JP6179874B2 - 新規なリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物及びその製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物及びその製造法に関する。
合成高分子はその加工性の良さや着色しやすさから、日常生活品や工業製品に用いられている。しかし、その一方で金属やセラミック製品に比べ、燃えやすいという欠点があり、火災の原因となっているのも事実である。そのため、これらの合成高分子に対して、種々の難燃化が検討されている。一般的に、難燃化はハロゲンやリンなどの難燃化元素を有する化合物を添加することにより達成されるが、その結果として高分子の持つ優れた特徴が損なわれることも多く、高分子の持つ物性を損なうことが少ない、効率のよい難燃化剤が求められている。
難燃化剤の中でも、臭素系難燃化剤あるいはアンチモン系難燃化剤との組み合わせは、少量添加で難燃化効果が得られるため多く使用されているが、環境問題から、難燃化剤も非ハロゲンや非アンチモン化に向けて、検討が進められている。
ハロゲン系、アンチモン系以外では金属水酸化物やリン系難燃化剤が幅広く使用されている。中でもリン酸エステル系難燃化剤が高分子の物性を損なうことが少ない難燃化剤として多く用いられている。リン酸エステル系難燃化剤においては、脂肪族系リン酸エステル化合物と芳香族系リン酸エステル化合物が用いられている。
これら難燃化剤は高分子材料に添加することによって用いられるが、その場合、添加した難燃化剤のブリードアウトや揮発によって高分子材料から分離し、金型の汚染や成型不良等の問題が発生する。この問題を解決するために、特に、電気・電子や自動車、建材等の用途では、高分子に組み込むことができる反応性をもった反応性リン酸エステル系難燃化剤が求められている。
この反応性リン酸エステル系難燃化剤として、ジアルキルホスホリル基又はジアリールホスホリル基が2位に置換した1,4−ハイドロキノン化合物や1,4−ジヒドロキシナフタレン化合物が有効であることはすでに知られている。これらのジアルキルホスホリル基又はジアリールホスホリル基が2位に置換した1,4−ハイドロキノン化合物や1,4−ジヒドロキシナフタレン化合物は1,4−ベンゾキノン化合物や1,4−ナフトキノン化合物とジアルキルホスフィンオキサイド又はジアリールホスフィンオキサイドの付加反応により得ることができる(特許文献1、2)。また、ベンゾキノンやナフトキノンと特殊な有機リン化合物を反応させて合成した環状有機リン化合物が知られている(特許文献3,4,5,6)。
しかしながら、特許文献1,2に記載において原料リン化合物として用いられるジアルキルホスフィンオキサイドやジアリールホスフィンオキサイドは高価であり、より安価な原料リン化合物を使用することが望まれていた。一方、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA、三光株式会社製、HCAは三光株式会社の登録商標)は、1,4−ベンゾキノン化合物や1,4−ナフトキノン化合物との反応により、反応性リン酸エステル系難燃化剤が合成できることが知られている(特許文献3,4,5,6)。
しかし、1,4−ベンゾキノン化合物は高価であり、1,4−ナフトキノンは刺激性が強く肌に触れると薬傷を引き起こすことから、製造時の取扱いに細心の注意が必要である等の問題があった。一方、1,4−ナフトキノン化合物のなかでも刺激性の弱い2−置換−1,4−ナフトキノン化合物と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの反応は知られていない。これは、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドと1,4−ナフトキノン化合物の反応が1,4−ナフトキノン化合物の2位で起こるからと思われる。
更に、従来の9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドと1,4−ベンゾキノン化合物や1,4−ナフトキノン化合物との反応により生成する反応性リン酸エステル系難燃化剤は、反応性難燃剤として使用するに当たり、1,4−キノンの2位に9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドが反応するため、得られるリン化合物は、嵩高い置換基を持つリンが2位に直接結合している。そのため、反応性難燃剤として作用するOH基の反応性が嵩高い置換基を持つリン化合物により損なわれる可能性があった。
特開2003−206350号公報 特開2011−084697号公報 特開昭60−126293号公報 特開平11−11662号公報 特開平11−279258号公報 特開2000−309623号公報
よって、安価で工業的に入手容易な9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドをリン原料として用い、容易に反応性難燃剤が得られ、反応性難燃剤として優れた性質を有する新規なリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物及びその製造法の開発が望まれていた。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物とを反応させることによって、新規なリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物を見出し、本発明を完成させた。
第1発明では、下記の一般式(1)、(2)若しくは(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの少なくとも二種以上からなる位置異性体混合物を提供する。
(一般式(1)、(2)及び(3)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
第2発明では、一般式(4)で示される2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と式(5)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを反応させることを特徴とする一般式(1)、(2)若しくは(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの少なくとも二種以上からなる位置異性体混合物の製造法を提供する。
(一般式(4)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
第3発明では、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物が2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンであることを特徴とする第2発明に記載の製造法を提供する。
