JP6176477B2 - アクリル系重合体、アクリル系重合体の製造方法及びラジカル硬化性化合物の製造方法 - Google Patents

アクリル系重合体、アクリル系重合体の製造方法及びラジカル硬化性化合物の製造方法 Download PDF

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本発明は、耐熱性に優れるアクリル系重合体、該アクリル系重合体の製造方法及び該アクリル系重合体の製造に用いるラジカル硬化性化合物に関する。
近年、電子機器における技術進歩は著しく、集積回路の高密度化、高性能化が急速に進んでいる。プリント配線基板もこれに対応して高密度化、高配線化、部品の表面実装化が進み、従来以上の高精度、高性能が求められるようになってきた。この集積回路の高密度化、高性能化に適合させるため、集積回路の主要材料となるソルダーレジストについて高性能化が検討されてきたが、細密配線を内部に有するビルドアップ基板などではソルダーレジストと封止樹脂との界面でポップコーン現象と呼ばれるクラックを生じる問題があり、さらに高耐熱性のソルダーレジストが求められている。
集積回路の高集積化に伴い、線幅20nm以下の超微細パターニングの手法として、ナノインプリント法が注目を浴びている。このナノインプリント法は大別すると、熱ナノインプリント法と光ナノインプリント法とに分けられる。熱ナノインプリント法はガラス転移温度以上に加熱し、軟化した高分子樹脂にモールドをプレスし、冷却後にモールドを離型することで微細構造を基板上の樹脂に転写するので、ナノパターンを比較的安価に形成でき、種々な分野への応用が期待されている。しかしながら、熱ナノインプリント法では、該高分子樹脂を加熱により軟化させる必要がある為、高いガラス転移温度を有する高分子樹脂を使用しにくく、近年、より高い耐熱性を求められる電気・電子分野への応用は困難であった。
一方、光照射で組成物を光硬化させる光ナノインプリント法では、プレス時にパターン転写するモールド材料を加熱する必要がなく、室温でのインプリントが可能である。光ナノインプリントに適用される光硬化性樹脂は、ラジカル重合タイプとイオン重合タイプ、さらに、これらのハイブリッドタイプがあり、いずれのタイプの硬化性組成物もナノインプリント用途に用いることが可能であるが、材料の選択範囲が広いことから、一般にラジカル重合型の光硬化性組成物が広く検討されている。
ナノインプリント法にて前記高集積の集積回路に加え、液晶ディスプレイの薄膜トランジタ、液晶カラーフィルタ−の保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材の微細加工用途の永久膜を得る際には、高い機械特性、透明性、耐光性、耐熱性が得られるナノインプリント用材料が要求され、特に高い耐熱性に優れる硬化物が得られる材料が要求されている。
高い耐熱性を有する硬化物が得られ、ソルダーレジストとして有用な材料として例えば、ビフェニル骨格を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が知られているが(例えば、特許文献1参照。)、近年要求されている高い耐熱性を有するものではなかった。
特開平9−157340号公報
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性に優れ、ソルダーレジスト、薄膜トランジタ、液晶カラーフィルタ−の保護膜、スペーサー、その他の液晶表示装置用部材の微細加工用途の永久膜として有用なアクリル系重合体、該アクリル系重合体の製造方法及び該アクリル系重合体の製造に用いるラジカル硬化性化合物を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、例えば、特定構造を有する5官能フェノールの水酸基の一部がラジカル重合性不飽和基と置換した構造を有するラジカル硬化性化合物の重合体とアルデヒド化合物とを脱水縮合して得られる硬化物や、前記ラジカル硬化性化合物とアルデヒド化合物とを脱水縮合して得られる重合体をラジカル重合させて得られる硬化物は非常に高い耐熱性を有すること等を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)または一般式(2)
Figure 0006176477
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して下記式(a)
Figure 0006176477
で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基であり、また、少なくとも一つは水素原子である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて得られる重合体(I)と、アルデヒド化合物(B)とを反応させて得られることを特徴とするアクリル系重合体を提供するものである。
また、本発明は、前記ラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる重合体(II)をラジカル重合させて得られることを特徴とするアクリル系重合体を提供するものである。
また、本発明は、前記ラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて重合体(I)を得た後、重合体(I)とアルデヒド化合物(B)とを反応させることを特徴とするアクリル系重合体の製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、前記ラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて重合体(II)を得た後、重合体(II)をラジカル重合させることを特徴とするアクリル系重合体の製造方法を提供するものである。
