JP6178612B2 - アルミニウム・樹脂複合体、アルミニウム絶縁電線及びフラットケーブル並びにそれらの製造方法 - Google Patents

アルミニウム・樹脂複合体、アルミニウム絶縁電線及びフラットケーブル並びにそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子機器、家電機器、車両用部品、車両搭載用品等に用いる樹脂とアルミニウムの複合体に関し、金属と樹脂間の密着特性に優れ、かつ電線製造工程などの連続製造工程に対応可能なアルミニウムと樹脂との複合体の製造方法、及びそれを用いた絶縁電線及びフラットケーブルに関するものである。
近年、将来の銅価の高騰リスク回避と資源調達の容易性、及び特に車載向けに軽量化を目的とし、従来の銅の代わりにアルミニウムを導体として使うニーズが高まっている中、アルミニウムと樹脂との低い密着力が大きな課題になっている。すなわち、アルミニウムと樹脂との密着力が低いため、樹脂で被覆したアルミニウム線を巻きつけるために張力を印加した際に、アルミニウムと樹脂の界面破壊が発生し、樹脂の絶縁被膜が剥離する。絶縁被膜が剥離しないように巻きつけるためには、低速かつ低い張力で巻きつける必要があり、巻きつけの密度が低くなるという問題が生じていた。
従来、アルミニウムと樹脂との密着改善法としてアンモニアやヒドラジンにアルミニウムを浸漬してからポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性樹脂を射出成形によって金属と接触させる方法(特許文献1)が提案されているが、この方法は、熱可塑性樹脂に制限され、又、射出成形による金属と樹脂との接触法に制限される。そのため、金属表面上に溶液をコートし、その後の焼付け工程によって形成されるポリアミドイミド、ポリイミド等熱硬化性樹脂被膜に対しては、アルミニウムとの十分な密着特性の改善が期待できない。更に、アンモニア水溶液は強アルカリであり、ヒドラジンは発ガン性物質であるため、環境への負荷が大きく、より環境にやさしい工程の開発が要求されている。
また、樹脂とアルミニウム合金との密着改善方法としてアルミニウム表面をエポキシ基、アミノ基など官能基を有するシランカップリング剤でアルミニウム表面を処理し、フェノール樹脂を接触させる方法(特許文献2)が提案されているが、アルミニウム表面は疎水性であるためにシランカップリング剤水溶液のぬれ性は悪く、そのため、密着改善の効果のあるシランカップリング剤の本来特性を十分引き出すことはできなかった。
また、アルミニウムと樹脂との密着改善方法として、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ナイロン樹脂等熱可塑性樹脂に対し、アルミニウム表面上に金属化合物被膜を形成させた後、トリアジンチオール誘導体を使い、アルミニウム表面処理を行う方法(特許文献3)が提案されている。しかしながら、この方法においては、金属化合物被膜形成のための15分間の処理時間、更にトリアジンチオール誘導体処理のための液浸漬と熱処理工程で50分間の長時間処理が必要とされ、絶縁電線、又は金属条などの製造に必要とされる連続処理工程には対応できず、バッチ製造工程のみに制限され、生産性が非常に劣っていた。
これらの点から電子機器、家電機器、車両用部品、車両搭載用品等に用いるポリアミドイミド、ポリイミド等熱硬化性絶縁材料とアルミニウムとの高密着な密着改善法、又は電線、金属条製造工程などの連続工程に対応可能な密着改善法の開発が要求されている。
国際公開第03/064150号 特開2009−126126号公報 特願2011−052292号公報
本発明では上記問題を解決し、電子機器、家電機器、車両用部品、車両搭載用品等に用いる樹脂とのアルミニウムと複合体に関し、金属と樹脂間の密着特性に優れ、かつ電線製造工程などの連続製造工程に対応可能なアルミニウムと樹脂との複合体及びそれを用いた絶縁電線及びフラットケーブルを提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために、以下の発明を提供する。
(1)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属と、前記金属の上に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属と接合する絶縁被覆樹脂と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であり、電線に用いられることを特徴とするアルミニウム・樹脂複合体。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(2)前記金属化合物被膜は、水和酸化物であるγ−AlO・OHを含むことを特徴とする(1)に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(3)前記絶縁被覆樹脂が熱硬化性樹脂であり、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(4)前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤中のYがメトキシ基又はエトキシ基であることを特徴とする(1)に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(5)前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤、又は前記一般式[2]で示す前記化合物中のRがエチレン基(−(CH−)、又はプロピレン基(−(CH−)であることを特徴とする(4)記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(6)前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤、又は前記一般式[2]で示す前記化合物中のXがアミノ基、又はイミノ基であることを特徴とする(4)または(5)に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(7)前記シラン系化合物の水酸基が、前記金属化合物被膜の表面に存在する水酸基と脱水縮合して形成していることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(8)前記アルミニウム・樹脂複合体の前記絶縁被覆樹脂を剥離する際に前記金属の表面の前記金属化合物被膜内で凝集破壊が発生することを特徴とする(7)に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(9)前記の電線が巻線であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれか1項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
(10)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線と、前記金属線の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属線を被覆する絶縁被膜と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁電線。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(11)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線と、前記金属線の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属線を被覆する絶縁被膜と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁巻線。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(12)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体と、前記導体の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記導体を両側から挟む絶縁被覆樹脂層と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするフラットケーブル。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(13)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属上に樹脂を形成する工程と、を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であり、電線に用いられることを特徴とするアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(14)前記金属化合物被膜を形成する工程が、前記金属をトリエタノールアミン水溶液に40〜100℃で5〜45分間浸漬することで前記金属の表面に水和酸化物であるγ−AlO・OHを形成させることを特徴とする(13)に記載のアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
(15)前記の電線が巻線であることを特徴とする(13)または(14)に記載のアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
(16)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属線上に絶縁被膜を形成する工程と、
を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁電線の製造方法。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(17)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属線上に絶縁被膜を形成する工程と、
を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁巻線の製造方法。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
(18)アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、複数の樹脂層で前記導体を挟み、前記導体を前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記樹脂層と接合する工程と、を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするフラットケーブルの製造方法。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
