JP6180390B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP6180390B2
JP6180390B2 JP2014183792A JP2014183792A JP6180390B2 JP 6180390 B2 JP6180390 B2 JP 6180390B2 JP 2014183792 A JP2014183792 A JP 2014183792A JP 2014183792 A JP2014183792 A JP 2014183792A JP 6180390 B2 JP6180390 B2 JP 6180390B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tire
layer
base layer
tread
liquid polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014183792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016055769A (ja
Inventor
小林 弘之
弘之 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2014183792A priority Critical patent/JP6180390B2/ja
Priority to EP15184006.3A priority patent/EP2995472B1/en
Publication of JP2016055769A publication Critical patent/JP2016055769A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6180390B2 publication Critical patent/JP6180390B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0041Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts comprising different tread rubber layers
    • B60C11/005Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts comprising different tread rubber layers with cap and base layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C1/00Tyres characterised by the chemical composition or the physical arrangement or mixture of the composition
    • B60C1/0016Compositions of the tread
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L9/00Compositions of homopolymers or copolymers of conjugated diene hydrocarbons
    • C08L9/06Copolymers with styrene
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0008Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts characterised by the tread rubber
    • B60C2011/0016Physical properties or dimensions
    • B60C2011/0025Modulus or tan delta
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/0008Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts characterised by the tread rubber
    • B60C2011/0016Physical properties or dimensions
    • B60C2011/0033Thickness of the tread
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L2207/00Properties characterising the ingredient of the composition
    • C08L2207/32Properties characterising the ingredient of the composition containing low molecular weight liquid component
    • C08L2207/324Liquid component is low molecular weight polymer

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Tires In General (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、二輪自動車のための空気入りタイヤに関する。
トレッドの半径方向内側には、ベルト又はバンドが設けられる。ベルト又はバンドは、タイヤを補強する。ベルト及び/又はバンドは、補強層とも称される。
ベルトは、内側層及び外側層からなる。内側層及び外側層のそれぞれは、並列された多数のコードと、トッピングゴムとからなる。
バンドは、コードとトッピングゴムとからなる。このバンドでは、コードは螺旋状に巻かれている。コードは、実質的に周方向に延びている。
タイヤのトレッドは、補強層の半径方向外側に位置している。トレッドは、補強層と積層されている。
タイヤは、トレッドにおいて、路面と接触する。トレッドの特性は、タイヤのグリップ性能を左右する。
トレッドは、ゴム組成物から形成される。トレッドの損失正接は、グリップ性能と相関している。大きな損失正接(tanδとも称される。)を有するトレッドでは、良好なグリップ性能が得られる。
グリップ性能の向上の観点から、トレッドのゴム組成物について様々な検討がなされている。この検討例が、特開2008−184517公報及び特開2012−102239公報に開示されている。
