JP6181229B1 - ゲンチオビオース含有糖組成物および呈味向上剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、味質が改善されたゲンチオビオース含有糖組成物と、新たな呈味向上剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明によれば、ゲンチオビオースおよびイソマルトースを含有する糖組成物であって、(A)ゲンチオビオースに対する(B)イソマルトースの割合((B)/(A)、固形分質量比率)が0.1〜30である、糖組成物が提供される。本発明によれば、本発明の糖組成物を有効成分とする呈味向上剤が提供される。【選択図】なし

Description

本発明はゲンチオビオースを含有する糖組成物および呈味向上剤に関する。
ゲンチオビオースは、2個のグルコースがβ−1,6−グルコシド結合したβ−グルコオリゴ糖であり、リンドウの根茎や根等に含まれており特有の強い苦味を有することが知られている。
ゲンチオビオース等のゲンチオオリゴ糖は、腸内フローラ改善効果、カルシウム吸収促進効果等の生理機能を有することが報告されている。また、苦味を有するという独特の味質により、飲食品に添加することで呈味改善効果(特許文献1)、乳類の後味のキレ/およびまたはコクの改善効果(特許文献2)、高甘味度甘味料の味質改善効果(特許文献3)、果汁感増強効果(特許文献3)、炭酸飲料における爽快感・止渇感付与効果(特許文献4)、更にはカレー等の煮込みソースにおけるオニオンソテー風味の付与効果(特許文献5)等を発揮することが知られている。更に、食品の塩味を増強する効果やカラメルの酸味を抑制する効果も有するといわれている。
一方で、ゲンチオビオースの有する苦味は、飲食品の種類や添加量によっては苦味が強すぎるために飲食品の風味を損なう場合もあり、また、その味質にも更なる改良の余地があった。
特開平3−83557号公報 特開2002−335903号公報 特開2011−206030号公報 特開2001−95541号公報 特開2015−8687号公報
本発明は、その味質が改善されたゲンチオビオース含有糖組成物を提供することを目的とする。本発明はまた、新たな呈味向上剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、苦味を有するゲンチオビオースとイソマルトースを一定の比率で混合することで良好な味質を有するゲンチオビオース含有糖組成物が得られることを見出した。また、当該糖組成物を飲食品に添加することで顕著な呈味向上効果が得られることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
本発明によれば以下の発明が提供される。
[1]ゲンチオビオースおよびイソマルトースを含有する糖組成物であって、(A)ゲンチオビオースに対する(B)イソマルトースの割合((B)/(A)、固形分質量比率)が0.1〜30である、糖組成物。
[2]グルコース、スクロース、フルクトースおよびマルトースからなる群から選択される1種または2種以上の糖質を固形分当たり15質量%以上で含有する、上記[1]に記載の糖組成物。
[3]ゲンチオビオースおよびイソマルトースを固形分当たり1〜100質量%で含有する、上記[1]または[2]記載の糖組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の糖組成物を有効成分とする呈味向上剤。
[5]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の糖組成物または上記[4]に記載の呈味向上剤を含有させてなる、飲食品。
[6]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の糖組成物または上記[4]に記載の呈味向上剤を配合することを含んでなる、飲食品の製造方法。
[7]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の糖組成物を原材料に添加する、飲食品の呈味向上方法。
本発明によれば、味質が改善されたゲンチオビオース含有糖組成物が提供されるとともに、当該糖組成物を有効成分とする呈味向上剤が提供される。
発明の具体的説明
本発明の糖組成物の構成成分であるゲンチオビオースは、2個のグルコースがβ−1,6−グルコシド結合したβ−グルコオリゴ糖である。本発明では、ゲンチオビオースの精製品を用いることもできるが、原料コストの観点から、ゲンチオビオースを含有するゲンチオオリゴ糖組成物を用いることが好ましい。ゲンチオオリゴ糖組成物は、グルコースがβ−1,6−グルコシド結合したβ−グルコオリゴ糖のうち、重合度2のゲンチオビオース、重合度3のゲンチオトリオース、重合度4のゲンチオテトラオース等のゲンチオオリゴ糖を含有する組成物である。
