発明の実施の形態の説明に先立って、反射型光学センサの概念や用語の説明を行う。
図1は、画像形成装置の1種である「カラープリンタ」を説明するための図である。
カラープリンタは、電子写真プロセスによりトナー画像を形成し、該トナー画像をシート状記録媒体の表面に、定着装置により定着して画像形成を行う画像形成装置である。
図1(a)は、カラープリンタ100の要部のみを説明図的に示している。カラープリンタ100は、所謂「タンデム型のプリンタ」である。
符号11で示す「転写ベルト」は無端ベルトで、駆動ローラを含む複数のローラ(図では3本)に掛け回されて設けられ、駆動ローラに駆動されて反時計回りに回転する。
転写ベルト11の、図で下側の部分は「平面的」に張られ、この部分に作像ユニットUY、UM、UC、UBが配設されている。
符号中の「Y、M、C、B」は、夫々「イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック」の各色を表す。
作像ユニットUYはイエロー画像を作像するユニット、作像ユニットUMはマゼンタ画像を作像するユニットである。
また、作像ユニットUCはシアン画像を作像するユニット、作像ユニットUBはブラック画像を作像するユニットである。
作像ユニットUY〜UBの下方には、「画像書き込み装置」である光走査装置13が配備され、更にその下方にカセット15が配置されている。
作像ユニットUY〜UBは、構造的には同一のものであるので、作像ユニットUYを例に取り、図1(b)を参照して簡単に説明する。
作像ユニットUYは、光導電性の感光体ドラム20Yの周囲に、帯電器30Y、現像装置40Y、転写部材50Y、クリーニング装置60Yを配置した構造となっている。
帯電器30Yは「接触式の帯電ローラ」である。
帯電器30Yと現像装置40Yとの間は「走査光LYによる画像書き込み部」として設定されている。
転写部材50Yはローラ状であって、転写ベルト11を介して感光体ドラム20Yと反対側に配置され、転写ベルト11の裏面に接触している。
作像ユニットUM〜UBも、作像ユニットUYと同様の構成である。
以下、感光体ドラム20M〜20B、帯電器30M〜30B、現像装置40M〜40B、転写部材50M〜50B、クリーニング装置60M〜60Bとする。
このようなカラープリンタ100による「カラー画像プリントのプロセス」は良く知られているが、以下に簡単に説明する。
なお、図1(b)の「破線で示す長方形」は、作像ユニットUYのユニットを「一まとめ」に示すものであり、ケーシング等の実体を示すものでは必ずしも無い。
カラー画像形成のプロセスが開始すると、感光体ドラム20Y〜20B、転写ベルト11が回転を開始する。
各感光体ドラム20Y〜20Bの回転は時計回り、転写ベルト11の回転は反時計回りである。
感光体ドラム20Y〜20Bの感光面は、帯電器30Y〜30Bによりそれぞれ均一帯電される。
光走査装置13は、各感光体ドラム20Y〜20Bに対して、走査光LY〜LBによる光走査で画像書き込みを行なう。
なお、このような画像書き込みを行なう光走査装置13は、従来から種々のものが良く知られており、光走査装置13としては、これら周知のものが適宜利用される。
感光体ドラム20Yに対しては、イエロー画像に応じて強度変調されたレーザビームを走査光LYとして光走査が行われ、イエロー画像が書き込まれる。
この光走査により「イエロー画像に対応する静電潜像」が形成される。
形成された静電潜像は所謂ネガ潜像であり、現像ユニット40Yによりイエロートナーを用いる反転現像により「イエロートナー画像」として可視化される。
可視化されたイエロートナー画像は、転写ローラ50Yにより、転写ベルト11の表面側に静電的に1次転写される。
感光体ドラム20Mに対しては、マゼンタ画像に応じて強度変調されたレーザビームを走査光LMとして光走査が行われ、マゼンタ画像が書き込まれる。
この光走査により、マゼンタ画像に対応する静電潜像(ネガ潜像)が形成される。
形成された静電潜像は、現像ユニット40Mによりマゼンタトナーを用いる反転現像により「マゼンタトナー画像」として可視化される。
感光体ドラム20Cに対しては、シアン画像に応じて強度変調されたレーザビームを走査光LCとして光走査が行われ、シアン画像が書き込まれる。
この光走査により、シアン画像に対応する静電潜像(ネガ潜像)が形成される。
形成された静電潜像は、現像ユニット40Cによりシアントナーを用いる反転現像により「シアントナー画像」として可視化される。
感光体ドラム20Bに対しては、ブラック画像に応じて強度変調されたレーザビームを走査光LBとして光走査が行われ、ブラック画像が書き込まれる。
この光走査により、ブラック画像に対応する静電潜像(ネガ潜像)が形成される。
形成された静電潜像は、現像ユニット40Bによりブラックトナーを用いる反転現像により「ブラックトナー画像」として可視化される。
マゼンタトナー画像は、転写ローラ50Mにより転写ベルト11側へ静電的に1次転写される。
このとき、マゼンタトナー画像は、転写ベルト11上に「先に転写されているイエロートナー画像」に重ね合せられる。
同様に、シアントナー画像は、転写ローラ50Cにより、転写ベルト11上に1次転写される。
その際、シアントナー画像は「先に重ね合わせて転写されたイエロートナー画像、マゼンタトナー画像」に重ね合わせられる。
ブラックトナー画像は、転写ローラ50Bにより、転写ベルト11上のイエロー、マゼンタ、シアンの各色トナー画像に重ね合わせて1次転写される。
このようにして、転写ベルト11上で、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー画像が重ね合わせられて「カラートナー画像」が形成される。
各感光体ドラム20Y〜20Bは、トナー画像転写後にそれぞれ、クリーニング装置60Y〜60Bによりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等を除去される。
転写紙Sは、カセット15内に積載されて収容され、図示されない周知の給紙機構により給紙される。
給紙された転写紙Sは、図示されないタイミングローラ(レジストローラとも言う。)により尖端部を保持された状態で待機する。
そして、転写ベルト11上のカラートナー画像の移動にタイミングを合わせて「2次転写部」へ送り込まれる。
2次転写部は、転写ベルト11と、これに接して連れ回りする2次転写ローラ17との当接部である。
転写紙Sは、転写ベルト11上のカラートナー画像が2次転写部に到達するのにタイミングを合わせて、タイミングローラにより2次転写部に送り込まれる。
かくして、カラートナー画像と転写紙Sが重ね合わせられ、カラートナー画像は転写紙S上に2次転写(静電転写)される。
2次転写によりカラートナー画像を転写された転写紙Sは、定着装置19においてカラートナー画像を定着され、カラープリンタ100の上部のトレイTR上に排出される。
以上が、カラープリンタ100による「カラー画像プリントのプロセス」の概略の説明である。
次に、図1(a)のカラープリンタにおける定着装置19を、図1(c)を参照して説明する。
定着装置19は、図1(c)に示すように所謂「ベルト定着方式」である。
定着を行なう部分は、定着ベルト61とともに、加熱ローラ62、定着部ローラ64、加圧ローラ63、テンションローラ65、剥離爪66等を有している。
定着ベルト61は、ニッケル、ポリイミドなどの基材に「PFAやPTFEなどによる離型層」を有する構成である。
上記基材と離型層との間に「シリコーンゴムなどの弾性層」を設けた構成もある。
従って、定着ベルト61の表面は「離型層をなすPFAやPTFEなどの樹脂」であり、その表面の情報が検出の対象である「表面情報」である。
定着ベルト61は無端ベルトで、加熱ローラ62と転写用ローラ64とに巻き掛けられ、テンションローラ65により「必要な張り」を与えられている。
加熱ローラ62は、アルミや鉄による中空ローラで、ハロゲンヒータなどの熱源Hを内包しており、この熱源Hにより、加熱ローラ62を介して定着ベルト61を加熱する。
図示されていないが、定着ベルト61の表面温度を検出するための温度センサ(サーモパイル等)が、定着ベルト61の表面に「非接触」で設けられている。
定着用ローラ64は、金属の芯金をシリコーンゴムで囲繞し、弾性を付与したものである。定着用ローラ64は、定着ベルト61を反時計回りに回転駆動する。
加圧ローラ63は、アルミ又は鉄等の芯金の上にシリコーンゴムなどの弾性層を設け、表層はPFAやPTFE等の離型層により構成されている。
加圧ローラ63は、定着用ローラ64と対応する位置で、定着ベルト61に圧接する。
この圧接は定着用ローラ64を変形させ「ニップ部」を形成する。このニップ部が定着部となる。