第4の発明では、一般式(4)で示される2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と式(5)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを反応させて得られるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの位置異性体混合物を提供する。
(一般式(4)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
第5の発明では、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物が2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンであることを特徴とする第4の発明に記載のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの位置異性体混合物を提供する。
第6の発明では、少なくとも上記一般式(1)、(2)又は(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物を含有する難燃化剤を提供する。
本発明の新規なリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物は、取扱い容易な2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と安価で工業的に入手可能な9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドから合成できる新規な化合物であり、工業的に有用な反応性難燃化剤として期待される化合物である。
実施例1で得られた生成物のH-NMRチャート。 実施例1で得られた生成物のアセチル化物のH-NMRチャート。
本発明のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物は、一般式(1)、(2)若しくは(3)に記載の構造を有する化合物又はこれらの少なくとも二種以上からなる混合物である。
(一般式(1)、(2)及び(3)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
一般式(1)、(2)及び(3)中、Xで表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨード原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
つぎに、本発明のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物の具体例を示す。まず、Xが水素原子の場合は、下記の構造式(M-1)に記載の化合物のいずれか二種以上からなる混合物である。具体的には、(1)O−P結合がナフタレン骨格の1位の化合物と2位の化合物を含有するもの、1位の化合物と4位の化合物を含有するもの、2位の化合物と4位の化合物を含有するもののように二種を含有するもの、(2)同様に1位の化合物と2位の化合物と4位の化合物の三種を含有するもの、(3)これらを単離することによって、1位の化合物、2位の化合物、4位の化合物のいずれかを単独で含有するものがあげられる。すなわち、本発明において、位置異性体混合物には、上記(3)のように単独成分のものも含めるものとする。
つぎに、Xがアルキル基の場合は、Xが水素原子の場合と同様に、例えば、下記の構造式(M−2)又は(M−3)に記載の化合物からなる混合物が挙げられる。
また、Xがハロゲン原子の場合は、Xが水素原子の場合と同様に、例えば、下記の構造式(M−4)又は(M−5)に記載の化合物からなる混合物が挙げられる。
更に、Xがアルコキシ基の場合は、Xが水素原子の場合と同様に、例えば、下記の構造式(M−6)又は(M−7)に記載の化合物からなる混合物が挙げられる。
これらの化合物の混合物中で、合成の容易さ、原料の入手の容易さ・安価さという点において、Xが水素原子である下記構造式(M-1)に記載の化合物からなる混合物が好ましい。
本発明のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物における三種の混合割合は任意の割合でよい。三種のうち二種の混合物でもよく、それぞれを単離して、反応性難燃化剤として用いることもできる。
[製造方法]
これらのリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物は、下記反応式に示したように、一般式(4)で表される2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と式(5)で表される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを反応させることにより位置異性体混合物として得ることができる。
反応式中、一般式(1)、(2)、(3)及び(4)中のXは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。
一般式(4)のXで表されるアルキル基としては、一般式(1)、(2)、(3)と同様に、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等が挙げられ、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨード原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられる。
原料の一般式(4)で表される2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物としては、たとえば次のものが挙げられる。2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−メチル−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−エチル−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−クロロ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−ブロモ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−メトキシ−1,4−ナフトキノン、2−ヒドロキシ−6−エトキシ−1,4−ナフトキノン等である。中でも、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンは、入手しやすいという点で好ましい。
