JP6174269B2 - アスファルテンの沈殿を伴わない二酸化炭素及び樹脂補助剤を使用した乳化石油の解乳化 - Google Patents

アスファルテンの沈殿を伴わない二酸化炭素及び樹脂補助剤を使用した乳化石油の解乳化 Download PDF

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Description

本明細書は、全般的に、石油処理に関し、より具体的には、解乳化中にアスファルテンなどの石油成分の沈殿を伴わずに、二酸化炭素を使用して乳化石油源を解乳化するための方法に関する。
水中油型(o/w)及び油中水型(w/o)エマルジョンは、石油産業において多くの問題を引き起こしており、原油の回収、処理、及び輸送中に、石油生産者からの注意を要する。エマルジョン破壊は、常に石油生産者及び精製者にとって課題である。現在、原油は、世界で最も重要な炭化水素資源であり、重質原油は、世界の潜在的に回収可能な石油埋蔵量の大部分を占めている。重質原油は、輸送中に問題を引き起こす重質原油の高い粘度のため、現在、世界の石油生産のごく僅かな部分だけしか占めていない。それでも、軽質原油の供給は全世界を通じて次第に減少しているので、重質原油に関連する懸念に対処する必要性の高まりは避けることができない。
通常、原油は、アスファルテン及び樹脂のコロイド分散体であるとみなされ、離散的な極性成分を構成し、非極性化合物からなる連続相の中に分散する。原油はまた、主に飽和炭化水素及び芳香族炭化水素からなる異質で複雑な有機混合物として説明することもできる。また、異核化合物、乳化水、及び他の無機物も含有する。炭化水素部分は、直鎖のアルカン、イソアルカン、シクロアルカン、及び芳香族(アルキル側鎖を有する、単核、複核、及び多核芳香族炭化水素(PAH))、樹脂(スルホキシド、アミド、チオフェン、ピリジン、キノリン、及びカルバゾールなどの多数のビルディングブロックを有する凝集体)、ならびに数千の多彩な誘導体を有するアスファルテン(拡張多環芳香族、ナフテン酸、硫化物、多価フェノール、及び脂肪酸の凝集物)を含有する。アスファルテンは、実際にはコロイド状であり、原子状H/C比は、1.0〜1.2の範囲であり、数重量パーセントというN、S、及びOの含有率は、アスファルテン骨格の大部分が、1高分子あたり5〜7個のヘテロ原子を含有する極性官能基を散在させた縮合芳香族炭素からなることを意味する。アスファルテンは、固有の化学構造式を有しない。個々のアスファルテン分子は、構造体に含有される原子の数が変動し得、平均化学構造式は、供給源に依存し得る。
アスファルテンは、一般的に、原油内にミセルで存在する。例えば原油がo/wエマルジョンまたはw/oエマルジョンなどのエマルジョンとして回収されるときに、ミセルの保護シェルが破壊される場合があり、アスファルテンを凝集または沈殿させる。石油産業において、凝集または沈殿したアスファルテンは、生産装置を汚染すること、または詰まらせることでよく知られている。故に、アスファルテンの凝集または沈殿を伴わずに、原油、特にアスファルテンに富む重質原油などの石油源を解乳化するための方法に対する継続的な必要性が存在する。
種々の実施形態によれば、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法が提供される。本方法は、所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤を乳化石油源に加えることを含むことができる。加えて、補助エマルジョンにおける塩基性官能基と酸性官能基との酸と塩基との比率は、約0.25〜約4.0に調節することができる。次いで、初期混合物を形成するために、樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させることができる。初期混合物は、乳化油相及び乳化水相を含有することができる。二酸化炭素は、臨界液体二酸化炭素または臨界二酸化炭素から選択することができる。初期混合物は、樹脂補助エマルジョンの破裂を促進するために安定させることができる。相分離混合物は、初期混合物から形成することができ、また、分離水相及び分離油相を含有することができる。次いで、相分離混合物から分離油相を除去することができる。本法において、補助エマルジョンにおいて所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率は、樹脂補助エマルジョン、初期混合物、相分離混合物、及び相分離混合物から除去される分離油相におけるアスファルテンの懸濁を維持し、よって、アスファルテンの凝集及び沈殿が回避される。
本明細書で説明される実施形態の追加的な特徴及び利点は、以下に続く詳細な説明に記載され、また部分的に、その説明から直ちに当業者に明らかになるか、または、以下に続く詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付図面を含む、本明細書で説明される実施形態を実践することによって認識されるであろう。
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の双方が、種々の実施形態を説明し、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概要または枠組を提供することが意図されることを理解されたい。添付図面は、種々の実施形態の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれかつその一部を構成する。図面は、本明細書で説明される種々の実施形態を例示し、また、説明とともに、特許請求される主題の原理及び動作を説明することに役立つ。
本明細書の実施形態による方法を使用して石油を解乳化するためのシステムの概略図である。 本明細書の実施形態による方法によって石油を解乳化している間の相分離を例示する、図1のシステムの部分概略図である。 本明細書の実施形態による方法によって石油を解乳化している間の、溶液中の種々の種の伝播及びそれらの有機複素間との関係を示す図である。 図3Aの続きを示す図である。
以下、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法の実施形態に対する参照を詳細に行う。乳化石油源を解乳化するための方法は、図1及び図2を参照して説明され、これらの図は、本明細書の実施形態による解乳化方法を実行するために使用することができる例示的なシステムの構成を例示する。図1及び図2のシステムは、例示的なものとして提供されているが、本明細書の実施形態による乳化石油源を解乳化するための方法は、他の構成のシステムまたは装置を使用して実行することができることを理解されたい。
石油源を解乳化するための方法では、二酸化炭素を水中油型(o/w)エマルジョン、油中水型(w/o)エマルジョン、または例えばw/o/wもしくはo/w/oなどの他のエマルジョンの中へ導入することによって、臨界及び臨界二酸化炭素の固有の特性が利用され、よって、エマルジョン膜の境界の周囲もしくは内側または境界上で水分子と相互作用することによって二酸化炭素が形成されたときに、二酸化炭素は、油相と水相との境界の中へ拡散するだけでなく、最終的には、水相に到達して、pHの実質的な低下を誘発する。システム圧力の制御を通して、o/wまたはw/o界面においてアスファルテンのカルボキシル基、樹脂酸、及びナフテン酸基の酸性質を相互作用的に不活性化する、多様なより低いpH環境を作り出すことができる。この不活性化によって、水相のpHが油成分のカルボン酸基のpK(酸解離定数)値未満に低下するにつれて、油分子中に存在する酸基と水の水素結合との間の相互作用が不活性化されるか、または減弱される。したがって、油相から解離したカルボン酸基(−COO)と水分子との間の相互作用は、有機酸基(−COO)とその対イオン(H)とを会合させ、結果的に、エマルジョンスキン界面において、油相分子の極性酸性基及び水相中の水素結合を遊離させることによって回復される。
図1を参照すると、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、単に例示的なものとして提供される解乳化システム100などのシステムにおいて実行することができる。解乳化システム100は、解乳化容器110を含むことができる。一般に、解乳化容器110は、特に約1バール〜約300バールの圧力に加圧することができる、任意の閉鎖空間とすることができる。いくつかの実施形態において、解乳化容器110は、解乳化剤などの工業装置とすることができる。他の実施形態において、例えば、解乳化容器110は、例えば地下クレバス内の岩層などの自然な境界によって画定される、石油貯蔵槽などの自然な形成物であり得る。解乳化容器110が装置である場合、解乳化システム100は、例えば原油などの乳化石油源120を解乳化容器110に提供するエマルジョン導管122と流体連通することができる。解乳化容器110が例えば油貯蔵槽などの自然な形成物である場合、乳化石油源は、既に解乳化容器110内に位置している場合があり、いかなるエマルジョン導管も不要とするができ、それによって、解乳化過程が油回収の一部として実行される。
