JP2011200032A - 単独運転検出装置、分散電源装置、同期検出方法、及び系統連系制御方法 - Google Patents

単独運転検出装置、分散電源装置、同期検出方法、及び系統連系制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変圧器励磁電流を推定することなく、変圧器励磁電流により生じる高調波電流と同期化して能動信号を注入できる、単独運転検出装置及を提供する。
【解決手段】分散型電源装置G1は、連系点X1で生じている変圧器励磁電流に起因する高調波電圧Vn1から能動信号の位相を推定する。推定手順は、まず連系点の電圧Vn1からフィルタ処理を行ってk次高調波電圧の振幅と位相を検出する。次に、単独運転検出装置G1からある一定の大きさの能動信号(高調波電流)を位相を徐々に変化させて注入し、高調波電圧Vn1が最大になる位相θn_maxを求める。さらに高調波電圧n1が最小となる位相θn_minも求め、式「180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ」、を用いてθn_max、θn_minの妥当性を判定する。上記手順を経て単独運転検出装置G1が同期注入すべき能動信号の位相を決定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば太陽光発電機、燃料電池発電機、ガスエンジン発電機、風力発電機や水力発電機等の分散型発電源(単に、「発電源」とも呼ぶ)と系統電源(商用電源)間に配置され、前記発電源の系統連系運転中に、前記発電源の単独運転を検出する単独運転検出装置、および該単独運転検出装置を備える分散型電源装置に関する。
近年では、一般電力需用家の家屋に設置した太陽電池などの分散型発電源をインバータを介して既存の電力系統(商用電力系統)と連系し、発電源の発電量が家屋の電力利用量を越えた場合の余剰電力は系統側に送電(逆潮流)して電力会社に買い取ってもらい、発電源の発電量が家屋の電力利用量を下回った場合の不足電力は系統側からの電力供給で賄うという系統連系システムの普及が進んでいる。
このような系統連系システムにおいては、系統側の事故停電時や作業停電時など、系統電源からの電力供給が停止した場合に、分散型発電源によって配電線が逆充電されることに起因して感電や配電設備の破損などの可能性があるため、系統連系しているインバータの単独運転を検出した際に、系統とインバータとの連系を切断することで安全性を確保している。なお、インバータや当該インバータの制御装置、系統連系を切断するためのリレー装置など、分散型電源を系統連系するために必要な各種装置をオール・イン・ワンで収容するものをパワーコンディショナ(単独運転検出装置)と呼び、1台の分散型発電源に対して1台のパワーコンディショナが家屋の所定位置に配置されることが一般的である。また、パワーコンディショナ(単独運転検出装置)と分散型発電源とを含めて分散型発電装置と呼ぶ。
インバータの単独運転検出方法は、受動的方式と能動的方式とに大別される。受動的方式とは、連系運転時から単独運転時に移行する際の連系点における電圧波形や位相、周波数などの変化を捉えることでインバータの単独運転を検出する方式である。単独運転検出方法には、例えば「電圧位相跳躍検出方式」や「周波数変化率検出方式」、「3次高調波電圧歪急増検出方式」などが挙げられる。「電圧位相跳躍検出方式」は、単独運転移行時に発電出力と負荷の不平衡による電圧位相の急変を検出する方式である。同様に「周波数変化率検出方式」は、単独運転の発生の前後における発電出力と負荷の不平衡による周波数の変化を検出するものである。「3次高調波電圧歪急増検出方式」は、インバータ(逆変換装置)に電流制御形を用い、単独運転移行時に変圧器に依存する3次高調波電圧の急増を検出する方式である。
一方、能動的方式とは、積極的にインバータから系統側へ変動要素(無効電力、周波数等)を与えて、それら変動要素による連系点の変化(電圧波形や周波数等の変化)が単独運転時に大きく現れるようにすることでインバータの単独運転を検出する方式である。能動的方式には、例えば「周波数シフト方式」や「無効電力変動方式」、「高調波重畳方式」などが挙げられる。このうち、「周波数シフト方式」は、インバータの内部発信器等に周波数バイアスを与えておき、単独運転移行時に表れる周波数変化を検出する方式である。「無効電力変動方式」は、発電出力に周期的な無効電力変動を与えておき、単独運転移行時に表れる無効電圧の変動、周波数変動あるいは電流変動を検出する方式である。「高調波重畳方式」は、インバータ出力に基準となる高調波を重畳する方式である。
インバータの単独運転検出方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。この特許文献1に記載のインバータの単独運転検出方法では、出力電力の効率を下げることなく、能動的方式によって単独運転を検出できるようにすることを目的としている。このために、電流制御型のパワーコンディショナにおいて、指令電流に高調波重畳手段からの高調波を重畳することにより、インバータの出力電流に高調波電流を一定の周期で重畳し、その周期に対応して高調波検出手段では、単独運転時に増加する系統電圧の高調波を検出し、それに基づいて単独運転を検出するようにしている。また、単独運転時に生じる高調波による電圧歪を助長する方へ出力電流に正帰還する。すなわち、系統電圧の高調波成分を正帰還させるので、単独運転時に系統電圧の高調波が増加すると、さらに高調波成分が増加することになり、単独運転の検出感度が向上する。これにより、インバータの出力電流に重畳させる高調波電流の割合を少なくするようにしている。
特開平11−127542号公報
ところで、系統に繋がる配電用変圧器(例えば、高圧側6,600V/低圧側200V、100の柱上変圧器)における励磁電流の推定演算を行い、この変圧器励磁電流を推定した結果を利用して、注入する能動信号の同期位相を求めることができる。しかしながら、予め特性が知られている変圧器でない場合、励磁電流を推定することが困難であり、さらに、鉄損を多く含む変圧器の場合、励磁電流成分に有効電力が含まれ、推定がさらに困難になることがある。このように、励磁電流の推定演算を行うためには、予め変圧器の特性、および系統に繋がる負荷の特性を把握しておく必要があり、その分不便さがあり、また励磁電流の推定演算が複雑になり、CPU負荷の増加を招き、コストが増加する懸念がある。
また、特許文献1に記載の単独運転検出装置は、単独運転時に生ずる電圧歪を助長する方へ出力電流に正帰還させる方法であるが、系統連系時の微少な電圧歪に着眼して、同期を取る事には言及していない。従って、例えば、分散型発電装置の複数台が集中して連系されることを想定した場合、能動信号が相互干渉して同期できないことが予想される。
本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、変圧器の励磁電流を推定することなく、変圧器励磁電流により生じる高調波電流の位相(または、他の単独運転検出装置が能動信号として注入する高調波電流の位相)を推定し、この推定した位相と同期して能動信号を注入することができるようにし、能動信号における相互干渉を防止することができる、単独運転検出装置、分散電源装置、同期検出方法、及び系統連系制御方法を提供することにある。
(1)本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の単独運転検出装置は、配電系統に連系する分散型電源装置内のインバータの単独運転検出装置であって、前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流、または前記配電系統に接続される他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を検出する高調波検出部と、前記高調波検出部により検出した高調波電流の位相と同期する能動信号を生成し、前記配電系統に注入する能動信号生成部と、を備えることを特徴とする。
このような構成の単独運転検出装置では、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他インバータから能動信号として注入された高調波電流)の位相を推定し、この高調波電流の位相と同期する能動信号を配電系統に注入する。
これにより、変圧器の励磁電流を推定することなく、変圧器励磁電流により生じる高調波電流の位相(または、他の単独運転検出装置が能動信号として注入する高調波電流の位相)を推定でき、この推定した位相と同期して能動信号を注入することができる。このため、各インバータ(単独運転検出装置)から注入される能動信号(高調波電流)における相互干渉を防止することができる。
(2)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記高調波検出部は、前記高調波電流により生じる常時の高調波電圧を検出する高調波電圧検出部と、前記高調波電圧に基づいて、前記高調波電流の位相を推定する位相推定部と、を備えることを特徴とする。
このような構成の単独運転検出装置では、連系点で生じている常時の高調波電圧から能動信号(高調波電流)の位相を推定する。
