れているため、混合気が着火することはなく、圧力変動の発生は抑制される。
更に本実施例では、各列の圧力変動の周波数を離調することにより、圧力変動の発生を抑制している。即ち、各列の燃料ノズルの先端から空気孔プレート20の燃焼室側表面301(空気孔出口)までの距離をLi(i:列番号、i=1、2、3)とすると、Liは各列でそれぞれ異なるため、式(1)から各列の圧力変動の周波数fi(i:列番号、i=1、2、3)はそれぞれ異なる。
従って、各列の圧力変動は離調されるため、圧力変動の振幅は増大することがなく、圧力変動の発生は抑制される。それに加え、各列でLiが異なっているため、可燃混合気の着火により発生した圧力波が、各燃料ノズル先端に到達した際の圧力波の位相は互いに異なっている。よって、圧力波は、お互いに強め合うことはなく、圧力変動は抑制される。
以上説明したように、本実施例によれば、後流での可燃混合気の着火の抑制、1列目空気孔下流の後流での可燃混合気の形成の抑制、及び各列の圧力変動の周波数の離調の3つの効果により、水素含有燃料の燃焼において圧力変動の発生を抑制でき、燃焼器の信頼性が向上できる。
図5に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例2におけるバーナの詳細を示す。
該図に示す実施例2の特徴は、空気孔プレート20の軸方向長さが、バーナの中心側が最も短く、外側に向かう従い段階的に長くなっている点である。即ち、1列目空気孔21A、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21Cの軸方向長さをそれぞれLa1、La2、La3とすると、La1 <La2 <La3の関係になっている。また、各列の燃料ノズル先端から空気孔入口までの距離Lfは、同じである。
このような構成の実施例2においては、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21C下流の後流92、93においても、可燃混合気の形成を抑制できる。即ち、実施例2は、実施例1と比べて、2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21Cにおける燃料と空気の混合距離が短くなるため、2列目空気孔2図1(b)、3列目空気孔21Cにおいても混合が進まず、2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21C下流のそれぞれの後流92及び93に流入する混合気は可燃範囲から外れる。
従って、水素含有燃料の水素濃度がより高く、火炎が2列目空気孔2図1(b)及び3列目空気孔21C下流のそれぞれの後流92及び93にも接近する場合であっても、後流92,93に存在する混合気は可燃範囲から外れているため、混合気が着火することはなく、圧力変動の発生は抑制される。
更に、各列の燃料ノズル先端から空気孔プレート燃焼室側表面301までの距離Li(i:列番号、i=1、2、3)はLf+Laiとなり、それぞれ異なるため、式(1)から各列の圧力変動の周波数fi(i:列番号、i=1、2、3)はそれぞれ異なる。従って、各列の圧力変動は離調されるため、圧力変動の振幅は増大することがなく、圧力変動の発生は抑制される。
以上のことから、実施例2は、より高い水素濃度の燃料に対しても圧力変動の発生の抑制に効果がある。
図6に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例3におけるバーナの詳細を示す。
該図に示す実施例3の特徴は、各列の燃料ノズル22A、22B、22Cの先端部を、各列の空気孔21A、2図1(b)、21Cの内部に挿入し、各列の燃料ノズル22A、22B、22Cの先端部を、より燃焼室5側に位置させた点である。各列の燃料ノズル22A、22B、22Cの先端部から各列の空気孔21A、2図1(b)、21Cの入口までの距離は同等である。また、各列の燃料ノズル側の最も内周側に位置する空気孔21Aの領域が、他の空気孔2図1(b)、21Cの領域よりも燃焼室側に窪んでおり、この窪み部に燃料201が流れる燃料分配器23の一部を下流側に突出させて配置し、燃料ノズル22Aの軸方向長さが燃料ノズル22B、22Cの軸方向長さと同じになっている。尚、空気孔プレート20の形状や燃料系統などその他の構成は実施例1と同様である。
