JP6180937B2 - フォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Description
[A]下記式(1)で表される構造単位(I)を有するベース重合体(以下、「[A]ベース重合体」ともいう)、
[B]撥水性重合体、及び
[C]酸発生体
を含有するフォトレジスト組成物である。
式(2−2)中、R8は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。X1は、単結合、酸素原子、−O−CO−*、−CO−O−*、又は−SO2−O−*である。*は、R9に結合する部位を示す。R9は、単結合又は炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。R10は、単結合又は炭素数4〜20の環状構造を有する2価の有機基である。R11は、単結合又は炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。但し、上記鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。X2は、酸素原子、−CO−O−**、又は−SO2−O−**である。**は、R12に結合する部位を示す。R12は、水素原子又はアルカリ解離性基である。nは、1〜3の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR10、R11、X2及びR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2−3)中、R13は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R14は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。但し、R15及びR16の両方が水素原子となる場合はない。R17は、水素原子又は酸解離性基である。)
式(4−2)中、R21は、フッ素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアシロキシ基又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは、0〜4の整数である。但し、aが2以上の場合、複数のR21は、同一でも異なっていてもよい。bは、0又は1である。
式(4−3)中、R22は、フッ素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアシロキシ基又は炭素数1〜10のアルキル基である。cは、0〜4の整数である。但し、cが2以上の場合、複数のR22は、同一でも異なっていてもよい。)
(1)本発明のフォトレジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜に液浸露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を含む。
当該フォトレジスト組成物は、[A]ベース重合体、[B]撥水性重合体及び[C]酸発生体を含有する。また、当該フォトレジスト組成物は、[D]酸拡散制御剤、[E]添加剤、[F]溶媒を含有することが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、上記以外のその他の成分を含有してもよい。以下、各成分について詳述する。
[A]ベース重合体は、上記式(1)で表される構造単位(I)を有する。[A]ベース重合体は、重合体主鎖に直結した上記特定のラクトン構造を含む構造単位(I)を有するため、当該フォトレジスト組成物において、[B]撥水性重合体と分離し易い。その結果、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜においては、[B]撥水性重合体を含む撥水性の層をより表面付近に偏在化させることができる。また、[A]ベース重合体は、構造単位(I)に加えて、酸解離性基を含む構造単位(III)及び/又はラクトン基、環状カーボネート基及びスルトン基からなる群より選択される少なくとも1種の基を含む構造単位(IV)を有することが好ましい。さらに、本発明の効果を損なわない限り、他の構造単位を有してもよい。以下、それぞれの構造単位について説明する。なお、[A]ベース重合体は、各構造単位をそれぞれ1種単独で有していてもよいし、2種以上有していてもよい。
構造単位(I)は、上記式(1)で表される。上記式(1)中、R1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基若しくは炭素数1〜20の1価の有機基であるか、又はR2及びR3が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の環構造を表す。但し、R2とR3が共にヒドロキシ基である場合はない。R4及びR5は、それぞれ独立して、水素原子若しくは炭素数1〜20の1価の有機基であるか、又はR4及びR5が互いに合わせられこれらが結合している炭素原子と共に構成される炭素数3〜20の環構造を表す。mは、1〜4の整数である。mが2以上の場合、複数のR2及びR3はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
これらのうち、R2及びR3で表される有機基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
上記R4及びR5としては、これらR4及びR5が互いに合わせられこれらが結合している炭素原子と共に構成される炭素数3〜10の環構造であることが好ましい。
[A]ベース重合体は、酸解離性基を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。[A]ベース重合体が、構造単位(III)を有することで、当該フォトレジスト組成物は、感度等の基本特性を十分満足することができる。
[A]ベース重合体は、ラクトン基、環状カーボネート基又はスルトン基を含む構造単位(IV)を有することが好ましい。[A]ベース重合体が構造単位(IV)をさらに有することで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜は、基板への密着性を向上することができる。ここで、ラクトン基とは、−O−C(O)−で表される構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する基をいう。また、環状カーボネート基とは、−O−C(O)−O−で表される構造を含むひとつの環(環状カーボネート環)を含有する基をいう。スルトン基とは、−O−SO2−で表される構造を含むひとつの環(スルトン環)を含有する基をいう。なお、ラクトン環、環状カーボネート環又はスルトン環を1つめの環として数え、ラクトン環、環状カーボネート環又はスルトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基という。