本発明のアクリル系重合体は、非常に高いレベルの耐熱性を有する。加えて、溶剤への溶解性も良好である。したがって、本発明のアクリル系重合体は、高い耐熱性が要求されるソルダーレジスト用の材料、ナノインプリント用の材料として用いることができる。また、本発明のアクリル系重合体を得る際に用いる重合体は、光硬化性や熱硬化性を有し、光造形や熱造形が可能な為、熱ナノインプリント法の鋳型用材料としても用いることができる。ここで、熱ナノインプリント法でのレジストに用いる熱可塑性樹脂として、高い耐熱性を有するポリフェニレンエーテル(PPE)等のガラス転移温度(Tg)が200℃を超える電気・電子材料用エンジニアリングプラスチックを用いた場合は、該プラスチックの軟化処理温度は300℃以上となるが、本発明のラジカル硬化性化合物の硬化物は非常に高い耐熱性を有する。その為、鋳型用材料として用いることができる。
また、本発明のアクリル系重合体はベンゼン環を高い密度で有するため、より剛直な骨格となり、その硬化物は高い耐熱性を有する。さらに、その剛直な骨格に起因して、その硬化物は高い機械特性(耐衝撃性)、高い耐水性、特に高い硬度も有する。したがって、本発明のアクリル系重合体は高い表面硬度が要求されるテレビ、ビデオカメラ、コンピュータ、携帯電話等の液晶ディスプレイの偏光板に用いられているトリアセチルセルロール(TAC)等のフィルム用ハードコート材;液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の各種ディスプレイの表面を保護する透明保護フィルム用ハードコート材;光学レンズ用ハードコート材等に好適に用いることができる。また、本発明の製造方法により本発明のアクリル系重合体を容易に製造することができる。
本発明のアクリル系重合体は、下記一般式(1)または一般式(2)
Figure 0006176477
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して下記式(a)
Figure 0006176477
で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基であり、また、少なくとも一つは水素原子である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて得られる重合体(I)と、アルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる〔以下、これをアクリル系重合体(I)と略記することがある。〕。
また、本発明のもう一つのアクリル系重合体は、前記ラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる重合体(II)をラジカル重合させて得られる〔以下、これをアクリル系重合体(II)と略記することがある。〕。
本発明の前記アクリル系重合体(I)やアクリル系重合体(II)を得る際に用いる前記一般式(1)及び一般式(2)中のR〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。これらのアルキル基はアクリル系重合体(I)やアクリル系重合体(II)に高い耐熱性を与える。これらのアルキル基の中でも分子運動抑制により分子に高い剛直性を与え、硬化物により高い耐熱性を付与できること、フェノール性ベンゼン核への電子供与性を付与できること、工業的に入手が容易であることから、それぞれメチル基が好ましい。
一般式(1)、一般式(2)中のX〜Xはそれぞれ上記一般式(a)で表される基または水素原子であり、この内の少なくとも一つは式(a)で表される基であり、また、少なくとも一つは水素原子である。本発明においては、式(a)で表される基で表される基を平均で2.2〜3.8個有することが好ましい。2.2〜3.8個有することにより、重合体(I)や重合体(II)がうまく調製でき、且つ、耐熱性に優れるアクリル系重合体(I)が得やすくなる。また、溶剤への溶解性が良好な重合体(I)が得やすくなり、本発明のアクリル系重合体を塗膜化した際への残留溶剤が少なくなることから塗膜特性が低下しないことも期待できる。本発明で用いるラジカル硬化性化合物(A)の中でも、(a)で表される基を2.4〜3.6個有する化合物がより好ましい。
ここで、前記「平均」とは、個々のラジカル硬化性化合物(A)が有する(a)で表される基の数を平均化したものであり、例えば、アクリル系重合体(I)やアクリル系重合体(II)の調製の原料として用いるラジカル硬化性化合物(混合物)が、(a)で表される基を持たない(0個)ラジカル硬化性化合物や(a)で表される基を4個有するラジカル硬化性化合物を含んでいても良い。
ここで、X〜Xが一般式(a)である場合、一般式(a)中のRは同一でも異なっていても良い。
前記式(a)においてRが水素原子である場合は、硬化速度が高く、基材との密着性が高い硬化物が得られるラジカル硬化性化合物が得られる。また、前記式(a)においてRがメチル基である場合は、硬化収縮が少なく、基材との密着性が高い硬化物が得られるラジカル硬化性化合物が得られる。
上記一般式(1)、一般式(2)中のm、n、pおよびqが、それぞれ独立して1〜3の整数であり、oが1であることが好ましい。
本発明で用いるラジカル硬化性化合物(A)としては、例えば、下記一般式(1−1)〜一般式(1−3)や、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるラジカル硬化性化合物等を例示できる。
Figure 0006176477
Figure 0006176477