これにより、高調波電圧から高調波電流の位相を推定することができると共に、各インバータ(単独運転検出装置)から注入される能動信号における相互干渉を防止することができる。
(3)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記能動信号生成部は、前記推定された高調波電流の推定位相に基づいて、前記能動信号を注入する際の位相を示す同期信号を生成する同期信号生成部を備えることを特徴とする。
このような単独運転検出装置では、連系点で生じている常時の高調波電圧から能動信号の位相を推定し、この推定位相に同期する同期信号を生成する。
これにより、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流)の位相と同期して、能動信号を注入することができる。このため、能動信号における相互干渉を防止することができる。
(4)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記高調波検出部は、接続される連系点における前記高調波電圧の電圧情報に基づいて周波数領域において選択処理を行うことにより前記高調波電圧の振幅と位相を検出する高調波電圧検出部を備えることを特徴とする。
このような単独運転検出装置では、高調波電圧検出部により、連系点の電圧情報からフィルタ(DFT)処理を行って高調波電圧の振幅と位相を検出するようにしたので、これにより、連系点において高調波電圧を容易に検出できると共に、この高調波電圧の情報を基に、能動信号(高調波電流)の位相を推定することができる。
(5)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記能動信号生成部は、前記生成された同期信号に基づいて前記能動信号を注入する高調波電流制御部を備え、前記高調波電流制御部は、所定の振幅の前記能動信号を、前記推定された推定位相との位相差が無くなるようして配電系統に注入することを特徴とする。
このような単独運転検出装置であれば、高調波電流制御部は、配電系統に能動信号を注入する際に、この能動信号の位相と、位相推定部により推定した推定位相とが一致するように制御する。
これにより、能動信号の位相を、位相推定部により推定した推定位相と一致させることができる。このため、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流)の位相と同期して、能動信号を注入することができる。
(6)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記位相推定部は、前記連系点において検出された高調波電圧が最大になる第1の位相と、最小となる第2の位相とに基づいて、前記第1の位相と前記第2の位相との差が予め定められる所定の範囲となるように、前記注入する能動信号の位相を設定することを特徴とする。
このような構成の単独運転検出装置では、位相推定部は、ある一定の大きさの高調波電流を位相を徐々に変化させて注入していき、連系点の高調波電圧が最大になる位相θn_maxを求め、さらに、高調波電圧Vn1が最小となる位相θn_minも求める。そして、次式、「180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ」、を用いてθn_max、θn_minの妥当性を判定し、分散型電源装置が同期注入すべき能動信号の推定位相θskを決定する。
これにより、連系点において検出される高調波電圧を基に、能動信号(高調波電流)の位相を推定することができると共に、その妥当性を判定することができる。
(7)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記高調波検出部は、前記注入する能動信号により常時の高調波電圧変化量の大きさを判定し、前記能動信号生成部は、前記常時の高調波電圧変化量が大きくなると判定される場合、前記他のインバータによる能動信号を基準とするマスタ信号とし、前記生成する能動信号を前記マスタ信号に従属するスレーブ信号とすることを特徴とする。
このような構成の単独運転検出装置では、例えば、分散型電源装置G1と分散型電源装置G2とが系統に連系されている場合において、分散型電源装置G2のインバータが注入する能動信号により常時の高調波電圧変化量が大きくなり、電力品質の低下が懸念される場合は、分散型電源装置G1のインバータから注入される能動信号をマスタ信号とし、分散型電源装置G2のインバータから注入する能動信号をスレーブ信号とする。そして、例えば、高調波電圧変化量ΔVnが基本波電圧に対して0.5%以上(|ΔVn|≧0.5%)の場合は、分散型電源装置G2からの能動信号(高調波電流)の注入を開始し、高調波電圧変化量ΔVnが0.5%以下(|ΔVn|≦0.5%)になった時に、能動信号の注入を停止する。
これにより、系統連系時の高調波電圧変化量は通常0.5%以上になることはほとんどないため、分散型電源装置G2からの能動信号の注入がされることがなく、高調波電圧歪が過大になることを抑制し、能動信号の注入による電力品質の低下を回避できる。一方、単独運転時は、高調波電圧変化量は0.5%以上に達しやすいため、分散型電源装置G2はその変化を捉えて、高調波電圧変化を助長するように能動信号の注入をするので、単独運転の検出が容易になる。
(8)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記能動信号生成部は、前記高調波電流により生じる前記高調波電圧変化量が予め定められる所定の範囲より大きいと判定した場合、前記能動信号の注入を行うことを特徴とする。
このような構成に単独運転検出装置では、例えば、連系点における高調波電圧変化量ΔVnが、|ΔVn|≧0.5[%]の場合には、能動信号の注入を開始し、高調波電圧変化量ΔVnが、|ΔVn|≦0.5[%]となったときに能動信号の注入を停止する。
これにより、系統連系時の高調波電圧歪を抑制し、能動信号の注入による電力品質の低下を回避できるとともに、単独運転時は、高調波電圧変化を助長するように能動信号の注入をするので、単独運転の検出が容易とすることができる。
(9)また、本発明の単独運転検出装置は、上記発明において、前記高調波電圧及び高調波電流は、3次及び5次の高調波のいずれか、または両方であることを特徴とする。
このような構成の単独運転検出装置では、能動信号として3次または5次(あるいは両方)の高調波電流を使用するので、配電系統に通常多く含まれる3次及び5次の高調波電流を利用して、単独運転検出を行うことができる。
(10)また、本発明の分散型電源装置は、配電系統の連系点へインバータを用いて連系する分散型電源装置であって、前記連系点で生じている他のインバータが能動信号として注入する高調波電流、または、前記系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相を推定する位相推定部と、前記高調波電流の位相と同期する同期信号を生成する同期信号生成部と、前記同期信号生成部により生成された同期信号に基づいて、前記配電系統に能動信号を注入する高調波電流制御部と、を備えることを特徴とする。
このような構成の分散型電源装置であれば、位相推定部は、連系点で生じている他分散型電源から能動信号として注入された高調波電流(または変圧器励磁電流により生じる高調波電流)の位相を推定し、同期信号生成部は、推定された高調波電流の推定位相に基づいて、能動信号を注入する際の位相を示す同期信号を生成する。そして、高調波電流制御部は、同期信号生成部により生成された同期信号に基づいて系統に能動信号を注入する。
これにより、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流)の位相と同期して能動信号を注入することができるので、各分散型電源装置が注入する能動信号における相互干渉を防止することができる。
(11)また、本発明の同期検出方法は、配電系統の連系点にインバータを用いて接続される単独運転検出装置における同期検出方法であって、前記連系点に生じている高調波電圧を検出するステップと、前記高調波電圧を基に、前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相、または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を推定するステップと、前記高調波電流の位相と同期する能動信号を生成するステップと、を備えることを特徴とする。
これにより、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他のインバータ(単独運転検出装置)が能動信号として注入する高調波電流)の位相と同期して能動信号を注入することができるので、各単独運転検出装置が注入する能動信号における相互干渉を防止することができる。