[A]ベース重合体は、本発明の効果を損なわない限り、上記構造単位(I)、(III)及び(IV)以外のその他の構造単位を有してもよい。その他の構造単位としては、例えば極性基を含む構造単位(V)等が挙げられる。[A]ベース重合体が構造単位(V)をさらに有することで、[A]ベース重合体と他の成分との相溶性が向上するため、当該フォトレジスト組成物は、リソグラフィー性能をより優れたものとすることができる。
[A]ベース重合体は、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。例えば、単量体及びラジカル開始剤を含有する溶液を、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、単量体を含有する溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法、各々の単量体を含有する複数種の溶液と、ラジカル開始剤を含有する溶液とを各別に、反応溶媒又は単量体を含有する溶液に滴下して重合反応させる方法等の方法で合成することが好ましい。
当該フォトレジスト組成物は、[A]ベース重合体と共に[B]撥水性重合体を必須成分として含有する。当該フォトレジスト組成物が[B]撥水性重合体を含有することで、形成されるレジスト膜は撥水性を有することができる。ここで、レジスト膜における撥水性とは、水に対する後退接触角が70°以上となる性質をいう。また、[B]撥水性重合体は、フッ素原子を含む重合体であることが好ましく、その重合体の主鎖、側鎖、又は主鎖及び側鎖にフッ素原子を有する重合体であるとよい。[B]撥水性重合体により、レジスト膜の表面付近に撥水性の層が形成されため、[C]酸発生剤や[D]酸拡散制御剤等の液浸露光用液体への溶出を抑制し、またレジスト膜と液浸露光用液体との後退接触角の向上により、液浸露光用液体に由来する水滴が、レジスト膜上に残り難く液浸露光用液体に起因する欠陥の発生を抑制することができる。
構造単位(II)は、上記式(2−1)で表される構造単位(II−1)、式(2−2)で表される構造単位(II−2)及び式(2−3)で表される構造単位(II−3)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位であり、好ましくはフッ素原子を含む。
構造単位(II−1)は、上記式(2−1)で表される。[B]撥水性重合体が上記特定構造の構造単位(II−1)を有することで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜は、撥水性を十分満足することができる。
構造単位(II−2)は、上記式(2−2)で表される。[B]撥水性重合体が、上記式(2−2)で表されるようなアルカリ解離性基を含む構造単位又はフッ素化アルコールの構造を含む構造単位を有することで、当該フォトレジスト組成物から形成されるレジスト膜は、アルカリ現像液に対する親和性を向上させることができる。その結果、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生を抑制することができる。
構造単位(II−3)は、上記式(2−3)で表される。[B]撥水性重合体は、酸解離性基を含む上記特定構造の構造単位(II−3)を有することで、レジスト膜の露光部で発生した酸の作用により極性基を生じ、現像液への溶解性を向上させることができる。その結果、当該フォトレジスト組成物は、ブロッブ欠陥等の現像欠陥の発生を抑制することができる。
[B]撥水性重合体は、構造単位(III)をさらに有することで、当該フォトレジスト組成物の感度により優れる。なお、構造単位(III)については、[A]ベース重合体が有する構造単位(III)についての説明を適用できる。
[C]酸発生体は、レジストパターン形成の一工程である露光工程において、マスクを通過した光によって酸を発生する化合物である。当該フォトレジスト組成物における[C]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の態様(以下、この態様を「[C]酸発生剤」ともいう)でも、重合体の一部として組み込まれた態様でも、これらの両方の態様でもよい。
[D]酸拡散制御体は、露光により[C]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、未露光部における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する成分である。フォトレジスト組成物が[D]酸拡散制御体を含有することで、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像性がさらに向上する。また、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。なお、[D]酸拡散制御体の本発明におけるフォトレジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[D]酸拡散制御剤」ともいうこともある)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
当該フォトレジスト組成物は、液浸露光法を使用しレジストパターンを形成する場合等に、[E]添加剤を配合することができる。当該フォトレジスト組成物が含有してもよい[E]添加剤としては、[B]撥水性重合体の偏在化を促進させる成分が好ましい。[E]添加剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート等が挙げられる。これらのうち、ラクトンが好ましく、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
当該フォトレジスト組成物は通常[F]溶媒を含有する。[F]溶媒は少なくとも[A]ベース重合体及び[B]撥水性重合体、好適成分である[C]酸発生体及び[D]酸拡散制御体、並びにその他の任意成分を溶解できれば特に限定されない。[F]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