ゲンチオビオースまたはゲンチオビオースを含むゲンチオオリゴ糖組成物の製造方法には特に制限は無く、例えば、ゲンチアノースの酸分解、プスツランやラミナランなどの加水分解物からの調製が挙げられるが、製造効率・コストの観点から高濃度グルコース溶液に微生物起源のβ−グルコシダーゼを作用させ糖縮合反応により製造するのが好ましい(特許第2750374号公報参照)。なお、β−グルコシダーゼによる糖縮合反応を行うと、ゲンチオビオースに加えラミナリビオース、セロビオース等のβ−グルコオリゴ糖が副生することが知られている。上記製造方法で得られたゲンチオオリゴ糖組成物をそのまま本発明に用いても良く、膜分画、クロマト分画、沈殿分画等の手法によりゲンチオビオース含有量を高めて本発明の糖組成物に用いても良い。また、分画処理前に酵素反応、微生物発酵等の手法によりゲンチオオリゴ糖以外の組成物をより分画が容易な組成物に変換しても良い。
本発明の糖組成物の構成成分であるイソマルトースは、2個のグルコースがα−1,6−グルコシド結合したα−グルコオリゴ糖である。本発明では、イソマルトースの精製品を用いることもできるが、原料コストの観点から、イソマルトースを含有するイソマルトオリゴ糖組成物を用いることが好ましい。イソマルトオリゴ糖組成物は、イソマルトオリゴ糖としてイソマルトース、イソマルトトリオース、パノース、イソマルトテトラオース等のイソマルトオリゴ糖を含有する組成物である。
イソマルトースまたはイソマルトースを含むイソマルトオリゴ糖組成物の製造方法には特に制限は無く、例えば、デキストランの酸分解やデキストランの酵素分解により製造すること、澱粉分解物にマルトース生成アミラーゼとα-グルコシダーゼ等の糖転移酵素を組み合わせて作用させて糖転移反応により製造すること、あるいは、高濃度グルコース溶液にグルコアミラーゼを作用させ糖縮合反応により製造することができるが、製造効率・コストの観点から糖転移反応により製造するのが好ましい。上記製造方法で得られたイソマルトオリゴ糖組成物をそのまま本発明の組成物に用いても良く、膜分画、クロマト分画、沈殿分画等の手法によりイソマルトース含有量を高めて本発明に用いても良い。また、分画処理前に酵素反応、微生物発酵等の手法によりイソマルトオリゴ糖以外の組成物をより分画が容易な組成物に変換しても良い。
本発明の糖組成物は、ゲンチオビオースに対しイソマルトースを一定比率で含有することを特徴とする。具体的には、イソマルトースによるゲンチオビオースの味質改善効果と、ゲンチオビオースの特徴的味質である苦味効果等を発揮させるために、本発明の糖組成物における(A)ゲンチオビオースに対する(B)イソマルトースの割合((B)/(A)、固形分質量比率)は0.1〜30の範囲とすることができ、その味質の観点から、前記割合は0.5〜15の範囲が好ましく、1〜10の範囲が特に好ましい。
本発明の糖組成物は、ゲンチオビオースとイソマルトースを一定比率で含有していればよく、糖組成物におけるそれぞれの含有量に特に制限は無いが、本発明の効果をよりよく発揮するために、ゲンチオビオースを固形分当たり1質量%〜50質量%含有することが望ましく、固形分当たり2質量%〜45質量%がより望ましい。また、同様の理由により、本発明の糖組成物はイソマルトースを固形分当たり1質量%〜75質量%含有することが望ましく、固形分当たり5質量%〜65質量%がより望ましい。
本発明の糖組成物はまた、本発明の効果をよりよく発揮するために、ゲンチオビオースおよびイソマルトースを合計で固形分当たり1〜100質量%で含有することが望ましく、固形分当たり5〜80質量%がより望ましく、固形分当たり10〜50質量%が特に望ましい。
後記実施例に示される通り、本発明の糖組成物は、適度な甘味の付与により味質のバランスが整えられて本発明の効果をさらに発揮しやすくなることから、1種または2種以上の他の糖類(グルコース、スクロース、フルクトースまたはマルトース等)を含有していることが好ましい。上記他の糖類の含有量も特に限定されないが、固形分当たり15質量%以上含有していることが好ましく、25質量%以上含有していることがより好ましく、35質量%以上含有していることが特に好ましい。必要以上に甘味が付与されるとゲンチオビオースの特徴である苦味が発揮され難く、また、味の厚みも弱まる恐れがあるので、上記他の糖類の含有量は固形分当たり75質量%以下にすることが好ましく、65質量%以下がより好ましい。後記の実施例に記載された通り、その甘味度等の味質から他の糖類としてはグルコースが特に好適である。
本発明の糖組成物は、その製造方法に特に制限は無い。例えば、ゲンチオビオースに一定比率でイソマルトースを混合することで製造することができる。あるいは、ゲンチオビオースとイソマルトースの精製品をそれぞれ混合して製造しても良いが、その効果と製造コストの関係を考慮すると、ゲンチオビオースを含有するゲンチオオリゴ糖組成物とイソマルトースを含有するイソマルトオリゴ糖組成物を所望の割合で混合するのが好ましい。また他の方法として、プスツランとデキストランを同時または順次に酸や酵素で加水分解することで本発明のゲンチオビオース含有糖組成物を製造することもできるが、製造コストや製造効率の点から、グルコースやマルトオリゴ糖等の澱粉加水分解物を基質としてβ−グルコシダーゼの糖縮合反応によるゲンチオビオースの生成とα−グルコシダーゼの糖転移反応および/またはグルコアミラーゼの糖縮合反応によるイソマルトースの生成を同時または順次に行って製造するのが好ましい。