特開2008−184517公報に記載のゴム組成物では、変性水添ポリマーがマトリクスゴムに配合されている。この変性水添ポリマーは、カルボン酸基、スルホン酸基、カルボン酸塩官能基及びスルホン酸塩官能基からなる群から1種以上選択される極性基を分子中に含み、かつポリスチレン換算数平均分子量が1.0×10〜2.0×10であり、共役ジエン部の水素添加率が20〜100%である、芳香族ビニル−共役ジエン共重合体及び/又は共役ジエン重合体からなる。
特開2012−102239公報に記載のゴム組成物では、液状ジエン系重合体が用いられている。このゴム組成物では、液状ジエン系重合体の共役ジエン部の二重結合の水素添加率が50〜90モル%に設定されている。
特開2008−184517公報 特開2012−102239公報
前述したように、上記特開2008−184517公報及び特開2012−102239公報のそれぞれでは、水素添加処理された液状のポリマーが採用されている。これは、液状ポリマーにある二重結合に水素を添加することで、液状ポリマーがトレッドのマトリクスゴムと架橋することを防止し、トレッドにヒステリシスロスを十分に発生させるためである。しかし水素添加処理された液状ポリマーでは、マトリクスゴムとの相溶性が低下するという問題がある。相溶性の低下は、トレッドと補強層との接着性に影響する。トレッドのゴム組成物に液状ポリマーを使用した場合、走行中にトレッドが補強層から剥離する恐れがある。このようなトレッドの剥離を伴う損傷は、トレッドセパレーションと称される。
上記特開2012−102239公報に記載のゴム組成物では、液状ポリマーを含むウェットマスターバッチの使用により、液状ポリマーによる接着性への影響が抑えられている。しかしウェットマスターバッチを使用しても、トレッドと補強層との境界付近には、液状ポリマーは存在する。ウェットマスターバッチの使用により、トレッドセパレーションはある程度防止されるが、十分ではない。
レースにおいては、走行によりタイヤは発熱する。トレッドは、高い温度を有する。高温状態にあるトレッドでは、マトリクスゴムに対する液状ポリマーの相溶性が低下する。この相溶性の低下は、液状ポリマーのブリードを促す。ブリードした液状ポリマーは、トレッドと補強層との接着性に影響する。このため、このタイヤをレースで使用した場合、トレッドが補強層から剥離するリスクが高い。
本発明の目的は、トレッドセパレーションの発生を抑えつつ、グリップ性能の向上が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド、一対のサイドウォール、一対のビード、カーカス及び補強層を備えている。それぞれのサイドウォールは、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びている。それぞれのビードは、上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置している。上記カーカスは、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されている。上記補強層は上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されており、この補強層はコードを含んでいる。上記トレッドは、キャップ層及びベース層を備えている。半径方向において、上記キャップ層は上記ベース層と積層されており、上記ベース層は上記補強層と積層されている。上記キャップ層には、スチレン−ブタジエン共重合体に水素を添加させて得た液状ポリマーが配合されている。上記ベース層は、0.3mmよりも大きな厚みを有している。100℃の温度下で計測される上記ベース層のロスコンプライアンスは、0.080MPa−1以上0.13MPa−1以下である。上記ベース層には、上記液状ポリマーは配合されていない。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベース層の厚みは0.5mm以上3.0mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、100℃の温度下で計測される上記ベース層の硬さHb(100)と、100℃の温度下で計測される上記キャップ層の硬さHc(100)との差は、0以上10以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、50℃の温度下で計測される上記ベース層の硬さHb(50)と、50℃の温度下で計測される上記キャップ層の硬さHc(50)との差は、−20以上−10以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記液状ポリマーの重量平均分子量は1000以上20000以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記液状ポリマーにおいて、上記スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加率は50モル%以上90モル%以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記キャップ層は上記液状ポリマーと基材ゴムとを含むゴム組成物から形成されている。上記ゴム組成物において、上記液状ポリマーの量は上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上200質量部以下である。
本発明に係る空気入りタイヤでは、トレッドはキャップ層及びベース層を備えている。キャップ層は、トレッドの外側部分をなす。このキャップ層には、スチレン−ブタジエン共重合体に水素を添加させて得た液状ポリマーが配合されている。この液状ポリマーは、ヒステリシスロスの発生に寄与する。このキャップ層は、グリップ性能に寄与する。
さらにこのタイヤでは、キャップ層と補強層との間にベース層が位置している。このベース層には、前述された液状ポリマーは配合されていない。このベース層は、補強層と十分に接着する。しかもベース層が適度な厚さを有しているので、ブリードした液状ポリマーがトレッドの接着性に与える影響は小さい。このタイヤでは、トレッドセパレーションの発生が効果的に抑えられている。
そしてこのタイヤでは、ベース層が適度なロスコンプライアンスを有している。このベース層は、サイドグリップ及びトラクションに寄与する。このタイヤでは、グリップ性能の一層の向上が図られている。
このようにこのタイヤでは、トレッドセパレーションの発生を抑えつつ、グリップ性能の向上が達成される。つまり本発明によれば、トレッドセパレーションの発生を抑えつつ、グリップ性能の向上が達成された空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のビード8、カーカス10、補強層12及びインナーライナー14を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、二輪自動車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面16を形成する。このタイヤ2のトレッド4には、溝は刻まれていない。このトレッド4に溝が刻まれて、トレッドパターンが形成されてもよい。