当該フォトレジスト組成物は、その他の任意成分として、界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を含有できる。なお、上記フォトレジスト組成物は、上記その他の任意成分をそれぞれ1種のみ含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。
界面活性剤は、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物の塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。
脂環式骨格含有化合物は、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物のドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
増感剤は、[C]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該レジストパターン形成方法に用いられるフォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
当該フォトレジスト組成物は、例えば[F]溶媒中で[A]ベース重合体、[B]撥水性重合体、[C]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより調製できる。また、当該フォトレジスト組成物は、適当な[F]溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用され得る。
本発明のフォトレジスト組成物を用いたレジストパターンの形成方法について、以下に説明する。
(1)本発明のフォトレジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程(以下、「工程(1)」ともいう)、
(2)上記レジスト膜に液浸露光する工程(以下、「工程(2)」ともいう)、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう)
を有する。
本工程では、当該フォトレジスト組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって、シリコンウエハー、二酸化シリコン、反射防止膜で被覆されたウエハー等の基板上に所定の膜厚となるよう塗布し、場合によっては通常70℃〜160℃程度の温度でプレベーク(PB)することにより塗膜中の溶媒を揮発させレジスト膜を形成する。
本工程では、工程(1)で形成されたレジスト膜に水等の液浸媒体を介して、放射線を照射し露光させる。なお、この際所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射する。放射線としては、目的とするパターンの線幅に応じて可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線、EUV等から適宜選択して照射する。これらのうち、ArFエキシマレーザー光(波長193nm)、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)に代表される遠紫外線が好ましく、EUV(極紫外線、波長13.5nm)等のより微細なパターンを形成可能な光源であっても好適に使用できる。次いで、ポストエクスポージャーベーク(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、[A]ベース重合体等が有する酸解離性基の脱離を円滑に進行させることが可能となる。PEBの加熱条件は、フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選定することができるが、通常50℃〜180℃程度である。
本工程は、露光されたレジスト膜を、現像液で現像することによりレジストパターンを形成する工程である。現像後は、水で洗浄し、乾燥することが一般的である。現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が好ましい。
東ソー社製GPCカラム(G2000HXL2本、G3000HXL1本、G4000HXL1本)を用い、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)はMw及びMnの測定結果より算出した。
13C−NMR分析は、JNM−EX270(日本電子社製)を用いて測定した。
[A]ベース重合体、及び後述する[B]撥水性重合体の合成に用いた単量体化合物を以下に示す。
滴下漏斗及びコンデンサーを備え乾燥させた1Lの三口反応器に、亜鉛粉末(Aldrich社製 粒子径150μm以下)13.1g(200mmol)を添加し、アルゴン雰囲気にした後、テトラヒドロフラン(THF)240mLを加えマグネチックスターラーで攪拌しながら、クロロトリメチルシラン1.9mL(15mmol)を加え、20〜25℃で30分間撹拌した。そこへ、2−メチルテトラヒドロフラン−3−オン20.0g(200mmol)をTHF40mLに溶解させた溶液を添加した。次に、エチル(2−ブロモメチル)アクリレート34.8g(180mmol)のTHF50mL溶液を滴下した。滴下後、室温で2時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにより反応終了を確認した後、塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを加え分液した。得られた有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した。その後、有機層を乾燥後減圧濃縮した。その後減圧蒸留を行い、透明油状物として6−メチル−3−メチレン−1,7−ジオキサスピロ[4.4]ノナン−2−オン(上記式(Ss−1)で表される化合物(Ss−1))20.4g(収率67%、純度99%)を得た。
(Ss−2−A)の合成