このような構成の実施例3においては、実施例1と比べて、いずれの空気孔においても燃料と空気の混合距離が短くなるために混合が進まず、後流に流入する混合気は可燃範囲から外れる。従って、水素含有燃料の水素濃度がより高く、火炎が後流により接近する場合であっても、混合気が着火することはなく、圧力変動の発生は抑制される。実施例3もより高い水素濃度の燃料に対しても圧力変動の発生の抑制に効果がある。また、燃料ノズル22A、22B、22Cの長さをすべて同様にしているため、製作コストや製作上のメリットが生じると共に、燃料ノズル22Aが短くなった分強度が上がるため信頼性が向上する。
図7に、本発明のガスタービン燃焼器の実施例4におけるバーナの詳細を示す。
該図に示す実施例4の特徴は、実施例1の各列の空気孔21A、2図1(b)、21Cにおいて、各列の空気孔21A、2図1(b)、21Cの中心を、空気孔プレート20の燃料ノズル側表面300から燃焼室側表面301に向うに従い狭くなるように傾斜させて、空気孔プレート20の燃焼室側表面301での径方向の空気孔間距離が、空気孔プレート20の燃料ノズル側表面300での径方向の空気孔間距離よりも小さくなっている点である。
即ち、各列の空気孔プレート20の燃焼室側表面301での径方向の空気孔間距離をDexi(i:列番号、i=1、2、3)、空気孔プレート20の燃料ノズル側表面300での径方向の空気孔間距離をDeni(i:列番号、i=1、2、3)とすると、 Dexi <Deni(i=1、2、3)としたものである。尚、燃料ノズルや燃料系統などその他の構成は実施例1と同様である。
このような構成の実施例4においては、実施例1に比べて、より下流に火炎をバーナから遠ざけることができ、バーナ後流での可燃混合気の着火を抑制することができる。この火炎をバーナから遠ざける原理を、図8を用いて以下に説明する。
該図に示す如く、各列の空気孔21A、2図1(b)、21Cにおいては、空気孔プレート20の燃焼室側表面301での径方向の空気孔間距離Dexiが,空気孔プレート20の燃料ノズル側表面300での空気孔間距離Deniよりも小さくなっているため、バーナ下流には流線80(燃焼器横断面における旋回流の軸方向速度の流線)で示す旋回流が形成される。この旋回流は、図中に示す点Pまで徐々に旋回半径を小さくしながら噴出し、点Pからは旋回半径が拡大する。
このような縮小・拡大旋回流の形成により、火炎はバーナから離れた位置に保持される。旋回半径が小さくなる空気孔プレート20から点Pまでの領域では、角運動量保存則より旋回方向速度成分が増加するため、旋回軸付近には、流れ方向に圧力が低下する順方向圧力勾配が生じる。一方、旋回半径が大きくなる点Pより下流の領域では、旋回方向速度成分が減少するため、旋回軸付近には、流れ方向に圧力が上昇する逆方向圧力勾配が生じる。その結果、燃焼器軸付近には図に示す圧力分布が形成される。
このような圧力分布により、バーナ下流側にある燃焼ガスの一部は、循環流82として上流に逆流するが、上記の順圧力勾配が存在するため、燃焼ガスは、点Pを越えて空気孔プレート20には接近できない。従って、空気孔プレート20から離れた保炎点81を基点に火炎83が保持される。このようにして実施例4は、実施例1に比べて、より下流に火炎をバーナから遠ざけることができる。
よって、水素含有燃料の水素濃度がより高く、燃焼速度が速い場合であっても、火炎がバーナから離れた位置に保持されるため、後流の混合気が着火することはなく、圧力変動の発生が抑制される。従って、実施例4も、より高い水素濃度の燃料に対しても圧力変動の発生の抑制に効果がある。
以上の実施例は、水素含有燃料を対象に説明したが、水素を含有しない燃料、例えば液化天然ガス(LNG)などに対しても有効であることは言うまでもない。
1…ガスタービンプラント、2…空気圧縮機、3…燃焼器、4…タービン、5…燃焼室、6…発電機、7…ガスタービン起動用モータ、8…バーナ、10…外筒、12…主室ライナ、13…燃焼器エンドカバー、20…空気孔プレート、21…空気孔、21A…1列目空気孔、2図1(b)…2列目空気孔、21C…3列目空気孔、22…燃料ノズル、22A…1列目燃料ノズル、22B…2列目燃料ノズル、22C…3列目燃料ノズル、23…燃料分配器、60…燃料遮断弁、61a、62a…燃料圧力調整弁、6図1(b)、62b…燃料流量調整弁、80…燃焼器横断面における旋回流の軸方向速度の流線、81…保炎点、82…循環流、83、83a、83b、83c…火炎面、90…後流、91…1列目空気孔下流の後流、92…2列目空気孔下流の後流、93…3列目空気孔下流の後流、99…プレート斜面に沿う流れ、101…空気、102、102a…圧縮空気、103…冷却空気、110…燃焼ガス、111…排気ガス、200、201、202…ガス燃料、300…燃料ノズル側表面、301…燃焼室側表面。
Claims (9)
- 燃料と空気が供給される燃焼室と、該燃焼室の上流側壁面に位置し、複数の空気孔が同心円の列状に形成されている空気孔プレートと、該空気孔プレートのそれぞれの空気孔の上流側に配置された複数の燃料ノズルとを備えたガスタービン燃焼器において、