テンションローラ65は、金属の芯金にシリコーンゴムを設けたものである。
剥離爪66はその尖端部が、定着ベルト61の表面に当接するようにして、定着用ローラ64の軸方向(紙面に垂直な方向)に複数個配設されている。
前述した、定着ベルト61の表面温度を検知する非接触の温度センサ(図示されず)に代えて、接触型の温度センサ(サーミスタ)を用いることも可能である。
定着が行なわれるときは、ヒータHにより加熱されつつ定着ベルト61が反時計回り、加圧ローラ63が時計回りにそれぞれ回転する。
定着ベルト61の表面温度が定着可能な温度になると、カラートナー画像を転写された転写紙Sが、矢印方向へ搬送されて定着部に進入する。
そして、カラートナー画像は、転写部において定着ベルト61側から熱を受け、加圧ローラ63により定着ベルト61に対して押圧されて圧力を受け、転写紙Sに定着される。
補足すると、カラープリンタ100は、転写ベルト11をクリーニングするためのクリーナ(図示されず)を有している。
この「クリーナ」は、図1(a)において作像ユニットUYの左方において、転写ベルト61がローラに撒き掛けられた部分に対向して配置される。
クリーナは、転写ベルト11に当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有する。
そして、転写ベルト11上の「残留トナーや紙粉等の異物」を、上記クリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去するようになっている。
クリーナはまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための排出手段(図示されず)も有している。
図1に示した画像形成装置(カラープリンタ)例では、転写方式は、上記の如く、1次転写と2次転写を行なうものであるが、転写方式はこれに限らない。
例えば、転写ベルト11上に転写紙Sを担持して搬送しつつ各感光体ドラムに対向接触させ、各色のトナー画像を、直接転写紙S上に重畳して転写する方式も可能である。
この場合も、カラートナー画像の定着は、上記と同様でよい。
さて、図1に示す画像形成装置(カラープリンタ100)は、定着装置19が、定着ベルト61の表面情報を検出する「表面情報検出装置」を有する。
表面情報検出装置は、反射型光学センサ200と情報検出装置300とにより構成されている。
また、反射型光学センサ200と定着ベルト61の間に可動可能な遮光部材400を有する。ただし、可動機構は図示していない。
遮光部材400は反射型光学センサ200と定着ベルト61の間の光路を遮るためのものであり、必要に応じて遮光部材400が可動し、光路が開閉する。
反射型光学センサ200は、図1(c)に示すように、定着ベルト61の「加熱ローラ62に巻き掛けられた部分」に対向して配置されている。
反射型光学センサ200は、照射光学系と受光光学系を有する。
照射光学系は、定着ベルト61の表面に向かって「定着ベルト61の表面の進行方向と交わる方向」に複数の光スポットを照射する。
受光光学系は、定着ベルト61からの反射光を受光する。
上記「定着ベルト61の表面における進行方法と交わる方向」は、光走査による画像書き込みの際の「主走査方向」に対応するので、以下では簡単に「主走査方向」と言う。
情報検出装置300はマイクロコンピュータやCPUとして構成され、反射型光学センサ200に接続され、カラープリンタ100内に配置される。
そして、反射型光学センサ200からの検知信号を受けて定着ベルト61の表面状態を表面情報として検出する。
定着ベルト61の表面は当初は無傷であるが、定着動作が繰り返されるに従い、オフセットや、傷が発生する。
「オフセット」は、トナー画像の定着の際に、トナーの一部が転写ベルトに付着し、経時的にフィルム上に固着した状態である。
また、定着ベルト表面に発生する傷としては、剥離爪66等との接触による傷や、シート状記録部材による「筋状の傷」がある。
このような「傷やオフセットの生じた表面の状態」、即ち、「オフセットの有無や程度、傷の状態や位置」が「表面情報」であり反射型光学センサによる検出の対象である。
以下では、主として「筋状の傷」に対する表面情報の検出を説明する。
図2は、定着装置19による定着を、説明図的に示す図である。
図2における上下方向は「定着ベルト61表面で進行方向TRDと交わる方向(前述の主走査方向)」に対応する。
符号Sは、定着されるカラートナー画像を有する転写紙(シート状記録媒体)を示している。
この説明例では、転写紙Sは「A4サイズ」で、これを長手方向と幅方向に搬送できるようになっている。
符号A4Tは、A4サイズの転写紙Sを長手方向に搬送するときの紙幅を示し、符号A4Lは、A4サイズの転写紙Sを幅方向(短手方向)に搬送するときの紙幅を示す。
紙幅A4Lは、定着ベルト61の幅(図の上下方向の長さ)に略等しい。
従って、A4サイズの転写紙Sを幅方向(短手方向)に搬送するときには、長手方向の端部に生じる筋状の傷は、実際上殆ど問題とならない。
一方、紙幅A4Tは、定着ベルト61の幅よりも短く、筋状の傷は、紙幅A4Lの内側に発生し「定着不全の問題」を生じさせ得る。
図2における符号W1、W2は、A4サイズの転写紙Sを長手方向に搬送するとき、主走査方向における転写紙幅端部の移動の余裕幅を示している。
A4サイズの転写紙Sを長手方向に搬送するにしても「主走査方向の搬送位置を各転写紙に対して完全に一致させる」ことはできない。
従って、転写紙Sの両側端部の通過位置は、主走査方向にわずかながら変動する。
あるいはまた、定着ベルト61自体にも、所謂「ベルトの寄り」が発生すると、定着ベルト表面は、主走査方向において転写紙Sの両側端部に対して変動する。
余裕幅W1、W2は、このような変動を考慮したものである。
また、転写紙Sと定着ベルト61の接触する位置の変動幅が「狭い」と、筋状の傷も狭い範囲に集中して発生する。
これを避けるために、転写紙搬送の際に、「主走査方向での搬送位置」を転写紙ごとに意図的にずらす場合もある。
余裕幅W1、W2は、このような場合にも考慮される。尤も、余裕幅は大きくても「10mm」程度である。
A4サイズの転写紙Sを長手方向に送る場合「筋状の傷の有無」を表面情報として検出するのであれば、検知領域Aは、余裕幅W1、W2より大きく設定する必要がある。
図2の例では、検知領域Aは、余裕幅W1、W2のうち「余裕幅W2を含む」ように設定され、余裕幅W1のある側には設けられていない。
筋状の傷は、余裕幅W1の領域と余裕幅W2の領域とで略同様に発生すると考えられ、一方の余裕幅内での検出で実用上は十分と考えられるからである。
勿論、余裕幅W1、W2の各領域に対して検知領域を設定してもよく、さらには、検知領域の大きさを「定着ベルト61の幅全体」に亘るように設定しても良い。
反射型光学センサ200は、主走査方向に複数の光スポットを照射する。これら複数の光スポットが照射される領域が検知領域Aをなす。
反射型光学センサ200は、長い検知領域Aを形成できるため、反射型光学センサ200と転写紙の幅方向端部との「主走査方向の相対的な位置関係」は比較的ラフでよい。
情報検出装置300は、反射型光学センサ200からの検出信号を受け、検知領域Aにおける「定着ベルトの表面状態」を表面情報として検出する。
そして、転写紙の幅方向端部が検知領域Aに含まれるとき、転写紙の幅方向端部により形成される筋状の傷の情報を定着ベルト61の表面情報として定量化する。
筋状の傷の情報は「傷レベル」と「傷の位置(主走査方向の位置)」のうちの少なくとも一方である。
傷レベルとは「傷の程度」、すなわち「傷の深さ(粗さ)や傷の幅(大きさ)」を言う。
「傷の深さ」について補足する。
定着部材の表面に「傷(サーミスタや剥離爪との接触による傷や、筋状の傷)」が生じると、傷の部分で「記録紙とトナー画像の接触圧」が弱くなる。
このため、傷に応じて「定着不全」が生じ、定着された画像では「白抜け(画像濃度の低下する現象)」と呼ばれる「画像異常」が発生する。
この明細書に言う「傷の深さ」は、このような「傷と、傷に起因する画像異常との相関関係」を定量的に捉え、画像異常の程度を表すパラメータとして表現したものである。
次に、反射型光学センサ200の構造を、図3以下を参照して説明する。
上述の転写ベルトを被検物とし、その表面の表面情報を検出する場合を想定する。
図3(a)、(b)に示す如くに、互いに直交するx、y、z方向を定める。
x方向は、上の説明における「進行方向に交わる方向」で、説明中の例では「主走査方向」である。
y方向は「進行方向」に対応する。z方向は「x、y両方向に直交する方向」である。
