JP6173978B2 - 単独運転検出方法、単独運転検出装置及び分散型電源システム - Google Patents

単独運転検出方法、単独運転検出装置及び分散型電源システム Download PDF

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Description

本発明は、分散型電源が電力系統から切り離されて単独運転しているか否かを検出する単独運転検出方法、単独運転検出装置及び分散型電源システムに関するものである。
パワーコンディショナ(以下「PCS」という。)は、太陽電池等の分散型電源で発電した直流(以下「DC」という。)電力を交流(以下「AC」という。)電力に変換するインバータ部を有し、分散型電源を電力系統(例えば、商用電力系統)に連系させて使用するために、周波数や電圧を電力系統に適合させる装置である。
例えば、電力系統の停電時に、PCSがその電力系統から遮断(解列)されない状態で単独運転を継続していると、本来無電圧であるべき電力系統が充電されることとなる。この場合、保安や、電力供給の信頼度確保の面から問題を生ずる恐れがあるため、分散型電源の単独運転状態を検出し、PCSを停止させる必要があるので、単独運転検出装置が、PCSの内部あるいは外部に設けられる。単独運転検出方法や単独運転検出装置に関しては、特許文献1〜4、及び非特許文献1等に記載されている。
単独運転検出方法には、受動的方式と能動的方式とがある。受動的方式は、単独運転移行時の発電出力と負荷の不平衡による電圧位相や周波数等の急変を検出する方式であり、電圧位相跳躍検出方式、3次高調波電圧歪み急増検出方式、及び周波数変化率検出方式の3方式が一般的である。これに対し、能動的方式は、PCSの制御系や外部に付加した負荷等により、常時、電圧や周波数に変動を与えておき、単独運転移行時に顕著になるその変動を検出する方式であり、周波数シフト方式、スリップモード周波数シフト方式、有効電力変動方式、無効電力変動方式、及び負荷変動方式が一般的である。周波数シフト方式は、PCS内の発信器等に周波数バイアスを与えておき、単独運転移行時に現れる周波数変動を検出する方式である。無効電力変動方式は、分散型電源の出力に周期的な無効電力を与え、単独運転移行後に発生する周波数変動を検出する方式である。
単独運転検出装置としては、検出速度及び保護の信頼性の面から、受動的検出方式と能動的検出方式とを各1方式以上組み合わせて適用することが、一般社団法人日本電機工業会の系統連系規定上に定められている。単独運転能動的検出方式として、ステップ注入付周波数フィードバック方式が規格化され、それに準拠して単独運転検出を行う必要がある。ステップ注入付周波数フィードバック方式は、前記系統連系規定に記載されているように、周波数偏差に応じた無効電力を注入することで、周波数を更にシフトさせて単独運転を検出する周波数シフト方式であり、単独運転の高速検出が可能、不要動作がない、他方式との相互干渉がない、注入する無効電力による電力系統への影響が小さい等の特徴がある。
図2は、非特許文献1に記載された従来の分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図である。
分散型電源システムは、太陽電池等の分散型電源1と電力系統(例えば、商用電力系統)2とを備え、この分散型電源1と電力系統2との間に、PCS3が接続されている。電力系統2からPCS3の間には、図示しないが、高圧配電線(例えば、AC6600V)を遮断する遮断器、高圧電力を低圧電力(例えば、AC100V又はAC200V)に降圧して低圧配電線へ供給する柱上の変圧器(以下「トランス」という。)、及びその低圧配電線に接続された負荷等が設けられている。
PCS3は、ステップ注入付周波数フィードバック方式の単独運転検出装置を備えた装置であり、例えば、ハードウェア部10とソフトウェア部20とにより構成されている。ハードウェア部10は、分散型電源1から供給されるDC電力をAC電力に変換するインバータ部11と、このインバータ部11の出力側と電力系統2との間に設けられた周波数検出回路22a、基本波電圧計測回路24a、及び高調波電圧計測回路24bと、を有している。インバータ部11は、例えば、スイッチング電源装置により構成されている。ソフトウェア部20は、例えば、中央処理装置(以下「CPU」という。)により実行されるものであり、インバータ部11のスイッチング動作を制御する電流制御処理部21と、単独運転検出装置と、を有している。
単独運転検出装置は、大きく分けて、系統周波数計測部22と、無効電力注入部である周波数フィードバック部23と、無効電力ステップ注入部24と、単独運転検出部25と、の4つの制御部により構成されている。
系統周波数計測部22は、周波数偏差の演算に用いる周波数を計測するものであり、ハードウェア部10内に設けられた周波数検出回路22aと、ソフトウェア部20内に設けられた周波数計測処理部22b及び位相差計測同期処理部22cと、を有している。周波数フィードバック部23は、系統周波数の偏差から、注入する無効電力を演算し、周波数シフトを促す機能を有している。この周波数フィードバック部23は、ソフトウェア部20内に設けられ、周波数の移動平均を算出する第1移動平均算出部23a及び第2移動平均算出部23bと、周波数の偏差を算出する周波数偏差算出部23cと、フィードバック量である無効電力注入量を算出する無効電力注入量算出部23dと、加算部23eと、を有している。
無効電力ステップ注入部24は、単独運転発生時においても、PCS3の出力電力及び負荷のバランス状態によって、周波数偏差が微小の条件において、周波数シフトを促すために無効電力をステップ注入する機能を有している。この無効電力ステップ注入部24は、ハードウェア部10内に設けられた基本波電圧計測回路24a及び高調波電圧計測回路24bと、ソフトウェア部20内に設けられた基本波電圧算出部24c、高調波電圧算出部24d、ステップ注入発生条件判定部24e、及びステップ注入量算出部24fと、を有している。
単独運転検出部25は、系統周波数の変化によって単独運転の発生の有無を判定するものであり、能動的方式の単独運転検出判定部25a、及び受動的方式の単独運転検出判定部25bを有している。
このような系統周波数計測部22、周波数フィードバック部23、無効電力ステップ注入部24、及び単独運転検出部25により構成される単独運転検出装置では、以下のように動作する。