これらの原料となる化合物は、2,3位に置換基を有しない1,4−ナフトキノン化合物と比べ、刺激性が低く、製造上取り扱いやすい化合物である。
当該反応に使用される溶媒としては、原料に対する適当な溶解度があり、反応温度及び溶媒回収の観点から適当な沸点を有するもので、かつ反応速度を損ねないようなものならば、いずれでも使用できる。具体的な例を挙げれば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メチルイソブチルケトンのようなケトン化合物、ジエトキシエタン、ジメトキシエタンのようなエーテル化合物、酢酸ブチルのようなエステル化合物、酢酸のようなカルボン酸化合物、2−エトキシエタノールのような複数官能基を有する化合物などである。
反応温度としては、好ましくは30℃から200℃、より好ましくは70℃から130℃
で行う。反応温度が低すぎると実用的な反応速度が得られず、一方、温度が高すぎると高次副生物の生成が多くなるなどの不利を招く。
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの使用量は、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物に対して、好ましくは30モル%から200モル%、より好ましくは100モル%から150モル%の範囲である。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの使用量が少なすぎると、未反応2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物の量が多くなる。また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの量が多すぎると未反応9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの量が多くなり、廃棄物の増加などの不利を招く。
当該反応による生成物は、1,4−ナフトキノン化合物と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドとの反応と異なり、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドが2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物の酸素原子と反応し、O−P結合を形成する。一方、1,4−ナフトキノン化合物と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドとの反応では、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドが1,4−ナフトキノン化合物の2位の炭素原子と反応し、C−P結合を形成する。ここで、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドとの反応は、ナフトキノン化合物のカルボニル酸素がリン原子を攻撃して反応が起こる。ここで、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン化合物は、2位にヒドロキシ基を有する形で構造式を記載しているが、2位がヒドロキシ基で1,4位がケトンとなった形と4位がヒドロキシ基で1,2位がケトンとなった形の二種の互変異性体が存在する。つまり、ナフトキノン構造のカルボニル基は、1,2,4位に存在する可能性があり、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドと2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物は、ナフタレン骨格の1,2,4位どの位置でも反応が起こりうることになる。そのため、三種類の生成物が得られると考えられる。
当該反応により生成する三種類のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物は、いずれも反応性難燃剤として用いることができる。もちろん、単一物質としてそれぞれの異性体を単離して反応性難燃剤として用いることもできるが、いずれか二種あるいは三種類のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物をそのまま反応性難燃剤として用いることができる。
(反応性難燃剤)
当該反応により得られたリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物及びその位置異性体混合物は、エポキシ樹脂類の反応性難燃剤として用いることができる。すなわち、当該反応生成物に、エポキシ樹脂類を添加して反応を行うことにより、リン化合物中にエポキシ基を導入することができる。
従来より知られている1,4−ナフトキノンと9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの反応生成物は、嵩高い置換基を持つリンが2位に直接結合しているので反応性難燃剤として作用するOH基の反応性が悪いのに対して、本発明の2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドの反応生成物は、嵩高い置換基を持つリンが酸素を介してナフタレン骨格についているため、反応性難燃剤として作用するOH基の反応性が阻害されづらい。
本発明のリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物とエポキシ樹脂の反応物は、エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対して、リン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物を0.05〜0.5モルの割合で反応させることによって得られる。エポキシ樹脂中のエポキシ基1モルに対して、リン化合物が0.05モルより少ないと難燃性が十分改良されず、また0.5モル以上では難燃性の向上は期待できるものの粘度が高くなりすぎ扱いづらいので、好ましくない。
リン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物とエポキシ樹脂との反応は、公知の方法によれば良く、例えば、金属酸化物、無機塩類、有機塩基及びその塩類や、いわゆるオニウム化合物などを触媒とする方法等がある。
リン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物とエポキシ樹脂との反応に使用するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラックに代表されるグリシジルエーテル類、テトラブロモビスフェノールAやテトラブロモビスフェノールFに代表されるハロゲン化グリシジルエーテル類、テトラグリシジルアミノジフェニルメタンやテトラグリシジルアミノジフェニルスルフォンに代表されるグリシジルアミン類など公知のエポキシ樹脂を使用する事ができる。