上記式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して前記式(a)で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。
前記下記一般式(1−1)〜一般式(1−3)や、一般式(2−1)〜一般式(2−3)で表されるラジカル硬化性化合物の具体的なものとして、例えば、下記一般式(3)〜(8)で表されるラジカル硬化性化合物等を例示できる。
Figure 0006176477
Figure 0006176477
更に、前記一般式(3)〜(8)で表されるラジカル硬化性化合物の具体的な化合物としては、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
本発明で用いるラジカル重合性化合物は、本発明の効果を損なわない範囲で下記に例示する化合物等を含んでいても良い。
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
Figure 0006176477
本発明で用いるラジカル硬化性化合物(A)は、例えば、アルキル置換フェノール(a1)と芳香族ジアルデヒド(a2)とを重縮合することにより、下記一般式(11)または一般式(12)
Figure 0006176477
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表される重縮合物(α)を得た後、該重縮合物に(メタ)アクリル酸ハライド(β)とを反応させる方法により得ることができる。
前記一般式(11)または一般式(12)で表される重縮合物(α)としては、例えば、下記に示す重縮合物等が挙げられる。
Figure 0006176477
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の一方又は両方をいう。
前記アルキル置換フェノール(a1)は、フェノールの芳香環に結合している水素原子の一部又は全部がアルキル基に置換している化合物である。このアルキル基としては、炭素原子数1〜8のアルキル基が挙げられ、特にメチル基が好ましい。前記アルキル置換フェノール(a1)としては、例えば、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、p−オクチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフェノール等のモノアルキルフェノール;2,5−キシレノール、3,5−キシレノール、3,4−キシレノール、2,4−キシレノール、2,6−キシレノール等のジアルキルフェノール;2,3,5−トリメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノールなどが挙げられる。また、これらのアルキル置換フェノールの中でも、耐熱性に優れることから、フェノールの芳香環へのアルキル基の置換数2のものが好ましく、中でも、2,5−キシレノール、2,6−キシレノールが好ましい。これらのアルキル置換フェノール(a1)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
前記芳香族ジアルデヒド(a2)としては、例えば、テレフタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、4−メチルフタルアルデヒド等を好ましく用いることが出来る。これらの芳香族ジアルデヒド(a2)は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
前記(メタ)アクリル酸ハライド(β)のハライドとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチンが挙げられる。また、前記(メタ)アクリル酸ハライドの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリル酸ブロマイド、(メタ)アクリル酸アイオダイド等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸ハライドの中でも、反応性が高く、入手が容易であることから、(メタ)アクリル酸クロライドが好ましい。
本発明で用いるラジカル硬化性化合物(A)を製造する上記製法は、具体的には、例えば、下記の3つの工程を経る方法が挙げられる。
(工程1−1)
アルキル置換フェノール(a1)とベンゼン環上に水酸基を有する芳香族ジアルデヒド(a2)とを酸触媒存在下で重縮合することにより、反応溶液中に上記一般式(13)〜一般式(18)等で表される重縮合物(α)を含む粗生成物を得る。
(工程1−2)
工程1−1で得られた重縮合物(α)を反応溶液中から回収(単離)する。
(工程1−3)
工程1−2で単離した重縮合物(α)と(メタ)アクリル酸ハライド(β)とを塩基存在下で反応させる。
前記工程1−1で用いる酸触媒としては、例えば、酢酸、シュウ酸、硫酸、塩酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの酸触媒の中でも、活性に優れる点から、硫酸、パラトルエンスルホン酸が好ましい。なお、酸触媒は、反応前に加えても、反応途中で加えても構わない。
前記工程1−1において、必要に応じて溶媒の存在下で重縮合物を得ても良い。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの溶媒の中でも、得られる化合物の溶解性に優れる点から、2−エトキシエタノールが好ましい。
工程1−1において、アルキル置換フェノール(a1)と芳香族ジアルデヒド(a2)とを重縮合させる際の反応温度としては、例えば、60〜140℃である。また、反応時間は、例えば、0.5〜100時間である。
