JP6181474B2 - 窒化物半導体成長用基板の製造方法 - Google Patents

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本発明は、窒化物半導体をエピタキシャル成長するための窒化物半導体成長用基板に関する。
3.4eVのエネルギーバンドギャップおよび高い熱伝導率を有する窒化ガリウム(GaN)基板などの窒化物基板は、短波長の光デバイスやパワー電子デバイスなどの半導体デバイス用の材料として注目されている。しかしながら、このような窒化物基板は高価である。
国際公開2006/104064号(特許文献1)には、窒化ガリウム(GaN)膜をシリコン(Si)基板、ガラス基板、またはガリウムヒ素(GaAs)基板上に形成するための窒化ガリウム成長用基板およびその製造方法が開示されている。具体的には、基板上に形成された窒化珪素(SiN)膜の表面に、4keVのエネルギーでGaイオンを照射することにより、SiN膜の表層部にGaN膜を形成することができることが記載されている。
国際公開2006/104064号
しかしながら、本願発明者らは、特許文献1に記載の方法で作製された窒化ガリウム成長用基板を用いてエピタキシャル成長を行った場合に、窒化ガリウム成長用基板の主面全体に窒化ガリウムを均一に成長させることが困難であるという問題があることを見出した。
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、製造コストが低く、かつ、主面全体に窒化物半導体を均一にエピタキシャル成長させることができる窒化物半導体成長用基板を提供することにある。
本発明の窒化物半導体成長用基板は、下地基板と、下地基板上に形成されている窒化物半導体層とを備え、窒化物半導体層は、下地基板上に形成された窒化珪素膜に対して元素をイオンとして照射することにより形成されており、窒化物半導体層において、厚み方向におけるイオンの濃度の最大値と最小値との差を最大値で割った値が40%以下である。
本発明によれば、製造コストが低く、かつ、主面全体に窒化物半導体をエピタキシャル成長させることができる窒化物半導体成長用基板を提供することができる。
本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板を説明するための図である。 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板の製造方法を説明するための図である。 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板の製造方法を説明するための図である。 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板の製造方法を説明するための図である。 本実施の形態に係る窒化物半導体エピタキシャル基板を説明するための図である。 実施例1において、窒化物半導体層としてのGaN層におけるGaの濃度プロファイルの測定結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
[本願発明の実施形態の説明]
はじめに、本発明の実施の形態の概要を列挙する。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、窒化物半導体成長用基板において、窒化物半導体層にて窒素と化合する原子の濃度の該窒化物半導体層の厚み方向におけるばらつきを小さくすることにより、窒化物半導体層上に窒化物半導体エピタキシャル層を均一にエピタキシャル成長することができることを見出した。
(1) 図1および図2を参照して、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10は、下地基板1と、下地基板1上に形成されている窒化物半導体層2とを備え、窒化物半導体層2は、下地基板1上に形成された窒化珪素膜3に対して元素をイオンとして照射することにより形成されており、窒化物半導体層2において、厚み方向における上記元素の濃度の最大値と最小値との差を上記最大値で割った値が40%以下である。
つまり、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10における窒化物半導体層2は、窒化物半導体層において窒素と化合する元素が膜厚方向(深さ方向)において偏在せずに分散している。窒化物半導体層2は、窒化珪素膜3に元素がイオン照射されることにより形成されるが、窒化珪素膜3の膜厚方向において当該元素が導入される位置は、イオンの照射エネルギーに応じて決まる。本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10は、窒化珪素膜3に対して複数の照射エネルギー条件で元素をイオン照射することにより、1つの照射エネルギー条件で照射される場合と比べて窒化物半導体層2(あるいは窒化珪素膜3)の膜厚方向において元素を均一性よく分布させることができる。