解乳化容器110はまた、樹脂導管132、A/B調節剤導管152、または双方と流体連通することもできる。存在するときに、樹脂導管132は、樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤130を乳化石油源120に提供する。下で更に詳細に説明されるように、解乳化容器110における解乳化中に、またはその準備中に、乳化石油源120の樹脂とアスファルテンとの比率(R/A)を高めるために、樹脂補助剤130を使用することができる。存在するときに、A/B調節剤導管152は、例えば有機酸または有機塩基などの酸/塩基調節剤を乳化石油源120に提供する。同じく下で更に詳細に説明されるように、解乳化容器110における解乳化中に、またはその準備中に、乳化石油源120の酸性官能基と塩基性官能基との比率(A/B)を調節する(すなわち、該比率を高めるまたは低める)ために、pH調節剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、樹脂補助エマルジョンを形成するために、添加物混合ゾーン135において、樹脂補助剤130及びA/B調節剤150の一方または双方を乳化石油源120に加えることができる。そのような実施形態において、樹脂補助エマルジョンは、例えば補助混合物導管137を経由して、解乳化容器110に向かって送給することができる。図1に示されない他の実施形態では、樹脂補助エマルジョンを形成するために、解乳化容器110自体において、樹脂補助剤130及びA/B調節剤150の一方または双方を乳化石油源120に加えることができる。そのような実施形態では、樹脂導管132、A/B調節剤導管152、または双方を、解乳化容器110に直接接続することができる。
実例となる実施形態において、樹脂留分またはリグニン誘導の溶媒を含有する樹脂補助剤と、エマルジョン中に原油を含有する乳化石油源とを組み合わせること、または混合することは、任意の工業的に実現可能な混合過程によって達成することができる。1つの例示的な実施形態において、添加物混合ゾーン135は、三方混合弁として構成することができ、乳化石油が弁の1つの開口部を通ってエマルジョン導管122から進入し、樹脂補助剤が第2の開口部を通って樹脂導管132から進入し、樹脂補助エマルジョンが第3の開口部を通って補助混合物導管137の中へ出る。別の例示的な実施形態において、乳化石油源及び樹脂補助剤は、添加物混合ゾーン135で単一のパイプに転換する同心パイプを通って流れることができ、該パイプでは、乳化石油の流れ及び樹脂補助剤の流れが、樹脂補助混合物の単一の流れに合流する。随意に、より効果的で完全な混合を提供するために、スプレーノズルを同心のパイプに組み込むことができる。
解乳化システム100は更に、初期混合物を形成するために、臨界または臨界液体二酸化炭素を補助混合物の中へ注入する、二酸化炭素源140を含むことができる。いくつかの実施形態において、初期混合物は、補助混合物導管137を介して添加物混合ゾーン135に接続され、ならびに二酸化炭素源導管142及び/または二酸化炭素注入器導管143を介して二酸化炭素源140に接続される、二酸化炭素混合ゾーン145において形成することができる。そのような実施形態において、初期混合物は、二酸化炭素混合ゾーン145において形成され、容器入口147を通して解乳化容器110の中へ進む。容器入口147は、解乳化容器110(図1に示さず)の底部で開口することができ、または解乳化容器110の底部を通って延在し、(図1に示されるように)入口開口部高さhで解乳化容器110の内部の入口開口部148において開口することができる。図1に示されない他の実施形態において、初期混合物は、二酸化炭素注入器導管143を解乳化容器110に直接接続することによって、解乳化容器110自体において形成することができる。そのような実施形態において、容器入口147は、乳化石油源120を解乳化容器110の中へだけ搬送することができ、または乳化石油源120ならびに樹脂補助剤130及びA/B調節剤150の一方または双方を解乳化容器の中へ搬送することができる。したがって、図1において、解乳化容器110は、初期混合物5を充填した状態で部分的に示される。
解乳化システム100は更に、初期混合物5の相分離を促進するために、初期混合物5を撹拌または混合するための適切な装置を含むことができる。図1において、混合パドル180は、初期混合物5を撹拌または混合するためのそのような適切な装置及び構成の実例として示されているが、解乳化容器110内で初期混合物5を撹拌または混合するための任意の手段を、図1に示される混合パドル180に決して限定されることなく、任意の実用的な構成で用いることができることを理解されたい。更に、初期混合物5を撹拌または混合するための複数の手段が解乳化容器110の中に存在し得ることを理解されたい。
解乳化容器110は更に、油相出口165を含むことができる。油相出口165は、相分離油を、油相導管167を通して油相回収容器160に導く。解乳化容器110はまた、二酸化炭素出口175も含むことができる。二酸化炭素出口175は、二酸化炭素出口導管177を介して二酸化炭素回収ユニット170に接続することができる。二酸化炭素回収ユニット170に到達する二酸化炭素は、解乳化システム100の外部で使用するために、洗浄するかもしくは別様には回収することができ、または解乳化容器110における更なる解乳化処理に再使用するために、再利用導管172を通して再利用することができる。したがって、二酸化炭素が解乳化システムにおいて再利用されるときに、再利用導管172からの再利用二酸化炭素は、二酸化炭素源140及び二酸化炭素源導管142からの二酸化炭素と混合され、二酸化炭素注入器導管143を通って二酸化炭素混合ゾーン145に流れる。
上で述べられるように、図1の解乳化容器110は、初期混合物5を含有する。アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法において、下で更に詳細に説明されるように、初期混合物は、初期混合物の樹脂補助エマルジョンの破裂を促進するために、安定させることができる。樹脂補助エマルジョンの破裂の後に、相分離混合物の形成を続けることができる。考察を明確にするだけのために図1の解乳化システム100の複数の構成要素が省略されている図2を参照すると、図2の解乳化容器110は、そのような相分離混合物を含有する。
相分離混合物は、分離水相10と、分離油相30とを含むことができる。分離水相10は、水、水性二酸化炭素、ならびに陽子及び重炭酸イオンに解離した二酸化炭素を含有することができる。分離油相30は、エマルジョンを含まない油と、若干の二酸化炭素とを含有することができる。相分離混合物はまた、分離水相10と分離油相30との間に混合相20も含むことができる。混合相20は、乳化石油源、水、水性二酸化炭素、ならびに陽子及び重炭酸イオンに解離した二酸化炭素の炭化水素成分の水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンを含有することができる。分離水相10は、水相境界15において混合相20に接触することができる。分離油相30は、油相境界25において混合相20に接触することができる。いくつかの実施形態において、入口開口部高さhは、相分離中に、入口開口部148が混合相20の予想位置に、特に、水相境界15の上側に配置されるように調整することができる。
相分離混合物はまた、分離油相30の上側に二酸化炭素相40も含むことができる。二酸化炭素相40は、基本的に臨界または臨界二酸化炭素から構成され得る。二酸化炭素相40は、二酸化炭素相境界35において分離油相30に接触することができる。いくつかの実施形態において、油相出口165は、解乳化容器110からの分離油相30の除去を促進するように、分離油相30の予想位置において解乳化容器110上に位置付けることができる。同様に、いくつかの実施形態において、二酸化炭素出口175は、解乳化容器110からの二酸化炭素相40の除去を促進するように、二酸化炭素相40の予想位置において解乳化容器110上に位置付けることができる。
図1及び図2の解乳化システム100は、説明しようとしている乳化石油源を解乳化するための方法に特に関連する構成要素だけを参照して説明されていることを理解されたい。更に、当業者は、図1及び図2の解乳化システム100が、おそらくは、配管、取り付け具、弁、及び同類のものなどの適切な流体接続を使用して実現されること、及び解乳化システム100内の流体の移送が、図1及び図2には示されていない、圧力または移送装置、ポンプ、システムモニタ、圧力ゲージ、温度モニタ、及び同類のものを必要とし得ることを理解されたい。
解乳化システム100の例示的な実施形態を、図1及び図2を参照して上で説明してきた。アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法の実施形態は、以下、詳細に説明され、上で説明される解乳化システム100の例示的な実施形態の構成要素を随時参照する。
アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤を乳化石油源に加えることを含むことができる。種々の実施形態によれば、乳化石油源は、任意の原油、シェール油、または水中油型もしくは油中水型エマルジョン中に存在する任意の原油留分とすることができる。樹脂補助剤は、下で更に詳細に説明されるように、乳化石油源の比率よりも高い樹脂とアスファルテンとの比率を有する添加物である。所定の臨界値を超えるように樹脂補助エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率を設定することは、樹脂補助エマルジョン、初期混合物、相分離混合物、及び相分離混合物から除去した分離油相における、解乳化過程中のアスファルテンの懸濁の維持を促進またはもたらすことができると考えられる。以下、樹脂とアスファルテンとの比率(R/A)の概念が全般的に説明される。
原油、更には原油から誘導される多くの石油留分は、一般に、複数の炭化水素成分を含有するものとして理解することができる。SARAとして知られている一般的な分析法によって、複数の炭化水素成分は、一般的に、分極性及び両極性に基づいて、4つのカテゴリー、すなわち、飽和(S)、芳香族(A)、樹脂(R)、またはアスファルテン(A)のうちの1つに分類される。樹脂とアスファルテンとの比率(R/A)は、石油源中の樹脂(R)成分の総重量とアスファルテン(A)成分の総重量との比率である。
原油などの石油源において、飽和(S)成分は、一般に、無極性分子であり、また、直鎖、分岐、または環状であり得る飽和炭化水素を含む。世界中からの原油は、例えば、約15重量%〜約85重量%もの飽和(S)成分を含有し得る。これらの成分はまた、一般に、パラフィンとしても知られている。芳香族(A)成分は、1つ以上の芳香族環を含有し、また飽和(S)成分よりも僅かに分極性が高い。世界中からの原油は、約10重量%から約45重量%の芳香族(A)成分を含有し得る。
石油源の樹脂(R)成分及びアスファルテン(A)成分は、一般的に、多数の環状部分及び/または芳香族環を有するが、カルボキシレート基などの極性置換基も含有する。樹脂(R)成分及びアスファルテン(A)の分子量は、変動し得るが、一般的に、アスファルテンは、分子量によって原油の最大成分であり、個々のアスファルテン分子は、一般的に400ダルトン〜1500ダルトンの質量分布を有する。アスファルテンはまた、最大20,000ダルトンの分子量を有する高分子を形成することもでき、または凝集して粒子を形成することもできる。
定義上、樹脂(R)成分は、種々の溶媒への溶解性によってアスファルテン(A)成分から区別される。特に、樹脂(R)成分は、nペンタン、nヘキサン、またはnヘプタンなどの低級アルカンには混和性であるが、液体プロパンには不溶性である、原油留分として定義される。樹脂(R)成分はまた、フラー土、アルミナ、またはシリカなどの界面活性材料に強く吸着され、よって、ピリジンまたはトルエンとメタノールとの混合物などの溶媒によってだけ脱離させることができる、石油留分としても定義されている。世界中からの原油は、約5重量%〜約40重量%の樹脂(R)成分を含有し得る。アスファルテン(A)成分は、定義上、過剰なnヘプタンにおいてさえ溶解しないが、一般的にベンゼンまたはトルエンに溶解する。世界中からの原油は、ほぼ0重量%〜約35重量%のアスファルテン(A)成分を含有し得る。
SARA法に関する数多くの分析プロトコルが知られており、それによって、所与の原油または炭化水素試料中の飽和(S)、芳香族(A)、樹脂(R)、及びアスファルテン(A)の相対的な量を決定することができる。例えば、原油または炭化水素試料は、標準的なIatroscan(商標)TLC−FID手法IP−143などの炎イオン化検出(TLC−FID)プロトコルを伴う薄層クロマトグラフ法を受けさせることができる。IP−143によれば、試料は、非極性溶媒中に溶解させ、シリカロッド上へ注入される。非極性種(S)及び(A)は、溶媒に対してより高い親和性を有し、また、毛管作用によってロッドを上方へ移動する。ロッドは、極性溶媒を含有する槽の中に置かれ、この溶媒に対してシリカよりも高い親和性を有する芳香族種(A)がロッドを上方へ移動する。この過程は、樹脂(R)及びアスファルテン(A)が分離されるまで継続される。次いで、ロッドは、クロマトグラフィを定量化するために、FIDスキャナ上に配置される。FIDスキャナの出力におけるクロマトグラフィピークの統合を通して立証されるように、クラス成分を(S)、(A)、(R)、及び(A)留分に分離することは、試料の総重量に基づいて、特定の成分S、A、R、またはAの重量パーセンテージで試料のバルク組成を提供する。乳化石油源を解乳化するための方法のいくつかの実施形態において、石油留分の相対重量のSARA分析が必要とされるときには、別途提示されない限り、SARA分析は、IP−143標準に従って行うことができる。
アスファルテン(A)含有率及び樹脂とアスファルテンとの比率(R/A)は、石油源が誘導される場所に応じて、原油またはシェール油などの石油源において大幅に変動し得る。例えば、「Arab Heavy」として知られている原油は、約6.7重量%のアスファルテンを含有し得、また、約1.12のR/A比率を有し得る。「B6」として知られている原油は、約13.1重量%のアスファルテンを含有し得、また、約0.92のR/A比率を有し得る。「Canadon Seco」として知られている原油は、約7.5重量%のアスファルテンを含有し得、また、約1.19のR/A比率を有し得る。「Hondo」として知られている原油は、約14.8重量%のアスファルテンを含有し得、また、約1.39のR/A比率を有し得る。
原油または原油留分のSARA分析は、追加的に、原油または原油留分の屈折率(RI)を予測するために使用することができる。例えば、原油または原油留分のSARA分析に関連する屈折率は、式(1)を使用して説明することができると考えられる。
(RI)=1.524412−0.0008515(S)−0.0002524(A)+0.0016341(R)+0.0013928(A) (1)
式(1)において、S、A、R、及びAの値は、それぞれ、飽和、芳香族、樹脂、及びアスファルテンの重量留分である。一般的な原油及び原油留分は、約1.30〜約1.60の範囲の屈折率を有することができる。式(1)と一致して、高い樹脂またはアスファルテン含有率を有する原油または原油留分は、低い樹脂またはアスファルテン含有率を有する原油または原油留分よりも高い屈折率を有する傾向がある。理論に束縛されることを意図するものではないが、原油または原油留分の屈折率は、原油または原油留分の密度に関連すると考えられ、また、第1の原油または原油留分の密度は、第2の原油または原油留分における第1の原油または原油留分の溶解性または混和性を予測することができると考えられる。このように、更に、±5%、±1%、±0.5%、±0.1%、または±0.01%などの別個の原油または原油留分の屈折率を密に整合させることによって、異なるSARA成分比を有する組成物は、予測されるように、同程度の密度を有するものと識別され、したがって、互いに溶解性または混和性であるという予測可能性を有すると考えられる。
更に、原油または原油留分の屈折率に関してモデルが開発されており、該モデルは、アスファルテン(A)成分が溶液中で安定しているかどうか、または溶液から凝集または沈殿する可能性があり、それによって、付着または堆積の問題を引き起こすかどうかを予測する。このモデルは、屈折率がアスファルテン沈殿開始屈折率P以下になるまでアスファルテンを原油または原油留分に加えた場合に、アスファルテンが溶液から凝集または沈殿し始める程度に、特定の原油または原油留分毎にアスファルテン沈殿開始屈折率Pが存在することを前提としている。アスファルテン安定性Δ(RI)は、アスファルテンが所与の原油、原油留分、またはそれらの混合物中で安定するかどうかという可能性を予測することができる。アスファルテン安定性Δ(RI)は、単に、原油、原油留分、またはそれらの混合物の屈折率(RI)OILと、原油、原油留分、またはそれらの混合物のアスファルテン沈殿開始屈折率Pとの差である。この差は、式(2)で提供される。
Δ(RI)=(RI)OIL−P (2)
0.060を超えるアスファルテン安定性Δ(RI)を有する組成物は、安定したアスファルテンを有する可能性が最も高いと考えられ、0.045未満のアスファルテン安定性Δ(RI)を有する組成物は、安定したアスファルテンを有する可能性が最も低いと考えられ、また、0.045〜0.060のアスファルテン安定性Δ(RI)を有する組成物は、安定と、凝集または沈殿の問題を有する可能性との間の境界領域にあると考えられる。
アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法において、所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤を乳化石油源に加えることができる。乳化石油源は、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョンとして、油タンクにある、または油井もしくは油タンクから回収された原油とすることができる。いくつかの実施形態において、乳化石油源は、250℃未満の油温を有することができる。油温が最初に250℃を超えた場合、乳化石油源を解乳化するための方法は、任意の実用的な方法によって、乳化石油源を250℃未満に冷却することを含むことができる。乳化石油源は、乳化形態で見つけられた、発見された、または回収されたものであり得、または回収の目的でエマルジョンにされた原油であり得る。いくつかの実施形態において、乳化石油源は、SARA分析もしくは類似する手法で測定したときに、高粘度を有する重質原油であり得、または5重量%を超える、10重量%を超える、または15重量%を超えるなどの高いアスファルテン含有率を有する原油であり得る。乳化石油源の樹脂とアスファルテンとの比率は、SARA分析または類似する手法による解乳化過程に先立って、予め決定することができる。
