JP6176344B1 - タイヤパンクシール剤、および、タイヤパンク修理キット - Google Patents
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Abstract
Description
(式(1)中、R1は、水素原子またはアルキル基を表す。pは、1以上の整数を表す。)」が記載されている。
すなわち、以下の構成により上記課題を達成することができることを見出した。
[2]ノニオン系界面活性剤が、後述する式(B)で表される、[1]に記載のタイヤパンクシール剤。
[3]ノニオン系界面活性剤の含有量が、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜60質量部である、[1]または[2]に記載のタイヤパンクシール剤。
[4]後述する式(A)において、R1の炭素数が1である、[1]〜[3]のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
[5]後述する式(B)において、R3の炭素数が8〜20である、[2]〜[4]のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤を含む、タイヤパンク修理キット。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、後述する式(A)で表されるグリコールエーテルと、HLB値が15〜20であるノニオン系界面活性剤と、を含有するタイヤパンクシール剤である。このような構成を有する本発明のタイヤパンクシール剤は、優れた保管性能を有する。
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンを含む。ラテックスとは、ゴム粒子の水分散体のことを指す。使用前の本発明のタイヤパンクシール剤は、液中にゴム粒子および/または樹脂が分散した状態となっている。なお、以下の説明において、タイヤパンクシール剤中に分散したゴム粒子および/または樹脂のことを、以下「分散粒子」ともいう。このタイヤパンクシール剤は、後述する方法によりタイヤに注入され、同時に、または、その後、高圧のガス、例えば空気がタイヤ内に充填され、その後、タイヤが回転される。このとき、タイヤにパンクの原因となる孔(以下「パンク孔」ともいう)がなければ、タイヤパンクシール剤中の分散粒子に物理的および化学的な顕著な変化は生じないと推測される。しかし、パンク孔がある場合、タイヤを回転させることによってタイヤ内に広がったパンクシール剤のうち、パンク孔付近にあるものは、タイヤ内外の気圧差により、パンク孔に吸引され、大きなせん断力を受ける。このせん断力により、分散粒子の少なくとも一部が不可逆的に凝固し、パンク孔がふさがれる、すなわち、シールされる。上記のとおり、分散粒子が液中で安定して存在し、せん断力をうけてはじめて凝固することで、本発明のタイヤパンクシール剤は優れたシール性を発揮する。
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンを含有する。
本発明においては、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンのいずれか一方または両方を使用することができ、シール性が良好となる点で、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンを併用することが好ましい。
ゴムラテックスと樹脂エマルジョンとを併用する場合、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との質量比(ゴムラテックスの固形分の質量/樹脂エマルジョンの固形分の質量)は、シール性がより良好となる点で、10/90〜90/10であることが好ましく、40/60〜60/40であることがより好ましい。
上記ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、および、スチレンブタジエンアクリルゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、弱いせん断力で不可逆的に凝固しやすい点で、天然ゴムラテックスが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤では、ゴムラテックスを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記天然ゴムラテックスとしては、特に限定されず、例えば、ヘベア・ブラジリエンシス樹をタッピングして採取されるもの、天然ゴムラテックスからタンパク質を除去した脱タンパク天然ゴムラテックスなどが挙げられる。脱タンパクにより、天然ゴムラテックスの分散状態が安定となりやすいことが知られており、そのような脱タンパク天然ゴムラテックスとしては、例えば、脱タンパク天然ゴムラテックス(SeLatexシリーズ、SRIハイブリッド社製)、脱タンパク天然ゴムラテックス(HA、野村貿易社製)、および超低アンモニア天然ゴムラテックス(ULACOL、レヂテックス社製)などが挙げられる。上記天然ゴムラテックスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ゴムラテックス中の固形分の含有量は特に限定されないが、ゴムラテックス全体に対して40〜80質量%であることが好ましい。
上記樹脂エマルジョンは、特に限定されず、公知の樹脂エマルジョンを用いることができる。なかでも、合成樹脂エマルジョンが好ましい。樹脂エマルジョンは、樹脂が分散質として、水などの分散媒に分散しているエマルジョンである。このとき、分散質である樹脂の相は、液相であっても固相であってもよい。なお、本明細書では、液相である分散媒に液相である分散質が分散した系である「エマルジョン」と、液相である分散媒に固相である分散質が分散した系である「サスペンション」と、をあわせて「エマルジョン」という。
本発明のタイヤパンクシール剤は、下記式(A)で表されるグリコールエーテルを含有する。
R1−O−(CH2CH2O)n−R2 (A)
本発明のタイヤパンクシール剤は、HLB値が15〜20であるノニオン系界面活性剤を含有する。ここで、HLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性または親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。本明細書において、HLB値とは、グリフィン法により求めたHLB値をさす。グリフィン法によるHLB値は以下の式により求めることができる。
式:HLB値=20×界面活性剤の親水部の式量/界面活性剤の分子量
本明細書において、界面活性剤の親水部とは、例えば、エチレンオキシ部位、プロピレンオキシ部位、および多価アルコール部位(グリコール、グリセリン、グルコシド、ソルビタン、マンニット、または、ソルビット)などのことをいう。
ノニオン系界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、下記式(B)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
R3−O−(CH2CH2O)m−H (B)
本発明のタイヤパンクシール剤は、必要に応じて、上述した各成分以外のその他の成分を任意成分として含有してもよい。任意成分としては、例えば、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、チキソトロピー付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、分散剤、および帯電防止剤などが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤の製造方法は特に限定されず、例えば、上述した各成分を混合し、撹拌機を用いて分散させる方法などが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤は、例えば自動車などのパンクしたタイヤの修理に使用することができる。以下では、使用方法の例について説明するが、本発明のタイヤパンクシール剤の使用方法は以下に限定されない。