このようにして得られる本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10は、たとえば窒化珪素膜3の表層部のみに窒化物半導体層を形成した従来の窒化物半導体成長用基板と比べて、第2の主面2A上に窒化物半導体をより密にエピタキシャル成長させることができる。
(2) 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板において、上記元素は、ガリウム(Ga),インジウム(In),アルミニウム(Al)からなる群から選択される少なくとも1つであってもよい。このようにしても、上記元素を窒化珪素膜3にイオン照射することにより、該元素が均一性よく分布した窒化物半導体層2を形成することができる。
(3) 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10において、上記窒化物半導体層2の組成は、Al1−x−yGaInNで表わされてもよい。上述のように、元素としてGa,In,Alからなる群から選択される少なくとも1つ以上をイオン照射することにより、Al1−x−yGaInN(x≧0,y≧0,0≦x+y≦1)で表わされる窒化物半導体層2を備える窒化物半導体成長用基板10を得ることができる。
(4) 本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10において、上記窒化物半導体層2の膜厚は、10nm以下であってもよい。
つまり、元素がイオン照射される窒化珪素膜3の膜厚が10nm以下であってもよい。このようにすれば、所定の照射条件でイオン照射された元素は窒化珪素膜3において下地基板1の第1の主面1Aと隣接する領域にまで容易に到達することができる。その結果、窒化珪素膜3の膜厚方向(深さ方向)において広く上記元素のイオンを導入することができ、膜厚方向において元素の均一性がより高い窒化物半導体層2を得ることができる。つまり、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10において、窒化物半導体層2の膜厚が10nm以下であるときには、該窒化物半導体層2における元素は膜厚方向においてより均一性よく分布していることになる。
[本願発明の実施形態の詳細]
次に、本発明の実施の形態の詳細について説明する。
図1を参照して、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10は、下地基板1と、下地基板1の第1の主面1A上に形成された窒化物半導体層2とを備える。
下地基板1は、たとえば珪素(Si)からなり、外径が100mmである第1の主面1Aを有している。第1の主面1Aは、たとえば(100)面である。
窒化物半導体層2は、下地基板1の第1の主面1A上に形成されている。窒化物半導体層2は、窒素(N)とガリウム(Ga)を主に含む。窒化物半導体層2は、第2の主面2Aを有している。窒化物半導体層2において、Gaの濃度は、第2の主面2Aと平行な方向および垂直な方向(厚み方向)において、いずれもほぼ均一である。窒化物半導体層2の厚み方向においては、窒化物半導体層2中の窒素と化合する元素であるGaの濃度の最大値Dmaxと最小値Dminとの差を最大値Dmaxで割った値((Dmax−Dmin)/Dmax)は40%以下である。
次に、図1〜図4を参照して、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10の製造方法について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10の製造方法は、下地基板1と下地基板1上に形成された窒化珪素膜3とを含む材料基板20を準備する工程(S11)と、窒化珪素膜3に対してイオンを照射する工程(S12)とを備える。
まず、材料基板20を準備する(工程(S11))。具体的には、はじめに、外径が100mmであり、Siからなる下地基板1を準備する。下地基板1は、第1の主面1Aを有し、その面方位は(100)面である。下地基板1は、任意の方法により準備すればよい。なお、下地基板1の外径は100mmに限られず、たとえば6インチなどであってもよい。次に、下地基板1の第1の主面1A上に窒化珪素(SiN)からなる窒化珪素膜3を形成する。窒化珪素膜3は、任意の方法で成膜すればよいが、たとえば有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて、第1の主面1A(Si(100)面)上にSiNからなる窒化珪素膜3を形成すればよい。または、第1の主面1A(Si(100)面)をアンモニア(NH)雰囲気中、1200℃で窒化することにより、SiNからなる窒化珪素膜3を形成してもよい。窒化珪素膜3の膜厚は、10nm以下であることが好ましく、たとえば5nmである。窒化珪素膜3は、第3の第3の主面3Aを有している。
