JP5958595B1 - タイヤパンクシール剤 - Google Patents
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パンク修理キットは、タイヤパンクシール剤(タイヤパンクシール材)と任意のコンプレッサー等とを組み合わせた構成が知られており、また、実際の製品としては、「タイヤパンク応急修理剤」等と称するタイヤパンクシール剤と、シガーライターソケットから電源を採る小容量のコンプレッサー等とを組み合わせ、コンパクトにパッケージングしたものが一般的に知られている。
また、特許文献2には、「天然ゴムラテックス、粘着付与剤、1,3−プロパンジオール及びノニオン性界面活性剤を含むタイヤのパンクシーリング剤。」が開示されている(請求項1)。
本発明者が特許文献1や2に開示されるタイヤパンクシール剤について検討したところ、従来よりも少ない液量(従来の2/3程度の液量)で使用した場合に、シール性が必ずしも十分とは言えないことが明らかになった。
しかしながら、タイヤパンクシール剤によって発生した泡が、すぐに破泡してしまうと、十分なシール性を確保できなくなる場合がある。
すなわち、本発明者は、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
後述する一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーンと、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する、タイヤパンクシール剤。
[2]
上記ポリエーテル変性シリコーンの含有量が、上記ゴムラテックスの固形分と上記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、上記[1]に記載のタイヤパンクシール剤。
[3]
上記グリコール類が、後述する一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、上記[1]または[2]に記載のタイヤパンクシール剤。
なお、本発明において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明において「AおよびBの含有量」とあるのは、AとBとを両方含有する場合には、AおよびBの含有量の合計を指し、AまたはBの一方を含有する場合には、含有する一方の成分の含有量を指す。
ここで、タイヤパンクシール剤を用いたタイヤパンク修理では、パンクしたタイヤにタイヤパンクシール剤を注入し、その状態で走行する。このとき、タイヤ中でタイヤパンクシール剤が撹拌され、結果、パンク孔に浸入したタイヤパンクシール剤中の固形分が析出し、パンク孔が塞がれる。
本発明者は、界面活性剤を含有するタイヤパンクシール剤を用いた場合、タイヤ中のタイヤパンクシール剤が攪拌された際にこれが発泡するために、液量を減らしてもシール性を確保できることを知見している。
しかしながら、発生した泡がすぐに破泡してしまうと、発泡によるシール性の向上が十分に発揮できないという問題が生じてしまう。
このような問題に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーンを配合することで、タイヤパンクシール剤により生じる泡の保持性に優れ、優れたシール性を示すことを見出した。
本発明のタイヤパンクシール剤は、下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーン(以下、「特定のポリエーテル変性シリコーン」ともいう。)を含有する。
上記一般式(1)中、R2は、アルキル基を表す。アルキル基は特に限定されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
複数のR1は同一であっても異なっていてもよく、複数のR2は同一であっても異なっていてもよい。
上記aおよびbはそれぞれ独立に、1〜10の整数を表す。
特定のポリエーテル変性シリコーンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のタイヤパンクシール剤は、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンを含有する。なかでも、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンを含有するのが好ましい。すなわち、ゴムラテックスと樹脂エマルジョンとを併用するのが好ましい。
以下、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについて説明する。
上記ゴムラテックスは特に限定されず、従来公知のゴムラテックスを用いることができる。
ゴムラテックスの具体例としては、天然ゴムラテックス、クロロプレンラテックス、スチレンブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリルブタジエンゴムラテックス、スチレンブタジエンアクリルゴムラテックスなどが挙げられる。なかでも、天然ゴムラテックスが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤では、ゴムラテックスを1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
天然ゴムラテックスの具体例としては、ヘベア・ブラジリエンシス樹をタッピングして採取されるもの、天然ゴムラテックスから蛋白質を除去した所謂「脱蛋白天然ゴムラテックス」などが挙げられる。
上記樹脂エマルジョンは、特に限定されず、従来公知の樹脂エマルジョンを用いることができる。なかでも、合成樹脂エマルジョンが好ましい。
上記合成樹脂エマルジョンの具体例としては、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン、ポリ塩化ビニル系エマルジョンなどが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂エマルジョンは、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョンまたはエチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのが好ましく、エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョンであるのがより好ましい。
また、ゴムラテックスの固形分と樹脂エマルジョン固形分との合計の含有量は特に制限されないが、タイヤパンクシール剤全体に対して10〜50質量%であることが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤は、グリコール類を含有する。グリコール類とは、グリコールおよびグリコールエーテルを含む概念である。
グリコールエーテルとしては、例えば、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルが挙げられる。
グリコール類は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