符号61Sは、定着ベルト61の「検知領域(検知領域A)を含む表面部分」を示す。従って、z方向は反射型光学センサ200から「表面部分61S」に向かう方向である。
図3において、符号210は基板、符号240は側板を示し、符号220はレンズ素子を示す。
図4は、基板210上における発光部と受光部の配列を説明するための図である。
「発光部」はLED発光ダイオード、「受光部」はフォトダイオード(以下「PD」と表記する。)である。
図4において、符号211−1−1〜211−P−4は個々のLED、符号212−1〜212−Nは個々のPDを示す。
LEDは「4個を1組としてP組」がx方向に配置されている。各組を構成する4個のLEDの配列方向もx方向である。
即ち、図4の左側から数えて、第i組(i=1〜P)には、4個のLED211−i−1〜211−i−4が配置される。
なお、配置されるLEDの総数は設計条件により定められ、一般には数十個〜数百個に設定できる。また、LEDの1組を構成するLEDの数も4個に限らない。
図4においては、LEDのP組は等間隔に配置されている。
LEDの1組は「照射系」を構成する。即ち、説明中の例では4個の発光部(LED)が照射系を構成し、P組の照射系が等間隔に配置されている。
図4の左側から数えてp番目の照射系を、照射系211−p(p=1〜P)とする。
上記N個のPD212−1〜212−Nもx方向に等間隔に配置されている。これらN個のPDは「受光部による受光系」を構成する。
なお、説明中の例において、発光部数:4Pと受光部数:Nは同一である。
即ち、互いに同数の発光部と受光部が、基板210の上に互いに平行に配列して配備されている。
次に、図3、図5を参照して、照射用レンズと受光用レンズを説明する。
図3(b)、図5に符号220で示す部分は、受光用レンズとP個の照射用レンズを一体に形成したレンズ素子を示している。
図3(a)、(b)に示すように、P個の照射用レンズ220-1〜220−Pは、X方向にアレイ配列されて「照射用レンズアレイ」をなしている。
受光用レンズ220Cは、図3(a)および図5に示すように、屈折力を持たない方向をx方向に設定した「単一の正のシリンドリカルレンズ」である。
P個の照射用レンズ220−1〜220−Pは、前述の「4個のLED(発光部)」により構成される「照射系」の数:Pと同数である。
そして、照射用レンズアレイの個々の照射用レンズ220−p(p=1〜P)は、夫々「p番目の照射系」と対応する。
即ち、照射用レンズ220−pはp番目の照射系を構成する4個のLED211−p−1〜LED211−p−4に共用される。
1個の照射系をなす複数の発光部と、これら複数の発光部に共用される照射用レンズとは「単位照射光学系」を構成する。
説明中の例では、p番目の照射系を構成する4個のLED211−p−1〜LED211−p−4とこれらに共用される照射用レンズ220−pが「単位照射光学系」である。
図5は、反射型光学センサ200を「y軸の正の方向」から見た図である。
受光用レンズ220Cは、y方向にのみ「正の屈折力」を持つ。
前述の如く、照射用レンズアレイと受光用レンズ220Cとはレンズ素子220として一体的に形成されている。レンズ素子220は樹脂成型で一体成形できる。
図3(b)は、p(1≦p≦P)番目の照射系のq(1≦q≦4)番目のLED(発光部)を発光させた状態を示している。
図では、1番目(p=1)の照射系の2番目(q=2)のLED211−1−2が発光した状態を示している。
放射された発散性の光束は、p番目の照射系に共用される照射用レンズ220−pにより集光され、定着ベルト表面61S上に照射光のスポットを形成する。
定着ベルト表面61Sのスポット部分での反射光は、図3(a)に示すように、Y方向には受光用レンズ220Cの正の屈折力により集光されPD212の何れかに入射する。
図5は、この状態をy方向から見た状態を示している。
定着ベルト表面61Sでの反射は、鏡面反射と言うわけではなく乱反射に近い。また、反射光は受光用レンズ220Cによりx方向には集光されない。
従って、反射光は「複数のPD」により受光される。
前述のようにN個のPDは「N個の受光部による受光系」を構成するが、受光用レンズ220Cは、N個の受光部PD210−1〜210−Nに共用される。
N個のPD210−1〜210−Nと受光用レンズ220Cとは「受光光学系」を構成する。
上に説明したところをまとめると以下のように言うことができる。
即ち、図3〜図5に即して説明した反射型光学センサは、被検物(定着ベルト)の表面を光照射し、表面による反射光を受光して表面の表面情報を検出するためのものである。
照射光学系は、照射系と照射用レンズとからなる単位照射光学系を2以上配列してなり、受光光学系は、受光系と受光用レンズを含む。
単位照射光学系の照射系211−pは、2以上の発光部211−p−1〜211−p−4を有する。
照射用レンズ220−pは2以上の発光部に共用され、2以上の発光部から放射される光を被検物の表面に導光して照射光のスポットを1方向(x方向)にずらして形成する。
受光光学系の受光系は、2以上の受光部212−1〜212−Nを有し、受光用レンズ220Cは、2以上の受光部に共用されている。
反射型光学センサは、各単位照射光学系により被検物の表面61Sに照射されて反射する光を、受光光学系の受光用レンズ220Cを介して受光系により受光する。
上に説明した反射型光学センサ200による表面情報の検出を説明する。
図6は、この検出動作を表したフロー図である。
照射光学系における「p番目の照射系を照射系211−p(p=1〜P)」とし、この照射系に含まれる4個のLEDを「LED211−p−q(q=1〜4)」とする。
各LEDの発光は、定着ベルト表面61S上に、照射光が、図3(b)の左端のスポットS−1から右端のスポットS−Nに順次に照射されるように「順次点灯」される。
即ち、点灯は、照射系単位では照射系211−1から211−Pまで順次に行われるが、各照射系内では、q=4、3、2、1の順に行われる。
これは、単位照射光学系に用いられる照射用レンズが「倒立系」であることによる。
「順次点灯」は、上記の順序で各LEDの点灯と消灯を行う。
LED211−p−qの点灯に同期して、定着ベルト表面61Sからの反射光を、受光用レンズ220Cによりy方向にのみ集光させて受光部のPDで受光する。
前述の如く、受光部に到達する反射光は、x方向には集光されないので、複数のPDにより受光されることになる。
説明の簡単のために、受光するPDの数を「奇数」とし、mを整数として(2m+1)個であるとする。
LED211−p−qが点灯したときの反射光は、PD212−nと「その両側に続くm個のPD」とで受光されるものとする。
即ち、上記反射光を、図6に示すように、PD212−(n−m)〜PD212−(n+m)で受光する。
仮に、m=2とすれば、反射光を受光するPDは、PD212−n−2、PD212−n−1、PD212−n、PD212−n+1、PD212―n+2の5個である。
これらのPDは、受光量を光電変換し、光電変換された信号は増幅されて「検知信号」となる。PDごとの各検知信号は、検知のつど、情報検出装置300に送られる。
mの値は2でなくても良く、転写ベルトの表面状態との相関を予め実験的に求めておき、良好なmを選択すればよい。
ただし、m=0のように小さいとPD出力値は1つしかなく、値が小さいため検知ばらつきが大きくなってしまう。
逆に、mが大きく、PDの総数(N)に相当するような場合には、検出したい表面情報(筋状の傷)のコントラストが低下してしまう。「良好なm」は2から6程度である。
「p=1、q=4」のLEDから順次点灯が繰り返され、「p=P、q=1」の最終のLED211−P−1が「点灯・消灯」すると、これを1周期として順次点灯は終了する。
場合によっては検知精度を上げるために、順次点灯を複数周期に亘って行い、各周期での検知結果の平均値処理などを行うこともできる。
上の説明の場合、図3(b)のように、照明光により、定着ベルト表面61S上の左端寄りのスポットS−1やS−2が照射される場合を考える。
この場合、LED211−1−3やLED211−1−4が点灯するが、照明用レンズ220−1が倒立拡大系であるため、反射光を受光するPDは5個に満たない。
スポットが右端寄りのスポットS−Nである場合も同様である。
かかる事情を鑑みると、順次点灯するLEDをN個とせずに、定着ベルト表面61S上のスポットが左端寄り及び右端寄りになるLEDを2個ずつ外してもよい。
即ち、N−4個のLEDについて順次点灯を行なうようにしても良い。
即ち、一般的には、点灯・消灯するLEDは、全てのN個を用いる必要はなく、そのうちのN’(≦N)個を用いても良い。
上に説明した反射型光学センサを、図6の手順に従って動作させたときの実験結果を、図7に示す。