PCS3と負荷の無効電力アンバランス状態において、電力系統2の停電後、周波数が変化するため、周波数フィードバック部23により、その周波数変化を検出して無効電力を注入し、周波数変化を正帰還させる。周波数変化が大きくなり、単独運転検出条件に達した場合は、単独運転検出部25によって単独運転を検出する。又、PCS3の出力電力と負荷のバランス状態において、電力系統2側に設けられた図示しない柱上トランスにおける励磁電流の影響により、AC電圧の高調波歪みが変化する。そのため、無効電力ステップ注入部24により、その高調波歪みの変化を検出して、周波数を低下させるように無効電力を注入する。周波数が変化した後、周波数フィードバック部23が動作するため、単独運転検出部25によって単独運転を検出できる。
特開2009−44910号公報(特許第5050723号公報) 特開2010−213529号公報 特開2010−213530号公報 特開2012−196020号公報
日本電機工業会規格JEM1498「ステップ注入付周波数フィードバック方式(太陽光発電用パワーコンディショナの標準形能動的単独運転検出方式)」2012.8.27制定
しかしながら、従来の単独運転検出方法及び単独運転検出装置では、負荷電流に対して柱上トランスの励磁電流が少ないとき、高調波歪みの変化が少ないので、通常のAC電圧の高調波歪みの変動と区別できない。そのため、無効電力ステップ注入部24によるステップ注入が動作しない可能性がある。この場合に、周波数が殆ど変化せず、単独運転検出部25において単独運転検出不感帯の可能性がある。
本発明の単独運転検出方法は、分散型電源から供給されるDC電力をAC電力に変換するインバータ部が、電力系統から切り離されて単独運転を行う時に、無効電力をステップ状に注入するためのステップ注入発生条件が満たされていれば、前記インバータ部から前記電力系統側へ、前記無効電力をステップ状に注入して系統周波数を急変させる第1ステップと、前記系統周波数の変化率に比例して前記無効電力の注入を増大させて、前記系統周波数の変化を拡大することにより、前記系統周波数の異常を生じさせて前記単独運転を検出させる第2ステップと、を有している。そして、前記電力系統側へ高調波電流を注入し、前記電力系統の停電時における高調波電圧の変化により、前記ステップ注入発生条件を満足させて、前記第1ステップを実行させることを特徴とする。
本発明の単独運転検出装置は、分散型電源から供給されるDC電力をAC電力に変換するインバータ部が、電力系統から切り離されて単独運転を行う時に、無効電力をステップ状に注入するためのステップ注入発生条件が満たされていれば、前記インバータ部から前記電力系統側へ、前記無効電力をステップ状に注入して系統周波数を急変させる無効電力ステップ注入手段と、前記系統周波数の変化率に比例して前記無効電力の注入を増大させて、前記系統周波数の変化を拡大することにより、前記系統周波数の異常を生じさせて前記単独運転を検出させる周波数フィードバック手段と、を有している。そして、前記電力系統側へ高調波電流を注入し、前記電力系統の停電時における高調波電圧の変化により、前記ステップ注入発生条件を満足させて、前記無効電力の注入を行わせる高調波注入手段を設けたことを特徴とする。
本発明の分散型電源システムは、DC電力を供給する分散型電源と、前記分散型電源の系統連系に用いられ、前記DC電力をAC電力に変換するインバータ部と、前記単独運転検出装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の単独運転検出方法、単独運転検出装置及び分散型電源システムによれば、インバータ部の出力電流に比例して、電力系統側のトランスの励磁電流における高調波成分に同期した高調波電流をインバータ部の出力側に注入し、電力系統が停電した時の高調波歪み変化に対してステップ注入発生条件を満足させる。これにより、インバータ部の出力電力と負荷のバランス状態においても、ステップ注入動作が行われ、コストの増加や発電量への影響を招くことなく、分散型電源の単独運転を的確に検出することができる。
図1は本発明の実施例1における分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図である。 図2は従来の分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図である。 図3は図1中のステップ注入発生条件(高調波電圧変動)を示す図である。 図4は図1中のステップ注入発生条件(基本波電圧変動)を示す図である。 図5は本発明の実施例2の分散型電源システムにおける電流制御処理部及び高調波注入部の構成例を示す概略の機能ブロック図である 図6は本発明の実施例3の分散型電源システムにおける電流制御処理部及び高調波注入部の構成例を示す概略の機能ブロック図である 図7は本発明の実施例4における分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図である。
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の分散型電源システムの構成)
図1は、本発明の実施例1における分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図である。図3は、図1中のステップ注入発生条件(高調波電圧変動)を示す図である。更に、図4は、図1中のステップ注入発生条件(基本波電圧変動)を示す図である。
図1に示すように、本実施例1の分散型電源システムは、太陽電池等の分散型電源31と電力系統(例えば、商用電力系統)32とを備え、この分散型電源31と電力系統32との間に、PCS33が接続されている。電力系統32からPCS33の間には、図示しない高圧配電線(例えば、AC6600V)を遮断する遮断器、高圧電力を低圧電力(例えば、AC100V又は200V)に降圧して低圧配電線へ供給する柱上のトランス34、その低圧配電線に接続された負荷35、及び連系点36等が設けられている。連系点36には、図示しない他のPCSが並列に接続されている。