20Lの反応器に、1,4−シクロヘキサンジオール1,004g(8.64mol)を添加し、そこへTHFを4,320mLを加え、メカニカルスターラーで攪拌した。反応器にp−トルエンスルホン酸ピリジニウム21.71g(86.39mmol)、続いて3,4−ジヒドロ−2H−ピラン726.73g(8.64mol)を加え室温にて12時間反応させた。その後、トリエチルアミン17.28g(170.77mmol)を加えて反応を停止させ、濃縮した。濃縮液をヘキサンと水で分液し、得られた水層にNaClを飽和するまで加えた後、塩化メチレンにて抽出した。得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、下記式(Ss−2−A)で表される化合物(Ss−2−A)を737g(3.68mol、収率43%)得た。
1H−NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン)δ:1.24−1.91(m、13H)、1.94−2.05(m、2H)、3.45−3.53(m、1H)、3.59−3.70(m、1H)、3.71−3.78(m、1H)、3.87−3.95(m、1H)、4.67−4.71(m、1H)
5Lの三口反応器に、上記で得られた(Ss−2−A)300g(1.5mol)を添加し、そこへ塩化メチレン1,200mL、2−アザアダマンタン−N−オキシル0.228g(1.5mmol)、臭化カリウム17.85g(150mmol)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液450mLを順次添加し、メカニカルスターラーで攪拌した。反応器を0℃に冷却し、7%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1913gと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液450mLを混合した溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後0℃にて30分攪拌後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液100mL加えて反応を停止させ分液した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮することにより、下記式(Ss−2−B)で表される化合物(Ss−2−B)を214g(1.07mol、収率71%)得た。
1H−NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン)δ:1.51−2.16(m、10H)、2.22−2.35(m、2H)、2.50−2.69(m、2H)、3.49−3.56(m、1H)、3.88−3.95(m、1H)、4.05−4.11(m、1H)、4.74−4.78(m、1H)
1H−NMR(測定溶媒:重クロロホルム,基準物質:テトラメチルシラン)δ:1.51−2.17(m、14H)、2.72(dt、J=8.8、2.8Hz、2H)、3.52−3.47(m、1H)、3.67−3.75(m、1H)、3.85−3.95(m、1H)、4.65(t、J=3.6Hz、0.5H)、4.73(t、J=3.6Hz、0.5H)、5.60−5.64(m、1H)、6.22−6.26(m、1H)
構造単位(I)を与える化合物(Ss−1)20g(20モル%)、構造単位(III)を与える化合物(M−1)20g(50モル%)、及び構造単位(IV)を与える化合物(M−5)13.93g(30モル%)を80gの2−ブタノンに溶解し、AIBN3.4g(10モル%)を添加して単量体溶液を調製した。40gの2−ブタノンを入れた200mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。800gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を160gのメタノールで2回洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末状の重合体成分(A−1)を得た(30g、収率75%)。得られた重合体(A−1)のMwは4,250であり、Mw/Mnは1.4であった。また、13C−NMR分析の結果、重合体中の化合物(Ss−1)、化合物(M−1)及び化合物(M−5)に由来する構造単位の含有率は、18:49:33(モル%)であった。
表1に記載の単量体と開始剤を所定量配合した以外は、合成例3と同様に操作して重合体成分(A−2)〜(A−4)及び(a−1)〜(a−3)を得た。また、得られた各重合体のMw、Mw/Mn及び各重合体における各単量体に由来する構造単位の含有率を合わせて表1に示す。なお、表1中の「MAIB」は、ジメチル−2,2’−アゾビス(イソブチレート)を示す。
[合成例10]
構造単位(III)を与える化合物(M−1)7.17g(70モル%)及び構造単位(II)を与える化合物(M−6)2.83g(30モル%)を、2−ブタノン10gに溶解し、更に2,2’−アゾビス(2−イソブチロニトリル)0.08gを100mLの三口フラスコに投入した。30分窒素パージした後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、過熱開始を重合開始時間として、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液を水冷することにより30℃以下に冷却し、エバポレーターにて重合溶液の質量が12.5gになるまで減圧濃縮した。重合液を0℃に冷却したn−ヘキサン75gへゆっくり投入し、固形分を析出させた。混合液を濾過し、固形分をn−ヘキサンで洗浄し、得られた粉体を40℃で15時間真空乾燥し、白色の粉体(重合体(B−1))を8g(収率80%)得た。得られた重合体(B−1)のMwは4,800であり、Mw/Mnは1.4であり、重合体中の化合物(M−1)及び化合物(M−6)に由来する構造単位の含有率は、69:32(モル%)であった。
表2に記載の単量体を所定量配合した以外は、合成例10と同様に操作して重合体(B−2)及び(B−3)を得た。また、得られた各重合体のMw、Mw/Mn及び各重合体における各単量体に由来する構造単位の含有率を合わせて表2に示す。
以下、実施例及び比較例の調製に用いた各成分の詳細を示す。
C−1〜C−4:下記式で表される化合物
D−1〜D−4:下記式で表される化合物
E−1:γ−ブチロラクトン
F−1:酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル
F−2:シクロヘキサノン