図7(a)は、定着ベルト61が無い状態(すなわち反射型光学センサから出射された光束を反射する対象物がない状態)の結果を示す。
即ち、定着ベルト61が無い状態で、各LED211−p−q(q=1〜4)を点灯させたときのPDn(n=1〜28)の出力値を示している。
なお、図7においてはLED211−p−q(q=1〜4)を単に「LED−p−q」と記載している。図7に関する以下の説明でも、この表記に従う。
定着ベルトが存在しない場合、本来であれば各PDの出力はゼロであるはずであるが、実験結果によればPD14とPD15を中心として「山状の出力分布」が得られている。
この現象は、以下の如くして生じる。
即ち、説明中の反射型光学センサは、図3(a)、(b)に示すように、開口部材230−p(p=1〜P)、231を有している。
開口部材230−pは「LED211−p−q(q=1〜4)と照射用レンズ220−pとによる単位照射光学系の隣接部での「フレア光」を防止する。
開口部材231は「LED211−p−q(q=1〜4)の配列と、PD212−pの配列の間でのフレア光」を主に防止する。
図9に、P=7としたときの開口部材230、231が一体化されている様子を示す。
4個のLED211−p−q(q=1〜4)による照射系と照射用レンズ220−pとの組による「単位照射光学系」の各々に対応して開口が設けられている。
開口を設けると「点灯中のLEDに対応しない照射用レンズ」を透過して定着ベルトで反射され、またはレンズ面で反射されてPDに入射するフレア光の影響を防止できる。
図8に示すように、LED211−p−qを点灯すると、放射される発散性の光束の一部は、開口部材230−pおよび231の端部面で反射散乱される。
「端部面」は、図8に示すように開口部材のLEDに向いた側の「厚みによる端面」である。
端部面により反射された光は、複数のPDにより受光されてしまう。
図1(c)に示した遮光部材400は、定着ベルト61が無い状態を画像形成装置内で意図的に作るためのものである。
定着ベルト61が存在する場合には、本来検出したい定着ベルトからの反射光に加え、開口部材の端部面での反射光が含まれたPD出力が検出されていることになる。
そこで、遮光部材400を閉じた状態でPD出力を検出し、続いて、遮光部材を開いた状態でPD出力を検出し、両者の差分を取る。
こうにすることにより「定着ベルト表面からの反射光のみの出力」が得られる。
図7(b)は、定着ベルト61が有る状態で取得したPD出力から、遮光部材400を閉ざした状態で取得したPD出力を差し引いたときのPD出力を示している。
すなわち、図7(b)のPD出力は、定着ベルト61からの反射光のみの信号となる。 図7(b)で山状のピークは、LED−p−4、LED−p−3、LED−p−2、LED−p−1の順序で点滅すると、PD番号は1から4に向かってへシフトしている。
これは、LED−p−4、LED−p−3、LED−p−2、LED−p−1の順で点滅すると、定着ベルト表面61S上のスポットが、左から右へ移動することによる。
図7(a)は、LEDからの光が開口部材で直接反射してPDに受光されている状態を示している。
各LEDから見て「開口部材の端部面」の形状が同一であれば、LED発光量に比例したPD受光量が検出できると考えられる。
開口部材のピッチは「LED211−p−1〜LED211−p−4の間隔」に比べて十分に大きく、どのLEDから見ても、ほぼ同形状と見なせる。
このため、図7(a)の分布も各LEDで似ており、検出時点でのLED発光量ばらつきを表していると考えられる。
図3(a)における符号241は、幅方向(y方向)の側板を示す。側板240、241は一体化してケースをなしている。
開口部材230、231は「ケース」と樹脂成形により一体化できる。
以上が、反射型光学センサについての基本的な概念の説明である。
以上の説明を踏まえて、以下に発明の実施の形態を説明する。
図10は、この発明の反射型光学センサの実施の1形態(以下、実施形態1と言う。)を説明するための図である。
図10において、x方向は主走査方向、y方向は副走査方向、z方向はxy平面に直交する方向で「反射型光学センサ200aが定着ベルト61aに対向する方向」である。
「被検物」としては、定着ベルトを想定している。
受光系を構成する個々の受光部の大きさや配置は、図3に即して説明した反射型光学センサ200と同一である。
照射系の詳細は後述するように、照射系を構成する個々の発光部の大きさや配列状態は同じである。
しかし、照射系の配置は、単位照射光学系ごとに必ずしも同一ではない。
図10に示すよう反射型光学センサ200aは、照射光学系と受光光学系とを有する。
照射光学系は、照射系と照射用レンズによる単位照射光学系の配列により構成される。
受光光学系は、複数の受光部と受光用レンズとにより構成される。
図10において、x方向は主走査方向、y方向は副走査方向に対応する。z方向は照射用レンズの光軸方向でもある。
図10(a)は、反射型光学センサをx方向から見た状態を示し、符号211a−p−qは発光部、符号220a−p(p=1〜7)は照射用レンズを示している。
発光部211a−p−qはLEDで、近赤外光を放射する。
図10(b)は、反射型光学センサを「−y方向」から見た状態を示している。
図10(b)に示すように、LED220a−1−1〜220a−1−4の4個のLEDはx方向に近接して等間隔に配列されて照射系1をなしている。
照射系1と同様の構成の7つの照射系1〜照射系7が「x方向に配列」されている。
図10(b)で最も右側の照射系7はLED211a−7−1〜211a−7−4により構成されている。
照射系1〜7の個々に1対1で対応して照射用レンズが設けられている。
照射レンズ220a−1〜220a−7が、それぞれ照射系1〜照射系7に対応する。
図10(a)、(b)に示すように、照射用レンズ221a−1等と受光用レンズ222acは、x方向とy方向とで曲率の異なるアナモフィックレンズである。
照射用レンズ221a−1等と受光用レンズ222acは、一体化されてレンズアレイ220aをなしている。
図11は、反射型光学センサをy方向から見た状態である。
受光光学系は、図11に示すように、基板210a上に配列形成された受光部としてのPD212a−1、212a−2、・・、212a−28により構成されている。
図12は、図10(b)に示した状態の、説明に必要な部分を簡略化して示している。
即ち、図12には、反射型光学センサの、照射系と照射用レンズとを、x方向の一方の端部(左端部)側から5つずつ示している。
即ち、照射系1〜照射系5と、これ等に1対1で対応する照射用レンズ220a−1〜220a−5が示されている。
照射系1〜照射系5は何れも、発光部であるLEDを4つ、x方向に近接して配置して構成されている。
即ち、p(=1〜5)、q(=1〜4)として、照明系pは4つの発光部「LED211a−p−1〜211a−p−4」で構成されている。
図11に示すように、照射系2〜5には、照射用レンズ220a−2〜220a−5が対応する。
これら照射系2〜5における発光部は、p(=2〜4)として、LED211a−p−1〜211a−p−4である。
各照射系p(p=2〜5)のLED211a−p−1〜211a−p−4は、図12に示すように配置されている。
即ち、LED211a−p−1〜211a−p−4は、照射用レンズ220a−pの光軸を含みy方向に平行な平面に対してx方向に対称的に配置されている。
上記平面を仮に平面pとすると、LED211a−p−1と211a−p−2は平面pの図で左方に、LED211a−p−3と211a−p−4は平面pの右方に位置する。
一方、p=1とした遮光系1においては、LED211a−1〜211a−1−4は全て、照射用レンズ220a−1の光軸を含みy方向に平行な平面1の左方に位置する。
照射系pを構成する4個のLED211a−p−qの配列形態は同一で、その配列ピッチも同一である。
照射系p(=2〜5)においては、LED211a−p〜211a−p−4は、何れも前記平面p(=2〜5)に対してx方向に対称に配置されている。
照明系1では、LED211a−1−1〜211a−1−4は、前記平面1に対して対称な位置から、平面1に対して左方へ2ピッチ分シフトした配列となっている。
後の説明のため、LEDがシフトした配列を「シフト配列」と呼び、シフトしない配列を「元配列」と呼ぶ。
照射系1における発光部を「シフト配列」にすると、LED211a−1−1から放射された光は、定着ベルト表面61SaのスポットSa−4の位置を照射する。
LED211a−1−2から放射された光は、定着ベルト表面61SaのスポットSa−3の位置を照射する。