PCS33は、従来と同様に、ステップ注入付周波数フィードバック方式の単独運転検出装置を備えた装置であり、例えば、ハードウェア部40とソフトウェア部50とにより構成されている。ハードウェア部40は、分散型電源31から供給されるDC電力をAC電力に変換するインバータ部41と、このインバータ部41の出力側と連系点36との間に接続されたインダクタ42、コンデンサ43及び連系スイッチ44と、この連系スイッチ44の連系点36側に並列に接続された周波数検出回路52a、基本波電圧計測回路54a、及び高調波電圧計測回路54bと、を有している。インバータ部41は、例えば、スイッチング電源装置により構成されている。ソフトウェア部50は、例えば、CPUにより実行されるものであり、インバータ部41のスイッチング動作を制御する電流制御処理部51と、単独運転検出装置と、を有している。
単独運転検出装置は、従来と同様の系統周波数計測部52、周波数フィードバック手段としての無効電力注入部である周波数フィードバック部53、無効電力ステップ注入手段としての無効電力ステップ注入部54、及び単独運転検出部55の4つの制御部と、新たに追加された高調波注入手段としての高調波注入部56と、により構成されている。
系統周波数計測部52は、周波数偏差の演算に用いる周波数を計測するものであり、ハードウェア部40内に設けられた周波数検出回路52aと、ソフトウェア部50内に設けられた周波数計測処理部52b及び位相差計測同期処理部52cと、を有している。周波数検出回路52aは、インバータ部41側の出力電圧から周波数を計測する回路である。周波数計測処理部52bは、計測された周波数を処理して処理結果を出力する回路である。更に、位相差計測同期処理部52cは、前記処理結果に基づき、位相差計測の同期処理を行って同期信号φpllを出力する回路である。
周波数フィードバック部53は、系統周波数の偏差から、注入する無効電力を演算し、周波数シフトを促す機能を有している。この周波数フィードバック部53は、ソフトウェア部50内に設けられた第1移動平均算出部53a、第2移動平均算出部53b、周波数偏差算出部53c、無効電力注入量算出部53d、及び加算部53eにより構成されている。
第1移動平均算出部53a及び第2移動平均算出部53bは、周波数計測処理部52bの処理結果に基づいて、周波数の第1及び第2移動平均を算出し、第1及び第2移動平均算出結果を出力するものである。周波数偏差算出部53cは、第1及び第2移動平均算出結果に基づいて、周波数の偏差を算出するものである。無効電力注入量算出部53dは、算出された周波数の偏差に基づいて、フィードバック量である無効電力注入量p53dを算出するものである。更に、加算部53eは、算出された無効電力注入量p53dと、無効電力ステップ注入部54で算出された無効電力のステップ注入量s54fと、を加算して注入するための無効電力指令p53eを出力するものである。
無効電力ステップ注入部54は、単独運転発生時においても、PCS33の出力電力及び負荷35のバランス状態によって、周波数偏差が微小の条件において、周波数シフトを促すために無効電力をステップ注入する機能を有している。この無効電力ステップ注入部54は、ハードウェア部40内に設けられた基本波電圧計測回路54a及び高調波電圧計測回路54bと、ソフトウェア部50内に設けられた基本波電圧算出部54c、高調波電圧算出部54d、ステップ注入発生条件判定部54e、及びステップ注入量算出部54fと、を有している。
基本波電圧計測回路54aは、インバータ部41側の出力電圧から基本波電圧を計測する回路である。高調波電圧計測回路54bは、インバータ部41側の出力電圧から高調波電圧を測定する回路である。基本波電圧算出部54cは、計測された基本波電圧を演算して基本波電圧を算出するものである。高調波電圧算出部54dは、計測された高調波電圧の内、例えば、2次〜7次以上の高調波電圧に基づき、離散フーリエ解析等の演算を行って高調波電圧を算出するものである。
ステップ注入発生条件判定部54eは、周波数計測処理部52bの処理結果、算出された基本波電圧、及び、算出された高調波電圧に基づき、無効電力をステップ状に注入するためのステップ注入発生条件の判定を行うものである。ステップ注入発生条件は、次の第1条件及び第2条件の2つである。
第1条件:周波数偏差が±0.01Hz以内(即ち、周波数不感帯0.01H以下)である。
第2条件:高調波電圧及び基本波電圧を監視し、高調波電圧が図3のステップ注入発生条件(高調波電圧変動)を満たす、又は、基本波電圧が図4のステップ注入発生条件(基本波電圧変動)を満たすことである。
ステップ注入量算出部54fは、ステップ注入発生条件判定部54eの判定結果に基づき、無効電力のステップ注入量s54fを算出して加算部53eへ与えるものである。無効電力のステップ注入は、次の第1〜第4による。
第1:注入時間は、3サイクル以下とする。
第2:注入量は、上限を0.1p.u.(=1per unit)とする。
第3:無効電力は、PCS33から見て電流位相を遅らせる方向に注入する(周波数は低下方向)。
第4:無効電力のステップ注入は、前記ステップ注入発生条件を満たしてから系統周波数(周期)の半サイクル以内に行う。
単独運転検出部55は、系統周波数の変化によって単独運転の発生の有無を判定するものであり、能動的方式の単独運転検出判定部55a、及び受動的方式の単独運転検出判定部55bを有している。
高調波注入部56は、例えば、有効電流指令idrefに基づいて高調波制御指令i56を生成し、この高調波制御指令i56を電流制御処理部51に与えて、インバータ部41の出力電流に高調波電流を注入し、電力系統32の停電時における高調波歪み変化に対してステップ注入発生条件を満足させ、PCS33の出力電力と負荷35のバランス状態においても無効電力のステップ注入を動作させ、単独運転を確実に検出できるようにする機能を有している。この高調波注入部56は、有効電流指令idrefに対して乗算する係数k(例えば、1%位)と、その乗算結果を入力するn次高調波注入部56aと、を有している。n次高調波注入部56aは、係数kが乗算された有効電流指令idref×kと、系統周波数計測部52から出力される同期信号φpllと、を入力し、高調波制御指令i56を生成して電流制御処理部51へ与えるものである。
PCS制御は、インバータ部41の出力電流を有効電流成分と無効電流成分とに分けて出力制御を行っている。高調波注入部56に入力される有効電流指令idrefは、AC電圧と同位相の電流成分であり、無効電流は、AC電圧と90°位相ずれの電流成分である。通常、有効電流に比べて無効電流が小さいので、その有効電流が、インバータ部41の出力電流と略同等レベルの信号になる。