トレッド4は、キャップ層18とベース層20とを有している。キャップ層18は、ベース層20の半径方向外側に位置している。半径方向において、キャップ層18はベース層20と積層されている。ベース層20は、補強層12と積層されている。
キャップ層18は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。つまりキャップ層18は架橋ゴムである。
キャップ層18のゴム組成物は、基材ゴムを含む。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)である。これは、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)はグリップ性能に寄与するからである。このスチレン−ブタジエン共重合体に、特に、制限はない。このタイヤ2では、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体(S−SBR)、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体(E−SBR)等、タイヤ工業において一般的なスチレン−ブタジエン共重合体の使用が可能である。これらの中でも、グリップ性能及び強度の観点から、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体(S−SBR)が特に好ましい。
このタイヤ2では、基材ゴムとしてのスチレン−ブタジエン共重合体(以下、スチレンブタジエンゴム)の重量平均分子量は7.0×10以上2.0×10以下が好ましい。この重量平均分子量が7.0×10以上に設定されたスチレンブタジエンゴムは、耐摩耗性に寄与する。この観点から、この重量平均分子量は8.0×10以上がより好ましい。この重量平均分子量が2.0×10以下に設定されたスチレンブタジエンゴムは、加工性に寄与する。この観点から、この重量平均分子量は1.6×10以下がより好ましい。
本発明においては、重量平均分子量は標準ポリスチレンで換算された値で表される。この換算値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)[装置=東ソー(株)製の「GPC−8000シリーズ」、検出器=示差屈折計、カラム=東ソー(株)製の「TSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M」]により得られる。
このタイヤ2では、スチレンブタジエンゴムのスチレン含有量は30質量%以上55質量%以下が好ましい。この含有量が30質量%以上に設定されたスチレンブタジエンゴムは、グリップ性能に寄与する。この観点から、この含有量は35質量%以上がより好ましい。この含有量が55質量%以下に設定されたスチレンブタジエンゴムは、耐摩耗性に寄与する。この観点から、この含有量は50質量%以下がより好ましい。
本発明においては、スチレン含有量は、核磁気共鳴分光法(NMR)[装置=日本電子(株)製の「JNM−ECAシリーズ」]で、100MHzのH−NMRスペクトルを測定することにより得られる。
このタイヤ2では、スチレンブタジエンゴムのビニル含有量は20質量%以上60質量%以下が好ましい。この含有量が20質量%以上に設定されたスチレンブタジエンゴムは、グリップ性能に寄与する。この観点から、この含有量は25質量%以上がより好ましい。この含有量が60質量%以下に設定されたスチレンブタジエンゴムは、耐摩耗性に寄与する。この観点から、この含有量は55質量%以下がより好ましい。
本発明においては、ビニル含有量は、核磁気共鳴分光法(NMR)[装置=日本電子(株)製の「JNM−ECAシリーズ」]で、100MHzのH−NMRスペクトルを測定することにより得られる。
このタイヤ2では、キャップ層18のゴム組成物は液状ポリマーを含む。言い換えれば、このキャップ層18のゴム組成物には、液状ポリマーが配合されている。この液状ポリマーは、ゴム用薬品としての軟化剤の一種である。このタイヤ2では、液状ポリマーは、水素添加されたスチレン−ブタジエン共重合体である。
このタイヤ2では、液状ポリマーは、オイル状のスチレン−ブタジエン共重合体(以下、スチレンブタジエンオイル)に水素を添加させて得られる。詳細には、この液状ポリマーは、スチレンブタジエンオイルのブタジエン部における二重結合に水素を添加させることにより得られる。なお、スチレンブタジエンオイルに水素を添加させるための処理には、従来公知の方法を用いることができる。この方法としては、有機溶媒中で金属触媒の存在下で、スチレンブタジエンオイルに加圧した水素を接触させて、スチレンブタジエンオイルに水素化処理を行う方法、ヒドラジンを用いてスチレンブタジエンオイルの水素化処理を行う方法等が挙げられる。
このタイヤ2では、グリップ性能の観点から、液状ポリマーのための、スチレンブタジエンオイルのスチレン含有量は10質量%以上が好ましく、60質量%以下が好ましい。グリップ性能及び耐摩耗性の観点から、このスチレンブタジエンオイルのビニル含有量は、10質量%以上が好ましく、60質量%以下が好ましい。なお、このスチレンブタジエンオイルのスチレン含有量は、前述されたスチレンブタジエンゴムのスチレン含有量の測定方法と同様の測定方法で得られる。このスチレンブタジエンオイルのビニル含有量は、前述されたスチレンブタジエンゴムのビニル含有量の測定方法と同様の測定方法で得られる。
このタイヤ2では、液状ポリマーの重量平均分子量は1.0×10以上2.0×10以下が好ましい。この重量平均分子量が1.0×10以上に設定された液状ポリマーは、耐摩耗性に寄与する。この観点から、この重量平均分子量は3.0×10以上がより好ましい。この重量平均分子量が2.0×10以下に設定された液状ポリマーは、グリップ性能に寄与する。この観点から、この重量平均分子量は1.5×10以下がより好ましい。なお、この液状ポリマーの重量平均分子量は、前述されたスチレンブタジエンゴムの重量平均分子量の測定方法と同様の測定方法で得られる。
このタイヤ2では、キャップ層18のゴム組成物は、液状ポリマー以外に、他の軟化剤を含むことができる。この場合、グリップ性能の観点から、液状ポリマーの含有量は、軟化剤全量に対して60質量%以上に設定されるのが好ましく、80質量%以上に設定されるのがより好ましい。なお、他の軟化剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等のプロセスオイル及びひまし油、綿実油、あまに油、なたね油等の植物油脂が挙げられる。2種以上のオイルが、他の軟化剤として用いられてもよい。