(12)また、本発明の系統連系制御方法は、配電系統の連系点にインバータを用いて接続される分散型電源装置における系統連系制御方法であって、前記連系点に生じている高調波電圧を検出するステップと、前記高調波電圧を基に、前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流、または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を推定するステップと、前記高調波電流の位相と同期する同期信号を生成するステップと、前記生成された同期信号に基づいて前記配電系統に能動信号となる高調波電流を注入するステップと、を備えることを特徴とする。
これにより、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(または、他のインバータ(分散型電源装置)が能動信号として注入する高調波電流)の位相と同期して能動信号を注入することができる。このため、能動信号における相互干渉を防止することができる。
本発明の単独運転検出装置においては、予め特性が知られている変圧器でない場合においても、変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相(または、他の単独運転検出装置が能動信号として注入する高調波電流の位相)を、高調波電圧を検出して推定し、この推定した位相に同期する能動信号を注入する。これにより、能動信号における相互干渉を防止することができる。このため、配電系統に多数の分散型発電装置が連系する場合においても、単独運転検出が可能になる。
本発明の実施形態における単独運転検出装置が用いられる系統連系システの概略構成図である。 本実施形態の単独運転検出装置の第1の動作例(基本動作)について説明するための図である。 本実施形態の単独運転検出装置の第2の動作例について説明するための図である。 高調波電流の位相推定における第1の試験結果を示す図である。 連系運転中の変圧器(10KVA+30KVA)のトランス電流の振幅と位相の測定結果を示す図である。 高調波電流の位相推定における第2の試験結果を示す図である。 連系運転中の誘導電動機用変圧器のトランス電流の振幅と位相の測定結果を示す図である。 本実施形態の単独運転検出装置(パワーコンディショナ)の第1の構成例を示す図である。 本実施形態の単独運転検出装置(パワーコンディショナ)の第2の構成例を示す図である。 能動信号の振幅の決定処理を示すフローチャートである。 単独運転判定部における単独運転判定処理のロジックを示す図である。 変圧器の励磁電流と磁束との対応関係を示す特性曲線である。
図1は、本発明の実施形態における単独運転検出装置が用いられる系統連系システムの概略構成図である。この図1において、符号PSは系統電源、符号UWは超高圧送電線、符号STは配電用変圧器、符号CBは遮断器、符号HWは高圧配電線、符号HLは高圧側負荷、符号TRは柱上変圧器、符号LWは低圧配電線、符号LLは低圧側負荷、符号G1及びG2は分散型電源装置、符号PCS1及びPCS2は単独運転検出装置(パワーコンディショナ)、符号PV1及びPV2は発電源(分散型発電源)である。
系統電源PSは、例えば火力発電所や原子力発電所などの発電所に相当し、発電した電力を超高圧電力に昇圧して超高圧送電線UWを介して配電用変圧器STの1次側に供給する。超高圧送電線UWは、系統電源PSと配電用変圧器STとを接続し、系統電源PSから配電用変圧器STへ超高圧電力を送電するために用いられる送電線である。
配電用変圧器STは、超高圧送電線UWを介して受電した超高圧電力を高圧電力(例えば6600V)に変換して遮断器CB及び高圧配電線HWを介して柱上変圧器TRの1次側に供給する。遮断器CBは、系統事故発生時などに高圧電力の供給(配電)を停止させるための開閉装置である。これら配電用変圧器ST及び遮断器CBは、配電用変電所内に設置されているものである。高圧配電線HWは、配電用変電所(配電用変圧器ST及び遮断器CB)と柱上変圧器TRとを接続し、配電用変圧器STから柱上変圧器TRへ高圧電力を配電するために用いられる配電線である。また、高圧側負荷HLは、高圧配電線HWに接続された全ての負荷である。
柱上変圧器TRは、高圧配電線HWを介して受電した高圧電力を一般電力需用家が利用可能な低圧電力(例えば100Vまたは200V)に変換して低圧配電線LWを介して一般電力需用家の家屋(図示省略)に供給する。低圧配電線LWは、柱上変圧器TRと一般電力需用家の家屋とを接続し、柱上変圧器TRから一般電力需用家の家屋へ低圧電力を配電するために用いられる配電線である。また、低圧側負荷LLは、低圧配電線LWに接続された全ての負荷である。
以上の系統電源PS、超高圧送電線UW、配電用変圧器ST、遮断器CB、高圧配電線HW、柱上変圧器TR及び低圧配電線LWによって既存の電力系統(商用電力系統)が構成されており、このような電力系統に対して分散型の発電源PV1及びPV2が各々に対となって設けられたパワーコンディショナPCS1及びPCS2を介して連系されている。なお、図1では、2つのパワーコンディショナPCS1,PCS2が連系されている例を示しているが、連系されるパワーコンディショナは1つの場合もあり、また、3つ以上の場合もある。また、後述するように、分散型電源装置G1(パワーコンディショナPCS1)をマスタとし、他の分散型電源装置G2(パワーコンディショナPCS2)をスレーブとすることもある。
図1において、発電源PV1は、例えば一般電力需用家の家屋に設置された太陽電池であり、太陽光発電によって得られた直流電力をパワーコンディショナPCS1に供給する。発電源PV2は、例えば発電源PV1とは異なる一般電力需用家の家屋に設置された太陽電池であり、太陽光発電によって得られた直流電力をパワーコンディショナPCS2に供給する。なお、これら発電源PV1及びPV2は太陽電池に限らず、燃料電池などの他の分散型電源であっても良い。
パワーコンディショナPCS1は、発電源PV1に対となって一般電力需用家の家屋に設置されていると共に、低圧配電線LW上の連系点X1において既存の電力系統と連系(接続)されている。詳細は後述するが、このパワーコンディショナPCS1は内部にインバータを備えており、実際にはこのインバータを介して発電源PV1は系統連系されている。つまり、発電源PV1によって発電された直流電力は、パワーコンディショナPCS1内のインバータによって交流電力に変換されて電力系統側(低圧配電線LW)に送電(逆潮流)可能となっている。
パワーコンディショナPCS2は、発電源PV2に対となって一般電力需用家の家屋に設置されていると共に、低圧配電線LW上の連系点X2において既存の電力系統と連系(接続)されている。このパワーコンディショナPCS2も同様に内部にインバータを備えており、実際にはこのインバータを介して発電源PV2は系統連系されている。つまり、発電源PV2によって発電された直流電力は、パワーコンディショナPCS2内のインバータによって交流電力に変換されて電力系統側(低圧配電線LW)に送電(逆潮流)可能となっている。
図1に示す系統連系システムにおいて、推定される変圧器の励磁電流は、配電系統における高調波電流及び高調波電圧の発生源となる。例えば、図12(a)は、柱上変圧器TRの2次側電圧V、磁束φ及び励磁電流Im=(Imp+Imq)の波形図であり、図12(b)は、励磁電流Imと磁束φとの対応関係を示す特性曲線である。図12(a)に示すように、励磁電流Imの波形は高調波歪を含んでおり、また、図12(b)に示すように、励磁電流Imと磁束φとの特性曲線はヒステリシスループを形成する。このように、柱上変圧器TRの励磁電流Imとは磁化電流Imqと鉄損電流Impとを合成した電流を指している。以下の説明は、鉄損電流Impに高調波成分が含まれている場合も考慮している。
その変圧器の励磁電流Imは、連系運転時には柱上変圧器TRの1次側に存在する配電用変圧器STなどの低インピーダンス箇所へ流れ込むため、連系点X1において励磁電流Imに起因する高調波電圧は少ない。しかし、分散型電源の単独運転時、つまり遮断器CBが開放されて配電用変圧器STからの電力供給が停止した場合には、励磁電流Imは高圧側負荷HLや低圧側負荷LLなどの高インピーダンス箇所へ流れ込むため、連系点X1において電流Imに起因する高調波電圧が増加する。このような、単独運転時に連系点X1に発生する高調波電圧を利用して単独運転を検出することができる。
図2は、本発明の実施形態における単独運転検出装置(パワーコンディショナ)の第1の動作例(基本動作)について説明するための図である。この動作例は、図2(A)に示すように、低圧配電線LWに1つの分散型電源装置G1が単独で連系されている例である。変圧器TRから励磁電流Imが発生し系統側へ流れており、分散型電源装置G1は連系点X1から系統へ能動信号(n次の高調波電流In1)を注入している。このため、高調波電流発生源が変圧器TRと分散型電源装置G1のみであり、かつ変圧器TRと分散型電源装置G1の間の線路インピーダンスは無視できると仮定した場合、系統連系点X1では、励磁電流Imと高調波電流In1の合計と連系点X1から見た系統側高調波インピーダンスZnとの積、Vn1=(Im+In1)×Znにより決まる高調波電圧Vn1が発生する。なお、図2(B)の上段に、連系点X1で検出される高調波電流In1(例えば、n=3の3次高調波電流)の波形の例を示している。