次いで、樹脂補助剤が乳化石油源に加えられる。いくつかの実施形態において、樹脂補助剤は、乳化石油源における樹脂補助剤の溶解性及び混和性といった考慮事項に基づいて選択される。上で説明されるように、溶解性及び混和性は、屈折率に関連し得る。したがって、いくつかの実施形態において、樹脂補助剤は、樹脂補助剤が、乳化石油源の、特に乳化石油源の非水性部分の屈折率に密に整合する屈折率を有するように選択することができる。例示的な実施形態において、樹脂補助剤及び乳化石油源の屈折率は、±5%、±1%、±0.5%、±0.1%、または±0.01%の範囲内に整合させることができる。樹脂補助剤の実例となる、限定的でない例としては、コーカーガス油、ビスブレーカー油、軽質分解蒸留液、及び中質分解蒸留液が挙げられる。樹脂補助剤の更なる実例となる、限定的でない例としては、バニリン及びリグニンスルホン酸塩などの天然源から誘導される成分を含む、液化リグニン成分を挙げることができる。
いくつかの実施形態において、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、精製装置環境において実行することができ、その環境においては、特定のタイプの原油をある特定の時間で処理することができる。特定のタイプの原油のいくつかの部分は、解乳化を受けることができ、一方で、特定のタイプの原油の他の部分は、分解または分留などの後の処理段階を既に受けている。したがって、そのような実施形態において、溶解性及び混和性を促進するために、樹脂補助剤が乳化石油源における原油の屈折率に密に整合する屈折率を有する樹脂性材料を含有するのであれば、樹脂補助剤は、乳化石油源の同じ原油から誘導される石油留分とすることができる。
1つの例示的な精製装置構成において、原油は、例えば、大気カラムにおいて分留することができる。大気残油は、真空蒸留に送給することができ、そこでは、更なる分留が実行される。これらの過程中に、飽和(S)及び芳香族(A)を沸騰させて蒸発させた後に、原油中のSARA成分の最高沸点を有するアスファルテン(A)及び樹脂(R)留分は、真空底部に残される。真空蒸留ユニットの底部のアスファルテン(A)及び樹脂(R)留分は、脱アスファルトすることができ、それによって、炭素排除としても知られる溶媒の脱アスファルト過程によってアスファルテンが除去される。のユニットからの脱アスファルト油は、高い重量パーセントの樹脂(R)を含有する。次いで、脱アスファルト油は、「軽質分解油」(LCO)または「重質分解油」(HCO)を形成するために、流動接触分解(FCC)または他の分解過程を受けさせることができる。この様式で形成されるLCOまたはHCOは、特定の原油源から誘導される樹脂(R)成分を含有するので、元々の原油の屈折率以上の屈折率を有するものと識別された場合、LCOまたはHCOは、乳化石油源を解乳化するための方法において樹脂補助剤としての使用に対して特に適したものであり得る。代替的に、脱アスファルト油に熱分解またはビスブレーキングを受けさせることによって形成される軽質分解蒸留液、中質分解蒸留液、またはそれらの混合物もまた、乳化石油源を解乳化するための方法において樹脂補助剤としての使用に対して特に適したものであり得る。
アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法の実施形態において、乳化石油源の原油部分と同程度の屈折率を有する適切な樹脂補助剤が識別されると、樹脂補助エマルジョンを形成するための、樹脂補助剤と乳化石油源との混合物に対する臨界値を決定することができる。臨界値は、樹脂補助エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率を表し、その比率以下では、アスファルテンが不安定になると予想され、また、解乳化過程中に凝集または沈殿し得る。一般に、乳化石油源は、一般的に、樹脂補助剤のR/A比よりも低いR/A比を有するので、樹脂補助剤を乳化石油源に更に加えることは、樹脂補助エマルジョンのR/A比を高める。
いくつかの実施形態において、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、樹脂とアスファルテンとの比率の所定の臨界値を超える補助エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率を達成するために乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の量を決定するために、樹脂補助剤を加える前に、乳化石油源を分析することを含むことができる。臨界値を決定するために、SARA分析などの分析プロトコルを使用して、識別された樹脂補助剤の、及び乳化石油源の原油成分のR/As比を計算することができる。識別された樹脂補助剤の、及び乳化石油源の原油成分の屈折率は、既知の分析手法によって決定することができ、または上の式(1)を使用したSARA分析からの計算によって推定することができる。原油のアスファルテン沈殿開始屈折率POILもまた、実験的に決定することができる。式(2)を適用すると、樹脂補助エマルジョンの臨界値は、(RI)MIX−PMIX>0.060の関係を満たす樹脂補助エマルジョンの屈折率(RI)MIXに対応するR/A比である。
乳化石油源及び樹脂補助剤を混合して樹脂補助混合物を形成したときに、混合物の沈殿の開始(PMIX)及び屈折率(RI)MIXはどちらも、一般的に、それぞれPOIL及び(RI)OILよりも低い。また、一般に、(RI)OIL−(RI)MIX>POIL−PMIXとも考えられる。このように、原油及び樹脂補助剤双方のSARA組成を与えると、式(1)は、原油の屈折率(RI)OILを0.060+POILを超えるまで高める、原油と樹脂補助剤との近似重量比を決定するために使用することができる。そのような近似を行うと、(RI)MIX−PMIX>0.060の関係をもたらすために必要な乳化石油源と樹脂補助剤との実際の重量比を、樹脂補助剤の重量比に関するPMIXの較正曲線から、または任意の他の適切な実験的プロトコルによって決定することができる。そのような算出によって、実例となる一例として、特定の原油源及び選択された樹脂補助剤について、原油の屈折率を十分に高めるために1重量部の樹脂補助剤を10重量部の原油に加えることによって樹脂補助エマルジョンを調製することができ、よって、樹脂補助エマルジョンの屈折率が、樹脂補助エマルジョンのアスファルテン沈殿開始屈折率PMIXよりも少なくとも0.060高くなると判断することができる。これに関して、種々の実施形態に従って、所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために樹脂補助剤を乳化石油源に加えることは、所定量の樹脂補助剤を所定量の乳化石油源に加えることを含むことができ、よって、樹脂補助剤と乳化石油源との重量比は、樹脂補助エマルジョンのアスファルテン沈殿開始屈折率PMIXよりも少なくとも0.060高い、樹脂とアスファルテンとの比率を有する、樹脂補助エマルジョンをもたらす。
したがって、いくつかの実施形態において、乳化石油源を解乳化するための方法は、樹脂とアスファルテンとの比率の所定の臨界値を超える補助エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率を達成するために乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の量を決定することを含むことができる。樹脂補助剤の量を決定することは、原油の原油屈折率(RI)OILを決定することと、アスファルテン沈殿が起こる原油の沈殿開始屈折率(P)を決定することと、脂補助剤の補助剤屈折率(RI)RSを決定することと、樹脂補助エマルジョンについて0.060を超える安定性屈折率差Δ(RI)を提供するために乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の安定化量を決定することと、を含むことができ、Δ(RI)=(RI)MIX−Pであり、(RI)MIXは、樹脂補助エマルジョンの混合物屈折率である。
アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、酸と塩基との比率(A/B)が、例えば約0.5〜2.0などの、約0.25〜約4.0であるように、樹脂補助エマルジョンにおける酸性官能基と塩基性官能基とのA/Bを調節することを含むことができる。原油は、一般に、酸価(AN)及び塩基価(BN)を有することを特徴とすることができる。AN値及びBN値は、それぞれ、原油の酸性成分及びアルカリ性成分の濃度を測定する。酸性成分及びアルカリ性成分は、原油中に同時に存在し得る。例えば、上で説明されるように、原油のアスファルテン成分は、カルボン酸及びナフテン酸などの酸性基を含むことができる。アスファルテン成分、ならびに原油の他の成分は、ピロール基、ピリジニル基、インドール、カルバゾール、チオフェン、及びベンゾチオフェンなどの有機窒素または硫黄複素環式部分にしばしば見られる、塩基性基を含むことができる。AN値及びBN値は、原油の酸性またはアルカリ性成分の強度を示すものではない。
