JP6180878B2 - 発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置および内部ケーシング下半吊り上げ方法 - Google Patents

発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置および内部ケーシング下半吊り上げ方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、発電プラントにおける蒸気タービンの取替に際して内部ケーシング下半を天井クレーンで吊り上げるために使用される内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置に関する。
発電プラントにおける蒸気タービンのうち、低圧タービンは、外部ケーシングと内部ケーシングとの2重構造になっている。そして外部ケーシング、内部ケーシングは上下分割構造になっている。
図7において、低圧タービン15を取り替える場合、廃却するタービンの分解は天井クレーン(図示せず)を使用し、外部ケーシング上半1を吊り上げた後、内部ケーシング上半2、ノズルダイヤフラム上半3、ロータ4、ノズルダイヤフラム下半5、内部ケーシング下半6の順で行う。
一方、新製する蒸気タービンを据え付ける場合は、撤去の手順とは逆に、内部ケーシング下半6、ノズルダイヤフラム下半5、ロータ4、ノズルダイヤフラム上半3、内部ケーシング上半2、外部ケーシング上半1の順に据え付けていく。
内部ケーシング下半6は大型の金属板を半円状に曲げ、その板の内側に曲げ方向およびその垂直方向に多数の補強板を取り付けた構造となっており、横置き円筒型で上下2分割の構造をなし、分割面は水平フランジのボルト締めとなっている。据え付け時は水平フランジ面が上となるように据え付ける。
発電プラントにおける蒸気タービン取り替えにおいて、内部ケーシング下半6を据え付ける際には、内部ケーシング下半6をタービン建屋に搬入した後、タービン建屋内の天井クレーンにより吊り上げ、大物搬入口から内部ケーシング下半6の据付位置まで移動することとなる。このような蒸気タービンの取替工法に関する従来技術としては、例えば、特許文献1、2を挙げることができる。
従来、内部ケーシング下半6を吊り上げるには、内部ケーシング下半6の最外部かつ上部に位置するトラニオンや水平締付ボルト孔に設置した吊り上げボルトを用い、計4点で吊り上げる。
内部ケーシング下半6の内部にはノズルダイヤフラム下半5が規則的な間隔で10数枚嵌る構造となっている。また内部ケーシング下半6に組み込んだノズルダイヤフラム下半同士の隙間にはノズルダイヤフラム下半5を据え付けた後に据え付けることとなるロータの羽根がその隙間に完全に入り込むことになる。
内部ケーシング下半6は、大型重量物である。ワイヤ8を使用して4点で内部ケーシング下半6を吊り上げる場合、内部ケーシング下半6自体が大型であること、また内部ケーシング下半6の内面に吊り上げボルトなどを設置できないことから、図8に示すように、吊り点位置の間隔Aが大きくなる。このため、天井クレーン7aでの吊りワイヤ8のなす角度θも大きくなる。
天井クレーン7aでの吊りワイヤ8の角度θが大きくなると、その分だけ吊りワイヤ8にかかる張力の水平方向成分が大きくなり、結果的に吊りワイヤ8にかかる張力が大きくなる。
また、内部ケーシング下半6に取り付けるトラニオン9や吊り上げボルトなどの構造においても、吊りワイヤ角度θが大きくなると、内部ケーシング下半6の重量および吊りワイヤ8の水平方向成分の合力に耐えうる強度設計が必要となる。
このようなことから、内部ケーシング下半6を吊り上げる際には、天井クレーン7aでの吊りワイヤ8の角度θはできるだけ小さくして、吊りワイヤ8や吊り上げボルト9にかかる力をできるだけ小さくして吊り上げる必要がある。この結果、従来は天井クレーン7aのフック7から内部ケーシング下半6の吊り上げ点までの鉛直方向の距離Hを長くとることになる。
ところで、内部ケーシング下半6の取り替え工事では、内部ケーシング下半6の下部に抽気エキスパンション10を取り付けた状態で吊り上げて搬入することがある。これは次のような理由による。