[A]ベース重合体としての重合体(A−1)100質量部、[B]撥水性重合体としての重合体(B−1)3質量部、[C]酸発生剤としての化合物(C−1)11質量部、[D]酸拡散制御剤としての化合物(D−3)5質量部、[E]添加剤としての化合物(E−1)30質量部、並びに溶媒(F−1)2,600質量部及び(F−2)1,100質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.2μmのフィルターでろ過して、フォトレジスト組成物を調製した。
表3に示す種類、配合量の各成分を使用したこと以外は、実施例1と同様に操作して各フォトレジスト組成物を調製した。
各フォトレジスト組成物を用いて、下記の特性を評価した。評価結果を表3に合わせて示す。
下層反射防止膜(ARC66、日産化学社)を形成した12インチシリコンウェハ上に、各フォトレジスト組成物によって膜厚750nmのレジスト膜を形成し、表3に示す温度で60秒間PBを行った。次に、このレジスト膜についてArFエキシマレーザー液浸露光装置(NIKON社、NSR S610C)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、ターゲットサイズが幅45nmのラインアンドスペース(1L/1S)のマスクパターンを介して露光した。露光後、表3に示す温度で60秒間PEBを行った。その後、クリーントラックLithius Pro(東京エレクトロン社製)現像装置のGPノズルによって2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により10秒間現像し、15秒間純水によりリンスし、2,000rpmで液振り切り乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、幅45nmの1L/1Sを形成する露光量を最適露光量とした。この最適露光量にてウェハ全面に線幅45nmの1L/1Sを形成し、欠陥検査用ウェハとした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(CG−4000、日立ハイテクノロジーズ社)を用いた。その後、欠陥検査用ウェハ上の欠陥数を、KLA2810(KLA−Tencor社)を用いて測定した。更に、KLA2810(KLA−Tencor社)にて測定された欠陥を、レジスト膜由来と判断されるものと外部由来の異物とに分類した。分類後、レジスト膜由来と判断される欠陥数の合計が35個/wafer未満であった場合を「良好」、35個/wafer以上50個/wafer未満であった場合を「やや良好」、50個/wafer以上の場合を「不良」と評価した。
Claims (7)
- [A]下記式(1)で表される構造単位(I)を有するベース重合体、
[B]撥水性重合体、及び
[C]酸発生体
を含有し、
[B]撥水性重合体が、フッ素原子を含む重合体であるフォトレジスト組成物(但し、下記式(I)で表される化合物を含有するものを除く)。
- [A]下記式(1)で表される構造単位(I)を有するベース重合体、
[B]撥水性重合体、及び
[C]酸発生体
を含有し、
[B]撥水性重合体が、フッ素原子を含む重合体であるフォトレジスト組成物。
- [B]撥水性重合体が、下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)、式(2−2)で表される構造単位(II−2)及び式(2−3)で表される構造単位(II−3)からなる群より選択される少なくとも1種の構造単位を有する請求項1又は請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
式(2−2)中、R8は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。X1は、単結合、酸素原子、−O−CO−*、−CO−O−*、又は−SO2−O−*である。*は、R9に結合する部位を示す。R9は、単結合又は炭素数1〜20の(n+1)価の炭化水素基である。R10は、単結合又は炭素数4〜20の環状構造を有する2価の有機基である。R11は、単結合又は炭素数1〜20の2価の鎖状炭化水素基である。但し、上記鎖状炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、フッ素原子で置換されていてもよい。X2は、酸素原子、−CO−O−**、又は−SO2−O−**である。**は、R12に結合する部位を示す。R12は、水素原子又はアルカリ解離性基である。nは、1〜3の整数である。但し、nが2以上の場合、複数のR10、R11、X2及びR12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
式(2−3)中、R13は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R14は、炭素数1〜20の2価の炭化水素基である。R15及びR16は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜20のフッ素化アルキル基である。但し、R15及びR16の両方が水素原子となる場合はない。R17は、水素原子又は酸解離性基である。) - [B]撥水性重合体が構造単位(II−2)を有し、上記式(2−2)のX2が−CO−O−**であり、かつR12が下記式(4−1)、(4−2)又は(4−3)で表されるアルカリ解離性基である請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
式(4−2)中、R21は、フッ素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアシロキシ基又は炭素数1〜10のアルキル基である。aは、0〜4の整数である。但し、aが2以上の場合、複数のR21は、同一でも異なっていてもよい。bは、0又は1である。
式(4−3)中、R22は、フッ素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜10のアシロキシ基又は炭素数1〜10のアルキル基である。cは、0〜4の整数である。但し、cが2以上の場合、複数のR22は、同一でも異なっていてもよい。) - (1)請求項1に記載のフォトレジスト組成物を用いて、基板上にレジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜に液浸露光する工程、及び
(3)上記露光されたレジスト膜を現像する工程
を含むレジストパターン形成方法。
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