酸価は、例えばASTM D664、ASTM D974、ASTM D1534、またはASTM D3339などの、標準プロトコルを使用して測定することができる。塩基価は、例えばASTM D974、ASTM D2896、またはASTM D4739などの、標準プロトコルを使用して測定することができる。本明細書で使用されるとき、樹脂補助アスファルテンにおける酸性官能基と塩基性官能基との酸と塩基との比率(A/B)は、樹脂補助エマルジョンのAN/BNに等しく、AN/BNはどちらも、上で述べられるASTM規格が挙げられるが、それに限定されない標準プロトコルによって測定される。
いくつかの実施形態において、樹脂補助エマルジョンの酸と塩基との比率(A/B)を、約0.5〜2.0などの、約0.25〜約4.0に調節することは、酸と塩基との比率を高めるために酸性添加物を補助エマルジョンに加えること、または酸と塩基との比率を低めるために追加的な樹脂補助剤もしくは塩基添加物を補助エマルジョンに加えることを含むことができる。したがって、いくつかの実施形態において、乳化石油源を解乳化するための方法は、樹脂補助エマルジョンのA/B比を測定することと、酸性添加物または塩基性添加物を選択することと、約0.25〜約4.0または約0.5〜2.0の樹脂補助エマルジョンのA/B比をもたらすために樹脂補助エマルジョンに加えるべき添加物の添加物量を決定することと、該添加物量の酸性添加物または塩基性添加物を樹脂補助エマルジョンに加えることと、を含むことができる。
例示的な実施形態において、酸性添加物は、樹脂補助エマルジョンのA/B比よりも高いA/B比を有する原油源から、またはクエン酸、コハク酸、酢酸、もしくはナフテン酸などの有機酸から選択することができる。例示的な実施形態において、塩基性添加物は、塩基性官能基を有する樹脂分子を含有する樹脂留分などの、樹脂補助エマルジョンのA/B比よりも低いA/B比を有する原油源から選択することができる。塩基性添加物はまた、有機塩素から、例えば、窒素、またはカルバゾール、アニリン、キノリン、チオフェン、もしくはベンゾチオフェンなどの硫黄複素環式塩基から選択することもできる。有機塩基自体は、種々の原油留分から誘導または抽出することができる。
樹脂補助エマルジョンのA/B比を調節するために使用される酸性添加物または塩基性添加物のいくつかの選択肢によって、A/B比の調節は、樹脂補助エマルジョンのR/A比及び/または臨界値に影響を及ぼし得る。そのような事例において、樹脂補助エマルジョンのA/B比の調節は、樹脂補助エマルジョンのA/B比が臨界値を超えた状態を維持することを確実にするよう十分に配慮しながら行わなければならない。いくつかの実施形態において、R/A比を臨界値未満に低める量の任意の酸性添加物または塩基性添加物を加える必要がある場合、本方法は更に、臨界値を超える樹脂補助エマルジョンのR/A比を維持するために、追加的な樹脂補助剤を加えることを含むことができる。
樹脂補助エマルジョンが形成され、所定の臨界値を超えるR/A比及び約0.25〜約4.0のA/B比の双方を有すると、該樹脂補助エマルジョンは、初期混合物を形成するために、二酸化炭素と接触させることができる。いくつかの実施形態において、二酸化炭素は、臨界液体二酸化炭素または臨界二酸化炭素から選択することができる。二酸化炭素はその温度が30.98℃を超え、その圧力が73.77バールを超えたときに、臨界流体として振舞う。種々の実施形態において、二酸化炭素が臨界液体として存在するか、または臨界流体として存在するかに依存して、二酸化炭素と樹脂補助エマルジョンとの接触を約1バール〜約300バールのシステム圧力で行うことができる。二酸化炭素と樹脂補助エマルジョンとの接触は、最高で約100℃のまたは最高で約50℃のシステム温度で行うことができる。臨界二酸化炭素が所望される場合の最低システム温度は、システム圧力での二酸化炭素の超臨界温度である。臨界二酸化炭素が所望される場合の最低システム温度は、システム圧力での二酸化炭素の昇華温度である。
初期混合物が形成されたときに、初期混合物は、乳化油相及び乳化水相を含有することができ、どちらも、乳化石油源の残留物であり、また、樹脂補助混合物のR/A比を設定するために加えられた樹脂補助剤を含む。次いで、初期混合物は、樹脂補助エマルジョンの破裂を促進するために、安定させることができる。いくつかの実施形態において、初期混合物の安定化は、乳化油相、乳化水相、または双方の合体の開始を促進するために、初期混合物の軽度〜中度の混合または撹拌を含むことができる。他の実施形態において、初期混合物の安定化は、初期混合物が、合体の開始に十分な時間にわたって乱されない状態を維持することを可能にすることを含むことができる。具体的には、初期混合物の連続相内で分散相の合体が起こる。水中油型エマルジョンにおいて、例えば、乳化油相は、分散相であり、乳化水相は、連続相である。同様に、油中水型エマルジョンにおいて、乳化水相は、分散相であり、乳化油相は、連続相である。
初期混合物の安定化及び分散相の合体の開始は、相分離混合物の形成につながり得る。相分離混合物は、少なくとも分離水相及び分離油相を含有することができる。相分離混合物は、追加的に、分離油相の上側のガス相、ならびに分離水相の上側及び分離油相の下側の混合相を含有することができる。ガス相は、臨界または臨界二酸化炭素を含有すること、または基本的にそれから構成することができる。混合相は、まだ相分離していない初期混合物の乳化油相及び乳化水相の一部分を含有することができる。次いで、相分離混合物から分離油相を除去することができる。いくつかの実施形態において、ガス相中の二酸化炭素は、更なる解乳化過程で使用するために捕捉することができ、または再利用することができる。
いくつかの実施形態において、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法は、追加的に、樹脂補助エマルジョンが二酸化炭素と接触している間に、樹脂とアスファルテンとの比率、酸と塩基との比率、または双方を監視することを含むことができる。そのような実施形態において、解乳化容器内部の初期混合物のR/A比が、所定の臨界値に向かって降下していることが分かった場合、または解乳化容器内初期混合物のA/B比が、0.25〜4.0の範囲を外れて低下または上昇していることが分かった場合、修正処置をとることができる。具体的には、修正処置は、例えば、初期混合物または相分離混合物の樹脂とアスファルテンとの比率を所定の臨界値を超えて維持するために、乳化石油源に加えられる樹脂補助剤の量を調節すること、または酸と塩基との比率を約0.25〜約4.0に維持するために、初期混合物または相分離混合物に有機酸または有機塩基を加えること、から選択される少なくとも1つの調節を行うことを含むことができる。そのようなR/As比及び/またはA/B比の原位置調節は、当業者の理解の範囲内にある工学原理を使用して行うことができ、また、石油源、樹脂補助剤、酸性添加物もしくは塩基性添加物、またはそれらの任意の組み合わせの体積流量の適切な算出を含むことができる。
上で説明される実施形態に従う、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法において、解乳化は、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに進行する。理論に束縛されることを意図するものではないが、補助エマルジョンにおいて所定の臨界値を超える樹脂とアスファルテンとの比率は、解乳化過程のすべての段階において、特に、樹脂補助エマルジョンにおいて、初期混合物において、相分離混合物において、及び相分離混合物から除去される分離油相において、アスファルテンの懸濁を維持する際に、重要な役割を果たすことができると考えられる。また、酸性官能基と塩基性官能基との比率(A/B)を約0.25〜約4.0の範囲内に調節及び/または維持することもまた、アスファルテンを安定させ、よって、解乳化過程中のアスファルテンの凝集及び沈殿が回避されるとも考えられる。
以下、本明細書の実施形態による、乳化石油源を解乳化するための方法と関連する理論の更なる詳細が説明される。以下の理論的な考察は、本明細書で説明される方法の実施形態の種々の態様を明らかにすること意図し、それらを限定することを意図しないことを理解されたい。
解乳化過程中に、COは、2つの役割を果たすと考えられる。アスファルテンの溶媒和を支援することに加えて、臨界COはまた、より良好な拡散係数、ゼロ表面張力、及びより低い粘度のため、油中水型エマルジョンの原油相を通しても、または水中油型の水相を通しても拡散し、それによって、目標化合物の質量移動を開始する。