本発明では、アルミニウムと樹脂との複合体に関し、金属と樹脂間の密着特性を高め、かつ電線製造工程などの連続製造工程に対応可能なアルミニウムと樹脂との複合体を提供する共に、これを用いた複合絶縁電線及びフラットケーブルと、これらの製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係るアルミニウム・樹脂複合体を示す断面図。 本発明の実施形態に係るアルミニウム・樹脂複合体製造工程。 本発明の実施形態に係るアルミニウム・樹脂複合体の製造工程に伴う表面状態変化。(a)水和処理(b)シラン系化合物処理(c)シラン系化合物処理後の脱水縮合反応(d)樹脂形成 本発明の実施形態に係るアルミニウム絶縁電線11を示す断面図。 本発明の実施形態に係るフラットケーブル21を示す断面図。 図5中のA部分の拡大図。 比較例に係る材料の界面剥離モードの概念図(界面破壊) 本発明に係る材料の界面剥離モードの概念図(凝集破壊)
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、アルミニウム・樹脂複合体1は、金属3と、金属3表面に設けられた金属化合物被膜5と、金属化合物被膜5上に設けられたシラン系化合物7と、シラン系化合物7上に設けられた樹脂9を有する。金属3は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる。また、金属化合物被膜5は、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる。また、樹脂9としては、絶縁性を有する樹脂であり、更に、使用目的により、熱硬化性を有する樹脂が好ましい。アルミニウム・樹脂複合体1は、図2に示すように、主に、洗浄処理101、水和処理102、シラン系化合物処理103、樹脂形成104の4つの工程で形成される。以下に各々の工程について説明する。
<洗浄処理>
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属3の表面は、製造工程で生じる偏析、酸化被膜により不均一となったり、加工成形時に使用した圧延油、切削油、プレス油などが付着したり、あるいは搬送時に、錆の発生、指紋の付着等などで汚れる場合がある。このため、金属3の表面の状態によっては適切な洗浄方法を用いて洗浄処理を行うのが好ましい。
洗浄方法には、研削、バフ研磨、ショットブラストなどの物理的方法、例えばアルカリ性の脱脂液中で電解処理を行い、発生する水素や酸素を利用して洗浄を行う電気化学的方法、アルカリ性の溶剤(洗浄剤)による化学的方法を用いることができる。その後、中和処理として酸性液による後処理を行うことが好ましい。
<水和処理>
金属化合物被膜5は、水酸化物または水和酸化物を含むことを特徴とする。図3(a)に示すように、水和処理を行うことにより、金属3の表面に水酸基を形成させ、水酸化物または水和酸化物を含む金属化合物被膜5を形成できる。この水酸化物又は水和酸化物を形成させる方法として特に限定するものではないが、例えば、水(純水)または0.3―0.5%トリエタノールアミン水溶液のようなpH7より大きく12以下の弱アルカリ性水溶液(いわゆるベーマイト処理液)を用い、40℃以上(好ましくは60℃以上)に加熱し、この加熱した水または弱アルカリ性水溶液にアルミニウム合金を浸漬する方法がある。水和反応により、水酸基を効率よく形成させるためには、水和処理液は、弱アルカリ性であることがより好ましい。その他に加圧水蒸気中にアルミニウム合金を暴露する処理方法がある。
本発明において好ましい水和処理の条件は次の通りである。純水に添加剤として、アミン、アミド系物質の少なくとも1つを添加し、pHを10〜12程度に調整した水和処理液を用いる。好ましい水和処理液の一例は、0.5vol%トリエタノールアミン水溶液であり、そのpHは約10である。処理温度は好ましくは40〜100℃の範囲で、より好ましくは60〜90℃である。この範囲内であれば、比較的短い時間で緻密な金属化合物被膜5を得ることが可能である。処理時間は1〜120分が好ましく、より好ましくは5〜45分である。
この水和処理を行うことでアルミニウムおよびアルミニウム合金に含まれる金属の水和酸化物を主体とする金属化合物被膜5がアルミニウム合金の表面に生成する。多くの場合、この処理により形成する金属化合物被膜は、水和酸化物であるγ−AlO・OHまたはγ−AlO・OHとα−Alとを主成分とする無孔性の被膜である。水和酸化物であるγ−AlO・OHは、オキシ水酸化物とも呼ばれる。これら処理により、被膜厚さが0.02〜10μm、より好ましくは、厚さ0.05〜2μmの比較的一様な金属化合物被膜5を形成できる。
このような水和処理は、主成分としてγ−AlO・OHを含む金属化合物被膜を形成でき、すなわちアルミニウム基材表面にOH基を密に均一に形成できること、および表面に微細な凹凸が多く形成されることにより接触表面積が増加することから、接合強度向上に有効であり、本発明に係る水和処理として好ましい。
水和処理によってアルミニウム表面特性は、大きく変化する。例えば、80℃の0.5%トリエタノールアミン水溶液にアルミニウム合金を、30分間浸漬することで水に対する接触角は、5°以下の超親水性表面の形成が確認され、初期アルミニウム表面(接触角=95°)と脱脂・酸処理面(接触角=28°)と比べ、大きく親水化が進んでいることが確認できる。
<シラン系化合物処理>
本発明に用いられるシラン系化合物7は、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は該シランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物を含む。