次に、窒化珪素膜3にGaイオンを照射する(工程(S12))。具体的には、イオン注入装置を用いて、Gaイオンを窒化珪素膜3に対して第3の主面3A側から照射する。このとき、Gaイオンは、たとえば照射エネルギーが0.1keV以上100keV以下の範囲において、複数のエネルギー条件で照射される。本実施の形態においては、窒化珪素膜3に対し、たとえば0.5keV、2keV、5keVの3条件でGaイオンを照射する。各照射条件において、イオンのドーズ量は適宜選択され得るが、いずれも1.0×1016cm−2以上が好ましく、より好ましくは3.0×1016cm−2以上である。各照射条件におけるイオンのドーズ量は等しく設定されていてもよいし、それぞれ異なる値に設定されていてもよい。
窒化珪素膜3にGaイオンが照射されることにより、窒化珪素膜3を構成するSiが照射されたGaに置き換わり、図4に示すようにGaNからなる窒化物半導体層2が形成される。このとき、Nとの結合が解かれたSiは、窒化物半導体層2内に含まれている。このようにして、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10を製造することができる。なお、イオンを照射する際の温度条件は、たとえば室温であればよく、圧力条件は、たとえば1×10−6Pa程度であればよい。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10を用いて、窒化物半導体エピタキシャル基板30を製造する方法について説明する。本実施の形態に係る窒化物半導体エピタキシャル基板の製造方法は、窒化物半導体成長用基板10を準備する工程(S10)と、窒化物半導体成長用基板10の第2の主面2A上に窒化物半導体をエピタキシャル成長する工程(S20)とを備える。
まず、窒化物半導体成長用基板10を準備する(工程(S10))。具体的には、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板を製造する方法により、窒化物半導体成長用基板10を製造する。
次に、窒化物半導体成長用基板10の第2の主面2A上に窒化物半導体エピタキシャル層4をエピタキシャル成長する(工程(S20))。窒化物半導体エピタキシャル層4を成長させる方法は、特に制限はないが、結晶性のよい窒化物半導体エピタキシャル基板30を得る観点から、HVPE(ハイドライド気相成長)法、MOVPE(有機金属気相成長)法、MBE(分子線エピタキシー)法、昇華法などの気相法、フラックス法、高窒素圧溶液法などの液相法などが好適である。
なお、窒化物半導体層2上に窒化物半導体エピタキシャル層4を成長させた後、下地基板1の一部をエッチングや化学機械研磨(CMP)等により除去して窒化物半導体エピタキシャル基板30から下地基板1を除去してもよい。このようにすれば、窒化物半導体エピタキシャル基板30として窒化物半導体層2および窒化物半導体エピタキシャル層4が積層されたウエハを得ることができる。
次に、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10およびその製造方法の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10における窒化物半導体層2は、下地基板1上に形成された窒化珪素膜3に対して複数の照射エネルギー条件で元素をイオンとして照射することにより形成されている。そのため、1つの照射エネルギー条件で照射されて形成される窒化物半導体層と比べて窒化物半導体層2の膜厚方向(深さ方向)において元素を均一性よく分布させることができる。
このようにして得られる本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10は、たとえば窒化珪素膜3の表層部のみに窒化物半導体層を形成した従来の窒化物半導体成長用基板と比べて、第2の主面2A上に窒化物半導体をより密にエピタキシャル成長させることができる。
本実施の形態において、窒化珪素膜3に照射される元素はGaのみであったが、これに限られるものではない。たとえば、上記元素はIII族元素から選択されることができ、In,Alであってもよい。また、Ga、In、Alの群から選択される少なくとも1つであってもよく、たとえば、AlとGaとを組み合わせて照射してもよく、InとGaとを組み合わせて照射してもよい。なお、2種以上のイオンを組み合わせて照射する場合には、たとえば各イオンを連続して照射すればよい。つまり、1つのイオンを複数条件で照射した後、他のイオンを複数条件で照射すればよい。このようにすれば、Al1−x−yGaInN(x≧0,y≧0,0≦x+y≦1)で表わされる組成を有する窒化物半導体層2を得ることができる。