臨界〜臨界の範囲でのシステム圧力は、o/wまたはw/o界面においてアスファルテン、樹脂酸、ナフテン酸基のカルボキシル基の酸性質を相互作用的に不活性化する、多様なより低いpH環境を作り出す。この不活性化によって、水相のpHが油成分のカルボン酸基のpK(酸解離定数)値未満に低下するときに、油分子中に存在する酸基と水の水素結合との間の相互作用が不活性化されるか、または減弱される。したがって、油相からの解離したカルボン酸基(−COO)と水分子との間の相互作用は、有機酸基(−COO)とその対イオン(H)とを会合させ、結果的に、エマルジョンスキン界面において、油相の極性酸性基及び水相中の水素結合を遊離させることによって回復される。70気圧〜200気圧の高圧、及び25℃〜70℃の温度で、pHは、約2.80〜約2.95になり得る。したがって、エマルジョン中の水の臨界範囲(71気圧及び32℃)での、またはその付近でのpHは、約3.00程度であり、これは、原油の固有の有機酸を非活性化するのに十分である。−COOH基を有する分子は、はるかに高いpK値を有する。
一方で、エマルジョンの界面での二酸化炭素の拡散は、エマルジョンの粘度及び密度を低減させ、それによって、エマルジョンスキンでの界面張力を低下させる。エマルジョンが安定する十分な緩和時間を可能にすることによって、エマルジョンの破裂が、合体を含む種々の手段によって促進される。水の内部に、または油/水(o/w)もしくは水/油(w/o)の界面に拡散した二酸化炭素は、平衡状態が確立されるまで、水相の中へ連続的に移動し、炭酸(HCO)及び溶解したCOが水相の中に蓄積される。油界面からの二酸化炭素部分もまた、重炭酸塩(HCO )イオンが形成されるときに、水との平衡状態を確立する。更に、膜界面に存在する二酸化炭素は、油相との最小の電気的相互作用を有する。その結果、二酸化炭素は、粘度の低減によってo/wまたはw/oエマルジョンスキンに対する負の相乗効果を引き起こし、スキンの弾力性をより弱くする。臨界及び臨界COが存在する間の十分な時間が許容されている場合、油中の有機極性基の緩和がエマルジョン膜の界面で起こり、膜の靭性が弱められる。
解乳化システムにおける水相のpHを低下させることは、樹脂酸及び/またはナフテン酸にそれらの酸性質の「スイッチをオフに」させる。すなわち、これらの酸からの陽子(H)が、炭酸(HCO)から陽子が放出されたエマルジョン界面でのpHよりも高いpK値を有するので、該陽子が重炭酸塩(−COO)陰イオンと再会合して、解離してない状態(−COOH)を形成する。これは、ナフテン酸、樹脂酸、プロトポルフィリン、及びアスファルテンのより大きい無極性(有機)成分からのすべての−COOH基がより低いpHで不活性になるときに起こる。不活性化は、上昇した圧力で陽子(H)を放出するために、炭酸の形成及びその解離によって引き起こされ得る。
エマルジョン膜中に存在するアスファルテンのカルボン酸(R−COOH)成分、ナフテン酸、及び樹脂酸が、膜の強い界面張力を発生させ、それによって、堅さ、強さ、または靭性を該膜に与える主な理由の1つであると考えられる。油水接触領域でのR−COOHの解離によるHイオンの形成は、エマルジョン界面の形成をもたらす。この界面では、界面活性成分の有機成分が、他のより大きい高分子(アスファルテン)によって、油相からのファンデルワールス力(またはπ−π引力)により油相の有機高分子によって油相の方向に引っ張られる。一方で、界面活性成分(例えば、R−COOH)からの解離Hイオンは、水分子に向かって引っ張る電気的引力またはクーロン力によって、水相に向かって引き付けられ得る。w/oまたはo/w界面での中間の界面活性成分とのこの格闘は、界面膜の成長の基礎を提供することができると考えられる。
膜の強度はまた、界面でのアスファルテン分子の積み重ね的な堆積からも生じ得る。アスファルテンのカルボン酸及び他の極性基もまた、2つの相の間のそのような相互作用に関与し得る。樹脂が関与する界面活性剤であるときに、それらの芳香族の対応部分は、π−π引力によって油相中のアスファルテンの芳香族コアによって引っ張られる。ナフテン酸の事例では、有機的な対応部分が、アスファルテン及び他の有機成分の脂肪族成分によるファンデルワールス力によって引き付けられる。界面において界面活性剤として作用するアスファルテンの場合、エマルジョンは、剛性かつより堅固になる。例えば、アスファルテンの芳香族部分は、π−π引力によって油相中の他のアスファルテンによって引っ張られ得、アスファルテンの脂肪族成分は、油相中に存在する、または並置される樹脂及びアスファルテンの脂肪族成分によって引っ張られ得る。油の成分、温度、サイズ、輸送特性、及びその極性基が、最終的に界面スキンにある油成分のタイプを決定することができると考えられる。
アスファルテン高分子の極性ヘテロ原子成分、例えばS、N、金属、アミンもまた、エマルジョン膜の強度にある程度関与し得る。これらのヘテロ原子は、アスファルテンにおいて支配的であり、樹脂においてより少ない、双極性イオンと同様に機能することができる。しかしながら、エマルジョンスキンを弱めることによって、アスファルテン、ポルフィリン、ならびにアスファルテン及び樹脂中のアミンを含有するヘテロ原子(S、N、Oなど)は、代わりに、エマルジョンスキンの緩和により、高分子の分子またはセグメントの分子間及び/または分子内の再位置付けを受け得る。このように、水素結合能力に関して油相がその水相と相互作用する能力を既に失っているので、不活性化カルボキシル基(−COOH)は、油相の内部に移動する。アスファルテンのような高分子のこの再位置付け及び再編成はまた、アスファルテン、樹脂、及びナフテン酸の高分子内で、またはそれらの間で、反対の電気陽性高分子と電気陰性高分子(双極性イオン)の間でも起こり得る。
加えて、エマルジョンスキンでの凝集体と水との相互作用の動電学的な挙動の変化は、炭酸(HCO)の解離、すなわち、油相−水相界面でのH及び重炭酸塩(HCO )イオンの形成により形成される、局所的なpHによって制御することができる。それによって、油成分中に有機酸(カルボン酸)及び塩基性有機基を有する分子は、強いエマルジョンを作り出す役割を果たし、陽子(H)またはヒドロニウムイオン(H)と相互作用することによって非解離形態に戻る。したがって、炭酸は、界面で陽子ポンプとみなすことができ、それによって、カルボン酸(−COOH)基を不活性にする。その結果、界面にはゼータ電位(−10eV〜+10eV)の変化がある。すなわち、薄膜の界面で等電点(IEP)に到達する。これは、エマルジョンの水相のpHが、膜の界面において、有機酸(ナフテン、樹脂及びアスファルテン、プロトポルフィリンのカルボン酸)の酸の解離定数未満に低下したときに起こる。
その結果、エマルジョン膜の界面張力がより弱くなるように、膜界面での親水性親油性のバランス(HLB)または親水性親油性の差(HLD)がシフトし得る。これらの現象は、アスファルテン中の双極性イオンも、それらの中で、及びそれの間で相互作用し始めたときに起こる。次いで、酸性基−COOは、それら自体をそれらの対イオン、Hイオンと再度会合させる傾向があり、その結果、膜界面(水中に存在する)での緩和をもたらして、アスファルテン分子の酸性基とともに、樹脂及びナフテン酸の電荷を含まない−COOHを形成する。これらの影響は、油相における水と極性基との間の相互作用の消滅をもたらす。0.25〜4.0の酸性官能基と塩基性官能基との比率は、所望される範囲までゼータ電位を有効に最小化することができる。
これが達成されると、エマルジョン系の穏やかな混合は、エマルジョンの合体を誘発することができ、結果的に、エマルジョンのサイズが増大する。合体中の界面膜の破裂は、エマルジョン液滴が成長するのを補助する。液滴が臨界サイズに到達するにつれて、合体が続いている間に、重力が油留分と水留分との分離を支援する。
したがって、加圧した臨界及び臨界二酸化炭素は、解乳化中に、陽子ポンプ及び粘度低下剤として作用する。これは、アスファルテン沈殿を防止するために、樹脂補助剤などの溶媒和剤を加えることによって促進することができる。臨界値を超える芳香族樹脂とアスファルテンとの比率は、アスファルテン分子の溶媒和を確実にすることができ、それによって、アスファルテンの凝集及び沈殿を防止する。樹脂補助剤を加えることはまた、界面スキンの薄層化も補助し、また、スキンの剛性も弱めて、エマルジョンの液滴がより大きい液滴に合体することを可能にする。芳香族樹脂とアスファルテンとの比率はまた、双方の成分に存在する反対に帯電した極性基及び/または芳香族を溶媒和させる特性を利用して、ミセル/ベシクルのような構造、及び/またはコロイド懸濁、及び/または分子溶液を呈するために、樹脂がアスファルテン分子を含有する双極性イオンを配列することを補助するように固定することもできる。
そのようなミセル/ベシクルの形成が開始すると、アスファルテンが凝集する可能性が大幅に減少する。すなわち、穏やかな撹拌によるエマルジョン上の弱められた界面張力は、破壊及び合体を始めさせて、より大きい液滴を形成する。結果的に、サイズが臨界範囲に到達したときに、重力は、液滴が解乳化容器の底部に定着することを可能にし、油相と水相との間で相分離が起こる。
解乳化中にエマルジョンにおいて起こり得る有機窒素の陽子の会合過程200の実例として図3A及び3Bを参照すると、それらの樹脂及びアスファルテン構造にピロール及びピリジン基を含有する塩基性原油の一部も、w/oまたはo/wエマルジョンの形成に関与することができる。図3Aにおいて、工程210で、ピロール(左)及びピリジン(右)の構造体が示される。ピロール及びピリジンはどちらも、孤立電子対を含む。工程220で、陽子及び水酸化物への水解離が示される。工程230で例示されるように、ピロール及び/またはピリジンが水中にあるときに、それらは、水からのHイオンと結合する傾向があり、それによって、依然として水相中に潜在する水からのOHイオンを残す。その結果、有機窒素含有基はまた、エマルジョンの油/水界面上に膜も作り出すことができる。そのような膜の強度は、2つのパラメータに依存する。第1のパラメータは、有機窒素の塩基性であり、第2のパラメータは、油相中の基の会合した有機対応部分のサイズである。孤立電子対が受け入れ陽子に対して非常に受容的であると理解することが重要である。有機窒素含有ピロール及びピリジン基に付着する陽子と、水相のOHとの間のクーロン力の引っ張りは、油相からの高められた濃度の両親媒性物質の、油/水界面での集結を引き起こし、界面スキンの形成をもたらす。