前記空気孔プレートは、前記燃焼室側表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記空気孔プレートの最も内周側に位置する前記空気孔の軸方向長さが、他の空気孔の軸方向長さより短く形成されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 燃料と空気が供給される燃焼室と、該燃焼室の上流側壁面に位置し、複数の空気孔が同心円の列状に形成されている空気孔プレートと、該空気孔プレートのそれぞれの空気孔の上流側に配置された複数の燃料ノズルとを備えたガスタービン燃焼器において、
前記空気孔プレートは、前記燃焼室側表面の中心部が該燃焼室側に最も突出している凸型に形成され、かつ、前記燃料ノズル側の最も内周側に位置する前記空気孔の領域が、他の空気孔の領域よりも前記燃焼室側に窪んでいることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1又は2に記載のガスタービン燃焼器において、
各列の前記燃料ノズルの先端と前記空気孔プレートの前記燃料ノズル側表面との距離が同等で、かつ、各列の前記燃料ノズルの先端と前記空気孔プレートの前記燃焼室側表面との距離が互いに異なっていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1又は2に記載のガスタービン燃焼器において、
各列の前記燃料ノズルの先端と前記空気孔プレートの前記燃焼室側表面との距離は、前記空気孔プレートの最も内周側が最も短いことを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1に記載のガスタービン燃焼器において、
前記空気孔プレートの最も内周側に位置する前記空気孔の軸方向長さが最も短く形成され、かつ、前記空気孔の軸方向長さは、前記空気孔プレートの外周側に向うに従い段階的に長くなっていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1又は2に記載のガスタービン燃焼器において、
前記燃料ノズルの先端が、前記空気孔の中に挿入されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項6に記載のガスタービン燃焼器において、
前記燃料ノズル側の最も内周側に位置する前記空気孔の領域が、他の空気孔の領域よりも前記燃焼室側に窪んでいると共に、この窪んでいる領域に、燃料が流れる燃料分配器の一部が突出して配置されていることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項7に記載のガスタービン燃焼器において、
前記各燃料ノズルの軸方向長さが同等であることを特徴とするガスタービン燃焼器。 - 請求項1又は2に記載のガスタービン燃焼器において、
前記空気孔プレートの燃焼室側の径方向の各空気孔間距離が、前記空気孔プレートの燃料ノズル側の径方向の各空気孔間距離よりも小さくなっていることを特徴とするガスタービン燃焼器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010289353A JP2012137228A (ja) | 2010-12-27 | 2010-12-27 | ガスタービン燃焼器 |
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Cited By (2)
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-
2010
- 2010-12-27 JP JP2010289353A patent/JP2012137228A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP2014055697A (ja) * | 2012-09-12 | 2014-03-27 | Hitachi Ltd | ガスタービン燃焼器 |
KR20190123564A (ko) * | 2018-04-24 | 2019-11-01 | 두산중공업 주식회사 | 연소기 및 이를 포함하는 가스터빈 |
KR102180446B1 (ko) * | 2018-04-24 | 2020-11-18 | 두산중공업 주식회사 | 연소기 및 이를 포함하는 가스터빈 |
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