キャップ層18のゴム組成物は、カーボンブラックを補強剤として含むことができる。このカーボンブラックとしては、例えば、FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等のファーネスブラックが用いられうる。
カーボンブラックは、キャップ層18の強度に寄与する。この観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して30質量部以上が好ましく、35質量部以上がより好ましく、60質量部以上が特に好ましい。加工性の観点から、この量は120質量部以下が好ましい。
このタイヤ2では、キャップ層18のゴム組成物は、カーボンブラックに換えて、又は、カーボンブラックと共にシリカを含むことができる。このシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ及びコロイダルシリカが例示される。
キャップ層18のゴム組成物が補強剤としてシリカを含む場合、このシリカの量は、補強性及び加工性の観点から、基材ゴム100質量部に対して25質量部以上が好ましく、100質量部以下が好ましい。この場合、好ましくは、シリカと共にシランカップリング剤が併用される。
キャップ層18のゴム組成物は、前述された、基材ゴム、軟化剤及び補強剤以外に、通常ゴム工業で使用される、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、硫黄、加硫促進剤等の薬品を適宜含むことができる。
ベース層20は、ゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。ジエン系ゴムには、共役ジエン系モノマーと芳香族ビニル系モノマーとの共重合体が含まれる。この共重合体の具体例としては、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体(S−SBR)及び乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体(E−SBR)が挙げられる。
ベース層20のゴム組成物は、軟化剤を含むことができる。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等のプロセスオイル及びひまし油、綿実油、あまに油、なたね油等の植物油脂が挙げられる。ベース層20の軟質の観点から、軟化剤の量は基材ゴム100質量部に対して40質量部以上が好ましい。ベース層20の強度の観点から、軟化剤の量は80質量部以下が好ましい。なお、このベース層20のゴム組成物には、キャップ層18に配合された液状ポリマーは配合されない。
ベース層20のゴム組成物は、カーボンブラックを補強剤として含むことができる。このカーボンブラックとしては、例えば、FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等のファーネスブラックが用いられうる。
カーボンブラックは、ベース層20の強度に寄与する。この観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して30質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、70質量部以上が特に好ましい。加工性の観点から、この量は120質量部以下が好ましい。
このタイヤ2では、ベース層20のゴム組成物は、カーボンブラックに換えて、又は、カーボンブラックと共にシリカを含むことができる。このシリカとしては、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ及びコロイダルシリカが例示される。
ベース層20のゴム組成物が補強剤としてシリカを含む場合、このシリカの量は、補強性及び加工性の観点から、基材ゴム100質量部に対して25質量部以上が好ましく、100質量部以下が好ましい。この場合、好ましくは、シリカと共にシランカップリング剤が併用される。
ベース層20のゴム組成物は、前述された、基材ゴム、軟化剤及び補強剤以外に、通常ゴム工業で使用される、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、硫黄、加硫促進剤等の薬品を適宜含むことができる。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。サイドウォール6は、カーカス10の軸方向外側に位置している。このサイドウォール6は、カーカス10の損傷を防止する。
それぞれのビード8は、サイドウォール6よりも半径方向内側に位置している。ビード8は、コア22と、このコア22から半径方向外向きに延びるエイペックス24とを備えている。コア22はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス24は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス24は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス10は、カーカスプライ26からなる。カーカスプライ26は、両側のビード8の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール6に沿っている。カーカスプライ26は、コア22の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。このカーカス10が、2枚以上のカーカスプライ26から構成されてもよい。
カーカスプライ26は、並列された多数のカーカスコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのカーカスコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス10はラジアル構造を有する。カーカスコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
補強層12は、トレッド4の半径方向内側に位置している。補強層12は、カーカス10と積層されている。このタイヤ2では、補強層12はベルト28及びバンド30から構成されている。この補強層12が、ベルト28のみから構成されてもよい。この補強層12が、バンド30のみから構成されてもよい。
ベルト28は、バンド30の半径方向内側に位置している。ベルト28は、カーカス10と積層されている。ベルト28は、カーカス10を補強する。ベルト28は、内側層32及び外側層34からなる。図示されていないが、内側層32及び外側層34のそれぞれは、並列された多数のベルトコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのベルトコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層32のベルトコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層34のベルトコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。ベルトコードは、有機繊維からなる。この有機繊維としては、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。十分な剛性を有するベルト28が構成されるとの観点から、この有機繊維としてはアラミド繊維が好ましい。なお、このベルトコードに、その材質がスチールとされたコード、すなわち、スチールコードが用いられてもよい。