この時点で、比較的小さいサイズの樹脂分子のため、樹脂分子は、o/wまたはw/o界面に殺到する傾向がある。しかしながら、エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率に応じて、一部のアスファルテンも界面に到着し得る。次いで、カルボン酸または有機窒素などの官能基は、水分子と相互作用し、一方で、それらの疎水性両親媒性物質は、油相の中に留まる。すべての事例において、アスファルテン分子及び、いくつかの事例ではワックス粒子もまた、樹脂及びアスファルテンの上に積み重なり、それによって、エマルジョンスキン界面を強化する。
図3Bにおいて、工程240で、水中のピロール及びピリジンは、水からのHイオンと結合する傾向があり、一方で、水からのOHイオンが水相において遊離したままの状態で示される。工程250で、高圧COがエマルジョンの中へ導入または充填され、それによって、水相において、炭酸(HCO)をHCO 及びHにイオンに解離させる。工程260に示されるように、Hイオンは、有機窒素基の孤立電子対に引き付けられる。このときに、有機N含有基は、それらの塩基特性を徐々に失う。更に、工程220での水の解離によって生じた対イオンOHは、解離したHイオンによって中和または溶媒和され得る。しかしながら、工程270で、炭酸から誘導されるHイオンの高められた濃度によって、システムのpHが低下し、エマルジョン界面がより弱くなり、そして、OHの濃度が低くなる。炭酸(HCO)からの減弱するOHイオン濃度及び増加するHイオン濃度によって、エマルジョン内で水相におけるpHが低下する。これは、エマルジョン界面の全体的な弱化をもたらし得る。穏やかな撹拌によって、そのような弱められたエマルジョンは、容易に合体する。この過程が続くと、液滴のサイズがより大きくなり、最終的には、より大きい液滴に対する重力の作用により、相分離が起こる。しかしながら、アスファルテン沈殿を回避するために、アスファルテンに対する芳香族樹脂は、より大きいアスファルテン高分子の溶媒和を保ち、それらが互いに積み重なるのを防止するために、芳香族樹脂性材料を加えることによって維持しなければならない。
このように、アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂とアスファルテンとの比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法の実施形態を説明してきた。種々の実施形態によれば、臨界または臨界二酸化炭素の存在下での石油源の解乳化は、エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率を、アスファルテンが凝集または沈殿すると予想され得る臨界値よりも大きく維持することによって実行される。更に、酸性官能基と塩基性官能基との比率は、同じくアスファルテンの凝集及び/または沈殿を防止するように機能する範囲内に維持される。具体的には、エマルジョンの樹脂とアスファルテンとの比率は、特に解乳化過程が精製装置環境において行われる場合に、容易に利用可能であり得る樹脂留分を使用することによって、臨界値を超えるように上方へ調節することができる。解乳化中のアスファルテンの凝集及び沈殿の回避は、一般的に原油を脱塩する前に解乳化過程が所望されるときに生じ得る、汚染または詰まりを排除する。それによって、本明細書の実施形態による方法はまた、アスファルテンを完全に除去するために、任意の脱塩過程の前であっても原油エマルジョンを処理するための追加的な選択肢を広げる。
当業者には、特許請求される主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明される実施形態に種々の修正及び変更を行うことができることが明らかになるはずである。したがって、そのような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書は、本明細書で説明される種々の実施形態の修正及び変更を対象とすることが意図される。
他の実施態様
1.アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂のアスファルテンに対する比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法であって、
所定の臨界値を超える樹脂のアスファルテンに対する比率を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤を前記乳化石油源に加えるステップと、
前記補助エマルジョンにおける酸性官能基の塩基性官能基に基づく酸の塩基に対する比率を、約0.25〜約4.0に調節するステップと、
初期混合物を形成するために、前記樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させるステップであって、前記初期混合物が、乳化油相及び乳化水相を有し、前記二酸化炭素が、亜臨界二酸化炭素または超臨界二酸化炭素から選択される、ステップと、
前記樹脂補助エマルジョンの破裂を促進するために、前記初期混合物を安定させるステップと、
前記初期混合物から相分離混合物を形成するステップであって、前記相分離混合物が、分離水相及び分離油相を備える、ステップと、
前記相分離混合物から前記分離油相を除去するステップと、
を有してなり、
前記樹脂補助エマルジョンにおける前記所定の臨界値を超える前記樹脂のアスファルテンに対する比率が、前記樹脂補助エマルジョン、前記初期混合物、前記相分離混合物、及び前記相分離混合物から除去される前記分離油相における、アスファルテンの懸濁を維持する、方法。
2.前記乳化石油源が、水中油型エマルジョン、または油中水型エマルジョンである、実施態様1に記載の方法。
3.前記樹脂補助剤が、コーカーガス油、ビスブレーカー油、液化リグニン成分、バニリン、リグニンスルホン酸塩、及び軽質分解蒸留液、ならびに中質分解蒸留液[重ナフサ]から選択される、実施態様1に記載の方法。
4.前記乳化石油源が原油を含む、実施態様1に記載の方法。
5.前記酸の塩基に対する比率を調節するステップは、前記酸の塩基に対する比率を高めるために、有機酸を前記補助エマルジョンに加えるステップ、または前記酸の塩基に対する比率を低めるために、追加的な樹脂補助剤もしくは有機塩基を前記補助エマルジョンに加えるステップを含む、実施態様1に記載の方法。
6.前記乳化石油源が250℃未満の油温度を有する、実施態様1に記載の方法。
7.前記樹脂補助エマルジョンを前記二酸化炭素と接触させるステップは、解乳化容器において、または石油貯蔵槽において行われる、実施態様1に記載の方法。
8.前記樹脂補助エマルジョンを前記二酸化炭素と接触させるステップは、1バール〜300バールのシステム圧力で、及び前記二酸化炭素の臨界温度を超える温度〜約100℃のシステム温度で行われる、実施態様7に記載の方法。
9.前記システム温度が、前記二酸化炭素の臨界温度を超える温度〜約50℃である、実施態様8に記載の方法。
10.前記所定の臨界値を超える前記補助エマルジョンの前記樹脂のアスファルテンに対する比率を達成するのに前記乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の量を決定するために、前記樹脂補助剤を加える前に、前記乳化石油源を分析するステップと、
約0.25〜約4.0の前記補助エマルジョンの前記酸の塩基に対する比率を達成するのに前記乳化石油源に加える必要がある有機酸、有機塩基、または追加的な樹脂補助剤の量を決定するために、前記酸の塩基に対する比率を調節する前に、前記乳化石油源を分析するステップと、
を更に有する、実施態様1に記載の方法。
11.前記乳化石油源に加える必要がある前記樹脂補助剤の量を決定するステップは更に、
前記原油の原油屈折率(RI) OIL を決定するステップと、
アスファルテンの沈殿が起こる前記原油の沈殿開始屈折率(P)を決定するステップと、
前記樹脂補助剤の補助剤屈折率(RI) RS を決定するステップと、
前記樹脂補助エマルジョンについて0.060を超える安定性屈折率差Δ(RI)を提供するために前記乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の安定化量を決定するステップであって、Δ(RI)=(RI) MIX −Pであり、(RI) MIX は、前記樹脂補助エマルジョンの混合物屈折率である、ステップと、
を含む、実施態様10に記載の方法。
12.前記初期混合物を安定させるステップは、前記乳化油相、前記乳化水相、または双方の合体を通して前記樹脂補助エマルジョンの前記破裂を促進するために、前記初期混合物の撹拌を含む、実施態様1に記載の方法。