X−R−Si−Y [1]
X−R−Si(OH) [2]
一般式[1]のシランカップリング剤、及び一般式[2]の化合物中のXは窒素原子を有する基であり、この窒素原子を有する基は、シラン系化合物7上に樹脂9を形成する際に、樹脂9を形成するポリアミドイミド、又はポリイミド熱硬化性樹脂と親和性を有しているので、密着性を著しく向上する。このようなXとして、アミノ基、イミノ基、イソシアネート基が例示できるが、これらの中でもXの末端近傍に窒素原子が存在する構造であるアミノ基(−NH)、及びイミノ基(−NH−)が好ましい。
Rは、Xとケイ素原子とを連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、炭素数が2又は3が好ましい。エチレン基(−(CH−)、又はプロピレン基(−(CH−)であることが特に好ましい。
Xと相対する位置にあるYはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基であり、メトキシ基及び/又はエトキシ基であることが特に好ましい。
Y又はOH基は、一般式[1]で表されるシランカップリング剤、又は一般式[2]で示す化合物を含む溶液が金属化合物表面上に塗布された後に、加熱処理等され、図3(b)、図3(c)に示すように金属化合物表面に存在しているOH基と、脱アルコール縮合反応又は脱水縮合反応を起こす。この反応により、金属化合物とシラン系化合物間の密着性が向上する。
尚、金属化合物表面のOH基との反応性を考慮すると、一般式[1]で表されるシランカップリング剤を加水分解して得られた一般式[2]で示す化合物で、シラン系化合物7を形成することが好ましい。
アルミニウムの金属化合物表面にシラン系化合物を処理することによってシランカップリング剤水溶液のアルミニウム表面上でのぬれ性は大きく改善される。また、脱脂・酸処理を行っただけの金属表面では、目視レベルでも明らかにシランカップリング剤の吸着ムラが確認できることに対し、水和処理を行ったアルミニウムの金属化合物表面では、吸着ムラはなくなり、本来のシランカップリング剤の密着改善特性が十分引き出せるものと考えられる。
<樹脂形成>
図1に示すように、シラン系化合物7の上層に樹脂9を形成する。本発明において、樹脂材料に使用する熱硬化性樹脂には、耐熱性と絶縁性を有する樹脂が好ましい。例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ホルマール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルホルマール、エポキシ、ポリヒダントインが挙げられ、好ましくは耐熱性において優れる、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミドヒダントイン変性ポリエステルなどのポリイミド系樹脂である。また、これらは1種を単独で使用してもよく、また、2種以上を混合して使用するようにしてもよい。
特に、シラン系化合物として、一般式[1]のシランカップリング剤、及び一般式[2]の化合物を用いる場合、Xは窒素原子を有する基であり、この窒素原子を有する基は、ポリイミド系樹脂と親和性を有しているので、樹脂9がポリイミド系樹脂である場合、金属3と樹脂9の密着性を著しく向上することができる。
<アルミニウム絶縁電線>
本発明の実施形態にかかるアルミニウム・樹脂複合体は、アルミニウム絶縁電線として用いることができる。アルミニウム絶縁電線11は、図4に示すように、アルミニウム絶縁電線11は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線13と、金属線13の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物を含む金属化合物被膜15と、金属化合物被膜15の上に結合したシラン系化合物17と、金属化合物被膜15とシラン系化合物17を介して、金属線13を被覆する絶縁被膜19とを有する。すなわち、アルミニウム絶縁電線11は、金属線13と絶縁被膜19の界面に、本発明の実施形態にかかるアルミニウム・樹脂複合体1を形成する。金属線13が金属3に、金属化合物被膜15が金属化合物被膜5に、シラン系化合物17がシラン系化合物7に、絶縁被膜19が樹脂9にそれぞれ対応し、同様の材料を使用することができる。このようなアルミニウム絶縁電線11を巻いてコイルを作成することができる。アルミニウム絶縁電線11は、金属線13と絶縁被膜19との密着性が良好であるため、強い張力で、高い回転数で巻くことができ、巻きが高密度なコイルを高い生産性で得ることができる。
<フラットケーブル>
本発明の実施形態にかかるフラットケーブル21は、図5に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体23を樹脂層29および樹脂層31で、両側から挟み込む構成となっている。図5中のA部分の拡大図が図6である。図6に示す通り、フラットケーブル21は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体23と、導体23の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物を含む金属化合物被膜25と、金属化合物被膜25の上に結合したシラン系化合物27と、金属化合物被膜25とシラン系化合物27を介して、導体23を両側から挟む樹脂層29、31と、を有する。すなわち、フラットケーブル21は、導体23と樹脂層29又は樹脂層31の界面に本発明の実施形態にかかるアルミニウム・樹脂複合体1を形成する。導体23が金属3に、金属化合物被膜25が金属化合物被膜5に、シラン系化合物27がシラン系化合物7に、樹脂層29、31が樹脂9にそれぞれ対応し、同様の材料を使用することができる。このようなフラットケーブル21は、電気機械の配線などに使用することができる。フラットケーブル21は、導体23と樹脂層29、31との密着性が良好であるため、折り曲げを繰り返しても導体23と樹脂層29、31との間に剥離が生じない。