図2(A)に示す系統構成において、分散型電源装置G1では、変圧器TRの励磁電流Imの位相を推定し、この励磁電流Imと同期する能動信号(高調波電流In1)を注入すれば相互干渉を防止することができる。具体的には、連系点X1に流れる高調波電流In1の位相を変化させて、励磁電流Imと相互干渉させることにより得られる常時の高調波電圧Vn1の位相−振幅特性の最大振幅値から、注入すべき能動信号(高調波電流)の同期位相を推定することができる。なお、以下の例では、高調波電圧Vn1は、n=3(3次高調波)、または、n=5(5次高調波)であるとする。
図2(C)は、高調波電圧Vn1から能動信号(高調波電流)の位相を推定する手順を示すフローチャートである。以下、図2(C)を参照して、その推定手順の流れについて説明する。
まず連系点X1の電圧情報を取得し(ステップS1)、この電圧情報からフィルタ(DFT(離散フーリエ変換))処理を行って(ステップS2)、高調波電圧の振幅Vn1(例えば、n=3の3次高調波電圧)を抽出する(ステップS3)。
次に、分散型電源装置G1から、図2(D)に示すように、ある一定の大きさの能動信号(高調波電流In1)をスキャンするように位相θを徐々に変化させて注入し、高調波電圧Vn1を測定する(ステップS4)。これにより、図2(B)の下段に示すように、連系点X1の高調波電圧Vn1が最大になる位相θn_maxを求める。また、高調波電圧Vn1が最小となる位相θn_minも求める(ステップS5)。
そして、次式、
180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ、
を用いて、θn_max,θn_minの妥当性を判定する(ステップS6)。すなわち、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度であることを判定する。
上記ステップS1〜S6に示す手順により、分散型電源装置G1が同期注入すべき能動信号の位相θsk(=θn_max)が決定される。
また、図3は、本発明の実施形態における単独運転検出装置(パワーコンディショナ)の第2の動作例について説明するための図である。この動作例は、図3(A)に示すように、低圧配電線LWに2つの分散型電源装置G1及びG2が連系されている例である
図3(A)に示す構成において、分散型電源装置G2は、既設の分散型電源装置G1が注入する能動信号(高調波電流In1)の位相(または変圧器励磁電流Imに起因する高調波電流の位相)を推定し、分散型電源装置G1と同期する能動信号In2を注入すれば、能動信号における相互干渉を防止することができる。具体的には連系点X2で生じている分散型電源装置G1が注入した能動信号In1(または変圧器励磁電流Imに起因する高調波電流)により生じている常時の高調波電圧Vn2から能動信号(高調波電流In2)の位相を推定する。なお、以下の例では、高調波電圧Vn2は、n=3(3次高調波)、または、n=5(5次高調波)であるとする。
図3(C)は、高調波電圧から能動信号(高調波電流)の位相を推定する手順を示すフローチャートである。以下、図3(C)を参照して、その推定手順の流れについて説明する。
まず連系点X2の電圧情報を取得し(ステップS11)、この電圧情報からフィルタ(DFT(離散フーリエ変換))処理を行って(ステップS12)、高調波電圧の振幅Vn2(例えば、n=3の3次高調波電圧)を抽出する(ステップS13)。
次に、分散型電源装置G2から、図3(D)に示すように、ある一定の大きさの能動信号(高調波電流)をスキャンするように、位相θを徐々に変化させて注入し、高調波電圧Vn2を測定する(ステップS14)。例えば、図3(B)の上段に示す高調波電流In2(連系点X2から注入するn次の高調波電流)の位相θを変化させて注入して行く。そして、例えば、図3(B)に下段に示すように、連系点X2の高調波電圧Vn2が最大になる位相θn_maxを求める。さらに高調波電圧Vn2が最小となる位相θn_minも求める(ステップS15)。
そして、次式、
180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ、
を用いてθn_max,θn_minの妥当性を判定する(ステップS16)。すなわち、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度であることを判定する。
上記ステップS11〜S16に示す手順により、分散型電源装置G2が同期注入すべき能動信号の位相θsk(=θn_max)が決定される。
なお、分散型電源装置G2が注入する能動信号(高調波電流In2)により常時の高調波電圧歪が大きくなり、電力品質の低下が懸念される場合がある。その防止策としては、後述するように分散型電源装置G1の能動信号をマスタ信号、分散型発電機G2の能動信号はスレーブ信号とする。例えば、基本波電圧に対する高調波電圧変化量ΔVnが0.5%以上(|ΔVn|≧0.5%)となったときに、分散型電源装置G2から能動信号(高調波電流)を注入するようにすれば、系統連系時の高調波電圧変化量は通常0.5%以上になることはほとんどないため、分散型電源装置G2からの能動信号の注入がされることがなく、高調波電圧歪が過大になることを抑制し、系統連系時の高調波電圧歪を抑えることができる。
また、図4は、高調波電流の位相推定における第1の試験結果を示す図である。図4に示す例は、試験対象となる変圧器が、容量10KVAの変圧器と、容量30KVAの変圧器とが並列に接続され、この変圧器から低圧配電線に、励磁電流ITRが流れており、パワーコンディショナPCS1から4KW(200V×20A)の電力が供給される場合の例である。
図4(A)に試験条件と等価回路を示す。図4(A)に示す等価回路において、分散型電源装置側(PCS1)から、3次の高調波電流I3と、5次の高調波電流I5とを位相を変化させて注入する。なお、低圧配電線のインピーダンスは、抵抗分が0.1Ωであり、インダクタンス分が0.1mHである。この低圧配電線の系統には負荷電流20A相当の負荷が繋がり、この負荷と変圧器TRとを、変圧器の励磁インダクタンス(電流ITR)、負荷抵抗(電流i)、及び容量124varの進相コンデンサC(電流i)の等価回路で示している。この等価回路において、パワーコンディショナPCS1から、0.2Aの3次の高調波電流I3と5次の高調波電流I5の位相θ(−90度〜150度)を変化させて注入する。
図4(B)は、単独運転後(変圧器一次側を高圧側から開放した状態)において、高調波電流In(n=3,5)を位相θnを変化させて注入した場合の高調波電圧の振幅特性ΔVnを示す図である。図4(B)では、横軸に高調波電流の注入位相θnを示し、縦軸に高調波電圧の基本波電圧に対する振幅ΔVn(単位:%)を示している。図4(B)に示すように、単独運転後においては、3次および5次の高調波電圧振幅ΔVnは、ともに約−45度(θn_minに相当)付近で最小となり、約+135度(θn_maxに相当)付近で最大となる。したがって、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度となり、前述したように、
180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ、となり、θn_max,θn_minの妥当性が確認できる。
また、図4(C)は、連系運転中(変圧器一次側を高圧側に接続した状態)において、高調波電流In(n=3,5)を位相θnを変化させて注入した場合の高調波電圧Vn(単位:V)を示す図である。図4(C)に示すように、連系運転時においても、3次および5次の高調波電圧とも、約−60〜−45度(θn_minに相当)付近で最小となり、約+120〜+135(θn_maxに相当)付近で最大となる。
したがって、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度となり、θn_max,θn_minの妥当性が確認できる。
また、図5は、連系運転中の変圧器(10KVA+30KVA)のトランス電流の振幅と位相の測定結果を示す図である。図5に示すように、3次高調波電流は、振幅が0.149Aであり、その位相は、−45.05度である。また、5次高調波電流は、振幅が0.066Aであり、その位相は、−57.49度である。すなわち、3次及び5次の高調波電流に位相は概ね−50度であることが分かる。
従って、前述の図4(C)に示すように、連系運転時において、3次および5次の高調波電圧とも、約−50度付近で最小となっており、位相θが130度(変圧器側から見ると−50度)で高調波電圧の振幅が最大になっており、変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相を測定できていることが分かる。
また、図6は、高調波電流の位相推定における第2の試験結果を示す図である。図6に示す例は、試験対象となる変圧器が誘導電動機(IM)用の変圧器であり、この変圧器から低圧配電線に、4KW(200V×20A)の電力を供給する場合の例である。