バンド30は、トレッド4の半径方向内側に位置している。バンド30は、ベルト28と積層されている。図示されていないが、バンド30は、バンドコードとトッピングゴムとからなる。バンドコードは、螺旋状に巻かれている。バンド30は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドコードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するバンドコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このバンドコードによりベルト28が拘束されるので、ベルト28のリフティングが抑制される。バンドコードの好ましい材質は、スチールである。バンドコードに、有機繊維が用いられてもよい。この場合、十分な剛性を有するバンド30が構成されるとの観点から、有機繊維としては、アラミド繊維が好ましい。
補強層12の一部をなすベルト28は、並列された多数のベルトコードを含んでいる。この補強層12の他の一部をなすバンド30は、螺旋状に巻かれたバンドコードを含んでいる。この補強層12は、ベルトコード及びバンドコード、すなわち、コードを含んでいる。
インナーライナー14は、カーカス10の内側に位置している。インナーライナー14は、カーカス10の内面に接合されている。インナーライナー14は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー14の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー14は、タイヤ2の内圧を保持する。
このタイヤ2では、トレッド4はキャップ層18及びベース層20からなる。図1から明らかなように、このキャップ層18はトレッド4の外側部分をなす。このタイヤ2では、キャップ層18が路面と接触する。
前述したように、このタイヤ2のキャップ層18には、スチレン−ブタジエン共重合体に水素を添加させて得た液状ポリマーが配合されている。この液状ポリマーは、ヒステリシスロスの発生に寄与する。このキャップ層18は、グリップ性能に寄与する。
前述したように、このタイヤ2では、半径方向において、キャップ層18はベース層20と積層されており、ベース層20は補強層12と積層されている。換言すれば、キャップ層18と補強層12との間にベース層20が位置している。
このタイヤ2では、ベース層20には、キャップ層18に配合された、液状ポリマーは配合されていない。このベース層20は、補強層12と十分に接着する。しかもベース層20が適度な厚さを有しているので、キャップ層18から液状ポリマーがブリードし、このブリードした液状ポリマーがトレッド4の接着性に与える影響は小さい。このタイヤ2では、トレッドセパレーションの発生が効果的に抑えられている。
後述するが、このタイヤ2では、ベース層20は適度なロスコンプライアンスを有している。このベース層20は、サイドグリップ及びトラクションに寄与する。このタイヤ2では、グリップ性能の一層の向上が図られている。
本発明では、100℃の温度下で5%の歪みを周期的に付与して計測されるロスコンプライアンスがゴムの物性を表す指標の一つとして用いられている。このロスコンプライアンスは、複素弾性率E*の2乗に対する損失弾性率E”の比[E”/(E*)]で表される。ロスコンプライアンスの算出には、複素弾性率E*及び損失弾性率E”が用いられる。この複素弾性率E*及び損失弾性率E”は、「JIS K 6394」の規定に準拠して、下記の測定条件により、粘弾性スペクトロメーター(岩本製作所社製)を用いて計測される。この計測では、ベース層20のゴム組成物から板状の試験片(長さ=45mm、幅=4mm、厚み=2mm)が形成される。この試験片が、計測に用いられる。
初期歪み:10%
振幅:±2.5%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:100℃
このようにこのタイヤ2では、トレッドセパレーションの発生を抑えつつ、グリップ性能の向上が達成される。つまり本発明によれば、トレッドセパレーションの発生を抑えつつ、グリップ性能の向上が達成された空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、100℃の温度下で計測されるベース層20のロスコンプライアンス(以下、ロスコンプライアンスLCb)は、0.080MPa−1以上である。これにより、キャップ層18の内側に配置されたベース層20がサイドグリップ及びトラクションに効果的に寄与する。このタイヤ2では、グリップ性能の一層の向上が図られる。この観点から、ロスコンプライアンスLCbは0.090MPa−1以上が好ましい。
このタイヤ2では、ロスコンプライアンスLCbは0.13MPa−1以下である。このタイヤ2では、ベース層20を起因としたブローの発生が効果的に抑えられる。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、ロスコンプライアンスLCbは0.12MPa−1以下が好ましい。
走行により、タイヤ2の温度は上昇していく。レースにおいては、タイヤ2の温度は顕著に上昇する。つまり、レースでは、タイヤ2は高温状態で使用される。前述したように、このタイヤ2では、100℃の温度下で計測されるベース層20のロスコンプライアンスLCbが適切に調整されている。このタイヤ2では、レースにおいて、十分なグリップ性能が発揮される。
このタイヤ2では、好ましくは、100℃の温度下で計測されるベース層20のロスコンプライアンスLCbは、100℃の温度下で計測されるキャップ層18のロスコンプライアンス(以下、ロスコンプライアンスLCc)よりも小さい。これにより、ベース層20を起因としたブローの発生が効果的に抑えられる。この観点から、ロスコンプライアンスLCbのロスコンプライアンスLCcに対する比(LCb/LCc)は0.7以下がより好ましい。キャップ層18の内側に配置されたベース層20がサイドグリップ及びトラクションに効果的に寄与するとの観点から、この比(LCb/LCc)は0.4以上が好ましい。