本発明の糖組成物は、その性状に特に制限は無く、液状、粉末状のいずれでも提供することができる。液状であれば、混合調製が容易であり、液状輸送可能であり、飲食品へ添加する際も粉立ちが無いため作業性に優れる等の利点がある。粉末状であれば、保存安定性が高く、水分が少ない分輸送コストを抑えることができ、種々の食品に添加することができる等の利点がある。すなわち、本発明の糖組成物の用途に応じて好適な性状を選択することができる。
本発明の糖組成物は良好な苦味(苦味の強さが適度であり、立ちを著しく損なうことなくキレが向上した苦味)と深く厚みのある味を有している。ゲンチオビオースに由来する苦味の強さが適度であるため、強すぎる苦味で味に悪影響を与えることがなく、かつ、弱すぎて苦味という特徴を失うことなく、適度な苦味を付与することができる。本発明の糖組成物はまた、苦味の立ちを著しく損なわないため口に入れた直後からある程度苦味を感じることができ、一方で、苦味のキレが良好であるため口の中で苦味が長く残り後を引くような不快感は生じにくい。本発明の糖組成物はさらに、単調な味ではなく、味の厚みが深いため良好な味質を備えている。このように本発明の糖組成物はこれまで知られていない風味特性を有していることから、飲食品の呈味向上に好適である。
すなわち、本発明によれば、本発明の糖組成物を有効成分とする呈味向上剤と、本発明の糖組成物を原材料に添加する、飲食品の呈味向上方法が提供される。本発明の糖組成物を飲食品に適用することにより、本発明の糖組成物の呈味向上効果をより効果的に発揮することができ、適用する飲食品の味にさらに厚みを加えることで特に優れた呈味向上効果を発揮することができる。
ここで、「呈味向上」とは、飲食品により提供される甘味、塩味、酸味、苦味およびうま味の基本味と、辛味、渋味、刺激味、味の厚み、後味のキレ、コクなどの基本味の周辺の感覚のうちの1種または2種以上を向上することを意味し、特に、甘味、苦味、味の厚み、後味のキレのうちの1種または2種以上を向上することを意味する。また、「呈味向上」とは飲食品の基本味とその周辺の感覚のうち1種または2種以上を向上させることを含む意味で用いられる。また、「向上」とは前の状態よりもすぐれた状態になることを意味し、通常の状態や良好な状態をよりよくすることに加え、好ましくない状態や悪化した状態を少なくとも回復させることを含む意味で用いられる。なお、後者は本発明では「改善」ということがある。
本発明の組成物により呈味向上効果が奏される詳細なメカニズムは不明であるが、ゲンチオビオースの苦味をイソマルトースが適度に抑え、ゲンチオビオースの後を引く苦味(苦味のキレの悪さ)をイソマルトースが改良し、またゲンチオビオースとイソマルトースの味質が一定比率で混合されることでそれぞれが相乗効果を発揮してより複雑な味となり味の深みを増したものと考えられる。
本発明の糖組成物は、呈味向上を目的として種々の飲食品に添加することができる。すなわち、本発明によれば、本発明の糖組成物または本発明の呈味向上剤を含有させてなる飲食品が提供される。本発明によればまた、本発明の糖組成物または本発明の呈味向上剤を配合することを含んでなる、呈味が向上した飲食品の製造方法が提供される。呈味が向上した飲食品の製造は、後記実施例に示される通り、本発明の糖組成物や本発明の呈味向上剤が原材料に配合されること以外は、常法に従って行うことができる。
本発明の糖組成物を適用できる飲食品に限定は無く、例えば、以下のものが挙げられる。
・ノンアルコール飲料(果汁含有飲料、果汁ジュース、野菜ジュース、炭酸飲料、アイソトニック飲料、アミノ酸飲料、スポーツ飲料、コーヒー、カフェオレ、ココア飲料、茶系飲料、乳酸菌飲料、乳飲料、栄養ドリンク、ノンアルコールビール、ノンアルコールチューハイ、ノンアルコールカクテル、ニアウォーター、フレーバーウォーターなど)
・アルコール飲料(ビール、発泡酒、リキュール、チューハイ、清酒、ワイン、果実酒、カクテル、蒸留酒など)などの飲料類
・アイスクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、かき氷、フラッペ、フローズンヨーグルト、ゼリー 、プリン、ババロア、水羊羹などの冷菓類
・水飴、果実のシロップ漬、氷みつ、チョコレートシロップ、カラメルシロップなどのシロップ類
・フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペースト、バタークリーム、カスタードクリームなどのペースト類
・マーマレード、フルーツソース、ブルーベリージャム、苺ジャムなどのジャム類
・食パン、ロールパン、ブリオッシュ、蒸しパン、あんパン、クリームパンなどのパン類
・ビスケット、クラッカー、クッキー、ワッフル、マフィン、スポンジケーキ、パイなどの焼菓子類
・シュークリーム、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、ヌガー、キャンディなどの洋菓子類
・せんべい、あられ、おこし、求肥、餅類、まんじゅう、大福、ういろう、餡類、錦玉、カステラ、飴玉などの和菓子類