ここで、図9は、内部ケーシング下半6の下部に設置されている復水器13内の構成の概要を示す。復水器13の内部においては、内部ケーシング下半6の下部には、抽気エキスパンション10を介して抽気管11が接続されており、この抽気管11の先は給水加熱器12に通じている。
低圧タービン15を新しい内部ケーシングに取り替える場合、既設の抽気管11の位置と製作誤差上ずれが発生するため、内部ケーシング取り替えと同時に抽気エキスパンション10を交換することが一般的である。
内部ケーシング下半6を取り替えるためには、復水器13の中にある抽気管11を切断して古い内部ケーシング下半6を搬出する。そして、新しい内部ケーシング下半6を搬入後、抽気管11を接続する必要がある。
抽気管11は、内部ケーシング1台につき10数本接続されており、抽気管11同士の間隔は狭く、また抽気管11の回りには外部ケーシングのリブなどが複雑に錯綜している。このため、抽気管11の切断、接続の作業性は悪く、抽気管11の切断、接続作業には時間を要することになる。
そこで、抽気管11の切断、接続工事の工期を短縮するために、近年では、タービン建屋搬入前に内部ケーシング下半6に抽気エキスパンション10を取り付けておき、抽気エキスパンション10と一体で内部ケーシング下半6を据え付ける工法が採用されている。この工法によれば、内部ケーシング下半6と抽気エキスパンション10との切断位置、溶接位置を1本の抽気管11について2箇所から1箇所に減らすことができるので、その分工事期間を短縮することができるようになる。
特開2001−3709号公報 特開2011−47287号公報
しかしながら、蒸気タービンの取替工事において、新しい内部ケーシング下半を据え付ける工程では、タービン建屋内に内部ケーシング下半を搬入した後、天井クレーンを使用して内部ケーシング下半を据付位置まで移動させることになる。
タービン建屋内のオペーレーティングフロア上では、低圧タービンの据付位置回りには、発電機や湿分電離器等の機器が設置されている。内部ケーシング下半を天井クレーンで吊り上げて移動する際には、これらの機器に吊り上げた内部ケーシング下半が干渉しないように移動する必要がある。
これは蒸気タービン取替工事に特有の問題であり、新規に発電プラントを建設する時にはない問題である。新規建設時に、内部ケーシング下半を据え付ける際に、あらかじめ干渉が想定される機器は、内部ケーシング下半を据え付けた後に据え付けるというように、機器を据え付ける順序を変更することで、干渉を容易に回避できるからである。
これに対して、蒸気タービンの取替工事では、吊り上げた内部ケーシング下半が既設の機器と干渉することが避けられず、しかもその機器を撤去することも困難な場合には、それが故に蒸気タービン取替の工事計画や設計計画を見直さなければならなくなる。
とりわけ、図8に示したように、内部ケーシング下半6に抽気エキスパンション10を取り付けた状態のまま吊り上げて移動する場合には、もともと天井クレーン7aのフック7から内部ケーシング下半6の吊り上げ点までの鉛直方向の距離Hを長くとっていた上に、抽気エキスパンション10の長さも加わるので、内部ケーシング下半6の高さ方向の寸法がさらに長くなる。このため、移動する際に発電機や湿分分離器等の機器の上部を超えられずに、工事計画の大きな制約となることがある。
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであって、内部ケーシング下半を天井クレーンで吊り上げるときに、天井クレーンのフックから内部ケーシングの吊り位置までの鉛直方向の距離をできるだけ短くし、発電機や湿分分離器等の機器との干渉を回避できるようにする蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置および内部ケーシング下半の吊り上げ方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、発電プラントに設置された既設の蒸気タービンを新製する蒸気タービンに取り替える工事において、前記蒸気タービンの横置き円筒形の内部ケーシングを軸方向に上下二分割したうち内部ケーシング下半を、タービン建屋の天井に設置された天井クレーンで吊り上げるために吊りワイヤを掛けるのに利用する玉掛け装置であって、前記内部ケーシング下半の水平フランジ面のボルト孔に対応して形成された取り付けボルト用のボルト孔を有し、前記水平フランジ面に前記取り付けボルトで締結される板状構造の吊りプレートを備え、吊りワイヤが接続される吊りボルトを、前記吊りプレートの上面であって前記取り付けボルト用のボルト孔の配列の内側に、少なくとも方形の頂点4箇所に配置したことを特徴とするものである。