グリコール類の中でも、泡の保持性およびシール性がより優れたものになるという観点から、グリコールエーテルを用いることが好ましい。
また、R12の炭素数は、タイヤパンクシール剤の初期泡立ち性と、泡の保持性(持続性)と、を高いレベルで両立できるという観点から、1であることが好ましい。
本発明のタイヤパンクシール剤に含有される界面活性剤は特に限定されず、従来公知の界面活性剤を用いることができる。界面活性剤の具体例としては、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルエステルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルファスルホ脂肪酸エステル塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルリン酸塩、モノアルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルケニルコハク酸塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン酢酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、ジメチルアルキルベタイン、アルキルアミドベタインなどが挙げられる。
上記式(5)で表されるカチオンとしては、例えば、トリエタノールアンモニウムなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量が1質量部以上であることで、タイヤパンクシール剤の泡立ちが向上して、シール性がより優れたものとなる傾向にある。また、界面活性剤の含有量が20質量部以下であることで、ゴムラテックスの安定性が低下して、機械安定性が向上することにより、シール性がより優れたものとなる傾向にある。
本発明のタイヤパンクシール剤は、必要に応じて、上述した各成分以外の成分(任意成分)を含有してもよい。そのような任意成分としては、例えば、凍結防止剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、顔料(染料)、可塑剤、揺変性付与剤、紫外線吸収剤、難燃剤、分散剤、脱水剤、帯電防止剤などが挙げられる。
本発明のタイヤパンクシール剤の製造方法は特に制限されず、例えば、上述した各成分を混合、攪拌する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、混合や攪拌の後に濾過を行ってもよい。
下記第1表に示される成分を同表に示される割合(質量部)で攪拌機を用いて混合し、タイヤパンクシール剤(実施例および比較例のタイヤパンクシール剤)を製造した。なお、第1表中、ゴムラテックスおよび樹脂エマルジョンについてカッコ内の数値は固形分の質量部を表す。
上記のようにして得られたタイヤパンクシール剤を目盛付のプラスチックビーカーに入れ、ハンドミキサーにて攪拌した。攪拌後、プラスチックビーカーの目盛を読取り、発泡率を算出した。発泡率は、攪拌前のタイヤパンクシール剤の容量に対する、攪拌後に増加したタイヤパンクシール剤の容量の割合(%)をいう。具体的には、発泡前に100mlであったタイヤパンクシール剤が、攪拌による発泡で150mlの目盛を指した場合には、発泡率は50%である。
そして、以下の基準により初期発泡性を評価した。結果を第1表に示す。初期発泡性の観点から、Aであることが好ましい。
・A:発泡率が50%以上であった。
・B:発泡率が1%以上50%未満であった。
・C:発泡率が1%未満、あるいは発泡しなかった。
上記のようにして得られたタイヤパンクシール剤について、ロスマイルス法(JIS K3362に準拠)に準ずる方法で測定した。具体的には、50mlのタイヤパンクシール剤を入れた容器内に、900mmの高さから200mlの試料液を30秒間で落下させたときに生じる泡の高さを基準値(100%)とし、泡の高さが規定の割合(%)になるまでの時間を測定した。
そして、以下の基準により泡保持性を評価した。結果を第1表に示す。泡保持性の観点から、AまたはBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
・A:10分以上であった。
・B:6分以上10分未満であった。
・C:3分以上6分未満であった。
・D:3分未満、または、そもそも発泡しなかった。
得られたタイヤパンクシール剤について以下のとおりシール性を評価した。
タイヤのトレッドのショルダー溝部にパンク孔(直径4mm)を空けた。
次いで、パンク孔を空けたタイヤをドラム試験機に装着し、得られたタイヤパンクシール剤をタイヤのバルブ口から300ml注入し、タイヤ内圧が150kPaになるように空気を充填した。なお、上記300mlは従来の液量のおよそ2/3に当たる。
その後、荷重350kg、時速30kmの条件下で上記タイヤを1分間走行させて停止する間欠運転を、空気漏れが無くなるまで(シールされるまで)繰り返した。空気漏れの有無は、目視および石鹸水をパンク孔付近に吹き付けることで確認した。
そして、以下の基準によりシール性を評価した。結果を第1表に示す。シール性の観点から、AまたはBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。
・A:間欠運転5サイクル以内にシールされた。
・B:間欠運転6〜10サイクルでシールされた。
・C:間欠運転11サイクル以上でシールされた。
・D:シールされなかった。
・ゴムラテックス:天然ゴムラテックス(Hytex HA、固形分:60質量%、フェルフェックス社製(野村貿易社取扱))
・樹脂エマルジョン:エチレン−酢酸ビニル−バーサチック酸ビニル共重合体エマルジョン(スミカフレックス950HQ、固形分:50質量%、住化ケムテックス社製)
・PG:プロピレングリコール
・MDG:ジエチレングリコールモノメチルエーテル
・SZ−1919:一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング社製
・SH 192:一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーン、東レ・ダウコーニング社製
・SH 200:ジメチルポリシロキサン、東レ・ダウコーニング社製
・界面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン123P」、花王社製)
実施例2と実施例4との対比から、グリコール類としてグリコールエーテルを用いた実施例2は、泡保持性およびシール性により優れることが示された。
Claims (3)
- 下記一般式(1)で表されるポリエーテル変性シリコーンと、グリコール類と、ゴムラテックスおよび/または樹脂エマルジョンと、界面活性剤と、を含有する、タイヤパンクシール剤。
- 前記ポリエーテル変性シリコーンの含有量が、前記ゴムラテックスの固形分と前記樹脂エマルジョンの固形分との合計100質量部に対して、1〜20質量部である、請求項1に記載のタイヤパンクシール剤。
- 前記グリコール類が、下記一般式(2)で表されるグリコールエーテルである、請求項1または2に記載のタイヤパンクシール剤。
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