LED211a−1−3から放射された光は、定着ベルト表面61SaのスポットSa−2の位置を照射する。
LED211a−1−4から放射された光は、定着ベルト表面61SaのスポットSa−1の位置を照射する。
スポットSa−4の位置は、照射系2のLED221a−2−3からの光が照射用レンズ220a−2により集光されて形成するスポットの位置でもある。
スポットSa−3の位置は、照射系2のLED221a−2−4からの光が照射用レンズ220a−2により集光されて形成するスポットの位置でもある。
図12の符号(Sa−1)、(Sa−2)、(Sa−3)・・は、照射系1のLEDの配列を「元配列」にしたときの、各発光部からの光が照射するスポットである。
スポットSa−1の位置は、「元配置」でのLED211a−1−2からの光が照射用レンズ220a−1により集光されて形成するスポット(Sa−3)と同位置である。
スポットSa−2の位置は、「元配置」でのLED211a−1−1からの光が照射用レンズ220a−1により集光されて形成するスポット(Sa−4)と同位置である。
スポットSa−4の位置は、照射系2のLED221a−2−3からの光が照射用レンズ220a−2により集光されて形成するスポットの位置でもある。
勿論、スポットSa−4を照射する2つの光束の入射角は、LED211a−1−1とLED211a−2−3とで異なる。
「入射角」は、照射光が形成するスポットの重心位置と、上記照射光を集光している照射用レンズの射出側レンズ面頂点を結ぶ直線と、該照射用レンズの光軸がなす角である。
同様に、スポットSa−3の位置は、照射系2のLED221a−2−4からの光が照射用レンズ220a−2により集光されて形成するスポットの位置でもある。
この場合も、略同一位置を照射する2光束の入射角は異なる。
照射系1の4個のLEDの配列が「元配列」であって、照射系2等の配列と同一であるならば、照射されるスポットはスポット(Sa−1)、(Sa−2)・・である。
説明中の実施の形態では、照射系1のLEDの配列を「シフト配列」としたので、照射されるスポットはスポットSa−1、Sa−2、・・である。
照射系1のLEDの配列はシフト配列であり、「元配列」とした場合のスポット(Sa−1)と(Sa−2)の位置は照射されない。
代わりに、スポットSa−3、Sa−4は、照射系1に隣接する照射系2のLED221a−2−4、221a−2−3からの各光束によっても照射される。
即ち、スポットSa−3、Sa−4は何れも、隣接する2つの単位照射光学系からの入射角の異なる光束で照射される。
隣接する2つの単位照射光学系は、照射系1と照射用レンズ220a−1によるものと、照射系2と照射用レンズ220a−2によるものである。
図10(b)に戻ると、反射型光学センサ200aのx方向の右端にある照射系7においても、4個のLEDの配列が「シフト配列」となっている。
即ち、照射系7を構成する4個のLED221a−7−1〜221a−7−4は、照射用レンズ220a−7の光軸を含みy方向に平行な平面7に対し非対称である。
即ち、平面7に対して右方へ2ピッチ分シフトしている。
このため、元配列の場合には照射されるスポット(Sa−27)、(Sa−28)は、シフト配列では照射されない。
代わりに、スポットSa−27、Sa−28は隣接する2つの単位照射光学系からの入射角の異なる光束で照射される。
従って、図10〜12に即して説明した実施の形態の反射型光学センサは、照射光学系と受光光学系を有する。
照射光学系は、照射系1〜照射系7と照射用レンズ200a−1〜220a−7とからなる単位照射光学系を配列してなる。
受光光学系は、受光系であるPD212a−1〜212a−28と受光用レンズ220acを含む。
単位照射光学系の照射系p(p=1〜7)は、複数の発光部であるLED211a−p−q(q=1〜4)を有する。
単位照射光学系の照射用レンズ220a−p(p=1〜7)は、4個の発光部に共用されて、各発光部から放射される光を被検物の表面61Saに導光する。
導光された光は表面61Saを照射して照射光のスポットSa−1、Sa−2・・をx方向にずらして形成する。
受光光学系の受光系は、2以上の受光部PD212a−1〜212a−28を有し、受光用レンズ220acは、2以上の受光部に共用される。
照射光学系の各単位照射光学系により被検物の表面61Saに照射され、表面により反射された反射光は、受光用レンズ220acを介して受光系により受光される。
全ての発光部の個々から放射されて表面61Saに照射されたスポットSa−1、Sa−2・・は、x方向に連続的に配列する。
これらのスポットのうちに、隣接する単位照射光学系から、異なる入射角で照射されるもの(スポットSa−1、Sa−2、Sa−27、Sa−28)が存在する。
このような条件が満足されるように、照射光学系における前記発光部、前記照射用レンズの位置関係が調整されている。
図13は、上に図10〜図12に即して説明した反射型光学センサの特性を説明するための図である。
図の横軸は、上に説明したx方向(反射型光学センサ200aの長手方向で、主走査方向に対応する。)と定着ベルト表面61Saとが成す角:β(度)を表す。
この角:βを以下において「スキュー角:β」と称する。スキュー角:βは、定着ベルト表面61Saがx軸に対して左回りに傾くときを正とする。
スキュー角:βは、0度であることが理想であり、このとき、反射型光学センサ200aと定着ベルト表面61Saの光照射される部分は平行である。
しかし、反射型光学センサ200aの組み付け誤差により定着ベルトに対する位置関係がずれると、スキュー角は0でなくなる。
また、定着ベルト表面61Saが、発光部や受光部の配列方向に対して揺動的に傾く現象(前述の「バタツキ」)がある場合には、スキュー角:βも変動する。
図13の結果を得るために、照射用レンズ200a−1〜200a−7に属する照射系(照射系1〜照射系7)のそれぞれにおいて、4つのLEDを独立して点滅させた。
各LEDを発光させるごとに、出力が最大値をとるPDの出力と、このPDを含む計9個のPDの出力の和をセンサ受光部出力とした。
このセンサ受光部出力を、スキュー角:βが0である場合を中央値(グラフ中のβ=0[deg])で規格化した結果が縦軸の「相対値」である。
スキュー角:βの範囲は±3度とした。
仮に「受光部出力の変動が中央値:±10%の範囲内のときに、定着ベルトの傷検知が可能」であるとする。
このとき、「定着ベルトのバタツキ」や「組み付け誤差によるずれ」によるスキュー角:βの変動範囲が±1度であるとする。
この場合、LED211a−1−1、211a−1−2、211a−2−1、211a−2−2の4個のLEDによる受光部出力が安定している。
また、p=3〜5、q−1〜4として、LED211a−p―qの12個のLEDによる出力も安定している。
さらに、LED211a−6−3、211a−6−4、211a−7−3、211a−7−4の4個のLEDによる受光部出力も安定している。
従って、スキュー角:βが±1度の範囲でバタツキや位置ずれがあっても、上記20個のLEDを「発光部を定着ベルトの傷(表面情報)の検知」に用い得る。
したがって、照射用レンズ220a−2〜220a−6に対向する「検知領域A’」の範囲で、定着ベルトの傷検知が可能となる。
若干付言すると、スキュー角:βが負になると、LED211a−1−3、211a−1−4、211a−2−3、211a−2−4の受光部出力は大きく減少する。
これは、これ等のLEDからの光が定着ベルト表面61Saを照射するときの入射方向が、図12で図の左方へ向かう側に向くことによる。
即ち、このような入射方向だと、定着ベルト表面61Saによる反射光の向きも、図12で図の左方に向く。
このため、負のスキュー角では、反射光の向きが、さらに図の左方へ振れてしまい、これらの反射光を受光するPDへの入射光量が減少し、受光部出力が減少するのである。
照射系1をなすLED211a−1−1〜211a−1−4の配列が「元配列」であると、スキュー角:βが±1度の範囲で検知可能な領域は図12の検知領域A’’になる。
即ち、シフト配列でのLED211a−1−3、211−a−1−4は、「元配列」ではLED211a−1−1、LED211a−1−2に対応する。
また、シフト配列でのLED211a−2−3、211−a−2−4は、「元配列」でもLED211a−2−3、LED211a−2−4に対応する。
照射系7のLEDについては、シフト系でのLED211a−7−1、LED211a−7−2は、「元配列」でのLEDa−7−3、LED211a−7−4に対応する。
照射系6のLEDについては、シフト系でのLED211a−6−1、LED211a−6−2は、「元配列」でもLEDa−6―1、LED211a−6−2に対応する。