前記工程1−1におけるアルキル置換フェノール(a1)と芳香族ジアルデヒド(a2)との仕込み比率[(a1)/(a2)]は、未反応のアルキル置換フェノールの除去が容易なこと、生成物の収率が高く純度が高い反応生成物が得られることから、モル比で1/0.2〜1/0.5の範囲が好ましく、1/0.25〜1/0.45の範囲がより好ましい。
前記工程1−1の重縮合の結果、得られる重縮合物(α)は、例えば、下記一般式(19−1)〜一般式(19−8)で表される化合物が例示できる。
Figure 0006176477
Figure 0006176477
前記工程1−1で得られる反応溶液中には重縮合物(α)とともに前記(a1)や(a2)等の未反応物が残存している可能性がある。また、前記一般式(5)や一般式(6)で表される構造を有する縮合物以外の好ましくない縮合物が生成されている可能性もある。このような反応溶液に対して水で再沈殿操作を行い、(メタ)アクリロイル酸ハライド(β)と反応させるための回収物を得ると、この回収物には目的とする重縮合物(A)とともに前記(a1)や(a2)等の未反応物、或いは、上記好ましくない重縮合物を多く含む可能性がある。
そこで、工程1−2において反応溶液から回収した回収物から重縮合物(α)を更に回収し、重縮合物(α)の純度をなるべく高めておく事が好ましい。
(メタ)アクリロイル酸ハライド(β)と反応させる重縮合物(α)の純度は、85%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、94%以上が更に好ましく、98%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。重縮合物(α)の純度はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のチャートにおいて面積比から求めることができる。
本発明において、GPCの測定条件は下記の通りである。
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF802」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF803」(8.0mmФ×300mm)
+昭和電工株式会社製「Shodex KF804」(8.0mmФ×300mm)
カラム温度:40℃
検出器: RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.30」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:1.0ml/分
試料:樹脂固形分換算で0.5質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの
注入量:0.1ml
標準試料:下記単分散ポリスチレン
(標準試料:単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
前記工程1−2において、重縮合物(α)から前記(a1)や(a2)等の未反応物等の不純物を除去することにより、得られるラジカル硬化性化合物(A)の結晶性が高くなる。その為にラジカル硬化性化合物(A)は細密に充填されやすい。細密状に充填されたまま本発明のラジカル硬化性化合物が硬化する。その結果、硬化物の分子運動が抑制され、ガラス転移温度が400℃以上と従来の2倍以上の耐熱性を発現することができる。
前記工程1−2における重縮合物(α)の反応溶液中からの回収方法としては、例えば、反応溶液を反応生成物が不溶又は難溶である貧溶媒(S1)に投入して得られた沈殿物を濾別した後、反応生成物を溶解し貧溶媒(S1)にも混和する溶媒(S2)に溶解し、再度貧溶媒(S1)に投入して生じた沈殿物を濾別する方法が挙げられる。この際に用いる前記貧溶媒(S1)としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、エトキシエタノール等のモノアルコール;n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヒキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。これらの貧溶媒(S1)の中でも、効率よく酸触媒の除去も同時に行えることから、水、メタノール、エトキシエタノールが好ましい。
一方、前記溶媒(S2)としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンなどが挙げられる。前記(S2)としては、前記貧溶媒(S1)として水やモノアルコールを用いた場合には、アセトンが好ましい。なお、前記貧溶媒(S1)及び溶媒(S2)は、それぞれ1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。
工程1−3に用いる塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属の炭酸塩;トリエチルアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;ピリジン等が挙げられる。塩基の中でも重縮合物(A)と(メタ)アクリル酸ハライド(β)との反応後、反応系からの除去が容易であることから炭酸カリウム、3級アミンが好ましく、中でも、炭酸カリウム、トリエチルアミンがより好ましい。