また、本発明は、発電プラントに設置された既設の蒸気タービンを新製する蒸気タービンに取り替える工事において、前記蒸気タービンの横置き円筒形の内部ケーシングを軸方向に上下二分割したうち内部ケーシング下半を、タービン建屋の天井に設置された天井クレーンで吊り上げる方法であって、前記内部ケーシング下半の水平フランジ面のボルト孔に対応して形成された取り付けボルト用のボルト孔を有し、水平フランジ面に前記取り付けボルトで締結される板状構造の吊りプレートを用い、前記吊りプレート上面であって前記取り付けボルト用のボルト孔の配列の内側に、少なくとも方形の頂点4箇所に吊りワイヤが接続される吊りボルトを配置した当該吊りプレートを前記内部ケーシング下半に取り付け、前記天井クレーンのフックと前記各吊りボルトの間に吊りワイヤを玉掛けして4点吊りすることを特徴とするものである。
本発明によれば、内部ケーシング下半を天井クレーンで吊り上げるときに、天井クレーンのフックから内部ケーシングの吊り上げ位置までの鉛直方向の距離を短くすることができる。
本発明の第1実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を用いて内部ケーシング下半を吊り上げた状態を示す正面図である。 本発明の第1実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を示す斜視図である。 本発明の第1実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を用いて内部ケーシング下半を吊り上げたときの作用の説明に供する正面図である。 本発明の第2実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を用いて内部ケーシング下半を吊り上げた状態を示す正面図である。 本発明の第3実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態による吊り上げ用玉掛け装置を用いて内部ケーシング下半を吊り上げた状態を示す正面図である。 低圧タービンを取り替える作業における吊り順序を示す斜視図である。 内部ケーシング下半を吊り上げる従来の方法を示す正面図である。 内部ケーシング下半の下部に設置されている復水器の概要図である。
以下、本発明による蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1において、参照番号6は、発電プラントにおける蒸気タービンのうち、低圧タービンの内部ケーシング下半を示す。内部ケーシングは、上下2分割の構造になっており、内部ケーシング下半6と、図示しない内部ケーシング上半とで対をなして横置き円筒型の内部ケーシングを構成している。
この実施形態では、内部ケーシング下半6を天井クレーンで吊り上げるに当たって、図8で示したように、トラニオン9をワイヤ4点吊りの吊り位置として、各トラニオン9と天井クレーン7aのフック7に吊りワイヤ8を掛けて吊り上げるのではなく、次のような構成の専用の玉掛け装置を利用して吊り上げるようにしている。
図1並びに図2において、参照番号20は、本実施形態による玉掛け装置を示す。この玉掛け装置20は、方形板状で剛性のある厚い鉄製の吊りプレート22を含む。この吊りプレート22は、内部ケーシング下半6の幅に対応した幅方向の長さを有している。図2に示されるように、吊りプレート22の外周部には、ボルト孔23が内部ケーシング下半6の水平フランジ面14のボルト孔に対応するように配列されている。吊りプレート22は、これらのボルト孔23から締め込まれる図示しないボルトを用いて水平フランジ面14に締結される。
図2に示されるように、吊りプレート22の上面には、U字形の吊りボルト24a乃至24dが4箇所に取り付けられている。これらの吊りボルト24a乃至24dは、吊りプレート22の中央部において方形の対角線上に配置されている。
天井クレーン7aのフック7には吊りワイヤ8が掛けられている。吊りワイヤ8の下端は各吊りボルト24a乃至24dに接続され、内部ケーシング下半6は、吊りプレート22と一体で4点吊りによって吊り上げられるようになっている。