図6(A)に試験条件と等価回路を示す。図6(A)に示す等価回路において、分散型電源装置側(PCS1)から、3次の高調波電流I3と、5次の高調波電流I5とを位相を変化させて注入する。なお、低圧配電線のインピーダンスは、抵抗分が0.1Ωであり、インダクタンス分が0.1mHである。この低圧配電線の系統には負荷電流20A相当の負荷が繋がり、この負荷と変圧器とを、変圧器の励磁インダクタンス(電流ITR)、負荷抵抗(電流i)、容量32varの進相コンデンサC(電流i)の等価回路で示している。この等価回路において、パワーコンディショナPCS1から、0.2Aの3次の高調波電流I3と5次の高調波電流I5の位相θ(−90度〜150度)を変化させて注入する。
図6(B)は、単独運転後において、高調波電流を注入した場合の高調波電圧の振幅特性を示す図である。横軸に高調波電流の注入位相θを示し、縦軸に高調波電圧の振幅(単位:%)を示している。図6(B)に示すように、単独運転後においては、3次および5次の高調波電圧ΔVnは、ともに約−90度(θn_minに相当)付近で最小となり、約+90度(θn_maxに相当)付近で最大となる。
したがって、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度となり、前述したように、
180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ、
となり、θn_max,θn_minの妥当性が確認できる。
また、図6(C)は、連系運転中(変圧器一次側を高圧側に接続した状態)において、In(n=3,5)を位相θnを変化させて注入した場合の高調波電圧Vn(単位:V)を示す図である。図6(C)に示すように、連系運転時においても、3次および5次の高調波電圧とも、約−90度(θn_minに相当)付近で最小となり、約+90度(θn_maxに相当)付近で最大となる。
したがって、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度となり、θn_max,θn_minの妥当性が確認できる。
また、図7は、連系運転中の誘導電動機用変圧器のトランス電流の振幅と位相の測定結果を示す図である。図7に示すように、3次高調波電流は、振幅が0.179Aであり、その位相は、−82.32度である。また、5次高調波電流は、振幅が0.049Aであり、その位相は、−91.41度である。すなわち、3次及び5次の高調波電流に位相は概ね−90〜−80度であることが分かる。
従って、前述の図6(C)に示すように、連系運転時において、3次および5次の高調波電圧とも、位相θnが約−90度付近で最小となっており、位相θnが+90度付近(系統側から見ると−90度)で高調波電圧の振幅が最大になっており、変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相を測定できていることが分かる。
続いて、単独運転検出装置の内部構成と動作について説明する。図8は、本発明の実施形態における単独運転検出装置(パワーコンディショナ)の第1の構成例を示す図である。なお、パワーコンディショナPCS1及びPCS2は内部構成が同一であるため、以下ではパワーコンディショナPCS1を代表的に用いて説明する。
図8に示すように、分散型電源装置G1a内のパワーコンディショナPCS1は、連系スイッチ1、計測用変流器2、電圧計3、電流計4、インバータ5、及び制御部11を備えている。また、制御部11は、高調波検出部12、単独運転判定部15、能動信号生成部17を備えている。また、高調波検出部12は、高調波電圧検出部13と、高調波電流検出部14と、位相推定部16とを備えている。また、能動信号生成部17は、同期信号生成部18と、高調波電流制御部19とを備えている。
連系スイッチ1は、単独運転判定部15から入力される解列信号に応じて、インバータ5と電力系統(低圧配電線LW)との連系(接続)を解列するスイッチである。ここで、「解列」とは、インバータ5と電力系統(低圧配電線LW)との電気的な接続を切断することを指す。計測用変流器2は、インバータ5の出力電流を計測可能な低電流に変流して電流計4に出力する。電圧計3は、低圧配電線LWの連系点X1における電圧(連系点電圧とも呼ぶ)を検出して高調波検出部12に出力する。電流計4は、インバータ5の出力電流(具体的には計測用変流器2の出力電流;以下、PCS出力電流とも呼ぶ)を検出して高調波検出部12に出力する。
高調波検出部12内の高調波電圧検出部13は、フィルタ部13Aを有しており、電圧計3から入力される連系点電圧v(t)を基に、連系点電圧v(t)に含まれる所定次数kの高調波(以下、k次高調波と称す)の振幅Vkを検出する。例えば、3次及び5次の高調波電圧V3,V5を検出する。
また、高調波電流検出部14は、フィルタ部14Aを有しており、電流計4から入力されるPCS出力電流i(t)を基に、PCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波電流の振幅Iと、位相θikを検出する。例えば、3次及び5次の高調波電流振幅I3,I5及び位相θi3,θi5を検出する。なお、この位相θik(k=3,5)は、分散型電源装置G1a自体から系統に注入されるk次高調波電流の位相であって、連系点X1の高調波電圧から推定した能動信号(高調波電流)の推定位相θskとは異なる。
また、フィルタ部13A及び14Aとしては、デジタル信号処理を行う場合にはDFTやデジタルフィルタを用いることができ、アナログ信号処理を行う場合にはアナログフィルタを用いることができる。
ここで、検出すべきk次高調波の次数kは、後述するインバータ5を介して電力系統へ注入する能動信号(高調波電流)の次数kに応じて決定される。つまり、例えば、インバータ5を介して電力系統へ注入する能動信号(高調波電流)が3次及び5次高調波(k=3、5)である場合、高調波検出部12は、連系点電圧v(t)に含まれる3次及び5次高調波の振幅Vk(V3、V5)、PCS出力電流i(t)に含まれる3次及び5次高調波の振幅I3,I5を検出する。
また、高調波電圧検出部13は、連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅Vkと位相θvkの検出結果を単独運転判定部15に出力する。さらに、高調波電圧検出部13は、k次高調波の振幅Vkの検出結果を位相推定部16に出力する。また、高調波電流検出部14は、k次高調波電流の振幅Ik、位相θikの検出結果を高調波電流制御部19に出力する。さらに、高調波電流検出部14は、PCS出力電流i(t)に含まれる1次高調波(基本波;k=1)の振幅I1(以下、基本波振幅とも呼ぶ)と、k次高調波電流の振幅Ikの検出結果を同期信号生成部18に出力する。
位相推定部16は、位相スキャン部16Aにより、前述の図2(C)に示すように、ある一定の大きさの能動信号(高調波電流)をスキャンするように位相θを徐々に変化させて注入する。この高調波電流の注入は、位相スキャン部16Aからの指示信号により、能動信号生成部17により行われる。
この位相推定部16では、図2(B)の下段の「θ−Vn1特性」に示すように、連系点X1の高調波電圧Vn1が最大になる位相θn_maxを求める。さらに高調波電圧Vn1が最小となる位相θn_minも求める。そして、次式、
「180°−εθ≦|θn_max−θn_min|≦180°+εθ」、
を用いてθn_max,θn_minの妥当性を判定する。すなわち、|θn_max−θn_min|が概ね180度程度であることを判定する。これにより、位相θn_maxとなる位相を、推定した位相θsk(以下、推定位相θskとも呼ぶ)として、同期信号生成部18および単独運転判定部15に出力する。
また、能動信号生成部17は、位相推定部16により検出したk次高調波電流の推定位相θskと同期する能動信号を生成し、前記配電系統に注入する。この能動信号生成部17内の同期信号生成部18は、位相推定部16によって推定されたk次高調波の推定位相θskと、高調波電流検出部14により検出された振幅Ikとを基に、高調波電流Ikに同期して注入すべき能動信号(k次高調波電流)の位相及び振幅を決定する。具体的には、この同期信号生成部18は、k次高調波の推定位相θskと同期する位相(−θrk)を系統側へ注入すべき同期位相として決定する。
また、同期信号生成部18は、k次高調波の振幅Ikが所定の初期振幅設定値Iak以下であった場合には初期振幅設定値Iakを電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkとして決定し、また、振幅Ikが初期振幅設定値Iakより大きい場合には振幅上限値を算出し、当該算出した振幅上限値を電力系統側へ注入すべき能動信号の能動振幅Irkとして決定する。なお、このような同期信号生成部18において実施される能動振幅Irkの決定処理の詳細については後述する。同期信号生成部18は、上記のように決定した同期位相(−θrk)及び能動振幅Irkを同期信号として高調波電流制御部19に出力する。
高調波電流制御部19は、同期信号生成部18から入力される同期信号(能動振幅Irkと同期位相(−θrk))を基に、推定位相θskに同期する能動信号が電力系統側へ注入されるようにインバータ5を制御するための制御信号、例えばPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成してインバータ5に出力する。