また、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10において、下地基板1はSi基板であり、第1の主面1Aが(100)面であったがこれに限られるものではない。たとえば、下地基板はSi基板であって、第1の主面1Aが(111)面であってもよい。また、たとえば、下地基板1は合成石英や、結晶多形が4H−SiCであるSiC基板であってもよい。このようにしても、本実施の形態に係る窒化物半導体成長用基板10と同様の効果を奏することができる。
次に、本実施の形態の実施例1について説明する。
実施例1では、窒化珪素膜に対する元素のイオン照射条件が、照射により形成される窒化物半導体層における元素の濃度分布に与える影響を評価した。
(試料)
下地基板として、(111)面を第1の主面とするSi基板、合成石英ガラス基板、(0001)面を第1の主面とする結晶多形が4H−SiCであるSiC基板を準備した。これらの第1の主面上にMOCVD法によりSiN膜を成膜した。または、第1の主面上を、アンモニア(NH)雰囲気中、1200℃で窒化することにより、SiN膜を形成した。SiN膜の膜厚は、5nm、10nm、100nmの三通りとした。
次に、各下地基板上に形成したSiN膜(第2の主面)に対し、Gaイオンを照射した。照射条件は、実施例(試料ID1〜5)として照射エネルギーが0.5keV、2.0keV、5.0keVの3条件を組み合わせて行った。一方、比較例(試料ID6〜12)としては、照射エネルギーが0.5keVの条件として行った。なお、各試料についてのイオン照射時のドーズ量は以下の表1に示す通りとした。このようにして、下記表1に示す実施例としての試料ID1〜5、比較例としての試料ID6〜12の評価試料を作製した。
Figure 0006181474
(評価方法)
評価試料に対して、第2の主面から垂直な方向(深さ方向)に2次イオン質量分析法(SIMS)を用いてGaの濃度プロファイルを評価した。具体的には、窒化物半導体層表面(第2の主面)から窒化物半導体層と下地基板との界面(第1の主面)まで、深さ方向にSIMS測定を行った。さらに、得られた濃度プロファイルから、窒化物半導体層におけるGaの濃度の最大値と最小値を求め、最大値と最小値の差を最大値で割った値(濃度ばらつき(%))を算出した。
(結果)
表1に試料ID1〜12の評価結果を示す。また、図6に、濃度プロファイルの評価結果の一部(試料ID1および試料ID6の評価結果)を示す。図6の縦軸はGaの濃度(単位:atoms/cc)であり、横軸は窒化物半導体層表面(第2の主面)からの深さ(単位:nm)である。
まず、SiN膜に対しGaイオンを照射することにより、GaN層が形成されていることが確認できた。さらに、Gaの照射条件が、GaN層におけるGaイオンの濃度分布に大きく影響することが確認された。
具体的には、Gaイオンの照射エネルギーが0.5keVである比較例としての試料ID6〜12は、いずれも濃度プロファイルから算出したGaイオンの最大値と最小値を求め、最大値と最小値の差を最大値で割った値である濃度ばらつきが97%以上と高かった。つまり、比較例の試料のGaN層において、Gaの濃度は深さ方向においてばらつきが大きいことが確認された。この傾向は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らずに確認された。さらに、同傾向は、Gaイオンのドーズ量を変えた場合にも確認された。具体的には、たとえばドーズ量が3.0×1016cm−2の試料ID6と、1.2×1017cm−2の試料ID8とで、上記値に有意な差は確認されなかった。つまり、比較例としての試料に対するGaイオンの照射は、照射エネルギーが0.5keVの1条件で実施されているため、数nm以上の膜厚を有するSiN膜に対しては、Gaを深さ方向に均一に導入することができていないことが分かった。すなわち、図6のグラフから、膜厚が10nmのSiN膜に対してGaイオンを0.5keVエネルギーで照射したときには、窒化ガリウム成長用基板の第2の主面の表層部(1nm程度)にはGaN層が形成されていると考えられるが、下地基板側(5nm以上10nm以下)にはGaイオンは十分に供給されていないことが分かった。
一方、照射エネルギーについて、0.5keV、2.0keV、5.0keVの3条件を組み合わせてGaイオンが照射された実施例の試料ID1〜5については、いずれも濃度プロファイルから算出したGaの濃度の最大値と最小値を求め、最大値と最小値の差を最大値で割った値である濃度ばらつきが35%以下であり、比較例の試料と比べて当該濃度ばらつきの値が格段に低かった。この傾向は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らずに確認された。つまり、実施例の試料に対するGaイオンの照射は、照射エネルギーが0.5keV、2.0keV、5.0keVの3条件を組み合わせて実施されているため、10nm以下程度の膜厚を有するSiN膜に対しては、Gaを深さ方向に均一に導入することができることが確認された。