これらの対応関係に基づき、図13を見ると、スキュー角:βが±1度の範囲で受光部出力の変動が「中央値±10%」をこえるLEDは以下のようになる。
即ち、照射系1、2につき「元配列」においてはLED211a−1−3、LED211a−1−4、LED211a−2−3、LED211a−2−4である。
また、照射系6、7については、「元配列」におけるLEDa−6−1、LEDa−6−2、LED211a−7−3、LED211a−7−4である。
「元配列」において、これら8個のLEDからの光で照射されるスポットは、スポット(Sa−1)、(Sa−2)、(Sa−5)、(Sa−6)と、スポット(Sa−23)、(Sa−24)、(Sa−27)、(Sa−28)である。
従って、スキュー角:βが±1度の範囲でも受光部出力の変動が「中央値±10%の範囲」を超えないスポットは、「元配列」においては、(Sa−3)、(Sa−4)、(Sa−7)、(Sa−8)・・・(Sa−21)、(Sa−22)、(Sa−25)、(Sa−26)である。
(Sa−5)、(Sa−6)、(Sa−23)、(Sa−24)については「中央値±10%の範囲」を超えるため、結果として、スキュー角:βが±1度の範囲で検知可能な領域は、「元配列」における(Sa−7)、(Sa−8)・・・(Sa−21)、(Sa−22)までの検知領域A’’となる。
以下、照射用レンズおよび受光用レンズのレンズパラメータを具体的に挙げる。
照射用レンズ220a−p(p=1〜7)は、図10に示したように、照射系側がアナモフィックな非球面、定着ベルト表面側が平面である。
上記アナモフィックな非球面の主走査方向(x方向)の曲率半径:4.6mm、円錐定数:0、副走査方向(y方向)の曲率半径:4.3mm、円錐定数:−2.0である。
また、上記アナモフィックな非球面のレンズ径は、x方向に2.4mm、y方向に9.2mmであり、レンズ厚:6.6mmである。
受光用レンズ220acは、図10、図11に示したように、照射系側がアナモフィックな非球面、定着ベルト表面側が平面である。
受光用レンズ220acのアナモフィックな非球面のx方向の曲率半径:30mm、円錐定数:−1.5、y方向の曲率半径:4.8mm、円錐定数:−1.6である。
また、受光用レンズ220acのレンズ径は、x方向:17mm、y方向:11.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
y方向における照射用レンズ212a−pと受光用レンズ220acとの距離:2.53mm、z方向における照射系と照射用レンズの間の距離は10.37mmである。
また、z方向における受光系(PD)と受光用レンズの間の距離は10.37mmである。
実施形態1の反射型光学センサでは、反射型光学センサのx方向の端部側の照射系の発光部から射出された光が、バラツキ等に拘わらず受光系に到達する。
このため、転写ベルト表面に「y方向の回りのバタツキ」や、反射型光学センサの組み付け位置のずれがあっても、精度の良い検出が可能である。
図14以下を参照して、反射型光学センサの実施の別形態(以下、実施形態2と言う。)を説明する。
繁雑を避けるため、混同の恐れが無いと思われるものについては、図10〜図12における符号と同符号を用いる。
上に説明した実施形態1の反射型光学センサ200aでは、図10に示されたように、発光部であるLEDからの光が照射される転写ベルト表面61Saは平面状である。
定着ベルトは、無端ベルト状であり、複数のローラに巻き掛けられて用いられる。
そして、反射型光学センサ200aは、図1(c)に示したように、ローラに巻き掛けられた部分で、定着ベルト表面に対向して配置させることも多い。
この場合には、反射型光学センサから光を照射される定着ベルト表面は、副走査方向に凸の曲面(円柱面)であり、反射光を副走査方向に発散させる。
この場合、上記反射光を受光部に導くためには、受光用レンズを副走査方向に大きくする必要があったり、「副走査方向に大きな正の屈折力」を与える必要があったりする。
以下に説明する実施形態2は、このような点を考慮したものである。
図14は、反射型光学センサ200bを、図10の反射型光学センサ200aにならって示している。図中の符号において、p=1〜7、q=1〜4である。
反射型光学センサ200bにより表面情報を検出される定着ベルト表面61Sbは、図示されないローラに巻き掛けられ、図14(a)のように「部分円柱面」となっている。
図14(a)のように、照射用レンズ220b−pは、LED211b−p−qからの光を、y方向において定着ベルト表面61Sb上に集束状態で入射させる。
即ち、照射用レンズ220b−pの光学パラメータは、定着ベルト表面61Sb上で、照射光のスポットの「副走査方向の径」が最小となるように適正化されている。
定着ベルト表面でスポットの副走査方向の径を最小とするには、副走査方向に関し、LED211b−p−qと、定着ベルト表面61Sbとを共役関係とすればよい。
このようにすれば、定着ベルト表面61Sbの副走査方向の曲率で、反射光が副走査方向に発散傾向を与えられても、反射光束の副走査方向の光束径の広がりは抑制される。
従って、受光用レンズ220bCのy方向の大きさを拡大する必要が無い。
照射用レンズ220b−p(p=1〜7)は、図14に示したように、照射系側がアナモフィックな非球面、定着ベルト表面側が平面である。
照射用レンズ220b−pと受光用レンズ220bCの具体的なレンズパラメータは以下のとおりである。
照射用レンズ220b−pのx方向の曲率半径:4.6mm、x方向の円錐定数:0、y方向の曲率半径:4.0mm、y方向の円錐定数:−2.0である。
照射用レンズ220b−pのx方向のレンズ径:2.4mm、y方向のレンズ径は9.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
これから明らかなように、照射用レンズ220b−pが、照射用レンズ220a−pと異なるのは「レンズ面のy方向の曲率半径」のみである。
即ち、照射用レンズ220b−pが、照射用レンズ220a−pよりも副走査方向の正の屈折力が強く、この屈折力により上記「共役関係」を実現している。
受光用レンズ220bCは、図14に示したように、照射系側がアナモフィックな非球面、定着ベルト表面側が平面である。
受光用レンズ220bCのアナモフィックな非球面のx方向の曲率半径:30mm、円錐定数:−1.5、y方向の曲率半径:4.8mm、円錐定数:−1.6である。
また、受光用レンズ220acのレンズ径は、x方向:17mm、y方向:11.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
これから明らかなように、受光用レンズ220bCは、先に説明した実施の形態における受光用レンズ220acと同一である。
y方向における照射用レンズ212a−pと受光用レンズ220acとの距離:2.53mm、z方向における照射系と照射用レンズの間の距離は10.37mmである。
z方向における受光系(PD)と受光用レンズの間の距離は10.37mmである。
実施形態2においても、複数の照射用レンズと受光用レンズは1一体化され、レンズアレイ220bをなしている。
上に説明した反射型光学センサ200bは、先に説明した反射型光学センサ200aと全く同様にして、定着ベルト表面61Sbに対して用いることができる。
上記の如く、反射型光学センサ200bの「主走査方向の光学機能」は、反射型光学センサ200aのものと同一である。
従って、スキュー角:βが±1度の範囲でバタツキや位置関係のずれがあっても、図14に示す「検知領域A’」の範囲で、定着ベルトの傷検知が可能となる。
「検知領域A’」は照射用レンズ220b−2〜220b−6に対向する範囲である。
図14において、符号212bとあるのは受光部(PD)を示し、符号210bは、LEDとPDを支持する基板、符号240bはケースを示す。
上記の如く、定着ベルト表面を照射するスポットの照射領域を小さくできると、受光系に到達できない反射光を抑制できる。
従って、ローラの曲率の影響を受けない平面部分のみならず、ローラ近傍に反射型光学センサを配置しても、高精度に定着部材の表面状態を検知することが可能となる。
以下に挙げるのは、直上に説明した反射型光学センサ200bの変形例であり、以下、この実施の形態を実施形態3と呼ぶ。
繁雑を避けるため、図14を、実施形態3の説明にも援用する。
照射用レンズ200b−p(p=1〜7)、受光用レンズ200bCの具体的なレンズパラメータを挙げる。
これ等レンズの形状は、上に説明したものと同様であり、照射系・受光部側がアナモフィックな非球面であり、定着ベルト表面側が平面である。
上記と同様、x方向が「主走査方向」、y方向が「副走査方向」、z方向がレンズ光軸方向に対応する。