まず、パンクしたタイヤの空気注入バルブからバルブコアと呼ばれる部品を外し、その上で空気注入バルブから本発明のタイヤパンクシール剤をタイヤに注入する。このとき、注入するタイヤパンクシール剤の量は特に限定されないが、タイヤのサイズによって必要量が異なり、200〜500gが一般的である。その後、バルブコアを戻して所定の内圧に達するまでタイヤに空気を充填したら、ただちにタイヤを回転させる。なお、タイヤを回転させるためには、自動車を走行させることが多い。すると、タイヤパンクシール剤がタイヤ内部に広がり、パンク孔付近では、タイヤ内外の気圧差により、タイヤパンクシール剤がパンク孔に吸引され、大きなせん断力を受ける。このせん断力によりタイヤパンクシール剤中の分散粒子が凝固し、パンク孔がふさがれる。なお、本発明のタイヤパンクシール剤は自動車のタイヤだけでなく、自転車および自動二輪車のタイヤにも適用することができる。
本発明のタイヤパンク修理キットは、本発明のタイヤパンクシール剤を含んでいれば、その他の構成部材および態様は特に限定されないが、例えば、本発明のタイヤパンクシール剤およびその他のタイヤパンク修理に必要な部材が同梱されたものが挙げられる。上述の必要な部材としては、例えば、コンプレッサー、工具類(例えば、バルブコアを外すためのコア回しと呼ばれる工具)、注入用ノズル、スペア部品(例えば、スペアバルブコア)、取り扱い方法を記載した文書、作業用手袋および速度限定シールなどが挙げられる。
下記表1に示される成分を同表に示される含有量(質量部)となるよう混合し、攪拌機を用いて分散させ、実施例および比較例のタイヤパンクシール剤を製造した。なお、表1中、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについてカッコ内の数値は固形分の質量部を表す。
上記の方法により製造したタイヤパンクシール剤300gを横浜ゴム製修理液ボトルに封入し、温度70℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽に保管した。このタイヤパンクシール剤について、10日間に1度、目視により、膜の発生の有無を確認した。なお、膜とは、タイヤパンクシール剤の液の表層に張る膜のことを指し、タイヤパンクシール剤中における凝固物の発生を示唆する指標である。評価は、膜が発生するまでの期間(保管性能)とし、これを表1に示した。なお、保管性能40日以上を実用範囲とした。
・ゴムラテックス:天然ゴムラテックス(HYTEX−HA、固形分:60質量%、フェルフェックス社製(野村貿易社取扱))
・樹脂エマルジョン:エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン(スミカフレックス950HQ、固形分:50質量%、住化ケムテックス社製)
・MTG:トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルトリグリコール、日本乳化剤社製、グリコールエーテルに該当)
・MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール、日本乳化剤社製、グリコールエーテルに該当)
・MG:エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルグリコール、日本乳化剤社製、グリコールエーテルに該当)
・EG:エチレングリコール(三菱化学社製)
・PG:プロピレングリコール(ADEKA社製)
・界面活性剤1:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値18.1、NEWCOL 1860、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤2:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(HLB値13.9、エマルゲン320P、花王社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤3:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(HLB値18.4、エマルゲン150、花王社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤4:ポリオキシエチレンオレイルエーテル(HLB値12.4、NEWCOL 1210、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤5:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値18.2、NEWCOL 2344、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤6:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(HLB値14.5、NEWCOL 2312、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレンアルキルエーテルに該当)
・界面活性剤7:アルキル硫酸エステル(NEWCOL 290−A、日本乳化剤社製、アニオン系界面活性剤)
実施例1、6、7および8を比較すると、所定のノニオン系界面活性剤の含有量がゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して3〜40質量部である実施例1、7および8は、保管性能がより良好であることがわかった。
実施例1〜4を比較すると、所定のグリコールエーテルの含有量が、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して25〜100質量部である実施例1、2および4は、保管性能がより良好であり、25〜50質量部である実施例2および4は、保管性能がさらに良好であることがわかった。
実施例1、9および20を比較すると、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを含有する実施例9は、保管性能がより良好であることがわかった。
実施例1ならびに実施例12および13を比較すると、界面活性剤1を含有する実施例1は、保管性能がより良好であることがわかった。
Claims (6)
- ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、下記式(A)で表されるグリコールエーテルと、ノニオン系界面活性剤と、を含有し、
前記ノニオン系界面活性剤のHLB値が15〜20である、タイヤパンクシール剤。
R1−O−(CH2CH2O)n−R2 (A)
(式(A)中、R1は炭素数1〜5の1価の脂肪族炭化水素基を表し、nは1〜5の整数を表し、R2はアルキル基または水素原子を表す。) - 前記ノニオン系界面活性剤が、下記式(B)で表される、請求項1に記載のタイヤパンクシール剤。
R3−O−(CH2CH2O)m−H (B)
(式(B)中、R3は1価の脂肪族炭化水素基を表し、mは6以上の整数を表す。 - 前記ノニオン系界面活性剤の含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜60質量部である、請求項1または2に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記式(A)において、R1の炭素数が1である、請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記式(B)において、R3の炭素数が8〜20である、請求項2〜4のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤパンクシール剤を含む、タイヤパンク修理キット。
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