前記工程1−3において、必要に応じて溶媒を用いても良い。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のモノアルコール;エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、トリメチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等のポリオール;2−エトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコールエーテル;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル;エチレングリコールアセテート等のグリコールエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。また、これらの溶媒の中でも、得られる化合物の溶解性に優れる点から、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
工程1−3において、重縮合物(α)と(メタ)アクリル酸ハライド(β)とを反応させる際の反応温度としては、例えば、20〜80℃である。また、反応時間は、例えば、1〜30時間である。
工程1−3における重縮合物(α)と(メタ)アクリル酸ハライド(β)との仕込み比率は、目的とするラジカル硬化性化合物(A)を純度が高く、且つ、収率良く得られることから重縮合物(α)が有するフェノール性水酸基のモル数をα’とした場合、[(α’)/(β)]は、モル比で1/0.5〜1/3の範囲が好ましく、1/1〜1/2の範囲がより好ましい。
本発明のアクリル系重合体は、前記ラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて得られる重合体(I)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる。重合体(I)は、例えば、重合開始剤を加えて、活性エネルギー線を照射するか、熱を加えて硬化させることにより得ることができる。
前記ラジカル硬化性化合物(A)に活性エネルギー線を照射してラジカル重合により硬化させる場合には、重合開始剤として、分子内開裂型光重合開始剤又は水素引き抜き型光重合開始剤を用いる。
前記分子内開裂型光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;1,1’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等のアゾ化合物;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
前記水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物;ミヒラ−ケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
上記の光重合開始剤の中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノンが好ましく、特に1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。また、これらの光重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記光重合開始剤の使用量は、ラジカル硬化性化合物(A)100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。なお、活性エネルギー線として、後述する電子線を用いる場合には、光重合開始剤は不要である。
ラジカル硬化性化合物(A)の硬化に用いる活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。これらの活性エネルギー線を発生させるエネルギー源又は硬化装置としては、例えば、殺菌灯、紫外線灯(ブラックライト)、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀灯、中圧又は高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、ArFエキシマレーザー、紫外線LED、自然光等を光源とする紫外線、又は走査型、カーテン型電子線加速器による電子線等が挙げられる。
また、ラジカル硬化性化合物(A)を熱ラジカル重合により硬化させる場合には、熱ラジカル重合開始剤を用いる。前記熱ラジカル重合開始剤として、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、メチルエチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート等の有機過酸化物;1,1’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド等のアゾ化合物等が挙げられる。これらの熱ラジカル重合開始剤の中でも、ベンゾイルパーオキサイド、1,1’−アゾビスイソブチロニトリルが好ましい。また、これらの熱ラジカル重合開始剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
前記熱ラジカル重合開始剤の使用量は、ラジカル硬化性化合物(A)100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
重合体(I)の重量平均分子量(Mw)は、アルデヒド化合物(B)と反応(付加縮合)させる際に、溶剤に溶解させやすいことから2,000〜60,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましい。