高調波注入部56では、高調波歪み率への影響を一定にするために、有効電流指令idrefに係数kを乗算し、その有効電流指令idrefに比例した高調波歪みを持った高調波電流の注入を行っている。n次高調波注入部56aにおける「n」は、高調波の次数(即ち、AC周波数の倍数)であり、規格として、ステップ注入発生条件は2〜7次高調波を使用しているため、n=2〜7になる。制御性の観点からは、次数の低い方が制御し易いので、次数の低い方が望ましい。トランス34として、単相トランス34Bを使用した場合は、この励磁電流に3次、5次及び7次の高調波成分が含まれており、三相トランス34Aを使用した場合は、この励磁電流に5次及び7次の高調波成分が含まれている。そのため、トランス34として単相トランス34Bを使用する場合は、高調波注入部56により、3次高調波電流の注入を行い、三相トランス34Bを使用する場合は、高調波注入部56により、5次高調波電流の注入を行うようにしている。
(実施例1の分散型電源システムの動作)
図1の分散型電源システムにおいて、負荷35に対して分散型電源31の電力供給能力が大きい場合、分散型電源31から出力されたDC電力は、電流制御処理部51のスイッチング制御により、インバータ部41にてAC電力に変換される。変換されたAC電力は、インダクタ42、コンデンサ43、連系スイッチ44及び連系点36を経由して、負荷35へ供給される。分散型電源31の余剰電力は、トランス34等を経由して電力系統32へ逆潮流される。負荷35に対して分散型電源31の電力供給が不足する場合は、電力系統32から供給されたAC電力が、トランス34等を経由して負荷35へ供給(潮流)される。電力系統32の不測の停電時又は作業停電時には、単独運転検出部55によってPCS33の単独運転状態が検出され、この検出結果に基づいて連系スイッチ44がオフ状態になり、分散型電源31が電力系統32から解列(遮断)されて、分散型電源31の単独運転が防止される。
分散型電源31の単独運転は、以下のようにして検出される。
PCS33の出力電力と負荷35の無効電力アンバランス状態において、電力系統32の停電後、周波数が変化するため、周波数検出回路52a及び周波数計測処理部52bを介して、周波数フィードバック部53により、その周波数変化が検出されて無効電力指令p53eが求められる。求められた無効電力指令p53eが電流制御処理部51に与えられ、この電流制御処理部51により、無効電力がインバータ部41の出力電力に注入され、周波数変化が正帰還される。これにより、周波数変化が大きくなり、単独運転検出部55内の単独運転検出条件に達した場合は、その単独運転検出部55によって単独運転が検出される。又、PCS33の出力電力と負荷35のバランス状態において、電力系統32側に設けられたトランス34における励磁電流の影響により、AC電圧の高調波歪みが変化する。そのため、第1ステップにおいて、無効電力ステップ注入部54により、その高調波歪みの変化が検出されて、周波数を低下させるようなステップ注入量s54fが算出され、加算部53eを通して無効電力指令p53eが生成される。生成された無効電力指令p53eが電流制御処理部51に与えられ、この電流制御処理部51により、無効電力がインバータ部41の出力電力へ注入される。第2ステップにおいて、周波数が変化した後、周波数フィードバック部53が動作するため、単独運転検出部55によって単独運転を検出できる。
しかし、負荷電流に対してトランス34の励磁電流が少ないとき、高調波歪みの変化が少ないので、通常のAC電圧の高調波歪みの変動と区別できない。そのため、無効電力ステップ注入部54による無効電力のステップ注入が動作しない。この場合に、周波数が殆ど変化せず、単独運転検出部55において単独運転の検出ができない恐れがある。これを防止するために、本実施例1では、高調波注入部56を設けている。
高調波注入部56において、有効電流指令idrefが入力されると、この有効電流指令idrefに対して係数kが乗算されて、n次高調波注入部56aへ与えられる。n次高調波注入部56aでは、位相差計測同期処理部52cから与えられる同期信号φpllと、係数kが乗算された有効電流指令idref×kと、に基づいてn次高調波電流の高調波制御指令i56を生成し、電流制御処理部51に与える。この電流制御処理部51により、n次高調波電流がインバータ部41の出力電流へ注入される。注入されるn次高調波電流は、電力系統32及びトランス34が単相の場合は、3次高調波電流であり、その電力系統32及びトランス34が三相の場合は、5次高調波電流である。
このようなn次高調波電流がインバータ部41の出力電流に注入されると、電力系統停電時におけるインバータ部41の出力電力に高調波電圧変化(即ち、高調波歪み変化)が生じ、無効電力ステップ注入部54内のステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件が満足される。そのため、無効電力ステップ注入部54が動作し、この無効電力ステップ注入部54から無効電力のステップ注入量s54fが出力される。出力されたステップ注入量s54fは、加算部53eによって無効電力指令p53eに加算され、電流制御処理部51により、無効電力がインバータ部41の出力電力に注入される。これにより、単独運転検出部55にて分散型電源31の単独運転を的確に検出できる。
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、高調波注入部56により、インバータ部41の出力電流に比例して、電力系統側のトランス34の励磁電流における高調波成分に同期した高調波電流を、電流制御処理部51を介してインバータ部41の出力側に注入し、電力系統32が停電した時の高調波歪み変化に対してステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件を満足させるようにしている。これにより、インバータ部41の出力電力と負荷35のバランス状態においても、無効電力ステップ注入部54による無効電力のステップ注入動作が行われ、コストの増加や発電量への影響を招くことなく、単独運転検出部55によって分散型電源31の単独運転を的確に検出することができる。
(実施例2の構成)