このような吊りボルト24a乃至24dの取り付け位置は、好ましくは、次のように設定することが好ましい。
吊りプレート22を内部ケーシング下半6に取り付けた状態では、吊りプレート22の長さ方向の中心線を基準にすると、吊りプレート22の長さ方向は内部ケーシング下半6の軸方向に平行である。吊りプレート22の幅方向は、内部ケーシング下半6の半径方向に平行である。
4つある吊りボルト24a乃至24dのうち、図2において中心線の左側でボルト孔23の配列の内側に吊りボルト24a、24bが配置されている。同様に中心線の右側にはボルト孔23の配列の内側に吊りボルト24c、24dが配置されている。
この場合、吊りボルト24aと吊りボルト24d、吊りボルト24bと吊りボルト24cの間隔は等しくなっており、図3において、この間隔は内部ケーシング下半6の直径方向の吊り位置の間隔Aである。
この実施形態では、吊りボルト24aと吊りボルト24d、吊りボルト24bと吊りボルト24cの設置位置を中心線側に寄った位置に設定することで、内部ケーシング下半6の直径方向の吊り位置の間隔Aを、吊り上げたときのバランス、安定性等を勘案しながら可能な範囲で短くするようにしている。
なお、吊りボルト24aと吊りボルト24bの間隔と、吊りボルト24cと吊りボルト24dの間隔は、内部ケーシング下半6の軸方向の吊り位置間隔である。この軸方向の吊り位置間隔についても、同様に内部ケーシング下半6を吊り上げたときのバランス、安定性等を勘案しながら可能な範囲で短くすることが好ましい。
本実施形態による玉掛け装置は、以上のように構成されるものであり、次に、その作用並びに効果について説明する。
図3に示されるように、内部ケーシング下半6に本実施形態の吊りプレート22を取り付け、天井クレーン7aのフック7と各吊りボルト24a乃至24dに吊りワイヤ8を玉掛けして、4点吊りで内部ケーシング下半6を吊り上げる。
このようにして内部ケーシング下半6を吊り上げた状態で、吊りボルト24a、24cに掛けられた吊りワイヤ8がなす角度をθとし、この角度θを内部ケーシング下半6の直径方向での吊りワイヤ角度と呼ぶことにする。
大型でかつ非常に重量のある内部ケーシング下半6を安全に吊り上げる場合、吊りワイヤ角度θは、内部ケーシング下半6の重量や、使用する吊りワイヤ8の強度や各吊りボルト24a乃至24dの強度等の諸条件に基づいて、適当な角度に設定される。このような吊りワイヤ角度θに対応して、吊りボルト24a乃至24dの設置位置も決まることになる。
内部ケーシング下半6を安全に吊り上げるのに必要な吊りワイヤ角度θが所定の角度に設定されており、吊りワイヤ角度θが変わらない場合、内部ケーシング下半6の直径方向の吊り位置間隔Aが大きいと、天井クレーン7aのフック7から吊りボルト24a乃至24dまでの鉛直方向の距離、すなわち吊り上げ距離Hは大きくなり、逆に吊り位置間隔Aが小さいと、吊り上げ距離Hは小さくなる。したがって、内部ケーシング下半6の直径方向の吊り位置間隔Aを小さくした分だけ、天井クレーン7aのフック7から吊り位置までの吊り上げ距離Hを小さくすることができる。
本実施形態のように、内部ケーシング下半6に吊りプレート22を固定し、この吊りプレート22の上面に吊りボルト24a乃至24dを取り付けているため、吊りボルト24a、24d、吊りボルト24b、24cの間隔、すなわち吊り位置間隔Aを小さくできるので、吊り上げ距離Hを図8に示した従来の吊り上げ方に較べて大幅に小さくすることができる。
吊り上げ距離Hが小さくなることは、図1に示されるように、内部ケーシング下半6をより高い位置に吊り上げることが可能になることを意味するので、内部ケーシング下半6を天井クレーン7aで吊って据付位置まで移動する際に、発電機などの他の機器との干渉を未然に防ぐことが可能になる。
とりわけ、本実施形態のように、内部ケーシング下半6に抽気エキスパンション10を取り付けた状態で搬入する場合には、抽気エキスパンション10が発電機などの機器を乗り越えられる高さまで内部ケーシング下半6を吊り上げることができるようになる。
また、内部ケーシング下半6を天井クレーン7aで吊り上げるに当たって、図8で示した従来の吊り上げ方法のように、内部ケーシング下半6の水平フランジ部に取り付けてあるトラニオン9に吊りワイヤ8を掛けて吊り上げる場合には、内部ケーシング下半6に曲げの力がかかり変形する懸念があった。