<本実施形態に係る効果>
本実施形態においては、金属3の表面を水和処理することで、アルミニウム又はアルミニウム合金基材表面に水和酸化物を密に均一に形成することができ、表面に微細な凹凸が多く形成され、接触表面積を増加させることができる。このことより、金属3と樹脂9との接合強度を向上させることができる。
また、本実施形態においては、シラン系化合物7のシラノールと金属化合物被膜5の表面の水酸基の脱水縮合反応より、シラン系化合物7と金属化合物被膜5の密着性を向上させることができる。
特に、シラン系化合物として、一般式[1]のシランカップリング剤、及び一般式[2]の化合物を用いる場合、Xは窒素原子を有する基であり、この窒素原子を有する基は、ポリイミド系樹脂と親和性を有しているので、樹脂9がポリイミド系樹脂である場合、金属3と樹脂9の密着性を著しく向上することができる
これらのことより、金属3と樹脂9の間の密着特性を向上させることができる。
さらに、本実施形態におけるアルミニウムと樹脂との複合体の製造方法は、従来に比べて短時間で処理が可能であるため、電線製造工程などの連続製造工程に適用可能である。
次に、本発明の効果をさらに明確にするために、実施例および比較例について詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
1.アルミニウム表面処理
アルミニウム合金(A1N30H、厚さ=100μm)を用い、以下の順で表面処理を行った。
1−1.洗浄処理
(1)脱脂処理:水酸化ナトリウム溶液(10g/L、常温、400A/m)中、30秒間浸漬
(2)水洗:イオン交換水(抵抗率=18.0Ω・cm、Millipore Corp.)へ30秒間浸漬
(3)中和(酸)処理:硝酸(100g/L)中、30秒間浸漬
(4)水洗:イオン交換水へ30秒間浸漬
1−2.水和処理
(1)水和処理:80℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)中、30分間浸漬
(2)水洗:イオン交換水へ30秒間浸漬
1−3.シラン系化合物処理
(1)シラン系化合物処理:アミノシラン(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、Momentive社製 、A1100)1vol%水溶液中、室温で30秒間浸漬
(2)大気熱風恒温槽中、乾燥・熱処理を実施(100℃、1分)
2.アルミニウム表面上への樹脂形成
上記処理のアルミニウム表面上にコーターを用い、均一にポリアミドイミド(PAI、HI406SA)樹脂をコートした(樹脂厚さ=約10μm)。その後、150℃、200℃、250℃の各条件下で20分ずつ熱処理を行い、金属表面上樹脂の焼付けを実施した。
<実施例2>
水和処理条件として40℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)を用いた以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<実施例3>
水和処理条件として60℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)を用いた以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<実施例4>
水和処理条件としてアルミニウム試験片を、80℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)中、5分間浸漬以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<実施例5>
水和処理条件としてアルミニウム試験片を、80℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)中、10分間浸漬以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<実施例6>
水和処理条件としてアルミニウム試験片を、80℃のトリエタノールアミン水溶液(0.5wt.%)中、20分間浸漬以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<比較例1>
実施例1の洗浄処理のみ行った試験片を作製した。
<比較例2>
実施例1の洗浄処理の後、アルミニウム試験片を25℃のアンモニア水溶液(14vol%)中、30分間浸漬した以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<比較例3>
実施例1の洗浄処理の後、アルミニウム試験片をアミノシラン(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、APTES、Momentive社製 、A1100)1vol%水溶液中、室温で30秒間浸漬した以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<比較例4>