本発明で用いるアルデヒド化合物(B)としては、例えば、芳香族アルデヒド、脂肪族アルデヒド等が挙げられる。芳香族アルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド、桂皮アルデヒド、α−ナフトアルデヒド等が挙げられる。脂肪族アルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレリンアルデヒド、ピバリンアルデヒド、カプロンアルデヒド、ヘプトアルデヒド、カプリルアルデヒド、ペラルゴンアルデヒド、カプリンアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ラウリンアルデヒド、トリデシルアルデヒド、ステアリンアルデヒド、グリオキザ−ル、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド等が挙げられる。アルデヒド化合物(B)としては、重合体(I)との反応性が良好で、本発明のアクリル系重合体を得やすいことから脂肪族アルデヒドが好ましくホルムアルデヒドがより好ましい。
重合体(I)とアルデヒド化合物(B)との反応は、例えば、60〜100℃で2〜20時間行えばよく、これにより、本発明のアクリル系重合体が得られる。
本発明のアクリル系重合体はラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて得られる重合体(I)を得た後、重合体(I)とアルデヒド化合物(B)とを速やかに反応させて得ても良いし、重合体(I)を得た後、これを一時保管しておき、後日アルデヒド化合物(B)と反応させて得ても良い。
また、本発明のもう一つのアクリル系重合体は、ラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる重合体(II)をラジカル重合させて得られる。ラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)との反応は、例えば、60〜100℃で2〜20時間行えばよい。このときに得られる重合体(II)の重量平均分子量(Mw)は、ラジカル重合反応が良好に進むことから2,000〜60000が好ましく、5,000〜20,000がより好ましい。
重合体(II)をラジカル重合させるには、例えば、重合体(I)の調製時と同様に、重合開始剤を加えて、活性エネルギー線を照射するか、熱を加えて硬化させることにより行うことができる。
本発明のアクリル系重合体はラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる重合体(II)を得た後、重合体(II)を速やかにラジカル重合させて得ても良いし、重合体(II)を得た後、これを一時保管しておき、後日ラジカル重合させて得ても良い。
以下に具体的な例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明する。なお、化合物の同定に用いたNMRスペクトルの測定方法は下記の通りである。
H−NMRスペクトル測定方法]
日本電子株式会社製「JNM−GSX500(500MHz,DMSO−d6,TMS)」を用いて構造解析を行った。
合成例1〔ラジカル硬化性化合物(A)の合成〕
冷却管を設置した100ml二口フラスコに2,5−キシレノール7.32g(60mmol)、テレフタルアルデヒド2.01g(15mmol)を仕込み、2−エトキシエタノール30mlに溶解させた。氷浴中で冷却しながら硫酸2mlを添加した後、80℃のオイルバス中で2時間加熱、攪拌し反応させた。反応後、得られた溶液を水で再沈殿操作を行い、粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、さらに水で再沈殿操作を行った後、得られた生成物をろ別、真空乾燥を行い、淡赤色粉末の下記に示す4官能フェノール化合物(a1−1)6.23gを得た。GPC、1H−NMRより目的化合物の生成を確認した。
Figure 0006176477
窒冷却管を設置した100ml二口フラスコに4官能フェノール化合物(a1−1)2.93g(5mmol)、炭酸カリウム4.15g(30mmol)、テトラヒドロフラン30mlを仕込み攪拌を開始した。氷浴中で冷却しながらアクリル酸クロライド1.35g(15mmol)を30分で滴下しながら添加した後、70℃のオイルバス中で16時間加熱、攪拌し反応させた。反応後、得られた溶液から固形分をろ別し、ろ液をクロロホルム60mlと混合し、水50mlで3回洗浄を行った。下層である有機物を分取後、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶液を減圧留去し白色針状結晶のラジカル硬化化合物(A1)1.98gを得た。1H NMRの各ピークより同定し、平均置換数2.4の目的化合物を得たことを確認した。
合成例2(同上)
アクリル酸クロライドを1.80g(20mmol)を使用した他は合成例1と同様の操作を行い、白色針状結晶のラジカル硬化化合物(A2)1.67gを得た。1H NMRの各ピークより同定し、平均置換数がそれぞれ3.0である目的化合物を得たことを確認した。
合成例3(同上)
アクリル酸クロライドを2.70g(30mmol)を使用した他は合成例1と同様の操作を行い、白色針状結晶のラジカル硬化化合物(A3)1.72gを得た。1H NMRの各ピークより同定し、平均置換数がそれぞれ3.6である目的化合物を得たことを確認した。
合成例4〔比較対照用ラジカル硬化性化合物(a´)の合成〕
アクリル酸クロライドをそれぞれ5.40g(60mmol)を使用した他は合成例1と同様の操作を行い、白色針状結晶のラジカル硬化化合物(a´1)2.03gを得た。1H NMRの各ピークより同定し、平均置換数が4.0である目的化合物を得たことを確認した。