これに対して、本実施形態によれば、内部ケーシング下半6に固定した吊りプレート22に吊りボルト24a乃至24dを取り付けているため、内部ケーシング下半6の半径方向の吊り位置間隔Aを小さくできるため、内部ケーシング下半6の変形を抑制することができる。なお、吊りプレート22自体の変形が懸念される場合には、吊りプレート22を厚くしたりリブを形成し剛性を高められるので問題はない。
なお、第1実施形態において、吊りボルトは方形の頂点4箇所に配置した例を示したが、5つ以上配置してその4箇所以上にワイヤ8を掛けて吊り上げることも可能である。
第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。
この第2実施形態は、内部ケーシング下半6の水平フランジ面14に吊りプレート22が固定される点は第1実施形態と同様である。これに加えて、吊りプレート22の下面には、吊りボルト24a乃至24dを取り付けるための吊りボルト取付け部30が一体的に設けられている。
この実施形態では、吊りボルト取付け部30は、内部ケーシング下半6の内径部に全体を収容可能なように半円筒形に凹んだ形状を有している。吊りボルト取付け部30の底面32には、吊りボルト24a乃至24dが取り付けられている。吊りプレート22では、吊りボルト取付部3の上は開口になっている。
この第2実施形態のように、吊りプレート22の下面に一体に設けた吊りボルト取付部30に吊りボルト24a乃至24dを取り付けているため、吊りボルト24a、24d、吊りボルト24b、24cの間隔、すなわち内部ケーシング下半6の直径方向の吊り位置間隔Aを小さくすることができ、吊り上げ距離Hを従来の吊り上げ方に較べて大幅に小さくすることができる。
しかも、吊り上げ距離Hが小さくなるだけでなく、吊り上げ距離の基準となる吊りボルト24a乃至24dの設置位置を、吊りプレート22の上面よりも下の位置、すなわち内部ケーシング下半6内部のより下位の位置に設定することができる。
これによって、第2実施形態では、内部ケーシング下半6を第1実施形態に較べてもより高い位置に吊り上げることが可能になるので、内部ケーシング下半6を天井クレーン7aで吊って据付位置まで移動する際に、発電機などの他の機器との干渉を未然に防ぐことが可能になる。
とりわけ、内部ケーシング下半6に抽気エキスパンション10を取り付けた状態で搬入する場合には、抽気エキスパンション10が発電機などの機器を余裕をもって乗り越えられる高さまで内部ケーシング下半6を吊り上げることができるようになる。
第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について、図5、図6を参照して説明する。
これまで説明してきた第1実施形態並びに第2実施形態では、内部ケーシング下半6を高く吊り上げられるように、直径方向の吊り位置間隔Aを小さく設定していた。このような吊り方をすると、他方で、内部ケーシング下半6のバランスが安定せず、水平な姿勢で吊り上げることが難しくなり、据え付けることが困難になる可能性が想定される。
そこで、この第3実施形態では、内部ケーシング下半6を安定した水平な姿勢で吊り上げられるように、バランスウェイト36を吊りプレート22の上面に取り付けられるようにしている。
このバランスウェイト36は、吊りプレート22に配列しているボルト孔23にねじ込んで着脱可能に取り付けられるようになっている。このため、内部ケーシング下半6を吊り上げたときに傾いてバランスのくずれている方の位置に適宜バランスウェイト36を取り付けることによって、内部ケーシング下半6のバランスを容易に取ることが可能になる。
以上のように第3実施形態によれば、第1実施形態並びに第2実施形態と同様に、内部ケーシング下半6を据付位置まで移動する際に、高く吊り上げられるので他の機器との干渉を防ぐことができる上に、内部ケーシング下半6の水平バランスをとって水平な姿勢で移動することができるので、内部ケーシング下半6の据付作業を容易に行うことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例示として挙げたもので、発明の範囲の制限を意図するものではない。もちろん、明細書に記載された新規な装置、方法およびシステムは、様々な形態で実施され得るものであり、さらに、本発明の主旨から逸脱しない範囲において、種々の省略、置換、変更が可能である。請求項およびそれらの均等物の範囲は、発明の主旨の範囲内で実施形態あるいはその改良物をカバーすることを意図している。