図5は、本発明の実施例2の分散型電源システムにおける電流制御処理部及び高調波注入部の構成例を示す概略の機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例2では、図1の柱上のトランス34が、三相出力AC200Vのトランス34Aにて構成されている。これに対応して、図1の高調波注入部56が5次高調波注入部56Aで構成されている。本実施例2のインバータ制御は、空間ベクトル回転座標系上で制御演算を行う構成になっている。
本実施例2の系統周波数計測部52は、図1の周波数検出回路52aに対応する電圧計測用のトランス52dと、図1の周波数計測処理部52bに対応する電圧計測回路52eと、図1の位相差計測同期処理部52cに対応するフェーズ・ロックド・ループ(以下「PLL」という。)制御部52fと、を有している。トランス52d及び電圧計測回路52eは、連系スイッチ44の出力電圧に対応した電圧を計測して電力系統電圧の位相θ(t)を求め、PLL制御部52fへ与えるものである。PLL制御部52fは、PLL制御によって位相θ(t)に同期した同期信号φpllを生成し、この同期信号φpllを5次高調波注入部56A及び電流制御処理部51Aへ与えるものである。
5次高調波注入部56Aは、トランス34Aの励磁電流における高調波成分の位相の逆位相(180°位相差)φexに合わせて、5次の高調波電流制御信号を含めたd軸制御指令としての有効電流指令i56aと、q軸制御指令としての無効電流指令i56bと、を電流制御処理部51Aへ与えるものである。励磁電流における高調波成分の位相は、例えば、代表的なトランス特性を測定して求めている。5次高調波注入部56Aは、同期信号φpllの6倍の正弦波sin(6・φpll)の値を求める正弦波生成部61と、同期信号φpllの6倍の余弦波cos(6・φpll)の値を求める余弦波生成部62と、を有している。正弦波生成部61の出力側には、正弦波変換部63及び余弦波変換部64が接続されている。余弦波生成部62の出力側にも、正弦波変換部65及び余弦波変換部66が接続されている。
正弦波変換部63は、正弦波生成部61の出力値を逆位相φexの正弦波sin(φex)の値に変換するものである。余弦波変換部64は、正弦波生成部61の出力値を逆位相φexの余弦波cos(φex)の値に変換するものである。正弦波変換部65は、余弦波生成部62の出力値を逆位相φexの正弦波sin(φex)の値に変換するものである。更に、余弦波変換部66は、余弦波生成部62の出力値を逆位相φexの余弦波cos(φex)の値に変換するものである。
正弦波変換部63の出力側及び余弦波変換部66の出力側には、減算部67が接続され、更に、余弦波変換部64の出力側及び正弦波変換部65の出力側にも、加算部68が接続されている。減算部67は、余弦波変換部66の出力値から正弦波変換部63の出力値を減算するものであり、この出力側に、乗算部69が接続されている。加算部68は、余弦波変換部64の出力値と正弦波変換部65の出力値とを加算するものであり、この出力側に、乗算部70が接続されている。
乗算部69は、空間ベクトル回転座標系上のd軸電流指令としての有効電流指令idrefに係数k(例えば、1%)が乗算された乗算結果idref×kと、減算部67の減算結果と、を乗算してd軸高調波指令i69を出力するものであり、この出力側に、加算部71が接続されている。乗算部70は、前記乗算結果idref×kと、加算部68の加算結果と、を乗算してq軸高調波指令i70を出力するものであり、この出力側に、加算部72が接続されている。加算部71は、d軸高調波指令i69と有効電流指令idrefとを加算して、5次の高調波電流制御信号を含めたd軸制御指令としの有効電流指令i56aを電流制御処理部51Aへ出力するものである。更に、加算部72は、q軸電流指令としての無効電流指令iqrefとq軸高調波指令i70とを加算して、5次の高調波電流制御信号を含めたq軸制御指令としての無効電流指令i56bを電流制御処理部51Aへ出力するものである。
電流制御処理部51Aは、インバータ部41の三相AC出力電流を計測する変流器81の出力側に接続された三相/二相変換部(UVW/αβ)82を有している。三相/二相変換部82は、変流器81により計測された三相AC電流をαβ座標電流に変換するものであり、この出力側に、回転座標系変換部(αβ/dq)83が接続されている。回転座標系変換部83は、同期信号φpllに基づき、変換されたαβ座標電流から、回転座標電流である有効電流id及び無効電流iqを生成するものであり、この出力側に、減算部84,85がそれぞれ接続されている。
減算部84は、5次高調波注入部56A内の加算部71から与えられる有効電流指令i56aから、有効電流idを減算するものであり、この出力側に、比例積分制御部(PI)86が接続されている。減算部85は、5次高調波注入部56A内の加算部72から与えられる無効電流指令i56bから、無効電流iqを減算するものであり、この出力側に、比例積分制御部(PI)87が接続されている。
比例積分制御部86は、減算部84の減算結果が目標値になるように制御するものであり、この出力側に、変調制御部88が接続されている。比例積分制御部87は、減算部85の減算結果が目標値になるように制御するものであり、この出力側に、変調制御部88が接続されている。変調制御部88は、比例積分制御部86,87の制御結果に対し、例えば、回転座標系の逆変換、二相/三相変換、及びパルス幅変調(PWM)等を行って、インバータ部41のスイッチングを制御するものである。
(実施例2の電流制御処理部、系統周波数計測部、及び5次高調波注入部の動作)
電力系統32が停電すると、インバータ部41側の出力電圧の周波数が変化するため、トランス52dを介して電圧計測回路52eにより、電力系統電圧の位相θ(t)が求められ、PLL制御部52fに与えられる。PLL制御部52fは、位相同期制御を行って位相θ(t)に同期した同期信号φpllを生成し、この同期信号φpllを、電流制御処理部51A内の回転座標系変換部83と5次高調波注入部56Aとに与える。