このタイヤ2では、100℃の温度下で計測されるベース層20の硬さHb(100)と、100℃の温度下で計測されるキャップ層18の硬さHc(100)との差(Hb(100)−Hc(100))は0以上10以下が好ましい。この差が0以上に設定されることにより、接地面積が十分に確保される。このタイヤ2では、良好なサイドグリップ及びトラクションが得られる。この観点から、この差は5以上がより好ましい。この差が10以下に設定されることにより、トレッド4が全体として適度な剛性を有する。良好な接地状態が実現されるので、このタイヤ2は、旋回安定性及び剛性感に優れる。この観点から、この差は9以下が好ましい。
このタイヤ2では、50℃の温度下で計測されるベース層20の硬さHb(50)と、50℃の温度下で計測されるキャップ層18の硬さHc(50)との差(Hb(50)−Hc(50))は−20以上−10以下が好ましい。この差が−20以上に設定されることにより、走行開始の時点におけるサイドグリップの確保にベース層20が効果的に寄与する。この観点から、この差は−18以上がより好ましい。この差が−10以下に設定されることにより、トレッド4が全体として十分な剛性を有するとともに、タイヤ2の温度が低い走行開始の時点におけるサイドグリップが適切に確保される
本発明では、硬さは、「JIS K6253」の規定に準じ、タイプAのデュロメータによって測定される。図1に示された断面にこのデュロメータが押し付けられ、硬さが測定される。なお、100℃又は50℃に設定されたオーブンにタイヤ2を投入し、このオーブン内でこのタイヤ2を3時間静置した後、硬さは測定される。
このタイヤ2では、100℃の温度下で計測されるベース層20の硬さHb(100)は33以上40以下が好ましい。この硬さHb(100)が33以上に設定されることにより、高温状態にあるタイヤ2においてベース層20がトレッド4の剛性に寄与する。この観点から、この硬さHb(100)は35以上がより好ましい。この硬さHb(100)が40以下に設定されることにより、高温状態にあるタイヤ2においてベース層20がサイドグリップ及びトラクションに効果的に寄与する。このタイヤ2では、グリップ性能の一層の向上が図られる。この観点から、この硬さHb(100)は38以下がより好ましい。
このタイヤ2では、50℃の温度下で計測されるベース層20の硬さHb(50)は45以上55以下が好ましい。この硬さHb(50)が45以上に設定されることにより、走行の開始の時点においてベース層20がトレッド4の剛性に寄与する。この観点から、この硬さHb(50)は47以上がより好ましい。この硬さHb(50)が55以下に設定されることにより、走行の開始の時点においてベース層20がサイドグリップ及びトラクションに効果的に寄与する。このタイヤ2では、グリップ性能の一層の向上が図られる。この観点から、この硬さHb(50)は53以下がより好ましい。
図2には、図1に示されたタイヤ2の一部、詳細には、タイヤ2の赤道面の部分が示されている。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
図2において、両矢印Tbはベース層20の厚さを表している。両矢印Taは、トレッド4の厚さを表している。厚さTb及び厚さTaは、赤道面に沿って計測される。
このタイヤ2では、ベース層20の厚さTbは0.3mmよりも大きい。換言すれば、このベース層20は0.3mmよりも大きな厚さTbを有している。このベース層20は、補強層12から十分隔ててキャップ層18を配置させる。これにより、キャップ層18からブリードする液状ポリマーによる、トレッド4と補強層12との界面への影響が抑えられる。このタイヤ2では、トレッドセパレーションの発生が効果的に抑えられる。この観点から、この厚さTbは0.5mm以上が好ましく、1.0mm以上がより好ましい。
前述したように、このタイヤ2では、好ましくは、ベース層20のロスコンプライアンスLCbはキャップ層18のロスコンプライアンスLCcよりも小さい。ベース層20によるグリップ性能への影響が抑えられるとの観点から、ベース層20の厚さTbは3.0mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、ベース層20の厚さTbのトレッド4の厚さTaに対する比(Tb/Ta)は0.15以上0.7以下が好ましい。この比が0.15以上に設定されることにより、ベース層20がトレッドセパレーションの発生防止に効果的に寄与する。この観点から、この比は0.3以上がより好ましい。この比が0.7以下に設定されることにより、ベース層20によるグリップ性能への影響が効果的に抑えられる。この観点から、この比は0.6以下がより好ましい。
このタイヤ2では、キャップ層18に配合された液状ポリマーにおいて、スチレン−ブタジエン共重合体の水素添加率は50モル%以上90モル%以下が好ましい。この水素添加率が50モル%以上に設定されることにより、液状ポリマーがヒステリシスロスの発生に有効に作用する。この液状ポリマーを含んだキャップ層18は、グリップ性能に寄与する。この観点から、水素添加率は60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。この水素添加率が90モル%以下に設定されることにより、キャップ層18の柔軟性が適切に維持される。特に、タイヤ2の温度が低い走行開始の時点において、このキャップ層18がグリップ性能に効果的に寄与するとともに、良好な耐摩耗性が維持される。この観点から、この水素添加率は80モル%以下がより好ましい。
本発明において、水素添加率は、スチレン−ブタジエン共重合体のブタジエン部全モル数に占める水素添加されたブタジエン部のモル数の比率で表される。この比率は、核磁気共鳴分光法(NMR)[装置=日本電子(株)製の「JNM−ECAシリーズ」]で、100MHzのH−NMRスペクトルを測定することにより得られる、不飽和結合部のスペクトル減少率に基づいて算出される。
このタイヤ2では、キャップ層18のゴム組成物において、液状ポリマーの量は、基材ゴム100質量部に対して30質量部以上200質量部以下が好ましい。この液状ポリマーの量が30質量部以上に設定されることにより、液状ポリマーがヒステリシスロスの発生に有効に作用する。この液状ポリマーを含んだキャップ層18は、グリップ性能に寄与する。この観点から、この液状ポリマーの量は40質量部以上がより好ましい。この液状ポリマーの量が200質量部以下に設定されることにより、加工性及び耐摩耗性が適切に維持される。この観点から、この液状ポリマーの量は120質量部以下がより好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−2に示されたタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、200/60R420である。キャップ層には、液状ポリマーが配合されている。液状ポリマーの量は、基材ゴム100質量部に対して60質量部とされた。この液状ポリマーは、スチレンブタジエンオイル(CRAY VALLEY社製の商品名「Ricon 100」)を水素化して得た。この液状ポリマーの水素添加率は、80モル%であった。この液状ポリマーの重量平均分子量は、5000であった。100℃の温度下で計測されたキャップ層のロスコンプライアンスLCcは、0.170MPa−1であった。100℃の温度下で計測されたキャップ層の硬さHc(100)は、35であった。50℃の温度下で計測されたキャップ層の硬さHc(50)は、55であった。ベース層には、液状ポリマーは配合されていない。トレッドの厚さTaは、6.5mmであった。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。この比較例1では、ベース層は設けられていない。トレッドのゴム組成物には、液状ポリマーは配合されていない。