・醤油、魚醤、味噌、ひしお、マヨネーズ、ドレッシング、三杯酢、天つゆ、麺つゆ、ウスターソース、オイスターソース、ケチャップ、焼き鳥のタレ、焼き肉のタレ、漬け込みタレ、甘味料、粉飴、食酢、すし酢、カレールウ、中華の素、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルソルト、テーブルシュガーなどの各種調味料類
・パスタソース、ミートソース、トマトソース、ホワイトソース、デミグラスソース、カレーソース、ハヤシソース、グレービーソース、ハンバーグソース、サルサソース、ステーキソースなどのソース類
・糠漬け、粕漬け、味噌漬け、福神漬け、べったら漬、奈良漬け、千枚漬、梅干しなどの漬物類
・たくわん漬の素、白菜漬の素、キムチの素などの漬物の素
・ハム、ベーコン、ソーセージ、ハンバーグ、ミートボールなどの畜肉製品類
・魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、干物などの魚肉製品類
・塩ウニ、カラスミ、塩辛、なれずし、酢コンブ、さきするめ、田麩などの各種珍味類
・海苔、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類
・煮豆、煮魚、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品
・乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜などの瓶詰類や缶詰類
・天ぷら、トンカツ、フリッター、唐揚げ、竜田揚げなどの揚げ物用衣類
・うどん、そば、中華麺、パスタ、春雨、ビーフン、餃子の皮、シューマイの皮などの麺類
・プリンミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席コーヒー、即席汁粉、即席スープなどの即席食品類
本発明による呈味向上効果をより効果的に発揮できる観点から、本発明の糖組成物を、飲料類、冷菓類、シロップ類、ペースト類、ジャム類、焼き菓子類、洋菓子類、和菓子類、調味料類、ソース類に用いるのが好ましい。すなわち、本発明の糖組成物は、ゲンチオビオースの特徴である苦味を適度なものとし苦味の立ちを著しく損なうことなくそのキレを改善し、かつ、味の厚みを増すことができるので、エグミの低減効果、乳類の後味のキレおよび/またはコクの改善効果、果汁感増強効果、高甘味度甘味料の味質改善効果、スパイス感増強効果、塩味増強効果等のゲンチオビオースが有する呈味向上効果をより効果的に発揮することができる。
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、本明細書において特に記載の無い場合は「%」は質量%を意味し、また「固形分」当たりの割合(含有量)や「固形分」の含有割合(濃度)に言及した場合には、固形成分の質量に基づいて定められた割合を意味するものとする。
試料の調製
固形分濃度65%のグルコース水溶液にアスペルギルス・ニガー由来のセルラーゼ製剤スミチームACL(新日本化学工業社製)を基質固形分1g当たり30mg添加し、pH5、60℃で72時間保持することでゲンチオオリゴ糖組成物を製造した。その後、当該組成物を固形分濃度20%に希釈してpH6に調整後、乾燥酵母を添加した。pHが経時的に低下するためpH5〜6となるように適宜調整した。資化性糖が消失するまで室温で保持した後、定法により精製した。続いて、陽イオン交換樹脂により分画処理してゲンチオビオース含有量を高め、定法により精製し糖組成物Aを得た。
固形分濃度65%のグルコース水溶液にアスペルギルス・ニガー由来のグルコアミラーゼ製剤AMG(ノボザイム社製)を基質固形分1g当たり10mg添加し、pH5、60℃で72時間保持することでイソマルトオリゴ糖組成物を製造した。当該組成物を固形分濃度20%に希釈してpH6に調整後、乾燥酵母を添加した。pHが経時的に低下するためpH5〜6となるように適宜調整した。資化性糖が消失するまで室温で保持した後、定法により精製した。続いて、陽イオン交換樹脂により分画処理してイソマルトース含有量を高め、定法により精製し糖組成物Bを得た。
糖組成物Aおよび糖組成物Bの固形分当たりの糖組成をHPLC分析した。組成物中の二糖含有量を分析する条件は以下の通りとした。
カラム:ULTRON PS−80N.L(信和化工社製)(二本連結)
カラム温度:50℃
移動相:超純水
流速:0.5ml
検出器:示差屈折率検出器
サンプル注入量:10%溶液 10μl
二糖中の各種二糖含有量を分析する条件は以下の通りとした。
カラム:Shodex Asahipak NH2P−50 4E(昭和電工社製)
カラム温度:30℃
移動相:アセトニトリル:超純水=75:25
流速:0.8ml
検出器:示差屈折率検出器
サンプル注入量:10%溶液 10μl
以降の糖組成分析も同様の条件で分析した。
糖組成物Aおよび糖組成物Bの糖組成の分析結果は表1に示される通りであった。
Figure 0006181229
実施例1:ゲンチオビオースとイソマルトースの混合比の検討
糖組成物Aおよび糖組成物Bを適宜混合し、表2に示した糖組成の各試料を調製した。(いずれの試料も、固形分濃度10%とした。)なお、いずれの試料も重合度3の糖質を10〜20%程度、重合度4以上の糖質を1%程度有していた。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を下記基準に基づき6人のパネラーで官能評価し、その平均値を表2に示した。