5次高調波注入部56Aにおいて、与えられた同期信号φpllに基づき、正弦波生成部61によって正弦波sin(6・φpll)が生成されると共に、余弦波生成部62によって余弦波cos(6・φpll)が生成される。生成された正弦波sin(6・φpll)は、正弦波変換部63により、トランス34Aの励磁電流における高調波成分の位相の逆位相φexの正弦波sin(φex)に変換されると共に、余弦波変換部64により、その逆位相φexの余弦波cos(φex)に変換される。更に、生成された余弦波cos(6・φpll)は、正弦波変換部65によって逆位相φexの正弦波sin(φex)に変換されると共に、余弦波変換部66によって逆位相φexの余弦波cos(φex)に変換される。
減算部67により、余弦波変換部66によって変換された余弦波cos(φex)から、正弦波変換部63によって変換された正弦波sin(φex)が、減算されて乗算部69に与えられる。更に、加算部68により、余弦波変換部64によって変換された余弦波cos(φex)と、正弦波変換部65によって変換された正弦波sin(φex)と、が加算されて乗算部70に与えられる。乗算部69は、有効電流指令idrefに係数k(例えば、1%)が乗算された乗算結果idref×kと、減算部67の減算結果と、を乗算してd軸高調波指令i69を求め、加算部71に与える。更に、乗算部70は、前記乗算結果idref×kと、加算部68の加算結果と、を乗算してq軸高調波指令i70を求め、加算部72に与える。
加算部71は、有効電流指令idrefとd軸高調波指令i69とを加算して有効電流指令i56aを求め、電流制御処理部51A内の減算部84に与える。更に、加算部72は、無効電流指令iqrefとq軸高調波指令i70とを加算して無効電流指令i56bを求め、電流制御処理部51A内の減算部85に与える。
電流制御処理部51Aにおいて、インバータ部41の三相AC出力電流が変流器81で計測され、この計測された三相AC電流が、三相/二相変換部82によってαβ座標電流に変換される。変換されたαβ座標電流から、回転座標系変換部83によって有効電流id及び無効電流iqが生成され、減算部84,85に与えられる。減算部84では、有効電流指令i56aから有効電流idを減算する。更に、減算部85では、無効電流指令i56bから無効電流iqを減算する。減算部84の減算結果は、比例積分制御部86によって比例積分されると共に、減算部85の減算結果が比例積分制御部87によって比例積分される。比例積分制御部86,87の比例積分結果は、変調制御部88によってパルス幅変調等が行われ、インバータ部41のスイッチングが制御される。
このように、5次高調波注入部56Aから出力された5次の高調波電流制御信号を含めた有効電流指令i56aと無効電流指令i56bとが、電流制御処理部51Aに入力され、この電流制御処理部51Aにより、5次高調波電流がインバータ部41の出力電流に注入される。これにより、電力系統停電時におけるインバータ部41のAC電圧に高調波電圧変化(即ち、高調波歪み変化)が生じ、図1中の無効電力ステップ注入部54内のステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件が満足される。そのため、実施例1と同様に、図1中の無効電力ステップ注入部54が動作するので、単独運転検出部55にて分散型電源31の単独運転を的確に検出できる。
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、5次高調波注入部56Aにより、インバータ部41の出力電流に比例して、電力系統側のトランス34Aの励磁電流における高調波成分に同期した5次高調波電流をインバータ部41の出力側に注入し、電力系統32が停電した時の高調波歪み変化に対して図1中のステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件を満足させるようにしている。そのため、実施例1と略同様に、コストの増加や発電量への影響を招くことなく、単独運転検出部55によって分散型電源31の単独運転を的確に検出することができる。
(実施例3の構成)
図6は、本発明の実施例3の分散型電源システムにおける電流制御処理部及び高調波注入部の構成例を示す概略の機能ブロック図であり、実施例1、2を示す図1及び図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例3では、図1の柱上トランス34が、単相出力トランス34Bにて構成されている。これに対応して、図1の高調波注入部56が、3次高調波注入部56Bで構成され、更に、図1の電流制御処理部51が、図5の電流制御処理部51Aとは構成の異なる電流制御処理部51Bで構成されている。
3次高調波注入部56Bは、トランス34Bの励磁電流における高調波成分の位相の逆位相(180°位相差)φexに合わせて、3次高調波電流の注入を行うものである。トランス34Bの励磁電流における高調波成分の位相は、例えば、代表的なトランス特性を測定して求めている。3次高調波注入部56Bは、PLL制御部52fから与えられる同期信号φpllの正弦波sin(φpll)の値を求める正弦波生成部73と、同期信号φpllの余弦波cos(φpll)の値を求める余弦波生成部74と、同期信号φpll及び逆位相φexの正弦波sin(3φpll+φex)の値を求める3次正弦波生成部75と、を有している。各正弦波生成部73及び余弦波生成部74の出力側には、乗算部76,77がそれぞれ接続されている。
乗算部76は、有効電流指令idrefと正弦波生成部73の出力値とを乗算するものであり、この出力側に、加算部78が接続されている。乗算部77は、無効電流指令iqrefと余弦波生成部74の出力値とを乗算するものであり、この出力側に、加算部78が接続されている。加算部78は、乗算部76の乗算結果と乗算部77の乗算結果とを加算するものであり、この出力側に、加算部79が出力されている。加算部79は、加算部78の加算結果と3次正弦波生成部75の出力値とを加算して、3次高調波電流に対応する電流指令i56cを電流制御処理部51Bへ出力するものである。
電流制御処理部51Bは、インバータ部41の単相AC出力電流を計測する変流器91の出力側に接続された誤差演算用の減算部92と、この減算部92の出力側に接続された比例積分制御部(PI)93と、この比例積分制御部93の出力側に接続された変調制御部94と、を有している。減算部92は、3次高調波電流に対応する電流指令i56cから、変流器91により計測された単相AC電流値を減算して、比例積分制御部93へ与えるものである。比例積分制御部93は、減算部92の減算結果に対して比例積分演算を行い、この演算結果を変調制御部94へ与えるものである。変調制御部94は、比例積分制御部93の演算結果に対してパルス幅変調等を行い、インバータ部41のスイッチングを制御するものである。