[比較例2]
比較例2も、従来のタイヤである。この比較例2では、ベース層は設けられていない。トレッドのゴム組成物には、水素添加率が50モル%に調整された液状ポリマーが配合されている。この液状ポリマーのためのスチレンブタジエンオイルは、CRAY VALLEY社製の商品名「Ricon 100」である。液状ポリマーの量は、実施例1のキャップ層と同等である。
[比較例3]
比較例2で使用した液状ポリマーと同等の液状ポリマーをベース層に配合した他は実施例1と同様にして、比較例3のタイヤを得た。ベース層においては、液状ポリマーの量は、基材ゴム100質量部に対して40質量部とされた。
[実施例2−5及び比較例4]
ベース層の厚さTbを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−5及び比較例4のタイヤを得た。
[実施例6−12及び比較例5−6]
100℃の温度下で計測されたベース層のロスコンプライアンスLCb、100℃の温度下で計測されたベース層の硬さHb(100)とキャップ層の硬さHc(100)との差(Hb(100)−Hc(100))及び50℃の温度下で計測されたベース層の硬さHb(50)とキャップ層の硬さHc(50)との差(Hb(50)−Hc(50))を下記の表3及び4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−12及び比較例5−6のタイヤを得た。
[性能評価]
タイヤを排気量が1000ccであるスポーツタイプの二輪自動車(4サイクル)の後輪に装着し、その内圧が180kPaとなるように空気を充填した。後輪のリムのサイズは、6.25×420とされた。前輪には、市販のタイヤ(サイズ=125/80R420)を装着し、その内圧が250kPaとなるように空気を充填した。前輪のリムのサイズは、3.50×420とされた。この二輪自動車を、その路面がアスファルトであるサーキットコースで走行させて、ライダーによるグリップ性能に関する官能評価を行った。評価項目は、サイドグリップ、トラクション、旋回安定性及び剛性感である。この結果が、指数で下記の表1から4に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[耐久性評価]
タイヤを正規リム(サイズ=6.25×420)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着した(キャンバー角=−30°、スリップ角=3°)。4.14kNの縦荷重をタイヤに負荷し、このタイヤを120km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を、60分間、走行させた。走行後、損傷(ブローアウト及びトレッドセパレーション)の有無を確認した。この結果が、下記の表1から4に示されている。損傷が認められなかった場合が「A」で表され、損傷が認められた場合が「C」で表されている。まれに損傷が認められる場合が、「B」で表されている。この評価で、トレッドセパレーションが確認されたタイヤに対しては、前述の性能評価は実施していない。
Figure 0006180390
Figure 0006180390
Figure 0006180390
Figure 0006180390
表1から4に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤに関する技術は、種々の二輪自動車用タイヤにも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・ビード
10・・・カーカス
12・・・補強層
18・・・キャップ層
20・・・ベース層
26・・・カーカスプライ
28・・・ベルト
30・・・バンド
32・・・内側層
34・・・外側層

Claims (3)

  1. トレッド、一対のサイドウォール、一対のビード、カーカス及び補強層を備えており、
    それぞれのサイドウォールが、上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びており、
    それぞれのビードが、上記サイドウォールよりも半径方向内側に位置しており、
    上記カーカスが、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されており、
    上記補強層が上記トレッドの半径方向内側において上記カーカスと積層されており、この補強層がコードを含んでおり、
    上記トレッドがキャップ層及びベース層を備えており、
    半径方向において、上記キャップ層が上記ベース層と積層されており、上記ベース層が上記補強層と積層されており、
    上記キャップ層には、スチレン−ブタジエン共重合体に水素を添加させて得た液状ポリマーが配合されており、
    上記ベース層が0.3mmよりも大きな厚みを有しており、
    100℃の温度下で計測される上記ベース層のロスコンプライアンスが0.080MPa−1以上0.13MPa−1以下であり、
    上記ベース層には上記液状ポリマーが配合されていない、空気入りタイヤ。
  2. 上記ベース層の厚みが0.5mm以上3.0mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 100℃の温度下で計測される上記ベース層の硬さHb(100)と、100℃の温度下で計測される上記キャップ層の硬さとの差(Hb(100)−Hc(100))が、0以上10以下である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
JP2014183792A 2014-09-10 2014-09-10 空気入りタイヤ Active JP6180390B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014183792A JP6180390B2 (ja) 2014-09-10 2014-09-10 空気入りタイヤ
EP15184006.3A EP2995472B1 (en) 2014-09-10 2015-09-07 Pneumatic tire

