JP6176449B2 - レンズアレイ製造方法 - Google Patents
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Description
請求項1の発明は、親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、該基板の表面を刃によって隔壁を形成し、該刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、該隔壁間は親液性であり、該隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成し、前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域であることを特徴とするレンズアレイ製造方法である。
本実施の形態のレンズアレイは、親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、その基板の表面を刃によって隔壁を形成し、その刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、その隔壁間は親液性であり、その隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成したものである。
このレンズアレイの作成方法として、隔壁ピン止め方法がある。この隔壁ピン止め方法は、樹脂基板を鋭利な刃で引っ掻くことで隔壁を形成し、その隔壁のピン止め効果により流動性樹脂(UV硬化樹脂など)の流動を抑制する。したがって、作成すべきレンズの形状、サイズに合わせたレンズピッチで隔壁を形成し、その隔壁間に流動性樹脂を吐出することで、その形状のレンズを形成できる。レンズの曲率(焦点距離)は吐出する流動性樹脂の体積で制御する。この隔壁ピン止め方法によるレンズ作製方法は、レンズピッチ、焦点距離、レンズサイズを変更できる。本実施の形態は、この隔壁ピン止め方法を用いるものである。
ステップS302では、撥液性の基板110を作成する。図1(a)の例に示すように、撥液性の基板を予め定められた大きさに切断して、透明樹脂であって撥液性の基板110を作成する。「撥液性の基板」とは、基板全体がレンズの材料となる液状樹脂に対して撥液性があるものである。ここで、「撥液性」の定義として、液状樹脂の液滴とその基板とのなす角度である接触角が90度より大となることである。撥液性の基板110の例として、低表面エネルギーの樹脂があり、具体的には、フッ素系樹脂フィルムである、オフロン(登録商標)ETFE(ダイキン工業)、テフロン(登録商標)AFグレード(三井・デュポン社)等がある。
表面処理として、種々の物理的・化学的処理が適用可能である。例えば、親液性の液体を塗布すること、コロナ放電、プラズマ処理(Arなど)、UV(オゾン)処理(なお、フッ素系は効果が小さい)、シランカップリング剤等によって、撥液性の基板110の表面を親液性とする。
なお、撥液性の基板110と刃130は相対的に移動(撥液性の基板110、刃130のいずれか一方、又は両方が移動)すればよい。つまり、隔壁の形成は、撥液性の基板110上で刃130をスライドさせてもよいし、撥液性の基板110に刃130を押し当てて撥液性の基板110を移動させてもよい(以下、同様)。
図4は、隔壁を形成して、レンズアレイを製造する方法(隔壁ピン止め方法の原理)の一例を示す説明図である。ここでは、説明を簡単にするために、1つの刃130で隔壁を形成し、1つの樹脂滴下装置440で樹脂を滴下している。もちろんのことながら、ここでの撥液性の基板110には親液性表面膜120がある。
図4(a1)に例示するように、刃130で切削させる走査を行って溝132を形成し(撥液性の基板110に溝132の切り込みを入れ)、溝132の両端に隔壁132a、隔壁132bを形成する。図4(a2)の例は、刃130が撥液性の基板110に切り込みを入れた場面の断面を示したものである。
次に、図4(b)に例示するように、刃130をピッチ430の距離だけ移動させ、切り込みを入れ(溝134、溝136)、隔壁134a、134b、136a、136b等を形成する。ピッチ430は、隔壁間の距離であり、レンズ幅となる。つまり、ピッチ430を制御することによって、レンズ幅を制御する。
図4(c)に例示するように、隔壁間(例えば、隔壁132bと隔壁134aの間)に、樹脂滴下装置440によってUV硬化樹脂(UV硬化樹脂162等)を吐出する。樹脂の吐出量により曲率制御をする。
壁602は、溝132を形成する壁の片方であるとする。液滴604は、レンズ材の樹脂が誤って溝132に落下したものである。接触角ヒステリシスは、液滴604の上側の後退接触角(θr)と下側の前進接触角(θa)の差分(θa−θr)である。