シラン系化合物処理を行わずに、樹脂コートを形成した以外は実施例1と同様に試験片を作製した。
<比較例5>
シランカップリング剤としてチオル官能基を有するシラン系化合物(Momentive社製、A189)1vol%水溶液を用いた以外には実施例1と同様に試験片を作製した。特許文献3に記載の製造方法に対応する。
(試験片の密着力評価)
金属・樹脂の密着力評価のため、90°ピール試験を行った。樹脂側をピール速度10mm/min(島津オートクラブ、AG−10kNI)で引っ張り、そのときの応力を測ることで密着力を評価した。試験結果を表に示した。
Figure 0006178612
Figure 0006178612
表1、2から明らかなように、実施例1から6では600N/m以上の高密着力が確認でき、未処理品(比較例1)と比べ、明らかな特性向上が確認できた。一方、従来方法であるアンモニア処理品(比較例2)とチオル基含有シラン化合物処理品(比較例5)では顕著な密着特性の改善が得られないことが分かる。特に、実施例4においては短時間で水和処理を完了しても十分な密着力が得られることがわかる。
図7、図8は、比較例に係る材料と実施例に係る材料の界面剥離モードの概念図を示す。ここで、図7は、比較例における界面剥離モードの概念図を示し、図8は、実施例における界面剥離モードの概念図を示す。ここで、図7において、未処理の比較例1は、密着力評価の際の樹脂53が剥離する時に、金属51と樹脂53の界面で剥離が生じた。同様に、比較例2〜比較例5では、密着力評価の際の樹脂が剥離する時に、樹脂と金属とのいずれかの界面で剥離が生じた。しかしながら、実施例1〜6においては、図8に示すように、水和処理した金属3の金属化合物被膜5内で破壊が起きて剥離が生じていた。すなわち、実施例1〜6では、比較例の場合と比べて剥離挙動が大きく変わっていることが分かった。
比較例と実施例の剥離界面の分析結果は、X線光電子分光(XPS)による金属と樹脂との剥離界面分析によって得られたものであるが、剥離挙動として金属51と樹脂53との界面破壊(図7)が確認された比較例の場合は、金属51と樹脂53との相互作用が弱く、界面での結合力が低いことがその原因と考えられる。一方、剥離挙動として金属化合物被膜5内で凝集破壊(図8)が確認された実施例の場合は、金属と金属水酸化物、樹脂とシランカップリング剤とのそれぞれの界面における相互作用が強く、前記それぞれの界面での結合力が高められた結果、剥離挙動として、界面破壊の代わりにアルミニウム水酸化物層である金属化合物被膜5内での凝集破壊が起こったものと考えられ、このようなメカニズムにより高い密着強度が得られるものと判断できる。
また、銅を導体として用いる従来の電線において、ポリアミドイミド樹脂と銅との密着力は400N/m程度である。さらに、アルミニウムは銅よりも伸びやすいため、アルミニウムと樹脂との密着力は、銅と樹脂との密着力よりも高くなければ、同じ張力で巻きつけることができない。実施例1〜6においては、高い密着力を有するため、高い張力で巻きつけても、樹脂被膜が破壊されることがなく、高密度に巻かれた巻線を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………アルミニウム・樹脂複合体
3………金属
5………金属化合物被膜
7………シラン系化合物
9………樹脂
11………アルミニウム絶縁電線
13………金属線
15………金属化合物被膜
17………シラン系化合物
19………絶縁被膜
21………フラットケーブル
23………導体
25………金属化合物被膜
27………シラン系化合物
29………樹脂層
31………樹脂層
51………金属
53………樹脂

Claims (18)

  1. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属と、前記金属の上に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属と接合する絶縁被覆樹脂と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であり、電線に用いられることを特徴とするアルミニウム・樹脂複合体。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  2. 前記金属化合物被膜は、水和酸化物であるγ−AlO・OHを含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  3. 前記絶縁被覆樹脂が熱硬化性樹脂であり、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  4. 前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤中のYがメトキシ基又はエトキシ基であることを特徴とする請求項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  5. 前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤、又は前記一般式[2]で示す前記化合物中のRがエチレン基(−(CH−)、又はプロピレン基(−(CH−)であることを特徴とする請求項4記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  6. 前記一般式[1]で示す前記シランカップリング剤、又は前記一般式[2]で示す前記化合物中のXがアミノ基、又はイミノ基であることを特徴とする請求項4または5に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  7. 前記シラン系化合物の水酸基が、前記金属化合物被膜の表面に存在する水酸基と脱水縮合して形成していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  8. 前記アルミニウム・樹脂複合体の前記絶縁被覆樹脂を剥離する際に前記金属の表面の前記金属化合物被膜内で凝集破壊が発生することを特徴とする請求項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  9. 前記の電線が巻線であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のアルミニウム・樹脂複合体。