苦味の強さ:苦味が弱すぎるものまたは強すぎて不快なものを低評価点、適度な苦味を有するものを高評価点として、1点〜5点の5段階で評価した。
苦味の立ち:口に入れた直後の苦味の強さが弱い(苦味の立ちが悪い)ものを低評価点、強い(苦味の立ちが良い)ものを高評価点として、1〜5点の5段階で評価した。
苦味のキレ:苦味の持続性が強い(苦味のキレが悪い)ものを低評価点、弱い(苦味のキレが良い)ものを高評価点として、1〜5点の5段階で評価した。
味の厚み:味の厚みが弱いものを低評価点、味の厚みをより強く感じるものを高評価点として、1点〜5点の5段階で評価した。
Figure 0006181229
表2に示した通り、ゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.2〜13.2の割合(固形分質量比率)で含む試料(試料1−3〜試料1−8)は、程良い強さの苦味を有し苦味の立ちやキレも良好であり、また味の厚みも強く感じるものであった。ゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.6〜13.2の割合(固形分質量比率)で含む試料(試料1−4〜試料1−8)でその味質向上傾向が強く、ゲンチオビオースに対してイソマルトースを1.5〜5.9の割合(固形分質量比率)で含む試料(試料1−5〜試料1−7)でその味質向上傾向が最も顕著であった。ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合が一定以下の試料(試料1−1〜試料1−2)は、若干の味の厚みは有していたが、ゲンチオビオース由来の苦味が強すぎてかつキレも悪く他の試料に比べると味質が劣るものであった。ゲンチオビオースに対するイソマルトースの含有量が一定以上の試料(試料1−9〜試料1−10)は、苦味が無く、味の厚みも非常に弱く他の試料に比べると味質が劣るものであった。
実施例2:イソマルトースと他の糖質の比較検討
糖組成物Aとイソマルトース、マルトース、スクロースまたはトレハロースを混合し、表3に示す糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づき6人のパネラーで官能評価し、その平均値を表3に示した。
Figure 0006181229
表3に示す通り、ゲンチオビオースにイソマルトースを混合した試料2−1は、苦味の強さ、苦味の立ち、苦味のキレおよび味の厚みの全ての点において良好な味質であった。一方で、イソマルトースに代えてマルトースを混合した試料2−2は、試料2−1と比較して苦味の立ちは同程度であったがマルトースの味質が影響して苦味自体は弱く、苦味のキレも悪く味の厚みも低いものであった。イソマルトースに代えてスクロースを混合した試料2−3は、いずれの評価項目においても著しく低い評価ではなかったが、試料2−1に比べるとその味質は大きく劣っていた。イソマルトースに代えてトレハロースを混合した試料2−4は、試料2−1と比較して苦味のキレは同程度であったがトレハロースの味質が影響して苦味自体は弱く、味の厚みも低いものであった。
実施例3:グルコース添加の検討
糖組成物A、糖組成物Bおよびグルコースを適宜混合し、表4に示した糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づき6人のパネラーで官能評価した。なお、実施例3においては、各試料間の相対評価により5段階の評価点を付けた。その平均値を表4に示した。
Figure 0006181229
表4に示す通り、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合(固形分質量比率)が3.4と同一であっても、グルコースを20.1〜69.6質量%で含有する試料(試料3−3〜試料3−8)が特に良好な味質を有しており、グルコースを39.9〜59.7質量%で含有する試料(試料3−4〜試料3−6)が顕著に良好な味質を有していた。なお、実施例3の官能評価は各試料間の相対評価で行ったものであり、実施例1および2におけるゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.1〜30の割合(固形分質量比率)で含まない試料と比べれば、いずれの試料も良好な苦味および味の深みの点で優れるものであった。
実施例4:スクロース添加の検討
糖組成物A、糖組成物Bおよびスクロースを適宜混合し、表5に示した糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づきを6人のパネラーで官能評価した。なお、実施例4においても、各試料間の相対評価により5段階の評価点を付けた。その平均値を表5に示した。
Figure 0006181229