次に、本実施の形態の実施例2について説明する。
実施例2では、窒化珪素膜に対するイオンの照射条件が、照射により形成される窒化物半導体層上にエピタキシャル成長された窒化物半導体エピタキシャル層の表面被覆率に与える影響を評価した。
(試料)
まず、窒化物半導体成長用基板を、実施例1と基本的に同様の方法で準備した。ここで、SiN膜に照射したイオンは、Gaの他に、In、Alの単一イオン、またはGaとAl、もしくはGaとInの組み合わせとした。これにより、GaN層を備えるGaN成長用基板(試料ID1〜13)、AlN層を備えるAlN成長用基板(試料ID14〜24)、InN層を備えるInN成長用基板(試料ID25〜35)、Al0.5Ga0.5N層を備えるAlGaN成長用基板(試料ID36〜46)、In0.5Ga0.5N層を備えるInGaN成長用基板(試料ID47〜57)を準備した。なお、各試料の下地基板や窒化膜、窒化物膜などの条件は、上記表1および後述する表2〜表5に示している。
次に、準備した各窒化物半導体成長用基板の第2の主面上に、MOCVD法を用いて、窒化物半導体をエピタキシャル成長させて、窒化物半導体エピタキシャル基板を得た。
(評価方法)
窒化物半導体エピタキシャル基板の表面(第3の主面)に対する光学顕微鏡像を取得し、該光学顕微鏡像に対して白黒の二値化処理を行うことにより、窒化物膜(窒化物半導体エピタキシャル層)が成長している面積を計測した。そして、第3の主面全体に対して窒化物膜が成長している面積の割合である、窒化物半導体エピタキシャル層の表面被覆率を求めた。
(結果)
1.GaNエピタキシャル基板(試料ID1〜13)
表面被覆率の結果を表1に示す。各比較例の試料(試料ID6〜13)の表面被覆率が16%以下であるのに対し、各実施例の試料(試料ID1〜5)の表面被覆率は89%以上と格段に高いことが確認された。つまり、GaNエピタキシャル層の表面被覆率は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類、Gaイオンのドーズ量に依らず、GaN層の深さ方向におけるGa濃度の均一性の影響を強く受けることが確認された。実施例の試料は、深さ方向においてGaの濃度の均一性に優れたGaN層を有するため、GaNエピタキシャル層の表面被覆率を向上することができたと考えられる。また、下地基板がSi(111)である窒化物半導体成長用基板(試料ID6)と、下地基板がSi(100)である窒化物半導体成長用基板(試料ID7)とでは、表面被覆率に差異は見られなかった。しかし、窒化物半導体エピタキシャル層の表面被覆率は、下地基板の第1の主面の面方位、および該下地基板上に形成される窒化物膜(本実施例におけるGaN膜)の成膜条件にも依存する可能性がある。
2.AlNエピタキシャル基板(試料ID14〜24)
表面被覆率の結果を表2に示す。各比較例の試料(試料ID19〜24)の表面被覆率が15%以下であるのに対し、各実施例の試料(試料ID14〜18)の表面被覆率は83%以上と格段に高いことが確認された。つまり、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、AlNエピタキシャル層の表面被覆率は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らず、AlN層の深さ方向におけるAl濃度の均一性の影響を強く受けることが確認された。また、AlNエピタキシャル層の表面被覆率は、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、Alイオンのドーズ量にも依らなかった。実施例の試料(試料ID14〜18)は、複数の照射エネルギー条件を用いることで、深さ方向においてAlの濃度の均一性に優れるAlN層を有するため、AlNエピタキシャル層の表面被覆率を向上することができたと考えられる。
Figure 0006181474
3.InNエピタキシャル基板(試料ID25〜35)
表面被覆率の結果を表3に示す。各比較例の試料(試料ID30〜35)の表面被覆率が14%以下であるのに対し、各実施例の試料(試料ID25〜29)の表面被覆率は77%以上と格段に高いことが確認された。つまり、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、InNエピタキシャル層の表面被覆率は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らず、InN層の深さ方向におけるIn濃度の均一性の影響を強く受けることが確認された。また、InNエピタキシャル層の表面被覆率は、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、Inイオンのドーズ量にも依らなかった。実施例の試料(試料ID25〜29)は、複数の照射エネルギー条件を用いることで、深さ方向においてInの濃度の均一性に優れるInN層を有するため、InNエピタキシャル層の表面被覆率を向上することができたと考えられる。