撥液性の基板は、溝の部分を滑らかにするために、その基板の材料以外の微粒子を含まないようにしてもよい。ここでの微粒子(フィラー)とは、一般に基板の樹脂の機能を高めるために充填する無機又は有機性の微粒子であるが、本実施の形態では、この微粒子を含ませないようにしている。
そして、図3に例示のフローチャートにおいて、ステップS308の後(ステップS310の前)で、ステップS308によって、溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去する除去ステップを設けてもよい。ステップS310では、除去ステップによって、溝から液状の樹脂が除去された後に、レンズを形成するようにしてもよい。これらの処理の対象となる基板は、微粒子を含むものであってもよいし、基板の材料以外の微粒子を含まないものであってもよい。
この製造方法は、隔壁構造を格子状に形成するものである。主に正方形レンズの製造方法について、図7、図8を用いて説明する。図7は、レンズアレイの製造方法の例を示す説明図である。図8は、レンズアレイの製造方法例を示すフローチャートである。
ステップS802では、図7(a)の例に示すような一方向(垂直方向)の隔壁形成を行う。つまり、透明樹脂の基板700に対して、刃(Blade)710によって垂直方向の溝(溝720、730、740等)をつけることによって隔壁(隔壁722、724、732、734、742、744等)を生成する。
なお、このステップS804では、刃710を基板700に対して、相対的に移動することで隔壁を形成しているが、正方形開口の形状をした刃(金型)を基板に押し当てて隔壁を形成してもよい。レーザー光によるアブレーションにより溝構造を形成してもよい。また、この場合、刃の形状として、正方形開口以外に、多角形開口(例えば、長方形(縦と横の長さが異なる四角形)、六角形等)、円開口、楕円開口等を含んでいてもよい。なお、レンズの形状(開口)とは、隔壁によって囲まれた領域の形状のことをいう。
ステップS802、ステップS804の処理によって、図2の例に示すように、溝の部分は撥液性であり、隔壁間は親液性である開口が形成される。
120…親液性表面膜
130…刃
132…溝
132a、132b…隔壁
134…溝
134a、134b…隔壁
136…溝
136a、136b…隔壁
138…溝
138a、138b…隔壁
140…溝
140a、140b…隔壁
162…UV硬化樹脂
190…UV光源
440…樹脂滴下装置
Claims (5)
- 親液性の表面処理を施した撥液性の基板に、該基板の表面を刃によって隔壁を形成し、該刃によって形成された溝の部分は撥液性であり、該隔壁間は親液性であり、該隔壁間に液状樹脂によってレンズを形成し、
前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域である
ことを特徴とするレンズアレイ製造方法。 - 前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まない
ことを特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ製造方法。 - 撥液性の基板に親液性の表面処理を施す表面処理ステップと、
前記表面処理ステップが施された前記基板の表面に、刃によって隔壁を形成することによって、該刃によって形成された溝の部分を撥液性とし、該隔壁間を親液性とする隔壁形成ステップと、
前記隔壁形成ステップによって形成された隔壁間に、液状の樹脂を吐出又は塗布する吐出塗布ステップと、
前記吐出塗布ステップによって吐出又は塗布された液状の樹脂を硬化させることによってレンズを形成するレンズ形成ステップ
を具備し、
前記隔壁間とは、前記刃の切り込みによって形成される2つの隔壁によって形成された4つの壁面のうち、隔壁の外壁側(溝を構成する壁面ではない側の壁面)によって形成されるレンズ形成用の領域である
ことを特徴とするレンズアレイ製造方法。 - 前記吐出塗布ステップによって、前記溝に対して吐出又は塗布された液状の樹脂を除去する除去ステップ
をさらに具備し、
前記レンズ形成ステップは、前記除去ステップによって、前記溝から液状の樹脂が除去された後に、レンズを形成する
ことを特徴とする請求項3に記載のレンズアレイ製造方法。 - 前記基板は、該基板の材料以外の微粒子を含まない
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のレンズアレイ製造方法。
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