具体的には、高調波電流制御部19は、同期位相(−θrk)及び能動振幅Irkを有するk次高調波電流がインバータ5から出力されるようにPWM信号を生成するが、この時、基本波電流の位相θi1を基準としてk次高調波電流の位相同期制御を行うと共に、PCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅Ik及び位相θikが、能動振幅Irk及び同期位相(−θrk)に一致するようにフィードバック制御を行う。なお、この高調波電流制御部19は、PWM信号の生成方式として正弦波・三角波比較方式を用い、正弦波の振幅及び周波数を変化させることで所望のPWM信号を生成する。
インバータ5は、発電源PV1から供給された直流電力を上記PWM信号に基づいてスイッチング素子(IGBT等のブリッジ回路を構成するスイッチング素子)をスイッチングすることにより交流電力に変換して電力系統(低圧配電線LW)に出力する。つまり、このインバータ5の出力電流には、基本波電流I1に同期するk次高調波電流が重畳することになる。
単独運転判定部15は、高調波検出部12から入力される連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧の振幅Vk、位相θvkの検出結果に基づいて、インバータ5の単独運転が発生したか否かを判定し、単独運転が発生したと判定した場合に連系スイッチ1をオフにする(解列する)ための解列信号を連系スイッチ1に出力する。なお、このような単独運転判定部15において実施される単独運転判定処理の詳細については後述する。
なお、図8では、1つの柱上変圧器TRに対して2つの分散型電源装置G1a及びG2が系統連系されている構成を例示したが、1つの柱上変圧器TRに対して多数の分散型電源装置が並列に系統連系されていることが一般的である。この場合、また、柱上変圧器TRも高圧配電線HWに複数接続されており、各々の柱上変圧器TRの低圧配電線LWに多数の分散型電源が並列に系統連系されている。
以上が図8に示すパワーコンディショナPCS1の構成に関する説明であるが、上述したように、パワーコンディショナPCS1は、柱上変圧器TRの磁気飽和特性に起因する高調波電流(または、他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号(高調波電流)をインバータ5を介して電力系統側へ注入し、当該注入による連系点X1における連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧の変化を基にインバータ5の単独運転を検出する機能を備えている(パワーコンディショナPCS2も同様)。このような機能をパワーコンディショナPCS1(PCS2)に備えることにより、余計なコストをかけることなく、複数台の分散型電源を系統連系した場合の相互干渉を回避して、インバータ5の単独運転の検出感度の低下を防ぐことが可能となる。
以下では、単独運転検出装置として機能するパワーコンディショナPCS1の詳細な動作説明を行う。
まず、柱上変圧器TRの励磁電流Imに起因する高調波電流(または他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号(高調波電流)をインバータ5を介して電力系統側(低圧配電線LW)に注入するまでの動作について説明する。ここで、初期状態として、連系スイッチ1はオン状態となっており、分散型電源装置G1内の発電源PV1によって発電された直流電力はインバータ5によって交流電力に変換され、その交流電力に応じたパワーコンディショナ出力電流(PCS1出力電流)が低圧配電線LWを介して低圧側負荷LLに供給されているものとする。
この連系運転状態において、電圧計3によって検出された連系点X1における連系点電圧v(t)は高調波電圧検出部13に入力され、また、電流計4によって検出されたPCS出力電流i(t)は高調波電流検出部14に入力される。高調波電圧検出部13は、連系点電圧v(t)からk次高調波(例えば3次及び5次高調波)の振幅Vk及び位相θvkを検出する。高調波電流検出部14は、PCS出力電流i(t)からk次高調波(同様に、例えば3次及び5次高調波)の振幅Ik及び位相θikを検出する。また、位相推定部16は、k次高調波電圧Vkの検出結果を基に、前述した図2(B)及び図3(B)で説明した方法により、変圧器励磁電流により生じる高調波電流(また他分散型電源装置から注入された高調波電流)の位相θskを推定する。
ここで、PCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅Ik及び位相θikの検出結果は、インバータ5のフィードバック制御に用いるために高調波電流制御部19に出力される。また、連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅Vk及び位相θvkの検出結果は、後述する単独運転判定処理に用いるために単独運転判定部15に出力される。また、PCS出力電流i(t)の基本波振幅I1と、k次高調波電流の振幅Ikの検出結果は、能動信号決定処理に用いるために同期信号生成部18に出力される。
そして、同期信号生成部18は、位相推定部16によって推定された推定位相θskと、k次高調波電流の振幅Ikを基に、注入すべき能動信号(k次高調波電流)の振幅(能動振幅)Irkと位相(−θrk)を決定する。この際に、同期信号生成部18は、k次高調波の振幅Ikが所定の初期振幅設定値Iak以下であった場合には初期振幅設定値Iakを電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkとして決定し、また、振幅Ikが初期振幅設定値Iakより大きい場合には振幅上限値を算出し、当該算出した振幅上限値を電力系統側へ注入すべき能動信号の能動振幅Irkとして決定する。同期信号生成部18は、上記のように決定した同期位相(−θrk)及び能動振幅Irkを同期信号として高調波電流制御部19に出力する。
また、同期信号生成部18は、図10に示すようなフローチャートに従って能動振幅を決定する。この図10に示すように、同期信号生成部18は、まず、初期振幅設定値IakをIak=dk×I1によって算出する(ステップS21)。ここで、dkは係数であり、例えば0.02〜0.03の範囲に設定されている。また、I1はPCS出力電流i(t)の基本波振幅(k=1)である。
続いて、同期信号生成部18は、k次高調波の振幅Ikが初期振幅設定値Iak以下か否かを判定する(ステップS22)。このステップS22において、「Yes」の場合、つまりIak≧Ikであった場合、同期信号生成部18は、初期振幅設定値Iakを能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkとして決定する(ステップS23)。つまり、Iak≧Ikの場合には、単独運転時において連系点X1に発生する高調波電圧の増幅効果を最大限に得るために、能動信号の注入量を極力大きくすることが望ましいので、初期振幅設定値Iakを能動振幅Irkとして決定する。
一方、ステップS22において、「No」の場合、つまりIak<Ikであった場合、同期信号生成部18は、振幅上限値をdmax×I1によって算出し、この振幅上限値を能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkとして決定する(ステップS24)。ここで、dmaxは上限係数であり、例えば0.03に設定されている。つまり、Iak<Ikの場合には、電力品質の観点から、振幅値の大きな高次数高調波電流を注入することは好ましくないため、能動振幅Irkを振幅上限値とすることでリミッタをかける。
同期信号生成部18は、上述した能動振幅Irkの決定処理を、例えば3次(k=3)及び5次(k=5)について行うことにより、高調波電流Ikに同期して注入すべき能動信号(3次及び5次高調波電流)の能動振幅Irk(k=3,5)を決定し、このように決定した能動振幅Irkと同期位相(−θrk)とを同期信号として高調波電流制御部19に出力する。
なお、変圧器の励磁電流により生じる高調波電流(または他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号を生み出すためには、位相推定部16により推定位相θskを検出できれば十分であり、必ずしも振幅Ikを使用する必要はない。振幅Ikを使用する理由は、図10で説明したように能動信号注入量(能動信号の振幅)の比較・目安にするためである。
そして、高調波電流制御部19は、同期信号生成部18から入力される同期信号(位相−θrk、振幅Irk)と、高調波検出部12から入力されるPCS出力電流i(t)に含まれるk次高調波の振幅Ik及び位相θikの検出結果とを基に、k次高調波に同期する能動信号(k次高調波電流)が電力系統側へ注入されるようにインバータ5を制御するためのPWM信号を生成してインバータ5に出力する。