13.該方法は精製装置において行われ、前記精製装置に位置する水素添加分解装置から前記樹脂補助剤を提供するステップを更に有する、実施態様1に記載の方法。
14.前記乳化石油源が原油を含み、該方法は更に、
前記原油の原油屈折率(RI) OIL を決定するステップと、
(RI) RS =(RI) OIL ±10%となる程度の補助剤屈折率(RI) RS を有するように前記樹脂補助剤を選択するステップと、
を有する、実施態様1に記載の方法。
15.前記樹脂補助剤が原油の分解留分であり、前記分解留分が、有機複素環式基を含有する、実施態様1に記載の方法。
16.前記樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させている間に、前記樹脂のアスファルテンに対する比率、前記酸の塩基に対する比率、または双方を監視するステップと、前記初期混合物または前記相分離混合物の前記樹脂のアスファルテンに対する比率が前記所定の臨界値を超えるように維持するために、前記乳化石油源に加えられる樹脂補助剤の量を調節すること、または前記酸の塩基に対する比率を約0.25〜約4.0に維持するために、有機酸または有機塩基を前記初期混合物または前記相分離混合物に加えること、から選択される少なくとも1つの調節を行うステップと、を更に有する、実施態様1に記載の方法。
17.前記補助エマルジョンにおける酸性官能基の塩基性官能基に対する前記酸の塩基に対する比率が、約0.5〜約2.0に調節される、実施態様1に記載の方法。
18.前記相分離混合物が更に、
前記分離油相の上側のガス相であって、二酸化炭素を含有する、ガス相と、
前記分離水相の上側及び前記分離油相の下側の混合相であって、前記初期混合物の前記乳化油相及び前記乳化水相を含有する、混合相と、
を含む、実施態様1に記載の方法。
19.前記二酸化炭素を、前記相分離混合物の前記ガス相から捕捉するステップ、または再利用するステップを更に有する、実施態様18に記載の方法

Claims (17)

  1. アスファルテンの実質的な凝集または沈殿を伴わずに、所定の樹脂のアスファルテンに対する比率を有する乳化石油源を解乳化するための方法であって、
    所定の臨界値を超える重量比での樹脂のアスファルテンに対する比率(R/A 比)を有する樹脂補助エマルジョンを形成するために、樹脂補助剤を前記乳化石油源に加えるステップであって、前記所定の臨界値は、樹脂補助エマルジョンのアスファルテン安定性Δ(RI)が0.06となるときのR/A 比であり(ここで、Δ(RI)=(RI) MIX −P MIX であり、(RI) MIX は樹脂補助エマルジョンの屈折率であり、P MIX は樹脂補助エマルジョンの沈殿開始屈折率である)、前記樹脂補助剤は、コーカーガス油、ビスブレーカー油、液化リグニン成分、バニリン、リグニンスルホン酸塩、及び軽質分解蒸留液、ならびに中質分解蒸留液[重ナフサ]から選択される、ステップと、
    前記補助エマルジョンにおける酸性官能基の塩基性官能基に対する比率に基づく酸の塩基に対する比率を0.25〜4.0に調節するステップと、
    前記樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させて、乳化油相及び乳化水相を有する初期混合物を形成するステップであって、前記二酸化炭素が、亜臨界二酸化炭素および超臨界二酸化炭素から選択される、ステップと、
    前記樹脂補助エマルジョンの破裂を促進するために、前記初期混合物を撹拌するステップと、
    前記初期混合物を相分離させて分離水相及び分離油相を含む相分離混合物を形成するステップと、
    前記相分離混合物から前記分離油相を除去するステップと、
    を有してなり、
    前記樹脂補助エマルジョンにおける前記所定の臨界値を超える前記樹脂のアスファルテンに対する比率によって、前記樹脂補助エマルジョン、前記初期混合物、前記相分離混合物、及び前記相分離混合物から除去される前記分離油相において、アスファルテンの懸濁が維持される、方法。
  2. 前記乳化石油源が、水中油型エマルジョン、または油中水型エマルジョンである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記乳化石油源が原油を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記酸の塩基に対する比率を調節するステップは、前記酸の塩基に対する比率を高めるために、有機酸を前記補助エマルジョンに加えるステップ、または前記酸の塩基に対する比率を低めるために、追加的な樹脂補助剤もしくは有機塩基を前記補助エマルジョンに加えるステップを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記乳化石油源が250℃未満の油温度を有する、請求項1に記載の方法。
  6. 前記樹脂補助エマルジョンを前記二酸化炭素と接触させるステップは、解乳化容器において、または石油貯蔵槽において行われる、請求項1に記載の方法。
  7. 前記樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させるステップは、1バール〜300バールのシステム圧力で、及び二酸化炭素の臨界温度を超える温度〜100℃のシステム温度で行われる、請求項に記載の方法。
  8. 前記システム温度が、二酸化炭素の臨界温度を超える温度〜50℃である、請求項に記載の方法。
  9. 前記所定の臨界値を超える前記補助エマルジョンの前記樹脂のアスファルテンに対する比率を達成するに前記乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の量を決定するために、前記樹脂補助剤を加える前に、前記乳化石油源を分析するステップと、
    0.25〜4.0の前記補助エマルジョンの前記酸の塩基に対する比率を達成するに前記乳化石油源に加える必要がある有機酸、有機塩基、または追加的な樹脂補助剤の量を決定するために、前記酸の塩基に対する比率を調節する前に、前記乳化石油源を分析するステップと、
    を更に有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記乳化石油源が原油を含み、前記乳化石油源に加える必要がある前記樹脂補助剤の量を決定するステップは更に、
    前記原油の原油屈折率(RI)OILを決定するステップと、
    アスファルテンの沈殿が起こる前記原油の沈殿開始屈折率(P)を決定するステップと、
    前記樹脂補助剤の補助剤屈折率(RI)RSを決定するステップと、
    前記樹脂補助エマルジョンについて0.060を超える安定性屈折率差Δ(RI)を提供するために前記乳化石油源に加える必要がある樹脂補助剤の安定化量を決定するステップであって、ここで、Δ(RI)=(RI)MIX−Pであり、(RI)MIXは、前記樹脂補助エマルジョンの混合物屈折率である、ステップと、
    を含む、請求項に記載の方法。
  11. 該方法は精製装置において行われ、前記精製装置に位置する水素添加分解装置から前記樹脂補助剤を提供するステップを更に有する、請求項1に記載の方法。
  12. 前記乳化石油源が原油を含み、該方法は更に、
    前記原油の原油屈折率(RI)OILを決定するステップと、
    (RI)RS=(RI)OIL±10%となる補助剤屈折率(RI)RSを有するように前記樹脂補助剤を選択するステップと、
    を有する、請求項1に記載の方法。
  13. 前記樹脂補助剤が原油の分解留分であり、該分解留分が有機複素環式基を含有する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記樹脂補助エマルジョンを二酸化炭素と接触させている間に、前記樹脂のアスファルテンに対する比率、前記酸の塩基に対する比率、または双方を監視するステップと、前記初期混合物または前記相分離混合物の前記樹脂のアスファルテンに対する比率が前記所定の臨界値を超えるように維持するために、前記乳化石油源に加えられる樹脂補助剤の量を調節すること、または前記酸の塩基に対する比率を0.25〜4.0に維持するために、有機酸または有機塩基を前記初期混合物または前記相分離混合物に加えること、から選択される少なくとも1つの調節を行うステップと、を更に有する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記補助エマルジョンにおける酸性官能基の塩基性官能基の比率に基づく前記酸の塩基に対する比率が、0.5〜2.0に調節される、請求項1に記載の方法。
  16. 前記相分離混合物が更に、
    前記分離油相の上側のガス相であって、二酸化炭素を含有するガス相と、
    前記分離水相の上側及び前記分離油相の下側の混合相であって、前記初期混合物の前記乳化油相及び前記乳化水相を含有する混合相と、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  17. 前記二酸化炭素を、前記相分離混合物の前記ガス相から捕捉するステップ、または再利用するステップを更に有する、請求項16に記載の方法。
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