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014183792A JP6180390B2 (ja) 2014-09-10 2014-09-10 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016055769A JP2016055769A (ja) 2016-04-21
JP6180390B2 true JP6180390B2 (ja) 2017-08-16

Family

ID=54065257

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014183792A Active JP6180390B2 (ja) 2014-09-10 2014-09-10 空気入りタイヤ

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP2995472B1 (ja)
JP (1) JP6180390B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7371631B2 (ja) * 2018-08-06 2023-10-31 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP7159799B2 (ja) * 2018-11-12 2022-10-25 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1112961B1 (en) * 1999-12-27 2004-09-15 Sumitomo Chemical Company, Limited Aluminium hydroxide and tyre tread rubber composition and pneumatic tyre employing the aluminium hydroxide
JP4350622B2 (ja) * 2004-09-07 2009-10-21 住友ゴム工業株式会社 空気入りタイヤ
JP2008184517A (ja) 2007-01-29 2008-08-14 Bridgestone Corp ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP5508177B2 (ja) * 2010-07-29 2014-05-28 住友ゴム工業株式会社 キャップトレッド用ゴム組成物及びスタッドレスタイヤ
JP2012102239A (ja) 2010-11-10 2012-05-31 Sumitomo Rubber Ind Ltd ウェットマスターバッチ、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2013091755A (ja) * 2011-10-27 2013-05-16 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物
JP2013091758A (ja) * 2011-10-27 2013-05-16 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
JP2014009300A (ja) * 2012-06-29 2014-01-20 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ
JP2014080550A (ja) * 2012-10-18 2014-05-08 Sumitomo Rubber Ind Ltd 高性能ウェットタイヤのトレッド用ゴム組成物及び高性能ウェットタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
EP2995472B1 (en) 2017-08-16
EP2995472A1 (en) 2016-03-16
JP2016055769A (ja) 2016-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6249522B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP5986513B2 (ja) 重荷重用タイヤ
US9150051B2 (en) Pneumatic tire
WO2015129595A1 (ja) 空気入りタイヤ
JP2015081085A (ja) 空気入りタイヤのトレッド、および空気入りタイヤ
JP5357945B2 (ja) ランフラットタイヤ及びその装着方法
JP6285751B2 (ja) 空気入りタイヤ
US20160339747A1 (en) Motorcycle tire
JP2007238078A (ja) ランフラットタイヤ、及びそれに用いるクリンチ用ゴム組成物
JP6180390B2 (ja) 空気入りタイヤ
US9764595B2 (en) Pneumatic tire for use in two-wheeled automotive vehicle
JP2008254619A (ja) 空気入りタイヤ
US11548325B2 (en) Pneumatic tire
JP2004306658A (ja) 空気入りタイヤ
JP2960921B1 (ja) ラジアルタイヤ
US20210354516A1 (en) Motorcycle tire
JP5174502B2 (ja) ランフラットタイヤ
JP6401965B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6013938B2 (ja) 自動二輪車用タイヤ
JP2006240507A (ja) 空気入りタイヤ
JP2015174459A (ja) 空気入りタイヤ
JP7287193B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7400240B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7287187B2 (ja) 重荷重用空気入りタイヤ
JP2021102405A (ja) タイヤ及びベルト層

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160422

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170718

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6180390

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250