合成例5(同上)
フェノールノボラックエポキシ樹脂(エポキシ当量190g/eq)150gとアクリル酸30g及び溶剤としてプロピレングリコールモノメチルアセテート80gを反応容器に仕込み、100℃で5時間反応させてフェノールノボラックエポキシアクリレート〔以下、ラジカル硬化性化合物(a´2)と略記する。〕174gを得た。
実施例1
ラジカル硬化性化合物(A1)0.5gと、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ(株)製)0.05gと、テトラヒドロフラン0.5gをシュレンク管に入れ、窒素雰囲気で凍結乾燥を行った。シュレンク管を密閉し、340nmのバンドパスフィルターを装着した高圧水銀灯で3時間光を照射することによりラジカル硬化性化合物(A1)をラジカル重合させて重合体(I−1)を含む生成物を得た。この生成物に対してメタノールで再沈殿操作を行い、得られた沈殿物をろ過、真空乾燥を行い重合体(I−1)0.32gを得た。冷却管を設置した100ml二口フラスコに重合体(I−1)0.30g、パラホルムアルデヒド0.05g、2−エトキシエタノール10mlを仕込み攪拌を開始した。氷浴中で冷却しながら硫酸0.1mlを添加した後、70℃のオイルバス中で4時間加熱、攪拌し反応させた。得られた溶液を水で再沈殿操作を行い、本発明のアクリル系重合体(1)を含む粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、さらに水で再沈殿操作を行った後、得られた生成物をろ別、真空乾燥を行い、アクリル系重合体(1)を得た。
得られたアクリル系重合体(1)の溶剤への溶解性と耐熱性を下記に従って評価した。評価結果を第1表に示す。
<溶剤への溶解性の評価方法>
アクリル系重合体(1)0.5gとテトラヒドロフラン0.5gをマイクロマグネチックスターラーチップを入れたスクリューキャップ付6mlサンプル瓶に仕込み、目視でアクリル系重合体(1)が溶解するまでの時間で判定した。1分以内に溶けるものを◎、5分以内に溶けるものを○、1時間以内に溶けるものを△、不溶物が残るものを×とした。
<耐熱性の評価方法>
ガラス転移温度を測定することにより耐熱性を評価した。測定は、示差走査熱量計((株)TAインスツルメント製、DSC Q100)を用い、窒素雰囲気下、温度範囲25〜450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を行う事で行った。
実施例2
冷却管を設置した100ml二口フラスコにラジカル硬化性化合物(A1)0.5gとパラホルムアルデヒド0.1gと、2−エトキシエタノール10mlを仕込み攪拌を開始した。氷浴中で冷却しながら硫酸0.1mlを添加した後、70℃のオイルバス中で4時間加熱、攪拌し反応させて重合体(II−1)を含む生成物を得た。この生成物に対して水で再沈殿操作を行い、重合体(II−1)の粗生成物を得た。粗生成物をアセトンに再溶解し、さらに水で再沈殿操作を行った後、得られた生成物をろ別、真空乾燥を行い、重合体(II−1)0.42gを得た。合成した重合体(II−1)0.4gとイルガキュア184(千葉・スペシャリティ(株)製)0.04gとテトラヒドロフラン0.5gをシュレンク管に入れ、窒素雰囲気で凍結乾燥を行った。この反応器を密閉し、340nmのバンドパスフィルターを装着した高圧水銀灯で3時間光を照射し、本発明のアクリル系重合体(2)を含む粗生成物を得た。粗生成物に対してメタノールで再沈殿操作を行い、得られた沈殿物をろ過、真空乾燥を行いアクリル系重合体(2)gを得た。実施例1と同様にしてアクリル系重合体(2)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例3
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりにラジカル硬化性化合物(A2)を用いた以外は実施例1と同様にしてアクリル系重合体(3)を得た。実施例1と同様にしてアクリル系重合体(3)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例4
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりにラジカル硬化性化合物(A2)を用いた以外は実施例2と同様にしてアクリル系重合体(4)を得た。実施例1と同様にしてアクリル系重合体(4)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例5
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりにラジカル硬化性化合物(A3)を用いた以外は実施例1と同様にしてアクリル系重合体(5)を得た。実施例1と同様にしてアクリル系重合体(5)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例4
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりにラジカル硬化性化合物(A3)を用いた以外は実施例2と同様にしてアクリル系重合体(5)を得た。実施例1と同様にしてアクリル系重合体(6)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
比較例1
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりに比較対照用ラジカル硬化性化合物(a´1)を用いた以外は実施例1と同様にして比較対照用アクリル系重合体(1´)を得た。実施例1と同様にして比較対照用アクリル系重合体(1´)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