具体的には、高調波電流制御部19は、同期位相(−θrk)及び能動振幅Irkを有するk次高調波電流がインバータ5から出力されるようにPWM信号を生成するが、この時、基本波電流の位相θi1を基準としてk次高調波電流の位相同期制御を行うと共に、PCS出力電流に含まれるk次高調波の振幅Ik及び位相θikが能動振幅Irk及び同期位相(−θrk)に一致するようにフィードバック制御を行う。このような高調波電流制御部19の制御により、インバータ5の出力電流には、柱上変圧器TRの励磁電流Imに起因する高調波電流(または、他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期するk次高調波電流が重畳することになる。
以上が柱上変圧器TRの励磁電流により生じる高調波電流(または、他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号(高調波電流)をインバータ5を介して電力系統側(低圧配電線LW)に注入するまでの動作説明であり、以下では、能動信号の注入に起因して連系点X1に発生する高調波電圧の変化を基にインバータ5の単独運転を判定する動作について説明する。
単独運転判定部15は、高調波検出部12から入力される連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧の振幅Vkと位相θvkの検出結果に基づいて、インバータ5の単独運転が発生したか否かを判定する。
図11は、単独運転判定部における単独運転判定処理のロジックを示す図である。この図11において、ΔVkは連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波の振幅Vkの変化量であり、例えば下記(1)式で表される。なお、下記(1)式において、Vk_baseは過去100サイクルのk次電圧歪(k次高調波の振幅Vk)の平均値であり、Vk_nowは現在のk次電圧歪であり、V1baseは基本波標準電圧(100Vまたは200V)である。
また、図11において、Δθvkは連系点電圧v(t)に含まれるk次高調波電圧の位相θvkの変化量であり、例えば下記(2)式で表される。なお、下記(2)式において、θvk_baseは過去100サイクルのk次電圧位相(k次高調波電圧の位相θvk)の平均値であり、θvk_nowは現在のk次電圧位相である。さらに、図11において、Vkth、ΔVkth、Δθvkthは予め所定の値に設定された閾値である。
Figure 2011200032
この図11に示すように、単独運転判定処理では、Vk≧Vkth、|ΔVk|≧ΔVkth、|Δθvk|≧Δθvkthの3つの条件の内、少なくとも1つが成立した場合にOR回路30から「1」がタイマ31に出力され、タイマ31はその出力状態「1」が規定定時間継続した場合に、インバータ5の単独運転が発生したとの判定結果を出力する。
単独運転判定部15は、上記のような単独運転判定処理を用いてインバータ5の単独運転発生を判定すると、連系スイッチ1をオフにする(解列する)ための解列信号を連系スイッチ1に出力する。これにより、インバータ5は電力系統から切断されるため、インバータ5の単独運転による電力系統の逆充電を防止し、安全性を確保することができる。
なお、単独運転判定部15における単独運転判定処理としては、第2の単独運転判定方法を用いることもできる。この第2の単独運転判方法では、k次高調波電圧変化量ΔVkが閾値ΔVkth以上の値で規定時間T1(例えば40ms)継続した場合、単独運転判定部15は、能動振幅Irkの2倍の能動振幅Ik2(=2×Irk)を注入すべき能動振幅として決定して系統に注入し、k次電圧歪Vkの変化量を基にk次負荷インピーダンスの推定量ΔZkを算出し、このk次負荷インピーダンスの推定量ΔZkが所定範囲内であるか否かを判定して、単独運転判定を行う。この第2の単独運転判定方法を用いることにより、外乱によって連系点X1に発生する高調波電圧が増減した場合に、上記の3つの条件の成立/不成立が頻繁に切り替わることを回避することができる。
なお、図9は、本発明の実施形態における単独運転検出装置の第2の構成例を示す図である。図9に示す構成例は、複数の単独運転検出装置(パワーコンディショナ)が連系される場合において、系統における高調波電圧歪Vnの増大を回避するために、分散型電源装置G1aをマスタとして、他の分散型電源装置G2aをスレーブとする例である。
図9に示す構成例は、既設分散型電源装置G1aの能動信号位相を(または変圧器励磁電流Imに起因する高調波電流位相)を、分散型電源装置G2aが推定し、系統における高調波電圧変化量ΔVnの値を判定し、能動信号を注入するか否かを決定する。
図9に示す分散型電源装置G2aが、図8に示す分散型電源装置G1aと構成上異なるのは、図8に示す分散型電源装置G1aと比較して、図9に示す分散型電源装置G2aの高調波検出部12内に高調波電圧変化量検出部12Aを新たに追加し、同期信号生成部18内にレベル制御部18Aを新たに追加した点であり、他の構成は図8に示す分散型電源装置G1aと同様である。このため、同一の構成部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
この高調波電圧変化量検出部12Aは、高調波電圧検出部13により検出された高調波電圧成分と、基本波電圧成分の値を基に、基本波電圧V1に対する高調波電圧変化量ΔVnを算出して、同期信号生成部18内のレベル制御部18Aに出力する。同期信号生成部18内のレベル制御部18Aは、系統の高調波電圧変化量ΔVnの大きさに応じて、能動信号を注入するか否かを制御する。
このレベル制御部18Aでは、高調波電圧変化量ΔVnが所定の閾値以上であった場合、例えば、高調波電圧変化量ΔVnが0.5%以上(|ΔVn|≧0.5%)の場合は、単独運転中であると推定されるため、前述した図10に示した初期振幅設定値Iakを電力系統側へ注入すべき能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkとして決定する。また、高調波電圧変化量ΔVnが所定の閾値以下であった場合、例えば、高調波電圧変化量ΔVnが0.5%以下(|ΔVn|≦0.5%)の場合は、系統連系中であると推定されるため、分散型電源装置G2aでは能動信号の注入を停止し、高調波電圧変化量ΔVnが「|ΔVn|≧0.5%」となったときに、能動信号の注入を開始する。これにより、系統連系時の高調波電圧歪Vnが過大になることを回避できる。なお、レベル制御部18Aでは、高調波電圧変化量ΔVnの大きさ(値)に応じて、能動信号(k次高調波電流)の能動振幅Irkを可変に設定するようにしてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、図8及び図9に示す分散型電源装置G1a及びG2aは、制御部11の内部にCPU、ROM、及びRAMを含むコンピュータシステムを有している。そして、上述したパワーコンディショナPCS1及びPCS2内の各部の処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。
すなわち、制御部11内の高調波検出部12、高調波電圧検出部13、高調波電流検出部14、フィルタ部13A及び14A、高調波電圧変化量検出部12A、単独運転判定部15、位相推定部16、位相スキャン部16A、能動信号生成部17、同期信号生成部18、レベル制御部18A、及び高調波電流制御部19における、各処理の一部または全部は、CPU等の中央演算処理装置がROMやRAM等の主記憶装置に上記プログラムを読み出して、情報の加工、演算処理を実行することにより、実現されるものである。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、ここで本発明と実施の形態の対応関係について補足して説明しておく。本発明における分散型電源装置は、分散型電源装置G1、G1a,G2、G2aが対応する。また、本発明における単独運転検出装置は、パワーコンディショナPCS1及びPCS2が対応する。また、本発明における高調波検出部は高調波検出部12が対応し、本発明における高調波電圧検出部は高調波電圧検出部13が対応し、本発明における高調波電流検出部は高調波電流検出部14が対応する。また、本発明における位相推定部は位相推定部16が対応する。また、本発明における能動信号生成部は能動信号生成部17が対応し、本発明における同期信号生成部は同期信号生成部18が対応し、本発明における高調波電流制御部は高調波電流制御部19が対応する。また、本発明における位相推定部により推定される高調波電流の推定位相は、推定位相θskが対応する。また、本発明における同期信号は、同期信号(位相−θrk、振幅Irk)が相当する。また本発明における高調波電圧が最大になる第1の位相は、位相θn_maxが対応し、最小となる第2の位相は位相θn_minが対応する。
そして、上記実施形態において、配電系統に連系する分散型電源装置G1a内のインバータ5の単独運転検出装置(パワーコンディショナPCS1)は、配電系統に設けられた変圧器TRの励磁電流により生じる高調波電流、または配電系統に接続される他のインバータ5が能動信号として注入する高調波電流の位相を検出する高調波検出部12と、高調波検出部12により検出した高調波電流の位相と同期する能動信号を生成し、前記配電系統に注入する能動信号生成部17と、を備える。
また、上記実施形態においては、高調波電流に起因する常時の高調波電圧Vkを検出する高調波電圧検出部13と、高調波電圧Vkに基づいて、高調波電流の位相を推定する位相推定部16と、を備える。