表5に示す通り、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合(固形分質量比率)が3.4と同一であっても、スクロースを18.9〜56.7質量%で含有する試料(試料4−4〜試料4−8)が特に良好な味質を有しており、スクロースを28.4〜47.3質量%で含有する試料(試料4−5〜試料4−7)が顕著に良好な味質を有していた。なお、実施例4の官能評価は各試料間の相対評価で行ったものであり、実施例1および2におけるゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.1〜30の割合(固形分質量比率)で含まない試料と比べれば、いずれの試料も良好な苦味および味の深みの点で優れるものであった。
実施例5:フルクトース添加の検討
糖組成物A、糖組成物Bおよびフルクトースを適宜混合し、表6に示した糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づき6人のパネラーで官能評価した。なお、実施例5においても、各試料間の相対評価により5段階の評価点を付けた。その平均値を表6に示した。
Figure 0006181229
表6に示す通り、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合(固形分質量比率)が3.4と同一であっても、フルクトースを19.3〜58.0質量%で含有する試料(試料5−4〜試料5−8)が特に良好な味質を有しており、フルクトースを29.0〜48.4質量%で含有する試料(試料5−5〜試料5−7)が顕著に良好な味質を有していた。なお、実施例5の官能評価は各試料間の相対評価で行ったものであり、実施例1および2におけるゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.1〜30の割合(固形分質量比率)で含まない試料と比べれば、いずれの試料も良好な苦味および味の深みの点で優れるものであった。
実施例6:マルトース添加の検討
糖組成物A、糖組成物Bおよびマルトースを適宜混合し、表7に示した糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づき6人のパネラーで官能評価した。なお、実施例6においても、各試料間の相対評価により5段階の評価点を付けた。その平均値を表7に示した。
Figure 0006181229
表7に示す通り、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合(固形分質量比率)が3.4と同一であっても、マルトースを19.8〜59.5質量%で含有する試料(試料6−4〜試料6−8)が特に良好な味質を有しており、マルトースを39.7〜59.5質量%で含有する試料(試料6−4〜試料6−6)が顕著に良好な味質を有していた。なお、実施例6の官能評価は各試料間の相対評価で行ったものであり、実施例1および2におけるゲンチオビオースに対してイソマルトースを0.1〜30の割合(固形分質量比率)で含まない試料と比べれば、いずれの試料も良好な苦味および味の深みの点で優れるものであった。
なお、実施例1〜6にて調製した糖組成物水溶液をそのまま、または必要に応じて水分量を調整したり他の糖質や香料等と混合したりすることによりシロップを得ることができる。
実施例7:高純度品での検討
ゲンチオビオース含有糖組成物を分画処理等により高純度化することで結晶ゲンチオビオースを調製した。該結晶ゲンチオビオースを用いた高純度のゲンチオビオース(純度98%以上)と高純度のイソマルトース(純度97%以上、イソマルトース標品(東京化成工業社製)を使用)を混合し、表8に示す糖組成の各試料を調製した。いずれの試料も、固形分濃度10%とした。
得られた各試料(糖組成物水溶液)について、その味質を実施例1と同じ基準に基づき1人のパネラーで官能評価し、その結果を表8に示した。
Figure 0006181229
表8に示す通り、ゲンチオビオースおよびイソマルトースを所定の割合で含有する試料7−2は、適度な苦みを有し苦味の立ち、苦味のキレ、および味の厚みも良好であった。一方で、高純度ゲンチオビオース水溶液である試料7−1は苦味が強すぎるうえ苦味のキレと味の厚みも弱いものであった。高純度イソマルトース水溶液である試料7−3は苦味が無く、味の厚みも弱いものであった。
実施例8:清涼飲料水への適用
試料1−2、試料1−6、試料1−9および試料3−5をそれぞれ固形分濃度70%に濃縮し、市販の清涼飲料水(「さわやか果物もも水」エルビー社製)に0.5質量%となるように添加して清涼飲料水を調製した。各試料を添加した清涼飲料水について、その味を2名のパネラーで官能評価した。下記基準で評価した総合評価およびコメントを表9に示した。
<評価基準>
◎:未添加の飲料に比べ呈味が全体的に顕著に向上しており特に好ましい
○:未添加の飲料に比べ呈味が全体的に向上しており好ましい
△:未添加の飲料に比べ部分的に呈味が向上しているが呈味を損なっている面もある
<評価結果>
Figure 0006181229
表9に示す通り、ゲンチオビオースおよびイソマルトースを所定の割合で含有する試料1−6を添加した飲料は、未添加に比べ果汁感や後味の切れが向上しており、コクが出て味の厚みが増していた。更にグルコースを含む試料3−5を添加した飲料は、コクが増しかつキレが向上しており、特に高い評価であった。一方で、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合が低い試料1−2や、該割合が高い試料1−9を添加した飲料は、部分的に呈味が向上しているが、低下している部分もあり不十分な呈味向上効果しか得られなかった。