6…内部ケーシング下半、7…フック、8…吊りワイヤ、9…トラニオン、10…抽気エキスパンション、14…水平フランジ面、15…低圧タービン、20…玉掛け装置、22…吊りプレート、23…ボルト孔、24a〜24d…吊りボルト、30…吊りボルト取付部、36…バランスウェイト

Claims (7)

  1. 発電プラントに設置された既設の蒸気タービンを新製する蒸気タービンに取り替える工事において、前記蒸気タービンの横置き円筒形の内部ケーシングを軸方向に上下二分割したうち内部ケーシング下半を、タービン建屋の天井に設置された天井クレーンで吊り上げるために吊りワイヤを掛けるのに利用する玉掛け装置であって、
    前記内部ケーシング下半の水平フランジ面のボルト孔に対応して形成された取り付けボルト用のボルト孔を有し、前記水平フランジ面に前記取り付けボルトで締結される板状構造の吊りプレートを備え、
    吊りワイヤが接続される吊りボルトを、前記吊りプレートの上面であって前記取り付けボルト用のボルト孔の配列の内側に、少なくとも方形の頂点4箇所に配置した
    ことを特徴とする発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置。
  2. 前記吊りプレートの下面には、前記吊りボルトが4箇所に設置される底部を有する半円筒状に凹んだ構造を有し前記内部ケーシング下半の内径部に収容可能である吊り上げボルト取付部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置。
  3. 前記吊りボルトは、前記吊りプレートの長手方向の中心線に近づけるようにして、安全に吊り上げるための吊りワイヤ角度の制約の下で、前記内部ケーシング下半の直径方向の吊り位置間隔が可及的に小さくなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置。
  4. 前記吊りプレートの上面には、前記内部ケーシング下半を吊り上げたときの水平バランスを調整するためのバランスウェイトが前記取り付け用のボルト孔に着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ用玉掛け装置。
  5. 発電プラントに設置された既設の蒸気タービンを新製する蒸気タービンに取り替える工事において、前記蒸気タービンの横置き円筒形の内部ケーシングを軸方向に上下二分割したうち内部ケーシング下半を、タービン建屋の天井に設置された天井クレーンで吊り上げる方法であって、
    前記内部ケーシング下半の水平フランジ面のボルト孔に対応して形成された取り付けボルト用のボルト孔を有し、水平フランジ面に前記取り付けボルトで締結される板状構造の吊りプレートを用い、
    前記吊りプレート上面であって前記取り付けボルト用のボルト孔の配列の内側に、少なくとも方形の頂点4箇所に吊りワイヤが接続される吊りボルトを配置した当該吊りプレートを前記内部ケーシング下半に取り付け、
    前記天井クレーンのフックと前記各吊りボルトの間に吊りワイヤを玉掛けして4点吊りすることを特徴とする発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ方法。
  6. 前記吊りボルトは、前記吊りプレートの長手方向の中心線に近づけるようにして、安全に吊り上げるための吊りワイヤ角度の制約の下で、前記内部ケーシング下半の直径方向の吊り位置間隔が可及的に小さくなるように配置したことを特徴とする請求項5に記載の発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ方法。
  7. 前記内部ケーシング下半は、抽気エキスパンションが取り付けられた状態で吊り上げられることを特徴とする請求項5に記載の発電プラントにおける蒸気タービンの内部ケーシング下半吊り上げ方法。
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