照射用レンズ220b−pの、x方向の曲率半径:4.36mm、x方向の円錐定数:−1.6、y方向の曲率半径:4.0mm、y方向の円錐定数:−2.0である。
照射用レンズ220b−pの、x方向のレンズ径:2.4mm、y方向のレンズ径:9.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
これから明らかなように、この例では、照射用レンズのx方向の曲率半径:円錐定数のみが、先に説明したものと異なっている。
即ち、実施形態2の照射用レンズに比して、実施形態3の照射用レンズは主走査方向の屈折力が若干強い。
一方、受光用レンズ220bCのx方向の曲率半径:30mm、x方向の円錐定数:−1.5、y方向の曲率半径:4.8mm、y方向の円錐定数:−1.6である。
受光用レンズ220bCのx方向のレンズ径:17mm、y方向のレンズ径:11.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
これから明らかな如く、実施形態3の受光用レンズは実施形態2のものと同一である。
y方向における照射用レンズ220b−pと受光用レンズ220bCの間の距離:2.53mm、z方向における照射系と照射用レンズ間の距離:10.37mmであり、z方向における受光系(PD)と受光用レンズ間の距離:10.37mmである。
即ち、実施形態3におけるLED、PD、照射用レンズ、受光用レンズの配置関係は、実施形態2のものと同一である。
上に説明した実施形態1、2の反射型光学センサ200a、200bでは、定着ベルト表面のスポット間距離を1例として0.6mmに設定している。
「スポット間距離」は、定着ベルト表面に照射される照射光のスポットの、主走査方向における配列において、隣接するスポットの主走査方向の間隔(中心間距離)である。
実施形態1、2の反射型光学センサでは、x方向のスポット径を約0.9mmに設定して「隣接スポット間に光の照射されない部分」が発生しないようにしている。
被検物上でのスポット径は、定着ベルトの傷の検知精度に直結する。
実施形態3の反射型光学センサでは、x方向におけるスポット径は、実施例1、2のものと同程度を維持している。
そして、受光用レンズ220bCに入射する反射光の「x方向におけるスポット径」をより小さくしている。
即ち、これを実現するために、照射用レンズ220bCのx方向(主走査方向)の屈折力を上記の如く調整した。
x方向に関して、各照射系から射出された光は、定着ベルト表面で反射されてから受光系に到達するまでの何れかの位置において、各照射系の発光部と共役関係を満足する。
その結果、x方向に関する定着ベルト表面上のスポット径を、実施形態1、2の場合と同程度を維持できる。
そして、受光用レンズ220bCに入射する反射光の「x方向の光束径」を、実施例1、2の場合よりも小さくできる。
即ち、定着ベルト表面と受光系との間で、反射光がx方向に一度結像するので、受光用レンズや受光系に入射する光束幅をx方向に小さく出来るのである。
上記「x方向の光束径」を小さくすることにより、反射型光学センサのセンサ出力への定着ベルトのバタツキや、位置ずれの影響をより有効に軽減できる。
尚、各照射系の発光部と「x方向に関して共役」になる「何れかの位置」は、受光用レンズのx方向の曲率半径が0である場合、受光系の表面に近いほど好ましい。
受光用レンズのx方向の曲率半径が0以外である場合は、受光用レンズの裏面(定着ベルト表面側)付近が好ましい。どちらも、受光用レンズの屈折力が作用する位置である。
以下、実施の他の形態として、実施形態4を説明する。
図15は、実施形態4の反射型光学センサ200dを説明するための図である。
図15(a)はx方向(主走査方向)から見た状態、(b)はy方向(副走査方向)から見た状態である。z方向はレンズ光軸方向である。
符号211d−1−1〜211d−1−4は、照射系1を構成する4個のLED、符号211d−7−1〜211d−7−4は、照射系7を構成する4個のLEDを示す。
また、符号220d−p(p=1〜7)は照射用レンズ、符号220dCは受光用レンズを示し、符号210d−rは、受光部としてのPDを示し、r=1〜28である。
照射用レンズ220d−pと受光用レンズ220dCは一体化されてレンズアレイ220dをなしている。
符号210dは照射系と受光系を支持する基板210dと、符号240dは基板210dとレンズアレイ220dを保持するケース240dとから構成される。
照射用レンズ、受光用レンズの具体的なレンズデータを挙げる。
照射用レンズ220d−pの、x方向の曲率半径:4.36mm、x方向の円錐定数:−1.6、y方向の曲率半径:4.0mm、y方向の円錐定数:−2.0である。
照射用レンズの主走査方向のレンズ径は2.4mm、照射用レンズの副走査方向のレンズ径は9.2mm、照射用レンズのレンズ厚は6.6mmである。
受光用レンズ220dCの、x方向の曲率半径:∞、x方向の円錐定数:0、y方向の曲率半径:4.8mm、y方向の円錐定数:−1.6である。
受光用レンズ220dCの、x方向のレンズ径:17mm、y方向のレンズ径:11.2mm、レンズ厚:6.6mmである。
また、照射用レンズと受光用レンズのy方向の距離:2.53mm、z方向における照射系と照射用レンズの間の距離:10.37mmである。
また、z方向における受光系(PD)と受光用レンズ220dCとの間の距離:10.37mmである。
即ち、実施形態4の反射型光学センサ200dは、受光用レンズ220dCを除けば、実施例3の反射型光学センサと同じである。
即ち、実施形態4の反射型光学センサ200dは、実施形態3の反射型光学センサの受光用レンズを「x方向に屈折力の無いシリンドリカルレンズ」に換えたものである。
先に説明した実施形態1〜3の反射型光学センサでは、受光系をなす28個のPDをx方向に配列した構成となっている。
転写ベルト表面による反射光は、y方向(副走査方向)に関しては、PD位置やPDの受光面サイズを考慮して、受光用レンズにより絞る必要がある。
しかし、x方向に関しては、複数(28個)のPDを配置しているので、敢えて受光用レンズにより絞る必要はない。
先に、実施形態1の反射型光学センサの特性を図13に即して説明した。
実施形態2、3の反射型光学センサについても、x方向の特性は実施例1のものと変わらないので、これ等の反射型光学センサについても図13の説明を援用できる。
実施形態4の反射型光学センサ200dの特性について、図13にならって図16に示す。図中の縦軸や横軸等についての説明は図13のものと同じである。
図16と図13を比較すると、受光用レンズをx方向に屈折力の無いシリンドリカルレンズとしても、定着ベルト表面の傷(表面情報)の検出が可能であることがわかる。
即ち、定着ベルト表面に、スキュー角:βが±1度の範囲内でバタツキや位置ずれが生じても、定着ベルト表面の傷の検出が可能である。
シリンドリカルレンズは、実施形態1〜3における「x、y方向にパワーを持つアナモフィックな受光用レンズ」に比してレンズ面形成が容易で、低コストで実現できる。
実施形態1〜3の場合のように、受光用レンズが主走査方向(x方向)にパワーを持つと、以下の如き場合が考えられる。
即ち、異なる照射用レンズを介して、定着ベルト表面には「略等しい入射角で入射する複数の照明光束」がある。
実施形態1の場合で言えば、例えば、LED211a−2−2、211a−4−2等から放射されて、定着ベルト表面に入射する光束である。
この場合、LED211a−2−2から放射されて定着ベルト表面を照射し、反射された光束は、受光用レンズのx方向における端部に近い部分を通って受光系に入射する。
一方、LED211a−4−2から放射されて定着ベルト表面を照射し、反射された光束は、受光用レンズのx方向における中央に近い部分を通って受光系に入射する。
このように、受光用レンズのx方向の端部側を通る反射光と、中央部を通る反射光とで、受光部における「PD受光量分布」が異なる場合が生じうる。
「PD受光量分布」は、複数のPDが受光する光量の分布である。
実施形態4のように、受光用レンズをx方向にパワーのないシリンダレンズとすると、定着ベルト表面に「ほぼ等しい入射角で入射する光束」は、ほぼ同一のPD受光量分布を生じるため、アナモフィックレンズの場合に比べてPD受光量分布の変化を抑制できる。
このため、定着ベルト表面の表面情報をより高精度で検出することができる。
この発明の反射型光学センサでは、照射用レンズと受光用レンズとは、基本的にはそれぞれ別体に形成し、所定の位置関係となるように組み合せることができる。
しかし、実施形態1〜4のように、複数の照射用レンズと受光用レンズとを一体としたレンズアレイ220a、220b、220dとすることができる。