実施例9:乳飲料への適用
試料1−2、試料1−6、試料1−9および試料3−5をそれぞれ固形分濃度70%に濃縮し、市販の乳飲料(「雪印コーヒー」雪印メグミルク社製)に0.5質量%となるように添加して乳飲料を調製した。各試料を添加した乳飲料について、その味を2名のパネラーで官能評価した。下記基準で評価した総合評価およびコメントを表10に示した。
<評価基準>
◎:未添加の飲料に比べ呈味が全体的に顕著に向上しており特に好ましい
○:未添加の飲料に比べ呈味が全体的に向上しており好ましい
△:未添加の飲料に比べ部分的に呈味が向上しているが呈味を損なっている面もある
<評価結果>
Figure 0006181229
表10に示す通り、ゲンチオビオースおよびイソマルトースを所定の割合で含有する試料1−6を添加した飲料は、未添加に比べ乳感や味の厚みが向上していた。更にグルコースを含む試料3−5を添加した飲料は、味の厚みや乳感が向上しており好ましい甘味を有し、特に高い評価であった。一方で、ゲンチオビオースに対するイソマルトースの割合が低い試料1−2や、該割合が高い試料1−9を添加した飲料は、部分的に呈味が向上しているが、低下している部分もあり不十分な呈味向上効果しか得られなかった。
実施例10:冷菓(みかんゼリー)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を1.0質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通りみかんゼリーを調製した。ゲル化剤2.5質量部とクエン酸Na0.1質量部を混合し水82.4質量部に分散し、そこに果糖ブドウ糖液糖12.0質量部およびゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)1.0質量部を添加して沸騰するまで攪拌加熱し、沸騰後80℃まで冷却し、うんしゅうみかん濃縮果汁1.46質量部、香料0.15質量部およびクエン酸水溶液0.34質量部を添加して更に蒸発分の水を補正し、容器に充填して80℃で30分間殺菌を行いその後急冷することで調製した。
得られたみかんゼリーは、ゲンチオビオース含有組成物を水で置き換えた比較区に比べみかんの風味が引き立ち果汁感が向上し、コクが増しており、キレも良いものであった。
実施例11:ペースト(チョコフラワーペースト)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を1.5質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通りチョコフラワーペーストを調製した。粉類(化工澱粉4.0質量部、脱脂粉乳1.0質量部、ココア2.5質量部、グラニュー糖20.6質量部)に加糖卵黄1.5質量部および卵白2.6質量部を混合し、マルトースシラップ9.5質量部、ゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)1.5質量部および牛乳45.0質量部を混合し、菜種油8.0質量部を入れてホモミキサーで攪拌し、加熱した後冷却することで調製した。
得られたチョコフラワーペーストは、ゲンチオビオース含有組成物をマルトースシラップで置き換えた比較区に比べてビター感が向上しチョコレート味が強調され、甘さの後味がすっきりしており、また食感もなめらかであった。
実施例12:ジャム(オレンジジャム)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を2.0質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通りオレンジジャムを調製した。鍋に水43.0質量部を入れ予め混合しておいたペクチン0.6質量部および砂糖2.6質量部を水に分散させ、ゆっくり攪拌しながら加熱し沸騰後2分間煮沸してペクチンを完全に溶解させ、オレンジ43.0質量部、ゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)2.0質量部およびグラニュー糖41.0質量部を加え全体が99.3質量部となるまで煮詰め、50%クエン酸溶液0.7質量部を添加混合しジャム瓶に充填し、90℃の湯煎で10分間殺菌することで調製した。
得られたオレンジジャムは、ゲンチオビオース含有組成物をグラニュー糖で置き換えた比較区に比べてオレンジの果汁感が増しており、甘さのキレも優れるものであった。
実施例13:焼き菓子(抹茶サブレ)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を1.5質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通り抹茶サブレを調製した。ミキサーボールにコンパウンドマーガリン480質量部と上白糖360質量部を入れクリーム状になるまで混ぜ合わせ、そこに卵黄80質量部および卵白33質量部を加え、更にゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)25質量部に抹茶10質量部を溶いたものを加え、粉類(薄力粉600質量部、脱脂粉乳50質量部、アーモンドプードル50質量部、ベイキングパウダー2.5質量部)を加えて混ぜ合わせた後、出来上がった生地を冷蔵庫に入れてなじませ、生地を4mmの厚さにのして型抜きし、オーブンで13〜15分程度焼成することで調製した。