(実施例3の電流制御処理部、系統周波数計測部、及び3次高調波注入部の動作)
電力系統32が停電すると、インバータ部41側の出力電圧の周波数が変化するため、トランス52dを介して電圧計測回路52eにより、その周波数変化が検出されて電力系統電圧の位相θ(t)が求められ、PLL制御部52fに与えられる。PLL制御部52fは、位相同期制御を行って位相θ(t)に同期した同期信号φpllを生成し、この同期信号φpllを、3次高調波注入部56Bに与える。3次高調波注入部56Bにおいて、与えられた同期信号φpllに基づき、正弦波生成部73によって正弦波sin(φpll)が生成され、余弦波生成部74によって余弦波cos(φpll)が生成され、更に、3次正弦波生成部75によって3次正弦波sin(3φpll+φex)が生成される。
乗算部76により、有効電流指令idrefと、正弦波生成部73によって生成された正弦波sin(φpll)と、が乗算されて加算部78に与えられる。更に、乗算部77により、無効電流指令iqrefと、余弦波生成部74によって生成された余弦波cos(φpll)と、が乗算されて加算部78に与えられる。加算部78は、乗算部76の乗算結果と乗算部77の乗算結果とを加算して加算部79に与える。加算部79は、加算部78の加算結果と、3次正弦波生成部75によって生成された3次正弦波sin(3φpll+φex)と、を加算し、3次高調波電流に対応した電流指令i56cを生成して電流制御処理部51Bに与える。
電流制御処理部51Bにおいて、インバータ部41側の単相AC出力電流が変流器91で計測され、この計測された単相AC電流値が、減算部92に与えられる。減算部92では、加算部79から与えられた電流指令i56cから、変流器91で計測された単相AC電流値を減算する。この減算結果に対し、変調制御部94によってパルス幅変調等が行われ、インバータ部41のスイッチングが制御される。
このように、3次高調波注入部56Bから出力された電流指令i56cが、電流制御処理部51Bに与えられ、この電流制御処理部51Bにより、3次高調波電流がインバータ部41の出力電流に注入される。これにより、電力系統停電時におけるインバータ部41の出力電力に高調波電圧変化(即ち、高調波歪み変化)が生じ、図1中の無効電力ステップ注入部54内のステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件が満足される。そのため、実施例2と同様に、図1中の無効電力ステップ注入部54が動作するので、単独運転検出部55にて分散型電源31の単独運転を的確に検出できる。
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、3次高調波注入部56Bにより、インバータ部41の出力電流に比例して、電力系統側のトランス34Bの励磁電流における高調波成分に同期した3次高調波電流を、電流制御処理部51Bを介してインバータ部41の出力側に注入し、電力系統32が停電した時の高調波歪み変化に対して図1中のステップ注入発生条件判定部54eのステップ注入発生条件を満足させるようにしている。そのため、実施例2と同様に、コストの増加や発電量への影響を招くことなく、単独運転検出部55によって分散型電源31の単独運転を的確に検出することができる。
(実施例4の分散型電源システムの構成)
図7は、本発明の実施例4における分散型電源システムの概略の構成を示す機能ブロック図であり、実施例1を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
本実施例4の分散型電源システムでは、実施例1の図1中のPCS33とは機能の異なるPCS33Cが設けられている。PCS33Cは、実施例1と同様のハードウェア部40と、実施例1のソフトウェア部50とは機能の異なるソフトウェア部50Cと、を有している。ソフトウェア部50Cは、実施例1と同様の電流制御処理部51、系統周波数計測部52、周波数フィードバック部53、及び無効電力ステップ注入部54と、実施例1の高調波注入部56とは機能の異なる高調波注入部56Cと、を有している。
高調波注入部56Cは、実施例1と同様のn次高調波注入部56aと、新たに追加された注入量調整部56bと、を有している。n次高調波注入部56aは、係数k(例えば、1.0%)が乗算された有効電流指令idref×kと、系統周波数計測部52から出力される同期信号φpllと、を入力し、高調波電流に対応する高調波制御指令i56を生成して電流制御処理部51へ与えるものである。
新たに追加された注入量調整部56bは、係数kが乗算された有効電流指令idref×kと、高調波電圧算出部54dの算出結果と、に基づいて、インバータ部41側の出力電圧における高調波歪みの変化(即ち、高調波電圧変動)を検出し、規定値(例えば、1.0%)以上、ステップ注入発生条件判定部54eにおけるステップ注入発生条件を満たさない場合には、n次高調波注入部56aに対して高調波電流注入量を増加させる機能を有している。
つまり、注入量調整部56bは、高調波歪みの変化が規定値(例えば、1.0%)以下の高調波変動を検出した時、n次高調波注入部56aに対して高調波電流注入量を増加させ、高調波電圧変化を正帰還させるための注入量調整を行う機能を有している。高調波変動の検出条件は、例えば、図3中の符号を用いて表現すれば、次の(1)、(2)となる。
(1) 通常変動幅の算出:
Nvar=Max(|N3−Navr|,|N4−Navr|,|N5−Navr|)
(2) 高調波急変検出条件:
|(N1+N0)/2−Navr|>j×Nvar
又は、
|N0−Navr|>j×Nvar
但し、j;判定係数(例えば、2倍)
本実施例4の分散型電源システムにおけるその他の構成は、実施例1の図1と同様である。
(実施例4の分散型電源システムの動作)
本実施例4の分散型電源システムでは、高調波注入部56C内に注入量調整部56bを追加したので、この注入量調整部56bにより、インバータ部41側の出力電圧における高調波電圧変動を検出し、規定値(例えば、1.0%)以上、ステップ注入発生条件判定部54eにおけるステップ注入発生条件を満たさない場合には、n次高調波注入部56aに対して高調波電流注入量を増加させる。分散型電源システムのその他の動作は、実施例1と同様である。