また、上記実施形態において、能動信号生成部17は、推定された高調波電流の推定位相θskに基づいて、能動信号を注入する際の位相を示す同期信号を生成する同期信号生成部18を備える。
また、上記実施形態において、高調波検出部12は、接続される連系点における電圧情報に基づいて周波数領域において選択処理を行うことにより高調波電圧の振幅と位相を検出する高調波電圧検出部13を備える。
また、上記実施形態においては、能動信号生成部17は、生成された同期信号に基づいて能動信号を注入する高調波電流制御部19を備え、高調波電流制御部19は、所定の振幅の能動信号を、推定された推定位相との位相差が無くなるようにして配電系統に注入する。
また、上記実施形態において、位相推定部16は、連系点において検出された高調波電圧Vkが最大になる第1の位相θn_maxと、最小となる第2の位相θn_minとに基づいて、第1の位相θn_maxと第2の位相θn_minとの差が予め定められる所定の範囲となるように、注入する能動信号の位相θskを設定する。
このように、本実施形態によれば、柱上変圧器TRの磁気飽和特性に起因する高調波電流(または他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号(高調波電流)をインバータ5を介して電力系統側に注入するという機能をパワーコンディショナPCS1及びPCS2に備えることにより、単独運転時に連系点X1及びX2に発生する高調波電圧の増幅効果を得ることができる。また、複数台の分散型電源装置G1等が系統連系されている場合であっても、各々に対応するパワーコンディショナPCS1及びPCS2が上記の機能により、同一の柱上変圧器TRの励磁電流Imに起因する高調波電流(または他分散型電源装置から注入される高調波電流)に同期する能動信号を電力系統側へ注入するため、従来の能動的方式の問題点であった相互干渉を回避することができる。
つまり、従来のような複数台の分散型電源装置が系統連系されている場合に能動信号を同期制御するための通信設備を設ける必要がないため、余計なコストをかけることなく、複数台の分散型電源を系統連系した場合の相互干渉を回避して、インバータ5の単独運転の検出感度の低下を防ぐことが可能となる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の単独運転検出装置、および分散型電源装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
PS・・・系統電源、UW・・・超高圧送電線、ST・・・配電用変圧器、
CB・・・遮断器、HW・・・高圧配電線、HL・・・高圧側負荷、
TR・・・柱上変圧器、LW・・・低圧配電線、LL・・・低圧側負荷、
PV1、PV2・・・分散型発電源、
PCS1、PCS2…パワーコンディショナ(単独運転検出装置)、
G1,G1a,G2,G2a・・・分散型電源装置、
1・・・連系スイッチ、2・・・計測用変流器、3・・・電圧計、4・・・電流計、
5・・・インバータ、11・・・制御部、12・・・高調波検出部、
12A・・・高調波電圧変化量検出部、13・・・高調波電圧検出部、
13A・・・フィルタ部、14・・・高調波電流検出部、14A・・・フィルタ部、
15・・・単独運転判定部、16・・・位相推定部、16A・・・位相スキャン部、
17・・・能動信号生成部、18・・・同期信号生成部、18A・・・レベル制御部、
19・・・高調波電流制御部

Claims (12)

  1. 配電系統に連系する分散型電源装置内のインバータの単独運転検出装置であって、
    前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流、または前記配電系統に接続される他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を検出する高調波検出部と、
    前記高調波検出部により検出した高調波電流の位相と同期する能動信号を生成し、前記配電系統に注入する能動信号生成部と、
    を備えることを特徴とする単独運転検出装置。
  2. 前記高調波検出部は、
    前記高調波電流により生じる常時の高調波電圧を検出する高調波電圧検出部と、
    前記高調波電圧に基づいて、前記高調波電流の位相を推定する位相推定部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の単独運転検出装置。
  3. 前記能動信号生成部は、
    前記推定された高調波電流の推定位相に基づいて、前記能動信号を注入する際の位相を示す同期信号を生成する同期信号生成部を
    備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単独運転検出装置。
  4. 前記高調波検出部は、
    接続される連系点における前記高調波電圧の電圧情報に基づいて周波数領域において選択処理を行うことにより前記高調波電圧の振幅と位相を検出する高調波電圧検出部
    を備えることを特徴とする請求項2から請求項3のいずれかに記載の単独運転検出装置。
  5. 前記能動信号生成部は、
    前記生成された同期信号に基づいて前記能動信号を注入する高調波電流制御部を備え、
    前記高調波電流制御部は、
    所定の振幅の前記能動信号を、前記推定された推定位相との位相差が無くなるようして配電系統に注入する
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の単独運転検出装置。
  6. 前記位相推定部は、
    前記連系点において検出された高調波電圧が最大になる第1の位相と、最小となる第2の位相とに基づいて、前記第1の位相と前記第2の位相との差が予め定められる所定の範囲となるように、前記注入する能動信号の位相を設定する
    ことを特徴とする請求項5に記載の単独運転検出装置。
  7. 前記高調波検出部は、
    前記注入する能動信号により常時の高調波電圧変化量の大きさを判定し、
    前記能動信号生成部は、
    前記常時の高調波電圧変化量が大きくなると判定される場合、前記他のインバータによる能動信号を基準とするマスタ信号とし、前記生成する能動信号を前記マスタ信号に従属するスレーブ信号とする
    ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の単独運転検出装置。
  8. 前記能動信号生成部は、
    前記高調波電流により生じる前記高調波電圧変化量が予め定められる所定の範囲より大きいと判定した場合、前記能動信号の注入を行う
    ことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の単独運転検出装置。
  9. 前記高調波電圧及び高調波電流は、3次及び5次の高調波のいずれか、または両方である
    ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の単独運転検出装置。
  10. 配電系統の連系点へインバータを用いて連系する分散型電源装置であって、
    前記連系点で生じている他のインバータが能動信号として注入する高調波電流、または、前記系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相を推定する位相推定部と、
    前記高調波電流の位相と同期する同期信号を生成する同期信号生成部と、
    前記同期信号生成部により生成された同期信号に基づいて、前記配電系統に能動信号を注入する高調波電流制御部と、
    を備えることを特徴とする分散型電源装置。
  11. 配電系統の連系点にインバータを用いて接続される単独運転検出装置における同期検出方法であって、
    前記連系点に生じている高調波電圧を検出するステップと、
    前記高調波電圧を基に、前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流の位相、または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を推定するステップと、
    前記高調波電流の位相と同期する能動信号を生成するステップと、
    を備えることを特徴とする同期検出方法。
  12. 配電系統の連系点にインバータを用いて接続される分散型電源装置における系統連系制御方法であって、
    前記連系点に生じている高調波電圧を検出するステップと、
    前記高調波電圧を基に、前記配電系統に設けられた変圧器の励磁電流により生じる高調波電流、または、他のインバータが能動信号として注入する高調波電流の位相を推定するステップと、
    前記高調波電流の位相と同期する同期信号を生成するステップと、
    前記生成された同期信号に基づいて前記配電系統に能動信号となる高調波電流を注入するステップと、
    を備えることを特徴とする系統連系制御方法。
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