Figure 0006181474
4.Al0.5Ga0.5Nエピタキシャル基板(試料ID36〜46)
表面被覆率の結果を表4に示す。各比較例の試料(試料ID41〜46)の表面被覆率が15%以下であるのに対し、各実施例の試料(試料ID36〜40)の表面被覆率は85%以上と格段に高いことが確認された。つまり、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、Al0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らず、Al0.5Ga0.5N層の深さ方向におけるAlおよびGa濃度の均一性の影響を強く受けることが確認された。また、Al0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率は、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、AlイオンおよびGaイオンの合計ドーズ量にも依らなかった。実施例の試料(試料ID36〜40)は、複数の照射エネルギー条件を用いることで、深さ方向においてAlおよびGaの濃度の均一性に優れるAl0.5Ga0.5N層を有するため、Al0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率を向上することができたと考えられる。
Figure 0006181474
5.InGaNエピタキシャル基板(試料ID47〜57)
表面被覆率の結果を表5に示す。各比較例の試料(試料ID52〜57)の表面被覆率が15%以下であるのに対し、各実施例の試料(試料ID47〜51)の表面被覆率は85%以上と格段に高いことが確認された。つまり、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、In0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率は、SiN膜の膜厚や、下地基板の種類に依らず、In0.5Ga0.5N層の深さ方向におけるInおよびGa濃度の均一性の影響を強く受けることが確認された。また、In0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率は、上述したGaNエピタキシャル基板と同様に、InイオンおよびGaイオンの合計ドーズ量にも依らなかった。実施例の試料(試料ID47〜51)は、複数の照射エネルギー条件を用いることで、深さ方向においてInおよびGaの濃度の均一性に優れるIn0.5Ga0.5N層を有するため、In0.5Ga0.5Nエピタキシャル層の表面被覆率を向上することができたと考えられる。
Figure 0006181474
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
この発明は、窒化物半導体をエピタキシャル成長するために用いる基板に有利に適用される。
1 下地基板
1A 第1の主面
2 窒化物半導体層
2A 第2の主面
3 窒化珪素膜
3A 第3の主面
4 窒化物半導体エピタキシャル層
10 窒化物半導体成長用基板
20 材料基板
30 窒化物半導体エピタキシャル基板。

Claims (4)

  1. 下地基板を準備する工程と、
    前記下地基板上に窒化珪素膜を形成する工程と
    前記窒化珪素膜に対して元素をイオンとして照射することにより前記下地基板上に窒化物半導体層を形成する工程とを備え、
    前記窒化物半導体層において、厚み方向における前記元素の濃度の最大値と最小値との差を前記最大値で割った値が40%以下である、窒化物半導体成長用基板の製造方法
  2. 前記元素は、ガリウム,インジウム,アルミニウムからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の窒化物半導体成長用基板の製造方法
  3. 前記窒化物半導体層の組成は、Al1−x−yGaInN(x≧0,y≧0,0≦x+y≦1)で表わされる、請求項2に記載の窒化物半導体成長用基板の製造方法
  4. 前記窒化物半導体層の膜厚は、10nm以下である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の窒化物半導体成長用基板の製造方法
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