得られた抹茶サブレは、ゲンチオビオース含有組成物が抹茶のほろ苦さを引き出しており、ゲンチオビオース含有組成物を上白糖で置き換えた比較区に比べて抹茶の風味が引き立てられた好ましい風味を有するものであった。
実施例14:洋菓子(オレンジキャンディ)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を4.8質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通りオレンジキャンディを調製した。グラニュー糖50質量部、マルトースシラップ45質量部およびゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)5質量部を混合し、150℃に達温するまで加熱し、その後生地を130℃まで冷却し、水に溶解したクエン酸1.8質量部、オレンジ果汁2質量部、香料0.2質量部および色素0.04質量部を添加混合し、スタンピング成型した後、放冷することで調製した。
得られたオレンジキャンディは、ゲンチオビオース含有組成物をマルトースシラップで置き換えた比較区に比べて酸味の立ちおよび甘味の立ちがいずれも良好で、オレンジ感が強く、甘味のキレも好ましいものであった。また、キャンディ調製時のハンドリングも優れていた。
実施例15:和菓子(ねり餡)への適用
ゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を1.1質量%となるように原料に添加する以外は、常法に従って下記手順の通りねり餡を調製した。水1000質量部にグラニュー糖560質量部、マルトースシラップ170質量部およびゲンチオビオース含有糖組成物(試料3−5)30質量部を混合し、製餡機にて攪拌しながら加熱して沸騰させ、沸騰後生餡1000質量部を加えブリックス60〜61となるまで約40分練ることで調製した。
得られたねり餡は、ゲンチオビオース含有組成物をマルトースシラップで置き換えた比較区に比べて甘味のキレが良く、後味がすっきりしたものであった。
実施例16:調味料(麺つゆ)への適用
市販の麺つゆにゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を0.5質量%となるよう添加し、所望の濃度となるよう水で希釈することで麺つゆを調製した。得られた麺つゆは、試料3−5を添加せずに水で希釈した比較区の麺つゆと比べ、その塩味が増強されておりトップの味が立ちおよび後味の切れが向上していた。
実施例17:ソース(カレーソース)への適用
市販のレトルトカレーにゲンチオビオース含有糖組成物として試料3−5(固形分濃度70%)を0.5質量%となるよう添加し、レトルト処理することでカレーソースを調製した。得られたカレーソースは、試料3−5未添加のカレーソースと比べオニオンソテー様のコクや味の厚みが向上し、スパイス感も増強されていた。

Claims (7)

  1. ゲンチオビオースおよびイソマルトースを含有する糖組成物であって、(A)ゲンチオビオースに対する(B)イソマルトースの割合((B)/(A)、固形分質量比率)が1.5を超え、5.9以下であり、
    グルコース、スクロース、フルクトースおよびマルトースからなる群から選択される1種または2種以上の糖質を含有し、かつ、
    グルコースを固形分当たり35〜65質量%含有するか、
    スクロースを固形分当たり18.9〜56.7質量%含有するか、
    フルクトースを固形分当たり19.3〜58.0質量%含有するか、あるいは
    マルトースを固形分当たり19.8〜59.5質量%含有する、糖組成物。
  2. グルコースを固形分当たり39.9〜59.7質量%含有する、請求項1に記載の糖組成物。
  3. ゲンチオビオースおよびイソマルトースを固形分当たり10〜50質量%で含有する、請求項1または2に記載の糖組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖組成物を有効成分とする呈味向上剤。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖組成物または請求項4に記載の呈味向上剤を含有させてなる、飲食品。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖組成物または請求項4に記載の呈味向上剤を配合することを含んでなる、飲食品の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の糖組成物を原材料に添加する、飲食品の呈味向上方法。
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