照射用レンズと受光用レンズを一体化することで、各レンズを反射型光学センサに組み付ける際の作業性を向上させ、レンズ面間の配置精度を高めることができる。
したがって、受光部出力変動(PD受光量変動)が抑制され、より高精度に定着ベルトの表面状態を検出できる。
以下には、実施の更に他の形態として、実施形態5を説明する。
図17は、実施形態5の反射型光学素子200fを説明するための図である。
図17(a)は、反射型光学素子200fをx方向(主走査方向)から見た状態を示し、(b)はy方向(副走査方向)から見た状態を示す。
符号211f−p−q(p=1〜7、q=1〜4)は照射系を構成するLED、符号220fは、7個の照射用レンズと受光用レンズとを一体化したレンズアレイを示す。
照射用レンズおよび受光用レンズは、実施形態4におけるものと同一である。
また、図11(a)における符号210fは、受光部をなす28個のPDの配列を示している。受光部を成すPDの配列は、実施例1のものと同じである。
符号210fは、LED211f−p−qと28個のPD212fを支持する基板を示す。符号240は、基板210fとレンズアレイ220fを保持するケースを示す。
符号230f−0、230f−1・・・、230f−7、231fは「フレア光を防止するための遮光壁」を示す。
実施形態5の反射型光学センサ200fの特徴とするところは、遮光壁230f−0、230f−1・・・、230f−7、231fを有する点である。
これらの遮光壁は、z方向から見たときに、個々のLED211f−p−qからの光束を囲繞する開口部を構成する。
このような開口部を設けることで、照射用レンズのレンズ面での反射光が、本来入射すべきでないPDにフレア光として入射することを防止できる。
従って、より精度よく定着ベルトの表面状態を検出できる。
なお、開口部を構成する遮光壁230f−0、230f−1・・・、230f−7、231fは、ケース240fとともに樹脂成形により一体的に形成できる。
上に説明した実施の各形態では、照射光学系を構成する複数のLEDの点滅を「順次点灯」として説明した。
「順次点灯」は、照射系1〜照射系7の28個のLEDを、所定の順序で1個ずつ、点灯と消灯を繰り返す点灯方式である。
即ち、被検物である定着ベルト表面に形成される照明光のスポットが、順次に形成されるように照射系の発光部の点滅が制御される。
順次点灯は、主走査方向における定着ベルト表面の傷の位置の正確な特定のために有効である。
例えば、LEDの順次点灯により、定着ベルト上に照射されるスポットを、x方向の正の向きに移動させる場合、照射系1〜照射系7の順番で、点灯を行う。
各照射系では、LED221−p−qを、1=4、3、2、1の順序で点灯・消灯することは先にも述べた。
これら一連の動作を繰り返し、全てのLEDが点灯・消灯すると、これを1周期として、順次点灯は終了する。
このようにスポットがx方向の正の向きに移動する際の、PDの動作について述べる。
説明の簡単のため、任意の1個のLEDが点灯しているとき、2m個のPDで反射光を受光するものとする。mは整数である。
n番目のLEDを簡単に211nとし、このLED221nが点灯したとき、反射光を2m個のPDで受光する。2m個のPDをPD1、PD2、・・PD2mとする。
そして、これ等2m個のPDのうちで、受光量(出力)が大きいものから1番目と2番目のPD(1番目)、PD(2番目)を抽出する。
これら2つのPD(1番目)、PD(2番目)は、一般に隣接しており、これ等2つのPDのx方向における中心位置をx=0とする。
こうすると、残りの2m−2個のPDの位置は、PDの配列ピッチをPtとして、x=0±1.51×Ptとなり、2m−2個のPDはこれ等の位置の光量を出力する。
2m個のPD1〜PD2mで受光されて光電変換され、増幅された各PDの出力は、その都度、状態判定手段300(図2(c)参照)に送られる。
場合によっては検知精度を上げるために、複数周期に渡って順次点灯を行い、検知結果の平均値処理などを行うことができる。
また、点灯・消灯するLEDは、全配列数:N(=28)を用いる必要はなく、そのうちの一部のN’(≦N)個を用いても良い。
順次点灯は、全発光部を同時点灯する場合に対し、クロストーク(1つのPDが、複数発光部による反射光を同時に受光する現象)がない。
従って、主走査方向の各光スポット位置に対して得られる検知結果の検知精度を向上させることができる。
上に説明した実施形態1〜5の全てにおいて、レンズアレイは、屈折率:1.5332の光学樹脂(ポリマー樹脂)を用いて、成形により作製している。
実施形態1〜5の反射型光学センサは、被検物である定着ベルト表面上で、該表面の移動方向に直交する方向(主走査方向)をx方向として、表面状態の検出を行なう。
図18(a)は、この場合である。符号61で示す転写ベルト表面は、y方向(副走査方向)へ移動し、反射型光学センサによる検知領域A’は、x方向に平行である。
図の「用紙端部位置」は、トナー画像を定着される用紙(シート状記録媒体)の端部が位置する部分であり、この部分に「筋状の傷」が発生しやすい。
それで、検知領域A’をこの部分に設定するのである。
この場合、検知領域A’は「ローラに巻き掛けられて円柱面状態」であっても良い。
一方、図18(b)は、転写ベルト表面61が平面状であって、x方向(スポットの配列方向)を、主走査方向に対して45度傾けて設定した場合である。
図18(b)のようにすると、主走査方向の検知領域A’は、(a)の場合の1/√2に短くなるが、主走査方向のスポットの配列ピッチも1/√2に小さくできる。
従って、図18(a)の場合に比して検知結果の位置分解能を上げることができる。
図1、図2に即して説明した画像形成装置に、上記実施の各形態の如き反射型光学センサを搭載することにより、定着ベルト表面の傷の有無のリアルタイム検出が可能になる。
また、傷の位置や傷の幅の検知が可能となる。
そして、定着ベルト表面のバタツキやセンサ取り付け位置ずれが生じても、定着ベルト上の傷の検知領域を十分に維持して、表面情報を検出できる。
従って、傷による画像品質の劣化を未然に防ぐことが可能となる。
画像形成装置内において、この発明の反射型光学センサを、図19(a)〜(c)に示すように、小サイズの用紙幅端部の近傍に対して部分的に配置することができる。
即ち、小サイズのシート状記録媒体の端部と定着ベルトが接触する位置またはその近傍に対して部分的に配置する。
このようにすると、検知領域A’の主走査方向の長さを短くしても、用紙幅端部を検知領域A’に含むことができる。
検知領域A’を短くできると、反射型光学センサ200を特に主走査方向に小型化することが可能になるというメリットがある。
表面情報である「傷」の幅は、数100μm〜数mm程度、傷の位置としての変動範囲は数mm程度である。
従って、検知領域A’は「主走査方向に5mm〜15mm程度」が好適である。
画像形成装置は、例えばA3、A4、A5の各サイズ等の複数サイズの用紙を使用できる。一般には最大通紙できる用紙はA3縦通紙が多い。
その場合、小サイズ用紙幅というと「A3用紙を除く用紙サイズ」が対象となる。
もしA2縦通紙が可能な画像形成装置である場合には、A2用紙を除く用紙サイズが対象となる。
また、小サイズの用紙幅端部は「両端に2箇所」存在するため、反射型光学センサを用紙両端に1個ずつ、すなわち、主走査方向に2個配置することもできる。
しかし、用紙端面に起因する縦筋状の傷は、一般に用紙の両サイドに発生し、傷のレベルに大きな相違は見られないことから、用紙の片側いずれか一方に設けるのみでも良い。
さらに、画像形成装置内において、この発明の反射型光学センサを種々の用紙サイズに対応できるよう図20(d)に示すように主走査方向に大きくしてもよい。
即ち、定着ベルトの長手方向全域に亘って配置する。
例えば、A1縦通紙が可能な画像形成装置である場合、A2〜A5、B3〜B6の各サイズの用紙幅端部を照射可能となるように反射型光学センサを主走査方向に大きくする。
このように、反射型光学センサの長さを十分大きくすることで、用紙サイズによって定着ベルト上の異なる場所に出現する傷の未検知を防ぐことができる。
上には、反射型光学センサによる表面情報の検出の対象として、定着ローラの表面の傷について説明した。
上では、被検物は定着部材である定着ベルトとしたが、表面情報を検出する被検物は、これに限らず、半導体基板や紙などを被検物とすることもできる。
前述の転写ベルトの表面状態を表面情報として検出することもできる。
また、各照射用レンズに対応する照射系の発光部(LED)が4個の場合を例として説明したが、照射系を構成する発光部の数がこれに限らないことは言うまでも無い。