リン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の位置異性体混合物とエポキシ樹脂との反応によって得られたリン含有難燃性エポキシ樹脂は、硬化剤を使用して硬化させることができる。使用する硬化剤としては、酸無水物、ポリアミン系化合物、フェノール系化合物、その他、慣用されている硬化剤のいずれも使用できる。
下記の実施例により本発明を例示するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。特記しない限り、全ての部および百分率は重量基準である。
生成物の確認は下記の機器による測定によった。
(1)融点:ゲレンキャンプ社製の融点測定装置、型式MFB−595(JIS K0064に準拠)
(2)屈折率計:エルマーER−7MW−H
(3)赤外線(IR)分光光度計:日本分光社製、型式IR−810
(4)核磁気共鳴装置(NMR):日本電子社製、型式ECS400 FT NMR Spectorometer
(5)質量分析計:島津製作所社製質量分析計、型式GCMS−QP5000
「実施例1」リン置換ジヒドロキシナフタレン化合物の合成
反応容器に9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA)12.9g(59.7mmol)、溶媒の2−エトキシエタノール23.9g)を仕込んだ。次に、窒素ガス雰囲気中、油浴上で内温を70℃前後に保ち、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン10.0g(57.4mmol)を5回に分け、2時間で仕込んだ。その後油浴の温度を上げ、120℃前後に内温を保ちながら5時間撹拌した。室温に戻した後、溶媒の2−エトキシエタノールを減圧留去した。残留した固体にメタノール50gを加えて、室温で30分懸洗した。減圧濾過により固液分離を行い、メタノール20gで2回ケーキ洗浄を行った後、減圧乾燥を行うことによりリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物19.3gを位置異性体の混合物として得た。粗収率は86.2モル%であった。
この化合物の融点、屈折率、IRスペクトル、H−NMRスペクトル、32P−NMRおよびMS−スペクトル測定値を以下に示す。
(1)融点:162−164℃
(2)屈折率:n=1.692
(3)IR(KBr,cm−1):3320、1650、1590、1410、1310、1260、1240、1200、1160、1140、1080、990、950、910、750、710、600、520、430
(4)H−NMR(400MHz、DMSO-d6):δ=6.58(s、1H)、7.17−8.22(m、12H)、9.85(s、1H)、10.13(s、1H)
(5)32P−NMR(400MHz、DMSO-d6):δ=8.41
(6)MS−スペクトル:M=390
上記実施例1のH−NMRスペクトル測定値より、HCAが、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの3位の炭素原子ではなく、1,2,4位いずれかの酸素原子に付加していることが分かる。すなわち、水酸基のプロトンと考えられるピークはδ=6.58、9.85、10.13に存在するが、当該生成物をアセチル化した時にδ=9.85および10.13のピークのみ消失し、δ=6.58のピークは低磁場側にシフトすることが分かった。よってδ=6.58のピークは水酸基のプロトンではなく、原料2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの3位に相当するプロトンであることがわかる。
また、当該生成物をアセチル化した化合物のMS−スペクトルはM=474であった。この値は、水酸基2つがアセチル基に変換された時の分子量と一致するため、生成物には水酸基が2つあると言える。また、当該アセチル化した化合物のH−NMRのチャートにおいて、アセチル基のピークが4本観測された(図2に当該アセチル化物のH-NMRチャートを添付)ことから、混合物であることが示唆された。
よって、以上の結果と考察から、本願の化合物は、HCAは2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンの3位の炭素原子ではなく、1位,2位又は4位のいずれかの酸素原子に付加した混合物であり、反応生成物は、二つの水酸基を有していることが分かる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)、(2)若しくは(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの少なくとも二種以上からなる位置異性体混合物。



    (一般式(1)、(2)及び(3)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
  2. 一般式(4)で示される2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物と式(5)で示される9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを反応させることを特徴とする一般式(1)、(2)若しくは(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物又はこれらの少なくとも二種以上からなる位置異性体混合物の製造法。

    (一般式(4)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)




    (一般式(1)、(2)及び(3)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
  3. 2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン化合物が2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノンであることを特徴とする請求項2に記載の製造法。
  4. 少なくとも一般式(1)、(2)又は(3)で示されるリン置換ジヒドロキシナフタレン化合物を含有する難燃化剤。



    (一般式(1)、(2)及び(3)中、Xは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基のいずれかを示す。)
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