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、注入量調整部56bを設けたので、負荷35の変動等があっても、高調波電圧変化を正帰還させるための注入量が調整される。そのため、単独運転検出部55によって分散型電源31の単独運転をより的確に検出することができる。
(変形例)
本発明は、上記実施例1〜4に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)、(b)のようなものがある。
(a) 図1及び図7のPCS33,33Cでは、ハードウェア部40とソフトウェア部50,50Cとを分割した構成例を説明したが、分割の領域は任意に変更が可能である。
(b) 図1、図5〜図7において、トランス34,34A,34Bとして柱上トランスの例を説明したが、柱上トランス以外の他のトランスの場合にも、本発明を適用できる。又、インバータ部41と電力系統32との間の回路構成等は、図示以外の構成に変更しても良い。
31 分散型電源
32 電力系統
33,33C PCS(パワーコンディショナ)
34,34A,34B トランス
41 インバータ部
51,51A,51B 電流制御処理部
52 系統周波数計測部
53 周波数フィードバック部
54 無効電力ステップ注入部
55 単独運転検出部
56,56A,56B,56C 高調波注入部

Claims (9)

  1. 分散型電源から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ部が、電力系統から切り離されて単独運転を行う時に、無効電力をステップ状に注入するためのステップ注入発生条件が満たされていれば、前記インバータ部から前記電力系統側へ、前記無効電力をステップ状に注入して系統周波数を急変させる第1ステップと、
    前記系統周波数の変化率に比例して前記無効電力の注入を増大させて、前記系統周波数の変化を拡大することにより、前記系統周波数の異常を生じさせて前記単独運転を検出させる第2ステップと、
    を有する単独運転検出方法において、
    前記電力系統側へ高調波電流を注入し、前記電力系統の停電時における高調波電圧の変化により、前記ステップ注入発生条件を満足させて、前記第1ステップを実行させることを特徴とする単独運転検出方法。
  2. 前記電力系統側の変圧器の励磁電流における高調波成分の位相角に合わせて、前記高調波電流の注入を行うことを特徴とする請求項1記載の単独運転検出方法。
  3. 前記電力系統は、単相系統又は三相系統であり、
    前記高調波電流は、3次、5次又は7次高調波電流である、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の単独運転検出方法。
  4. 前記電力系統は、三相系統であり、
    前記高調波電流は、5次高調波電流であり、
    空間ベクトル回転座標系上のd軸電流指令idrefとq軸電流指令iqrefとに対し、下記式のd軸高調波指令i69とq軸高調波指令i70とをそれぞれ加算して、前記5次高調波電流の注入を行うことを特徴とする請求項2記載の単独運転検出方法。
    i69=idref×k×((cos(6φpll)×cos(φex)−sin(6φpll)×sin(φex))
    i70=−idref×((sin(6φpll)×cos(φex)+cos(6φpll)×sin(φex))
    但し、k;係数
    φpll;系統周波数に同期した同期信号
    φex;高調波成分の位相角
  5. 前記高調波電圧の変化を検出し、規定値以上、前記ステップ注入発生条件を満たさない場合には前記高調波電流の注入量を増加させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の単独運転検出方法。
  6. 分散型電源から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ部が、電力系統から切り離されて単独運転を行う時に、無効電力をステップ状に注入するためのステップ注入発生条件が満たされていれば、前記インバータ部から前記電力系統側へ、前記無効電力をステップ状に注入して系統周波数を急変させる無効電力ステップ注入手段と、
    前記系統周波数の変化率に比例して前記無効電力の注入を増大させて、前記系統周波数の変化を拡大することにより、前記系統周波数の異常を生じさせて前記単独運転を検出させる周波数フィードバック手段と、
    を有する単独運転検出装置において、
    前記電力系統側へ高調波電流を注入し、前記電力系統の停電時における高調波電圧の変化により、前記ステップ注入発生条件を満足させて、前記無効電力の注入を行わせる高調波注入手段、
    を設けたことを特徴とする単独運転検出装置。
  7. 前記高調波注入手段は、
    前記電力系統側の変圧器の励磁電流における高調波成分の位相角に合わせて、前記高調波電流の注入を行うことを特徴とする請求項6記載の単独運転検出装置。
  8. 前記電力系統は、三相系統であり、
    前記高調波電流は、5次高調波電流であり、
    前記高調波注入手段は、
    空間ベクトル回転座標系上のd軸電流指令idrefとq軸電流指令iqrefとに対し、下記式のd軸高調波指令i69とq軸高調波指令i70とをそれぞれ加算して、前記5次高調波電流の注入を行うことを特徴とする請求項7記載の単独運転検出装置。
    i69=idref×k×((cos(6φpll)×cos(φex)−sin(6φpll)×sin(φex))
    i70=−idref×((sin(6φpll)×cos(φex)+cos(6φpll)×sin(φex))
    但し、k;係数
    φpll;系統周波数に同期した同期信号
    φex;高調波成分の位相角
  9. 直流電力を供給する分散型電源と、
    前記分散型電源の系統連系に用いられ、前記直流電力を交流電力に変換するインバータ部と、
    請求項6〜8のいずれか1項記載の単独運転検出装置と、
    を備えることを特徴とする分散型電源システム。
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