  10. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線と、前記金属線の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属線を被覆する絶縁被膜と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁電線。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  11. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線と、前記金属線の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記金属線を被覆する絶縁被膜と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁巻線。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  12. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体と、前記導体の表面に形成された、アルミニウム水酸化物および/またはアルミニウム水和酸化物からなる金属化合物被膜と、前記金属化合物被膜の上に結合したシラン系化合物と、前記金属化合物被膜と前記シラン系化合物を介して、前記導体を両側から挟む絶縁被覆樹脂層と、を有し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするフラットケーブル。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  13. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属上に樹脂を形成する工程と、を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であり、電線に用いられることを特徴とするアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  14. 前記金属化合物被膜を形成する工程が、前記金属をトリエタノールアミン水溶液に40〜100℃で5〜45分間浸漬することで前記金属の表面に水和酸化物であるγ−AlO・OHを形成させることを特徴とする請求項13に記載のアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
  15. 前記の電線が巻線であることを特徴とする請求項13または14に記載のアルミニウム・樹脂複合体の製造方法。
  16. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属線上に絶縁被膜を形成する工程と、
    を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁電線の製造方法。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  17. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属線を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記金属線上に絶縁被膜を形成する工程と、
    を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするアルミニウム絶縁巻線の製造方法。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
  18. アルミニウム又はアルミニウム合金からなる導体を、トリエタノールアミン水溶液に浸漬することにより金属化合物被膜を形成する工程と、前記金属化合物被膜の上にシラン系化合物を結合させる工程と、複数の樹脂層で前記導体を挟み、前記導体を前記金属化合物被膜および前記シラン系化合物を介して前記樹脂層と接合する工程と、を具備し、前記シラン系化合物が、下記一般式[1]で示すシランカップリング剤、又は前記シランカップリング剤を加水分解して得られた下記一般式[2]で示す化合物であることを特徴とするフラットケーブルの製造方法。
    X−R−Si−Y [1]
    X−R−Si(OH) [2]
    但し、式[1]及び[2]中、Xは窒素原子を有する基であり、Rは、Xとケイ素原子を連結する炭素数1〜6からなるアルキレン基であり、式[1]中、Yはケイ素原子と結合する加水分解性を有する炭素数1〜3のアルコキシ基である。
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