比較例2
ラジカル硬化性化合物(A1)の代わりに比較対照用ラジカル硬化性化合物(a´1)を用いた以外は実施例2と同様にして比較対照用アクリル系重合体(2´)を得た。実施例1と同様にして比較対照用アクリル系重合体(2´)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
比較例3
比較対照用ラジカル硬化性化合物(a´2)0.5gとイルガキュア184〔千葉・スペシャリティ(株)製〕0.05gとテトラヒドロフラン0.5gをシュレンク管に入れ、窒素雰囲気で凍結乾燥を行った。この反応器を密閉し、340nmのバンドパスフィルターを装着した高圧水銀灯で3時間光を照射した。得られた内容物をメタノールで再沈殿操作を行い、得られた沈殿物をろ過、真空乾燥を行い比較対照用重合体(3´)を得た。実施例1と同様にして比較対照用重合体(3´)の溶剤への溶解性と耐熱性の評価を行った。評価結果を第2表に示す。
Figure 0006176477
Figure 0006176477

Claims (12)

  1. 下記一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0006176477
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して下記式(a)
    Figure 0006176477
    で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基であり、また、少なくとも一つは水素原子である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物(A)をラジカル重合させて得られる重合体(I)と、アルデヒド化合物(B)とを反応させて得られることを特徴とするアクリル系重合体。
  2. 前記一般式(1)または一般式(2)で表されるラジカル硬化性化合物(A)が下記一般式(1−1)または一般式(2−1)
    Figure 0006176477
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して下記式(a)
    Figure 0006176477
    で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物である請求項1記載のアクリル系重合体。
  3. 前記ラジカル硬化性化合物(A)が一般式(3)または一般式(4)
    Figure 0006176477
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X〜Xはそれぞれ独立して下記式(a)
    Figure 0006176477
    で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物である請求項2記載のアクリル系重合体。
  4. 前記ラジカル硬化性化合物(A)が、(a)で表される基を平均2.2〜3.8個有するラジカル硬化性化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載のアクリル系重合体。
  5. 前記R〜Rがそれぞれ独立してメチル基である請求項1〜4のいずれか1記載のアクリル系重合体。
  6. 前記m、n、pおよびqが、それぞれ独立して1〜3の整数であり、oが1である請求項1または2記載のアクリル系重合体。
  7. 前記アルデヒド化合物(B)がホルムアルデヒドである請求項1〜6のいずれか1項記載のアクリル系重合体。
  8. 下記一般式(1)または一般式(2)
    Figure 0006176477
    〔式中、R 〜R は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X 〜X はそれぞれ独立して下記式(a)
    Figure 0006176477
    で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基であり、また、少なくとも一つは水素原子である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物(A)とアルデヒド化合物(B)とを反応させて得られる重合体(II)をラジカル重合させて得られることを特徴とするアクリル系重合体。
  9. 前記ラジカル硬化性化合物(A)が下記一般式(3)または一般式(4)
    Figure 0006176477
    〔式中、R 〜R は、それぞれ独立して炭素原子数1〜8のアルキル基である。X 〜X はそれぞれ独立して下記式(a)
    Figure 0006176477
    で表される基または水素原子であるが、少なくとも一つは式(a)で表される基である。m、n、o、pおよびqは、それぞれ独立して1〜4の整数である。〕で表されるラジカル硬化性化合物であり、前記(a)で表される基を平均2.2〜3.8個有するラジカル硬化性化合物である請求項8記載のアクリル系重合体。
  10. 前記R〜Rがそれぞれ独立してメチル基である請求項8または9記載のアクリル系重合体。
  11. 前記m、n、pおよびqが、それぞれ独立して1〜3の整数であり、oが1である請求項または記載のアクリル系重合体。
  12. 前記アルデヒド化合物(B)がホルムアルデヒドである請求項8〜11のいずれか1項記載のアクリル系重合体。
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